著者
柳 綾香 小川 賀代
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.237-245, 2011
被引用文献数
1

近年の経済減速に伴う就職状況の悪化や,若年層の離職率増加の問題に対し,就職時のミスマッチの解消が課題とされている.このミスマッチの解消の一つとして,メタ認知や振り返りを通して真正な自己分析を行い,適性を把握することがあげられる.我々がこれまで提案・開発してきたロールモデル(卒業生)との能力値を比較・分析できるRMPシステムにおいて未活用であった文書データ(自己アピール文,エントリーシート)には,主観的意見が含まれており,数値では測れない情報が含まれている.これらの文書情報を活用した適性職種診断,企業マッチング診断機能は,新しい知見を示すことができるため,振り返りの材料となり,ポートフォリオサイクルを活性化することができる.そこで,本研究では,ロールモデルの文書データを解析し,適性職種診断と企業マッチング診断機能の開発と評価を行った.また,これらの機能をRMPシステムへ実装し,自己分析の自律的活動を促すキャリア支援システムの構築を行った.
著者
福山 佑樹 山田 政寛
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.201-210, 2019-01-20 (Released:2019-02-02)
参考文献数
42

高等教育を取り巻く状況が変化するに従って,アクティブラーニングという概念が注目されるようになった.アクティブラーニングとは非常に広範な活動を含む概念であり,それ故にその実践においては,目的が曖昧になることや,評価が難しくなるなどの課題がある.本稿では,日本教育工学会に採録された教育実践研究論文の中から,高等教育におけるアクティブラーニング実践研究を対象として,その特徴を「育成したい能力・知識」,「授業デザイン」,「評価」のそれぞれと三者のつながりという観点から検討する.そしてこれらの検討から浮かび上がる,今後の高等教育におけるアクティブラーニング実践研究に対する展望を述べる.
著者
藤木 卓 市村 幸子 寺嶋 浩介 小清水 貴子
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.36, no.Suppl., pp.73-76, 2012-12-20 (Released:2016-08-09)
参考文献数
9

本研究では,両眼立体視により空間歩行可能なVRコンテンツの制作に必要な精度の変化が,現実感とVR酔いに及ぼす影響に関する知見を得ることを目的とした.そのために,大学生を対象とした主観評価実験を行った結果,次のことが明らかとなった.コンテンツの精度の変化に対して現実感とVR酔いは直線的な関係を示し,現実感が高くなるほどVR酔いの評価は低下する.また,コンテンツの精度に関しては,オブジェクトの形状の複雑さよりも貼付ける表面画像の質感の効果が高い.
著者
宮川 繁
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.181-185, 2006
被引用文献数
5

E-learningは1990年代後半のドットコムの「興奮」から現在の「失望感」に取って代わった.その教訓はなんであろうか.簡単にいってしまえば,ドットコムの経験は2度と繰り返してはいけないことであろう.しかし,それとは別に,e-learningでなかなか成功できない理由には,いくつか基本的な問題があるのではなかろうか.このような問題はドットコムのような一時的な問題を超えた,e-learningに見られる特有な問題である.まずは,e-learningはソフトウェアであることである.ソフトウェアの開発は,ソフト誤動作や予算超過などの原因により,失敗の可能性が高い.次に,開発チームに必要な人材は,摩擦がおこり安いメンバーで構成される.ソフトウェアの専門家と美的価値にこだわるアーティストタイプ,両方必要であるが,この2つのタイプの人間は,コミュニケーションの上で困難することが多く,仕事が進まなくなる例をよく見る.最後に,e-learningのプログラムは普及させなければ意味がないが,普及に必要な予算などはe-learningの企画には普通つかず,いいものを作っても使われず消えていくことが多い.
著者
松田 岳士 渡辺 雄貴
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.199-208, 2018-01-31 (Released:2018-02-05)
参考文献数
35

本稿では,教育工学を媒介として,教学IR(Institutional Research)とラーニング・アナリティクスの関係を整理すると同時に,教育工学の立場からみると教学IR とはどのような研究・実践の分野で,どのような知見をもたらしているのか検討してから,ラーニング・アナリティクスが教育工学とどのように関わっているのかについて考察した.結果的に,教育工学研究は,教育の諸課題を工学的アプローチで解決しようとするがゆえに,教学IR とラーニング・アナリティクスの両者と重複する研究対象・分析手法等を含んでおり,両者と知見を共有する意義がみとめられた.また,教育工学側も研究対象を広げ,新たな学際性の形成領域として両者との連携を積極的に図ることが期待される.
著者
川本 弥希 渡辺 雄貴 日高 一義
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.363-374, 2018-03-01 (Released:2018-03-16)
参考文献数
34

大学の授業設計において,学生の学習エンゲージメントの向上が注目されている.しかし,それら学習者の情意的な領域をどう捉え,評価すればいいのかの議論は十分に行われていない.そこで,学習エンゲージメントの形成へ影響を与える要因の抽出,及び関連する心理的概念の体系化を目的として,47名の日本の大学生を対象に,質的および量的調査を実施し,PARRISH のラーニングエクスペリエンス(LX)の形成に影響を与えている要因の分析を行った.その結果,PARRISHの定義にはない2つの外的要因,(1)他の授業の課題が忙しい等のその講義以外の要因や(2)友人など周囲の状況に影響を受けた等の講義品質以外の要因が抽出された.また,自律的動機,自己有用感,熟達目標,自己効力感の既存の心理尺度と,LX レベルに有意な正の相関関係があることがわかった.
著者
畑野 快 溝上 慎一
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.13-21, 2013
被引用文献数
2

本研究の目的は,大学生の学習を態度と時間の2側面から捉えた上で主体的な授業態度に着目し,その測定尺度(Active Class Attitude scale;ACA尺度)の妥当性の検討を行い,主体的な授業態度と授業内,外学習時間に基づいて学生タイプを作成することで,大学生の学習を量・質の両方の側面からサポートする視点を検討することであった.そのために大学1年生204名を対象とした質問紙調査を行い,まず主体的な授業態度と学習に対する積極的関与との弁別性を因子分析によって検討したところ,主体的な授業態度と積極的関与の項目が異なった因子に負荷することが確認された.次に主体的な授業態度と授業内学習時間,授業外学習時間,自主学習時間との相関関係を検討したところ,主体的な授業態度は全ての学習時間と有意な正の関連を示すことが確認された.最後にクラスタ分析によって主体的な授業態度と授業内,外学習時間に基づく学生タイプを作成したところ,5つの学生タイプが得られた.以上の結果を踏まえ,ACA尺度の弁別的,収束的妥当性及び学生タイプに基づいたサポートの方策について議論を行った.
著者
黒田 昌克 森山 潤
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.41, no.Suppl., pp.169-172, 2018-03-01 (Released:2018-03-01)
参考文献数
5

本研究では,全国の小学校教員を対象にプログラミング教育の課題や教員研修に対する意識を調査した(n =522).その結果,全体の92.0%がプログラミング教育に関する自己の知識・理解の不足に課題を感じていた.教員研修で得たい情報としては,81.4%がモデル授業の実践事例が必要と回答した.しかし,現任校の情報機器整備の不十分さに課題意識を持っている小学校教員がプログラミング教育のカリキュラム案に必要性を感じる傾向が強いなど,教員研修の内容に対するニーズは,課題意識の持ち方によって異なっている傾向が示された.
著者
藤井 義久
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.387-395, 2007
参考文献数
10
被引用文献数
5

本研究の目的は,「国際版情報リテラシー尺度」を開発し,中学生の情報リテラシー水準の国際比較を行うとともに,情報リテラシー水準を高める要因について検討することである.調査対象者は,日本,スウェーデン,フィンランド,デンマークの公立学校に通う中学生,計1144名である.項目分析及び因子分析の結果,8つの下位尺度(関心・意欲,基礎操作能力,情報収集能力,数学的思考能力,情報整理能力,応用操作能力,態度,知識・理解),計32項目から成る「国際版情報リテラシー尺度」を開発し,本尺度には一定の信頼性,妥当性が備わっていることを確認した.その尺度を用いて,青少年の情報リテラシー水準は,調査対象国中,日本が最も低く,特に,プログラミングやプレゼンテーション,ホームページの作成といった,パソコンの応用操作能力が極めて低いことが明らかになった.さらに,パソコンに接する時間や読書時間は,特に青少年の情報リテラシー水準と関連していることがわかった.
著者
岡崎 善弘 大角 茂之 倉住 友恵 三島 知剛 阿部 和広
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.41047, (Released:2017-07-26)
参考文献数
13

プログラミングの体験形式が小学生のプログラミング学習の動機づけに与える効果について検討した.体験形式として,(1) ゲームの作成方法を逐次的に教わりながら作成する講義型,(2) 2名1組で1冊のテキストを共有し,相互に教え合いながらゲームを作成する協同型,(3) 手渡されたテキストを見ながら単独でゲームを作成する個別型,の3タイプ間で動機づけを比較した.本研究の結果から,講義型または協同型でプログラミングを学習すると,プログラミング学習に対する動機づけは有意に上昇する一方で,個別型では上昇しないことが示唆された.
著者
平山 るみ 田中 優子 河崎 美保 楠見 孝
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.441-448, 2010
参考文献数
27
被引用文献数
2

本研究では,批判的思考を支える能力を測定するための尺度としてコーネル批判的思考テスト・レベルZ(ENNIS et al.1985)を用いて,日本語版批判的思考能力尺度を構成した.まず,コーネル批判的思考テスト(ENNIS et al.1985)を日本語に翻訳し,その内的整合性および難易度を検討した.さらに,批判的思考態度尺度,および認知能力としての知能を測定する京大SXとの関係性を検討した.大学生43名に対し,批判的思考能力尺度,批判的思考態度尺度,認知能力尺度を実施した.そして,批判的思考能力尺度について検討した結果,尺度の内的整合性が得られ,課題の難易度は適切であることが確認された.また,批判的思考能力尺度得点と言語性の認知能力尺度得点との間には正の相関がみられ,この尺度には言語能力が関わることが示された.そして,批判的思考能力尺度と情意的側面を測定する批判的思考態度尺度とは,関係性がみられず,それぞれ独立した尺度であることが示された.
著者
奥本 素子 岩瀬 峰代
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.205-215, 2012-12-20 (Released:2016-08-09)
参考文献数
14
被引用文献数
1

本研究では,PBLにおける社会的手抜きの有無,社会的手抜きと対立する状態の有無,それぞれの促進要素,阻害要素,各要素間の関連を質的手法によって調査していった.本研究の分析では,PBLにおいて社会的手抜きの発生の有無は個人よりもチームの活動に影響を受けていることが分かった.また単に社会的手抜きをしないだけでなく,学習者が自発的に行動するためには,チーム活動において意思決定に参与し,協力体制を構築した上で,責任を自覚し,具体的な問題発見を行うという過程を辿ることが明らかになった.よって,本研究では,PBLにおける自発的行動とは,チーム活動との相互作用の中で生まれると結論付け,自発的行動を促進するチームデザインを提案した.
著者
内垣戸 貴之 中橋 雄 浅井 和行 久保田 賢一
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.587-596, 2006
参考文献数
23
被引用文献数
1

日本教育工学会において,研究方法論に関する議論が活発に行われている.その中でも特に,教室内でのコミュニケーションなど,研究対象に対する深い理解が必要な場合において,質的研究法の価値が認められつつある.本論文では,教育工学における質的研究の重要性について確認しながら,質的研究を論文としてまとめる上で重要な研究の妥当性と一般化の適用範囲の示し方について,いくつかの観点を提案する.そして,具体的にそれらが日本教育工学会論文誌の研究論文において,どのような形で示されているか分析し,質的研究論文のまとめ方について考察する.
著者
大河内 佳浩 山中 明生
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.45-55, 2016-06-20 (Released:2016-06-17)
参考文献数
23

学期ごとに算出されるGPAを利用して退学者・休学者・留年者の分類を行い,入学直後のプレースメントテストや高校での履修状況・入学試験の結果を用いて分析を行った.その結果,数学プレースメントテストを利用することで,初年次に成績不振となる学生を50%程までに絞り込めることが判り,さらに初年次に退学者・休学者・留年者などの未進級となる学生の早期発見に利用できることも判った.一方,高校での履修状況や入学試験の結果と数学プレースメントテストとの間には明確な関係が見られず,それらを用いた初年次未進級学生の絞り込みも困難であることも判った.
著者
姫野 完治 益子 典文
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.139-152, 2015

教師の経験学習の特質を実証的に解明し,モデル化することを目的として,本研究では2つの調査研究を行った.研究Ⅰでは,教育行政職経験のある校長を対象として面接調査を行い,「経験から学習する状態」という視点で教師の学習を捉えられること,コミュニティにおける立ち位置の自覚と微修正が鍵となること等を見出した.その上で,教師の経験学習モデルを構築した.研究Ⅱでは,研究Ⅰで構築したモデルをふまえて,若手,中堅,ベテランの3名の教師のライフヒストリーを事例分析した.教師が経験から学習する状態になっているかどうかは,コミュニティ内の教師の立ち位置によって変動すること,教師の学習の状態を開く上で,学校外のコミュニティや勤務校の異動,自らの実践を対象化することが鍵になること等を明らかにするとともに,教師の経験学習モデルの妥当性と課題を示した.
著者
堀田 龍也 高橋 純 青木 栄太 森下 誠太 山田 智之 吉田 茂喜 江山 永
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.161-164, 2008
被引用文献数
4

教科書に準拠した算数科提示用デジタルコンテンツを開発した.教室におけるICT活用の現状と算数科の授業の実態から,教科書のレイアウトをそのまま拡大することを基本とした.開発された提示用デジタルコンテンツでは,見開きレイアウトの本文がリンク有効箇所となる場合が多く,リンク先のモジュールは本文と図表等の組合せが多かった.提示用デジタルコンテンツの開発を通して,教科書から提示用デジタルコンテンツへの変換ルールを同時に検討したところ,6カテゴリ,全26ルールのルール群が見出された.
著者
福山 佑樹 森田 裕介
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.365-374, 2014

社会的ジレンマにおいて協力行動を取ろうとする「道徳意識」を獲得するためのカードゲーム教材である「The irreplaceable Gift」を開発した.ゲームは,参加者にこれまでのゲームでは体験できなかった「社会的ジレンマによる悪影響の時間的遅れ」を体験させ,協力行動を取ろうとする道徳意識を獲得することができるようにデザインされた.「The irreplaceable Gift」を用いた実験群と,「時間的遅れ」の要素を除いたゲームを用いた統制群との比較実験の結果,本ゲームの参加者は「道徳意識」を獲得しており,その獲得はゲーム終了時のリフレクションを通して「未来への世代」への影響を参加者が判断した結果によることが示唆された.
著者
齊藤 貴浩 金 性希
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.339-350, 2009
被引用文献数
5

近年,高等教育の現場ではe-Learningが広く導入されてきている.それに応じてe-Learningの研究も盛んに行われているが,過去の研究で得られた知見が十分に共有され,また十分に活用されているとは言い難い.本研究では,高等教育におけるe-Learningに関する研究結果を収集し,それらを用いてe-Learningの効果に関する総合的分析を行った.収集した研究結果は過去12年間の136の論文であり,その中からメタ分析に使用可能な24の研究結果が抽出された.分析の結果,平均効果サイズは0.420であり,e-Learningには中程度の効果があることが明らかとなった.さらに,重回帰分析の結果,実験設定として動機付け関連度が高い方が,そしてメディア活用度が低い方が,学習効果が高いことが明らかになった.さらに,プレ・ポストの実験設計自体が実験・統制群の実験設計よりも効果サイズを高める影響を持っていることが明らかになった.
著者
楠見 孝 米田 英嗣 小島 隆次
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.415-424, 2008
被引用文献数
2

本研究は,教育用の3次元仮想空間オンラインチャットコミュニケーション・システムにアバターの表情機能を導入して,ユーザの会話に対する動機づけや相手の感情理解の精度に及ぼす効果とユーザビリティの評価に基づくシステムの改良を検討した.実験1では,15組の大学生ペアが,スマイリー入力表情システムと表情なしシステムの両方を用いて英語でチャットを行い,ユーザビリティを評価した.その結果,大学生のユーザビリティ評価においては,スマイリー入力表情システムの表情なしシステムに対する優位性を示すことはできなかった.そこでこのユーザビリティ評価に基づいて,スマイリー入力表情システムをアイコン入力表情システムに改良した.実験2では,16組の大学生ペアが,アイコン入力表情システムと表情なしシステムの両方を用いて日本語でチャットを行い,相手の感情を推測した.参加者の感情の推測はアイコン入力表情システムの方がより正確であった.最後にコミュニケーション・システムの改良に関する今後の課題を検討した.