著者
植原 啓介 湧川隆次 佐藤 雅明 渡辺 恭人 砂原 秀樹 寺岡 文男 村井 純
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.286-296, 2001-02-15
被引用文献数
6

現在の自動車の情報システムは,サービスごとにセンタシステムや通信基盤を含んだ独立したシステムとして構築されており,新たなサービスを始めるためのコストが高い.そこで我々は,安価にサービスを実現するための基盤として,通信部分をサービスから分離したインターネット自動車システムを提案している.本稿では,インターネットを利用した自動車用通信システムを設計・実装した.このシステムは,高速移動する自動車に安定したInternet Protocol(IP)通信環境を提供するため,インタフェース切替え等の新技術を導入している.車載コンピュータのハードウェアおよびインターネット自動車システムを基盤としたアプリケーションソフトウェアを開発し,実走行環境での実験を行った.実験では,複数の無線通信媒体が切り替わる環境において,連続的に安定したIP通信機能が実現できることが分かった.この結果,今回構築したシステムが自動車の情報化に十分利用できることが検証された.In current information systems for automobiles, each service is an independent system including its own communication system.For this reason it is costly to start a new service.In this paper, to realize an afordable service, we propose a new information system called InternetCAR.In this system the communication system and the service has been seperated.This paper describes the design and implementation of a automobilar communication system which utilized the Internet.The system makes use of interface switching and other new technologies to provide stable IP connectivity for automobiles moving at high speeds.On-board hardware and application software based on the InternetCAR system have been implemented and evaluated in an actual situation environment on board a moving car.The experiments proved that it was possible to provide stable IP connectivity in an environment where different wireless communication mediums are constantly being switched.As a result,it can be said that this system has the ability to safely and reliably connect automobiles to the Internet.
著者
北 栄輔
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.334-341, 2009-04-15

ソネットエンタテインメント(株)(以下,ソネット)と情報処理学会数理モデル化と問題解決研究会(以下,MPS)は,2008年度に共同でリコメンド・サービス・コンテストを実施した.本稿では,このコンテストについて紹介したい.
著者
飛田 孝幸 山本 博紀 土井 洋 真島 恵吾
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータセキュリティ(CSEC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.43, pp.19-24, 2006-05-12

近年,高速・広帯域の通信ネットワークの急速な普及により,映像・音楽等のコンテンツ配信サービスの利用者が増加している.また,サーバ型放送などデジタル放送の高度化により,放送・通信連携による高度な情報サービスが期待されている.これらのサービスではコンテンツの利用履歴や利用傾向はプライバシ保護の観点から秘匿することが望ましい一方,有料サービスにおいては,視聴内容に応じて利用料金が正確に計算され利用者に正しく課金される必要がある.本稿では,これらの要件を満たす利用履歴を秘匿できるコンテンツ配信・課金方式の一つとして,Atenieseらにより提案されたグループ署名を利用し,利用者の計算・通信コストが利用可能なコンテンツの総数に依存せず利用したコンテンツ数のみに依存する方式を提案する.As broadband lP networks have spread rapidly, the number of users of content distribution services has grown. Also,the new possibilities brought by digital broadcasting,such as broadcasting based on home servers,are expected to lead to sophisticated information services utilizing broadcasting and communication networks. Although for privacy reasons it is desirable to protect the usage history and preferences provided that usage charges is calculated correctly based on the contents that the user got. This paper proposes content distribution and charging scheme with privacy, based on the group signature proposed by Ateniese et al. In this construction, the computation/communication cost only depends on the number of contents that the user got. They do not depend on the number of all contents that the user can get.
著者
小比賀亮仁 菅原 智義
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.77, pp.93-100, 2008-07-30

近年、セキュリティー対策としてカーネルにパッチを適用する機会が増えている。カーネルにパッチを適用するには、システムを再起動しなくてはならない。しかし、システムは 24 時間 365 日、ユーザに対してサービスを提供し続けることが求められている。よって、パッチ適用の際のシステム再起動時間は可能な限り短縮する必要がある。この問題に対して、我々は、システムの再起動時間のうち、プロセスの再起動が最も時間のかかる処理であることに着目し、プロセスの状態は保持したままカーネルのみを再起動するシステムの高速再起動方式を開発した。同方式は、メモリ上のプロセスデータは保持したままカーネルのみを入れ替え、その後、メモリ上に保持されているプロセスデータを用いて、再起動前に実行されていたプロセスを途中状態から再開することができる。本方式により、従来のシステム再起動時間を最大で約 48% 削減することができた。In this paper, we suggest a quick reboot mechanism which allows us to reduce down time on our system during updating kernel. There are non-stop systems which gives us some services during 24 hours, every day. However, in the past several years, number of cases that we have to apply some kernel patches for security updates has been increasing. In order to do it, we have to reboot our systems. Our mechanism reboot systems to updates the kernel with preserving some memory areas which was used by processes. After rebooting we resumes recent processes which were executed on our system before rebooting, using the memory areas which are preserved. Our mechanism can reduce reboot time of our system because our mechanism can get rid of disk access and reduce numbers of memory copy during rebooting. We have accomplished reducing 48% of system reboot time.
著者
小菅 康晴 富永英義 伊藤 典男 小松 尚久 金 東輝
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.1023-1032, 1995-04-15
被引用文献数
15

本論文で提案する情報冷蔵庫システムは、将来のマノレチメディア情報化時代に適した情報配送インフラストラクチャとして、センタエンド形情報提供システムにおける情報配送の効率化と、配送された情報を利用者の独自の要求に沿って編集加工する手段の提供と、利用した情報のみに課金する手段の提供を目指すものである。本システムにおいては、情報センタは全ユーザ装置(UE)へ同時に情報配送を行い、各UEは配送された情報を内部の大容量記憶部に蓄積保存する。利用者は、UEに蓄積された情報から必要なものを選択、編集、加工して利用し、料金は蓄積された情報ではなく利用した情報に課せられる。本システムの特徴は、蓄積を前提とした情報の同報配送と相手選択通信により効率的/経済的情報配送と利用情報のみへの課金を行う点、およびUEでの情報蓄積機能を情報の配送速度と再生速度の分離、利用者独自の情報検索、編集、加工にも活用する点にある。本論文ではシステムの基本構成および制御と、構成上の最大のポイントであるUEの構成および制御について明らかにする。
著者
谷口 謙二郎 宮瀬 紘平 梶原 誠司 イリスポメランツ スダカーM レディー
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告システムLSI設計技術(SLDM) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.113, pp.85-90, 2002-11-27

本論文では、多重スキャン設計に対するテストデータ量削減手法を提案する。提案手法は2段階でデータ圧縮を実現する。最初に、ATPGで生成したテスト集合を符号化し、多重スキャンに印加スキャンインのテスト入力数を削減する。次に、符号化したテスト集合のデータ量を、統計符号化技術によりさらに削減し、それぞれのテストピンに印加するスキャンインベクトル長を削減する。統計的符号化ではハフマン符号を用いる。スキャンインベクトル長の削減により、テストロード時間とテストデータ量が削減される。ISCAS-89ベンチマーク回路に対する実験結果では、提案手法が、圧縮テスト集合のテストデータ量を平均21.5%に削減できることを示す。In this paper we propose a new method of test date compression for multiple scan chain designs. The proposed method consists of two phase of data compression. In the first phase, ATPG test vectors applied to multiple scan chains are encoded to reduce the number of test input pins and thus reduce the test data volume. In the second phase, the encoded test vectors are compressed further using statistical encoding to reduce the length of the test sequences applied to each test pin. This reduces test loading time and test data volume. Experimental results for large ISCAS-89 benchmark circuits show that the proposed method reduced the test date volume to 21.5% on average.
著者
梶原 誠司 樹下 行三 ポメランツ イリス レディ スダーカ M.
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. 設計自動化研究会報告
巻号頁・発行日
vol.97, no.17, pp.1-8, 1997-02-14

製造した回路のタイミング検証の重要性が高まっている一方で,ロバスト依存パスや機能的活性化不能パスのようなパス遅延故障のテストにおいてテスト不要であるパスを多く含む回路が存在することがわかってきた.テスト不要なパスをテスト生成の前に指摘し,テスト生成の対象としないことは,パス遅延故障のテスト生成の効率化に役立つ.本論文は,高速にロバスト依存バスと機能的活性化不能パスを識別する手法を提案する.提案手法は回路の局所的な解析に基づくため,従来多大な処理時間を要していたパス数の多い回路も高速に処理可能である.実験では,本手法は従来手法と比較して短時間で計算でき,テスト不要なパスの判定能力はほぼ同等であることを示す.また,従来手法ではパス数が10^<20>以上あるc6288を現実的には扱うことができなかったが,本手法により99%以上のパスはテスト不要であることを示す.
著者
梶原 誠司 ポメランツ イリス レディ スダーカ M
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. 設計自動化研究会報告
巻号頁・発行日
vol.99, no.12, pp.67-72, 1999-02-04

本論文では, 組合せ回路のトランジション故障を対象としたテスト生成におけるテストパターン圧縮手法を提案する. トランジション故障の検出には2つのテストパターンが必要であるが, 提案する手法は, 典型的なテスト圧縮手法の動的圧縮と静的圧縮を2パターンテストに拡張したものである. 動的圧縮については, 無駄な信号値の割当をできるだけ少なくする手法である。また, 静的圧縮については, 不要なテストベクトルが与えられたテスト系列に完全に含まれないようにする新しい手法である。ISCASのベンチマーク回路に対する実験では, 動的圧縮と静的圧縮のどちらにおいても提案手法が有効であることを示す。
著者
松塚 貴英 野村 佳秀
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ソフトウェア工学(SE) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.104, pp.9-16, 2000-11-16
被引用文献数
3

ビジネスアプリケーションをWebアプリケーションとして開発する際に、JSP/Servlet環境を使用する場面が多くなっているが、膨大な画面や処理を効率的に開発・保守できる手法が求められている。JSP/Servletによるアプリケーション構成法としてJ2EE Blueprintsが提案されているが、検討の結果、ページやロジック、データ間の連携が密になり保守性を損ねるという問題があることが分かった。そこで、我々がこれまで開発してきたJava Applet向けのプレゼンテーションフレームワークの技術をもとに、JSP向けのアプリケーションフレームワークを開発した。このフレームワークでは、JSPで表されるビュー部と、ビューが表示/入力の対象とするデータオブジェクト、データオブジェクトを操作するロジックをマッピング定義を介し疎に連携することにより、開発とメンテナンスの効率化を実現している。これまで、このフレームワークを利用してアプリケーションを開発することで、性能に影響を与えずに総コード量で10%、ロジックとしてメンテナンスする部分は85%以上の削減が可能であった。Servlet and JSP become to be widely used for developing business applications in the web environment. In this situation, some methods are required for making a development and a maintenance easy since the number of screens or processes tends to be large. We recognized some problems in a web application develpment method in the J2EE Blueprints which is becoming a standard for using Servlet/JSP. So we made an application framework on them using our technology which is used for the development of Java applets. The framework separates JSPs and data and logics, and links them using some mapping definitions. In our evaluation, the framework decreased 10% of total code and 85% of presentation logic through the development of the application without decreasing a performance.
著者
谷川 桂子 福沢 尚司 大平 栄二 万中 哲夫 河村 英之 水野 洋一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.31, pp.7-12, 2004-03-18
被引用文献数
1

国内外において、IDタグを利用した商品流通制御システムの導入開始など,「ユビキタス社会」が現実のものとなりつつある。IDタグは、人間が生活する実世界と、情報通信手段などを通じて知覚・認識される仮想的な世界とを結びつけるための技術の一つである。一方、サーバを経由しないで端末同士が直接通信を行うP2Pネットワーク技術が実用化されつつある。P2Pネットワークは、サーバコンピュータへのトラフィック集中がボトルネックとなることがないため、流動性の高いユビキタス環境における通信手段としては効果的である。IDタグとP2Pネットワークを用いた分散情報共有技術を開発し、(株)豊島園殿のご協力を頂き、一般参加者による実証実験を行った。The introduction of the commercial distribution control system using ID tags is started, and "the ubiquitous society" is being realized. The ID tag is one of technology that connects the real world and the virtual space. At the same time, the P2P network technology that the terminals communicate directly is expected in the world where tens of millions of terminals move around and interact with each other. Combining the recognition of the real world environment using ID tags and the bi-directional communication among mobile devices using P2P network, we development the software that enables dynamic creation of context-aware virtual communities bound to the physical object in real world. We have developed prototype software running on wireless LAN capable PDAs and did the demonstration experiment of the system at the amusement park.
著者
森田 拓磨 高松 淳 小川原 光一 木村 浩 池内 克史
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.102, pp.71-78, 2002-11-07
被引用文献数
3

プログラマの労働を減らすことを目的として,Learning from Observationのパラダイムは数々のロボットシステムに適用されてきた.しかしこれらの対象は剛体であり,柔軟物に適用された例は見られなかった.状態表現の困難さ,操作の多様さがその理由である.我々は様々な柔軟物操作の中で"ひも結び"に着目した.その理由は数学の結び目理論が適用出来ること,ひもは可能な操作が比較的限定されていることである.本稿ではKPOのパラダイム,理論,現在構築中のKPOシステムについて述べる.Learning from Observation (LFO) has been widely applied in various types of robot system. It helps reduce the work of the programmer.But the available systems have application limited to rigid objects.Deformable objects are not considered because: 1) it is difficult to describe their state and 2) too many operations are possible on them.In this paper, we choose the knot tying as case study for operating on nonrigid bodies, because a ``knot theory'' is available and the type of operations is limited.We describe the Knot Planning from Observation (KPO) paradigm, a KPO theory and a KPO system.
著者
植木 正裕 徳永 健伸 田中 穂積
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL)
巻号頁・発行日
vol.1997, no.85, pp.45-51, 1997-11-12

本論文は、GLR法における圧縮共有の効率を改善する手法を提案する。GLR法では、圧縮共有統語森により解析の高速化をはかつているが、冨田によるGLR法の実誇では、アクションのコンフリクトによって枝分かれした複数のスタックの間で解析のタイミングがずれるために、共有できるシンボルの生成のタイミングもずれることがある。このため、スタックの完全な圧縮共有ができているとは限らず、同じ解析動作が重複して行なわれたり、完全な圧縮共有統語森が生成できないこともある。本論文で提案するGLRパーズの手法では、枝分かれしたスタックの間での解析のタイミングを制御し、スタックの共有化のタイミングを早め、完全な圧縮共有統語森を作成することができる。これにより、解析の高速化と使用メモリ空間の削減を同時に実現できる。In this paper we propose a method to improve efficiency of GLR parsing. Tomita's GLR implementation uses two data structures, graph-structured stack and packed-shared parse forest. Both structures help us avoid applying same parsing action repeatedly to save parsing time and memory space. However, his implementation misses a chance to share data structures. To the contrary, our method not only keeps the advantage of Tomita's implementation but also allows data structures to be completely shared. Experiments show our method exceeds in both time and space efficiency compared to Tomita's method.
著者
鈴木 裕俊 岸本 章宏
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告ゲーム情報学(GI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.27, pp.109-114, 2009-03-02

A*アルゴリズムとIDA*アルゴリズムは、最適解を保証しながら、パズルを解くことができる探索アルゴリズムである。本論文では、これらのアルゴリズムをスーパーパズに適用し、性能比較を行う。他のパズルにおける先行研究では、IDA*の方がA*よりも優れたアルゴリズムであることが知られている。本論文の実験では、先行研究の結果とは異なり、スーパーパズの探索空間の性質のために、A*の方がIDA*よりも高速に解答できることを示す。The A* and IDA* algorithms are the search techniques that can solve puzzles, while always guaranteeing optimal solutions. This paper adapts these algorithms to Superpuzz and compares their performance. According to previous research on other puzzles, IDA* has been shown to be superior to A*. However, unlike what is obtained in previous research, experi mental results presented in the paper show that A* solves problems more quickly than IDA*,because of a property of the search space of Superpuzz.
著者
鈴木 健二
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告マルチメディア通信と分散処理(DPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.16, pp.227-230, 2007-03-01

近年、インターネットが普及し、企業活動、日常生活の隅々にいたるまで、ネットワークを介した情報収集、伝達が行われている。企業においては、意思決定システム (DSS)、企業情報システム (ERP)、顧客管理システム (CRM) などが積極的に活用され、又、一般家庭では、物品の購入や趣味の世界でも、Web サーフィンをしながら情報を得ている。通信が様々な分野で利用される時、その情報は送り手の意図通りに、相手に確実に届いているのであろうか?正しいと思われる情報は、本当に活用されているのであろうか?次世代ネットワークやユビキタス社会の通信では、情報を単に送受信するだけでなく、その情報が正しく活用されているという観点から捉えなおすことが重要である。本稿では、正しい(必要な)情報を、必要な(正しい)タイミングで、相手に伝達し、相手に提示し、理解させる Right time communication が必要であることを指摘し、次いで、その内容と研究の方向性について概説する。Recently, the progress of Internet enables the user to access the network easily and retrieve valuable information and utilize it. In the business environment, DSS (Decision Support Systems), ERP (Enterprise Resource Planning) and CRM (Customer Relationship Managements) are widely used, and in the personal environment, people can access to their Web site to get necessary information. People are using communication as a means to realize their wishes, however, it is a nice time to re-consider the role of communication and the rightness of conveyed information, and timing of the information delivery to users and so on. Especially in the future of an ubiquitous networking society, the understanding of information seems much more important than just sending information. This paper suggest the necessity of the Right Time Communication, where right data is transferred to the right recipient, and presented to the right person at right time and then describes its architectural concept and future research directions.
著者
内藤 浩 柏原菜実 楠 房子 杉本 雅則 橋爪宏達
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ゲーム情報学(GI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.58, pp.1-7, 2001-06-07

グループワークを行う場合、グループ内の各メンバーが他のメンバーとの意見の交換や強調などの相互作用を行うことが必要となる。そのためには、個々が自分及び、他のメンバーの性格を把握することが重要である。しかし、意見の外化の不得手や、人見知り等の性格の要因などにより、内面の性格が必ずしもグループ中での行動につながるとは限らない。そこで本研究では、グループワークに適した入出力デバイスとしてセンシングボードを用いて、ワーク中にボードに入力されるデータの内、特定のデータをPCに記録しそれを評価することを行う。グループワークとして、被験者たちには簡単なゲームをやってもらい、行動パターン等をデータ化する。このとき、ゲームのルールとしては、個人の性格が反映され、かつゲーム中で協調と競合がおきるようなものが要求される。そこで、そのようなゲームシステムを創作し、グループ内での個人の性格評価につなげていくことを目標とする。When we work in a group setting, each of us interacts with others, such as exchanging our own opinions or collaborating with each other. In this dace, it is important for each group member to understand not only his own character, but also others' ones. However, characters of members are not always reflected on their own behaviors in a group work by using a sensing board is proposed. The system allows users to play a simple game, and records patterns of their behaviors. We have designed a game, which enhances behaviors of each user originated from his own characters, and collaboration and competition among thme. The system is used for making a character of each user explicit for supporting group works.
著者
根本 幸人 後藤 慎弥 金井 敦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.3, pp.55-60, 2009-01-15

近年,多様に変化し,膨大に増加し続ける Web ページの中で,価値ある情報が埋没する問題が出てきている.その中で, Web ページ間の link 構造を利用した従来の Web ページ評価手法だけでは必ずしも欲しい情報が得られなくなっている.そこで本稿では, Web ページ評価のために, Web ページ間の link 構造だけでなく,ユーザ, Web ページ及びそれらの関連情報を考慮したモデルを提案する.また,本モデルを用いて,実際のソーシャルブックマーク上で Web ページに対して付加されているタグを利用してユーザおよび Web ページの評価値を算出し,本モデルの性質を明確化する.Useful Web page is buried under huge number of Web pages which keep increasing explosively in recent years. Evaluation methodologies of Web pages, which are used at present based on link structure between Web pages, unfortunately do not work very well. Therefore, social bookmark services where bookmarks are shared and grouped using tags become popular. In this paper, a Web page evaluation model is proposed. The model consists of users of Web and related information as well as link information. Then, evaluation values of Web pages based on the model are calculated using actual Web pages and characteristics of this model are clarified and discussed.
著者
花田 収悦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.21, no.9, pp.p938-948, 1980-09-15
著者
藤尾 正和 松本 裕治
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.40, no.12, pp.4201-4212, 1999-12-15
被引用文献数
14

本論文では,粗い日本語係り受け解析手法として,語の共起確率に基づく係り受け解析手法を提案し,その評価を行う.学習および評価用コーパスとしてEDRコーパスを使用し,文節および文単位の係り受け精度を調べる.またどのような係り受け関係名において誤りが多いのか調べるため,関係名ごとの解析精度も調べる.英語において,比較的近いモデルおよび情報を用いたCollins? (1996)のモデルと文節単位の係り受け精度を比較した結果,EDRコーパスを使用した日本語解析に関しては,我々のモデルの精度がCollinsのモデルを上まわった.また,現状の統計モデルのもとでさらに解析精度を上げるため,再現率を犠牲にして適合率を上げる手法(部分解析),および適合率を犠牲にして再現率を上げる手法(冗長解析手法)についても提案する.``確信度''(乾ら,1998)を使用した Globalのほか,Local/norm,Ratio/nextの3つの手法について評価を行った結果,少くとも我々の統計モデルを使用する場合,解析精度,速度などを考慮するとRatio/nextが優れているということが分かった.We present statistical models of Japanese dependency analysis based onlexical collocation probability.We use the EDR corpus for both training and evaluation,and evaluate the precision of the models in terms of correct dependencypairs and correct sentences.We measure the correct rate of dependencypairs for each type of dependency relation.To achieve higher performance under the current statistical parsingmodel, we propose a method that intend to acquire higher precision rateat the cost of recall rate (partial parse), and the method to acquirehigher recall rate at the cost of precision rate (redundant parse).We propose and compare three partial (redundant) parse methods,Global, Local/norm, Ratio/next, and find that Ratio/next is superior to others among our methods.
著者
掘鉄郎 相澤 清晴
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告オーディオビジュアル複合情報処理(AVM) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.125, pp.157-162, 2003-12-19
被引用文献数
2

近年,コンピュータが我々の日常生活において常に身近な存在となる,ウェアラブル・ユビキタスなコンピューティング環境が整いつつある.本稿ではこのような環境を想定し,小型なカメラにより個人の体験を記録し続けることで,あたかもユーザーの日記・自伝のようなもの(ライフログビデオ)を簡単に作成するようなシステムの構築を試みている.このシステムでは,小型カメラとマイクロフォンから取得したビデオだけではなく,それと同期をとりながら,ユーザーのコンテキストを推定するために様々なセンサー群からのデータを常時取得することができる.加えて,それらセンサー群のデータとデータベース等とを組み合わせて利用することでユーザーのコンテキストを推定し,それに基づいて取得したビデオを効率的に検索することが可能となっている.One of the characteristics of Wearable/Ubiquitous Computing is that computres are embeded in our life. In such computing environments, digitization of personal experiences will be made possible by continuously recording using a wearable video camera. It can lead to "automatic life-log application". In this paper, we attempt to develop "context-based video retrieval system for the life-log applications". This wearable system is capable of continuously capturing data not only from a wearable camera and a microphone, but also from various kinds of sensors to extract the user's context. In addition, the system provides functions which make efficient video browsing and retrieval possible by using data from these sensors and some databases.
著者
徳田 昌晃 奥村 学
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.542-550, 1998-03-15
被引用文献数
6

聴覚障害者が使う言葉である「手話」は日本語とは違う体系を持つ言語であり,日本語と手話間の機械翻訳システムは有用であると考える.しかし,日本語と手話間の機械翻訳を実現するためには手話の計算機上での扱いと手話の言語的な資源の貧弱さが問題となる.前者は手話が視覚的な言語であるために起こる問題であり,後者は十分な語彙数を持つ機械可読手話単語辞書が現在しないために起こる問題である.本研究では手話を文字列として表現する「手話表記法」を提案する.次に手話単語辞書の語彙の少なさを補うために,日本語辞書を利用して類似語を獲得し,不足している手話単語を補う手法を提案する.これらの手法をもとに日本語から手話への機械翻訳システムを試作し,有効性を検討した.その結果,日本語ニュース文を入力した場合に約83%の形態素が手話単語に変換できることが分かった.While Sign Language is widely used in the community of deafs,it is noted that the syntax and expression of Sign Language and Japanese are so different and then the Sign Language-Japanese machine translation(MT)is in demand.However,there are two main problems in realizing the Sign Language-Japanese MT.One is how to represent Sign Language which is not a literary style language.The other problem is there are very few entries in current Sign Language dictionaries.To solve these problems,we propose a Sign Language description method and a complement method to deal with input words which do not exist in a Sign Language dictionary.The system finds a similar word from a Japanese dictionary and converts it to a similar Sign Language word.Finally,we implement a prototype MT system based on this method and evaluate it using Jananese News sentences.The experiment result shows that the system succeeds in translation with the rate of nearly 83% for Japanese news sentences.