著者
前田 潤治
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.51, pp.229-230, 1995-09-20

動画像を扱うアプリケーションでは、その膨大な情報の圧縮技術が必須となる。動画像情報圧縮技術は大きくは通信系と蓄積系に分類されるが、本稿ではリアルタイム性を要求される通信系に焦点を当てる。現在、動画像圧縮技術はMPEG-1,2、H.261など、内容が何であろうと画面を正方形のブロックに機械的に分割し、その正方形ごとに個別に処理を加えるブロックベースのものが全盛である。(これらの標準では、処理の内容によって対象となる正方形は、厳密には「ブロック」「マクロブロック」などと呼び方が変わるが、本稿ではこれらをまとめて単に「ブロック」と呼ぶことにする。)これらの手法を特徴づける要素技術として二次元離散的コサイン変換(DCT)がある。DCTは注目しているブロック、または注目しているブロックと前のフレーム中にある参照ブロックとの差分を符号化する技術であるが、計算時間、圧縮率、画質のいずれの観点からも、DCTを行なわずに済むものならその方が理論的には望ましい。具体的には隣接フレーム間のブロック同士の類似度が高ければ、時間的に前のブロックの情報のみを使うことによってDCTを省くことができる。しかし現実には、避け得ない雑音のために隣接フレーム間の類似度が不当に低く評価されてしまい、不必要なDCTが行なわれてしまう。そこで本稿では、雑音の悪影響を受けにくいフレーム間類似度判定法を提案する。
著者
久松 正和 森賀 邦広 山本 太郎
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.55, pp.207-208, 1997-09-24

近年のPCの急激なパフォーマンスの向上により、ユーザがクライアントとして用いてきたマシンをサーバーとしても利用できるようになっている。我々は、このようなホモジニアスな環境を想定して、エンドユーザーがホームページのように手軽に立ちあげられる仮想空間を作成し、他ユーザーの仮想空間と相互に行き来できる共同仮想空間の実現を、目指している。エンドユーザが独自に作成する仮想空間は、膨大なコンテンツを擁するわけではないため、他の仮想空間と連結可能になることは大きな意味を持つ。現状実現されている仮想空間でも、URLでVRMLファイルを指定し、次々に空間を提示できる。しかし、アバタやオブジェクトを持って他空間との間を行き来する事はできない。また、大規模サーバーによるマッピングによって、仮想空間の連結をサポートするものもあるが、独自に作成されたものを任意に連結するには至らない。そのため、ユーザーが空間をまたがって協調作業する環境には不十分であると考えられる。
著者
井佐原 均 池田 尚志 石崎 俊
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.38, pp.279-280, 1989-03-15

日本語の文は、英語などに比べて、修飾句の順序に関する構文的制約が少ない。従って、日本語文からの格関係の抽出においては、修飾句に含まれる助詞の情報や文脈情報などさまざまな情報を用いて、格関係を決定していくことになる。そのような情報のなかで、助詞の情報(場合によっては、助詞が用いられていないという情報)は最も取扱いやすい情報であるが、助詞の情報とその係る用言の性質とだけでは、この修飾句が用言に対してどのような情報を担っているかを判定するには十分ではない。 本稿では、まず助詞「から」が持つ情報を分類する。次に各分類の判定基準について述べる。なお、データとしては、1985年11月2日から1988年3月8日までの朝日新聞に現われた経済活動に関する459の新間記事に含まれていた416の「から」を用いている。
著者
渡部翔 金子正秀
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, no.1, pp.241-243, 2011-03-02

本研究は、自律移動ロボットにおける聴覚センサ(マイクロホン)を用いた<br />オクルージョン環境下での人物認識を目的とする。<br />物陰など視野外にいる人物に対しては、カメラやLRF等の視覚センサでは<br />情報の取得ができないが、音であれば反射や回折などによって情報を取得<br />することができる。<br />本研究では聴覚情報を用いてオクルージョン環境下での人物認識を行い、<br />曲がり角の先やロボット自身の背後など死角になっている部分の環境を予想する。<br />これにより、自律移動ロボットの安全性および利便性の向上に資する。
著者
河津 昌子 高橋 順一 五味 弘 長坂 篤
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.46, pp.9-10, 1993-03-01

我々はTachyon Common Lispを、Common Lisp第2版準処から、ANSI仕様へ対応させる作業を行なった。Common Lispに採用されているオブジェクト指向機能CLOS(Common Lisp Object System)は、他のオブジェクト指向言語と比較して多重メソッド選択、多重継承、動的クラス変更など多くの機能を持っている。そのため複雑な対応できるプログラミング環境が必要になってきている。そこで、CLOSのプログラミング開発をサポートするツールを作成した。こられにより、CLOS用いたプログラミングの開発効率が向上した。本稿では、開発ツールの中で、オブジェクトレーサ、キャッシュコントローラを中心に実現方法及びその効果について述べる。
著者
友納 正裕
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.38, pp.434-435, 1989-03-15

計画作成においては、動作の順序関係や[Allen83]の時間述語で記述されるような定性的な時間関係だけでなく、「何時までに・・・をして」というような具体的な時刻や時間を考慮した定量的な時間関係がしばしば問題になる。たとえば、次のような例題を考えてみる。「東京から大阪まで出かける。午後1時まで東京で用事があり、午後3時までに大阪に到着したい。」ここで、交通機関として新幹線、飛行機、自動車などが考えられる。移動時間は、新幹線で3時間、飛行機で1時間とする。自動車は速度を調節でき、移動時間が可変のため、最高速度を200Km/時として与えておく。東京一大阪間の距離は500Kmとする。このような条件においては、飛行機以外の交通機関では午後3時に大阪に到着できないので、飛行機を使用すべきであり、また、遅くとも午後2時には東京を出発すべきことがわかる。このようなことは[A11en83]にあるような定性的な時間関係だけから導くことはできない。このような定量的な情報は、状況の理解にも有用である。この例題では、飛行機を使ったことが推測できるし、仮に、新幹線を使って計画通りに行なったという発言があれば、それが虚偽であることがわかる。本稿では、上記のような定量的な値を考慮した時間推論を支援するシステムについて論ずる。
著者
神岡 太郎 土屋 孝文 安西 祐一郎
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.38, pp.218-219, 1989-03-15

文を解釈する側からすると、解釈の対象となる文が曖昧性を持つということは、それが非文であるということと同じぐらい迷惑なことである。最近では計算機による文生成の研究が盛んに行われるようになってきたにもかかわらず、このような曖昧性のない文をいかにして生成するかという問題が見落とされてきたように思われる。そこで我々は係り受け関係、特に述部とそれが支配する格との間の係り受け関係が一意に決まらないために、意味が曖昧になるような文を取り上げ、そのような文を生成しない文生成機構の構築を試みた。例えば「神岡は、昨日、土屋から、譲渡された、株を、売却した」という文では「昨日」が「譲渡された」に係るのか「売却した」に係るのかが一意に同定できないので曖昧な文である。本論文では、次の2つの機構を文生成過程に組み込むことによって曖昧でない文を生成する方法について述べる。(1)生成文の係り受け関係と意図された係り受け関係を対応させることにより曖昧性のチェックを行なう。(2)曖昧性がある場合はそれを除去するように語句の出現順位と意味格マーカを操作することによって曖昧な文を生成しないようにする。これらの方法の特徴は、これまでの文生成が一方的に文を生成する側の立場だけから考えられてきたのに対して生成文を解釈する側の立場を考慮した点、すなわち、文生成過程で生成文を生成する側が一度解釈し直しているということである。以下、本論文で示される生成方法は、Sun-3上のQuintus-Prologによってインプリメントされている。
著者
佐野 直美 槙 健志 森 辰則 中川 裕志
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.44, pp.213-214, 1992-02-24

比喩表現は本質的に文脈依存が強い現象であるので、談話において比喩表現を的確に理解するには、その表現だけから解釈を引き出すのでは理解が不十分だったり、かえって理解を因難にしてしまう場合がある。このため、テキストを全体として捉え、文脈を考慮に入れた上で比喩解釈を行う必要がある。談話に一貫性を持たせる、すなわち結束性を充足させるように比喩を理解することは談話の正しい解釈を得るために必要であるだけでなく、比喩を正確に、また容易に理解する上でも不可欠である。本稿では、結束性を充足する解釈を得る手段の一つとしての比喩を考えるが、その重要な手がかりを与えるものとして、言語的制約の解析を次に9月11日の読売新聞のコラムからの抜粋を用いて行う。「ブロンディ」から「沈黙の艦隊」に至る40数年の問に、日本人の対米観が大きく揺れ動いたことは間違いない。なぜ、こうした振幅が起こるのだろうか。アメリカ史の猿谷要・東京女子大教授は「60年安保など、"夫婦げんか"はあったけれど、終戦から73年のオイルショックのころまでは、日米の蜜月(みつげつ)時代だった」と見る。これらの制転を充足する比喩理解についてはにおいて議論する。
著者
小町 祐史 溝端 恵実
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.72, pp.617-618, 2010-03-08
参考文献数
2
被引用文献数
1
著者
一色 敬 神谷 俊之 呂 山 宮井 均
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.48, pp.341-342, 1994-03-07

近年、図書館における情報通信基盤の整備や、電子化媒体に記録された出版作品を読む電子ブックに見られるようなメディアの電子化の伸展に伴い、一次情報を電子化して遠隔地から検索・閲覧可能な「電子図書館」が注目されている。筆者らは、電子図書館の将来像を図1のようなB-ISDN利用を指向した次世代図書館システムと捉え、図書検索を含んだ利用者側I/Fに着目し検討を行った。その結果、筆者らは、仮想表示書架を探索しながら図書検索が可能な開架式I/Fと、その案内役である「CG司書」を生成する擬人化I/Fの二種類のビジュアルI/Fを組み込んだ電子図書館システム「Virtual Library」を提案する。本稿では、「Virtual Library」のシステム概念およびその概要について報告する。[figure]
著者
金山 知俊 増山 繁
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.52, pp.355-356, 1996-03-06

近年のコンピュータグラフィック(以下CG)技術の発展はめざましいものがあり,映画やコマーシャルで見かける映像の中には一見してCGとは分からないようなものも増えてきた.また,建築設計やドライビングシミュレータなどで3次元CGを目にすることも多くなってきた.自然物のCGシミュレーションをこれらの分野へ応用する場合,形状のみならず,動きの再現も重要である.CGによる樹木の画像生成の研究は様々な研究者によってなされてきたが,それらの多くは樹形を生成する生長モデルや,テクスチャの生成に関するものが大部分であり,風などの外力による樹木の揺れの表現については数件の報告が見られるのみである.本研究では,樹木を質量を持った節点とそれらの隣接関係で近似する方法を改良し,節点の動きのシミュレーションを行なうことで樹木の揺れのアニメーションを実現している.
著者
清水 省悟 柴田 義孝
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.50, pp.203-204, 1995-03-15

キャスターがニュースを説明する声や身振りに合わせて、次々と画像が表示されるといった電子ニュースサービスでは、オーディオ・ビデオといった時間的制約を受けるメディアデータ(連続メディア)のみならず、静止画・テキスト・グラフィックといった時間的属性を持たないメディア(バーストメディア)をも含んだ複数のメディアが、時間の経過と共に変化するといったシナリオの提供を必要とする。そこで、オーディオ・ビデオ・イメージ・テキスト・グラフィックスより構成されるマルチメディア情報をネットワーク上より検索し、ユーザに提供するようなサービスを実現させるため、転送特性の異なる複数のメディアを、シナリオに基づき時間的に統合して提供するための同期転送プロトコルの設計を行なった。
著者
高柳 浩 山ノ井 高洋
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.44, pp.191-192, 1992-02-24

近年,普通乗用車においてはフェンダーミラーからドアミラーへの移行が完了しつつある。このことが視界確保にどのように影響するか,初級ドライバーとベテランドライバーの眼球運動の相違に関して調べた。眼球運作解析システムを用いドアミラー車とフェンダーミラー車のそれぞれについて,ベテランドライバーと初級ドライバーの直線走行並びに左折時の眼球運動を計測し,その解析及び比較を行った。その結果,ベテランドライバーにはドアミラー車およびフェンダーミラー車の双方に大きな相違は見られなかったのに対して,初級ドライバーではフェンダーミラー車の場合は水平方向が主であり,ドアミラー車の場合には垂直方向が主であることが明らかとなった。
著者
星 仰 小西 一也
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.50, pp.311-312, 1995-03-15

カラー合成画像はnチャンネルから3種のチャンネルを選定して、おのおのに3原色の赤、緑、青を対応させて合成する。この3チャンネルにさらに透明度を表すアルファチャンネルを合成することを新たに考える。アルファチャンネルによって画像の輝度を上下させる効果が得られる。カラー合成画像から画像データを切り出すとき、従来白線の矩形で切り出す領域を指定してきたが、領域の境界が白線に隠れるために正確に切り出したい領域の周辺に不安がつきまとった。とくに、リモートセンシングの分野ではこれがエリア抽出に問題となる。そこで、本研究では切り出す領域だけ他の部分より透明度の高いアルファチャンネルを合成する手法を実験的に試みたので、その効果について考察する。
著者
廣田祐馬 藤井雅弘 渡辺裕
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, no.1, pp.205-207, 2013-03-06

近年、位置情報を用いるサービスへの需要が増加している。現在、携帯端末での現在地測位を行う方法としてGPSが広く普及しているが、屋内や都市部で精度が低下するという問題点がある。この問題を解決するための方法の一つとして慣性航法による移動補正が挙げられる。慣性航法では、センサー系から得られる端末の移動に伴う加速度や角速度を積算することで、端末単体で相対移動量を推定することが可能である。しかしながら、センサー系で生じた誤差の累積による相対移動量の推定誤差が問題となる。本稿では、スマートフォンに搭載されたセンサー情報を用いて慣性航法を実現するために、この推定誤差に対抗する手法を提案する。提案手法を適用することで精度の高い相対移動推定が可能であることを示す。
著者
大日方 聡 渡辺 一弘 高野 裕美 中挟 知延子 芝野 耕司
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.46, pp.199-200, 1993-03-01

誰もが簡単な操作方法で、使いやすく、検索し易い図書館システムはどのようにしたら出来るのであろうか?現在のほとんどの図書館データベースは、使いやすくなってきているが、それでも、図書カードの機能拡張版でしかない。情報検索の本質は、事務用データベースと違い検索要求が曖昧なところにある。利用者の満足は、この曖昧なものの検索の結果、当てはまるものがあってはじめて得られるものである。今までの図書館ではこうした暖昧な要求に、開架式の書架を増やすことで答えてきた。この点に注目し、全開架型図書館を目指したのがこのシステムである。図書館の形態からいままで実現が困難であったこの全開架型図書館をマルチメディア技術の利用によって図書館内の環境を仮想空間で表現し、仮想図書館内を探訪することによって検索を可能とした。このシステムを活用することによって、図書館内のすべての蔵書を最大限活用するため、開架、閉架の区別なく検索をおこなうことができる。バーチャルライブラリの特徴として検索の際に対象とできる項目の多さを挙げることが出来る。図書館の本を探す場合に人々はどのように本を探すのであろうか。書籍の名前が分かっていない限り、項目別の棚にきちんと並んだ本の中から段々と絞りこんで一冊を選ぶのであるが、このシステムには、目から得られる,情報を考慮に入れ、利用者がまわりの図書からの関連情報をも得ることが出来るからである。あわせて、クライアントサーバ型データベースを導入することも検討する。
著者
山口 剛 山田 義法 佐野 常世
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.47, pp.385-386, 1993-09-27

電力会社では、電力供給信頼度の向上を目指した設備形成を進めているが、万一事故が発生した場合にも、事故区間を最小に抑えるとともに、需要家からの間合せに対しても迅速に対応することが求められている。現在、事故が発生した場合、停電している地域・需要家、事故原因、復旧予定時間などの情報は、供給システムや事務処理システム等の各種システムに分散しているため、需要家からの問合せに迅速に対応することが難しい状況にある。既に当社では、住宅地図と需要家情報を連係した地図システムを開発しているが、このシステム上に架空配電線の設備情報・系統情報・開閉器状態などの情報を取り込み、停電地域の推論を行うことで、タイムリーな情報把握・地図上への停電地域表示ができるマッピングシステムを検討している。架空配電系統は、開閉器を介して編目状に接続しており、供給障害を最小にするよう開閉器を操作する。そのため、開閉器状態が頻繁に変化するので、その間に停電区間を高速に特定しなけれぱならない。そこで、今回、電気的に同一条件となる配電線区間を「区間クラス」とし、それらを連結する開閉器の種類や状態により推論ができる「区間管理法」による「停電管理システム」を検討したので、その概念モデルについて報告する。
著者
福島 茂之 廣瀬 勝一 池田 克夫
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.55, pp.120-121, 1997-09-24

今日, 情報ネットワークの普及・拡大にともなって, 遠隔会議のような電子会議が行われるようになってきている. 遠隔会議では, 参加者が直接顔を合わせないため, 匿名で会議を行うごとが可能となる. 参加者が匿名で会議を行うことの利点は, 地位や人間関係にとらわれることなく, 自由に討論できることである. 一方, 匿名であることを悪用して, 会議の進行を妨げる発言をするなどの不正の行われる可能性があるという欠点もある. 本研究では, 暗号技術を利用して, 安全な匿名会議を可能とするシステムを提来する.