著者
竹中 崇 岡野 浩三 東野 輝夫 谷口 健一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.87, no.4, pp.462-470, 2004-04-01
参考文献数
10

整数変数をもつ有限状態機械(FSM/int)に対する記号モデル検査法を提案する.入力値を保持する変数の値は次に同一遷移で新たな値が読み込まれるまで変更されない,などの制約を満たす,与えられたFSM/intに対し,整数変数をもつCTL式を満たすか否かをこの記号検査アルゴリズムは判定する.この記号モデル検査アルゴリズムを実装し,ブラックジャックディーラ回路とバケット多重化プロトコルに適用した.そして,100状態,10整数変数程度の規模のシステムであれば数秒程度(最悪時で数分程度)で検証できることが確かめられた.
著者
莫 舸舸 青木 由直
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 = The transactions of the Institute of Electronics, Information and Communication Engineers. D-II (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.87, no.12, pp.2124-2135, 2004-12-01
被引用文献数
29

道路標識は交通安全に対して大きな役割を担っている.本論文では,ドライバが標識を見落とすことを防ぐため,車内に設置されたカメラによって撮影した画像から道路標識を抽出し,道路標識の種類とタイプを認識する手法を提案する.本研究では,提案した輝度・彩度分布特徴パラメータ「輝彩度」(街値)を利用し,カラー画像から標識候補画素を抽出することにより,標識の抽出牢の向上を図っている.「シンメトリフレームワーク(symmetry framework)形状判別法」により,標識候補領域の5種類の形状を判断できることを示し,処理時間の大幅な軽減を図っている.シンボルと背景の輝度差と色度差を利用し,標識シンボル領域を抽出している.抽出した標識シンボル領域の形状判断により,標識のタイプを確定できる.また,3種類の色,5種類の形状,16タイプの標識が存在するカラー画像500枚を用いた評価実験の結果,96.2%の高抽出牢と93.3%の高認識牢を達成するとともに,平均処理時間が約0.1秒とほぼ実用的な処理時間を達成できることを示した.
著者
田中 彩乃 伊藤 裕之 須長 正治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.279, pp.87-91, 2010-11-06

立体視ディスプレイの技術革新により・テレビ放送・デジタルサイネージ等の広告媒体における立体表示の利用普及が予想される.そこで,手前と背景に提示される情報がそれぞれどのように認知されるのかを調べる必要があると考えた.本研究では,刺激を奥行きが異なる2つの面上に提示し,目標刺激と注視点の奥行きを変化させることで視認性の変化を調べた.その結果,提示時間と奥行きの関連性が認められた.提示時間が短い場合,手前の面から奥の面への順序での情報提示が,スムースな情報の把握に有利で,逆の順序では手前の情報の視認性が悪くなることがわかった.
著者
瀬川 かおり 岡嶋 克典 三浦 弘雅 新井 正敏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.499, pp.19-24, 2012-03-22

本研究では,メータ(基準刺激)と奥行きが異なる位置に付加刺激を呈示し,そのときの付加刺激の見え方について測定した.メータを注視しているときに奥行きが異なる面に呈示された数字の正答率について輝度レベルおよび呈示時間の影響について調べた(実験1).その結果,500ms以上の呈示時間であれば正答率は視距離の違いに依らず,視認性は維持されることが示された.次に,基準刺激と付加刺激の奥行き順序の知覚について調べた(実験2).その結果,付加刺激の奥行順序の知覚は基準刺激の輝度レベルに依存することが示された.
著者
HILL Harold 蒲池 みゆき POLLICK Frank JOHNSTON Alan TROJE Nikolaus
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.534, pp.19-24, 2002-12-13
参考文献数
8

似顔絵作者が人の見かけを強調して描くことができるように,ものまね芸人は人々の会話や動きを強調することができる.本研究では,平均的な値からの差分を強調するという静止画の顔の強調で用いられる概念を利用して,顔の動きを空間,時間ともに強調した.知覚実験では,意図的な情動を選択的に強調する場合において空間的な強調がより効果的であることがわかった.空間的な強調は時間に依存しているが,時間を一定にした平均値に対して行われた強調よりもより効果的である.このことは,動きそれ自体よりも強調を行う際に重要となってくる.結果としては一般に表情が知覚されるタイミングの効果が現れ,怒りは短い提示時間,悲しみはより長い提示時間で効果が現れた.この効果は意図された情動以外にも見られた.結果は時間もしくは時空間というより,空間的な手がかりが課題には重要であることを示し,強調による効果は適切な平均値からの差分を増幅した場合にのみ得られることが明らかになった.
著者
半田 正樹 長井 隆行 榑松 明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CAS, 回路とシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.717, pp.1-6, 2001-03-22
参考文献数
7

音声認識システムでは、周囲に雑音が存在すると認識率が大幅に低下してしまう.複数の人が音声認識システムを利用するような環境では、入力音声に周辺の人の音声が重畳してしまい誤認識をしてしまう.この様な環境でも音声認識システムを効率的に使うためには、入力音声から周辺の人の音声を分離する必要があり、混合音声の分離方法を確立することが求められる.そこで本稿では、周波数振り分けによるマルチチャンネルの混合音声の分離法を提案する.これは、Caoらが提案する固有分解法の周波数領域での解釈から導かれる.本手法は、入力音声をFFTにより周波数領域に変換し、各周波数成分が元々どのチャンネルの成分だったのかを判断して、周波数の振り分けを行うことにより音声分離を行う.独立成分分析(ICA)との性能比較、計算機シミュレーションにおける実験結果、および実環境での実験を通して、本提案手法の有効性を明らかにする.
著者
佐藤 源之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C, エレクトロニクス (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.85, no.7, pp.520-530, 2002-07-01
被引用文献数
42

地中レーダを用いた地下計測について現状とイメージングのための技術について解説する.地中レーダ計測が実用的に利用されている分野を紹介し,弾性波計測に対する地中レーダの特徴をまとめる.次にイメージングのために現在用いられている逆散乱問題としてのアプローチとマイグレーションによるアプローチを紹介する.現状では地中レーダについてはマイグレーションによるイメージングが多く利用されており,本論文ではKirchhoffマイグレーション,f-κマイグレーション,リバースタイムマイグレーションについて具体的なデータを用いて説明する.
著者
和田 芳佳 森勢 将雅 西村 竜一 入野 俊夫 河原 英紀
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.175, pp.81-86, 2011-08-02

歌唱音声や障害音声,強い感情音声など,基本周波数のみでは十分に表すことのできない複雑な構造をもつ音声を分析するために,XSX(eXcitation Structure extractor)と呼ばれる方法を提案してきた.本資料では,従来の基本周波数抽出法と比較することで,XSXの特長と有効な適用領域を明らかにする.まず,FM調波複合音を試験用の信号として,基本周波数の変調周波数に対する追従性能を調べ,XSXが比較対象であるYINとSWIPEを大きく凌ぐ性能を有することを明らかにした.次いで,障害音声データの分析を行い,比較対象の方法と大きく異なる結果が得られる音声に対して詳細な検討を行った.XSXによる詳細な分析結果は,それらの音声では,いわゆる基本周期に加えて,複数の周期が組み合わされた単位が繰返されるサブハーモニックが生じていることを明らかにした.これらの結果は,XSXが従来の方法では困難な複雑な音声の分析に有用な方法であることを示すものである.
著者
神邊 篤史 松原 行宏 岩根 典之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.91, no.2, pp.314-323, 2008-02-01
被引用文献数
5

リハビリテーションにおいては,力覚フィードバックを提示することで,関節可動域の拡大などに対し効果的に寄与すると考えられている.そこで,我々は力覚フィードバック機能を用いた上肢運動リハビリテーション支援システムの開発を目指している.反力デバイスを用い仮想訓練環境でボールを投げることで,重さ感覚を知覚しながら腕の動きを訓練することができるようにする.投げる動作は上肢運動の中でも数多くの種類を必要とすることから比較的難しいため,四つのステップに分け,障害当事者にとって難易度に応じた訓練の選択が可能な環境を構築した.また,目的動作の達成を支援するために,腕の動きの表示などを行った.本研究では特にシステムの基本的な機能である,力覚フィードバック機能を導入することで,より効果的な訓練が実施できるかどうかの検討を行った.また,仮想訓練環境内に表示される腕の動きの表示機能の有効性についても考察した.その結果,表示を見て腕を動かすこと,反力を感じながら動作をすることで,より正確に動作をすることができた.
著者
福田 豊
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.665, pp.35-40, 2003-02-21
被引用文献数
4

航空機が保持する針路,速度,ロール角等の動態情報を管制システムがデータ通信で取得し,航空機の間隔が管制間隔を満足しない近接状態を予測検出する手法について検討した.2機の航空機が水平面で接近するシミュレーションを実施し,レーダの観測位置のみを利用する方法と観測位置に加えてロール角,速度,選択針路,通過予定ウエイポイント等の航空機の動態情報を利用する方法を比較した.航空機の動態情報を利用する方法は,観測位置のみを利用する方法に比べて,航空機の針路変更時の不要警報と警報の検出遅れの発生を低減できることがわかった.
著者
宮内 宏 尾花 賢 森 健吾
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.86, no.5, pp.331-336, 2003-05-01
参考文献数
6
被引用文献数
2

2002年に電子投票法が施行になり,地方自治体の選挙の電子化が可能になった.電子投票の進展については,第一段階(指定された投票所にて電子投票機での投票),第二段階(任意の投票所での投票),第三段階(自宅等のコンピュータからの投票)が考えられている.電子投票では,有権者認証,無記名性確保,正当性検証の3要件を満たす必要がある.これらの要件を満たすための実現方法や情報セキュリティ技術を上記3段階に対応して述べる.特に第二,第三段階を実現するミックスネット方式について詳しく説明する.
著者
日比 亮太 高橋 規一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CAS, 回路とシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.377, pp.1-6, 2012-01-12

Nonnegative Matrix Factorization(NMF)とは与えられた大規模非負行列を二つの小規模非負行列の積で近似することである.NMFの効率的計算法としてLeeとSeungによって提案された乗法型更新アルゴリズムが広く利用されているが,このアルゴリズムには大域的収束性が保証されていないという問題がある.そこで著者らは最近,行列間距離にユークリッド距離を用いる場合のNMFについて考察し,大域的収束性が保証された修正乗法型更新アルゴリズムを提案した.本報告では,行列間距離にダイバージェンスを用いる場合の修正乗法型更新アルゴリズムを提案し,その大域的収束性を理論的に証明する.また,終了条件を加えたアルゴリズムを提案し,それが有限回の反復で終了することを示す.
著者
今井 一雅 澤本 一哲 矢野 漣 菊地 時夫 菊池 豊
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.592, pp.39-44, 2000-01-28
被引用文献数
4

高速無線LANシステムを用いた、City規模の大規模な地域情報化ネットワーク(KCAN:Kochi City-size Area Network)が高知市・南国市にまたがって構築され運用が行われている。使用している無線LANユニットは、スペクトル拡散通信方式の2.4GHz帯小電力無線通信システムのものである。無線LANユニットの基本的な通信速度は2Mbpsであるが、中継してもその高速性が失われないようなネットワーク構成とした。本稿では、その構築手法と運用技術について報告する。
著者
大西 淳児 松井 甲子雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.80, no.11, pp.3020-3028, 1997-11-25
被引用文献数
36

画像データの著作権保護のために, 権利者の署名を埋め込む電子透かしの研究が進められている. しかし, 画像データの高能率・高圧縮符号化のもとで署名が消失若しくは削除されない秘匿度の高い方法は少ない. そこで, この論文では, ウェーブレット変換の階層性とスペクトル拡散の高秘匿性を利用した簡便な一方法を提案する. まず, 対象画像を3〜4段の階層にウェーブレット分解し, スペクトル拡散により, 各段の直流成分に周波数領域で署名を埋め込む. この合成データを逆変換すれば, 署名情報を画像領域全体に秘匿拡散することができる. 拡散信号は非常に弱く, 画像信号に対して大きなノイズとならない. 従って, 署名を含んだ画像は見かけ上原画像とほぼ同一である. また, 署名情報は画像に加わるノイズに対しても強いという特徴をもつ. 一方, 拡散符号は暗号の乱数鍵と同様の働きをするため, 署名の改ざん等の攻撃にも強く, マルチメディアにおける画像の著作権保護のための強固な署名を隠し込むことが可能となる.
著者
山尾 泰 梅田 成視 大津 徹 中嶋 信生
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.83, no.10, pp.1364-1373, 2000-10-25
参考文献数
26
被引用文献数
123

携帯電話に代表される移動通信サービスの急速な普及は, 人々のライフスタイルを大きく変えつつある.また社会の情報化の著しい進展に伴い, 21世紀の移動通信においては, 従来支配的であった電話によるトラヒックから, データ/マルチメディアのトラヒックへと比重が大きく移行し, 移動通信システムの高速・大容量化が必須となると考えられる.本論文では, このような社会・経済環境の変化に対応できる第4世代の移動通信システムについて, その課題と性能・機能面での要求条件について考察する.またこれを達成するうえで必要な技術課題, 特に無線システムを中心とした課題について展望する.
著者
水守 康暢 大久保 賢祐 岸原 充佳 山北 次郎 太田 勲
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MW, マイクロ波 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.62, pp.29-33, 2009-05-21

最近,主導波管にSIW(Substrate Integrated Waveguide)を用い,装荷素子として上部導体に設けたスリットと浮遊導体によって直列容量を構成したCRLH-TLが提案され,10GHz程度以上およびミリ波帯におけるCRLH-TLの基本構造のひとつとして期待されている.しかしながら,浮遊導体からの放射が無視できない.本稿ではこの放射を積極的に利用して,SIW型CRLH線路を用いた漏れ波アンテナを提案し,数値シミュレーションおよび試作実験によって放射特性の周波数依存性を明らかにしている.遷移周波数16GHzとして設計したSIW型CRLH線路の試作実験結果は理論値および数値シミュレーション結果と良く一致している.
著者
中嶋 信生
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.84, no.4, pp.666-679, 2001-04-01
被引用文献数
28

携帯電話は, 総加入数がPHSも含めると我が国の総人口の50%を超えた今でもなおiモード人気等で増加を続け, 更に2001年からは本格的マルチメディア通信を可能とするIMT-2000がスタートするなど, 今後も通信トラヒック量はますます増えるであろう.一方, 周波数資源は有限で, 新たな通信需要を賄うためにはより高い周波数帯の開拓か新技術開発を行わざるをえない.無線伝送技術としての周波数利用率の向上はこれまでめざましいものがあったが, 限界に近づきつつある.抜本的な容量増大の鍵を握る技術の一つがアダプティブアレーアンテナである.所要送信出力の低減もアダプティブアレーの大きな特徴である.指向性制御等の基本技術が進歩してアダプティブアレーは, 理論的に優れた性能が得られるようになってきた.残るのは実用化にかかわる諸問題の解決である.ただし, この問題が非常に難しくて, これまで移動通信におけるアレーアンテナの普及を阻んできた.本論文では, 様々な角度から実用上の問題の所在を明らかにし, 今後アレーアンテナ実用化に向けて検討すべき方向を明らかにするよう試みた.我が国における最近の研究開発動向も紹介している.
著者
飯田 拓也 梶山 朋子 大内 紀知 越前 功
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.97, no.1, pp.75-84, 2014-01-01

書籍の表紙は直観的に本のイメージを与えるだけでなく,書籍購入前の検索や購入後の書棚散策では大きな指標となっている.一般的に,出版書籍の表紙は,作者や出版社の意思を反映しデザインされるため,読者の印象が反映されにくい.また,近年普及が進んでいる電子書籍コンテンツの中には,表紙が提供されなかったり,同一デザインの表紙が用いられるものが存在し,表紙画像をベースとした書籍検索や書棚散策が考慮されていないという問題があった.そこで,本論文では,書籍表紙画像の自動生成を目的として,読者の印象を反映させた表紙画像色の抽出手法を提案する.具体的には,人間の内面的な性質や状態を表す形容詞と色の関係性に着目したデータベースを構築し,書籍本文と感想文から表紙色を抽出する手法を提案する.被験者20人による表紙画像の描画による実験と,被験者15名による書籍表紙色の選択による実験を行った結果,本手法は文章量に依存せず色抽出を行えること,読書後に読者の感情が揺れ動く小説において特に有効であること,実際に出版されている書籍の表紙よりも読者の印象を反映できることを確認した.
著者
栗原 宏季 稲森 真美子 眞田 幸俊
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SR, ソフトウェア無線 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.452, pp.135-140, 2012-02-29

本報告ではブロック符号化した信号を空間的多重したMIMOシステムにおいて軟判定復号時の尤度計算の際に信号分離を行う方式を提案する.従来のMIMOシステムにおいての信号分離は複数の受信アンテナで受信した信号に対して行われた.したがって通信路行列をフルランクにし信号を分離するためには,複数のアンテナ素子が受信側で必要であった.本報告では最尤復号の尤度計算時に信号分離処理する方式を検討する.提案方式は符号語と同等のサイズの通信路行列を復号候補として構成することができる.提案方式の例として,RayleighフェージングチャネルにおいてHamming符号化したシンボルの尤度計算による信号分離および最尤復号特性を検討した.そして誤り率特性の理論計算とシミュレーションより信号分離及び復号できることを示す.