著者
小澤 朋之 原田 俊信 山口 和仁 佐々木 洋輔 高井 伸輔 小幡 琢磨 亀田 弘之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.615, pp.171-176, 2006-02-17
被引用文献数
4

近年、ロボットによる癒し(すなわち、ロボットセラピー)が注目されている。このような観点から、筆者らも癒し効果を持つロボット「PDDIN(プディン)」の研究・開発を行なっている。本稿では、PDDINの癒し効果の向上およびコミュニケーション能力の高度化を目的として新たに考案した機能について報告する。具体的には、「ごきげん」「あいじょう」の二つのパラメータによって感情を表出する手法を提案・実装した。また、外部状況取得機能と対話者感情推測機能を実装し、PDDINが状況と対話者感情をともに考慮して発話や行動を行えるようにした。さらにPDDINの外観を変更して、PDDIN2005と命名した。評価実験の結果、ロボット(PDDIN2005)がより豊かな感情表現を持ち、それを人が認知しやすいように表出することが可能であることが示された。
著者
中村 友昭 長井 隆行 岩橋 直人
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.91, no.10, pp.2507-2518, 2008-10-01
被引用文献数
13

本論文では,ロボットが身体性を利用することで取得する視覚・聴覚・触覚のマルチモーダル情報を用い,総合的に物体のカテゴリー分類を行う計算機構を提案する.ロボットは,複数の情報を利用することにより,今まで画像だけでは分類することができなかった物体であっても分類することができるようになり,より人間の感覚に近いカテゴリーを形成することが可能である.提案するアルゴリズムはグラフィカルモデルに基づいており,物体のカテゴリゼーションはそのパラメータである条件付確率を推定する学習の問題となる.提案手法は教師なし学習であるため,人間が正解を教えることなくロボットの自律的なカテゴリゼーションが可能である.また,学習結果を利用した未知物体のカテゴリー認識や,カテゴリーを通した機瀧の確率的推定も可能となる.本論文では,提案するアルゴリズムを実際のロボットに実装することで,提案手法の有効性を示す.
著者
原田 耕一 伊藤 久美
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.79, no.2, pp.174-181, 1996-02-25
被引用文献数
1

多角形によるディジタル画像の近似問題に適用できる簡易手法としてCIM(Cone Intersection Method)がよく知られている. 一方, ミニマクス線分近似法による近似法は, CIMよりは多くの計算量を必要とするが, より広範な処理によってデータ圧縮のための近似線分を構成する方法として知られている. 本論文では, 与えられたディジタル画像を同数のサンプル点で近似する場合に, 両方の手法を比較し, ディジタル点列近似の良否という観点からの両者の特性を明らかにする.
著者
長谷川 純一 森 健策 鳥脇 純一郎 安野 泰史 片田 和廣
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.76, no.8, pp.1587-1594, 1993-08-25
被引用文献数
57

本論文では,スライス間隔1mmで撮影された高精度連続胸部CT像から3次元画像処理を用いて肺がん候補領域を自動抽出する試みについて述べる.ここでは,限局性の異常陰影(SR)を対象とし,3次元形状特徴の違いに基づいてそれらを他の陰影(主に血管影)と識別する手順を開発した.実際の処理手順は大きく二つのステップ:(1)肺野領域の切出し,および,(2)SR抽出,からなる.本論文では,これらの処理をしきい値処理,3次元図形融合(または,3次元距離変換),3次元スケルトン化などの基本手法を組み合わせた比較的簡単な手順で実現し,実際の肺がん症例を用いてその有効性を示す.本研究は,3次元画像処理の有効性を実用上十分な精度の3次元CT像で検証した最初の試みとして,その意義は大きい.
著者
藤岡 豊太 阿曽 弘具
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-1, 情報・システム 1-コンピュータ (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.80, no.11, pp.880-888, 1997-11
被引用文献数
2

コンピュータ技術の発達に伴い, 情報をいかに効率的に伝送, 蓄積するかが重要な課題となっている. そのためデータ圧縮技術が発達し, さまざまな分野で利用されている. しかし, 大量の情報を扱う場合の各種システムの速度的要求のもとでは, CPU内での圧縮処理では速度的要求を満足することが困難になってきている. そのため, VLSI/ULSI技術を用いた専用ハードウェアによる高速なデータ圧縮法が必要となっている. 本論文では, さまざまな情報に対して有効な符号化法の一つであるLZ77符号化法を高速に実行する並列処理アーキテクチャ-PAHL-Cを提案している. PAHL-Cでは, 符号化で最も計算量を要する最長一致記号系列探索での冗長な計算を削減し, スルーレートを大幅に向上するものである. また, 高位論理合成システムPARTHENONを用いてPAHL-Cの論理設計等を行い, 性能評価している. その結果約20〜25[MByte/s]というスルーレートが得られることがわかった. 更にLZ77復号化並列処理アーキテクチャ-PAHL-Dを提案し, 性能評価している. また, PAHL-C/PAHL-Dが効率的を統合できることを示す.
著者
牧 勝弘 木村 敏幸 勝本 道哲
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.89, pp.71-76, 2011-06-16
参考文献数
7

バイオリンは,様々な方向に音を放射している。我々は,これらの音を全て直接的ではないにしろ聞いている(部分的には,壁等からの反射音として到来)。本研究では,演奏者の周囲に球状マイクロホンアレイを設置することでバイオリン演奏者を記録し,バイオリン音の聴感に重要であると考えられるそれらの空間放射特性を解析した。その結果,バイオリン演奏者の放射方向は,水平面では概ね前方斜め左,矢状面では周波数に依存して真下から真上まで広い範囲に分布していることが分かった。また楽曲演奏中は,同じ分析周波数であっても時間により放射方向が大きく変化し,プロ演奏者間での差異は主に放射指向性の強さに現れることが明らかとなった。
著者
上杉 志朗 岡田 仁志 佐々木 桐子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. LOIS, ライフインテリジェンスとオフィス情報システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.450, pp.19-24, 2010-02-25
被引用文献数
3

松山大学(ICカード)と新潟国際情報大学(指静脈認証)において,学生出席管理システムの違いによって技術受容の性向に違いがあるか,学生に対するアンケートを実施して調査した.この結果に基づいて,まず,松山大学分について報告する.
著者
船越 裕介 岡田 忠信
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.89, no.9, pp.787-791, 2006-09-01
被引用文献数
7

阪神・淡路大震災や新潟県中越地震では,通信サービスの途絶が被災地を中心として広範囲かつ長期間にわたって発生し,被災地以外も含めた社会生活に多大な影響を与えた.このような自然災害時におけるライフラインとしてネットワークには高い安全性・信頼性が求められるが,特に地震大国である我が国においてはこれらは必要不可欠な条件である.本稿では次世代情報通信ネットワークNGN(Next Generation Network)の高信頼化について,その要求条件と各種技術動向について紹介し,併せて標準化の動きについても触れる.
著者
高野 勇介 麻生 敏正 長谷川 孝明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ITS (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.171, pp.67-72, 2008-07-21
被引用文献数
4

本稿では,国道463号線の実道調査結果に基づいて,信号制御評価用シミュレータを拡張した上,高度デマンド信号制御II方式(Advanced Demand Signals-II Scheme; ADS-II方式)の性能評価を行っている.まず国道463号線の一部区間のモデル化とシミュレーションに用いるデータ取得のために実道調査を行う.つぎに調査データに基づき国道463号線の道路構造と系統制御方式をモデル化し,従来の評価用シミュレータに導入する,さらに評価用シミュレータを用いて国道463号線の系統制御方式とADS-II方式の性能比較を行い,ADS-II方式が系統制御方式に比べ,一人当たりの平均アイドリング時間が午前4時台(閑散時に相当)では約70%,午前7時台(混雑時に相当)では約60%削減されることを示している.
著者
籠嶋 岳彦 赤嶺 政巳
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.83, no.6, pp.1405-1411, 2000-06-25
被引用文献数
18

本論文では, ピッチ周期の変更によるひずみを考慮して, 生成された合成音のひずみが最小になるような音声素片を解析的に生成する方法を提案する.本方式では, 音声素片を用いて合成された音声のひずみを表す評価関数を定義し, この評価関数を最小化するような音声素片を解析的に求めることによって音声素片を生成する.評価関数は, 合成音声と自然音声の波形の2乗誤差によって定義され, 音声データベースより切り出された, 様々な基本周波数の多数の音声セグメントを, 学習のトレーニングベクトルとして用いる.合成器による処理を経て得られる合成音声のひずみを評価し, 音声素片の生成にフィードバックすることから, ここでは本方式を閉ループ学習に基づく解析的生成法と呼ぶ.diphoneを合成単位とする合成器の音声素片を生成する実験を行い, 提案法によって合成音声のひずみが減少し, 合成音声の主観的な品質が向上することを示す.
著者
三好 茂樹 河野 純大 西岡 知之 加藤 伸子 白澤 麻弓 村上 裕史 皆川 洋喜 石原 保志 内藤 一郎 若月 大輔 黒木 速人 小林 正幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.91, no.9, pp.2236-2246, 2008-09-01
被引用文献数
14

近年,高等教育機関へ進学する聴覚障害学生が増加している.講義中,講師等の発話内容を正確に知らせるために手話通訳やリアルタイム字幕などの情報保障は,それらの学生にとって必要不可欠である.我々は,聴覚障害者のための遠隔地から支援が可能なリアルタイム字幕提示システムを開発している.特殊なキーボードを用いて文字入力を行う速記タイピストがこのシステムを利用することによって遠隔地からリアルタイムに講師の発話内容を字幕化して聴覚障害学生のいる教室へ送り,講義の支援を実施できるようになる.しかしながら,情報科学等の専門性の高い講義内容を正確にリアルタイムで字幕化することには,専門的な知識,特に専門用語の問題があり困難を伴う.そこで本研究では,1台のDVカメラで撮影される講義室側のビデオ映像を数種類用意し,それらの映像を遠隔地にいる字幕作成中の速記タイピストへ提示した.その結果,速記タイピストにとって発話者である講師及び視覚的な提示資料(マイクロソフト社製パワーポイント資料や板書)を含むビデオ映像が,字幕作成者から最も望まれる映像情報であることが分かった.
著者
福井 孝太郎 石川 優馬 大野 圭介 榊原 菜々 高西 淳夫 誉田 雅彰
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.265, pp.19-24, 2008-10-16
参考文献数
6

人間の発声器官の3次元機械モデルの確立を目的としたWaseda Talkerシリーズの開発において,音声生成の明瞭性の向上を目的とした新型発話ロボットWT-7R(Waseda Talker No.7 Refined)を開発した.これまでの3次元発話ロボットWT-7においては,舌部をリンク機構で構築し,その上に熱可塑性エラストマー・セプトン製のカバーをかぶせることで声道としていた.しかし,この方法ではカバーが十分な厚みが無いため音漏れが生じ,共鳴特性に問題があるため,結果として,生成される母音が不明瞭になってしまっていた.この問題を解決するために,新型ロボットでは,リンクが駆動する舌内部の空間を液体で満たすことにより,共鳴特性の向上を目指すこととした.実験による検討の結果,セプトンへのダメージが少ないという利点から,封入液体にはエチレングリコールを選定し,可動部ではオイルシールや液体ガスケットによって液漏れを防いでいる.また,WT-7においては舌のリンク自体の可動域が不足していたため改良を行い,口唇部においては断面積変化が不十分であったため,確実に必要な断面積変化を実現できる機構を採用した.これらの改良により,発話ロボットによって生成される母音の明瞭性が向上し,スペクトル解析で計測したフォルマントのバンド幅が狭くなっていることが確認できた.
著者
池上 宗光 田中 衞
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.77, no.7, pp.954-964, 1994-07-25
被引用文献数
25

符号化において,もとの信号が自然画像のように近傍で強い相関をもっている場合には,より少ないビット数でもとの信号を表現できることが期待される.本論文では,送信側において局所的に相互接続された離散時間型セルラニューラルネットワーク(DTCNN)のダイナミックスによるA-D変換でアナログ画像をディジタル画像に符号化し,受信側でそのディジタル画像を低域フィルタに通すことによりもとのアナログ画像を復号する低ビットの符号化方式を提案する.本方式では,静止画像の符号化を原画像と復号画像間の誤差を最小化する最適化問題に帰着させ,符号化により発生する雑音を画像全体で抑えるようにひずみ関数を定義する.そして,ニューロンの出力を多値に拡張した多値ニューロンのダイナミックスにより高品質な復号画像を得るようにしている.本方式は,単純なデバイスから複雑な機能を実現する並列処理的なダイナミックスを用いているので,網膜のように光などでまとまって入力されたアナログ情報をリアルタイムにディジタル変換することが可能であると期待される.
著者
森 浩一 外山 崇子 三井 真紀 今泉 敏 志村 洋子 中島 八十一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声
巻号頁・発行日
vol.98, no.639, pp.77-84, 1999-03-05
被引用文献数
5

機能的核磁気共鳴画像法 (fMRI) は低侵襲なため、脳機能の局在の研究によく使われる。しがしながら大騒音 (93〜105dB SPL) を伴うので、音による反応を調べるには不向きとされている。MRI 装置内では磁性体が使えないため、音は非磁性のチューブ経由で聞くようになっているが、付属するイヤホンは 10dB 程度の防音効果しかない。そこで、イヤホンを挿耳型にして防音を改善し、連続ではなく間歇撮像で記録することによりほとんど騒音のない状態で音を聴取できるようにした。その結果、第一次聴覚野のある横側頭回 (Heschlgyrus) と聴覚連合野のある側頭平面の信号が、撮像騒音で飽和することなく検出可能であった。
著者
大野 邦夫 須藤 僚 新 麗
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. OIS, オフィスインフォメーションシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.156, pp.13-20, 2008-07-17
被引用文献数
2

顧客のネットワーク機器を遠隔から設定管理するための知的なシステムの調査研究結果を紹介する。このシステムは、IETFのNETCONFプロトコルを用い、利用者モデルとデータモデルを管理する。双方のモデルのメタデータ、相互の関係、さらに関係する種々の履歴情報を活用することにより、ネットワーク機器の管理、運用を効率化することが可能となる。モデル記述には、W3CのRDFとOWLを用い、操作履歴や機器の変更履歴をデータベースに蓄積管理する。これらの情報を用い、仮説検証による推論を用いて利用者にサービス情報を提言する。本報告では、NETCONFにおけるOWL適用の経緯、これまで検討した利用シナリオ、システム構成、ユーザインタフェース、Webマニュアルへの適用などに関する検討結果を紹介する。
著者
清水 翔太 本間 隆俊 山内 寛紀
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.354, pp.1-5, 2008-12-06
参考文献数
7
被引用文献数
3

近年、企業の人材教育などの研修現場でe-Learningが発達していて、教材さえあれば学ぶ場所、時間に関係なく学習出来る様になる。しかしながら、電子回路の自学自習に従来用いられてきたブレッドボードは、回路図との対応が取り辛いという問題点があるため、実習にあたって回路の作成が困難であった。そこで、本研究室はe-Learningで電子回路の学習をしたり、実験授業を行うのに必要となる電子回路教材及び、電子回路教材サポートソフトウェアの開発を行った。提案システムの利用により、自学自習を促進すると共に実験授業の円滑な進行を可能とする。今回、プロトタイプの基礎評価を行い、波形入出力の妥当性を確かめることが出来た。
著者
関根 好文 隅山 正巳 佐伯 勝敏 合原 一幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C, エレクトロニクス (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.84, no.10, pp.988-994, 2001-10-01
被引用文献数
43

最近, 工学的な応用を目指し, 神経回路網を構成する基本単位であるニューロンをハードウェアにより実現する研究が盛んに行われている.特に, 脳内での情報伝達手段としてのパルス信号を近似的に模倣したパルス形ハードウェアニューロンモデルが注目されているが, パルス形ハードウェアニューロンモデルとしては, 回路が複雑であったり, コイルを含んだりしており, 実用的なモデルは少なかった.本論文は, パルス形ハードウェアニューロンモデルの一つであるΛ形ニューロンモデルを, CMOSプロセスの標準方式に適用できるエンハンスメント型MOSFET(以下, E-MOSFETと略す)とコンデンサのみで構成し, 大規模ニューラルネットワークに向けたハードウェアニューロンモデルとして有用であることを示したものである.まず, 時間的に変化する負性抵抗特性を有するΛ形負性抵抗回路をE-MOSFETにより構成できることを示し, その原理を明らかにしている.次に, この負性抵抗回路を用い, CMOSプロセスの標準方式に適用可能なE-MOSFETによるΛ形ニューロンモデルを構成できることを明らかにしている.
著者
中田 大輔 アブドゥール ラーマン シャハリン ファズリ 白鳥 悠太 葛西 誠也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ED, 電子デバイス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.437, pp.63-68, 2009-02-19
被引用文献数
2

ナノワイヤ3分岐接合デバイスは,低温から室温までの広い温度領域において特異な非線形特性を示し,論理回路や高周波回路への応用が期待されている.回路応用においては,メカニズムの理解と目的に応じた特性制御が必要である.本稿ではショットキーラップゲートを備えたGaAsナノワイヤ3分岐接合のデバイスの試作とその詳細評価を行い,ショットキーラップゲートやナノワイヤ長が非線形特性および動作速度に与える効果を調べ,非線形特性メカニズムや特性制御について検討を行った.