著者
大浦 新 鈴木 佐知子 秦 洋二 川戸 章嗣 安部 康久
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.102, no.10, pp.781-788, 2007-10-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
14
被引用文献数
1 9

Amazake is a traditional Japanese beverage made from sake cake or rice-koji produced in sakebrewing process. Recent progressive studies showed that sake cake and rice-koji had various physiological functionalities, such as anti-hypertension, anti-obesity and anti-amnesia. Such functionalities were anticipated in amazake, so we investigated the effects of amazake in mice. Administration of amazake to mice fed a high fat diet for 2 weeks suppressed increases in body weight, serum concentrations of triglycerides, and intraperitoneal adipose depots accumulations. When amazake was orally administrated to salt-induced hypertensive mice, blood pressure showed a significant decrease after 50days of breeding. When impairment of learning and memory in mice was induced by a subcutaneous injection of scopolamine, prior oral administration of amazake prevented a decrease in performance for memory and learning even in a single dose. These results demonstrated that amazake has three types of health-promoting benefits--anti-obesity, anti-hypertension, and anti-amnesia--resulting from attributions of sake cake, rice-koji, and other elements of sake-brewing. These functionalities indicated that amazake should be newly recognized as a natural and healthy drink for the prevention of lifestyle-related diseases.
著者
橋口 知一
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.109, no.5, pp.352-356, 2014 (Released:2018-03-12)
参考文献数
16
被引用文献数
1

東日本大震災から3年が経過し,瓦礫の処理,インフラ,建物も整備されつつあります。しかし,原発からの放射能汚染は本調査のとおり酒類では問題は出ていませんが,今後も注視する必要があります。清酒の輸出や国内の汚染の状況など考える上で貴重な資料だと思います。ご一読下さい。
著者
溝口 晴彦 原 昌道
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.105, no.3, pp.124-138, 2010 (Released:2012-02-17)
参考文献数
50
被引用文献数
7 6

酒母は麹造りと共に酒造りの大切な工程で,乳酸発酵を伴う生もと系酒母と乳酸を添加する速醸系酒母に大別され,従来よりいろいろな切り口で比較がなされてきた。今回,生もと系酒母の複雑な環境の場がそこで育てられて酵母に与える膜リン脂質の脂肪酸組成と関連づけて生もとの不思議な現象を明快に解明した本総説は,現場に従事する人にも興味を持って一読出来るものと確信している。
著者
赤田 圭司
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.101, no.10, pp.749-754, 2006-10-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
31

大豆はタンパク質, 脂質, ミネラル, ビタミンなどを含む栄養価の高い食品である。また, 大豆の機能性成分が最近は注目を集めており, 抗酸化作用, 血圧降下作用, コレステロール調節作用など生活習慣病の予防にも効果がわかっている。大豆の伝統的な加工食品である納豆は, 大豆の栄養・成分をまるごと摂取できるだけでなく, 納豆の機能性として, ナットーキナーゼによる血栓症予防, 骨代謝に必須なビタミンK2による骨粗しょう症の予防, ビタミンB, による疲労回復や成長促進の役割, 納豆菌による整腸作用などがある。最近, タカノフーズ株式会社では納豆のヒト皮膚に及ぼす影響について研究を行っているので, その効果についてお伺いした。
著者
橋本 彩子 神戸 大朋
出版者
日本醸造協会
巻号頁・発行日
vol.107, no.11, pp.836-841, 2012 (Released:2013-10-08)
著者
後藤 奈美
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.106, no.3, pp.116-120, 2011 (Released:2016-06-14)
参考文献数
21
被引用文献数
1

甲州は,日本を代表する伝来のブドウ品種であるが,これまで隠れていた香気特性が見出され新しいスタイルの甲州ワインが誕生し,また,欧州への甲州ワインの輸出が始まるなど,今注目のブドウ品種である。著者は,必ずしも明確ではなかった甲州の由来,分類の問題に一貫して最先端のDNA多型解析によって取り組み数多くの成果を上げてこられた。今回,その研究成果とともに甲州の分類にかかわる興味深い諸問題について解説していただいた。
著者
中村 明弘 飯盛 直樹 須藤 茂俊 三上 重明 伊藤 清 石川 雄章
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.85, no.2, pp.114-119, 1990-02-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
13
被引用文献数
1 2

焼酎白麹菌Aspergillus kawachii IFO 4308を使用した清酒醸造を実施し, 次の知見を得た。1. 清酒醸造において乳酸の代わりに白麹に含まれるクエン酸の抗菌力を利用した清酒醸造の可能性が示唆された。2. 白麹のα-アミラーゼ力価は黄麹菌の1/16であったにもかかわらず, 発酵に支障を及ぼすことなくもろみの溶解は進行した。この理由としてAspergillus kawachii由来のα-アミラーゼはもろみ中で蒸米に無効吸着されにくい・ことが考えられた。3. 対照として実施した黄麹仕込が糖化優先型の並行複発酵であったのに対し, 白麹を使用した場合は全般的に糖化と発酵がパラレルに進行した。4. 白麹仕込で得られた清酒はクエン酸のさわやかな酸味を呈するとともに, 黄麹仕込で得られた清酒と比べて遊離アミノ酸がやや少なく, またペプチドを構成するアミノ酸数はやや多い傾向にあった。
著者
多山 賢二 西澤 直行
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.94, no.10, pp.792-796, 1999-10-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
18
被引用文献数
1 2

従来, 食酢がカルシウムの吸収を促進すると言われていたが, ラットを使い, 食酢と同時にカルシウムを与えるとその吸収が促進され, さらに食酢の主成分である酢酸も同様の効果を有することを動物実験で明らかにした。さらにカルシウムの大腿骨への蓄積量, 骨形成・吸収マーカーなどの測定結果から食酢とカルシウムの関係の全容を解説していただいた。
著者
上田 誠之助
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.93, no.12, pp.947-950, 1998-12-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
5

前報までに古代の酒の変遷について, しとぎ (米粉を固めて造る餅) に着目して解説されたが。今回は現在における全国の神社でのしとぎの分布を調査し, その地域的特徴等からわが国古代史や日本人の起源との関わりに至る部分まで解説して頂いた。
著者
根来 宏明
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.111, no.11, pp.694-700, 2016 (Released:2018-08-06)
参考文献数
9

酒臭い息で帰宅して家族に顔をしかめられる,多くの人が身に覚えがあるのではないだろうか。飲酒後の呼気のにおいは,お酒を敬遠する要因の一つかもしれない。著者らは,GC-olfactometry/MSを用いて呼気の「酒臭さ」に関わるにおい成分を同定し,さらに,お酒の種類やタイプの間でもその成分に違いがあることを明らかにした。今後,「酒臭くならない」お酒の開発などにもつながっていきそうな,興味深い研究である。
著者
青島 均
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.103, no.4, pp.208-222, 2008-04-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
41

アルコール飲料が生体に及ぼす影響は多岐にわたるが, 最近その香気成分が注目され, 神経受容体, 特にGABAAレセプターに対する効果について著者らにより検討されてきた。本稿では中枢神経の受容体機構との関連からウイスキービール, カフェインに対するGABAAレセプターの応答に関する新しい知見を紹介していただいた。
著者
安渓 貴子
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.97, no.9, pp.629-636, 2002-09-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
16

多様性の大陸アフリカには, おどろくほど多彩な地酒づくりの文化が花開いている。サハラ以南のアフリカの伝統の酒造りの中には, 乾燥地の狩猟採集民の果実酒や, 季節的に雨が降るサバンナ帯のハチミツ酒とさまざまな穀物を発芽させてつくるビールの仲間, 湿潤な森林地帯のヤシ酒や泡盛にも似た風味をもつカビ付けした米の蒸留酒などが連綿とつくられてきた。これは, そうしたアフリカの地酒づくりの技術の科学的理解のための覚え書きである。
著者
金子 健太郎 進藤 斉 佐藤 和夫 高橋 康次郎
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.108, no.7, pp.539-549, 2013 (Released:2018-01-15)
参考文献数
25
被引用文献数
1

不飽和脂肪酸の水和化能の高い乳酸菌を用いて,焼酎もろみ中でγ-ラクトン類を生成させるための諸条件を検討した。1.水和化能の高い乳酸菌をどぶろくから分離し,その中から能力の高い乳酸菌26-a株,26-d株及び41-d株 の3株を分離した。同定の結果,26-a株及び26-d株はLb.brevisと同定されたが,41-d株は同定に至らなかった。2.焼酎もろみでの不飽和脂肪酸の供給源として麹エキスや酵母の自己消化物,90%精白米よりは玄米が好ましいことがわかった。3.玄米を掛け原料として黒麹(90%精白)を用いた焼酎仕込条件を検討した結果,酵母は,清酒酵母K701より焼酎酵母SH4,泡盛酵母AW101が優れていた。また,乳酸菌の添加時期は2次仕込の1日目に,添加菌数は106cfu/mlが好ましかった。4.この条件で仕込んだ焼酎には0.070~0.15ppmのγ-nonalactone,0.16~0.35ppmのγ-dodecalactoneが生成された。また,乳酸菌26-d株のみに0.09~0.12ppmのγ-decalactoneが検出された。5.官能評価では,対照に比べ乳酸菌を添加して醸造した焼酎は,γ-ラクトン類の香りが高く味が濃いというコメントが見られた。また,低沸点香気成分の量が多いこと等から,香りの評価がいずれも高く,また,味及び総合評価でも26-d株及び41-d株で醸造した焼酎が対照よりもかなり良い結果であった。
著者
喜多 常夫
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.107, no.7, pp.458-476, 2012 (Released:2017-12-12)
被引用文献数
2

2011年日本産酒類の輸出額は,約190億円である。このうち清酒が88億円だが,農産物ではりんごが65億円,緑茶が30億円であるのでかなり貢献しているといえる。しかも,近年増加傾向が続いており,清酒や焼酎の海外イベントも活況を呈している。また,海外生産も好調で本格的に国際化が始まり成長期を迎えた感がある。本稿では,著者が独自に収集されたデータから,海外生産を含め成長期にある清酒と焼酎の現状分析とともに,この成長を継続するための課題への現実的な提言がなされている。筆者は,実に好奇心旺盛な方で,氏の経営する社のHP(http://www.kitasangyo.com/)には,本稿に関係した情報以外にも,酒類に関係する様々な情報が掲載されているので,こちらも参考にされることをお勧めする。
著者
久米 堯 伊藤 明徳
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.94, no.3, pp.187-200, 1999-03-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
22

前2回に引き続き, 今回は麦味噌及び豆味噌を取り上げる。麦味噌は, 九州, 四国・中国地方あるいは関東の一部などで作られ, 味噌の全生産量の約10%を占める。豆味噌は東海3県のみで作られ, 生産量は約5%である。豆味噌, 麦味噌を素材とした調合味噌を含めて, 永年, それぞれの味噌作りに携わって来られた筆者に, 詳しく解脱いただいた。
著者
丸山 勝也
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.105, no.7, pp.432-439, 2010 (Released:2016-01-21)
参考文献数
6

節度ある飲酒として純エタノールに換算した場合,1日あたり20g程度が適量とされている。これはどのような医学的根拠から導かれるのか,飲酒家にとっては興味を惹かれる問題である。本稿ではアルコール関連障害の診断,治療を行ってこられた専門医にお願いし,アルコールの作用,アルコール代謝と個人差ならびに関連疾患について医学的側面から簡潔に説明して頂いた。更に,その知見から導かれる病気にならない飲み方についても解説して頂いた。特にアルコール依存症の早期発見や予防のために,自己診断によるスクリーニングテストは有用である。
著者
池田 和隆 小林 徹 曽良 一郎
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.97, no.2, pp.124-130, 2002-02-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
10
被引用文献数
1

アルコールが脳に与える影響は, 酔いをはじめとして様々あり興味ぶかくかつ重要である。ここではアルコールの鎮痛作用とイオンチャネルの一つであるGIRKチャネルとの関係を中心に紹介していただいた。また, アルコールは, 人の情動などを脳機能として調べる上でも重要な糸口を与えてくれる物質であるようだ。