著者
影広 達彦 緒方 健人 酒匂 裕 Kittler Josef
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.206, pp.187-194, 2007-08-27

監視カメラによって人物の異常な挙動を検知するために,挙動認識システムの研究を行った。本システムは,人物挙動の変化を検知することで,正常/異常の判定を行う。人物を追跡するために,最近傍法とParticle filter法の2つの手法を動的に切り替え,複数の人物が重なり合う場合でも安定した追跡を可能にした。また,学習判定機能に自己組織化マップを適用し,事前学習なしで挙動の変化検知が可能になった。本報告では,歩行状態を正常,乱闘状態を異常と定義し,CAVIARデータベースを元に精度評価を行った。その結果,フレーム単位の評価で,歩行状態に対する虚報率は1.8%,乱闘状態の検知率は64.2%となった。また,オプティカルフローの方向成分の平均値が,最も有効な特徴量であることが分かった。
著者
永田 宏 櫻田 武嗣 木俵 豊 勝本 道哲 浅見 徹 中川 晋一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IA, インターネットアーキテクチャ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.440, pp.123-130, 2001-11-14

日本における遠隔病理診断と遠隔顕微鏡のニーズに関して厚生労働省の統計データ等を用いて分析した。また既存の遠隔顕微鏡の欠点である動画伝送を克服するために、DVTSおよびD1 over IPを利用した新しい遠隔顕微鏡システムの開発を行った.CEATEC2001等の実験を通して、本システムの実用性を確認しつつある。DVTSは遠隔病理診断のみならず、超音波検査や内視鏡検査の遠隔診断にも活用できる可能性がある。
著者
清水 秀夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ISEC, 情報セキュリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.414, pp.29-35, 1999-11-08
被引用文献数
6

笠原-村上暗号は積和型の公開鍵暗号である。本稿では笠原-村上暗号の平文空間のもつ構造を解析し、公開鍵と暗号文から低密度攻撃を使って平文の部分情報を暴く方法を提案する。また数値実験により有効性を確認した。
著者
浜田 信 武本 充治 横畑 夕貴 中村 俊郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.524, pp.119-122, 2008-02-28

将来のユビキタス環境におけるサービスの提供を柔軟に行うことを目指してユビキタスSOAの研究開発を行っている.ユビキタスSOAでは,様々なデバイス・機能と言ったサービスの実体を抽象化した部品を,同じく抽象化されたシナリオにしたがって,組み合わせることで,目的となるサービスを実現することを目指している.その特性を生かしたサービスとして,我々は,スマートフォンにSNSサイトに蓄積された情報を,コンテキストに応じて,配信するシステムを試作し,そのフィージビリティの確認のため実証実験を行った.本稿では,本システムに関してユーザ履歴に着目したシステム動作の概要および検証について示す.
著者
葛岡 英明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.185, pp.1-4, 2010-08-20

CSCWの研究では、実験・観察、分析・評価、そしてシステムの試作・開発を繰り返すことが重要であると言われている。しかし、システム開発を専門とする研究者が十分な分析・評価をおこなうことは難しい。筆者らは社会科学者と共同研究することによって、CSCWの分野と人間ロボットインタラクションの分野において、繰り返し手法を実践してきた。
著者
石田 香織 井面 仁志 今井 慈郎 堀 幸雄 白木 渡
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.470, pp.135-138, 2009-02-28

耐震改修の急務が報道されつつも,防災教育の整備はその緒に就いたばかりである.防災教育の扱う範囲・対象は多岐にわたるものの,多くの危機管理マニュアルは抽象的で学習者にとって,理解が進まない現状も指摘されることが多い.大学など教育機関でも効果的な教材開発や効率的な実施手法が望まれている.本報告では,学生の観点から,危機管理マニュアルをより効率よく説明できるよう,マルチメディア化し,クラス単位での評価を行い,専用のWebサーバを立ち上げて公開すると共に,オンライン・アンケートによるフィードバックにより,定期的改良や年代や立場に対応した防災教育のための教材作成のアイデア収集もできる教材開発および実施手法の一例について述べる.
著者
小原 仁
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. TM, テレコミュニケーションマネジメント (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.154, pp.49-52, 2006-07-06

インターネットのトラヒック増大,特にストリーミング映像やグリッドなどの高速サービスの増大によりコアネットワークにおけるトラヒック変動が発生し,その結果として回線容量のボトルネックが原因となってサービス品質に大きな影響を与える問題が指摘されている.これに対処するため,トラヒックに応じてネットワーク構成を動的に再構築するための各種の技術開発および標準化作業が進んでいる.すでに光アクセス網(PON)では,ユーザに割り当てる帯域を動的に制御するDBA (Dynamic Bandwidth Assignment)技術が実用化されている.一方,コアネットワークにおいては,ネットワークの動的な再構築のための技術が盛んに研究されている.ノードに配置される光アッド・ドップ装置や光クロスコネクト装置などのハードウェアは,外部からの制御により波長信号の接続を高速に切り替えられることが必要である.また,ネットワークの管理・運用の面からは,従来のオフライン的な管理システムに加えて,トラヒックをリアルタイムでモニタし,あるポリシーに基づいて判断し,高速に回線リソースの発見とルート探索,および切り替え制御を行う制御プレーンが新たに必要となる.制御プレーンの具体的な例としては,従来のインターネット向けのルーチング制御技術であるGMPLSにトラヒックエンジニアリング機能(TE)を配備したGMPLS-TEが知られている.この技術を採用した波長多重光ネットワークのいくつかのテストベッドも試作されており,実際に動作デモが行われている.また,ITU-Tでは特定のプロトコルに依存しないASON (Automatic Switched Optical Network)アーキテクチャの標準化が進められている.本報告では,波長多重技術を用いた光ネットワークを対象に,主にネットワーク制御の観点から,最近の再構築制御技術の概要を紹介する.
著者
小川 貴弘 長谷山 美紀
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IE, 画像工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.488, pp.67-72, 2008-02-11

本文では,画像内容に基づく類似画像検索を実現するため,カーネル主成分分析を用いた画像の意味的特徴量の推定手法を提案する.提案手法では,あらかじめキーワードが付与されているデータベース中の画像をクラスタリングし,各クラスタから得られる画像特徴量および意味的特徴量の非線形固有空間を用いて,新たな写像を導出する.このとき得られる写像は,同一のクラスタに属する画像に対して,その画像特徴量から意味的特徴量を高精度に推定する.そこで,提案手法ではキーワードが未知のクエリ画像に対して,その意味的特徴量を推定する際に画像特徴量で生じる誤差に注目することで,属するクラスタの適応的選択を行う.これにより,クエリ画像の意味的特徴量は最適なクラスタによって精度良く推定されるため,その結果から画像内容に基づいた類似画像検索を行うことが可能となる.
著者
内田 貴司 矢崎 天一 安岡 義純 鈴木 克己
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MW, マイクロ波 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.275, pp.41-46, 2000-08-22

94GHzミリ波用の薄膜スロットアンテナを結合させたYBCOホットエレクトロンボロメータ(HEB)を製作し、ミリ波検出特性について検討した。まず、ビデオ検波特性から製作した素子のミリ波検出機構について検討した。遷移領域から常抵抗状態の温度領域ではボロメトリックな検出機構が支配的であった。しかし、超電導遷移温度(T_C)近傍では磁束クリープ運動に起因すると思われる非ボロメトリックな検出機構が支配的であり、印加電流を増加するに従いこの機構が顕著に現れた。次に、ボロメータとしての動作が支配的な素子を用いてミクシング特性を検討した。94GHzでのヘテロダインミクシングにおいて約0.65×10^<-9>[s]のフォノン緩和時間をもつボロメータミクサが実現でき、3.0GHzまでのIF信号を観測した。
著者
内田 貴司 矢崎 天一 安岡 義純 鈴木 克己
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SCE, 超伝導エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.274, pp.41-46, 2000-08-22

94GHzミリ波用の薄膜スロットアンテナを結合させたYBCOホットエレクトロンボロメータ(HEB)を製作し、ミリ波検出特性について検討した。まず、ビデオ検波特性から製作した素子のミリ波検出機構について検討した。遷移領域から常抵抗状態の温度領域ではボロメトリックな検出機構が支配的であった。しかし、超電導遷移温度(T_c)近傍では磁束クリープ運動に起因すると思われる非ボロメトリックな検出機構が支配的であり、印加電流を増加するに従いこの機構が顕著に現れた。次に、ボロメータとしての動作が支配的な素子を用いてミクシング特性を検討した。94GHzでのヘテロダインミクシングにおいて約0.65×10~<-9>[s]のフォノン緩和時間をもつボロメータミクサが実現でき、3.0GHzまでのIF信号を観測した。
著者
釜森 勇樹 川村 新 飯國 洋二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.57, pp.35-38, 2009-05-21

本論文では,ゼロ位相信号解析による広帯域雑音の除去について検討する.ゼロ位相信号とは,全周波数成分の位相をゼロに変換した信号であり,観測信号の振幅スペクトルの逆フーリエ変換として定義される.ゼロ位相信号へ変換することにより,振幅スペクトルの周波数軸方向の周期性を解析し利用することが可能となる.筆者らは,ゼロ位相信号解析の応用例として,白色雑音およびインパルス雑音に対する雑音除去法を提案してきた.本論文では,ゼロ位相信号解析によって,より一般的な広帯域雑音の除去が可能になることを示す.
著者
Wang Kedian Xu Haibo Chen Zhonghuai
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EID, 電子ディスプレイ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.356, pp.485-490, 2000-10-13

Stereo display is one of the key technologies of virtuaI Reality(VR), and is a basic requirement of a VR system. VR is a kind of hi-tech in Computer Science, which combines the most preeminent new results of several technologies such as CG, multimedia, display and computer simulation technology. This paper researches stereo displaying system on PC platform. On study of the mechanism of stereo vision, the importance of binocular parallax to generate stereo vision is explained, and different vision effects due to different types of binocular parallax are also analyzed and compared. A binocular-intersected projection model is proposed to generate stereo pairs, and this model is introduced into the popular 3D modeling system 3DS MAX to implement stereo displaying in one of the system windows. By using the LCD shutter glasses, the stereo displaying of static BMP pairs and bi-sequece AVI files generated using the binocular-intersected projection model can be observed. The shift from bi-sequnce AVI to mono-sequence AVI and stereo displaying of monosequence AVI are also expatiated. A real time stereo displaying system depending on hardware capabilities of display card is also realized in this paper. Through transforming.3ds files exported by 3DS MAX to loaded and Illumination, provided, and .x files, 3D models in .x files can be stereo-displayed by the system. textures and material functions are mutual controls such as pinning and rotation of models are also supplied. Predefined Awl can be played. The advantage of this stereo displaying system to common 3D-display system is that the depth of the image can be felt. A very good stereo vision effect can be obtained ; the program's execution is fast. The system is cheap and can be applied in products exhibition, CAT and entertainment.
著者
武藤 一利 大西 和則
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ITS (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.647, pp.25-28, 2005-01-28

2輪の乗り物であるセグウェイに、放送用ワイヤレスカメラを搭載してリモートコントロールできる装置を開発した。
著者
恩田 和樹 奥田 隆史 井手口 哲夫 田 学軍
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.220, pp.29-34, 2009-10-01
被引用文献数
1

電子メールシステムの構成要素は,メールサーバ,LAN同士やMAN同士を接続する基幹回線等である.電子メールシステムが正常に稼働するためには,これらの構成要素の全てが正常に機能することが必要である.しかしながら,社会インフラとして利用するためには,一部の構成要素が機能しない場合でも,全体としては機能しているというパフォーマビリティを向上させることが重要である.本稿では,基幹回線が正常に機能していない状況においても,電子メールシステムが稼働するために,徒歩や自転車,セグウェイなどの機動性に優れた低速移動体を利用し,電子メールシステムのパフォーマビリティを向上する手法を提案する.具体的には,低速移動体を用いて,相互に接続されていないネットワーク間でメールを収集,配達する手法を提案する.また,本提案手法を適用した電子メールシステムの性能評価を行う.
著者
佐藤 知正 内野 宏人 辰川 肇 朝木 克利 野口 博史 松信 嘉範 森下 広 森 武俊
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.443, pp.21-27, 2000-11-10
被引用文献数
3

本稿では、ロボット化された人間支援ルーム「ロボティックルーム3」を提案し、その基本的な考え方を述べる。ルームが豊かな個性を持った"個人"に適合した支援を実施するためには、個人の行動を認識・蓄積する機能と、その情報を踏まえて個人適合した支援を計画・実行する機能が核となることを指摘する。そのうえで、ロボティックルーム3においてこれまでに実現された行動認識機能として、床センサと視覚センサを統合して、部屋に入ってくる人を発見・追跡する機能について述べる。これはロボティックルーム3の基盤機能として、部屋に分散させた感覚行動ネットワーク系によって部屋内で生活する人の日常生活行動を認識する機能実現につながっていくものである。
著者
岡野 翔 面谷 信 中田 将裕 前田 秀一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EID, 電子ディスプレイ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.666, pp.13-16, 2005-02-17
被引用文献数
3

現在、紙とディスプレイの長所を併せ持った新しい表示媒体として電子ペーパーの開発が行われている。本研究は紙の利点である読みやすさの要因を明確にすることで、電子ペーパーのめざすべき読みやすさの条件を明確にしようとするものである。本研究では、媒体の呈示条件を読みやすさの重要な要因候補として考え、最新の電子書籍端末2種(Librie, Σbook)と紙を用いて、3通りの媒体呈示条件(立掛け, 水平置き, 手持ち)における読書作業性の比較評価を行った。両電子書籍媒体においては「手持ち」条件が顕著に高い評価結果となり、電子表示媒体を手持ち可能な形状等にすることで読書性が向上することが示唆された。
著者
山口 博幸 小桐 康博 大矢 智之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DSP, ディジタル信号処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.41, pp.69-72, 2002-05-02
被引用文献数
2

IMT-2000のマルチメディア通信サービスの中核のひとつである,ビジュアルフォン,および,映像クリップ配信について,標準化技術を解説する.3G-324M,MP4ファイルフォーマットとして3GPPにて標準化検討されたものである.さらに,それぞれの高機能化として,マルチリンク技術,Timed Text技術をとりあげ,設計指針を示す.
著者
馮 〓 佐藤 源之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.301, pp.7-12, 2003-09-05

地中レーダ(GPR)による地雷検知において,粗い地表面や不均質媒質,また斜めに埋設された地雷はいずれも検出の効率を低下させる.また斜めに埋設された地雷ではその正確な位置の推定が難しい.これらの問題を解決するために重合後マイグレーションと重合前マイグレーションをステップ周波数レーダシステムであるSAR-GPRシステムによって取得したデータに適用しイメージングを試みた.粗い地表面や不均質媒質,斜めに埋設された地雷について実験室内で実験を行った.マイグレーション処理によって埋設物のイメージは明確になった.また重合前マイグレーションは斜めに埋設された地雷に対して特に有効なことが確認できた.
著者
廣瀬 明 トー ジアユン エリス 原 貴弘
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.758, pp.113-118, 2005-03-21

対人プラスチック地雷の除去は人類の急務であり、レーダによる探知が期待されているが、未だ難しい課題である。本報告は、これまでに著者らのグループが提案している複素自己組織かマップによって区分化され可視化された位相感受型地中レーダ画像の中で、どの領域が地雷であるかを推定する地雷同定システムを提案し、その方式と実験結果を述べる。この地雷同定システムは教師ありシステムであり、また2つの段階の連想記憶からなる。地雷の埋設状況は千差万別であり、その変化を克服して地雷を見つけ出す必要がある。このために、はじめにその土地に埋設されている地雷(あるいは模擬地雷)を実際に埋設しなおしていくつかの典型的な埋設状況を作り、これを計測することにより埋設状況を学習させる。そして第1ステージ連想記憶で埋設状況の類似のものを見つけ出し、第2ステージ連想記憶で地雷クラスを同定する。実験の結果、プラスチック地雷の同定性能がきわめて高いことが確認される。またこの方法では教師埋設例データの作成を現地で行うことができるため、探査の現場に合った適応的な探索を実現することができる。その意味でも高い実用性を有する。
著者
西本 昌彦 田中 貴章 木村 優祐 ジャンディエリ ヴァクタン
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MW, マイクロ波 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.154, pp.117-122, 2008-07-17

地中レーダを用いた地雷探知器はプラスチック製地雷でも探知可能である反面,地表面反射波や地中の小石や砲弾片からのクラッタの影響を受けるため,地雷と地雷以外の物体の識別が難しい.このため,地雷探査用地中レーダには,地雷と地雷以外の物体を高い精度で識別するための識別能力が要求される.この問題のアプローチとして,レーダ応答波形から識別すべき地雷の特徴を直接抽出し,パターン識別の手法を用いたターゲットの識別を行う方法がある.本報告では,地雷中の空洞部からの応答に着目した特徴ベクトルを提案し,モンテカルロシミュレーションを行うことにより,その有効性について検討している.