著者
工藤 栄亮 安達 文幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MW, マイクロ波 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.688, pp.225-232, 2002-02-27

本論文では,アンテナダイバーシチ受信を用いるOFDM-CDMA下りリンクを対象に,インパルス性の干渉波が存在するときの周波数選択性フェージング環境下でのビット誤り率の計算式を導出し,モンテカルロ数値積分手法により平均ビット誤り率(BER)特性を求めた.OFDM-CDMA周波数等化として誤差最小合成(MMSEC)周波数等化と直交再生合成(ORC)周波数等化を用いた.インパルス性干渉の面積が大きい場合には誤りフロアを生じ,このような誤りフロアに対してはダイバーシチ受信による改善効果が得られないことを明らかにした.また,インパルス性干渉の影響は,MMSEC周波数等化とORC周波数等化とで殆ど同じであり,さらに周波数帯域幅の同じDS-CDMAとも殆ど同じであることが分かった.
著者
工藤 栄亮 安達 文幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MoMuC, モバイルマルチメディア通信 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.685, pp.225-232, 2002-02-27

本論文では,アンテナダイバーシチ受信を用いるOH)M-CDMA下りリンクを対象に,インパルス性の干渉波が存在するときの周波数選択性フェージング環境下でのビット誤り率の計算式を導出し,モンテカルロ数値積分手法により平均ビット誤り率(BER)特性を求めた.OFDM-CDMA周波数等化として誤差最小合成(MMSEC)周波数等化と直交再生合成(ORC)周波数等化を用いた.インパルス性干渉の面積が大きい場合には誤りフロアを生じ,このような誤りフロアに対してはダイバーシチ受信による改善効果が得られないことを明らかにした.また,インパルス性干渉の影響は,MMSEC周波数等化とORC周波数等化とで殆ど同じであり,さらに周波数帯域幅の同じDS-CDMAとも殆ど同じであることが分かった.
著者
会田 雅樹 佐々木 純
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.151, pp.37-42, 2006-07-06
被引用文献数
5

情報交換を行う人間の接続関係を分析して社会ネットワークとしての人間関係の構造を明らかにすることは,企業のマーケティング戦略や経営戦略の意思決定を支援する技術に結びつく可能性があり,工学的にも非常に興味深い.日常個人が誰と情報交換をしているかというデータを直接収集することは難しいが,利用者の多い通信サービスに関するデータを利用することによって,比較的規模の大きな人間関係の分析が可能になると考えられる.しかし,個人情報保護等の観点から,通信サービスの詳細な利用履歴データの入手や研究目的利用は容易ではないというのが現状である.本報告では,i-modeやmixiに関する一般公開されている非常に簡単なデータに着目し,その中に見いだされるpower lawを利用して大規模な人間関係の構造解明を行う.その結果,特定の通信サービスのユーザに限定されない広い人間関係に対して,スケールフリー性やユーザの行動規則に関する特徴を導く.
著者
若原 俊彦 日渡 裕也 庵 博文 鄭 自力 柴田 宗久
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MoMuC, モバイルマルチメディア通信 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.164, pp.59-64, 2005-06-30
被引用文献数
2

最近, インターネットのホームページを活用し、Web日記をベースとしてMovable Typeなどのツールを用いて構築されるブログシステムや, 多数のメンバ間で情報共有や知識共有を行うWikiなどのサービスの他、mixiやGREEなどの会員制でソシアルネットワーキングサービスが急激に普及している.これらは、それぞれのサーバを導入してサーバ/クライアントにより構築する手法が一般的である.本報告では, 携帯電話などのモバイル端末も対象に, ブログやTV電話などリアルタイム通信機能などの機能を有するコミュニティサービス構築ツールとして、サーバを意識せずに, 簡易に通常のノートパソコンなどで実現するシステム構築法について述べ、これを具体的に提供するYourServerのプロトタイプについて述べる.
著者
中台 慎二 登内 敏夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ICM, 情報通信マネジメント (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.288, pp.1-6, 2008-11-06
被引用文献数
2

大規模システムでは装置故障や設定ミス等に伴う障害が日常的に発生するため、障害を迅速に検出・分類し、保守運用者に復旧作業を提示する障害検出システムが必要である。しかしながら、携帯電話網におけるスリーピングセル障害のように、発生した障害を検出できずに復旧作業が遅れる障害がある。ルールベースの障害検出は、どの監視項目に対してどの程度の閾値を設定するかを人が判断する必要があり、十分な精度で障害を検出するには、ルール修正・検証に作業工数が必要となる。本研究では、サポートベクターマシンを用いて過去の障害事例からこの閾値を生成する。特に、従来ある方式とは異なるアプローチで特徴空間を設計し検出精度の向上を図った。さらに、保守運用者の検出感度に対する運用ポリシーに応じて異なる閾値の生成を可能とする。これらは、携帯電話網にて実際に発生した障害データを用いて検証し、4つの障害パターンのいずれについても本来検出すべき障害の7割以上を検出した。
著者
小澤 真佐也 エリック チェン 伊藤 光恭 羽鳥 光俊
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ISEC, 情報セキュリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.397, pp.115-121, 2007-12-12

近年利用者が増加してきているVoIPネットワークに対する脅威として,いろいろな攻撃手法が存在する.その中にSIPプロトコルスタックが実装されたネットワーク機器を標的としたFuzzing攻撃という手法がある.Fuzzing攻撃とは,標的の例外処理の脆弱性を狙い,標準仕様で定義されていない値などが含まれたSIPメッセージを送信することによって標的をクラッシュさせる攻撃である.本論文では,様々なFuzzing攻撃の手法を網羅的に想定し,その想定した手法に基づいた検知ルールを策定する.また,様々なFuzzing攻撃に対しこれらのルールでの検知率を調べ,その有効性を確認した.
著者
高橋 正樹 三須 俊彦 合志 清一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DSP, ディジタル信号処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.379, pp.1-6, 2003-10-16

放送コンテンツの中でもスポーツ中継は視聴率が高い.スポーツ中継は完成の域に達しているように見えるが,新たな映像表現を用いればより多くの視聴者へさらにわかりやすい映像を供給できる可能性がある.映像内の個々の物体(オブジェクト)の抽出・追跡技術を利用することにより,オブジェクトの特微量を利用した様々な映像表現の生成が可能となる.本稿では検出処理と幾何変換・作画処理を組み合わせた,スポーツシーンにおける新たな映像表現生成手法について述べる.また高速に移動するオブジェクトに対応したオブジェクト抽出・追跡法について述べる.さらに,上記手法を利用したスポーツコーダシステムを構築し,これを実験した結果仕様通りの映像が生成されることが確認できたのでこれを報告する.
著者
齋藤 宏文 MASUMOTO Y. MIZUNO T. MIURA A. HASHIMOTO M. OGAWA H. TACHIKAWA S. OSHIMA T. CHOKI A. FUKUDA H. HIRAHARA M. OKANO S
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.465, pp.39-48, 2000-11-17

本論文は、オーロラ微細構造の観測と先端衛星技術の軌道上実証を目的とするピギーバック衛星INDEXの概要について紹介する。INDEX衛星は2002年にH2Aのピギーバックとして打上げられる事を目標に、開発中の50kg級の衛星である。フォールトトレラントな3重多数決高速CPUシステム(SH-3, 60MHz)によって、コマンド・テレメトリ処理、姿勢制御、理学データ圧縮等、衛星のほとんどの機能が制御される。姿勢制御は、0.2°以下の制御精度を目標とする3軸姿勢安定方式である。SOI宇宙用デバイス、太陽集光型高効率パドル、リチウムイオン電池、全方位アンテナGPS受信機、可変放射率素子等の、先進技術の軌道上実証を合わせて行う。
著者
川原 琢也 野村 彰夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.285, pp.31-34, 2000-09-07

我々は南極昭和基地において、2000年からナトリウム温度ライダーを用いて高度80-110kmの中間圏界面に存在するナトリウム原子層のドップラー温度を測定している。同種のライダーは現在世界で5カ所しか観測点が無く、昭和基地での観測は下層大気からのエネルギー伝達のみならずオーロラ活動に伴う擾乱を調べる点で非常に意義が大きい。天候の良い時期には連続した7日間に12時間ずつデータが取れた時期もあり、短周期長周期の波動活動を十分に調べられる価値のあるデータが取れている。現在データは徐々に解析がすすんでおり、南極域中間圏界面の温度が明らかになりつつある。
著者
河村 俊一 浮貝 雅裕 三井田 惇郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.96, no.148, pp.89-96, 1996-07-13
被引用文献数
6

本稿では, インターネット上におけるCAIシステムの実現を最終的な目的として, 多様な学習者への対応を考慮に入れたシステム構築の一手法を提案している. 本研究では, 学習者に主体的な学習環境を提供可能な学習者主導型CAIの実現に向けて, 学習者の学習スタイルをモデル化するための一手法として, 性格テストなどを考慮に入れて性格情報を含めて学習者をモデル化した. コースウェアの教材構造には木構造を採用し, リーフノードにあらかじめ作成されている複数の教材の中から, モデルに基づき, 各々の学習者に適した教材提示を可能とするシステムの枠組みの提案と, 併せて, WWWを利用したCAIシステムの枠組みについて考察している.
著者
山田 浩二 松本 弘之 松本 勉
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ISEC, 情報セキュリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.213, pp.159-166, 2000-07-18
被引用文献数
14

指紋照合装置の安全性に対する問題の一つとして, 指の物理的な偽造があげられる.このような偽造への対策は, 特許などで生体検知機能として様々な方法が提案されている.しかしながら, それらの機能が装置に実際に組み込まれているか否かは不明なものが多く, 実際に偽造した指を用いた評価に関しては明らかにされていない.そこで, 我々は, グミ(ゼラチン水溶液をゲル化させたもの)を材料とした指を人工的に作製し, 入手した9つの異なる指紋照合装置を用いてその人工指が受け入れられるか否かを実験的に検証した.実験結果から, 実験に用いた全ての装置においてグミ製人工指が受け入れられることが判明した.本稿では, 人工指が悪用できる場合の問題点について検討し, 人工指の作製方法と実験結果について報告する.
著者
中根 愛 米村 俊一 浅野 陽子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SITE, 技術と社会・倫理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.331, pp.13-18, 2008-11-28
被引用文献数
1

新規顧客の獲得,既存顧客の維持をできる製品,すなわち選ばれ続ける製品の評価を行うためには,製品の性能に関わる定量的な指標やユーザビリティといった評価指標では不充分になってきている.ここで注目される概念として,ユーザが製品の利用を通じて享受する経験全てを意味するユーザエクスペリエンス(UX)がある.本稿では,UXは製品に一定ではなく,時間軸によって変化するだろうということを前提に,UXに影響を与える因子の重み付けが時間軸によって変化し,更に人と製品の関わりによってその変化の仕方も異なる,というUXの評価モデルを提案し,モデルの妥当性を検討した.
著者
大倉 昭人 川上 博 井原 武 三浦 章
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CS, 通信方式 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.276, pp.31-34, 2004-08-26

次世代移動体通信網としてIPネットワークの検討が進んでいる。IPネットワークでは様々なトラヒックの品質要求に応じたQoS制御が必要であるが、移動体通信網は花火など端末集中による輻輳や、地震など災害地への呼集中による輻輳の影響を受けやすい。本研究ではIPセルラ網に向けたロバストなQoS制御方式に関し、トラヒック異常検出に基づく予測制御と、線形最適化を応用したマルチパス制御を提案し、シミュレーション評価により方式の有効性と適応範囲を明らかにした。
著者
紫藤 一裕 太田 聡
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IA, インターネットアーキテクチャ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.275, pp.1-6, 2008-10-29

WWW(World Wide Web)はインターネット上の重要なサービスである.WWWの問題はネットワークやWWWサーバの負荷が過大なとき応答時間が増加することである.この問題を解決するため,ネットワーク内にキャッシュサーバを配置することが行なわれている.キャッシュサーバのキャッシュ領域は有限であり,空きがなくなった場合には保持しているページオブジェクトの削除が必要になる.そのため,削除するオブジェクトを選び出すキャッシュ管理法が,キャッシュサーバの効果を左右する.従来のキャッシュ管理法は,アクセス頻度やオブジェクトサイズを基準として削除するオブジェクトを選択していたが,必ずしも応答時間の点では最適ではなかった.そこで本論文では,WWWサーバ毎の性能を,トラヒックのパッシブ測定により見積もり,その結果に基づいて削除対象のオブジェクトを選択するキャッシュ管理法を提案する.提案方法は,応答の遅いサーバが提供するオブジェクトを優先してキャッシュに記憶するので,応答時間の改善が期待できる.パッシブ測定可能なWWWサーバ負荷指標を示し,提案方法を計算機シミュレーションで評価し,従来手法と比べて応答時間が改善されることを確認した.
著者
宮崎 大輔 Ammar Mahdi 川上 玲 池内 克史
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.199, pp.25-32, 2008-08-29

近年,バーチャルアースやグーグルアース,マップキューブなど,屋外環境をモデル化して仮想都市を作ったり,そこに他の仮想物体を合成するサービスが盛んに展開されている.本稿では,屋外環境の解析の第一歩として,屋外環境の情報の半分を占める天空光の偏光解析の結果について報告する.太陽光は非偏光であるが,大気中のエアロゾルに太陽光が反射することにより,空が偏光する.本稿では,直線偏光板と魚眼レンズを搭載したカメラで天空を観測し,晴天時および曇天時において太陽の方向を検出した実験結果を示し,その考察を行う.
著者
森 英季 干野 隆之 大日方 五郎 大内 一弘
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MR, 磁気記録 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.625, pp.25-30, 2001-02-09
被引用文献数
2

直動型空気静圧軸受けを有するリニア・アクチュエータを用いて、高精度トラック・フォローイング及び高速なシーク動作のための位置決め機構を提案した。試作したアクチュエータの共振周波数は、市販HDDに搭載されているロータリ型に比べ、約2倍程高いことが確認できた。このトラッキング・システムを用いてトラッキングを行なったところ、一般に許容されるトラッキングエラー(トラック幅の1/10)の更に1/2でトラック・フォローできることを確認した。またPDコントローラを用いたフィードバック制御によって、100Gbit/in^2以上の高TPIで必要となる10nm分解能の高精度位置決めが可能であることをステップ応答やランプ応答から検証した。
著者
成田 宏和 太田 学 片山 薫 石川 博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DE, データ工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.209, pp.1-6, 2002-07-12
被引用文献数
1

Web上で必要な情報へのアクセス手段として、中心的な役割を担っているのがgoogle,goo,Lycosなどに代表されるロボット型Web検索エンジンである。これらの検索エンジンが日々変化し続けるWebに対応していく為には、新しいページの収集、更新チェックなど多大なメンテナンスを必要とする。一方で、検索結果があまりに膨大すぎて必要な情報を探すのに困難を伴う場合もあるし、全ての検索エンジンが同一の情報を収集しているわけではないので、或る検索エンジンでは存在しなかった情報も別の検索エンジンを利用すると発見できる場合もある。本稿では、検索能力の強化と発見しにくい情報へのアクセス支援を目的に、複数の検索エンジンを併用し、検索結果を階層的にクラスタリングしてユーザに提供するシステムであるMETALを提案する。
著者
坂東 要志 野口 宏一朗 永田 真
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ICD, 集積回路 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.550, pp.61-66, 2007-02-28

サブ100nm CMOS時代を迎えて、大規模・高速デジタルLSIにおけるダイナミックな電源雑音やウェル電位変動に起因したシグナルインテグリティの劣化が顕著になっている。本研究は、サブ100nmデジタルLSI内部の、電源、グラウンド、ウェル、および信号、などの実測評価を目的として、多点・多電位かつ広帯域な波形の捕捉を簡易に実現するオンチップ・モニタの回路構成を提案する。提案する回路はソースフォロワ入力段と、その出力電圧を電源値に線形変換するとともにサンプル/ホールド動作する出力段からなり、1.0Vの大振幅(フルスイング)信号に対する実行帯域は1.1GHz、モニタの面積はチャネルあたり30μm×120μmである。また、出力段からのサンプル値を電流出力する構成により、単一の電流出力配線・出力パッドを複数のモニタ回路で共有でき、多点・多電位モニタアレイの搭載コストををチップ面積やパッド数の面から低減しているから、サブ100nm CMOS時代のシグナルインテグリティ解析・検証に、実務的に役立つ回路IPである。
著者
サラウッディンムハモド サリム ザビル アハメッド アシル 白鳥 則郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CS, 通信方式 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.291, pp.71-76, 2001-09-07

リンクの利用効率(link efficiency)と公平性(fairness)は、ネットワークの性能において重要な指標となる。それらの性能向上のためには、輻輳を通知する適切な手段が必要となる。ECN(Explicit Congestion Notification)を用いることで、輻輳を素早く検出することによって、TCP/IPネットワークの性能を向上させることが可能となることが明らかにされている。本稿では、FIM(Fair In-time Marking)というECNに関する新しい手法を提案する。FIMを用いることによって、素早く輻輳を検出するだけでなく、全コネクションに対して公平なサービスを保証することができる。インターネットの利用者が急増し、公平なサービスを強く望まれているなか、本手法は重要な意味を持つ。シミュレーションによって、FIMは利用効率に影響を与えず、従来のECNに関する手法と比べて最も優れた公平性を提供することを示す。
著者
柴田 勝征
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. WIT, 福祉情報工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.436, pp.55-59, 2008-01-17

1980年代頃から、日本の青少年たちの間に、さまざまな異常な現象が報告されるようになった。先行研究事例を振り返ってみると、「分数ができない大学生」という形で学力低下問題が問題とされ、次に「オレ様化する子供たち」と言われる、目の前の事実を認めない中・高生の大量出現、ニート・引きこもり・パラサイト・「自分探し」などの深刻化、そして最近では「希望格差社会」「下流志向」など、「格差社会」との関連が強く意識されるようになってきた。発表者(柴田)は、福岡大学理学部での10年間の数学教育体験から、これらの現象に通底している根本原因が、「因果律が認知機能から欠損している」ことだという結論を得た。先行研究で報告された事例の本当の原因を再解釈し、社会的な理解と解決策を提案する。