著者
高橋 雅英 徳留 康明
出版者
大阪府立大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では、本手法の高い汎用性を最大限に活用したメソポーラスシリカ膜への外部刺激応答性の付与に着目し、外部刺激により駆動するナノ-マイクロデバイスの創製を目指した。これにより、高い比表面積を有するメソポーラスシリカ材料にμmサイズの外部刺激応答構造を付与し、物理的特性の変調を用いた外部刺激応答性がnm領域においても発現するような、nm~μmに渡る広範なサイズ領域での機能性界面構造創製へとつながる成果を得た。具体的には、メソ孔の開口部径を機械的刺激により制御し、選択的な吸脱着特性を有する多孔性薄膜を実現した。
著者
和田 七夕子
出版者
奈良先端科学技術大学院大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

シロイヌナズナ系統間交配により得られた種子の大きさについて、ゲノムワイド関連解析をおこなうことで、シロイヌナズナ種子発達に作用する父性因子を探索した。雌しべ親をCol-0に固定し、123種類のシロイヌナズナ種内系統を花粉親として交配した種子サイズについてのGWASは、5か所の弱く相関するゲノム領域が得られた。雌しべ親に四倍体Col-0を用い、花粉親に65系統を用いた交配種子の大きさについては、3か所のゲノム領域において弱い相関が見られた。
著者
久保田 尚
出版者
埼玉大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

本研究では、理論的には全歩行者から取得可能な行動や表情といった外形的な特徴に着目し、歩行者の意識と歩行者の外形的な特徴の関係を分析する中で、歩行者空間の評価指標を開発する事を目的とした。その結果、歩行環境の違いによって歩行者の表情、及びしぐさには違いが見られることを明らかにし、これら歩行者の可視的特徴を評価指標とした歩行環境の評価が可能であることが示唆された。
著者
田久保 海誉
出版者
地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所)
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

患者データベースの解析から、母親から胆道閉鎖症の女児、男児への移植は拒絶反応の低いことがわかった。また、レシピエント年齢が低いことが、免疫抑制剤からの離脱に有利であることが示唆された。年齢の高いドナーからの移植では、レシピエントの肝細胞のテロメアの短縮が高度であることがわった(Q-FISH法による測定)。移植片のテロメアは免疫学的によくコントロールされている症例では、延長する症例がみられた。母親からの男児への移植片中には多数のY染色体陽性細胞(主に血管内皮細胞)が観察された。しかし、ケラチン陽性細胞ではきわめて少数であった。
著者
大西 弘子
出版者
近畿大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

現代民主主義は、単位とメンバーシップの双方において、民主主義の規範理論にとって想定外の条件のもとで機能している。すなわち、国家・自治体・超国家組織などの単位が相互に入り組んだところで、専門家や利益集団といった有権者以外のメンバーによって諸政策は決定されている。こうした政策決定を議会主権から正統化することは、もはや困難である。それでは、現代民主主義における政策決定の正統性はどこに求められうるのか。本研究は民主主義の規範理論の更新にむけて、論点の整理をおこなっている。
著者
阿尻 雅文 青木 宣明 高見 誠一 盧 金鳳
出版者
東北大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

数学の予測から、sp^2結合のように平面上で120°に分岐する3本の結合を持つ等価な原子から構成される3次元のネットワークが存在することが明らかとなった。本研究では、炭素を構成要素とする結晶構造の存在する条件やその物性を予測すると共に、合成に必要な条件の解明を行った。
著者
佐藤 眞一 柳堀 朗子 小窪 和博 荒井 裕介 原田 亜紀子 安藤 雄一 角南 祐子 江口 弘久 芦澤 英一 高澤 みどり
出版者
千葉県衛生研究所
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

千葉県食育ボランティアは4,903人、千葉県食育サポート企業は147社、海匝減塩標語は1,498の応募があった。2002から12年度の連続する2年の翌年度非受診率を初年度所見ごとに比較した。2004-5年度以降、肥満者と非肥満者で有意に異なり、特に2008-9年度で、男で肥満者29%非肥満者25%、女で肥満者28%非肥満者23%と最大の差を認めた。2008-9年度の特定健診連続受診者278,989人を対象として生活習慣に関する質問項目とメタボ罹患との縦断調査を行った。メタボ出現のオッズ比(95%信頼区間)は、早食い1.48 (1.43-1.55)、早歩き0.80 (0.77-0.83)だった。
著者
平田 公一 佐藤 昇志 鳥越 俊彦 古畑 智久 大村 東生 亀嶋 秀和 木村 康利 九冨 五郎
出版者
札幌医科大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

消化器領域あるいは乳腺領域の超進行切除不能癌あるいは再発癌に対し、サバイビン2Bペプチドを用いた癌ペプチド療法を8例に実施した。6例に明らかな免疫学的反応を認め、臨床効果についてはrecist基準では6例にSD、2例にPDであった。尚、注射局所反応を除くと、有害事象についてはグレードIの発熱以外に面倒なものを認めなかった。したがって全例でプロトコル上の臨床研究は可能であった。一方、従来よりMHCクラスI発現が無いか極めて低い癌細胞のあることが知られており、それらについては、発現亢進のためにHDAC阻害剤の投与の有用性が動物実験的研究において知られていた。そこで適応症例については、ワクチン療法前にHDAC阻害剤の経口投与を試みた。登録症例研究計画期間終了直前に生じたことにより、現在、進行中であり、今後の分析対象とする。研究については安全に実施できたと言えるが、登録症例数の円滑な増加がみられないことが課題として残った。
著者
岩永 喜久子 小板橋 喜久代 神田 清子 二渡 玉枝 常盤 洋子 岡 美智代 牛久保 美津子 小泉 美佐子 前田 三枝子
出版者
群馬大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

A大学附属病院に9領域の教育-臨床連携による看護専門外来を開設し、看護のイノベーションとして看護役割拡大モデルを提示した。9領域の看護専門外来は、リラクセーションマッサージ、リラクセーション外来、リンパ浮腫外来、がん看護相談外来、乳腺看護外来、糖尿病療養相談・フットケア外来、母性看護外来、神経内科看護相談外来、母乳外来である。従来の診療体制の医学モデルに看護独自の専門性を加えて、キュアとケアを融合させた。
著者
駒崎 慎一 足立 吉隆
出版者
鹿児島大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究課題では,BWR模擬環境中での低炭素オーステナイト系ステンレス鋼の水素誘起加速酸化(HAO)のメカニズムを明らかにすることを目的とした.その結果,鋼中への水素添加によって,内層酸化皮膜中のCr濃度が減少し,空孔濃度が増加することを改めて確認した.加えて,BWR模擬環境中にてスモールパンチ試験を行ったところ,水素添加材のみで応力腐食割れ(SCC)が発生し,またき裂先端で酸化が加速されていたため,SCC初期き裂発生には水素による加速酸化が大きく影響することがはじめて明らかとなった.
著者
宮本 和子 米倉 雪子 KOMA Yang Saing
出版者
獨協医科大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

体重測定調査結果で、乳幼児が徐々に慢性的な低体重になることに村ボランティア・養育者共に気づいた。乳幼児の低栄養‐低体重‐感染症の関連を考える機会にもなった。離乳食の試食で乳幼児が「食べる姿」を目にし、村にある食材で簡易・安価に離乳食が作れると理解したが、農村部ではその習慣が乏しく各家庭で継続的に行うことは容易ではない。生計記録の一例を見ると、農業生産で自給でき、現金収入も得ている家庭では栄養バランスがよく、低体重児・疾病も少ないと推測された。結果報告会に参加した村人の関心も高かった。農村部の乳幼児の低栄養・健康改善には農業生産向上による食糧自給と収入向上が有効かつ実現可能な手段だと考える。
著者
香取 洋子
出版者
北里大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2007

調査予定施設の産科閉鎖のため、施設・実施方法を修正・変更し、前年度生理学的に検討を行ったインファントマッサージを、早産・低出生体重児を出産した育児不安の高いハイリスク母子に対して実施し検討を行った。母親は里帰り出産で実家に帰省し、早産で児を出産した。初回介入時、修正月齢1ヶ月であったが、児があまり眠らないこと、他の子どもと比べて小さいこと、出生時に医師から児の脳への影響の可能性について話がされたこと等、児の成長発達に強い不安を抱いていた。また、出産後外出することがなく、-日中パジャマで過ごしていた。児の発達・発育は修正月例相当であったが、母親は児が長く寝ないことに対し非常に神経質になっていた。全5回の介入のなかで、この時期の子どもの睡眠-覚醒リズムについて伝え、マッサージを通じて子どもの反応に気づくことを中心に介入を進めていった。2回目には、実母からは肉親以外に不安に思っていることを話せたことで、ノイローゼ気味だった娘(母親)が非常に落ち着いたとの感想があった。マッサージ中の母親の様子は、児が泣きに過剰に反応し、なだめも単調な介入方法で効果的ではなかったが、次第に落ち着いて対処できるようになった。また、マッサージを通して母親が児のコミュニケーション能力を確認することができた。子どもなりのペースで成長も認められるようになり、6ヵ月後、母親は一人で育児をする決心をし、自宅へ戻った。以上のことから、早産・低出生体重児をもち、育児不安の高いハイリスク母子に対して、マッサージの指導を介した、子どもとのスキンシップを促す機会とスキルを提供することおよび、継続的な個別訪問による母親への精神的支援が有効である可能性が示唆された。
著者
児島 明
出版者
鳥取大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2008

越境移動する人びとの教育に関する先行研究を検討して浮かび上がってきたことの一つに、いわゆる「若者の危機」について数多くの研究が蓄積されるなかにあって、移動する青年の「移行」については、ほとんどまともな研究がなされていないことがあった。これは、従来の移行研究が、「日本人」を前提としたナショナルな枠組みに暗黙のうちにとらわれ、移動あるいは移動する人びとの視点を欠いてきたことに起因するものと思われる。そこで、国境を越えた移動のなかで青年期を過ごすブラジル人青年の移行経験について、かれらが自身の「自立」や「自己実現」をどのように意味づけ生きているのかに注目し、日本とブラジル両国での聴き取り調査を行なった結果、かれらの語りからは、移動による獲得と喪失の経験をめぐって、「獲得の持続」「喪失への転化」「喪失の累積」「獲得への軌道修正」という四つの物語が析出された。とりわけ「獲得への軌道修正」は、度重なる移動による「喪失」経験の累積を断ち切る可能性として、移行支援の文脈からも興味深いものであった。ただし、「軌道修正」の可否は、当該の青年が居住する地域においてアクセス可能な諸資源の有無、あるいはそうした諸資源へのアクセスを可能にしてくれる知人・友人や支援団体(社会関係資本)の有無といった偶然性に大きく左右される。その意味では、ニューカマー青年の移行の結末は、かれらの自己決定ないし自己責任に安易に帰されるべきものではない。移行期を生きる青年はさまざまなゆらぎのなかを生きており、国境を越えた移動の経験もそうしたゆらぎをもたらす大きな要因の一つである。人間形成の途上にあって、ゆらぎながら生き方を模索する可塑的な存在としてニューカマー青年を理解し、どのような局面でどのような働きかけが望ましいかを熟慮することは、今後、ニューカマー青年に対する実効的な移行支援を構想するにあたり重要なポイントとなる。
著者
児玉 康一
出版者
愛知教育大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

本研究計画期間内に下記の携帯電話ソフト3種を開発した。1.色情報のリアルタイムな変化を音楽(和音のアルペジオ)として表現するソフト。携帯電話内臓カメラからリアルタイム画像を取得する事が困難であったため、カラーセンサと赤外線通信モジュールをワンチップマイコンで制御し、カラーセンサで取得したリアルタイムの色情報を、赤外線通信を使って携帯電話に送信するハードウェアを作成した。開発したソフトはこのハードからの色情報を音楽として表現するものである。これを使えば、透過光量を測るだけの従来型の感光器では識別困難な、BTB溶液の青と緑の識別を明確にできる事を確認した。盲学校の理科実験での試用には至っていないが、準備はほぼ完了しており今後行っていく予定である。2.携帯電話内臓のカメラを使って撮影した画像の中央部の色(RGB値)を認識し、これに応じた色の名前を、携帯電話の音楽再生機能を使って、読み上げるソフト。色の名前は、視覚障碍の生徒と晴眼者とのコミュニケーションに有効であり、いろいろなものの色を調べるのに使える。3.携帯電話内蔵のカメラを使って7セグメントデジタル表示の数値を認識し数値として読み上げるソフト。これを使えば、音声出力に対応していない各種測定器(pH,重量等)に対して簡単に音声出力機能を付加する事ができる。「市販されている安価な測定器を盲学校の理科実験で使えないか?」という盲学校の先生の要望を形にしたものである。いずれのソフトも、DoCoMoのiアプリでの実装と動作確認は完了している。今後、盲学校の先生への広報はもちろん、より多くの人に使ってもらえる様に、SoftBankのS!アプリなど、他の携帯電話への実装を引き続き行っていく。
著者
松永 信博 千葉 賢
出版者
九州大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

研究代表者は,有明海の環境研究を通して,梅雨期において諫早湾内では,諫早湾全体にわたる大規模な塩淡成層が形成し,ある時は湾奥部は通常海水の半分まで低塩分化し,ある時は通常海水に回復するという現象を見出した.本研究プロジェクトでは,この塩淡成層は有明海に流れ込む河川水によって作られ,成層構造の出現と消失プロセスは局地風に起因するという仮説の下,河川からの淡水供給と風応力を組み込んだ3次元流動モデルを開発し,再現計算を行った.その結果,成層構造は主に筑後川からの河川水に起因しており,諫早湾において卓越する北北東の風と南南西の風が成層構造の出現・消失プロセスに寄与することが明らかとなった.
著者
周東 智 嶋脇 健
出版者
北海道大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

cADPR(1)Ca2+動員を担うセカンドメッセンジャーであるcADPR(1)は非常に不安定であるので、申請者が先に開発したcADPRの安定等価体である炭素環アナログcADPcR(cADPR,2)をプロトタイプとして、ADPR標的タンパク質同定のためのバイオロジカルツールの創出を目指した。バイオロジカルツールを創出する上での鍵化合物として4"α-アジドcADPcR(3)を設計し、その合成を達成した。さらに、3が望みの生物学的機能を有することを確認した。
著者
生坂 政臣 大平 善之 野田 和敬 鋪野 紀好 塚本 知子 鈴木 慎吾 上原 孝紀 池上 亜希子
出版者
千葉大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

医学生のProblem-based learning (以下PBL) テュートリアルにおいて、患者再現VTRを用いることにより、プライマリ・ケアの実臨床に即した幅広い領域での診断推論が行われるか否かを、従来の紙媒体を用いたPBLテュートリアルとの比較において検討した。その結果、患者再現VTRを利用しても鑑別疾患数は増加しなかったが、心理・社会面を含めた多方面からアプローチする診療が意識づけられ、さらにテューターへの負担も少ないなど、患者再現VTR利用のメリットを明らかにすることができた。作成コストは小さくないが、このような患者再現VTRは今後の卒前の医学教育に大きく資するものと期待される。
著者
大木 裕子
出版者
京都産業大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

無形文化財としての国際的音楽祭の価値について、伝統、革新、市場の観点から分析をおこなった。事例研究の対象としたのは、ヨーロッパにおける主要音楽祭として、バイロイト音楽祭、ザルツブルグ音楽祭、ルツェルン音楽祭、PROMS、ブレゲンツ音楽祭、ヴェローナ音楽祭、アメリカの主要音楽祭としてサンタフェ・オペラである。無形文化財としての音楽祭の価値を保つためには、クラシック音楽の持つ伝統、演出的な革新、顧客の鑑識眼、そして市場を見る経営者としての能力が必要になる。
著者
菊地 栄治
出版者
早稲田大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

持続可能な高校教育改革の実践と構造について、事例研究と質問紙調査等を通して、以下の知見が得られた。(1)「育成すべき力」は高校階層によって強く規定されており、生徒の現実をふまえた目標設定が必要となる、(2)教員自身が他者と向き合い自己変容しつつ共通の成功体験を重ね「学習する組織」を創ることが鍵を握る、(3)他校に示唆を与えるような改革を実践している高校がきわめて限定されているという事実をふまえ、地域や行政機関などの社会資本を活用することでシステム全体として持続可能性を高めていくことが重要である。
著者
中村 聡史
出版者
京都大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

スマートフォンを用いたグループで連携する情報検索(モバイル協調検索)において,グループメンバー同士で意思疎通を図りながら検索を可能とするため,2つの手法を提案および実現した.1つ目は他者の検索結果上への候補ページ割り込み手法で,これにより検索中の情報共有を可能とした.2つ目はグループメンバーの検索状況を考慮したクエリ推薦手法で,これによりある程度網羅的に調べつつも,意思決定をスムーズに行うことを可能とした.