著者
浅見 泰司
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011-04-28

敷地形状の基本要素である敷地の奥行、間口の分布に関して分析した。敷地の平均奥行や間口の長さの分布関数に関する理論的・実証的分析を行った。また、住宅市場分析も行い、中国北京の住宅市場における床面積の選好度の違いや住戸プラン選考の分析、地域内の社会階層居住分化の分析、地域評判情報の分析、居住満足度の分析、居住階層と店舗空間分布の関係の分析も行った。
著者
川口 将史
出版者
富山大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

生殖的隔離は種分化を引き起こす重要な素過程の一つであるが、その成立メカニズムは明らかになっていない。生殖的隔離の神経基盤を解明するため、ヨシノボリの雄が同種の雌に求愛、あるいは別種の雌を排他する際に活動する脳領域を、最初期遺伝子c-fosの発現パターンを指標に同定した。その結果、視覚情報の処理過程や全身性の反応を制御する下垂体・視床下部の活動に違いが見られた。このことから、ヨシノボリの雄は雌を視覚刺激で識別しており、視覚情報の一次入力領域である視蓋が行動選択における判断の中枢として働くことが考えられる。
著者
中島 伸一郎
出版者
山口大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

都市水害を抑制する新しい舗装構造として側面流入型の貯留浸透舗装を提案した.本舗装構造の基本的水理特性および力学特性を把握するため,路盤材に対する大型透水試験と舗装模型に対する繰返し平板載荷試験を実施した.透水試験の結果,路盤材の透水係数は粒度分布によらずおおむね10-1cm/secであることを明らかにした.舗装模型に対する繰返し平板載荷試験の結果,浸水時には路面のたわみが大きくなるとともに路床面に作用する応力が上昇するが,これは浸水により路盤の剛性が低下することが原因である可能性が高いことが明らかとなった.
著者
南雲 サチ子 松浦 成昭 河口 直正 森 誠司
出版者
大阪大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

癌細胞の形態学的異型性のうち、構造異型については接着分子インテグリン、カドヘリンの発現の変化が構造異型に重要な役割を果たすことを明らかにした。細胞異型、特に核の異型に関しては、細胞異型の高度ながん細胞にH3K9me3、HP1α(ヘテロクロマチン関連タンパク)の発現亢進が見られた。また、in vitroでH3K9me3の発現を亢進させると細胞遊走能、細胞浸潤能が増加する結果が得られた。核膜タンパク質LINC complex分子については癌細胞の異型度の著明なものにはSUN1、SUN2、Nesprin2の発現低下が見られた。
著者
可部 明克
出版者
早稲田大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

感性刺激で脳を鍛えることにより認知症の予防などに役立てることを目的として、人間の生活空間の中で使用するロボットシステムを開発した。特にスヌーズレンと呼ばれるヒトの五感を刺激するデバイスを使用したことに加え、そのデバイスと連動しながら、ユーザとのコミュニケーションを行う赤ちゃん型ロボットやパンダ型ロボットを試作開発した。さらに展示会に出展して幅広く公開し(2009国際ロボット展、2011国際ロボット展等)、市場のフィードバックにより機能を評価した。
著者
鈴木 一人
出版者
北海道大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

本年度は中国における宇宙開発を中心に研究を進める予定であったが、昨年度に引き続き、本年度の前半はアメリカ・プリンストン大学の国際地域研究所への長期出張が継続しており、現地で最新の国際政治学の研究に触れながら、グローバル・コモンズとしての宇宙空間のガバナンスについての研究を行った。しかし、本年度の途中で国際連合安全保障理事会の下にある1737委員会(通称イラン制裁委員会)の専門家パネルの専門家として任命されることとなり、やむなく本研究に対する補助金の廃止を申請することとなった。とはいえ、本年度も多くの研究成果が残すことが出来た。宇宙関連の政官学の主要人物が世界中から集まるアメリカのNational Space Symposiumで本研究の報告をすることが出来たほか、ヨーロッパ研究の世界最高峰と言われるEuropean Union Studies Associationで宇宙のグローバルガバナンスにおけるEUの役割について報告したほか、日本EU学会においても、共通論題の報告者として本研究の成果を発表した。また、インドのマニパル大学において、日印戦略対話の一環として、インドとの宇宙協力の問題について議論し、新興国であるインドと日本の関係について論じた。著作としては『国際安全保障』に「宇宙空間の軍事的重要性の高まりと宇宙安全保障」として、宇宙空間のガバナンス問題を取り上げ、途上国・新興国の台頭に伴うルール作りの必要性を論じた。また、外務省の外郭団体である国際問題研究所のグローバル・コモンズと日米同盟プロジェクトに参加し、その報告書の原稿(近刊予定)を執筆し、ミネルヴァ書房から出された『国際関係・安全保障用語辞典』の宇宙関連の項目を合計11項目担当した。
著者
彼末 一之
出版者
早稲田大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

野球の投手が投じるボールの回転は投球のパフォーマンスに大きく影響すると考えられるが,これを決定する身体動作は明らかになっていない.そこで申請者は高速度ビデオカメラを用いて手,指の動作とボール回転を同時に測定するシステムを開発し,手,指の動きとボール回転との関係,ボールの"ノビ"を表す物理的性質について検討した.その結果,リリース直前に指の動作は,直球の回転速度に強く影響することが分かった.また“ノビ"が良いとされる投手の投じる直球は回転速度が高く,回転軸角度が純粋なバックスピンに近いものであった.
著者
鹿野 雄一
出版者
九州大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

これまでほとんど知られることのなかった垂直断崖の動物生物多様性と、垂直断崖の持つ生態的・進化的機能を明らかにすることができた。前者においては大台ケ原にて調査を行い、断崖壁面における動物多様性は周囲森林として比較して有意な差は示されなかった(ただし代表者の別の研究で植物多様性は断崖と周囲森林とで差異があることが示されている)。 一方後者においては西表島にて調査を行い、 地形侵食により河川に断崖ができ滝が形成され、その結果回遊性淡水魚 (クロヨシノボリ) が陸封・隔離され、 別の種へと種分化 (キバラヨシノボリ)したことが明らかになった。くわえてこのような種分化は各滝上で独立に起きており、遺伝的にもそれぞれの個体群が独立であるのにもかかわらず、同じ形態を示しており「平行進化」の典型的な例と考えられる。各滝上の陸封個体群と回遊個体群の遺伝距離は、滝の高さと比例しており、上記の仮説をさらに強化するものであった。また、遺伝的距離から地形侵食の速度を計算すると、例えば西表島にある沖縄県最大の滝「ピナイサーラの滝」は約8 万年かけて形成されたことが推定される。
著者
海崎 純男 赤井 智子 城谷 大 中田 博保 佐藤 久子 山崎 鈴子 中田 博保 松村 竹子 梶原 篤 城谷 大 岩松 雅子 加藤 由美子 戸屋 圭子
出版者
大阪大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

マグネシウムケイ酸塩セピオライト(SEP)のMgイオンをランタニドイオンとイオン交換して光増感配位子を配位して得た研究目的の視認性発光についてはSEPとベンゾフェノン系とポリピリジン及びβ-ジケトン配位子を含むSEP:Euが実用化レベルの紫外光励起の蛍光灯下視認性赤色発光を示すことがわかった。これらの紫外部と4f-4f発光強度比を視認性発光の基準とすることができた。さらに配位子による光安定性の違いに基づき、高耐光性強発光体の合成に成功した。紫外光照射によって、発光強度が30分で20%近く増大することを見出した。この原因はSEP内トラップ電子による熱ルミネッセンスが関連していると考えられる。
著者
光延 聖 白石 史人
出版者
愛媛大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

海底下微生物は活性が著しく低いことなどから、その解析が地球上で最も困難な生態系と言われており、基礎的な代謝反応ですら未解明である。この現状を打開するために、本研究では、2つの最先端分析法(走査型透過X線顕微鏡と蛍光in situハイブリダイゼーション法)を組み合わせることで、海底下微生物の分析に特化したシングルセル(1細胞)レベルでの金属化学種分析法を確立した。
著者
桐山 勝枝 柳 奈津子 戸田 美紀 橋本 三智重 柴田 明子 時田 潮
出版者
群馬大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究の目的は、ヒーリングタッチによって生じる生理的・主観的効果を検証することであった。生理的反応では、ヒーリングタッチを施術する者のバイタルサインや唾液アミラーゼの数値が上昇し、ヒーリングタッチを受ける者の数値が下降する傾向がみられた。主観的反応では、ヒーリングタッチによるリラクセーション効果の他にも様々な反応がみられた。生理的反応と主観的反応を確認することにより、ヒーリングタッチは数値では測定できない反応が多くあることが示唆された。
著者
小島 尚人
出版者
東京理科大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は、同時多発型・斜面崩壊危険箇所評価支援を目的として、リモートセンシングを導入した誘因広域逆推定アルゴリズムを構築し、その活用方法を示したものである。研究成果は以下の2つの項目に大別される。①平成24年度:斜面崩壊形態別(表層崩壊、深層崩壊、地すべり)・誘因逆推定アルゴリズムの構築、②平成25年度:源頭部斜面崩壊危険箇所評価支援を目的とした誘因逆推定アルゴリズムの構築。構築したアルゴリズムを通して得られる「誘因影響図(誘因逆推定図間の差画像:感度分析)」を用いれば、複数の崩壊形態間の誘因影響を同時に分析でき、同時多発型・潜在危険斜面の広域推定支援策の一つとして寄与できることを示した。
著者
米倉 雪子 宮本 和子
出版者
昭和女子大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

カンポット県とプレイヴェン県、各2村で農家有志自身が生計記録と乳幼児体重測定記録を2年継続、3年目は各県2村増やし生計記録のみ開始。成果は1)独自の生計記録シート作成、2)農家自身が生計記録[農産物収穫/自家消費/販売量,農業/非農業収入,支出(農業投資,食費,教育費,治療費他),病気人/日数,資産,貯金,借金]、3)農家の意識化と行動変容(節約。食料自給生産と採取増加)、4)課題は生計記入/計算間違い、記録中止、5)体重測定で生後半年弱は約7-8割が平均体重線以上だが2.5-3才は約9割が平均線以下、6)農業生産と健康改善の同時支援による生計改善策を考察するため生計記録を対象8村で継続。
著者
間野 義之
出版者
早稲田大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

本研究は、日本におけるエリートアスリートの環境の整備、および国際競技力向上を図るため、国際研究者コンソーシアム「SPLISS」に参画し、エリートスポーツ政策とトップアスリートの環境に関する定量的な国際比較研究を行い、日本のエリートスポーツ政策の主要成功要因や課題を明らかにすることを目的とした。日本のエリートスポーツシステムは他国に比べ「トレーニング施設」「国内・国際競技大会」「医科学研究」が優れている一方で、「スポーツ参加」「タレント発掘・養成」には一定の課題があることが明らかとなった。
著者
関川 伸哉 勝平 純司
出版者
東北福祉大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

疑似体験用具の使用は,高齢者の移動動作上の不自由さを理解する上で有効な手段であるといえる.しかし,現状の疑似体験用具は補装具などを用い,関節可動域の運動制限を与えることを主体とした静的な構造になっており,高齢者の動作が正しく疑似できているとは言い難い.そこで,従来の受動的な運動制限主体の静的構造を超えた,新たな能動的要素を付加した疑似体験用具の開発を行うことを目的とする.本研究では,高齢に伴う身体アライメントの変化に着目し,疑似体験用具装着者が高齢者の運動を実態に即した形で体験でき,かつ装着の再現性・容易性を実現した用具の開発を目指すものとする.
著者
岡崎 浩幸 加納 幹雄
出版者
富山大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

本研究の目的は、英語教員の長期派遣者がどのような研修を受け、経験をいかに現場に活用してきたか、また、還元の妨げになっていたのは何かを明らかにし、今後の海外研修のための示唆を得ることである。その結果、研修内容には概ね満足し、帰国後使命感をもち、現場への還元にも取り組もうとするものの、得られた経験が他の英語教員のために十分に還元できていないことが明らかになった。還元を妨げていたのは「成果と現場とのギャップ」「研修への理解者不足」「還元機会の欠如」であった。今後の研修については「帰国後サポート体制」「英語教員への還元」「事前の目標設定」が研修成果を広げていくために必要であることも明らかになった。
著者
天野 雅郎 小関 彩子 佐藤 和正 永井 邦彦
出版者
和歌山大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

21世紀は、大学の激動の時代である。この研究は、そのような大学の激動の時代において、大学の再生の可能性を教養教育の視点から考察したものである。そのために、この研究では日本の近代の教養教育が、これまで辿って来た歴史を振り返り、それをヨーロッパの教養教育の理念と比較しながら、その影響関係や齟齬について吟味し、さらに加えて、21世紀の新しい教養教育の可能性について、理論と実践の双方向から、教育哲学による提言を行なったものである。
著者
須田 直人 友村 明人 安達 一典 長谷川 直哉
出版者
明海大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

歯の移動に伴って誘発される侵害受容機構や口腔内の組織変性が定量可能な実験モデルを、ラットの歯を移動し刺激用電極を用いて開口反射を評価することにより構築した。このモデルにおいて歯の移動後に起こった歯の移動測の開口反射閾値の低下は、数日間継続し、7日後には非移動測と同程度になった。一方、圧迫測における破骨細胞による歯槽骨吸収は、移動開始数日後より活発になり移動距離も増加した。これらの変化は、矯正歯科における歯の移動に伴う症状や所見と近似していた。このように本動物モデルは、臨床的な歯の移動に伴う疼痛を再現し、発痛メカニズムの解明や分子制御を考える上で有用な評価系と考えられる。
著者
能見 公博 松村 雅文
出版者
静岡大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

天体観測に必要な技術,「撮影・画像処理」,「姿勢制御」,「高速無線」の開発を進め,STARS-C衛星(テザー伸展実証衛星)に搭載し,平成28年末に打ち上げた.一方でカメラ技術が進歩し,超小型衛星に搭載できるカメラで,星空を撮影できるようになった.そこで天体観測を主ミッションとする教育利用を目的とするCubeSatを開発した.また本研究は理科教育への展開を目的とし,「小型衛星の科学教育利用を考える会」をH27年度に立ち上げ,議論してきている.工学部・教育学部・理学部の教員,高専・高校の教員,科学館・博物館・天文台の職員,アマチュア技術家など幅広い分野からの参加があり,今後も継続していく.
著者
田原 大輔 杉本 亮 富永 修 谷口 真人
出版者
福井県立大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

小浜湾への地下水湧出量を222Rn・塩分の収支モデルから推定したところ、地下水は、全淡水流入量の4~44%を占めており、河川流量の低下する夏季にその割合が高くなる傾向にあった。また、地下水から供給される溶存無機態の窒素、リン、ケイ素は、全陸水由来の栄養塩輸送量の平均で39%、58%、37%を占めていた。特に小浜湾の一次生産はリン制限下にあるため、地下水によるリン供給は小浜湾の生物生産において重要な役割を果たしていると考えられた。