著者
田中 秀俊
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.77, pp.37-40, 2006-05-19

レーダによる観測値から複数の機種を識別するにあたり、多数目標の識別の途中で種類数が動的に変化する場合がある。これに村し、1つの多種識別器で対応するのでなく、1対1識別器を多数用意して投票で判定すると、変化への村応が容易になる。既識別の目標を高速に再識別するには、投票の総和で判定する方法をとっておくとよい。ここで1対1識別器の投票を確信度によるものにすると、集計方式によっては個々の1対1識別器の結果とその総和による判定結果とが整合しない場合が生じる。これを整合させるには例えば、A対Bの確信度を投票する場合、Aと確信した場合にはBに負の確信度を投票して総和をとるような、否定的な集計法をとるとよい。このような整合性がとれる方式が満たすべき整合性制約を示す。
著者
渋谷 茂一 石塚 春夫 木下 敏雄 吉村 和昭 安藤 秀哉 亀島 昭徳 鈴木 喬 賀来 壽一 海野 幸次郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EMCJ, 環境電磁工学
巻号頁・発行日
vol.96, no.314, pp.73-80, 1996-10-18
被引用文献数
18

過去10年来, CISPRは,「EMI(放射妨害波)測定法の合理化」を最重要課題に挙げてきたが, 依然として未解決のままである. すなわち, 1991年のEMCシンポジュウム(チューリッヒ)では, IBM社が, 全世界の優良34サイトについて3m法の比較試験を実施し, EMI電界測定値に約10 dBのバラツキがあることを公表した. 1994年の会議(北京)では, ドイツが, 同じく6サイトについて10dB以上の差異を検出, CISPR測定法の不適合性を指摘した. 最新の1995年の会議(ダーバン)では,「EMIテストサイトと測定法の問題点と理論的検討」があらためて各国に要請された. 本論文は, それらに対応して,「3m法を含むCISPR勧告型サイトの相関係数が不確定で, 容易に10db以上の誤差が生じる理由を理論的に証明」, また, 「放射妨害波限度値ならびにサイトの自由空間化のみが唯一の解決手段」であることを示す.
著者
川戸 慎二郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.77, no.12, pp.2334-2341, 1994-12-25
被引用文献数
22

本論文では,多数の視点からの画像を用いて,画像間の対応点探索を必要としない3次元情報抽出法を提案する.画像に現れた特徴点とレンズ中心を結ぶ直線(逆投影直線)を3次元空間中に引くと,その直線は物体上の特徴点を通過する.そこで,対象空間をボクセルに分割し,逆投影直線がその交差するボクセルに1票ずつ投票するものと考えて,視点の異なる多数の画像から投票し,得票値に対してしきい値処理すれば特徴点を含むボクセルが共通ボクセルとして抽出できると予想される.しかし実際には,(1)ボクセルサイズの問題,(2)近接点干渉の問題,(3)遮へいの有無による得票差の問題などがあり,単純ではない.我々は,各逆投影直線ではなく各画像がボクセルを支持するという考え方を取り入れて(1)の問題を解決し,1回目の得票結果に基づいて2回目の投票を行うという2段階投票により(2),(3)の問題を解決することを提案する.この投票方法はボクセルの大きさに影響されないので粗いボクセルから始めて順次必要なボクセルのみを再分割していくアルゴリズムの構成が可能である.合成画像と実画像を用いて実験を行い,対象物の3次元情報が抽出できることを確認した.
著者
松尾 真一郎 尾形 わかは
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ISEC, 情報セキュリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.511, pp.1-6, 2002-12-09
被引用文献数
1

電子投票は暗号プロトコルの研究における有望な応用形態の1つと考えられており,これまでにも数多くの研究がなされている.既存の方式のほとんどは,一般的な選挙を主な用途として,投票者1人が1票を投じる形態の電子投票を実現したものであった.一方,現実の世界では,株主総会の投票や,持ち点を複数の選択肢に分配するアンケートのように,各投票者が個別の複数の票を持ち,場合によっては複数の選択肢に分配して投票を行うケースが存在する.既存の投票方式は,これらの場合に対して現実的ではない.本稿では,各投票者がそれぞれ異なる複数の票を持ち,複数の候補に分配して投票を行うことができる,新たな電子投票方式を提案する.本稿では,提案投票方式に対する要求条件を示し,次にプロトコルの提案を行い,提案プロトコルがこの要求条件を満たすことを示す.このプロトコルでは,各投票者の投票内容のプライバシは守られ,また,各投票者は不正な投票を行うことができない.提案プロトコルはゼロ知識証明が含まないため,他の投票方式に比べて実用的である.
著者
鈴木 喜久 室崎 益輝
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SSS, 安全性
巻号頁・発行日
vol.108, no.186, pp.1-2, 2008-08-18

7月10日、11日に日本学術会議で、安全工学シンポジュウム2008が開催された。関西からの出席者は少ないように思うので、概略を報告する。
著者
鄭 址旭 小林 哲生 李 玉文 栗城 眞也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.85, no.6, pp.1084-1092, 2002-06-01
被引用文献数
5

本研究では,視覚刺激におけるテクスチャによるターゲットとグラウンドの分離・認知にかかわる脳内プロセスの解明を目指し,視野内におけるターゲットの呈示領域と分離・認知されるまでに要する反応時間との関係を調べた.また,課題遂行時の事象関連電位を頭皮上63箇所で同時計測し,更にスプライン・ラプラシアン解析を行い脳活動の検討を行った.その結果,ターゲットの呈示される領域によって反応時間に有意な差が生ずることが明らかとなった.また,課題遂行に伴い潜時の異なる四つの事象関連電位成分が観測された.事象関連電位のスプライン・ラプラシアン解析により,これらの成分の信号源は左右両半球の後頭葉,頭頂葉,前頭葉にあり,このうち反応時間との関連から,潜時約270ms以降の前頭葉の活動が主にターゲットの認知にかかわる脳内プロセスを反映していると推察された.
著者
安田 浩志 齋藤 豪 中嶋 正之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.92, no.2, pp.255-261, 2009-02-01

工業製品の評価及び映画を含むエンターテイメント分野において,実際の人間による実現が困難な場面でのシミュレーションを行うため,計算機上で人体機構を再現する手法への需要が高まっている.本論文では特に人体のもつ機構特性の一つである関節可動域に注目し,簡略化された球関節人体モデルにおいて関節可動域のもつ解剖学的特性を再現する手法を提案する.多関節筋による影響から,一部の関節可動域は完全に独立ではなく隣接する関節の状態に大きく影響を受ける.しかし,関節ごとを独立に扱う従来の可動域表現ではこの変化を再現することができない.提案手法では,モーションキャプチャ装置を用いて混合正規分布による確率密度関数として関節可動域を決定する.まず,自己組織化マップにより非均一である計測データからの安定した関節可動域推定を実現し,次に正規分布間の共起関係により,複雑な筋骨格モデルを用いることなく多関節筋による影響の近似を可能にした.
著者
佐々木 圭一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1995, 1995-03-27

遊びとはフィクションであり,自由で日常生活から分離された活動である.遊びの仮想空間は,空想や現実世界の模倣によって作り出される.「〜であったら」という遊び,および「〜ごっこ」の遊びである.その仮想空間上でルールを規定することにより,独自の規律を仮想世界にもたらし,現実世界の規律にとらわれない,自由な活動を行うことが出来る.それと同時にルールは遊びにおけるある目的を設定し,また目的への障害となる.ルールに従いながら設定された目的を達成することが「ルールの遊び」である.コンピュータゲームおいては,コンピュータは,ルールを持ち隔離された仮想空間を提供すると同時に,模擬的な競走相手の役割も果たすようになったため,今までは対戦が相手が必要だった遊びも単独で楽しめるようになった.しかしながら,コミュニケーションを行いながら他者と様々な関係を持つという仕組みを提供することで,対人間の協力,協調や敵対などの関係や戦術の読みあい,裏切りなどの駆け引きをゲームの世界で実現できるようになり,ゲームに膨らみを持たせ,よりリアルで積極的に参加できる仮想世界を生み出すことになる. 本稿では複数参加型のゲームを例にコミュニケーションのモデルについて考える.
著者
鬼沢 武 小林 聖
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MW, マイクロ波
巻号頁・発行日
vol.96, no.532, pp.23-28, 1997-02-19

簡易な回路構成を持つ,位相情報を用いた逐次処理型プリアンブルレス復調器のAFC部とキャリア再生部について検討している.AFC部では位相オフセット周波数誤差検出法とデュアルループAFCを,またキャリア再生部ではキャリアフィルタ出力をサンプルホールド(S/H)するS/H付きオープンループ型逆変調キャリア再生法を提案している.これらの技術を用いた復調器はプリアンブル信号(キャリア再生用)を用いずにパケット毎の復調を可能にし,かつ複素情報を用いるプリアンブルレス復調器と比較して,約1/10の回路規模で実現出来る可能性を得た.
著者
鬼沢 武 小林 聖
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EMCJ, 環境電磁工学
巻号頁・発行日
vol.96, no.526, pp.23-28, 1997-02-19

簡易な回路構成を持つ,位相情報を用いた逐次処理型プリアンブルレス復調器のAFC部とキャリア再生部について検討している.AFC部では位相オフセット周波数誤差検出法とデュアルループAFCを,またキャリア再生部ではキャリアフィルタ出力をサンプルホールド(S/H)するS/H付きオープンループ型逆変調キャリア再生法を提案している.これらの技術を用いた復調器はプリアンブル信号(キャリア再生用)を用いずにパケット毎の復調を可能にし,かつ複素情報を用いるプリアンブルレス復調器と比較して,約1/10の回路規模で実現出来る可能性を得た.
著者
鬼沢 武 小林 聖
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. A・P, アンテナ・伝播
巻号頁・発行日
vol.96, no.523, pp.23-28, 1997-02-19

簡易な回路構成を持つ,位相情報を用いた逐次処理型プリアンブルレス復調器のAFC部とキャリア再生部について検討している.AFC部では位相オフセット周波数誤差検出法とデュアルループAFCを,またキャリア再生部ではキャリアフィルタ出力をサンプルホールド(S/H)するS/H付きオープンループ型逆変調キャリア再生法を提案している.これらの技術を用いた復調器はプリアンブル信号(キャリア再生用)を用いずにパケット毎の復調を可能にし,かつ複素情報を用いるプリアンブルレス復調器と比較して,約1/10の回路規模で実現出来る可能性を得た.
著者
鈴木 麻由美 田久 修 楳田 洋太郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.105, pp.55-60, 2009-06-18

近年,ワイヤレス通信において,さらなる高速大容量無線通信システムの検討が進められている.複数の中継局を用いて,空間ダイバーシチを獲得する協力通信では,各中継局が,送信局(Source)から情報を受信後,復調・再変調し,受信局(Destination)へと送信する.このような再生中継では,復調時に生じたビット誤りがDestinationに伝播することを避けるために,中継を中止する.しかし,中継が中止されると,送信信号数が減少するため,ダイバーシチ利得が低下するだけでなく,送信電力が低下する.そのため,Destinationにおける受信SNRは低下し,所要品質を達成できなくなる.本稿では,中継中止によって引き起こされた電力損を補償する方法を提案する.提案法は,他の中継局の中継中止を検波し,中継中止に伴う電力損を他の中継局が送信電力制御にすることで補償する.計算機シミュレーションにより,提案法の有効性を示す.
著者
鬼沢 武 小林 聖
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム
巻号頁・発行日
vol.96, no.529, pp.23-28, 1997-02-19

簡易な回路構成を持つ,位相情報を用いた逐次処理型プリアンブルレス復調器のAFC部とキャリア再生部について検討している.AFC部では位相オフセット周波数誤差検出法とデュアルループAFCを,またキャリア再生部ではキャリアフィルタ出力をサンプルホールド(S/H)するS/H付きオープンループ型逆変調キャリア再生法を提案している.これらの技術を用いた復調器はプリアンブル信号(キャリア再生用)を用いずにパケット毎の復調を可能にし,かつ複素情報を用いるプリアンブルレス復調器と比較して,約1/10の回路規模で実現出来る可能性を得た.
著者
大石 克己 荒木 恒彦 前田 惟裕
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会ソサイエティ大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1995, no.1, 1995-09-05
被引用文献数
1

21世紀初頭以降、地球周回軌道上における宇宙環境利用、地球観測等の種々の分野で宇宙活動要求の増大が想定される。これらの要求に効率的に対応するためには従来の使い捨て衛星を個別に開発するのではなく、軌道上での補給・交換・組立・回収等のサービスを行う軌道上サービスシステムの概念が有効になる。前回95年3月の信学会総合大会では、21世紀初頭以降における段階的なシステム構築の一環として位置づけられる軌道上サービス実験衛星システムに係わる宇宙開発事業団構想の研究結果を報告したが、本稿では、この実験システムを構成する種々の宇宙機の概念および開発構想について述べる。
著者
田野 英一 牧野 秀夫 前田 義信 パークス ドナルド N.
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.82, pp.35-40, 1999-05-21
被引用文献数
4

GPSは, GPS衛星からの電波を受信することで受信機の位置を測位するシステムである. 本報の位置案内装置は, 視覚障害者がGPS受信機を装着し, そのGPS受信機から出力された位置情報を元に, 当該位置の地名, 建造物名等を音声で確認することができるものである. 我々は, このGPSを用いた視覚障害者用屋外位置案内装置を試作し報告してきた. しかし, 従来の試作装置はいわゆる単独測位であったため, 測位誤差は最大で100mほどであった. 今回この測位誤差を軽減することを目的として, FM-DGPSを採用した装置を試作し, その評価を行なった. その結果, 測位誤差を最大でも10mに軽減することができた. また従来は, 視覚障害者は前述のGPS受信機の他に携帯電話を携え, 地図情報を内蔵したパーソナルコンピュータを有する基地局と交信することで, 案内情報を取得していた. 今回は, GPS受信機とパーソナルコンピュータを接続して視覚障害者が携帯する方式と, 開発初期の方式との併用型とした.
著者
田原 光穂 大島 利充 草場 律 馬島 宗平 田島 悟志 川村 宜伯 成田 亮介
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. TM, テレコミュニケーションマネジメント (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.600, pp.53-58, 2007-03-08

誤った経路情報をインターネットに広告することにより大規模な通信障害を引き起こす経路ハイジャックが発生しており、障害の検知・回復にかなりの時間を要しているのが実状である。そこで我々は、経路ハイジャックを検知・回復・予防する技術の研究開発に取り組んでいる。本橋では、経路ハイジャックに伴う通信障害を自動的に回復する手法について論じる。
著者
奥村 慎吾 初田 健
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MW, マイクロ波 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.209, pp.161-165, 2004-07-16

高品質かつ経済的な北海道統合通信網の構築をするためには、通信衛星回線の回線稼働率を向上することを目的とし、サテライト・ダイバーシティ(以下Sat.D)方式特性の測定法を検討している。使用する周波数が10GHz帯を超えると、降雨または降雪による回線断の通信障害が生じる。その回線稼働率向上の一手法として、従来の測定法はスペクトラムアナライザで使用する方法で、対象とする衛星数が増加するとrストが大きくなる欠点を有しているサイト・ダイバーシティ(以下SD)方式があるが、ここではSat.D方式を検討している。Ku帯(14/12GHz帯)における2衛星の信号を受信し、C/Nの良好な衛星を選択して通信を行うSat.D方式の低コストな測定法の実現性を検討するために、新しい測定系を構成し、それにより得られた短時間Sat.D特性測定結果からSat.D効果の例を示めしている。
著者
辻 宏之 大堂 雅之 三浦 龍 丸山 正晃 鈴木 幹雄 笹本 尚史
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MW, マイクロ波 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.680, pp.139-143, 2003-02-26

2002年6月から7月にかけて,米国ハワイ州カウアイ島で実施された高度20kmの成層圏に滞空する無人ソーラープレーンを用いた世界初のIMT-2000通信実験が行われた.この実験で約200km離れたオアフ島からの干渉波による通信品質の劣化が観測され通信障害が発生した.本報告では,この干渉波の解析とアレーアンテナを用いた干渉波軽減について報告する.
著者
青木 公也 金子 豊久
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.86, no.1, pp.72-83, 2003-01-01
被引用文献数
6

本研究では人間と共存するロボット(福祉・ホームロボット)の外界認識システムに焦点を当て,その導入研究として距離情報とカラー情報を利用した3次元物体の検出について検討を行った.ステレオビジョンが任意に移動していく過程で蓄積されていく外界情報を利用し,指定された物体の位置・姿勢を検出するアルゴリズムを提案する.3次元モデルベーストマッチングに改良した遺伝的アルゴリズム(GA)を適用する.視点移動は GA に動的環境をもたらすと考え,多峰性問題と評価関数の変化に対応するために「種族」と「競争的共存」の概念の導入を図った.また,ロバストなマッチングを行うために3次元モフォロジー演算を利用した評価空間の生成手法を提案した.距離画像の各画素に距離データだけでなく,HSV カラー情報を付加することによって形状情報とテクスチャ情報を同時に評価する手法も提案する.最後に提案手法についてシミュレーション及び実画像での実験を行いアルゴリズムの有効性を示す.本アルゴリズムは探索対象とする物体形状の複雑さに柔軟に対応できること,センサによる距離情報取得の際の外乱に対してロバストであるという特長をもつ.
著者
呉 美京 齋藤 洋典
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.448, pp.41-46, 2004-11-12

近年,第二言語(L2)としての日本語の習得では,L2が利用される社会的文脈を理解し,L2を適切に使用するための社会言語的能力の養成に力が注がれている.本稿では,アニメーション伝達課題を用いて,発話言語(L1 韓国語,L2 日本語)と,それらの発話環境(韓国,日本)との組合せからなる発話負荷が,自発的ジェスチャーの生起頻度に及ぼす影響を検討した.実験の結果,L1韓国語による発話に伴う自発的ジェスチャーの生起頻度は,発話環境の影響を受け,韓国よりも日本で低下するが,L2日本語の発話に伴う自発的ジェスチャーの生起頻度は,発話環境の影響を受けないことが確認された.