著者
毛受 矩子 前川 厚子 佐藤 拓代 中嶋 有加里 渋谷 洋子 鑓溝 和子
出版者
四天王寺大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

女性の晩婚と晩産化は増加の一途にある。高齢妊婦に対する支援の方向性を明らかにした。①妊娠期から切れ目ない子育て支援の構築についてフィンランド・ネウボラの現地調査、②ネウボラ調査の成果を大阪と東京で保健師を対象に国際シンポジウム等の開催、③妊婦教室参加者950名を対象にした調査を実施。高齢・不妊治療での妊娠が39.3%あり。地域保健での「高リスク妊娠の不安に応える相談機能」「医療保健福祉の連携した情報提供」の必要性が明らかにされた。④Skypeを用いた高齢妊婦を対象にした遠隔支援を試行し、高齢妊婦の出生した障がい児への支援を早期開始し心理面の安定効果が得られた。
著者
大友 昌子
出版者
中京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

2007年に台湾、朝鮮半島、日本における20世紀前半の社会事業政策を、帝国日本の植民地統治という視点から比較研究成果を刊行した。この研究成果に基き東アジアにおける福祉文化の共通基盤を探ることを目的に、互助の地域組織についての横断的な調査を行った。研究成果としては、東アジアの福祉文化的基盤にはベトナムなど中華の影響を受けた他地域も研究対象に入れる研究上の必要が生じた。ここには中華福祉文化圏とも称すことが出来る地域組織や互助組織が分布し、またこれらを道徳や倫理によって社会的規範とする思考基盤に共通性が見られた。一方、地域組織や互助の実際や展開には各地域の福祉文化が反映していることも明らかとなった。
著者
加藤 靖恵
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

日仏の図書館や研究所で集中的に調査を行い,またフランス各地の代表的なゴシック教会の資料を収集した。またフランス学士院図書館でマール草稿の調査も開始した。19世紀にゴシック時代の彫刻作品と古代ギリシア美術とを好んで比較する傾向を調査し,国際集会,フランスの論考集,日仏の学術雑誌で発表,またパリ第3大学のプルーストセンターで講演を行った。
著者
木脇 奈智子 斧出 節子 冬木 春子 大和 礼子
出版者
羽衣国際大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

私たちの研究グループは、本調査に先立って、平成13年度・平成14年度にも、文部科学省科学研究費補助金(基盤研究(C)(1))を受け「育児におけるジェンダー関係とネットワークに関する実証研究」と題した大量アンケート調査を実施した。平成13年度調査では、マクロで見た場合の現代日本家族の子育ての特徴を明らかにした。その後私たちは大量調査ではすくいあげることができなかった個々の親たちの本音に迫りたいと考えた。また、平成13年度調査では分析の対象にできなかった単親家族、共働き家族、再婚家族、父親が育児休業を取得した家族など、近代家族を超える家族の子育てについても、取り上げ分析したいと思った。このような問題意識から実施したのが本調査である。平成16年5月に本調査に着手し、初年度には研究会を重ねて先行研究の検討と質問項目を作成した。平成17年3月から平成18年3月まではインタビュー調査と分析を行った。その結果母親22名、父親10名、計32名に生育歴や育児観、家事育児分担、ジェンダー観などそれぞれ1時間半におよぶインタビュー結果を得ることができた。対象者は当初平成13年度調査において「インタビュー調査に協力してもよい」と答えて下さった方々としたが、対象者の多様性を持たせるために、知人の紹介で関西圏に居住する共働きのご夫婦や単親家庭、再婚家庭へ対象者を拡げ、その結果を報告書冊子にまとめた。報告書は6章からなり、1章「調査の目的と方法」、2章「男性の子育てと仕事との葛藤」3章「専業主婦の子育て分業意識・子育て観」4章「家事・育児の外部化」、5章「定位家族体験と親子関係」6章「男性にとっての家事・育児とはなにか」となっている。夫婦で(別々に)インタビューを行っているカップルが多く、子育てや家事に関する男女の意識の違いやズレが明らかになった。
著者
宮治 眞 長尾 正崇 藤原 奈佳子
出版者
名古屋市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

次の視点より検討した。1.判例データベースを用いて、35年間の最高裁判決から医療訴訟における事例を17例(医療側勝訴3例、医療側敗訴14例)抽出した。これを今回考案した1事例1頁の一覧性をもつフォーマットに要約し、事故防止を考慮した類型化を試みた。その結果、病状の進行が凡そ1ヶ月未満で比較的急性に進展する病態においては、慢性に経過した病態とくらべて、診療早期の「観察」による誤りや、その当時の医療慣行に従って診療することが、判断の誤りに基づく誤行為を招きやすい傾向であった。2.患者側の真摯な訴えはコメディカルスタッフにもインフォームドコンセントが適応されるべき課題か否かを検討した。その結果、コメディカルスタッフをどこまでの職種とするかについて、大きな差がみられた。3.病院の立地条件やコメディカルスタッフのインフォームドコンセントまで広げると、地域医療における医療管理も視野に入れる必要が考慮された。NPO法人「たすけあい」名古屋が地域に根付く過程を検討した。4.地域医療連携を視野にいれて、病院医療の立場から患者の安全をどのように担保していくかについて、本院の電子カルテシステムを日本医療機能評価機構の自己調査評価票に基づいて検討した。その結果、患者の安全医療の観点から電子カルテシステムをもっと見直すべきであること、システムの機能を拡大していくことが確認できた。以上を総括すると、「安全の医療」「安心の医療」「満足の医療」を「安全の生活」「安心の生活」「満足の生活」へ還元すべきことが示された。このことの基準は最終的には法律によって規定されるべきであると思われた。しかし、患者の真摯な訴えに代表される患者側の要請は、価値観を包含しており、法律と倫理の狭間の問題ともいえる。したがって、医療管理からみた場合、医療側が患者側の求める「満足の医療」「満足の生活」の垣根をどこまで共有できるかは、次の課題である。
著者
大江 真道
出版者
大阪府立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

不時の豪雨いわゆるゲリラ豪雨による冠水がイネ生育へ及ぼす影響を明らかにするために1、2、4、8日の冠水処理を生育時期別に行った。生育初期に生じた影響は生育とともに回復し、収量への影響は小さかった。生育後期では、籾の分化期、花粉の形成期、稔の前期の処理で影響が大きく、2日以上の冠水で収量が減少した。収量の減少は弱勢の籾の退化に因る籾数の減少に起因した。生育後期の長期冠水(8日)は通常出現しない遅発分げつ(分枝)を促進した。見かけの茎数は増えるが穂を形成することは無かった。このような分げつの出現は重心を高め、倒伏に弱い姿勢に導いた。以上の障害は水温が高い場合ほど顕著であった。
著者
西田 友是 楽 詠灝
出版者
広島修道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究では, 従来のCGの表現能力を拡充して写実性の増強を目指すとともに, それに基づいたアートへの応用についても提案を行う. この目的のため, 材質の構造および光学特性を考慮して, 物理ベースのシミュレーションと可視化を行う手法を開発した. 構造を考慮することによって, 対象物の外観の表現能力が向上し, 対象物の動きもよりリアルに表現することが可能となった
著者
佐甲 徳栄
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

少数の電子をナノスケールの人工的な低次元ポテンシャル井戸に閉じ込めた人工原子は,量子力学原理に基いて動作する次世代ナノデバイスの基本素子としての大きな役割が期待されており,その量子構造の解明は最も本質的な研究テーマである.本研究では,人工原子および自然原子における電子スピン配列を決定する「フントの規則」および電子の集団運動を規定する「角度相関」に着目し,その起源の解明に取り組んだ.そして,スピンが反平行な一重項状態の波動関数において共役フェルミ孔と呼ばれる空孔が存在することを見出し,この共役フェルミ孔の存在によってフント則の起源および角度相関の由来が説明できることを明らかにした.
著者
高木 英明 張 勇兵 李 頡
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

1. 次世代の無線移動体通信システムにおける所要周波数帯域幅算出法(株)NTTドコモやノキアの技術者らと考案した次世代移動体無線通信システム(IMT-Advanced)のための所要周波数帯域幅算出法とそれを用いた周波数帯域が、2007年11月の世界無線通信会議で決定された。その方法を中心に関連技術を解説した成書H. Takagi and B. H. Walke(編著)、Spectrum Requirement Planning in Wireless Communications, John Wiley and Sons, 2008(248ページ)を出版した。その後、上記の世界標準方式を改良する周波数利用法を考案し、その待ち行列モデルの解析とシミュレーションを行った。2.セルラ移動体通信網におけるハンドオーバ数の計算とその応用セルラ移動体通信網においては、ユーザが通話中に隣のセルに移ると、そのセルで新たに周波数を割当てたり、位置情報を更新したりするハンドオーバ処理が必要となる。ハンドオーバの失敗は、通話の強制切断につながるので、ハンドオーバ数の評価は重要である。幾何学的確率及び再生確率過程の理論を応用して、移動体の一通話当りのハンドオーバ数の確率分布を計算した。同じ方法を用いて、基地局における移動体の位置情報管理のためのデータ更新の最適時間間隔を決定する理論モデルを作り、数値計算を行った。3. 時間的に急激に変化する通信負荷が通信チャネルの性能に与える影響の計算モデル無線通信システムにおける送信フレームへの周波数資源の動的割当て法として、確率過程モデルの時間に依存する状態確率の解析を行った。関連して、有限の待合室をもつ待ち行列において、全稼動期間の確率分布を、ラプラス変換ではなく、時間の陽関数として与えた。
著者
丸尾 亜喜代 小松 万喜子
出版者
岐阜大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

不妊治療を終結し子どもを持たない人生を築いていく女性の主観的幸福感を促進する支援を明らかにする目的で,当事者及び看護職を対象として調査を行った結果,治療後の過程には治療中の対応が深く影響し,治療終結期の支援では,カップルとして捉えた支援の充実,終結後の生き方のモデル提示,終結後の心身の継続支援の保証と強化の重要性が明らかになった。また,不妊の理解と夫婦2人の人生を肯定する社会への提言が求められた。看護職によるケアでは,終結時期を査定し意思を確認し,決断を困難にする要因に関する情報提供と説明を行い,自身で決断に向かえるように支援する必要性が示唆された。
著者
安藤 真美
出版者
大阪樟蔭女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

数種の果実類について氷温貯蔵を実施し,その品質の貯蔵中の変化について検討した。その結果,特定の果実において官能評価の向上,特に甘味の改善効果が認められた。一般的な糖類においては量的な変化が認められないことから,甘味を強調するための相乗効果を有する物質の増加が推察された。
著者
福島 登志夫
出版者
国立天文台
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

地球の形状軸方向ベクトルの空間的運動の周期成分である章動について、剛体地球の章動理論としてRDANを採用し、SOSモデルによる非剛体効果を考慮して1979年から200年までのVLBI観測データに基づいて、新しい非剛体地球の章動理論SF2001(Shirai and Fukushima 2001)を構築した。副産物として、地球の力学的扁平率など重要な地球物理パラメータを従来にない高精度で推定することができた。惑星歳差について、DE405に代表される最新の数値天体暦から、その永年成分を高精度で抽出するため、ペリオドグラムによる周波数推定技術と、周波数をも未知数とする非線形最小2乗法を組み合わせ、内在周波数の数を0から1つずつ増やす逐次的手法を組み入れることにより、高精度の非線形調和解析法を編み出した(Harada and Fukushima 2003)。これを、DE405から得られる地球・月重心の軌道角運動量ベクトルの方向角2成分について実施し、有意な周期成分をすべて除去することにより、最終抽出物として時間の2次関数の形にまで凝縮することに成功した(Harada and Fukushima 2004)。これは、DE405が表現している現代の最新運動理論から得られた最新の惑星歳差公式(HF2004)である。最後に、一般歳差をVLBI観測データから推定するために、SF2001章動理論を用いて観測量から周期成分を差し引き、さらにHF2004惑星歳差公式の寄与分を考慮して、一般歳差をVLBI観測データから精密に推定することに成功し、最終的に日月歳差の最新推定値を求めた(Fukushima 2003)。副産物として、平均黄道傾角の精密な推定値を得ることができた。
著者
足立 匡 小池 洋二 渡邊 功雄
出版者
上智大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

鉄系、銅系超伝導体におけるスピン相関と超伝導の関連を明らかにするために、不純物を置換した鉄系Fe1-y(Co,Ni,Zn)ySe0.3Te0.7(Fe系)と銅系電子型Pr1.3-xLa0.7CexCuO4+d(Pr系)の高品質単結晶を用いてミュオンスピン緩和測定を行った。その結果、Fe系では不純物によるスピン相関の著しい発達を見出し、超伝導電子対の形成には軌道のゆらぎが効いている可能性が高く、スピン相関の効果は弱いと結論した。一方、Pr系では、低温で超伝導と短距離磁気秩序が共存することを見出し銅系ではスピン相関が電子対の形成に効いていると結論した。
著者
岩崎 英哉 中野 圭介 鵜川 始陽
出版者
電気通信大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究は,サーバ側で実用的な性能で動作する サーバサイドJavaScript処理系を開発することにより,煩雑な Web アプリケーション開発のコストを大きく低減させることを目指し,以下の成果を得た.(1) プログラムの実行情報を利用した最適化を行い実行速度を向上させるJavaScript処理系を構築した.(2) JavaScriptプログラムとC言語で記述されたプログラムとの連携を可能とする機構を構築した.(3) イベント駆動方式サーバのための並列JavaScript処理系を設計し実装した.(4) JavaScriptプログラムの安全な実行の基礎となる型システムを構築した.
著者
中村 正明
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

近年、分数量子ホール効果を理解するための新たなアプローチとして、系にトーラスの境界条件を課して1次元格子模型に焼き直し、さらにトーラスが細い極限を起点とすることで相互作用を簡略化する方法が提案されている。この方法を用いて、分数量子ホール効果と1次元量子スピン系におけるハルデン問題との関連を論じた。また、分数量子ホール状態を記述する厳密基底状態を持つ模型を提唱し、さらに波動関数を行列積表示するという画期的な提案を行った。これらのほかに多層グラフェンにおける層間電気伝導の特性について議論し、また3体相互作用のある量子スピン系においてダイマー状態が出現することを厳密に示した。
著者
秋山 賢輔
出版者
神奈川県産業技術センター
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究は鉄シリサイド半導体の禁制帯幅が0.80eV以下と狭いこと、及び光吸収係数が1eVで1E+5 /cm以上であることに着目し助触媒として金(Au)を担持した光化学ダイオードを作製し、光触媒効果としての水半分解による水素発生を検討した。その結果、シリコン表面に金を導入し共晶反応による表面構造改質させた後に、有機金属気層成長(MOCVD)法で合成した鉄シリサイド半導体の結晶欠陥密度の低減をフォトルミネッセンス発光特性より確認した。さらに表面に鉄シリサイド微粒子をシリコン粉末表面に合成しその光触媒特性を評価した結果、紫外光、及び可視光照射下における水の半分解に起因した水素発生を確認した。
著者
枝川 明敬
出版者
東京芸術大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

グローバル化が進んでいく中, 地域活性化のため, 従来のような産業立地のみならず地域の文化活動が, 地域の創造活力を高め, これら地域の文化活動こそが, 地域の活性化の源となると言われ初めている. そこで, 地域の文化活動を調査しそれが地域活性化につながっているか検証を行った. 経済的な波及効果では, 初期投資に比べ約倍程度の効果が見られる反面, 活2.5性化の中心となる創造的な職種の集積は欧米ほど見られなかった.
著者
渡辺 新一 池上 貞子 小林 二男
出版者
中央大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

1.中国語に翻訳された日本文学の目録(1919年〜1949年:単行本編)の作成従来の漢訳日本語書籍の目録は主なものでも幾つもあるが、そのいずれも、日本語の原題名を明示せず、ただ原作者と訳者と漢訳名と訳出の時期を記したものがほとんどであった。当研究は、原題名を調査して明示することによって、日本文学のいかなる作品が漢訳されたのかを初めて具体的に提示した。以前のカード化に変わる各種のソフトの発展は目録作成という作業を簡素化させてきてはいるものの、こうした目録の作成は訳本の内容から原文の題名を確定するという膨大な手間を必要とした。そのため、こうした作業につきものとはいえ、調査の行き届かなかったものや思わぬ勘違いなどがあると思われる。またさらに、雑誌類に訳出された日本文学の作品目録も一定程度手をつけており、今後同じく原題名を調査して、今回の成果と併せて近い将来公表したいと考える。2.中国語訳に関する論文研究分担者の各自の問題意識に従って、以下の論文をまとめた。・池上貞子「翻訳の可能性と限界をめぐる一考察-川端康成著・唐月梅訳「古都」を中心に」・小林二男「中国における日本文学受容の一形態-周作人の「日本近三十年小説之発達」と相馬御風の「明治文学講話」「現代日本文学講話」をめぐって」・渡辺新一「<吾輩は猫である>はどう漢訳されているか」これらはいずれも、翻訳という作業が異文化を跨いでおこなわれる刺激にみちた行為であることを共通の前提とした当研究の偽らぬ成果の一部といえ、各自の論文の指し示す方向性と問題意識は今後さらに深めていくことが求められている。
著者
草部 浩一 丸山 勲
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

我々が開発した電子の相関運動を表現可能とする新しい密度汎関数法によって、遷移金属酸化物など強い電子相関を示す物質の電子状態計算を行った。新手法の特許取得を行って情報公開を進めた。高温超伝導を示す銅酸化物において電子状態の評価を進め、未知の物質相を複数理論的に発見した。既存のHg系やTl系の置換系として見出したものであってこれらと同等の超伝導性を示しうるという理論結果を得た。さらに、α相MNX物質、アルカリドープされたピセンなどの超伝導物質、La2CuO4などの磁性体の電子状態計算を進め、グラフェン中の欠陥起源による強相関電子状態では実験グループとの共同で新構造の発見から決定までを行った。
著者
石原 千秋
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

明治30年代の読者が馴染んでいて、なおかつ礎石文学と共通点を持つ女学生小説と家庭小説と漱石文学との違いを明らかにした。第一は、漱石文学の女性主人公は女学校を卒業して以降の女性の運命を書いたものであって、彼女たちは恋愛や結婚生活において自らを「謎」の存在とすることで、男性との関係にいおて主体性を確保したこと。第二は、漱石文学は明治31年に施行された明治民法を意識して書かれており、これは「家族小説」と呼ぶべきで、山の手に形成されつつあった新興の中間層に父権的資本主義下の近代家族の質を提示し続けたことである。