著者
鍛治 伸裕 福島 健一 喜連川 優
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.92, no.3, pp.293-300, 2009-03-01
被引用文献数
1

テキストマイニングでは,自然言語処理分野の基礎技術である形態素解析がモジュールとして利用されることが多い.しかし,ウェブには口語体のテキストが多く,新聞記事のような整ったテキストを対象としてきた自然言語処理技術では,十分な精度で解析を行うことは難しい.本論文では,形態素解析の精度低下は「ググる」などの片仮名用言が一因となっていることに着目し,それを大規模なウェブテキストから自動獲得する手法を提案する.
著者
田頭 信博 松本 勉 今井 秀樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ISEC, 情報セキュリティ
巻号頁・発行日
vol.93, no.24, pp.19-27, 1993-05-14

一つの管理センタの下で匿名通信路とブラインド署名技術を用い,一回の投票のために投票者が複数回メッセージを送出するタイプの(単一管理センタ複数ラウンド型)電子無記名投票方式群は,実用性の高い方式を含む可能性があり重要である.しかし,投票のプロトコルを途中で放棄する投票者がいた場合,その投票者分の票を管理センタに悪用される恐があった.そこで,本論文では単一管理センタ複数ラウンド型方式を途中棄権者票の悪用のできない方式に変換する一般的な方法を提案し,具体的も示すことにする.
著者
山口 裕之 梶原 昭博 林 尚吾
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.83, no.4, pp.567-579, 2000-04-25
被引用文献数
3

小型航空機やヘリコプタが比較的低高度で航行するとき, 山林や建物等の前方障害物を検地しクリアな航路を確保することは, 衝突事故防止において極めて重要である.このような障害物のうち, 特に高圧送電線は背景とのコントラストが得にくいため視認性が悪く, これまで多くの接触事故が報告されている.本論文では, 航行における前方障害物検知に対してミリ波帯レーダセンサを想定し, 物理光学法(PO)を用いて高圧送電線のミリ波帯レーダ反射断面積(RCS)を検討している.まずPOの有効性を確認するために, 電波暗室内で取得した94GHzにおけるRCSと比較・検討する.次に, 送電線はアルミニウム線をより合わせたより線形状(周期的な表面特徴)をしていることに着目して, より線形状がRCSに与える影響について明らかにする.実際, 送電線はレーダ照射範囲よりも長い.そこで本計算では, アンテナの指向性をガウシアン分布と近似することによって上記の状況を模擬し, RCSを算出している.
著者
Tanaka Mamoru Crounse Kenneth R. Roska Tamas
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
IEICE transactions on fundamentals of electronics, communications and computer sciences (ISSN:09168508)
巻号頁・発行日
vol.77, no.8, pp.1387-1395, 1994-08-25
被引用文献数
6

This paper describes highly parallel analog image coding and decoding by cellular neural networks (CNNs). The communication system in which the coder (C-) and decoder (D-) CNNs are embedded consists of a differential transmitter with an internal receiver model in the feedback loop. The C-CNN encodes the image through two cascaded techniques: structural compression and halftoning. The D-CNN decodes the received data through a reconstruction process, which includes a dynamic current distribution, so that the original input to the C-CNN can be recognized. The halftoning serves as a dynamic quantization to convert each pixel to a binary value depending on the neighboring values. We approach halftoning by the minimization of error energy between the original gray image and reconstructed halftone image, and the structural compression from the viewpoints of topological and regularization theories. All dynamics are described by CNN state equations. Both the proposed coding and decoding algorithms use only local image information in a space invariant manner, therefore errors are distributed evenly and will not introduce the blocking effects found in DCT-based coding methods. In the future, the use of parallel inputs from on-chip photodetectors would allow direct dynamic quantization and compression of image sequences without the use of multiple bit analog-to-digital converters. To validate our theory, a simulation has been performed by using the relaxation method on an 150 frame image sequence. Each input image was 256× pixels with 8 bits per pixel. The simulated fixed compression rate, not including the Huffman coding, was about 1/16 with a PSNR of 31[dB]〜35[dB].
著者
北原 武 中村 元
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.420, pp.85-90, 2006-12-07
被引用文献数
2

マシン・トゥー・マシン通信(以下,M2M通信)では,マシンのバッテリライフ向上が最重要課題の一つとなっている.それに伴い,チップの消費電力を低減させるための低消費電力化技術や,各レイヤにおいて通信量を削減するためのプロトコル技術等が盛んに研究されており,消費電力を抑制することによるバッテリライフ向上が図られている.本稿では,小容量リチウムイオンバッテリの放電実験を行い,得られた放電特性を考慮したバッテリ容量を最大限に活用するためのトラヒック制御方式について提案する.
著者
大倉 浩嗣 伊藤 清繁 田坂 修二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.91, no.3, pp.321-327, 2008-03-01

本論文では,IEEE 802.11gによる音声・ビデオ伝送時に,Bluetooth干渉がメディア同期品質に及ぼす影響を実験により評価している.実験では,Bluetoothによる送信がIEEE 802.11gのアクセスポイント及びメディア受信端末に干渉可能な擬似電波伝搬環境を構築する.そして,アクセスポイント及びメディア受信端末におけるBluetooth干渉電波の受信電力を可変減衰器で変化させた場合,音声・ビデオのメディア同期品質にどのような影響を及ぼすかを測定する.その結果,Bluetooth干渉が大きいほど再送パケットやCRC誤りパケットが増加することにより,メディア同期品質が低下することを示す.また,メディア同期制御を適用することにより,メディア同期品質を改善できる.
著者
宮島 敏明 トーマス デビッド 天野 英晴
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. AI, 人工知能と知識処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.70, pp.125-130, 2012-05-22

計算集約的なアプリケーションは、該当部分をFPGAやGPUへ処理をオフロードすることで実行時間を劇的に短縮することができる。しかし、どのアクセラレータを選ぶか、アプリケーションの解析、実行時間の見積もり、コーディングなどをそれぞれ専用のツールを用いて繰り返すような既存の実装サイクルは時間がかかるだけでなく、高度な専門知識を必要とする作業である。加えて、このサイクルのどこかで高速化に最も重要な低位の並列化だけでなく、タスクレベル並列性を取り出す必要がある。本論文では、Courierと呼ぶバイナリアクセラレーションのためのツールチェインとドメイン固有言語を提案する。Courierは、実行中のソフトウェアバイナリファイルからのデータフローの抜き出し、処理をオフロードした際の実行時間の見積もりなどを行い、元のバイナリを高速化する。Courierを用いることで、元のソースコードや専門的な知識がなくとも、容易にタスクレベル並列性を取り出すことが可能となる。また、ソフトウェア/ハードウェア協調設計環境でどの部分をオフロードするのが最適かの決定も容易になる。
著者
小倉 孝夫 雨宮 宏一郎 千草 かおり 濱田 圭 黒川 康司 阿比留 健一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.134, pp.61-66, 2012-07-12

これまでマッシュアップ等のWebサービス間を連携する環境が普及しており,今後,クラウドサービス利用により,より増加していくことが予想される.サービス間において安全なデータ連携を実現するために,我々は,Webサービスの連携技術であるOAuthを拡張して,ユーザ環境に応じた秘匿制御により機密データの保護が可能となる,クラウド間データ・サービス連携方式を提案した.こうしたサービスでは,smallスタートで安価にシステムを構築する一方,複数企業によるユーザ数の増大(100万ID規模)やサービス増加による大規模化に対応できる必要がある.そこで,安価なL4ロードバランサ(LB)を用いてアクセスGWを並列化するアプローチとした.L4 LBでは,ユーザからのサービス要求をラウンドロビンに振り分けるため,ユーザのログインセッションを維持できないという問題が生じる.そのため,どのアクセスGWからでも,ユーザのセッション情報を一意に取得できるようにKVS(Key-Value Store)技術を適用した.さらに,実サービス(Googleカレンダ-,Facebook)の計測値を用いて,スケーラビリティ評価を行ったので報告する.その結果,安価なL4 LBと複数のGWを組み合わせ.KVSを適用したアーキテクチャで十分にスケールできることがわかった.
著者
藤縄 英佑 泉 雅彦 鳴海 拓志 宝珠山 治 谷川 智洋 廣瀬 通孝
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.114, pp.53-58, 2014-06-24

社会で普及している行動誘導システムは提示された言語や記号を人が解釈することを必要とし,そもそも気付かれない,意志の押し付けになるという問題をはらんでいる.本研究では,音が人の快・不快情動に大きく影響を与えることに着目し,快感情を生起する音場を提示することで,人を無意識的に誘導するシステムの構築を目指す.まず空間中の特定範囲のみに音場を提示するシステムを構築し,その局所提示性能を評価した.次にこのシステムを用い,音により空間を快い空間と不快な空間とに分け,人の滞在位置を無意識的に誘導できるかどうか検証した.
著者
林 新 広橋 一俊 井川 健一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. OCS, 光通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.400, pp.43-48, 2010-01-21

照明光を利用する室内光無線高速LANを構築するために,まず,空間照明光を高速に変調することによって情報伝送空間の下り回線として使える方法を検討し,通信システムの親機として照明機能付きアクセスポイントが開発された.また,光指向性技術を活用し,上り回線用の子機として単軸全方位自動追尾可能の双方向赤外線無線端末を開発した.さらに,1対nの光無線多元接続を実現するために,電力線イーサネット100BASE-TXの通信規格に基づき,空間全二重CSMA/CD(Carrier Sense Multiple Access with Collision Detection)接続方式を提案した.開発された通信機器と提案した通信方式を用いることにより,電力線LANとの親和性を有する照明機能付き光無線LANを実現することが可能となる.
著者
塩見 英久 岡村 康行
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MWP, マイクロ波・ミリ波フォトニクス
巻号頁・発行日
vol.114, no.144, pp.133-136, 2014-07-10

本報告は、数式処理を援用したFDTDソルバの実装について詳細に述べたものである。前回の報告を元にして、電磁界の6成分に対する計算が可能なソルバを実装した。ソルバは、ソルバの実行環境を実装したクラス、与えられたsympy数式からnumpyコードへと変換する機能を実装したクラス、マクスウェル方程式を差分化して所望の漸化式を導出することを支援するクラス、の3要素から構成される。変換クラスには、実行時の計算速度向上を考慮して、時不変パラメータを自動的に抽出して、時間発展計算の事前に計算しておく機能も追加した。基礎的なダイポールアンテナの解析により、ソルバが所望の動作をしていることを確認したので報告する。
著者
大林 功実 朝香 卓也 高橋 達郎 佐々木 純 品川 準輝
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.90, no.8, pp.720-733, 2007-08-01
被引用文献数
9

ファイル共有などで主に利用されているUnstructured型P2Pネットワークでは,べき乗別に従うトポロジーが形成される傾向がある.またコンテンツの人気度の分布にも同様の性質が見られる.そのため隣接ピア数の多いピアにかかる負荷が著しく大きくなり,更に稀少コンテンツを発見できないことによるネットワーク全体のヒット率が不十分であるという問題がある.そこで本論文ではこれら二つの問題を同時に解決する各ピアによる自律分散的なキャッシュ置換え方式を提案する.本論文で提案する方式は各ピアの隣接ピア数に応じたキャッシュ置換えを行うことで,隣接ピア数の多いピアへの過負荷を低減し,同時にネットワーク全体のヒット率を向上させる.またシミュレーションによる評価を行い,提案方式の有効性を示す.
著者
三浦 高志 板垣 史彦 横山 昭彦 山口 百恵
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.85, no.11, pp.1672-1682, 2002-11-01
被引用文献数
2

本論文は,適応的直交変換によるベクトル量子化において,ベクトル探索を高速化する方法を提案する.高速化の原理は,符号化対象ベクトルの近似に適した辞書ベクトルの探索範囲を絞り込むことで比較回数を削減する方式である.絞込みは,辞書ベクトルを複数の基準ベクトルとの角度の昇順にあらかじめソートしておき,符号化対象ベクトルと基準ベクトルとの角度から近似に適したベクトルの位置を推定し,推定された位置周辺のベクトルだけを候補ベクトルとすることで行われる.また,提案方式の有効性は数値実験により検証される.
著者
川村 恭也 松原 隆 古賀 義亮
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-コンピュータ (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.81, no.10, pp.1141-1148, 1998-10-25

本論文では, 内部の誤り検出および誤りを訂正するフラッシュ型A-D変換器の構成法に関し, 従来提案されている方法についてまとめた結果を紹介し, 誤りの補正・訂正を行うと共に誤りの検出結果を単一誤りと多重誤りに区別して外部に表示するA-D変換器の構成法を提案する.従来の方法では, 回路内部の誤りの処理についての詳細情報が外部に表示されないため, A-D変換器がどの程度誤りの処理を行っているか判定できないという問題がある.提案する構成法では, A-D変換における単一誤り, 多重誤りの情報を外部に表示することができるので, A-D変換器の状態および出力データの信ぴょう性を判定することができる.
著者
高村 政孝 五十嵐 善英
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. COMP, コンピュテーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.376, pp.61-68, 2001-10-12
被引用文献数
1

本論文ではsingle-writer/multi-reader共有変数モデル上で相互排他問題を解く2つのアルゴリズム提案する.これらのアルゴリズムはBakery algorithmの改良である.まず, ある特殊な条件が成り立っている元で, 有限サイズの共有変数で相互排他が実現されるようBakery algorithmを変更する.次に, この特殊な条件を取り除くために, どのユーザーにも属さない追加のプロセスを用いたアルゴリズムを提案する.この追加のプロセスを用いた相互排他アルゴリズムはlock-out-freeを満足する.さらに, このアルゴリズムの共有変数のサイズを減らすよう改良したアルゴリズムも提案する.これらのアルゴリズムの時間計算量は, ユーザーの数をn, atomic stepの時間の上限をl, ユーザーが資源を利用する時間の上限をcとすると, いずれも(n-1)c+Ο(nl)である.共有変数のサイズは, 最初のアルゴリズムが(n+1)(1+⌈log(n+2)⌉bits, 二つ目のアルゴリズムがn(1+⌈log(n+1)⌉)+1bitsである.
著者
山根 宏 青木 忠一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EE, 電子通信エネルギー技術 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.150, pp.1-6, 2008-07-17

通信のブロードバンド化やユビキタス化に伴い、アクセス・構内ネットワークが高機能化されてきているが、省電力化に伴って機器の低電圧化が進められ、過電圧や過電流に対する耐力が低下してきている。本報告では、屋外に設置された通信システムの電源線から侵入する雷サージに対する誤動作を低減するブレーカの開発、及び家庭内で通信として最近普及してきている高速電力線通信システムから発生する漏洩電磁界低減用ブロッキングフィルタの小型化に向けて検討した結果、40dB以上の挿入損失、従来の約1/3の容積が得られた結果について述べる。
著者
梅山 宏基 浦島 智 安宅 彰隆 畑田 稔
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.327, pp.13-18, 2007-11-10
被引用文献数
2

学生のノートPCを用いた授業支援システムを開発している.授業における教師と学生間の双方向のコミュニケーションを支援するために,教師と学生のノートPC間をネットワーク上にあるサーバを介して情報交換を行うシステムを提案する.本システムでは,Ajax (Asynchronous JavaScript+XML)を用いてバックグラウンドでの通信を実現しているため,アプリケーションのインストールを必要とせず,簡単に使用が可能である.このような仕組みを利用して,在席確認やリアルタイムアンケート,不明単語共有,ページの強制表示などを行えるWeb型の授業支援システムを試作した.本稿では,システムの構成とその評価について述べる.実験により,ノートPCとネットワークによる,対面授業における新しいコミュニケーションチャネルの有用性が確かめられた.
著者
山之上 裕一 永山 克 尾藤 峯夫 棚田 詢 元木 紀雄 三橋 哲雄 羽鳥 光俊
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.80, no.9, pp.2522-2531, 1997-09-25
被引用文献数
21

立体番組の撮像においては, 左右カメラの空間的配置やレンズの焦点距離の違いによって, 左右画像間で垂直のずれや傾きのずれあるいはサイズのずれといった幾何学的ひずみが生じる. 本論文ではまず, 最近の立体ハイビジョン番組中の種々の画像を対象に, 幾何学的ひずみがそれぞれ独自に生じた場合の検知限, 許容限を求める. 同時に, その結果に関して, 一般画像間では有意な差が認められなかったことを示す. 次に, 実際の番組収録に照らし合わせて, 幾何学的ひずみが複合して生じた場合についての検討を, 一般画像を対象に行う. そして, 実際に加えた幾何学的ひずみ量から直接その検知限, 許容限を推定する重回帰モデルよりも, 加えた幾何学的ひずみにより生じる対応点のスクリーン上での垂直および水平方向のずれ量から, 検知限, 許容限を推定する重回帰モデルの方が, より汎用性があると同時に分析精度が高いことを示す. 更に, 画像ごとに得られた重回帰式をより一般化することを目的に, 平行性および位置の検定を行い, これらの重回帰式が一つの重回帰式にまとめられることを示す. 最後に, 得られた重回帰式に基づき, 番組収録時の左右カメラの配置・調整のガイドラインについて報告する.
著者
木脇 太一 牧野 貴樹 合原 一幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IBISML, 情報論的学習理論と機械学習 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.279, pp.103-106, 2012-10-31

Restricted Boltzmann Machine(RBM)の過学習問題を緩和するために隠れ変数のエントロピーを正規化項として用いる学習手法を提案する.従来のRBMには不要な複雑性を取り除くための機構が欠如していたため,データの複雑性に関係なく必要以上に複雑な表現を学習してしまう,いわゆる過学習が問題となっていた.本手法ではデータに合わせて最適なRBMの複雑性が動的に調節される,いわゆるモデル選択をRBM上に実現する.本稿ではこの正則化項に基づく学習アルゴリズムを統計力学の手法を用いて導出する.