著者
森 玲奈
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.51-62, 2009
被引用文献数
2

本研究の目的は,ワークショップ実践家のデザインの方法が変容した契機に着眼し,実践家がデザインにおいて熟達する過程を明らかにすることである.本研究では,経験年数5年以上のワークショップ実践家19名に対し,半構造化インタビューを行った.分析の結果,実践家におけるデザインの方法の変容の契機は,(1)対象者の違いに応じたデザインの必要への気づき,(2)自己の立場の変化に応じたデザインの必要への気づき,(3)他者との協働デザインの中での気づき,(4)継続の必要性,(5)実践の内省による気づき,の5つに類型化することができた.さらに,ワークショップ実践家がデザインにおいて熟達化する過程では,(1)実践家としての原点,(2)葛藤状況とブレイクスルー,(3)他者との関係構築への積極性,(4)個人レベルの実践論の構築,という4つの要素が関わり合っていることがわかった.
著者
山田 政寛 橋 洋平 香川 文恵 岡部 幸祐
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.53-56, 2011
参考文献数
10
被引用文献数
1

本研究では,図書館内に設置された協調学習空間の,学習者の学習の情意面に対する効果について検討を行った.協調学習空間内で学習していた利用者に対し,質問紙で協調学習空間内にある什器類,図書館内の文献利用のしやすさ等が学習者にもたらす効果と満足度について回答を求めた.その結果,可動性の高い机や小型のホワイトボードの有効性と図書館内の文献利用がしやすいことなどが高い値を示した.続いて各項目間で相関分析を行ったところ,協調学習空間内に設置された什器類のもたらす効果,図書館内の文献利用のしやすさ,協調学習空間内における学習の有効性の間に弱から中程度の有意な正の相関が確認された.
著者
高橋 薫
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.73-76, 2006
参考文献数
6

本研究では作文過程での内省を促すツールとして作文ソフト「ひらめきライター」を使用し,同ソフトを使用して書いた意見文(実験群)と,手書きで原稿用紙に書いた意見文(統制群)とを比較した.その結果,実験群の作文は,意見文の課題の要請に応じた作文を書いていることが分かった.また,意見文の論証の型の分析から,実験群は読み手を考慮し,事実と意見を区別するなど,より高度な論証を行っていることが明らかになった.
著者
山田 政寛 北村 智
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.353-362, 2010
参考文献数
38
被引用文献数
1

教育学習研究において社会的存在感が着目されてきている.社会的存在感は学習意欲の向上や学習満足度の向上に対して有効であるとされているが,これらの知見は1つの社会的存在感の概念で説明されたものではない.社会的存在感の考え方が複数存在し,その違いによって研究知見も異なる.システムデザインや協調学習の評価のためには,「社会的存在感」に関する考え方や知見が整理されていることが望ましい.本稿では「社会的存在感」概念に関する考え方をSHORTらの考え方,GUNAWARDENA,TUらの考え方,GARRISONらの考え方に大別し,それぞれの考え方ごとにどのような研究が行なわれているのかを整理する.またその3つの考え方にもとづく測定法を整理することで「社会的存在感」概念が何の評価に関わるのかを議論する.
著者
望月 俊男 藤谷 哲 一色 裕里 中原 淳 山内 祐平 久松 慎一 加藤 浩
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.15-27, 2004
被引用文献数
12

本研究では,CSCLにおける協調学習に参加している学習者の発言データをもとに,学習者自身や教師がその学習コミュニティのコミュニケーション活動を評価するための方法を提案した.その方法とは,電子掲示板の議論内容と個々の学習者との関係を,コレスポンデンス分析を用いて可視化することである.この方法を用いて,実際に異文化間CSCL実践の一部のデータを分析し,可視化した議論データについて,日本人学習者・外国人学習者の約半数,および日本人教師1名にインタビューを行い,評価情報としての妥当性と適用可能性を検討した.その結果,可視化されたマップによって,コミュニティの話題の分担や,学習者一人一人の知識共同体への関わりの状態が示され,自分や他者の興味関心に対する内省や気づきを促進し,学習者間の議論を活性化する可能性が示された.また,教師にとっては教育プログラム期間中の討論の評価やモデレーションに有効である可能性が示された.
著者
村上 正行 丸谷 宜史 角所 考 東 正造 嶌田 聡 美濃 導彦
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.299-307, 2010
被引用文献数
6

本稿では,授業映像シーンへのコメントの付与及び授業映像の要約が可能なシステムSceneKnowledgeを開発し,本システム及び授業デザインの有効性を明らかにするために,2年間の授業に対して,質問紙調査を行った.その結果として,(1)授業映像がシーンに分割されていることによって,受講生が授業に関するコメントをを読み書きする際や授業映像の要約を作成する際に有用だった(2)受講生は,コメントを書くことを通して,授業内容を振り返り,自分の意見について考えることができた.また,他人のコメントを読んで,自分の考えと相対化させ,より深く考えることによって,授業に対する関心が高まった(3)授業映像の要約を作成することを通して,新しい観点を発見し,自分なりの考えをまとめることによってモチベーションを高めていた,の3点が分かり,高次な学習活動に結びついていると考えられる.
著者
梅田 恭子 内藤 祐美子 野崎 浩成 江島 徹郎
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.69-72, 2008
参考文献数
4
被引用文献数
3

先行研究によりWeb日記を書き続ける理由が自己表現よりもコミュニケーションにあることが明らかになっている.我々は読者を限定しない一般的なWeb日記とSNSのように読者が限定されるWeb日記によるコミュニケーションの形態には違いがあると仮説を立てた.まず本稿では,大学生を対象にSNSと先行研究のWeb日記の結果を比較し,大学生のSNS利用にはどのようなコミュニケーション形態があるのかを検討した.その結果,SNSでは実際の友人との交流を目的としたWeb日記によるコミュニケーションがあることが示唆された.
著者
森 晶子 清水 佑輔
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.S47076, (Released:2023-07-21)
参考文献数
7

2021年4月に,東京大学先端科学技術研究センターの中に発足した「先端教育アウトリーチラボ(AEO)」では,主に高校生以下を対象に,多様な教育実践に取り組んでいる.その教育実践の一つに,全国の高校等による個別の希望に応じ,先端研で取り組まれている学際的な研究内容に関して,当該研究が行われている場で,研究者及び大学院生等と生徒が対話し学びを深める「先端研リサーチツアー」がある.本研究では,このような体験によって,高校生がどのような学びを得ているのか,アンケート結果から分析した.その結果,相当数の生徒が,教科や科目の枠組を超え,教科横断型で文理融合的な視座を得たことが示唆された.
著者
田嶋 晶子 鈴木 克明 戸田 真志 合田 美子
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.S47118, (Released:2023-11-24)
参考文献数
7

本研究は,スイスの語学学校における旅行の日本語コースを,旅行の文脈を残しながら日本文化を中心に学ぶコースへと改善することを目的とした.コースはゴールベースシナリオ(GBS)理論に沿って設計・開発し,その妥当性と有用性を検証した.その結果,eラーニングの主教材であるストーリー型教材のみの文化学習では中程度の学習効果となり,ストーリー型教材と課題,授業への参加,振り返りを組み合わせたブレンド型学習では高度な学習効果があげられることが示唆された.また,ストーリー型教材による疑似体験は学習の魅力を向上させられることが示唆され,教材を続けることに対して積極的な態度を育てられたことも示唆された.
著者
上岡 伸 中藤 路子
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.47087, (Released:2024-01-09)
参考文献数
44

本研究の目的は,学校事務職員を対象に企画された研修プログラムによって,所属校の業務改善に向けた自己調整学習が促進されるかどうかを検証することである.研修プログラムには学習者中心のデザインが取り入れられ,研修のタスクは,事前学習・業務改善の取組・成果報告会で構成された.そして4か月の研修期間中,それぞれ異なる学校に勤務する受講者たちは,6・7名の研修チームとなって互いにメンタリングを行いながらタスクを遂行した.5時点の縦断的調査から有効な26名分の回答が得られ,分散分析の結果,研修期間を通じて職場における自己調整学習は大きく促進されていた.ただし,研修終了後2か月経過時点での有意な逆戻りも見られ,研修前時点と比較すると差の効果量は中程度であった.
著者
根本 淳子 竹岡 篤永 高橋 暁子 市川 尚 鈴木 克明
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.427-439, 2023-12-20 (Released:2023-12-16)
参考文献数
20

インストラクショナルデザイン(ID)分野では国際的には状況に応じて新しいものを生み出すデザインの重要性が指摘されているが,国内ではこの高次のスキル向上を支援するプログラムは存在しない.本研究では状況に応じたデザイン力に着目し,大学授業の改善支援を担う上級インストラクショナルデザイナー(上級IDer)向けに,他者(クライアント教員)への提案に必要な視点「寄り添う」を養成する講座を開発した.関連プログラムの位置づけを整理し,授業改善提案に先立ちクライアント教員の状況やニーズを聞き取ることができる支援ツール「8つの質問」を開発した.試行の結果,本講座参加者は,クライアント教員の授業への思いに寄り添う授業改善を提案ができていた.クライアント教員に寄り添う視点を取り入れるための仕掛けづくりができた.今後はクライアント教員の授業改善の度合いから「寄り添う」ことができたかどうかを確認していく予定である.
著者
多々納 春樹 鎌倉 正和 榊原 範久
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.481-492, 2023-12-20 (Released:2023-12-16)
参考文献数
17

本研究は,小学校高学年児童を対象に,1人1台端末を活用し,学習者の意見文と意見文産出方略(以下,方略)の相互参照を通して,学習者の意見文と意見文に対する意識の変容について検証した.ルーブリック評価や質問紙の結果から,意見文と方略を相互参照することで,意見文の評価得点が向上すること,文章の構成を考えて書く,他の視点も書く,読み手にどう伝わるか気をつけて書く,という点を意識していたことが明らかとなった.その後に,相互参照なく意見文を作成しても,低下がみられなかったことから,相互参照により他の学習者から方略を獲得し,使用すること,相互参照がない場合でも獲得した方略を継続的に使用することが示唆された.
著者
小杉 大輔
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.41, no.Suppl., pp.129-132, 2018-03-01 (Released:2018-03-01)
参考文献数
11
被引用文献数
1

本研究は,大学生がインターネット上で現実の自己に近い自己を表出するのか,あるいは,より理想に近い自己を表出するのかについて,自己呈示の観点から明らかにすることを目的とした.大学1年生に対し,Big Five 尺度を用いて,現実の自己・理想の自己・インターネット上の自己のパーソナリティ特性についての評価を求め,Big Five の5因子の特性が,これら3つの自己においてどのように変わるのかについて分析を行った.その結果,調査対象は,インターネット上において,開放性については現実の自己に近い自己を,その他の4因子では現実の自己よりも理想に近い自己を表出する可能性が示唆された.
著者
三井 一希 藤森 啓太 戸田 真志
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.S47037, (Released:2023-11-24)
参考文献数
7

小学生を対象に,AI(Artificial Intelligence)による画像認識機能の体験を組み込んだ水産業に関する授業を開発し,授業実践を通じた評価を行った.質問紙やインタビュー調査の結果から,開発した授業は児童や教師に概ね好意的に受け止められること,児童が水産業への興味や関心を高めたりすることに寄与する可能性が示された.また,自分にとって身近な問題として児童が学習に取り組める可能性が示唆された.
著者
城戸 楓 池田 めぐみ
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.579-587, 2022-09-10 (Released:2022-09-15)
参考文献数
31
被引用文献数
1

昨今,これまで多くの研究分野において最も強力なツールの一つとして研究のエヴィデンスを支えてきた帰無仮説有意性検定に疑問が投げかけられている.本稿では,こうした帰無仮説有意性検定の際に信頼性を高めるために報告が求められる効果量を取り上げ,『日本教育工学会論文誌』において過去10年間でどの程度効果量が論文に記載されていたのかについて調査を行った.この結果,『日本教育工学会論文誌』では,2016年ごろより効果量について論文内で掲示される比率が増加していたが,海外での掲載比率ほど高まってはおらず,また近年では少し下落している傾向が見られた.また,教育システム論文では特に効果量が記載されない比率が高かったことが分かった.
著者
福市 彩乃 山本 佑実 菅村 玄二
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.369-377, 2019-03-20 (Released:2019-03-25)
参考文献数
50
被引用文献数
2

正座が,通常の椅座位やあぐらと比べて,授業場面でどのような影響を与えるか検討した.研究1では,カウンターバランスしたうえで36名が同じ椅子に3種類の姿勢で座り,それぞれ5分ずつ論文を読んだり講義を聞いたりした.その結果,あぐら条件や椅坐位条件よりも正座条件で参加者の眠気が低かった(ps < .02).また,正座条件では肉体的疲労が高かった(p = .013)が,精神的疲労は他条件との差が見られなかった.研究2では,実際の大学の授業でそれぞれ同一の椅子に座った83名の参加者を正座群と椅坐位群にランダムに割り付けた.その結果,正座群で,正座中及び正座後10分後の両時点で正座前よりも眠気が低く(ps < .05),足の痛みが高かった(ps< .002).一方で,姿勢間には肉体的疲労度,精神的疲労度,ストループ課題及び文字流暢性課題の有意差はなかった.正座は足の痛みをもたらすものの,痛みでは説明されない眠気緩和効果をもたらした.
著者
手塚 和佳奈 佐藤 和紀 堀田 龍也 谷塚 光典
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.S46046, (Released:2022-10-27)
参考文献数
13

本研究は,写真を読み取る力の育成を目指した小学校第6学年児童向けの教材に繰り返し取り組む学習指導の効果を検証した.この学習では,①児童が写真の読み取りを行った結果を文章でまとめ,②その内容を児童同士が話し合い,③最後に教師が1名の児童の読み取りの結果を学級に共有した.写真を読み取る力の育成を目指した小学校第6学年児童向けの教材に繰り返し取り組む学習指導を全14回実施した結果,10回目から写真を読み取る力が向上した.
著者
藤崎 聖也
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.47034, (Released:2023-07-27)
参考文献数
26

本研究では,高等学校公民科の必修科目である「公共」と中学校社会科公民的分野の検定教科書の記述から,「メディア・リテラシー」と「情報リテラシー」を比較した.その結果,公共では,両者を並列したり,同じような表現で異なるリテラシーを言い表したりするなど,公民的分野に比して両者の差異がより曖昧であることがうかがえた.また,「批判」「判断」などがメディア・リテラシーにおいて重要であるのは公共と公民的分野で共通しているが,公共ではより具体的かつ主体的な行動が求められること,電子的なメディアやそれらがもたらす影響に一層の注意を向けようとしていることが示唆されている.加えて,「世論」を形成する「国民」としての意識を求める社会科・公民科ならではの文脈も念頭に置く必要がある.
著者
岩間 徳兼
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.237-248, 2023-06-20 (Released:2023-07-14)
参考文献数
18

近年,様々な学習場面において相互評価が用いられるようになっている.しかしながら,評価者特性や評価者における評価負担などの問題があり,教育評価のための利用はあまり行われていないのが実情である.そこで本研究では,厳しさや一貫性といった評価者特性を組み込んだ項目反応モデルの利用を前提に,モデル母数の推定精度の点から評価数をどの程度減らせるかを実践に即したシミュレーションから確認した.また,その結果に基づいて20名規模の大学の授業における教育実践として,評価数を計画的に減らして相互評価を行わせ,そのデータの分析を通じて教育評価のための情報を得ることを試みた.実データの分析から,評価数を抑えつつも,課題の特性,評価者の特性,能力について,教育改善に資するような情報が得られることが示された.
著者
高橋 暁子 根本 淳子 竹岡 篤永 市川 尚 鈴木 克明
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.249-258, 2023-06-20 (Released:2023-07-14)
参考文献数
17

本研究では,Instructional Design(ID)の専門家の養成を目指した「大学版上級ID 専門家養成講座」のワークショップを題材に,修了者の継続的な参加が修了者自身にどのような意義があるのかを明らかにしようとした.参加者アンケートから,前年修了者がファシリテータとしてワークショップに参加したことで,参加者は有用なアドバイスを得られたと感じていることが示唆された.また,前年修了者に対するフォーカスグループインタビューでは,ワークショップへの継続参加がリフレクションの機会になっていることなどが示唆された.一方で,継続参加の効果についてさらなる分析が必要であることが確認された.