著者
藤原 進 福村 好美 武藤 信夫 山本 康二
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.45, pp.149-150, 1992-09-28

電話、FAX、パソコン通信等電子通信の普及・発展に伴い、通信に関する各種情報を体系的に管理、運用できるシステムの必要性が高まっている。ディレクトリシステムは、通信に関わる情報を共通の構成法、アクセス法で提供することを目的としたシステムであり、そのサービスとプロトコルの国際標準が、X.500シリーズとして1988年にCCITTにより勧告され、国内外で研究開発が進められている。NTTの提供する104番号案内サービスも今後の通信の国際化、通信網の多様化・複雑化に伴い、X.500ディレクトリシステムの適用が期待されており、当研究所ではディレクトリシステムの実装技術や運用技術の研究を進めている。本稿では、ディレクトリ実現に必要な情報を、名前の階層構造に関する情報と属性情報に分類し、それらの管理方式について検討した。
著者
大西 淳
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.45, pp.379-380, 1992-09-28

要求定義において、日本語によるテキストだけでなく、図を併用することによって効率良く要求を仕様化できる。構造化分析技法のDFDやSADTなど仕様化のための図的表現やその支援ツールは数多く提案され開発されている。特にDFDの処理系は上流CASEツールとして各社から製品が出されている。DFDはデータの流れを名前つきの矢印で、機能を円で、ファイルを直線で、データの源泉と吸収を四角形で表し、記号の種類が少ないので覚えやすい、しかしながら、能大式の業務フロー図のように30以上の多種の記号を使う図に慣れた人にとってはDFDは単純化しすぎて使いにくく、記号の種類が少ないので名前や説明を詳細に文章などで記述しなければならない。また、これらの手法では用いられる図形の形状とその意味があらかじめ定まっており、要求定義者のイメージをそのまま図に表することは出来ない。本稿では、要求に現れる実体を任意の形状のアイコンで表現し、実体間の関連を矢印と動作を表すアイコンによって定め、それらをエディタ上で配置していくことによって、要求定義者のイメージを反映させながら要求を定義する手法を提案する。
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.51, pp.43-44, 1995-09-20

ネットワーク上で提供されるサービスを利用する場合、通信の途絶や複製の存在など、分散システムに特有の事情について考慮する必要がある。しかし、この種のプログラミングはしばしば複雑になり、適切な抽象が提供されることが望ましい。OZ++は、分散オブジェクト指向プログラミング言語であるOZ++言語で記述されたプログラムをネットワーク上で実行できる環境である。OZ++のオブジェクトであるトレーディングディレクトリ(以下TDと呼ぶ)は、OZ++上のサービスを名前で検索するサービスを提供する。すなわち、TDの利用の仕組みとして、OZ++上でのサービスの利用のフレームワークが構築されている。本稿では、このTDの設計について報告する。
著者
江川 宏一 直井 聡
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.45, pp.173-174, 1992-09-28

近年の監視システムは、アトリウム空間等を対象とし、侵入者・防災等を目的とした、インテリジェント監視システムとしてのニーズが高まっている。これらのニーズを分析すると、以下の条件が必要になる。(1)監視対象空間が広域化するため、数多くのセンサが必要である。(2)可視現象以外に、温度変化等の情報抽出のため、多種のセンサが必要である。(3)単に異常を発見するのではなく、前兆となる現象を把握するため、様々な条件に対応できる処理モジュールが必要である。これらの条件を満足した監視システムを構築する場合、単に各センサごとに、複数の処理装置を割り当てただけでは、巨大なシステムとなってしまう。本稿では、上記で述べたインテリジェント監視システム構築上の問題を踏まえ、筆者らが開発した小型で高機能な高速画像処理プロセッサ『コロポックル』を有効に活用した監視システムの構築方法について述べる。
著者
望月 谷州子 加藤 宣弘 関戸 一紀
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.45, pp.191-192, 1992-09-28

従来、ビジネス分野におけるデータの管理では、ネットワークデータベース(NDB)が多く使用されてきた。NDBはデータ構造が、そのまま物理的状態に対応するところが多く、データ操作が手続き的であり、ユーザにとって使いにくい面が多い。それに対して、リレーショナルデータベース(RDB)は、データの独立性、モデルのわかりやすさ、データ操作の非手続き性などで、NDBに勝っているが、これまで、性能面でNDBに及ばないとされてきた。しかし、近年、RDBの性能が向上し、ビジネス分野でも用途を限定して利用する傾向にある。そのため、既にNDBで構築されたDBをRDBに移植する検討も行なわれている。NDBからRDBへのスキーマ変換は、移植後のアプリケーションの生産性、メンテナンスの容易性、移植後の拡張性などに優れた方式を採用する必要がある。一方、移植による性能低下にも十分配慮する必要がある。本稿では、2つのスキーマ変換方式による、変換後のスキーマ構造と実アプリケーションによる性能評価から、より移植に適したスキーマ変換方式を示す。
著者
日景 智文 邊見 均 松本 信義 下原 勝憲
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.55, pp.437-438, 1997-09-24

我々はハードウェア記述言語(HDL)を用いたハードウェア進化システムAdAM (Adaptive Architecture Methodology)を提案してきた。[1][2][3]ではハードウェアの適応度評価をHDLレベルでの動作シミュレータにより行っていた。本稿てはFPGA (Field Programmable Gate Array)を用いてハードウェアの適応度評価を行うハードウェア進化システムを構築し, その動作確認を行った結果について報告する。AdAMシステムではSFLというLSI設計システムPARTHENONのHDLを用いている。このSFLの文法情報を染色体として用いることによりSFLプログラムの自動生成を可能とし, HDLベースのハードウェア進化システムの構築が可能となった。HDLベースのハードウェア進化システムと異なるアプローチとしては, 直接FPGAのコンフィグレーションビット列を染色体として用い, FPGAの基本ユニットの機能, 接続を直接変更する手法がある。[5]ではその点を生かし, ディジタル回路の制約を越えて回路のアナログ的挙動を進化させるという興味深い実験を行っている。反面, この手法では変化の粒度が小さすぎて複雑で大規模な回路を構築するのは困難であるように思われる。一方, HDLベースのAdAMシステムは大規模な回路を進化させることが出来る。
著者
神場 知成 宮井 均
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.37, pp.1308-1309, 1988-09-12

情報処理機器のマンマシンインタフェースにとって,画面のデザインはますます重要な問題となりつつある。この原因は,以下に示すように要約することができる。(1)画面対話システムの増加 各種アプリケーションソフトウェア,ワープロ,ニューメディア機器など多くのシステムに加えて,最近では,従来画面表示をしていなかった機器(電話,ポケットベル,AV機器など)も表示装置を備え,文字やデータを表示するようになっている.(2)画面に表示される情報が,数字,文字など単純なものだけでなく,図表,イメージなどを含むものへと複雑化している。本稿では,画面デザインの設計/評価を支援するための方法を提案する。
著者
緒方 正暢 河内谷 清久仁 西尾 信彦 徳田 英幸
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.49, pp.345-346, 1994-09-20

モービルコンピューティングは,現在最も注目されている技術の1つである.ノート型パソコンやPDAのような携帯型計算機は,従来のデスクトップ型計算機に匹敵する計算能力を備えながらも小型化が進んでおり,携帯可能なマルチメディア端末を実現可能にしている.しかし,分散マルチメディア処理基盤ソフトウェアの研究の多くは,動的に変化しない計算機資源と固定されたネットワーク資源を前提にしている.従って,その成果は携帯型計算機へはそのまま適用できない.我々は,携帯型計算機の特徴を生かした分散マルチメディア処理実現のための新たなソフトウェアプラットフォームの研究開発を行なっている.本稿では,携帯型計算機を使った分散マルチメディア処理における技術的な課題を指摘し,その解決方法について考察する.また,現在開発中の評価用プロトタイプシステムについて述べる.
著者
村上 仁- 嵯峨山 茂樹
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.45, pp.161-162, 1992-09-28
被引用文献数
1

形態素解析は、従来から対話、翻訳、校正などの目的のために、自然言語処理研究の一つの分野として研究が続けられている。これらの方式の多くは、予め単語を構文的意味的なカテゴリに分類してカテゴリー間の接続ルールや係受けルールを記述しておく必要がある。しかし、実際の日本語では単語の境界が明確でないことや単語の多品詞性や曖昧な係受けなどの問題があるため、精密なルールの作成は容易でない。そこで、本論文では隠れマルコフモデル(HMM)を用いた日本語の形態素解析方法を提案する。HMMにはBaum-Welchの学習アルゴリズムが知られているためテキストデータからモデルのパラメータが学習できる。そのため、文法としてのルールも品詞ラベルが振られたテキストデータが与えられなくても形態素解析ができる可能性がある。最後にこのモデルに基づいて実験を行なった。ここで用いたモデルは、かなり単純なモデルであるが、実験の結果は、単純なモデルとしては良好な解析結果を得た。
著者
青柳 龍也
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.33, pp.1515-1516, 1986-10-01

採譜ツールFSIは、音楽情報の内、特に音程、音長の情報を入力するためのツールである。FSIの目標は、人間が採譜できる範囲の演奏を採講することである。人間の演奏には、テンポのゆれ、音長の不正確さ、中断、弾き直し等の雑音が含まれる。これらの雑音を含んだ演奏を入力し、人間が4分音符と認識できる音符は4分音符として採譜し、さらには、人間か1拍目を認識できる時には、拍を認識することがFSIの目標である。FSIの研究は始まったばかりである。試作したプログラムは予備実験の域を出ていない。このため、本稿では、FSIの位置付けや研究の方向について述べる。
著者
八木 正紀 平栗 覚 伊賀 聡一郎 安村 通晃
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.50, pp.461-462, 1995-03-15

近年、音声認識・音声合成を利用したエージェントベースの音声対話システムの研究が多くみられるようになってきた。エージェントに様々な表情を持たせることで新しいヒューマンインターフェイスを提供している。しかし、エージェントに様々な表現力を持たせる反面、それらの人間に与える影響が考慮されていない。そこで、本研究では人間とコンピュータ内のエージェントが互いに音声を用いてやりとりする上で、エージェントからの情報提示の変化による人間側の発話に与える影響を調査するために、Wizard of Oz(以下WOZ)方式による模擬音声対話システムを構築し、その実験の結果について考察を加えることとする。
著者
土井 晃一 大森 晃 蓬莱 尚幸 渡部 勇 片山 佳則
出版者
情報処理学会
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.47, pp.125-126, 1993-09-27
被引用文献数
2

顧客からの要求獲得において、自然言語によるコミュニケーションは重要な役割を果たしている。この際、直接言われた要求だけではなく、言われていない、顧客の無意識下にある漠然とした要求も抽出したい。将来的には自動的に要求を抽出することが目標だが、まずは要求獲得のための方法論を確立したい。要求獲得では、話し手の意図理解が前提となる。意図理解の理論的枠組として発話行為論を用いる。発話行為論では話し手の種々のレベルの行為の解釈が主な問題となるが、本研究では単に発話の解釈、理解だけではなく要求の獲得を目標とする。まずそのために言語現象を観察・解析し、話し手の意図を考慮した言語行為モデルを構築する必要がある。本論文ではそうしたモデルを提案する。図1コミュニケーシヨン進行による共有知識の顕在化さらに話し手の意図を理解するためには、共有知識(感情、イメージなども含む)の顕在化が必要となる。つまりコミュニケーションの展開を通して、図1のように、話し手、聞き手双方の無意識下にあるものと共有知識を意識下に顕在化すること(図1の矢印の方向への推移)が意図理解、要求分析には必要となる。これは今後の重要な課題である。
著者
尾形 薫 八代 将慶 佐藤 尚 倉橋 明宏 近藤 邦雄
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.48, pp.1-2, 1994-03-07

我々は分散環境下でのオプジェクト指向言語の実装についての研究を行なっている。これはCSCWやグループウェア、CGなどの研究環境の整備を目的として行なわれており、この環境に対しては、ネットワークに関する深い知識なしに分散プログラムを記述できること、という要求があった。ORCHESTRAはSCORE言語とその実行系からなるシステムである。SCORE言語はクラスオブジェクトとメメソッドを記述することができるオブジェクト指向言語で、単一継承を許している。ORCHESTRAではメソッドは並行に動作でき、メッセージはブロックされることがない。クラスツリーは分散環境全体で唯一つしか存在しない。また、ORCHESTRAは複数者利用を前提にしているため、オブジェクトやメソッドに所有者と権限の概念が導入されている。類似する分散オブジェクト環境としてはArgus、分散化したSmalltalk-80などがあげられるが、Argusは弱い意味でのオブジェクト指向言語であり継承などの機能を備えておらず、また、Smalltalk-80は基本的に単一利用者での使用が前提になっているため、複数利用者が使用した場合の所有権の問題が生じる、などの点でORCHESTRAと異なっている。
著者
染谷 賢輝 芝野 耕司
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.46, pp.459-460, 1993-03-01

コンピュータグラフィックス(CG)アニメーションは、最近のTVや映画等で盛んに用いられているが、一般に人達にはまだまだ遠い存在である。もっとより多くの人が簡単に使用できて、できる限り制限の少ない、リアリスティックなアニメーションシステムは作成できないだろうか。現在のCGアニメーションは、作り手が描いた絵(グラフィック)を何枚もコマ撮りしていくものや、予め撮影された動画像(ムービー)をデジタル入力したものが代表的な手法である。しかし、グラフィックの場合は、作り手の絵心の有無によって随分と違ったものとなるし、リアリスティックな動きを表現するのに特殊な技法を用いる事や、短編のアニメーションであっても、必要な絵の枚数は膨大な量である。また、ムービーの場合も、大規模なセットやアクター等が必要であり、多くの人が簡単に用いることはできない。だからといって、アニメーションはある特定の人達でないと作成できないものなのであろうか。その間題を解決することが今回のテーマである。そのために写真のようなムービーでいないものでもイメージとしてスキャニングを行い、そのイメージをスケルトンモデルに貼り付けて大まかな動きの表現を実現し、また、こと細かい動きの表現に関しては、モーフィングを使う事により実現する、簡単で、リアリスティックで、柔軟なアニメーションシステムを提案する。
著者
大和田 勇人 溝口 文雄
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.51, pp.173-174, 1995-09-20

帰納論理プログラミングは事例集合と背景知識から第一階節を導出する枠組みであり,GOLEM,FOIL,PROGOL[2]などの高速な学習システムが開発され,様々な実問題への適用も行われている.しかしながら,この枠組みは実数等の数値データからの学習には適していないため,我々は制約論理から出発した枠組みを提案した.本稿ではこの枠組みを実現する数値データからの学習方法を提案する.この方法は仮説空間を探索する際に特徴があり,リテラルの追加による仮説の特殊化と数値データから制約への一般化の2つの操作を組み合わせている.以下では,この方法を例に従って述べる.
著者
彌富 あかね 五十嵐 滋
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.50, pp.375-376, 1995-03-15
被引用文献数
8

演奏者は普通、直感及び理論によって音楽構造を分析し、それを反映した演奏を行う。これは、作曲家の音楽的主張の真意を歪めることなく演奏を行うことに必要である。またそのために、人間によるピアノ演奏には普通、音量の大小、速さの緩急などの「表情」がつけられる。ところで、音楽は世界共通の言語である、といわれる。実際、音楽と言語とは、同じ様に構造、音の高さ、速さの緩急、音量の大小をもっている。また、我々は音楽を鑑賞する際のよりどころのひとつとして、言葉と音の原初的体験を持っている。このことから、楽曲の構造を反映した、演奏に対する表情付けのよりどころとして、言葉の発音を用いるという考え方は不自然ではないと思われる。われわれは、次のように実験を行った。1.仮説に従いルールを作る。2.ルールを、プログラムとして記述する。3.楽譜情報を人間が解析する。4.上の解析結果と、楽譜情報、モチーフ演奏の表情データをプログラムに入力して、演奏情報を出力する。
著者
井上 千鶴 原島 省 渡辺 正孝 池辺 八州彦 市川 哲彦 佐藤 浩史 藤代 一成
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.48, pp.365-366, 1994-03-07

鞭毛藻などの数種の水生微生物の培養液の表面に、微生物を多く含む部分が筋状に垂れ下がることが知られている。Plattは、これをBenard型対流との相似性から生物対流と名付けた。この対流現象は、微生物の反重走性によって培養液に密度不安定が生じ、それが原因となって起こると考えられるため、生物系と非生物系との間の相互作用を扱っている点で非常にユニークである。80年代に著者の一部により、流体力学的アプローチによる生物対流の鉛直2次元数値シミュレーションが行なわれた。本研究の目的は、同様のアプローチに基づいた数値シミュレーションを3次元化し、さらに効果的な可視化によって現象を解析することにある。現在、この問題をとり上げる理由は大きく二点ある。一点は、この現象の同アプローチによる解析が2次元までしか行なわれていなかったこと、もう一点は、この現象がボリュームレイキャスティングと呼ばれるボリュームビジュアライゼーション手法によって効果的な可視化が可能となる典型的な例であることである。本稿では生物対流現象を概説したあと、可視化手法を紹介しその結果を考察する。そして最後にまとめと今後の展望を述べる。