著者
佐藤 彰洋 中村 豊 池永 全志
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.346, pp.73-78, 2011-12-08

SSH総当り攻撃による被害は深刻さを増していることから,管理者にとって,その攻撃への対策は急務である.従来,管理者は,アクセスログやトラフイックから得られる情報を元にSSH総当り攻撃の発生を検出してきた.しかしながら,前者は,ネットワークに存在する全てのサーバのアクセスログを確認することは困難である.また,後者は,攻撃による被害の有無を把握できないことが問題となる.このような問題を解決するため,本稿では,フローの特徴に基づくSSH総当り攻撃検出手法を提案する.実験の結果,提案手法により通常の通信と総当り攻撃に加え,攻撃による被害の有無を高精度で識別できることを確認した.
著者
齋藤 宏文
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.92, pp.169-180, 2010-06-17
被引用文献数
1

小型科学衛星"れいめい"は, 2005年8月に打ち上げられ,現在まで5年間軌道上にてオーロラ科学観測を行っている.重量70kg,開発経費約4億円の低価格衛星ながら,ホイール1機,磁気トルカ3機の構成ながら3分角の姿勢制御精度を達成する等,世界的に見ても高い機能を持っている.宇宙科学研究所の若手工学研究者が,衛星メーカの衛星開発とは一味違ったインハウス衛星開発を実施して達成できたプロジェクトである.高機能で,低コスト,そして5年間軌道上で動作しているという信頼性の高さを兼ね備えた実績により,平成21年度日本航空宇宙学会技術賞を受賞している.本講演では,"れいめい"衛星の成功のキーポイントであったと思われる,小型衛星搭載機器,小型衛星3軸姿勢制御技術,効率的な衛星運用技術,低コストな信頼性確保の手法を紹介する.合わせて,今後の小型衛星の展望を述べる.
著者
境 敏親 鈴木 宏明 針谷 尚夫 矢野 陽一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DSP, ディジタル信号処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.95, no.299, pp.15-21, 1995-10-20

5ステージ・パイプライン、1Kバイト・ダイレクト・マップ方式の命令キャッシュを採用した32ビットマイクロプロセッサV810が0.75V、0.7MHzで正常動作することを確認した。低電源電圧においてノイズ・マージンが小さくなるのを防ぐため、全信号がフルスイングするように疑似スタティック回路技術を用いて設計を行なった。チップは0.8μm2層アルミCM0Sプロセスで24万トランジスタを搭載し、チップサイズは7.4mm×7.1mmである。
著者
大場 敏文 金子 正秀 原島 博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.80, no.8, pp.2254-2258, 1997-08-25
被引用文献数
2

福笑いモジュールによって作成された合成顔画像を検索キーとして用い, 検索者の意図を反映した類似尺度に基づき, 顔画像をインタラクティブに検索する方法について述べる. 特徴量空間において, 特徴量ベクトルが互いになす角度が小さいものほど類似評価が高いとする類似尺度を用いることにより, 強調表現された合成顔画像を介して, 検索者の意図を反映した顔画像検索が行えるようになった.
著者
堀内 健志 土田 正芳 大石 昇 岩本 雅史 樋口 巳希子 岡田 祐 原 芳久 増茂 智志 降旗 正忠 森岡 章次
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.217, pp.29-34, 2006-08-18
被引用文献数
5

社内開発した航空機搭載Kuバンド合成開口レーダについて,概要を述べる.また,飛行試験を実施してフィールドデータを取得し,インタフェロメトリSAR(Synthetic Aperture Radar)により生成した高精度3次元データ(DSM: Digital Surface Model)の解析結果について報告する.DSMの高度精度を検証し,平坦部で0.25m程度の高さ誤差となっていることを確認した.これらの結果により,航空機搭載Kuバンド合成開口レーダが,国土保全用の3次元データ取得センサとして有効であることを示す.
著者
味元 伸太郎 水口 貴之 橘 昌良
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. VLD, VLSI設計技術 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.57, pp.13-17, 2005-05-12
被引用文献数
7

本論文では、加算器の形式別の消費電力・面積・速度の比較結果について報告する。今回報告する加算器の形式は、Ripple carry adder, Carry look-ahead adder, Carry select adder, Carry skip adder, Carry save adder, Hybrid adderの6形式である。形式別に加算器を設計し、速度、面積、消費電力についてシミュレーションを行うことにより、システムを構築する際に最も適した演算形式を選択するための参考データを得る。
著者
佐藤 究 山下 圏 小嶋 和徳 小笠原 直人 布川 博士
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.277, pp.27-32, 2014-10-24

近年,大学の情報・工学系学部においては,プログラミング演習が必須となっており,演習課題ではプログラムソースの提出が一般的である.しかし課題内容が高度になると,一つの課題に対してディレクトリ構造に依存した複数のソース,データ,ドキュメントのファイルを提出する必要がある.また,採点者にとってはこれらの提出物を実行し採点,評価を行う必要があり,それを実行可能状態にするだけで大きな手間となる。さらに本学部においては課題が合格するまでの再提出を学生に課しているため,このバージョン管理も大きな手間である.本稿では,これらを解決するための,分散型バージョン管理システムであるMercurialと統合開発環境であるeclipseをベースとしたプログラミング演習課題レポート管理支援システムの構築と,これらのベースとなるシステムの機能を有効に利用した課題管理について述べる.
著者
岡田 悟 荒川 達也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. KBSE, 知能ソフトウェア工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.414, pp.19-24, 2014-01-20

テキストファイルの小説読書において,質問応答形式で小説の内容を確認できる読書支援システムを開発した.本システムはユーザの娯楽のための小説読書を支援するため,入力された質問に対して小説本文より回答を検索し,評価値順に並べ替えて出力する基本機能のほか,ネタバレを防止する機能や登場人物の情報を確認するための機能,ユーザの既読部のあらすじを提示する機能等の補助機能を実装する.本稿ではシステムの構成・実装および動作結果について示し,10名のモニタによる試用ログとアンケートの分析により,システムの評価を行う.
著者
藤井 健作 岡 竜一 斎藤 直也 棟安 実治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.92, no.11, pp.874-887, 2009-11-01
被引用文献数
10

音響エコーキャンセラにおいて適応フィルタの係数は,外乱として働く近端話者音声の重畳(ダブルトークと呼ばれる)によって大きく乱される.このダブルトークによる乱れは,エコー経路変動とダブルトークを識別し,前者と判断されたときに大きく,後者と判断されたときにステップサイズを小さく設定することによって抑制できるとされている.しかし,その識別を素早く,また確実に実行することは難しい.本論文では,その識別を行わずに適応フィルタの係数を更新しても推定誤差が安定かつ素早く低減できるステップサイズ制御法を提案する.本制御法の特徴は,別に用意した少ないタップ数の副適応フィルタに大きなステップサイズを与えて得られた残差信号を外乱とみなして利用する点にある.この副適応フィルタによって得られる残差信号は急速に減少し,そのパワーは外乱パワーに素早く漸近する.したがって,そのパワーを外乱パワーとみなしてステップサイズを制御すればエコー経路変動においては大きなステップサイズが,ダブルトークにおいては小さなステップサイズが自動的に設定されることになる.
著者
阪口 啓 水谷 慶 高田 潤一 荒木 純道
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SR, ソフトウェア無線 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.36, pp.51-58, 2005-05-04
参考文献数
27
被引用文献数
1

本稿では5GHz帯MIMOシステムの研究開発を目的として構築したMIMOソフトウェア無線機を紹介する.本無線機はベースバンド信号処理部に複数のFPGA・DSPを有しており, これらのソフトウェアおよびCPU上に実装された上位レイヤプログラムを書き換えることにより任意のMIMOシステムを実装可能である.また本無線機は5GHz帯において実験無線局免許を有しており, 本ハードウェアを導入することにより実環境において様々なMIMO通信方式の評価や, MIMO伝搬特性の測定を行うことができる.さらにハードウェアドライバとして無線セキュリティマネージャを実装することにより, 安全なソフトウェアのダウンロード, 認証, インストール, 実行管理(電波法に関連するパラメタの監視)を可能とするソフトウェア管理アーキテクチャを実現している.
著者
坂井 丈泰 武市 昇 福島 荘之介 工藤 正博 藤井 直樹 山本 哲士 行木 宏一 宮津 義廣 福田 豊
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.169, pp.7-12, 2008-07-18

航空機の航法には衛星航法システム(GNSS)の導入が進められているが,特に進入着陸フェーズにおいては垂直誘導を伴う精密進入を可能とする誘導システムの研究開発が行われている.GNSSを導入した場合のメリットの一つとして,小規模空港への精密進入方式の設定による欠航やダイバートの減少が考えられるが,定量的に評価した例はない.現実にどの程度の効果があるかを知るため,空港気象情報に基づいて定量的評価を試みた例を報告する.
著者
駒峯 達也 杉田 循 庄野 弘晃
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. R, 信頼性 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.445, pp.19-24, 2000-11-10

我が国では平成6年度に(財)新エネルギー財団による助成金制度が始まって以来、太陽電池の一般家庭への設置が急速に広がってきた。太陽電池の普及に伴い、システム価格低減と設置後の外観改善の要望が寄せられ、その要望に応える為に屋根材と代替できる屋根材一体型太陽電池モジュールおよびアレイ構造の開発を行った。屋根材一体型太陽電池として、(1)建築基準法第38条に基づく防火試験に合格する事、(2)台風直撃に相当する降雨量を想定した散水試験に合格する事を基準に構造設計及び信頼性評価を行ったので報告する。
著者
長澤 正氏 椋本 介士 福田 明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B-I, 通信I-情報通信システム・理論 (ISSN:09151877)
巻号頁・発行日
vol.76, no.1, pp.1-9, 1993-01-25
被引用文献数
1

流星が大気圏に突入する際に生ずる電離気体柱により,見通し外の無線通信路が確率的に設定できることが知られ,この通信路を用いて効率良くデータ伝送を行うために多くの伝送制御手順が発表されている.この通信路は任意の2地点間に独立に発生するという特徴をもつので,異なる複数の地点から同一メッセージを一つの局に送信することができ,それにより当該メッセージの受信確率を向上させることができる.この特徴を利用して,受信に成功した局がそのメッセージを他の局に中継送信することにより伝送時間を短縮できると考えられる.しかし,今までこのような中継に関する研究はほとんどされていなかった.そこで本論文ではその一形態として,放送システムにおいて無条件拡散中継方式と呼ぶ中継方式を提案し特性を解析する.この方式では受信に成功した局が無条件に中継放送するという形態がとられる.ここで考察された代表的な数値例の場合,未受信の局が残らない確率が99%以上になる放送時間を,受信局数が2局の場合で約2/3に短縮できることが示され,2局以上では更に短縮でき,20局程度で改善効果が飽和することが示される.また30局程度から逆に悪化することが示される.
著者
草間 昇
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SSS, 安全性 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.226, pp.5-8, 2013-09-19

福島第一原発の元所長,吉田さんが他界された.彼がいなければ,わが国土の1/5近くを失っていたと言っても過言では無いだろう.しかし,事故時運転操作手順書で規定された手順と異なる対応を取った,或いは,取るようにプログラムされていたと言う事実は,各事故調や,ほとんどの報道・書籍が触れていない.本発表は,規定外の行動により発生したと思われる福島第一1号機の不具合仮説を紹介し,その根底にある,人間心理(多くの技術者に普遍的に存在する)の問題を示すと共に,安全工学の専門家諸氏に,吉田元所長のご遺志に沿った,真実に迫る追加調査検討を,懇願するものである.
著者
三部 靖夫 渡辺 真太郎 干 冬 中村 太一 若宮 直紀
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IE, 画像工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.468, pp.13-18, 2002-11-14
被引用文献数
1

高ビットレートで高品質にMPEG-2符号化されたファイルから,分散処理によって,様々な符号化方式や符号化レートのファイルへ同時に多数のビデオトランスコードを行なう方式について報告する.まず分散処理方式の概要について述べ,次にビデオトランスコードを分散処理する際の分割点でのトランスコーディング処理の課題と,その解決方法として,もとのMPEG-2の符号化データから求めた分割点のピクチャの複雑度を用いて再エンコードする方式を提案する.ここで提案する方式は分散処理を行なう上での処理待ちが生じるのを避けて,分割せずにトランスコードした結果とほぼ同じ画質が得られることを示す.さらにこの方式を拡張して,GOP間で符号量の再割当てを行なった実験結果について報告する.
著者
唐沢 好男 中田 克弘 ポンマサック パーワンナー
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.192, pp.43-48, 2012-08-23

近年、パソコンの処理能力が上がり、高速・広帯域のデータを長時間リアルタイムで記録できる時代になってきた。筆者らは、電波伝搬測定等の手段として、電波環境を丸ごとパソコンのハードディスクに収録する装置(トータルレコーディングシステム:TRS)の性能向上に取り組んできた。また、このTRSにより、21世紀初頭の電波環境を収録し、後世に記録として残す電磁環境アーカイブの構築を目指している。今般、サンプリングレート400MHzでのTRSを新たに構築し、本年3月時点でアナログTV放送がサービス中であった仙台地区において、100kHZ〜200MHZでの電波環境のデータ取得実験を行ったので、この結果を報告する。また、TRSは、単に電波環境の記録・再生のみならず、電波伝搬特性測定などの環境解析手段としても有用である。このTRS応用の一例も示す。
著者
関川 宗久 稲葉 直彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLP, 非線形問題 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.486, pp.139-143, 2014-03-03

本報告では,delayed logistic mapの結合系に見られる高次元トーラスの部分同期現象(Arnold resonance web)を解析する.この結合離散時間力学系は,連続時間力学系における3次元トーラスに相当する2次元不変トーラス(2次元IT:invariant torus)を発生する.また,2次元IT発生領域内部において,多数の1次元不変閉曲線(1次元ICC:invariant closed curve)発生領域が存在する.ここで,1次元ICCは連続時間力学系における2次元トーラスに相当する.パラメータ平面上において,1次元ICC発生領域は2次元IT発生領域内部で縦横無尽に存在し,そのweb状の分岐構造はArnold resonance webと呼ばれている.本報告で解析する結合系では,錯綜する1次元ICC部分同期引き込み領域の交叉点において,Chenciner bubblesと呼ばれる周期解発生領域が観察された.分岐解析により,Chenciner bubblesの境界にはサドル・ノード分岐とネイマルク・サッカー分岐の2種類が存在することが明らかとなった.
著者
神山 恭平 遠藤 哲郎 小室 元政
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLP, 非線形問題 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.250, pp.145-150, 2014-10-09

我々は,これまでの研究において離散力学系(マップ)と連続力学系(フロー)の準周期解(正確にはマップの1-トーラスとフローの2-トーラス)について,その局所分岐の位置と型が分岐の直前におけるDominant Lyapunov Exponent (DLE)とDominant Lyapunov Bundle (DLB)によって知ることができることを明らかにした.すなわち, DLEが零になる点で分岐がおこり,その分岐の型はDLBをみることによってあきらかとなる.すなわち,マップの1-トーラスの場合はDLBにはA^+,A^-,M,Fと4つの型がある.フローの2-トーラスのDLBはマップの1-トーラスの2つのDLBの組み合わせであらわされるが,このうち,基本的にA^+×A^+(サドル・ノード分岐), A^-×M(被覆度倍分岐, M×A^-とM×Mは同じ分岐である), F×F(ネイマルク・サッカー分岐)の3種類の分岐しか存在しないことを明らかにした.被覆度倍分岐においてはポアンカレ断面の取り方によって被覆度倍分岐と周期倍分岐両方がみられる.本研究では,位相同期回路において被覆度倍分岐がおこることを示す.