著者
小野 和宏 松下 佳代 斎藤 有吾
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.27-46, 2023-01-20 (Released:2023-02-01)
参考文献数
40

本研究の目的は,専門教育で身につけた問題解決スキルが汎用性をもちうるかを明らかにすることである.PBL カリキュラムで口腔保健・福祉分野を学んでいるX 大学歯学部3年生を対象に,まず問題解決プロセスの習得度をパフォーマンス評価により直接評価した.ついで,そのうちの15名を対象に,専門教育で身につけた問題解決プロセスの理解度と日常場面への適用に関して学生インタビューを行った.その結果,専門教育で問題解決プロセスの理解度・習得度が高まると,そこで獲得した問題解決スキルは専門教育から遠い日常の場面へも転移しうることが示唆された.また,問題解決プロセスの理解度・習得度を高めるうえで,PBL での協調学習や学習課題の設定・情報探索が効果的である可能性が示された.これらの結果は,専門教育で身につけた能力が汎用性をもつ過程を例証している.
著者
上岡 伸
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.46097, (Released:2023-01-30)
参考文献数
44

本研究の目的は,初任教員が受講する校外研修の転移プロセスを自己調整学習の概念によって定義し,研修の改善に取り組む際の指標として行動意図が有用であるかを検討することである.初任教員145名の回答を用いた因子分析の結果,「教育クラウドの活用」を目標とする職場での行動・認知活動に関する項目群は,自己調整学習因子とフィードバック探索因子の2因子構造と判断された.そして,小学校教員と高等学校教員について多母集団同時分析を行うと,行動意図は,自己調整学習とフィードバック探索の潜在因子である「転移の試行」に対して正の大きい効果量を示した.このことから,行動意図は校外研修と職場における自己調整学習とを橋渡しする役割を果たすと考えられ,研修改善に取り組む際の指標として有用であることが示唆された.
著者
遠藤 育男 益川 弘如
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.221-233, 2015-12-25 (Released:2015-12-28)
参考文献数
22
被引用文献数
2

授業研究の質向上のため,客観的なエビデンスを基に議論できるよう,研修体制を考慮しつつ3年間にわたって授業研究デザインを改善し実施した.今回は,毎年同じ6年生算数組み合わせを対象とし,前年度のエビデンスを活用し授業改善を進めた.1年目は授業後時間をかけて発話分析し,各班の学習プロセス比較図と一定期間後の定着度を調べた回顧記述調査を長期休業での研修で提示し,エビデンスを基に議論する重要性を共有した.2年目は観察者を学習者1人1人に割り当て,視点を持って発話を観察記録することで事後研修の質を高め,長期休業の研修に向けた分析負担を減らした.3年目は定着度の予測活動を導入することで,長期休業の研修を組み合わせなくても定着を意識した議論を引き出せた.前年度までのエビデンスを活用しつつ各年度研修を改善した結果,分析負担を減らしても,精度の高い学習成果の予測を基に観察吟味ができる授業研究が実現できた.
著者
村岡 千種 淺田 義和
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.S44037, (Released:2020-09-28)
参考文献数
12

脱出ゲーム(Escape Room, 以下ER)は,1人ないしはグループで,制限時間内に与えられた「謎」を解き,最終的なゴールを目指すゲームである.近年,教育における活用事例も増えている.中でも医療教育に焦点を当てた場合のER 活用の特徴や課題はどのようなものか.本研究では,ER の医療教育への活用に関する文献を,対象者や内容,学習目標や評価方法に着目してレビューした.この結果,医療シミュレーションを導入して知識・技能・態度を統合的に学習可能としたり,QR コードなどのICT を活用してER を運営したりするなどの特徴があった.一方,課題として,設計・運用にかかる諸コストのほか,教材として用いる際の学習目標や評価方法の設定などが挙げられた.医療教育に活用できるER を開発するに際は,こうした課題を解決していく必要がある.
著者
杉浦 真由美 重田 勝介
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.46018, (Released:2022-08-18)
参考文献数
20

本研究では,大学教員を対象としたブレンド型授業を設計するための教員研修プログラムを開発した.教員研修プログラム開発の指針を得るため,多様な教員がブレンド型授業を実施する上での課題を分析した.その結果,教員はオンラインツールを用いたことなどによるメリットを感じた一方で,授業方法の変化に伴う不便さや困難を感じ,学生を含め心身への影響を及ぼした状況が明らかとなった.この分析をもとに,教員研修プログラムの構成要素として,教授者目線で3つのステップを踏みブレンド型授業を考案する「リビルド法」と,リビルド法に基づきブレンド型授業を設計する「授業デザインツールキット」を開発した.ツールキットを用いた教員研修プログラムを実施した結果,ツールキットと教員研修の場が,ブレンド型授業を設計するために有用であったことが示唆された.
著者
阿部田 恭子 向後 千春
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.45113, (Released:2022-07-28)
参考文献数
23

本研究では, パーキンソン病患者の体の動きの改善と QOL 向上を目的とした健康支援教育プログラムを開発し, その効果についてランダム化比較試験によって検討した. 実験群では, インストラクショナルデザインの原則によって設計されたタンゴセラピーをオンデマンド方式で配信し, テレビ会議システムを使ってフィードバックした. 一方, 統制群では, テレビ会議システムを使って健康講座を行った. その結果, 実験群において, 外出頻度が有意に高くなった. さらに, インタビュー調査の分析から, オンラインタンゴセラピーによって体の動きの改善に効果があることがわかった. 体の動きの改善は, 心理面での変化につながり, 日常における活動にも効果が見られた. これらの結果から, オンラインタンゴセラピーは, 社会生活への参加の積極性を高めたことが示された.
著者
北澤 武 赤堀 侃司
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.297-304, 2021-03-10 (Released:2021-03-15)
参考文献数
50
被引用文献数
2

米国を中心に海外で普及しているSTEM/STEAM 教育について,我が国でも文部科学省や経済産業省を中心に議論がなされてきた.そして,2020年度から小学校から段階的に施行する新学習指導要領を踏まえつつ,教科横断的な側面と既存の教科内で扱われる問題の文脈を他の領域と関わらせる側面がある統合型STEM 教育に,リベラルアーツの考え方に基づきながら美術,音楽,文学,歴史に関わる学習を「A」として取り入れた日本型STEAM 教育の議論が行われているが,これを実践できる教員を養成することが課題となっている.本稿では,我が国で議論されているSTEM/STEAM 教育に着目しながら,教員養成に求められるSTEM/STEAM 教育の展望を述べる.
著者
武田 佳子 溝口 侑 溝上 慎一
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.229-239, 2022-05-20 (Released:2022-06-22)
参考文献数
51

本研究では,リーダーシップの発揮に有効とされるリーダーシップ自己効力感とレジリエンスに着目し大学4年次と社会人1年目で縦断調査を行った.学校から仕事・社会への移行(トランジション)におけるリーダーシップ自己効力感(LSE;変革力・遂行力・共感力・鼓舞力)とレジリエンス(BRS;資質的・獲得的)の相互関係の検討を行うため,縦断データを用い交差遅延効果モデルによる分析を行った.その結果,大学から社会人1年目でLSE の4因子及びBRS の2因子すべてで有意な得点の低下が見られた.また,大学4年次の資質的レジリエンスから社会人1年目のLSE の遂行力,変革力,鼓舞力へ,大学4年次の獲得的レジリエンスから社会人1年目のLSE 遂行力へ有意な正の影響が見られた.大学4年次のLSE から社会人1年目のBRS への影響はみられなかったことから,大学までにレジリエンスを身につけることは,社会人1年目において,共感力以外のリーダーシップ自己効力感に効果がある可能性が示唆された.
著者
見城 佑衣 大山 牧子
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.45015, (Released:2021-08-24)
参考文献数
20

震災や災害を題材とした探究学習はフィールドワークを伴うことが多いが,遠隔地でも学習できるようICTを活用した学習環境の構築が求められる.本研究の目的は,フィールドワークの代替としてのVRの活用を組み込んだ東日本大震災を題材とする中学生向け探究学習プログラムを開発・実践することである.その結果,学習者は震災についての関心・理解が高まるとともに,探究活動で必要とされる汎用的能力を獲得した感覚があることが確認された.VR映像の体験は,提示できる情報に限りがある点や使用感で課題があるものの,学習者が現地の構造物の高度を実感したり,没入感を抱いたりすることができる点において有効で,震災や災害を題材とした探究学習の理解の一助となる可能性が示された.
著者
深谷 達史 三戸 大輔
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.213-224, 2021-09-10 (Released:2021-09-22)
参考文献数
39

教育界では,自らの興味・関心を追究するような探究の学習の重要性が強調される.本研究では,探究の学習の中でも,小学校で課されることの多い夏休みの自由研究を対象に,課題の設定を主に支援する特別授業を実施した.公立小学校6年生の1学級において,2時間の特別授業を行い,設定したテーマについて調べたいことを問いとして設定させ,問いについての仮説やそれrを検証する方法を考えさせた.夏休み終了後,リッカート式の項目による自己評価を求めたところ,授業を受けなかった対照群の児童に比べ,授業を受けた介入群の児童は包括的・観点別,いずれの自己評価も高い値を示した.また,探究スキルの意識化を表す,自由研究をうまく進めるコツをたずねた自由記述でも,授業での主な学習事項を挙げる児童が多かった.最後に,これらの成果を生んだ要因を考察するとともに,残された課題について考察した.
著者
佐々 裕美 向後 千春
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.185-194, 2021-09-10 (Released:2021-09-22)
参考文献数
22

技術者向けの企業内集合型研修において,過去10年間に4つの研修改善施策をシリーズで実施し,それらが授業の理解度に与えた効果を受講者による授業評価アンケートを用いて評価した.最初の施策を実施した以前から継続する講座19件のアンケート回答結果延べ約7,000名分について,各施策の前後における授業理解度の変化を分析した.その結果,一連の施策完了後に理解度は有意に上昇し,中程度の効果量が認められた.各研修改善施策の効果については,講座体系の整備,講座の重要ポイントの策定およびテスト結果の即時フィードバックが理解度向上に有意に寄与することが明らかになった.さらに,施策による理解度の変化には,授業形式により異なる傾向があることが示された.
著者
稲垣 忠 佐藤 靖泰
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.97-105, 2015-11-20 (Released:2015-12-16)
参考文献数
13
被引用文献数
14

家庭で事前に学習内容に関するビデオを視聴し,授業では学習事項の確認の後,発展的な問題に取り組む「反転授業」の試みが広まりつつある.本研究では,小学校6年算数科「比例と反比例」の単元において反転授業を実施した.家庭における児童の視聴ログ,作成されたノート,事前・事後テストの結果をもとに家庭学習の影響を分析した.その結果,以下の4点が明らかになった.1)反転授業を実施した結果,下位群の児童にも一定の知識の定着が確認された.2)家庭におけるビデオ視聴の際,上位群は視聴時間で下位群を上回り,小刻みに停止しながら視聴する割合が高い.下位群は十分な視聴ができていない.3)上位群は十分なノートを作成していた一方,下位群は解き方や自己評価に関する記述が少ない.4)下位群の児童の中で学習後に上位に改善された児童は,家庭・授業時間ともノートの記述内容が充実していた.
著者
村上 唯斗 野澤 博孝 高橋 純
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.45025, (Released:2021-08-03)
参考文献数
18

社会のDXに伴い情報活用能力の育成が求められているが,多くの学校では,能力の育成以前に,関連する指導を実施できているかに課題がある.そこで本研究では,教員が情報活用能力指導の実施状況を把握するための児童生徒を対象としたチェックリストを開発した.「情報活用能力の体系表例」を網羅するような項目の作成,児童を対象とした試行を経て「情報と情報技術の適切な活用」14項目,「問題解決・探究における情報活用」21項目,「情報モラル・情報セキュリティ」9項目からなるチェックリストを開発した.チェックリストを児童を対象に実施し,その結果の考察を担任教員に依頼した.その結果,チェックリストの結果は,教員のもつ知見と組み合わせて考察されることにより,情報活用能力指導の実施状況を把握するために有効であったことが示された.
著者
鈴木 智之
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.299-311, 2020-03-20 (Released:2020-03-30)
参考文献数
39

本研究の目的は,大学生が就職活動で企業に提出するエントリーシートに焦点を当て,エントリーシートに記載した就業希望文の基準関連妥当性を研究することにある.それによって,大学生の特性が企業に十分に理解され,適職に就けるようなエントリーシート選考法とはどうあるべきかを実証的に論じた.国内企業から実際の新卒採用選考試験で用いられたエントリーシートと採用面接データを取得し,予測的妥当性を分析した結果,エントリーシートに記載された19個の語について,採用面接成績別の語頻度平均値に有意差が見られた.パーソナリティ尺度との併存的妥当性を分析した結果,エントリーシートに含まれる一部の語の頻度とBig Five の各因子に有意な相関係数が見られた.さらに,有効性の評価を行った上でES の分析法を示した.
著者
林 一真 梅田 恭子
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.44109, (Released:2021-01-19)
参考文献数
20

本研究の目的は,1人1台のタブレット端末を活用した情報活用能力を育成する授業設計の留意点の提案である.この目標を達成するため,情報活用の場面を教育活動に応じて7つの区分に分け,公立小学校第6学年を対象として,1人1台のタブレット端末を活用した社会科の授業実践に取り組んだ.1学期は児童が自ら情報を収集し,整理,分析する「考える授業」,2学期は分析の結果を生かす「表現・伝達」をゴールに見据えた「探求的な学習」に取り組んだ.4回のスキル調査や評価テスト,5回のワークシートの内容や文字数の調査で,授業実践による児童の情報活用能力の変容を測り,分析を行った.
著者
澁川 幸加
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.44079, (Released:2020-11-19)
参考文献数
63

本稿の目的は,ブレンド型授業との比較・従来授業における予習との比較を通して,反転授業独自の特徴と定義を検討することである.検討の結果,反転授業は対面授業時の学習活動の質を向上したり新たな学習活動を取り入れたりするために授業外学習の時間の使い方を変えることに重きを置いているが,ブレンド型授業は対面学習と個別学習の組み合わせとテクノロジーの使用に重きを置いているという相違を明らかにした.また,従来授業における予習とは異なり,反転授業における事前学習には教師による学習内容の解説と丹念な設計という要素が含まれることを明らかにした.さらに反転授業は事前学習と対面授業の間に順序性,主と主の関係,不可分性があることが独自の特徴であると述べた.最後に,反転授業では事前学習と対面授業を連関させた授業設計をする必要性と,反転授業を契機に「対面」の価値を再考する議論の必要性を示した.
著者
高橋 薫 保坂 敏子 宇治橋 祐之 我妻 潤子
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.S42066, (Released:2018-10-04)
参考文献数
7

学習者の多様化が進む日本語教育では,多様な学習者の個人差を保管する一つの手法として,反転授業への関心が高まっている.しかし,反転授業では,デジタルコンテンツを自作することに対する技術的なハードルや,教材をLMS などにアップロードする際に生じる著作物利用の許諾申請など,著作権に関する心理的なハードルもあり,二の足を踏んでしまう人も多い.そこで,他者との対話を通して体験的に著作権を学ぶ,ワークショップ形式の著作権セミナーを開発した.セミナーの前後で質問紙調査を実施したところ,著作権に対する理解が進み,ワークショップ形式の参加型のセミナーが肯定的に評価されたことがわかった.
著者
岸 俊行 塚田 裕恵 野嶋 栄一郎
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.265-268, 2005
参考文献数
5
被引用文献数
13

講義におけるノートテイキング行動と事後テスト得点との関係について検討した.講義の情報をキーセンテンスごとに分類し, ノートテイキングされた項目とノートテイキングされた量について調べ, 授業後と2週間後に課したテストの得点との関係について分析した.その結果, 直後テスト, 2週間後のテストどちらにおいても, ノートテイキング量とテスト得点の間に強い相関が認められた.また, 項目ごとに検討した結果, 項目によってノートテイキングされる割合に差が有り, ノートテイキング有群は無群より有意に成績が良い傾向が見られた.その差は授業直後でより大きく, 時間の経過とともに解消していく傾向にあった.
著者
池尻 良平
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.375-386, 2011-03-30 (Released:2016-08-07)
参考文献数
24

近年,高等学校において歴史の因果関係を問題解決のアナロジーとして活用することの重要性が指摘されている一方で,その効果的な学習方法は検証されていない.そこで本研究では,(1)歴史の因果関係を参考に現代の社会的問題における因果関係を構築させるための段階的な学習方法を設計し,(2)世界史を学習した高校生向けに,歴史の因果関係を利用しながら現代の因果関係を構築していくことを競いあう対戦型カードゲーム教材をデザインし,(3)教材の効果を検証した.その結果,本教材は歴史的事象と同じ性質の現代的事象を連想する力と,現代的問題の因果関係を歴史的問題の因果関係を参考に分析する力の向上に効果があることが示された.
著者
桂 瑠以 松井 洋
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.41, no.Suppl., pp.013-016, 2018-03-01 (Released:2018-03-01)
参考文献数
13

本研究では,大学生を対象に2時点のパネル調査を行い,LINE 依存のメカニズム及びLINE 依存が精神的健康に及ぼす影響について検討を行った.その結果,1)LINE の使用量,LINE での自己演出が多いほどLINE 依存傾向が高まる一方,LINE での所属感が獲得されるほど依存傾向が低下すること,2)LINE 依存傾向が高いほど精神的健康が低下すること等が示された.