著者
坊農 豊彦 長井 壽満 橋本 信彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. 人文科学とコンピュータ研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.76, pp.15-21, 2005-07-29
参考文献数
6

万能薬はないが、セキュリティの必要性はこれまで以上に重要である。一定の一貫したセキュリティへの取り組みだけが、幅広い種類のサイバー攻撃でもたらされた損害を、減少させる手助けとなり得る。この論文では、安全保障リスク管理について、その人的側面に焦点を合わせる。危険は、技術的な対策だけでは危険を回避することはできないからである。また能動的でも、その検出システムを設置するだけでは安全保障問題の解決にはならない。私たちは、システムを担当しているすべての人々を教育する必要がある。それら該当者は、システムセキュリティの重要性を理解しているあらゆる層からエンドューザのレベルまで含む。
著者
秋元 良仁 亀山 渉
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告デジタルドキュメント(DD) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.34, pp.9-16, 2007-03-27
被引用文献数
1

近年の情報技術の進展に伴い、ユーザが利用できるコンテンツの量は飛躍的に増大している。特に博物館における文化財のディジタルコンテンツ化の進展は著しく、これらのコンテンツにアクセスするためのユビキタスな情報環境基盤も整いつつある。このような状況では、メタデータを用いて多様なデータベースからユーザの要求に応じて意味のあるコンテンツを横断的に紡ぎ出す技術が求められる。そこで、本稿では、異なるメタデータスキーマで管理される複数のデータベースを横断的に利用するために、各スキーマ間の類似性を記述できる言語「ファジィ・スキーマ」を導入する。更に、ファジィ・スキーマを用いて各メタデータスキーマを統合できる機構の構築を検討する。As information technology has progressed recently, the amount of contents that can be used increases. And, there is an enviroment in which lots of contents can be accessed at anytime and anywhere. In this situation, a technology is needed to extract useful information from various contents by using metadata in order to meet the user's requirements. In this paper, first, we summarize the current state of metadata technology and problems. then, we propose the concept called Fuzzy Schema which can flexibly construct metadata schema. And we describe the design of Fuzzy Schema language taking an example of metadata schema of museum. And, we also propose metadata schema integration based on museum information.
著者
細見 輝政 荒木 俊郎 萩原 兼一 本田 直人
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.16, no.11, pp.974-981, 1975-11-15

AS-11 (Associative System-11) has been developed, which is a general purpose data structure processing system with the associative function, the accessing of data through a partial specification of its content. AS-11 has two data types; "associative pair" and "associative triple" introduced by J.A. Feldman et al, which provide the user not only a strong and efficient retrieval ability but also a ability for expressing n-ary relations. The remarkable features of this system are as follows; (1) the asymmetric entry is possible; (2) the user can introduce the ordered relation into the set of associative triples or pairs; (3) the table is able to be made handy in size. This system runs on a mini-computer PDP-11/20 equipped with 24K core memory, 1.2 M disk-pack, teletypewriter, and etc. This paper gives the outline of AS-11.
著者
近藤 弘一 笹田 昇平 小幡 雅彦 岩崎 雅史 中村 佳正
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌. コンピューティングシステム (ISSN:03875806)
巻号頁・発行日
vol.48, no.8, pp.216-225, 2007-05-15
参考文献数
13

本論文では非可逆画像圧縮におけるKakarala-Oeunbona (KO)の画像分解アルゴリズムを考える.KO分解では行列の特異値分解(SVD)を利用した主成分分析が行われ,2次元解散ウェーブレット変換と同様な多重解像度解析が可能である.左特異ベクトルをフィルタとして利用することが特徴である.一般に特異値の近接度が高いとき,SVD数値計算アルゴリズムによって特異ベクトルが高精度に求められるとは限らない.本論文ではKO分解における特異値の近接度を低減させるアルゴリズムを提案する.元画像に対してランダム模様のふちどりを追加することで特異値分布を変化させる.数値実験によりその効果を示し,圧縮画像の誤差評価を行う.さらには,フィルタ行列の量子化について議論する.
著者
成瀬 彰 住元 真司 久門 耕一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌コンピューティングシステム(ACS) (ISSN:18827829)
巻号頁・発行日
vol.45, no.11, pp.62-70, 2004-10-15
参考文献数
16
被引用文献数
1

本論文では,PCクラスタのプロセッサとしてよく使用されるXeonプロセッサ向けのLinpackベンチマーク高速化手法について述べる.特に,Linpackベンチマーク実行時間の大半を占める倍精度行列積(DGEMM)の最適化手法について説明する.最適化はオープンソースの数値演算ライブラリであるATLASをベースに行い,キャッシュ容量,TLBエントリ数,システムバス負荷の均等化を考慮してDGEMMカーネルを作成し,それに合わせてDGEMMカーネル呼び出し部分を変更した.最適化したDGEMMを2.4 GHz Xeonプロセッサを搭載したFujitsu PRIMERGY L250で評価した結果,DGEMMそのものの性能を測定する正方行列積プログラ厶では4.33 GFlops(実行効率:90.2%)を記録した.また,Linpack ベンチマークでは4.13 GFlops(実行効率:86.0%)を記録した.これは従来最速とされていたGOTO BLAS を5%上回る性能である.In this paper, we explain the optimization technique of matrix multiplication (DGEMM) for Xeon processor, that is heavily used in Linpack benchmark. Our optimization technique is based on reducing cache misses and D-TLB misses and averaging FSB (Front Side Bus) loads. We have applied this technique to an open-source numerical library ATLAS. The benchmark results using our DGEMM implementation show better performance than GOTO BLAS that is famous for a fast DGEMM. On a Fujitsu PRIMERGY L250 system equipped with 2.4 GHz Xeon processors, performance of square matrix multiplication program attains 4.33 GFlops (90.2% efficiency) and performance of Linpack benchmark attains 4.13GFlops (86.0% efficiency).
著者
伊藤 和幸 数藤 康雄
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. HI,ヒューマンインタフェース研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.68, pp.31-38, 1996-09-12
被引用文献数
5

何らかの障害や病状の進行により、自分自身による発声や筆談によるコミュニケーションができなくなる障害者が少なからず存在する。このような状況に対するには随意運動が比較的最後まで残る目の動きや瞬きを利用してコミュニケーションをとることが考えられ、現在のところ、瞬きや目の左右の動きを「はい」「いいえ」等としたり、目の開閉をスイッチ入力のON/OFFに利用している例が多い。しかし、視線を入力として利用できる機器があれば、文字盤やメニューボードを直接見つめることで任意の文字やメニューを自由に選択することができ、障害者自身で環境制御等を行ったり、他者とのコミュニケーションを行うことが可能となる。本報告では、被験者が文字盤を見つめる視線を計測・解析し、コミュニケーション機器への入力として使用するにはどのような処理を行えばよいかを検討した
著者
小幡 明彦 佐々木 和雄 佐藤義治 上野 英雄
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1996, no.69, pp.1-6, 1996-07-25
被引用文献数
6

ビデオ画像通信を用いて遠隔のオフィスの状況を見せることで、近接感を提供するビデオアウェアネスの研究が注目されている。オフィスが近接していることにより、思い立った時、廊下で偶然出会った時等、偶発的に会話が行われ、共同作業者との人間関係の維持や、新しいプロジェクトの生成に重要な役割を果たしていることが知られている。本稿では、近接者間で偶発的に発生するコミュニケーションのモデルを示し、モデルに基づく設計により、過去の実験システムで明らかにされた問題点が解決できることを示す。また、オフィスでのコミュニケーション観察結果、簡易なプロトタイプによる予備実験の結果を報告し、ビデオアウェアネスシステムの利用効果について考察する。A great interest has developed in providing awareness via video to support a sense of proximity. Proximity permits unplanned contact and provides mechanism for bringing together potential partners as well as for maintaining existing collaborative relationships. In this paper, we propose an unplanned communication support method based on a group interaction model and show how this method solve problems addressed in previous researches. Effects of video awareness system is also discussed based on observations of office communication and our experiment using a preliminary prototype system.
著者
山下 英生 上甲 達也 中前栄八郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.32, no.5, pp.570-580, 1991-05-15
被引用文献数
5

数値解析シミュレーションの対象はより複雑化 多次元化し 解析結果の可視化の必要性はますます増大している.3次元交流定常場における磁束密度と渦電流のように 相互に作用する物理量は時間の経過とともに複雑な振舞いをする.このような二つの物理量の相互作用の理解のためには 両者の時空間における現象を 同時に観察することが望ましい本論文では 交流定常場における1サイクル間の瞬時密度分布の観察に グラフィックスワークステーションを利用した可視化法について提案する.すなわち 密度分布の瞬時値の高速算出法を用いて 相互に作用する物理畳を観察する三つのステレオ表示法を提案し 相互作用の観察を容易にする操作性に優れた会話処理機能について提案している.本可視化法の特徴は以下のとおりである.(1)相互に作用する複数の物理量に関して 時間的変化を観察するためのアニメーション表示 異なる時刻の相違を観察する並列同時表示 および指定された2時刻における密度分布の微妙な差を観察する切り替え表示法が準備されており 観察者は必要に応じて適宜速やかに辺択できるので 相互作用の詳細な観察が可能である.(2)時間的に変化する3次元空間の相互作用を 観察者のその時々の意志のおもむくままに 自在に かつ即応的に 望む方向および距離から 望む断面の分布状況を観察できる操作機能を持っている.
著者
中村 聡史 水口 充 田中 克己
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告データベースシステム(DBS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.6, pp.71-78, 2005-01-21
被引用文献数
1

本稿では,日々の生活での利用に適したウェブ閲覧手法として,漸次的ウェブ閲覧システムを提案する.漸次的ウェブ閲覧は,ユーザや環境のコンテキストを考慮して,ウェブコンテンツを徐々に提示することにより,能動的かつ受動的なコンテンツ閲覧を可能とするものである.また,本稿では漸次的ウェブ閲覧環境におけるコンテンツの閲覧性向上をはかるため,コンテンツ変換システムを導入する.ウェブコンテンツに含まれる広告やメニューなどの,目的とするコンテンツとは直接関係の無い領域を排除することで閲覧における無駄を低減し,行間や文字サイズを変更することでコンテンツ自体を演出する.In this paper, we propose the gradual web browsing system which is suitable for everyday usage. The gradual web browsing system renders web contents incrementally according to context of user and environment. It enables casual web browsing. In addition, we implement the content conversion mechanism which removes unnecessary parts such as frames, banner advertisements and navigation links and changes the line space and font size in order to increase readability and enjoyment.
著者
芝口 誠仁 稲場 太郎 川口 信隆 田原 慎也 塩澤 秀和 岡田 謙一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告データベースシステム(DBS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.7, pp.55-60, 2008-01-24

近年では情報化社会の発展に伴い,情報を電子ファイルで扱うことが増えた.しかし電子ファイルは設定ミスや誤操作,管理ミスなどのヒューマンエラーで誤って情報を漏らしてしまう危険性がある.そこで本稿では各ホストのシステムコールを監視することによってエンタープライズネットワーク内で重要な電子ファイルを保持しているホストを把握し,伝搬経路を視覚化する手法を提案する.具体的には,CreateFileやsendなどのWindowsAPIをフックすることにより実現した.本システムを利用することにより,実際に情報が漏洩したとき,電子ファイルを漏洩をした疑いのある犯人の絞り込みや,電子ファイルの移動に関わっていなかったホストの無実証明などができる.すなわちデジタルフォレンジック行使の際の支援ツールとしての活躍が期待できる.In recent years, information technology has been developed and we have come to use electoric files very often. Along with this development, information leakage due to human errors has been increasing. In this paper, we propose a visualization system that identifies where confidential files are in an enterprise network. Our system shows not only hosts that have confidential files, but also transmission routes of the files in the network. The proposed system monitors system calls executed on each internal host by hooking WindowsAPIs, such as CreateFile and send to detect the transmission of files to the network and removable disks. We can use the system as a digital forensic tool, which indentifies the criminal that leaked important information, or to prove the innocence of hosts that didn't concern confidential files.
著者
森 信介
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL)
巻号頁・発行日
vol.1997, no.29, pp.27-32, 1997-03-21

本論文では,日本語にンける単語bi?gramモデルと品詞bi?gramモデルの補間を提案する.テストコーパスの解析に必要な未知語モデルも,文字bi?gramと文字種bi?gramの補間により得られるモデルで実現する.このモデルの有効性を確かめるため,形態素解析済みのコーパスを用いて単語bi?gramモデルと品詞bi?gramモデルとこれらを補間したモデルのテストセットバープレキシティを計算した.その結果,単語bi?gramモデルでは151.00であり,品詞bi?gramモデルでは383.61であり,これらを補間したモデルでは,143.49であった.単語bi?gramモデルと品詞bi?gramを補間したモデルは,単語bi?gramと同程度の記憶領域で実現できるので,このモデルは単語bi?gramモデルよりも良いモデルであると結論できる.In this paper, we present an interpolated model between a word bi-gram mode and a part-of-speech bi-gram model. We also present, as an unknown word model, an interpolated model between character bi-gram mode and character type bi-gram model. In order to attest an effectiveness experimentally, we calculated perplexities of the word bi-gram model and the part-of-speech bi-gram model and the interpolated model between them. The results of the word bi-gram was 151.00, the part-of-speech bi-gram model, 383.61 and the interpolated model, 143.49. Since the interpolated model needs as large memory space as the word bi-gram model, it follows that the interpolated model is better than the word bi-gram model.
著者
芝野 治郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告情報システムと社会環境(IS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.53, pp.1-4, 2004-05-21

キャプランが1992年に始めて提唱したバランス・スコアカード(Balanced Score Card:BSC)のコンセプトは,その後多数の企業,組織で導入され,成果を挙げ,産業界の注目を集めるようになった.実際にBSCを導入することにより生まれるメリットと,導入にあたっての考慮点を探るために,企業4社に呼びかけて導入研究会を行った.各社の属する業界と各社の事情により,問題点は異なるが,環境の変化を見直し,社員の意識改革を進めるよいきっかけとなるなど,共通のメリットがあることが分かった.またBSC導入を効果的に進めるには,社員全員の参加体制が必要であること,また社員のBSCに関する業績評価を導入し,その成果が社員の士気にも反映されるようにすることが望ましいということが認識された.The concept of the balanced scorecard (BSC) first proposed by Kaplan in 1992 has been implemented by many companies and organizations, generated the remarkable results, and attracted the attention of the industry. In order to investigate the merits obtained by implementing BSC and also study the problems to be considered in implementing BSC, a study team was organized by inviting 4 companies. Each company belongs to the different industry and faces its own problems, but it was observed that there are common merits such as it provides a good chance to review the change of the environment and renew the state of the minds of employees. It can also be said that the participation of all the employees is mandatory to the success of the BSC implementation, and that it is desirable to have the results of the BSC performance reflected to the employee's personal evaluation system so that it adds to the individual morale.
著者
竹本 卓 竹中 康晴 皆川 勉 小泉 友弘 牛島 康之 柳田 直昭 小原 靖生 田中 幸一 藤田 康彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告システムLSI設計技術(SLDM) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.102, pp.75-80, 2004-10-22
被引用文献数
2

3.5Mpolygon/secの3DCGエンジン、15fps@QVGAのMPEG4 codecエンジン、最大2MpixelのJPEGエンジン、カメラI/F、SDカードI/F、LCD I/F、および20MbitのDRAMを1chipに集積した携帯機器向けメディアプロセッサT4Gの開発について述べる。3DCGエンジンは東芝のコンフィギュアラブルプロセッサMePを応用することにより実現されている。DRAMを内蔵したことにより、3Dエンジンとメモリ間のバンド幅は2GByte/secに達する。このチップでは、0.13um CMOS DRAM混載プロセスを使用し、20Mtransistorのロジックと20MbitのDRAMを集積した。3DCG処理時の最大消費電力は170mWである。A media processor named T4G is described. T4G integrates 3.5M polygon/sec 3D Graphic engine, 15fps@QVGA MPEG4 engine, 2M pixel JPEG engine and 20Mbit DRAM into a single chip. It also provides several peripheral interfaces such as Camera I/F and LCDC. The 3D graphics engine was designed based on a Toshiba's configurable processor MeP (Media embedded Processor). Using eDRAM, the bandwidth between the 3D engine and the frame buffer reaches 2GByte/sec. This chip is fabricated using 0.13um CMOS technology and consumes maximum 170mW during 3D graphics operation.
著者
坂東 宏和 福島 貴弘 加藤 直樹 中川 正樹
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.43, no.6, pp.1996-2005, 2002-06-15
被引用文献数
2

本論文は,表示一体型タブレット上での文字記入枠を用いない枠なし手書き認識方式における誤認識の訂正インタフェース,および,認識結果の表示インタフェースを提案する.枠なしの手書き認識方式は,筆記者に自然で円滑な手書き入力を提供する反面,文字の誤認識は枠あり認識より起こりやすく,文字間の区切り判定でも誤りが発生する危険がある.そこで本論文では,各文字の誤認識訂正方法,文字区切り位置の訂正方法,および,認識結果の表示方法を複数提案し,それらの比較実験について報告する.実験の結果,各文字の誤認識訂正は訂正候補を手書き文字の上にメニュー表示し選択させる方法が適切であること,文字の分割操作は区切りジェスチャ,文字の結合操作は文字が小さく書かれている場合には囲みジェスチャ,文字が大きい場合には接続ジェスチャが適切であることが示された.また,認識結果の表示は,文字が小さいなどの理由により読みにくくなる場合には離れた場所にまとめて表示する方法が,結果と手書き文字が読みにくくならなければ手書き文字の上に認識結果を重ねる方法が適切であることが示された.This paper presents user interfaces for writing-box-free handwriting input on a display-integrated tablet.The writing-box-free handwriting recognition is natural and smooth to input text, but character recognition errors may happen more frequently than the writing-boxed recognition and character segmentation errors may also occur. Therefore, this paper proposes various user interfaces for correcting character recognition and segmentation errors as well as those for displaying recognition results, and then compares them. In consequence of comparative experiments, the followings are suggested: for changing character recognition results, showing recognition candidates above each handwritten character pattern and accepting selection is efficient; for correcting mis-divided character segmentation into one, cutting pen-gesture is superior; for correcting mis-combined character patterns into two or more, encircling pen-gesture is preferred when small characters are written densely, while connecting pen-gesture is effective when large characters are written sparsely; for displaying character recognition results, showing resulting text apart from handwritten patterns is preferred when characters are written small and densely, while overlaying the recognition result on top of each handwritten pattern is preferred when characters are written large and sparsely.
著者
松延 直美 水森 龍太 蔡東生
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告グラフィクスとCAD(CG) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.86, pp.59-64, 2003-08-18
被引用文献数
2

CGで群れの振る舞いを作成する代表的な方法としてBoidアルゴリズムが知られている.しかし,このアルゴリズムは確率的要素を持たない為,一度安定した状態になると経路の設定が単調になってしまうという問題がある.そこで,本研究では群れを生成する代表的生物であり生物学の分野でも研究されている魚類に注目し,魚類の特徴をBoidアルゴリズムに加え,さらに自然界によく見られる自己組織化理論を用いてゆらぎを加えることにより,群れの動きをより写実的に表現する手法を提案する.また,群れが敵に襲われた際の個体間の情報伝達や逃避行動の表現に関しても,自己組織化理論を用いて試みる.Boid algorithm is a typical technique of creating behavior of a group by CG. However, since this algorithm does not have a probable factor, when a group is stabilized, the routes of objects becomes monotonous. So, We propose the technique of creating behavior of a group with reality by adding the feature of self-organization criticality system to Boid algorithm. Self-organization criticality system is one of the features of nature. Then, We propose also the technique of the communication between the objects and expression of escape action when a group is attacked by the enemy by self-organization criticality system.
著者
江口 悠利 中川 智尋 太田 賢 竹下 敦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告システムLSI設計技術(SLDM) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.32, pp.215-220, 2008-03-28

携帯電話の高機能化と共に最近ではPCのようにユーザが自由にネイティブコードのアプリを追加して端末をカスタマイズ可能なオープン端末(スマートフォンと呼ぶ)も増加している.一方で,そのオープン性の代償としてスマートフォンには情報漏洩等の懸念があり,通常の携帯電話と同等の安全性を保つことは難しい.オープン性と安全性を両立する手段として,マルチOS技術があるが,本稿では性能面に優れ,既存OSの修正インパクトが少ない,OSのサスペンド機能を利用したOS切り替え方式に着目する.この方式は,一方のOSが実行状態の際には,他方のOSは全て休止状態となる特徴がある.休止状態のOSはメール着信,電話着信不能であるため,携帯電話に適用する際には,実行中のOSと協調して着信を処理する機構,OS間の通信機構が必要となる.しかし,従来のOS間通信方式はOSの並行動作を想定しているため,OS切り替え環境には適用できないOS切り替え環境に対応したOS間通信方式を設計,評価ボードに実装した.遅延・スループットの評価の結果,提案方式は着信通知等の少量データ転送に適用可能であること,インタラクティブな通信には不適であることを確認した.Cellular equipment gets high-performance, and smartphone gets attention in customizations to add-on native code applications like a PC. Unlike cell phone, it is difficult to avoid threats of compromising smartphone. We use multiple-OS technology to combine open environment like smartphone and secure environment like cell phone. As a result of comparison of several technologies in terms of performance, development cost and power consumption, we select OS Switching that uses Suspend/Resume function. This has a restriction that whenever an OS executed, any other OSes are suspended. Suspend OS cannot receive any mails and phone calls. Cellular equipment must be able to receive mails and phone calls to redirect them from application in executing OS to application in suspend OS by using Inter-OS Communication. However, existing Inter-OS communication method is not suitable for OS switching. Therefore, we propose an Inter-OS communication method to cooperate with application programs in OS Switching. As a result of experimentation, our method is not suitable interactive communication, but suitable for a small mount of data communication without switching OS to notificate incoming mails.
著者
加藤 輝政 小川 清 佐良木昌
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL)
巻号頁・発行日
vol.1997, no.69, pp.65-70, 1997-07-24
被引用文献数
2

英語複文を4パターンに分類した。典型(プロトタイプ)・定型(ステレオタイプ)・従属接続詞を伴わない型(ポテンシャルタイプ)・句形態に従属節構造が潜む型(レイテンタイプ)。この4パターンの複文は、単文結合に還元可能である。分割するのではなく、接続副詞などにより媒介される単文結合に還元する。English complexes are classified into four main types: prototype, stereotype, potential type, and latent type, The conception of clause is herein interpreted in a broad sense and thus the potential and latent types include NEXUS defined by Otto Jespersen. Hypotaxis which means subordination can be reduced to Parataxis with couplers such as conjunctive adverbs, hence the organization of unconnected coordinated sentences, Parataxis, have been developed to subordination expressing complex relationship between main thought and constituent parts thereof.
著者
繁在家 学 鷲崎 弘宜
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ソフトウェア工学(SE) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.55, pp.33-40, 2008-06-12

ソフトウェア中心システムの開発における品質要求は,要求分析の段階で明確に識別し,さらにはソフトウェアのアーキテクチャ分析・設計において明示的に扱うことではじめて実現される.また,属人性の排除,トレーサビリティを考慮したアーキテクチャ分析・設計は,ソフトウェア工学の手法を適用する必要がある.しかし,各工程に対して複数の手法を適応する場合,手法間の整合性を考慮する必要があり,手法を適用する阻害要因となっている.上述の背景を踏まえ,本稿では,簡単な WEB システムの開発を事例として,複数の手法を用いた品質要求駆動型のアーキテクチャ分析・設計手法を提案する.具体的には,要求分析手法である KAOS,アーキテクチャ設計手法である品質特性駆動型設計(Attribute-Driven Design)の整合性を考慮し,独自拡張を加えたアーキテクチャ分析・設計手法を提案する.さらに,提案手法は,品質要求を考慮したアーキテクチャ分析・設計を達成する中で,アスペクト指向型アーキテクチャを抽出する技法を取り扱う.Quality requirements for a development of a software centered system should be recognized in a process of requirements analysis and also those requirements are realized by dealt with explicitly in a software architecture analysis and design process. A method of software engineering should be used in the software architecture analysis and design process to clear individual techniques and realize traceability. However, if several methods are used in each process, consistency between methods should be considered. This is a disincentive to adapt methods into the development. With the background above, in this paper, we propose a quality requirement driven method of the architecture analysis and design process with several methods using a example of a simple web system development. Specifically, we propose it with unique expansion and considering consistency between KAOS, which is a method of requirements analysis, and ADD, which is a method of attribute-driven design. Furthermore, this method we propose includes a technique of picking up aspect oriented architecture during the architecture analysis and design process with satisfaction of quality requirements.
著者
水戸 将弥 藤田 聡
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.108, pp.101-108, 2001-11-15

近年の情報処理技術の飛躍的な進歩に伴い、コンピュータを介した人間同士のコミュニケーションが 日常生活の様々な局面で用いられ始めている。本稿では、ユーザとシステムとの間の知的なインタフェースを実現するためのひとつのアプローチとして、ユーザからの非明示的な要求を自動的に獲得するための手法の提案をおこなう。要求の獲得は、ユーザとの対話の中で得られる選択の系列をもとにおこなわれる。また提案手法の応用例として勤務表作成問題をとりあげ、労働者の出勤パターンに関する嗜好の自動獲得を試みる。In this paper, we propose a method for acquiring inexplicit requirements from users via the interaction between users and the computer system. The proposed method is applied to the shift scheduling problem, that is the problem of assigning shift to each labor in such a way that as many requirements are satisfied as possible. An outline of the prototype system that is presently under construction is also given.