著者
鮫島 和行 片桐 憲一 銅谷 賢治 川人 光男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.84, no.9, pp.2092-2106, 2001-09-01
被引用文献数
17

本研究では, 複数の予測モデルを用いた強化学習方式(MMRL)を提案する.MMRLでは, 制御対象の将来の状態を予測する予測モデルと, 制御出力を学習する強化学習コントローラを組としたモジュールが複数用意され, 各予測モデルの予測誤差のsoftmax関数により予測の正確なモジュールほど大きい値をもつ「責任信号」が算出される.各モジュールの学習と制御出力を責任信号によって重みづけることにより異なる状況に対応したモジュールが形成される.MMRLでのモジュール数や担当領域などの事前知識なしにロバストなモジュール化を実現するために, 空間・時間的な連続性の仮定による事前責任信号の定式化する.また, MMRLの効率的な実装法として複数の線形予測・2次報酬モデルによる最適コントローラ(MLQC)の定式化を行う.MLQCの性能の確認を行うため単振子を用いた振上げのシミュレーションを行う.単振子のつり下がり付近と倒立点付近の局所線形予測モデルとそれに対応するコントローラが学習により獲得され, 従来手法よりも高速にタスクが学習可能であり, またモジュールの冗長性にも対応可能なことを示す.
著者
加川 義久 高 義礼 藤原 修
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EMCJ, 環境電磁工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.107, pp.45-50, 2007-06-15
被引用文献数
1

帯電人体からの放電電流の発生機構解明を目的として,1kV以下の帯電電圧において,金属棒を握った帯電人体からの放電電流を50ΩSMAコネクタを介した6GHzディジタルオシロスコープで測定し,放電電流波形のピークと立ち上がり時間の帯電電圧依存性を調べた結果,600V以下の帯電電圧では金属棒の接近速度に拘わらず,電流ピークは帯電電圧にほぼ比例すること,電流波形の立ち上がり時間は70ps程度とほぼ一定となること,などを先に報告じた.本文では,引き続き帯電人体の指先接触で生ずる放電電流を12GHzディジタルオシロスコープで測定し,電流波形の帯電電圧依存性を明らかにした.まず,観測電圧波形と測定系に注入される放電電流波形との関係をあらわす伝達インピーダンスの測定法を示し,300kHzから18GHzまでの周波数特性を測定した結果,100MHz付近までは(50+jO)Ωとみなせるが,7GHzと15GHz付近に共振現象が現れることがわかった.しかしながら,この伝達インピーダンスからターゲットへの注入電流を推定すると,その波形は,観測電圧波形を50Ωで除した波形とほぼ一致することを確認した.つぎに,人体の指先接触で発生する放電電流を帯電電圧との関係において測定した結果,数百ボルトの帯電電圧では多重放電が頻繁に観察されるのに対して,1kVを超えると金属棒の場合と同じく1回の放電で終了する傾向がみられたこと,電流ピークは1kv程度までは帯電電圧とともに上昇するが,それ以降ではなまること,立ち上がり時間は帯電電圧と共に緩やかになること,接近速度が大きいほうが電流のピークは高く,立ち上がり時間は短いこと,などがわかった.
著者
庄司 正成 澤田 孝
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. USN, ユビキタス・センサネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.378, pp.7-12, 2011-01-13

音響情報に基づく様々な対象のセンシング,認識研究の一環として,人の存在,行動,状態の検出や認識の実現について検討している.本稿では,人の歩行をその足音に基づいて検出,追跡する可能性について実験的に検討した結果について報告する.室内において,マイクロホン4本からなる基本的マイクロホンアレーを床から2.5mの高さに設置し,床面上2次元における足音の位置推定,追跡について実験的に検討した.足音位置推定成功率のSN比依存性,位置推定の空間的誤差等を評価し,設定した実験環境においてはマイクロホンアレーを中心とした床面上7〜8mの範囲において十分な確度,精度で足音位置推定,追跡が可能であることを示す.足音1歩のデータに対して足音位置推定が正しく行われる時間軸上のデータ範囲を検討し,位置推定のためのデータ範囲を最適化するとともに,空間的に近接した複数人の足音については簡易な識別手法を用いることによって,現状,5人程度の歩行者については歩行の同時検出,追跡が可能であることを示す.足音位置と時刻との推定結果に基づき,各人それぞれの歩幅,歩く速さや方向等歩行の詳細な状態を評価することも可能である.
著者
上條 俊介
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ITS (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.608, pp.179-188, 2006-02-20
被引用文献数
2

事故および死者数削減・交通渋滞緩和においては,インフラおよび車載センサーによるセンシングに基づく路車間協調が今後ますます重要になる.画像処理技術は,環境変化へ頑健なシステムを構築することが困難であったことから,市場への導入が遅れていた.しかし,近年の画像処理技術自体の進歩,道路管理者等の運用者側において画像処理技術を使う上での理解が進んだことにより,市場への導入拡大が期待される.また,センシング技術は,交通事故や交通渋滞のメカニズムの解明へ向け,良質なデータを取得するための有効手段としても注目されている.本講演では,最近の画像処理技術の動向について紹介する.さらに,他のセンシング手段との融合によって事故削減・渋滞緩和へ向け,どのような最適解が有りうるかについて議論を行う.
著者
中洲 俊信 チャンドラシリ N.P. 苗村 健 原島 博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CQ, コミュニケーションクオリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.632, pp.7-12, 2005-01-20

筆者らは, 誰でも「対象人物の雰囲気をうまく表現した似顔絵」を作成できるようなシステム作りを目指して, 対話型GAを用いた似顔絵作成システムの実装に取り組んでいる.一般に, 対象人物の印象に影響を与える大きな要因の一つに「髪型」が挙げられる.しかしながら, 似顔絵作成システムに関する従来研究では, 個人差が大きく扱いが困難であるという理由から, すでに用意しておいた髪画像を用いたり対象人物の写真を加工したりすることで簡易的に髪を表現するものが多かった.本論文では, 対話型GAを用いた似顔絵作成システムへの導入に向けて, 数個のパラメータで構成される髪モデルを考案した.まず, 髪を複数のカテゴリーに分割し, 髪型集を参考に, 各カテゴリーについて高い頻度で出現する髪要素を選び出した.それらをもとに髪モデルの設計を行い, 表現力についての検討を行った.
著者
満月 賢治 伊藤 秀隆 隅元 昭
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DE, データ工学
巻号頁・発行日
vol.98, no.486, pp.57-63, 1998-12-17
参考文献数
10

近年, インターネットの急速な発展により, 遠隔地間の多様で情報通信が実現しつつある.その応用形態として, 教育利用への活用の試みも報告されている.ここで重要な問題として考えられるのは, 受講者が多人数にわたる場合に, 受講者の発信する大量の回答や質問などの情報を, いかに確実かつ効率よくUp Streamの流れとして確保するか, である.そこで, 本研究では, WWWを用いた遠隔教育システムにおいて, 地域的に分散している多人数の受講者から発生する大量のUp Stream フィードバックデータを確保するための分散処理システムの構築を目的としている.
著者
井戸川 貴志 出口 博之 辻 幹男 繁沢 宏 高木 信雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C, エレクトロニクス (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.89, no.5, pp.321-328, 2006-05-01
被引用文献数
17

単純なストリップ導体を二次元周期配列して構成されるオフセット給電のマイクロストリップリフレクトアレーにおいて,広帯域な特性の実現を目指して,長さの異なる線状素子を一方向に密に配列して構成し,その簡易設計法について述べている.本法の妥当性は,モーメント法をもとにした数値解析,及び試作した単層構造のマイクロストリップリフレクトアレーのX帯での放射パターンの測定評価によって検証している.
著者
吉澤 勇気 坂本 雄児
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ITS (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.105, no.609, pp.121-126, 2006-02-14

似顔絵は個人の顔の特徴を端的に表現したものである。よって似顔絵から作成されたアバタは人それぞれ唯一のものとなり他と判別しやすく、また自分の分身のようなものなので愛着がもてる。そして、似顔絵を漫画的にすることにより感情の誇張表現や漫画符号を違和感無く使用できるので、多様な感情表現がアバタを用いたコミュニケーション上で可能となる。似顔絵において髪型は個人の特徴をよく表したものであるが、個人差が大きく形が様々であるため表現が難しい。そこで本研究では、漫画では髪の毛が領域の組み合わせであることが多いことに着目し、領域分割を利用した似顔絵に適した髪型の表現と髪型特徴の強調を行い、その結果について考察した。
著者
池谷 友秀 林 貴宏 尾内 理紀夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.130, pp.79-84, 2007-07-02
被引用文献数
2

字幕付きのドラマや映画などを鑑賞する際,字幕が話者の顔から離れて表示されているため,字幕を読みながら話者の演技を集中して見ることが困難である.そこで本研究では吹き出しを話者の近辺に作成し,その内部に字幕を表示するシステムを開発した.話者を識別するために,顔検出の結果から唇領域の位置を推定し,唇の開閉状態を認識する.字幕は他の登場人物の顔領域に重ならないような適切な位置に表示する.15人の被験者に1分程度の会話シーンを本字幕表示方式と従来方式(字幕が常に画面中央下部に表示される方式)で視聴してもらい,本字幕表示方式の見易さをアンケートにより評価した.評価実験の結果,字幕が適切な位置に表示された場合には本字幕表示方式の方が見やすいということが確認できた.
著者
角 康之 間瀬 健二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.84, no.8, pp.1231-1243, 2001-08-01
被引用文献数
25

本論文では, 博物館, 街角, 学校, オフィス, 学会イベントなど, 興味, 趣味, 状況を共有する人が集まる場所での対面している人の間の出会いや対話を促進することを目的とした, エージェントサロンと呼ばれるシステムを紹介する. エージェントサロンは, 複数のユーザが同時に利用できるような大きなディスプレイをもっており, そこに, 各ユーザに帰属したパーソナルエージェントがキャラクタアニメーションとして表示され, それらが自動的に会話を始める. パーソナルエージェントは, 普段はPalmGuideと呼ばれる携帯ガイドシステム上で動作しており, 各ユーザの個人的興味やそれまでの行動履歴を管理しながら個人ガイドサービスを提供している. 各ユーザがPalmGuideをエージェントサロンに赤外線接続することで, パーソナルエージェントはそれらの個人情報と一緒にエージェントサロンに乗り移り, エージェント同士で自動的におしゃべりを始める. おしゃべりの内容は, 各ユーザの興味やそれまでの行動履歴に関する内容であり, ユーザに成り変わって, 互いの経験に基づいた意見交換を行ったり推薦を行ったりする. そのおしゃべりを聞いているユーザたちは, いわば以心伝心のように共通の話題を得ることができ, エージェントたちのおしゃべりに引き込まれるように, より価値のある会話を始めることが可能になると考える. 本論文では, 実際の会議の参加者サービスとして実装したエージェントサロンの, 動作説明と評価を行う.
著者
前田 康成 後藤 文太朗 升井 洋志 桝井 文人 鈴木 正清 松嶋 敏泰
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.96, no.8, pp.572-581, 2013-08-01

近年,遊び手である人間の負荷を軽減することを目的に,遊び手が操作するキャラクタであるプレイヤキャラクタ(PC)以外にコンピュータが操作するキャラクタであるノンプレイヤキャラクタ(NPC)が導入されたロールプレイングゲーム(RPG)が増えてきた.従来からマルコフ決定過程(MDP)を用いたRPGのモデル化が行われているが,NPCを伴うRPGのMDPを用いたモデル化はまだ行われていない.そこで,本研究では,MDPを用いてNPCを伴うRPGのモデル化を行う.更に,MDPの真のパラメータ未知の場合に相当するNPCを伴うRPGについて,報酬の期待値をベイズ基準のもとで最大にする攻略法を算出するアルゴリズムを提案する.
著者
長尾 敦 和田山 正 若杉 耕一郎 笠原 正雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IT, 情報理論
巻号頁・発行日
vol.95, no.79, pp.49-54, 1995-05-26
参考文献数
6
被引用文献数
8

本稿では,近年,磁気記録符号の分野で重要性が高まりつつあるEPR4(Extended Partial Responce 4)チャネルに対して有効な符号化法を提案する.従来より,記録密度が低い場合の磁気記録系モデルである1-Dチャネルに対して,さまざまな記録符号が提案されているが,より高密度な記録系のモデルであるEPR4チャネルに対する検討は少ない.そこで,本稿では,基本的にはHoleとYtrehusらが提案している1-Dチャネルに対する符号を基礎として,EPR4チャネルに適した符号を探索した.またHoleとYtrehusらはプリコーダを用いる場合のみを考察しているが,ここでは新たにプリコーダのない場合も検討した.その結果として,特に符号化率の低い範囲で優れた符号が見出された.
著者
山田 智一 松永 昭一 川端 豪 鹿野 清宏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.77, no.2, pp.198-205, 1994-02-25
被引用文献数
19

仮名・漢字の文字連鎖確率に基づく統計的言語モデルを利用した日本語Dictationシステムについて述べる.日本語の統計的言語モデルとして,仮名・漢字の文字連鎖確率(次に出現する文字の,既に出現した2文字による条件付き確率)に基づくモデルを利用した方が,従来の音韻や音節の連鎖確率に基づくモデルよりも有効であることを,パープレキシティ(情報論的な意味での平均分枝数)に基づいて検討する.更に,仮名・漢字連鎖のモデルを用いた日本語Dictationシステムを構築し,(1)仮名・漢字連鎖確率のみによるモデルを利用した場合,(2)(1)モデルと読みの辞書を用いて,出力された漢字仮名混じり系列に対する読みを考慮した場合,(3)あらかじめ読みを考慮して作成した,仮名・漢字連鎖確率によるモデルを用いた場合について,パープレキシティとシステムの文字変換率(正解表記に用いられる文字を,出力文字系列がいくつ含んでいるか),文節変換率(出力文字系列がすべて正しく,かつその読みも正しいものの割合)で比較・検討する.国際会議の問合せに関するタスクにおいて,特定話者1名による,語いの仮定なしでの274文節の変換実験に対し,(3)の場合に,文節変換率65.0%,文字変換率79.0%を達成した.
著者
小川 正 藤田 昌彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.80, no.2, pp.642-651, 1997-02-25

ステップ-ランプ状に位置が移動する光スポット刺激を呈示し, 被験者が視標に向かって行ったサッカードの終了時刻に合わせて視標のランプ速度をステップ状に増加 (減少) させた. このような試行を繰り返すと, パシュート速度が適応的に増加 (減少) した. 視標のランプ速度が同じでも, パシュード開始速度は視標のステップ幅に応じて選択的に増大または減少させることが同時にできた (視標ステップ幅依存性). また, パシュート適応によるパシュート速度の変化は適応前の値に一定量のバイアスが重畳するようなものでなく, 視標速度に対するパシュート速度の比 (パシュートゲイン) を更新するようなものであった. 適応前後で運動視標に対するキャッチアップサッカードの振幅に変化がなかったことから, パシュート適応はサッカード系と独立な部位で生じていることが示唆された.
著者
勝田 悦子 内山 彰 山口 弘純 東野 輝夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MoMuC, モバイルマルチメディア通信 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.476, pp.61-67, 2012-03-05

GPSは多くの携帯電話に搭載され,我々の生活に欠かせないものとなっているが,都市部においてはビルなどの障害物による遮蔽や反射・回折の影響を受け,測位誤差が大きくなることが知られている.そこで本研究ではGPSの見通し状況と建物情報を利用した位置推定精度向上法を提案する.提案手法では都市部においてビルなどによりGPS衛星の見通し状況が端末の位置及び衛星の位置ごとに変化し,それに応じて信号の受信状況が変化することに着目する.周辺の建物情報に基づくGPS見通し状況を各地点において事前に計算することでフィンガープリントを構築し,受信状況から推定したGPSの見通し状況とのマッチングによって位置精度向上を図る.その際,複雑なGPS受信状況に対する堅牢性を実現するため,信頼性の低い見通し状況推定結果を事前観測に基づき除外する.大阪駅周辺で取得したデータを用いて性能を評価した結果,確率0.9で平均誤差17.9m相当の領域を特定できることが分かった.
著者
松坂 要佐 東條 剛史 小林 哲則
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.84, no.6, pp.898-908, 2001-06-01
被引用文献数
56

グループ会話に参与できる対話ロボットを開発した.グループ会話とは, 会話の参加者同士が, 対等の関係で行う多人数会話である.人と機械が1対1で会話することを前提としていた従来の人・機械の対話システムと異なり, グループ会話においては、投げかけられた声が誰によって発せられ誰に向けられたものか, それぞれの会話参加者は誰に注目しているかなど, 会話の場に関する状況理解をするとともに, 自らも適切な場の形成に努める必要がある.本研究では, 画像処理, 音響処理などを併用することで状況理解を行うとともに, 身体表現によって会話状況への働きかけを行う機能を実現し, これらを音声認識と組み合わせることで, 複数の参加者を相手に会話できるロボットを作成した.
著者
早乙女 理恵 宮里 智樹 玉城 史朗
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SAT, 衛星通信 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.299, pp.183-187, 2007-10-25
参考文献数
1
被引用文献数
2

沖縄県は亜熱帯気候の島嶼地域であり、東西南北に広く島が点在している。そのため、高速インターネット網が行き届いていない地域(デジタル・ディバイド)が多くある。その地域を救済するには、Ka帯衛星通信WINDSやFWAの様な、高帯域化が容易な準ミリ波帯無線通信を使用することが必要となる。使用周波数帯はと周波数が高いため降雨による電波の減衰(降雨減衰)が無視できない。降雨減衰によっての通信品質の補償についての技術は、長年研究されてきた。しかしながら、衛星通信分野での研究は、Kuバンドがメインであった。したがって、Ka帯の地上波通信および衛星通信での降雨減衰特性の調査事例はまだほとんどない。18GHz帯と26GHz帯FWAを用いた伝搬実験が、津堅島と琉球大学間(約17Km)で行われ、貴重なデータを取得することが出来た。本研究では、実証実験を通して得られた知見を発展させて時系列解析手法を用いた降雨減衰特性ついて検討し、台風などの豪雨による比較的短時間の減衰特性モデルを提案する。
著者
佐藤 嘉則 川崎 明彦 森田 豊久 福本 恭
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ISEC, 情報セキュリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.194, pp.211-217, 2005-07-15
被引用文献数
2

プライバシー保護への社会的要請が高まっている昨今, 個人情報に関わるあらゆる企業内情報システムではプライバシーへの配慮が不可欠となっている.本稿では, 情報主体への到達可能性を制御するというコンセプトに基づき, 実名・偽名データの結合をICカードにより制御する個人情報管理システムを提案する.提案システムは, 業務アプリケーションへの影響をできるだけ抑えつつ, 詳細な個人情報の利用機会の最小化, 利用権限の物理的保護の実現を狙うものである.本稿では提案システムの概要について述べる.
著者
安倍 大介 中川 匡弘
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.294, pp.51-55, 2010-11-11

現在,世の中には自動車や電車などの交通機関が数多く存在している.技術の進歩により機械的原因による事故は減少してきた.しかし,人間の判断ミスや操作ミスによる事故は未だに絶えない.近年,運転時における人間の心電や筋電などの生体情報から,ドライバーの心理状態を計測する研究が行われている.我々は,人間の脳波にフラクタル解析を行うことで,その人の意思や感性情報を取得する研究を行っている.ドライビングシミュレータを操作している時のドライバーの脳波計測しフラクタル解析することで,運転時の意思や感性情報を取得した.
著者
水戸 和幸 相賀 健 板倉 直明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.211, pp.25-28, 2010-09-21

触知案内図におけるピクトグラムの有効性について検討を行った.被験者は,晴眼者11名でアイマスクをして実験を行った.点図ディスプレイに7種類のピクトグラムを提示し回答を得るととともに,触察にて学習を行わせた.次に,同種でサイズの異なるピクトグラムを触察してもらい,正答率,確信度,認知時間,わかりやすさを評価した.学習前に関して,事前知識のあるピクトグラムの正答率は高く,学習時間は短かった.学習後に関して,サイズに関係無く正答率はほぼ100%であった.わかりさすさや認知時間は,サイズおよび複雑さにより変化し,図形の特徴の見つけやすさが関係していると推測された.