著者
片山 直登 百合本 茂
出版者
流通経済大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では,現実のネットワーク設計問題において考慮すべき様々な条件を考慮したモデルを提案し,これらに対する解析,および容量スケーリング法,限定した分枝限定法や行・列生成法などを含む解法の開発を行った.続いて,基本的な容量制約をもつネットワーク設計問題に対して,デリート法を改良した貪欲法と容量スケーリング法を組み合わせた高速な新しい貪欲法を開発した.この高速解法を確率的シナリオ解析モデルに組み込むことにより,ロバストネスを考慮した新しいサプライチェーンネットワーク設計モデルに対する解法を開発した.
著者
松尾 健太郎 張 樹槐 西脇 健太郎
出版者
独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

本研究は、農薬散布量の削減を目的に、植物の病害を早期に発見する方法の開発とその病害発生状況をマップ化するシステムを開発することである。1)分光画像取得システムの開発室内実験用の装置は、スペクトルカメラ、リニアスライダ、製作した通信用制御装置、パソコン、16個のハロゲンランプからなる。本装置はリニアスライダにラインセンサであるスペクトルカメラが取り付けられ、リニアスライダとパソコンを通信用制御装置で結んでいる。本装置の動作は次の通りである。パソコンに画像保存用の名前を指定することにより、リニアスライダが設定幅を動きパソコンにその位置の画像を保存する。この動作を自動で繰り返し行い、対象物全体を撮影する。また、このシステムでは、取得した画像を波長別の対象物画像を一括して合成することや、マウスでクリックした画像の位置の全波長データをtxt形式で保存することができる。2)病害検出方法の検討レタスに腐敗病を接種し、発病前から作製したシステムで撮影し、その画像から検出方法を検討した。接種したレタスでは、目視で病害の発生が識別できる前の段階で健全な苗と比較して近赤外域の反射強度が低くなる傾向があることがわかった。このことを利用して画像処理を行うと目視で識別できる段階以前の病害発生状況を画像化することができた。ただし、原因不明で苗が枯死していく場合でも同様の傾向がみられ、病原菌の特定をすることはできなかった。本システムでは照明の関係から近紫外域のデータを取得できなかったので、照明を改良し再度実験を行う必要があると考えられた。3)マップ化システムの開発GPSが出す信号の識別IDを画像名にして保存することにより、全撮影が終了後に識別IDと位置情報により圃場画像を作製することができるプログラムを作製し、スペクトルカメラを使って圃場全体を撮影することが可能となった。
著者
坂本 貴志
出版者
山口大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

ヘルメス的伝統の思想的な核心が、世界、自然、あるいは宇宙全体を唯一神の無限に多様な表出と見る考え方にあることを明らかにした。ルネサンスの末期に起こった宇宙観の革命は、ヘルメス的伝統に新たなる展開の可能性を与えた。その具体的な展開は、もはやヘルメス的伝統の名前で呼ばれることはなかったが、思想的な核心を継承しつつ、ドイツ近代においてもなされた。批判期前のカント、レッシング、ゲーテ、シラー達は、宇宙を含む世界全体とその中に生きる人間存在を総体的に了解しようとして、この伝統を新たに変奏した。
著者
石合 正道
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

ファンコニ貧血(FA)経路は、活性化され、その中心的役割を担うFANCD2がモノユビキチン化されるが、モノユビキチン化FANCD2の生理的役割はいまだ充分には解明されてない。我々はFANCD2の会合分子探索を行い、ユビキチン結合ドメインをもつUBR5とUFD1を同定した。本研究では、ubr5欠損細胞、ならびにsiRNAによるufd1ノックダウン細胞の作製・解析、FA経路分子との相互作用、マイクロレーザー照射によるDNA損傷部位へのタンパク質の集積などの検討を行った。当初の予想に反し、UBR5、あるいはUFD1ならびにその関連分子ともFA経路との機能的相関が弱いことが示唆された。
著者
横井 功 北野 敬明 徳丸 治 西田 育弘
出版者
大分大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

研究成果の概要(和文):電子スピン共鳴法を使用しα-リポ酸誘導体(DHL)やビタミンE誘導体(ETS-GS)はヒドロキシルラジカルなどの活性酸素種やフリーラジカルを消去し、過酸化による脂質の分解を抑制することを示した。また、31P-核磁気共鳴法を使用しETS-GSは脳虚血後の再灌流で発生する活性酸素種によるエネルギー代謝への障害を軽減することを見いだした。さらに、ヘモグロビンを使用して、より臨床病態に近い外傷性てんかんモデルラットを作成し、DHLのてんかん焦点形成予防効果を検討したが、DHLでは予防困難なことが明らかとなった。
著者
籔根 敏和
出版者
京都教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

礼法、受身、投技を教材に伝統的行動原理を学ぶ「発見型柔道学習プログラム」の女子に対する有効性の検討と、抑技プログラムの開発を目的として、高校、大学で研究授業を行った。その結果、女子に対するプログラムの有効性が検証できた。また、投技学習の安全化と効率アップのための教具の開発や、受身プログラムの改良を行い、その有効性を検証した。抑技に関しては、発見型柔道学習の教材としての適性を実験的に検証した。
著者
橋本 美芽 石橋 裕
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究は、都市部に居住する高齢者を対象に、「外出行動の特性」および「外出頻度に影響を与える住環境やまちづくり等の物理的環境因子」の抽出を目的とする。東京都荒川区に居住する高齢者を対象に郵送調査とヒアリングを行った。その結果、1)外出頻度への影響は、物理的環境因子よりも主観的健康感が強く、バリアフリー整備のみでは外出頻度の低下防止に効果を得にくい、2)外出頻度低下者は地域社会との交流が減少し日常生活の行動範囲が狭小化している、3)都市整備には、トイレの増設と分散配置、ベンチと休憩場所の増設が必要である、等が明らかになった。
著者
今井 久登
出版者
学習院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

記憶の想起意識を俯瞰的に検討し,次の成果を得た。① 研究史:想起意識は当初,記憶システムの定義として位置づけられた。研究の進展と共に,想起意識から手続き的定義へと精緻化されたが,このような想起意識の位置づけの変化は明確に議論されず,結果として想起意識が研究の焦点から外れていった。② 実証研究:匂い手がかりによる自伝的記憶の無意図的想起と, 外的想起手がかりがない場合の展望記憶の自発的想起の研究を行い,それぞれの想起意識の性質を明らかにした。③ 5種類の想起意識(想起意図/想起努力/想起の自覚/回想・親近性/想起意識のない再認)を連続的に関係づけ,想起意識を全体的に捉える図式を提案した。
著者
柳原 一広 西村 貴文 松本 繁巳 北野 俊行 福島 雅典 石黒 洋 金井 雅史 三沢 あき子 安田 浩康 平出 敦
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

医学部学生が、各がん腫の標準療法の確認と最新治療の情報を信頼おけるがん情報・医療情報サイトより検索・取得し、有害事象の程度判定基準であるCTC-AE、効果判定基準であるRECIST等のがん診療の基本となる知識を体得し、TAPSによる文献的考察能力が研鑽できるように、臨床腫瘍学の教本化を進めることで、医学部教育における、従来の縦割りの診療科別、臓器別ではない、新たな教育システムの礎となった
著者
坂本 峰至 亀尾 聡美 丸本 倍美 安武 章 山元 恵
出版者
国立水俣病総合研究センター
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

セレンは必須微量元素で、水銀化合物の毒性防御作用が期待される本研究では、自然界に存在する毒性の低いセレンであるセレノメチオニンがラット新生仔の発達期の脳で直接メチル水銀の毒性を防御することを世界で初めて報告した(Env Sci & Tech 2013)。歯クジラ類は、比較的高濃度の水銀を体内に蓄積するが、無機化能力が高く、無機化された水銀は、非活性で無毒なセレン化水銀に変化し筋細胞内に残留していることが示唆された。捕鯨の町の住民の血液試料中の水銀とセレン濃度は有意な正の相関を示し、セレンが住民における水銀の毒性の防御の役割を果たしている可能性が示唆された。
著者
東 照正 芦田 信之 三輪 のり子
出版者
千里金蘭大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

介護予防・健康増進としての運動は、単に集団体操やフィットネスだけでは楽しくない。近年、欧米では、アーケードゲームを福祉施設に設置し、高齢者のリハビリを兼ねたレクレーション活動が盛んである。体感型ゲームスポーツだと、ゲームになじむ若者とそうでない高齢者が体力差や技能差を意識せずに一緒に楽しめる。しかし、多くの体感型ゲームスポーツでは、視覚や脳機能と、一部の身体機能のみを使う場合が多く、理にかなった運動動作になっていない。これらの問題点を解決し、同時に、情報弱者(デジタルデバイド)をなくするために、体感型ゲームスポーツと動画双方向通信を組み合わせ、遠隔指導による地域高齢者スポーツ活動を推進した。
著者
鈴木 俊夫 本間 道雄 吉田 敬
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

原子核のガモフ・テラー遷移強度等のスピンモードの記述の著しい改善に成功した新しい殻模型ハミルトニアンを用いて、ニュートリノ-原子核反応の断面積、高密度・高温の天体条件下での原子核からの電子捕獲率、ベータ崩壊率等の弱過程のより正確な評価を行い、元素合成過程や星の進化に応用した。超新星爆発時でのr-過程による元素合成、コア崩壊過程における中性子過剰ニッケルアイソトープの合成や核URCA過程による星の冷却において精密な弱遷移率の評価の有効性と重要性を示した。
著者
大浦 学
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

モジュラー形式と代数的組合せ論の境界部分部で研究を行ってきた。2元体上自己双対重偶符号の重み多項式はある有限群の不変式となっている。ここで現れる有限群の中心化環の構造を小須田雅と共同で決定した。本村統吾と共同でZ4符号に対応するE-多項式が生成する環の生成元を決定した。小関道夫とともに、長さ85の extremal な自己双対重偶符号から得られる extremal な格子の高種数のテータ関数について研究を行い、特に種数4ではそれらが異なることを示した。
著者
正道寺 康子 原 豊二 岡部 明日香 佐藤 信一 笹生 美貴子 西口 あや 王 維坤 劉 暁峰
出版者
聖徳大学短期大学部
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究では、まず『琴操』の翻刻・訓読をし語釈を附すことで、『琴操』そのものの研究を行った。次に、隋・唐時代の古琴曲を調査し、それらに纏わる音楽説話も収集し、さらには、日本古典文学への影響を明らかにした。特に、『琴操』は『うつほ物語』や『源氏物語』に大きな影響を与えていることが分かった。また、『琴操』以外の古琴曲も音楽そのものではなく、それらの音楽故事が『うつほ物語』や『源氏物語』の主題と深く関わることを指摘した。
著者
板野 理 松田 祐子 清水 宣明 荻野 千秋 藤村 智賢 佐谷 秀行 大島 正伸
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

悪性腫瘍による閉塞性黄疸に対しての金属性ステントを用いた姑息的減黄術はtumor ingrowthによるステント閉塞の問題が増加している。本研究では、チタン合金ステントに超音波を照射し、ラジカルの産生を利用したステント内再閉塞を予防・改善するための無侵襲的治療法の確立を目的とした。チタン合金に対し1MHzの超音波を30秒0.3 W/cm2照射し超音波のみと比較したところ、チタン合金で高いフリーラジカルの発生が確認され殺細胞効果も最も高かった。悪性腫瘍ステントモデルでは、1MHz、0.3W/cm2、10分の超音波照射を行った。超音波照射群でステントへのingrowth抑制が確認された。
著者
徳田 修 松永 尚文 木戸 尚治
出版者
山口大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

ファントム実験では、腸管ガスによるアーチファクトの影響が大きいことがわかったため、正常ボランティア3名に対して、腸管内ガス排出促進剤内服前後で、骨盤部MRIのSWI像を撮像したところ、内服後の方が、アーチファクトの少ない良好な画像が得られた。骨盤部MRIでSWIを撮像するときは、腸管ガスによるアーチファクトを減らすために、検査前に腸管内ガス排出促進剤を内服することが望ましいことがわかった。
著者
高橋 佳文 久保 武
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

音源定位認識機構の解明は、当初高橋によりメンフクロウの蝸牛神経核で単一神経細胞活動記録を行うことから始めた.この研究の結果、音源の認識は両耳に入った音の時間差が最適な場合蝸牛神経核ニューロンの興奮、不適当な時間差によって興奮性の低下が起こることがわかった(Saberi and Takahashi、2002).すでに従来の研究で知られているごとく、この情報は上位の中枢である下丘に到達して音源の定位認識がなされている.ヒトにおける音源定位認識機構および両耳聴効果については多くの研究がなされている.しかし、補聴器具を装用した難聴者における機構については殆ど知られていない.そこで我々は、補聴器および人工内耳を装用した高度難聴者における両耳装用効果および音源定位認識の研究を進めた.予備試験において、人工内耳単独より補聴器併用時に雑音下の聴取能の改善が認められた(井脇、久保、1999).騒音負荷の下に語音聴取能を自動的、定量的に検査するために、米国House Instituteにて開発され、欧米においては標準的検査法となっている(Hearing in Noise Test ; HINT : Nilsson and Soli,1994).我々は、難聴者のおいて両耳聴の効果を調べるためHINTの日本語版を作成した(HINT-Japanese : Shiroma et al.,2002).この検査を用いて、正面、左右のそれぞれのスピーカより、音圧の校正された言葉およびマルチトーカノイズを聞かせ、単耳聴および両耳聴時における明瞭度の差を調べた.すなわち、人工内耳単独使用(CI)の場合と、人工内耳と補聴器(CI+HA)の両耳併用の場合において、静寂時と雑音負荷時の条件で語音聴取検査を実施した.結果は、補聴器単独では、語音聴取能が0%とほとんど補聴効果が得られない症例においても両耳併用することにより人工内耳単独で得られる補聴効果よりも大きな効果が得られ、統計学的にも有意な改善が認められた(松代ら、2003).人工内耳と補聴器の両耳併用により、認知レベルでの拮抗はなく、しかも語音聴取能は改善されおり、人工内耳と補聴器の併用によっても両耳聴効果が得られることが明らかにされた.
著者
福川 康之 下方 浩史 高尾 公矢 川口 一美
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

「祖母仮説」は,繁殖期を過ぎた個体が子の繁殖に貢献するために長寿化したと仮定する理論である.しかしながら本研究では,娘の繁殖成功度の向上(第一子の早期誕生や第一子と第二子の出産間隔の短期化)に最も貢献していたのは義理の母親(夫の母親)であった.日本のような母方居住の傾向が強い地域では,実娘と実母よりも嫁と姑の関係が繁殖に影響している可能性がある.祖母仮説を現代社会で検討するうえでは文化的な背景に配慮する必要があるといえるだろう.
著者
初川 雄一 野口 高明
出版者
独立行政法人日本原子力研究開発機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

申請者らが開発した高感度元素分析法である多重ガンマ線放射化分析法を用いて地球化学、宇宙化学において興味をもたれているイリジウムの超高感度分析を行なった。イスアは月の巨大クレーターの生成年代とほぼ同時代に生成したことが分かっておりイスア中のイリジウム分析はその当時飛来した物質に関する貴重な情報をもたらす。本研究を通して38億年ほど前に地球や月に飛来したのは小惑星ではなく彗星であることを明らかにした。
著者
中森 広道
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

緊急地震速報は、様々な手段で発表と同時に情報を得ることができる一方で、人々には、この速報の意味や目的が十分理解していなかったり情報を受け取った際の具体的な対応が徹底していないなどの問題も見られる。本研究では、人々の緊急地震速報に関する評価、意識ならびに利活用の現状を調査によって明らかにし、この速報のさらなる適正化を考究した。調査の結果、「東日本大震災」とその後の地震回数の増加などから、緊急地震速報への認知度や接触度が東日本で高くなる一方で西日本では低いなどの傾向が見られた。また、適切ではない緊急地震速報が繰り返されても、この速報に関する有効性や必要性についての評価に大きな変化は見られなかった。