著者
島田 寛之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1996, no.1, pp.488-489, 1996-03-11
被引用文献数
5

1990年前半に線形解析だけで始まったマイクロ波回路シミュレータは、その後衛星や移動通信の発達に伴う設計の要求に合わせるよう様々な機能拡張が行われてきた。マイクロ波CAEツールは、大きく分けて、1.ライブラリ(線路モデル、半導体モデル、部品ライブラリ)、2.回路シミュレータ(線形、非線形、デジタル、システム)、3.レイアウトとそれらを統合するフレームワークのモジュールに別れている。これら個々のモジュールのついて現状と課題を箇条書きで紹介する。
著者
澤田 圭一 姜 錫 坂本 雄児
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IE, 画像工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.489, pp.7-11, 2008-02-12

近年,インターネット配信や有料放送などの有料映像配信が盛んになってきている.しかし無料配信ほどの利用者を獲得するには至っておらず,違法コピーなどによる著作権侵害の問題も抱えている.そこで利用者獲得と著作権保護を同時に行うことを目的に,概要を認識できる程度に品質を劣化させたスクランブル動画を,サンプル映像として用いる手法が提案されている.しかし従来手法では,サンプルとなるスクランブル動画の画質を制御するために,パラメタを対話的に調節する必要がある.そこで本稿では,スクランブル度合いを目標PSNRという統一的な指標から算出し,スクランブル動画の画質を制御する手法を提案する.さらにそのスクランブル度合いに対して補正を施すことにより,視覚特性を考慮した画質制御を可能とした.
著者
中島 裕 大坐畠 智 川島 幸之助
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.3, pp.55-58, 2009-04-09

近年,無線LANが安価になり,かつ設置が容易であるため広く普及してきた.これを背景に,無線環境での音声やビデオストリーミングなどのリアルタイムアプリケーションの需要が高まっている.IEEE802.11の通信品質(Quality of Service:QoS)を向上させるための方式としてIEEE802.11eが標準化されている.しかし,この方式ではアプリケーションから過剰なトラヒックが生成された場合,十分なQoSが提供できなくなる.これは,IEEE802.11eがMAC層でトラヒックの発生をスケジューリングするが,トラヒックの発生量を制御しないためである.この問題を解決するためMAC層の無線チャネル占有情報を用いてアプリケーションレベルのトラヒック生成制御を自律的に行う方式を提案する.チャネル占有率はNetwork Allocation Vectorを分析することによって推定し,クロスレイヤ制御によってトラヒックの生成を適切に制御することを可能にする.
著者
松尾 正輝 平田 雄也 Syafei Wahyul Amien 黒崎 正行 黒木 祥光 宮崎 明雄 斉 培恒 尾知 博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SIP, 信号処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.202, pp.17-22, 2009-09-17

本報告では,4Kデジタルシネマ画像の無線伝送システムを提案する.本システムでは,次世代無線方式として国際標準化に向けて動き出したIEEE802.11TGac(ac task group)を基本とした伝送速度1.2Gbpsの無線伝送システムを用いる.このシステムは5GHz帯を使用し,80MHzの周波数を用いることで33メートルの伝送距離を実現した.また,ビデオデータをJPEG2000符号化を用いて圧縮し,かつ,誤り耐性機能を持たせることにより,無線伝送での誤りの影響を低減しつつ,1.2Gbpsの伝送速度での伝送を可能としている.シミュレーションにより,本システムの有効性を示し,リアルタイムアプリケーションの実例を示す.
著者
堀内 健介 権藤 俊一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.392, pp.39-44, 2009-01-15

NGNのような使用帯域が保証されたネットワーク環境が整備されていることを背景に,高画質の映像配信サービスとしてIPTVが注目されている.IPTVの視聴には信頼性の高いネットワークが必須要素であることからユーザーの宅内の受信機は有線LAN環境に接続されていることが前提である.一方,今後は無線LANが多用されると想定される.そこで本稿では,無線LAN環境(IEEE802.11g)における,標準化プロトコルを用いたIPTV視聴時のストリーム伝送特性と映像品質への影響を評価・考察する.
著者
古川 智章 溝端 竜也 東野 武史 塚本 勝俊 小牧 省三
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MoMuC, モバイルマルチメディア通信 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.380, pp.99-104, 2010-01-14

映像コミュニケーションサービスが発達する今日,その1つとしてモバイルインターネットアクセスを利用したTV電話サービスがある.しかし,無線LANのような無線アクセスでは,無線リソースの逼迫に起因するサービス品質の劣化に対して,品質保証が必要となる.その指標として客観品質評価値があり,TV電話サービスには客観品質評価方法として,ITU-Tで標準化された評価手法G.1070がある.本稿では,背景トラヒックによる無線帯域の逼迫時における,映像トラヒックのパケットロスと客観品質をG.1070を用いて実験的に評価する.また,パケットロスと送信ビデオビットレートのトレードオフ,さらにビデオビットレートとフレームレートの関係に着目して,帯域逼迫時における映像品質を最大化するビデオビットレートとフレームレートの最適値について検討する.
著者
平井 敏之 大坐畠 智 川島 幸之助
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.4, pp.11-16, 2010-04-08

インターネットへのアクセス手段として、IEEE 802.11による無線LANが急速に普及してきた。無線LAN環境下で、TCPとUDPが同時に利用されているとき、それぞれの通信品質を確保する制御方式を提案する。UDPによるリアルタイム通信では、所定の帯域幅を必要とする。ところで、TCPの輻輳制御アルゴリズムとしてよく利用されるTCP Renoは、パケットロスが発生するまでウィンドウサイズを増加させる方式を採用している。そのため、UDP通信(リアルタイム通信)に必要な帯域幅を奪い、リアルタイム通信の品質を低下させる恐れがある。この問題を解決するために、無線LANの利用状況を観測しながら、リアルタイム通信の妨害をしないウィンドウサイズの制御方式を提案する。提案方式をコンピュータシミュレーションにより評価し、UDP通信に必要な帯域幅を確保しながらTCP通信が可能となることを示す。
著者
秋田 純一 村上 知倫 戸田 真志
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ICD, 集積回路 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.163, pp.159-164, 2007-07-19

近年のVLSI技術の進歩に伴うコンピュータシステム・ネットワークシステムの進歩により、我々が多くの電子機器を常時身につけて利用する、いわゆる「ウェアラブル・コンピューティング」が現実的となってきた。ウェアラブル・コンピューティングにおいて、身につける機器数が増大するのに伴い、ケーブルのひきまわしと、電源確保という2つの問題が深刻となってきた。著者らはこれまで、我々が普段から着用する衣服に着目し、これを導電性の布によって製作し、それを電力供給と通信に用いることでケーブルのひきまわしと電源確保の問題を根本的に解決するネットワークシステムTextile Netの開発を行ってきた。しかし従来のTextileNetシステムでは通信の信号振幅が大きいため、消費電力の低減と高速化に限界があるという問題があった。本稿では、直流電力供給に小振幅の通信信号を重畳する方式(DC-PLC)に基づくTextileNetの改良形について述べる。このDC-PLC方式の予備的な実験結果と、その結果に基づくトランシーバLSIの設計・評価の結果について述べる。
著者
山本 拓弥 久保 満 河田 佳樹 仁木 登 大松 広伸 柿沼 龍太郎 江口 研二 森 清志 金子 昌弘 森山 紀之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MI, 医用画像 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.213, pp.13-18, 2003-07-11
被引用文献数
2

我が国の部位別がん死亡率の第一位は肺がんであるため,その死亡率の減少を目的とした肺がんCT検診に大きな関心が寄せられている.これは同一被検者の経時CT画像を用いて経過観察することにより比較読影を行い,早期肺がんの診断をしている.この問題点は,読影のための準備と大量の画像を読影することが,読影医師に大きな負担となることである.そこで効率良く比較読影が行えるシステムの開発が望まれている.本研究では肺容量の経時変化の結果を解析し,その結果を元に構築した比較読影用位置合わせアルゴリズムを提案する.解析結果から,肺血管情報を基準としたテンプレートマッチングによる位置合わせアルゴリズムを構築し実験を行う.
著者
前川 泰之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. A・P, アンテナ・伝播 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.386, pp.1-6, 2009-01-14
被引用文献数
2

1988年から2006年にかけて大阪電気通信大学(大阪府寝屋川市)において測定されたKa帯とKu帯衛星電波の降雨減衰長期統計について、それらの周波数スケーリング特性の年変動に注目して、詳しく解析を行なった。各年のKa帯とKu帯降雨減衰量の累積時間率分布における等時間率値の比率は±10%以上の変動を示し、ITU-R勧告による周波数スケーリング法に対してかなりの誤差が発生することが分かった。過去19年間の500例近い降雨事象の前線種別を調べた結果、夏季の夕立発生頻度に加えて梅雨期と秋雨期における停滞前線の雨滴粒径分布の差異が、減衰比の年変化の大きな要因であることが示された。そこで代表的な3種の雨滴粒径分布を降雨事象毎に指定してKu帯BS電波の減衰測定値から1分間隔でKa帯N-Star電波の減衰量を求めると、両者の累積時間率分布における周波数スケーリング精度の大幅な向上が示された。また梅雨期と秋雨期あるいは夕立等の特定の降雨タイプにおいて雨滴粒径分布を指定して推定を行うと、同様に精度の向上を見込めることが確かめられた。
著者
王 旭 和田 尚也 宮崎 哲弥 北山 研一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PN, フォトニックネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.667, pp.127-132, 2006-03-09

コヒーレントDPSK-OCDMA(optical code division multiple access)の差動位相変調方式の実用性が提案され実験的に実証されている。On-off-keying(OOK)-OCDMAとの比較に基づいた検証を理論的かつ、実験的に行なわれている。バランス型検出器を用いたDPSK-OCDMAはOOK-OCDMAに比べ、ビート雑音耐性と多重アクセス雑音耐性が優れていることを実証する。DPSK-OCDMAはまた、受信側の閾値レベル設定を低減でき、システムの信頼性を向上できる。
著者
三田 純平 大西 克彦 北村 喜文 岸野 文郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MoMuC, モバイルマルチメディア通信 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.423, pp.89-94, 2003-11-07

広大で複雑な3次元空間内において,複数の視点からの画像を効果的に連携させて提示することは,利用者の正確な空間把握のためには極めて重要である.本稿では,多くの視点からの画像に関連性をもたせ柔軟かつ直感的に対象環境を把握できるシステムを実現するために,複数組の座標系対を連動させて利用する手法を提案する.連動させる座標系対に3種類の拘束条件を適宜導入することによって実現される視点制御法を分類・整理し,これを用いた例についても検討する.
著者
高島 大三郎 大脇 幸人 渡辺 重佳 大内 和則 松永 準一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SDM, シリコン材料・デバイス
巻号頁・発行日
vol.96, no.225, pp.43-49, 1996-08-22

DRAMの超高密度, 超高バンド幅化に伴って, 寄生インダクタンス起因の電源ノイズ (逆相, 同相ノイズ) が深刻な問題となってきた. 本論文では, 第1に, LSI内部の消費電流ピークにもかかわらず, 外部電源Pinの電流をほぼ一定に保つ事が出来る「定電流降圧回路」を提案している. 逆相電源ノイズを1/5に低減出来る. 第2に, 出力データを部分的に反転することにより, 同相ノイズを1/4〜1/8に低減出来る「部分反転データBUS方式」を提案している. 16〜32GB/sの超高バンド幅を実現出来る.
著者
椋本 介士 福田 明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1997, no.1, 1997-03-06
被引用文献数
1

本稿では, 流星バースト通信用ソフトウエアモデムとして当研究室で開発し, 実際に運用しているDPSKモデム, 及び次世代のモデムとして開発研究を行っているPSKモデムの概要を報告する. 流星バースト通信は, 流星の大気圏突入により生じる電離気体柱の反射を利用して見通し外通信を行う通信手法である. 流星バースト通信路には確率的に発生消減するという特徴があり, この通信路を有効に利用するためには, 特別なプロトコルが必要となる. 例えば, 当研究室で実験運用を行っている情報収集システムでは, 中心局が, 各端末宛のポーリングパケット(40bit)を一定周期で送信し, 端末は, 流星バースト通信路が発生し, その端末宛のポーリングパケットが到達した時のみ観測データ(10Obit程度)を局に向けて送信する, というプロトコルを用いている. このプロトコルを実現するため, モデムには, 短パケットからの同期情報抽出, 実時間性, 正確なパケット検出機能などが要求される.
著者
松本 紘 臼井 英之 竹中 聡
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B-II, 通信II-無線通信・無線応用 (ISSN:09151885)
巻号頁・発行日
vol.80, no.3, pp.257-264, 1997-03-25
被引用文献数
3

地球往還型宇宙機が地球大気圏に再突入する際に起こるブラックアウト現象に関する調査には, OREXやHYFLEX等の実際の再突入実験が実施されたが, このような宇宙実験は膨大な予算が必要となる. そこで, 我々はプラズマ電磁粒子コードを用いて, 計算機上でブラックアウト現象の再現およびその解析を行うことに成功した. また, ブラックアウト回避法として, 機体前面に生じる高密度プラズマ層に磁場をかける方法に着目し, その効果を調査する目的で計算機実験を行った. 今回は簡単のため, プラズマ層に印加する磁場を一様磁場とした. 計算機実験の結果, 機体からの通信電波が,高密度プラズマ層中ではホイスラモードおよびLモードで伝搬可能であることが確認された.
著者
坂本 雄児 長尾 智大
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C, エレクトロニクス (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.85, no.3, pp.150-157, 2002-03-01
被引用文献数
2

計算機合成ホログラフィ(Computer Generated Holography)は,計算機内の仮想的な物体から立体像を表示する技術であり,立体的な視覚特性を満たす表示方式として注目されている.しかし,ホログラムを作成するのに必要な光の伝搬計算に膨大な時間がかかる問題点があった.本論文では,物体のモデリング手法として,物体を基本的な図形によって定義するパッチモデルを用い,このモデルよりの高速なホログラム計算法を提案する.更に,計算機シミュレーションによりアルゴリズムの検証を行うとともに,本提案法を用いて作成したホログラムによる光学実験結果を報告する.
著者
加藤 博一 森長 健太郎 橘 啓八郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.227, pp.29-34, 2001-07-19

本報告では, 我々の開発した拡張現実感技術を用いたビデオ会議システムを紹介し, その有効性に関する評価実験について述べる.拡張現実感環境にいる会議参加者は, 実世界中の紙製のカードの上に会話相手のビデオ映像を見ることができる.また, カメラで撮影された矩形のビデオ映像はそのまま表示されるのではなく, 背景が除去された映像が表示される.これを仮想モニタと呼んでいるが, それは自由に移動させることができ, それにより会話を円滑に行うための空間的手がかりが利用可能となると考えた.評価実験の結果からは, ヘッドマウントディスプレイを装着する影響で目が覆われるという問題があるにもかかわらず, ビデオ映像が効果的に機能していることがわかった.