著者
ベンツ ヴォルフガング 矢崎 紘一
出版者
東海大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

深非弾性レプトン・ハドロン散乱過程におけるクォークの破砕関数についての理論解析を行った。クォークのスピンおよび横運動量を取り入れ、多重破砕過程を記述した。その際、3次元の運動量保存側およびアイソスピン保存側を表している和側を満たしている理論の枠組みを作り上げた。クォークのスピンに依存しない破砕関数をスピンに依存する破砕関数 (Collins 関数)が互いに連立していることが分かった。クォークのダイハドロン破砕関数に関して、破砕チェーンの中間状態におけるベクトル中間子の寄与を取り入れ、数値解析を使ってダイハドロンの破砕関数を定量的に予言した。ハドロン中の分布関数、形状因子および応答関数も求めた。
著者
山崎 博之 船越 哲
出版者
東京慈恵会医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

本来Bリンパ球系の表面マーカーであるCD40を介したsignalが、ヒト悪性リンパ腫細胞の増殖を抑制する事が知られているこのが,我々はCD40刺激がヒト前立腺癌細胞の増殖も抑制するのではないかと考え、以下の実験を施行した.ヒト前立腺癌細胞株であるPC3及びLNCaPの細胞表面でのCD40の発現を,抗CD40抗体を用いて、flow cytometryにて検索した.これらがCD40陽性である事を確認した後,遺伝子組み替えにより作られた可溶性CD40ligandを用いて,MTT assayにてその抗腫瘍効果を検索した.PC3及びLNCaPは可溶性CD40ligandとともに培養する事により,その増殖が抑制された.このメカニズムを解明するため,現在TUNEL assay,電顕等にてアポプトーシスの存在の有無を検討中である.またin vivo studyのための基礎実験として,我々はこの細胞株の,severe combined immunodeficiensy(SCID)mouseへの移植実験を行った.まず,5X10^6個のPC3をマウスの腹腔内に注入したところ,第25-30日目で腹腔内播種または肝転移にて死亡した.これらの担癌マウスを,腫瘍接種3日後より可溶性CD40ligand10μgにて治療したところ,コントロール群に比べ,有意な生存期間の延長が得られた.今後はこのin vivoのデータを追試し,確認した後に論文とする予定である.
著者
平竹 潤 渡辺 文太
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

ヒトアスパラギン合成酵素(hAS)は、急性リンパ性白血病のアスパラギナーゼ療法において、再発や薬剤耐性を引き起こす原因酵素として注目されている。本研究は、hASを特異的に阻害することで、薬剤耐性を獲得した急性リンパ性白血病細胞に対して有効な新しい化学療法剤を開発することを目的としたものである。hASの反応機構にもとづき、その遷移状態アナログとなるN-adenosylsulfoximine およびその誘導体を合成した。その結果、hASを時間依存的に強力に阻害する化合物を得ることに成功し (Ki* = 7.6 nM)、アスパラギナーゼ耐性の白血病細胞に細胞死を引き起こすことを、世界で初めて示した。
著者
石川 陽子 西郡 仁朗 安達 久美子 三枝 令子 成瀬 和子
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

EPA(経済連携協定)により来日したインドネシア人、フィリピン人を対象とした学習支援から、日本の看護師国家試験合格に向けた学習、異文化適応にかかる課題を明らかにした。英国におけるONP(外国人看護師研修)の視察から、教育機関と外国人看護師受入れ先の医療機関が連携して人材育成を行うシステムの日本への適用について検討した。
著者
権田 知也
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

研究成果の概要(和文): 歯の欠損に関しては,特定の欠損形態において,より欠損が進み,咬合崩壊が起こるといわれているものの,成立機序および欠損拡大を防ぐ方法については,ほとんど検討されていない.そこで,欠損に応じた歯に加わる応力の特徴,また特定の歯に応力を集中させない対応策を明らかにし,欠損拡大を防ぐことをめざす研究を計画した.その結果,まず下顎遊離端欠損が大きくなるほど上顎前歯の負担は増加することが示された.それに対し,遊離端義歯により,上顎前歯の負担が減少することが示され,さらにインプラント支持遊離端義歯によりさらに上顎前歯の負担が減少することが示された.
著者
橋野 知子
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究は、日本経済史の分野における「比較産地発展史」の構築を目指し、西陣・桐生・福井における産地の発展を個々に詳細に分析すると同時に、新技術の導入と制度革新という観点から産地の共通点や相違点を明らかにした。さらに本研究は、産業集積研究が活発な開発経済学の分野と日本経済史研究との融合も試みた。その結果、東西の歴史的産地ならびに現代の途上国の産業集積において、共通した制度や仕組みが重要であったことが示された。具体的には、マーシャルの言う集積の外部経済を超えて、新技術の導入を支えた同業者組織の機能や地方政府のサポートという制度が、産地・産業集積の発展に普遍的に重要であったことが明らかにされた。
著者
塩塚 理仁
出版者
名古屋工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究では、光応答性超分子ルテニウム(II)-白金(II)複合錯体の光物性及び電子物性を解明し、金属基板上へのルテニウム(II)-白金(II)超分子金属錯体の配列制御法の確立を目的とした。そこで直線的な構造を持ったルテニウム(II)-白金(II)複合錯体を新規に合成し、電気化学的及び光物理的な各種測定結果より、この複合錯体の光誘起電子移動過程に関する知見を得ることができた。更に、基本骨格となるルテニウム(II)錯体を独自に合成し、金基板上に自己組織化する方法で配列制御できることを電気化学的及び光物理的測定により明らかにした。
著者
森下 亨 渡辺 信一
出版者
電気通信大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

高強度レーザーを利用した、原子・分子の超高速実時間イメージングの理論および計算手法を開発した。高強度レーザー電場に誘起される再衝突電子過程を利用することによって、空間的には原子の内部構造(サブÅ)、時間的には電子の運動(数フェムト秒からアト秒領域)の超高分解能を達成することが可能であり、これによって物質の繊維における時間分解電子ダイナミクスの研究に新しい道が開け、またレーザーと物質の相互作用に関する深い理解を獲得した。
著者
植野 雅之 和田 慎二郎 木田 豊 上田 和浩 金村 仁 対馬 勝英
出版者
大阪電気通信大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

3DCGにおける造形能力を育成するための空間的・論理的な操作トレーニングとして,ゲーム的なフィードバックを持った空間トレーニングゲームを複数個考案し,実装をおこなった.また,それらの有効性を検証するための実験環境を構築し,それを用いて実験をおこなった.実験の結果,このようなトレーニングゲームにおいて,熟達者と初心者にパフォーマンスの差が明らかに見られること,フィードバック方法として,得点の表示・非表示,得点の提示方法によって,一定のパフォーマンスの差が見られること,トレーニング状況につられてパフォーマンスが短期的に向上するなどの現象を確認し,トレーニングシステムの設計に対するヒントを得た.
著者
糸山 浩 大田 武志 吉岡 礼治
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

2010年度の本課題研究者達の独創的研究を継続し、2d-4d connection(AGT対応)関係でさらに成果をあげた。特にq冪根の場合のparafermion blockの出現に関する考察は著しい。丸と協力して、D termによる超対称性の力学的破れのメカニズムをHartree-Fock近似に基づき確立した。その他に、弦理論における超対称性の破れ、Colored HOMFLY polynomialで成果を挙げた。
著者
曽根 雅紀 田村 拓也 岡澤 均
出版者
東邦大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究では、細胞内タンパク質輸送に生じた異常が神経変性・神経変性疾患の発症にいかなる役割を果たすのかを、ショウジョウバエ遺伝学を用いた研究手法によって解析した。われわれが発見したyata遺伝子は、アルツハイマー病の原因分子であるアミロイド前駆体タンパク質の輸送調節に必要とされる。われわれはyata遺伝子およびその関連分子について遺伝学的解析および分子機能解析を行い、細胞内タンパク質輸送異常がいかなる細胞メカニズムの異常を介して神経変性を引き起こすのかを明らかにし、神経変性疾患の治療法開発に結びつく手がかりを得た。
著者
村田 順子 田中 智子 藤平 眞紀子
出版者
和歌山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究は、高齢者の在宅生活を地域の住民活動がサポートし得るのか、その可能性について検討し、在宅生活を支える地域における生活支援システムの構築について考察することを目的としている。調査対象地域は歴史的街道を有し、住民主体のまちづくり活動を行っている。住民たちはまちづくり活動を通して地域に対する理解や愛着を深め、地域の問題に関心を持ち、問題解決に取り組みたいと考えるようになっている人が多いことから、まちづくり活動が助け合い活動につながる関係構築に寄与しているといえる。
著者
八月朔日 泰和 後藤 薫 渡辺 雅彦
出版者
山形大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

野生型に比してDGKβ欠失マウスの線条体投射ニューロンの棘突起数が減少していることが明らかとなった。また、DGKβとAMPA型グルタミン酸受容体のサブユニットであるGluR2の結合が見出された。DGKεについてはDGKεが小脳プルキンエ細胞樹状突起に発現すること、またsubsurface cisterns内に局在することが明らかとなった。内分泌細胞については、ラット副腎にはmRNAレベルでDGKβおよびDGKεの発現が認められたが、DGKβは蛋白レベルでは副腎には発現していないと考えられた。一方DGKεは、副腎皮質球状帯細胞の形質膜に局在する可能性が明らかになった。
著者
赤津 裕康
出版者
医療法人さわらび会福祉村病院長寿医学研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

アンギオテンシン変換酵素(ACE)がAβ1-42を1-40に切断する事をヒト、マウスで明らかにした。ACEには遺伝子多型(Isoleucine; I/Aspartic acid; D)が存在しI typeが発症リスクとされている。神経病理診断を行った488例でACE I/D多型とAlzheimer病(AD)との関連を検討した。165例がADと診断されACE多型はAD群DD 25(15%)/ID 73(44%)/II 67(41%)に対しnon AD 群がDD 42(13%)/ID 141(44%)/II 140(43%)となりカイ二乗検定では統計的有意差はなかった。
著者
久保田 雅久
出版者
東海大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

海上での海洋気象パラメータの日内変動について研究した。研究には海上ブイによる観測データと衛星観測データを使用した。ブイデータに対してDaily mean march dataの作成、調和解析、あるいはスペクトル解析を行い、各観測点におけるいろいろな海上気象パラメータに対して、その振幅の大きさや位相変化を明らかにした。さらには、複数の衛星データを利用して、高時間解像度の海上気象パラメータプロダクトの構築に関する研究を行った。
著者
山崎 泰広
出版者
静岡県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

肝毛細胆管膜に存在するコレステロールトランスポーター・Abcg5/Abcg8の機能亢進は、コレステロール胆石症を引き起こすと考えられている。我々はこれまでに過栄養状態が肝毛細胆管膜におけるAbcg5/Abcg8の機能、および発現を顕著に増加させることを見出したが、その機構に関しては不明であった。本研究では、過栄養状態がAbcg5/Abcg8のトラフィキング、および機能発現に与える影響について解析した。その結果、肝臓にコレステロールが蓄積した状態では、細胞内小胞に蓄えられたこれらトランスポーターの毛細胆管膜への移行が促進すること、その機構にcAMPシグナルが関与することを明らかにした。
著者
中溝 和弥
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究においては、民主制の下で社会集団間の暴力的対立を解決する条件を探ることを目的とした。手法として、宗教暴動、カースト間対立、階級対立の激しさで知られるインドのビハール州、グジャラート州、アーンドラ・プラデーシュ州の比較分析を行った。その結果、次の三点が明らかになった。第一に、暴力的対立が起こる要因として社会・経済的格差の存在が重要であること、第二に、暴力的対立を克服するために、NGOなどの市民社会のアクターが重要な役割を担っていること、最後に、暴力の克服のためには、市民社会の活動に頼るばかりではなく、暴力的対立を防ぐための制度改革が必要であることである。
著者
柴田 祥一 高丸 尚教 大嶋 晃敏 小島 浩司 土屋 晴文 渡邉 恭子
出版者
中部大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究は,太陽フレア時にイオンがいかにして高エネルギーにまで加速されるかを調べるため,そのイオンが太陽大気中で作る中性子のエネルギー分布や生成量の時間変化を観測することを目的とする.中性子を測るのは,太陽地球間の磁場の影響を受けずに直進してくるので,イオンの加速時の情報を保持しているからである.本科研費では,加速器実験で使用された粒子飛跡検出装置(SciBar)を,上記の目的のための観測装置として改良後,メキシコのシェラネグラ山頂(4600 m)に設置するため,小型試作装置で予備観測を行った.そして,観測結果を計算機シミュレーションと比較・検討し観測システム(SciCRT)を構築・稼働させた.
著者
宮嶋 尚哉 棚池 修
出版者
山梨大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

特徴的なナノ構造を有するバクテリアセルロースゲル(ナタデココ)を用いて,金属塩担持バインダレスカーボン電極の合成を試みた。種々の金属イオン(Mo, Mn等)を含む水溶液にナタデココを含浸,乾燥を行い,引き続き窒素雰囲気下で加熱処理を行った。セルロース中の酸素と含浸金属塩が反応することで,それらの金属酸化物がセルロース炭化物中に高分散担持され,さらに,加熱前のセルロースファイバのナノフィブリルがそのまま保持炭素化されることで,ミクロ孔性のバインダレス電極が得られた。担持金属酸化物はレドックス反応の活性種として機能し,ポーラスカーボン由来の電気二重層容量に加えて疑似容量の増加が認められた。
著者
岡本 清美 利根川 孝 野村 清英 中野 博生
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

量子スピン鎖の相転移点を数値計算データから精密に決める解析方法として我々の開発したレベルスペクトロスコピー法がある.本課題ではこのレベルスペクトルスコピー法を種々のモデルに適用して,新奇相の発見,相図の精密化,などをおこなった.具体的には,異方的S=2スピン鎖については約20年前の提唱があったものの長い間存在が否定されていたintermediate-D相の存在をはじめて確認した.また,相互作用パラメーターに関する論争が長く続いていたアズライトの磁性に関し,論争に決着をつける結果を得た.