著者
三浦 光 萱野 良樹 宮永 和明 井上 浩
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EMD, 機構デバイス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.534, pp.29-32, 2008-02-29
被引用文献数
2

電気接点の開閉時に発生するアーク放電は電磁ノイズの発生源となるため,EMCは寿命,信頼性などと同様に重要な評価パラメータである.本論文では外部磁界の影響を明らかにするために,磁界印加時の銀接点低速開離1回目の最初に発生する短時間アークに着目し,電流ノイズ計測を行った.アーク継続時間と持続電圧の関係から,30mT印加時には無印加と比べてアーク継続時間が平均1桁,持続電圧が平均1V減少することを明らかにした.また最初の短時間アークの電流ノイズは継続時間が長いほど増加することが明らかとなった.
著者
窪野 隆能
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C, エレクトロニクス (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.83, no.4, pp.300-307, 2000-04-25
被引用文献数
26

継電器に搭載した3.6mmφAg/CdO12wt%電気接点(開離力0.15〜0.18N, 接点間隙(げき)0.8〜1.0mm)を直流30V-10Aの抵抗性回路内で閉成責務電気接点として使い, 閉成責務動作ごとにバウンス回数, アーク継続時間, 接触抵抗や背面温度を測定し, 更に陰極面上に形成される転移突起の成長過程を撮影した.数千回の閉成責務動作で丘状の転移突起は肉眼で確認できるほどに成長し, 動作回数が更に増すとその突起は石筍(じゅん)形状で高くなる.閉成責務動作が1万回以上になると動作回数の増加とともに, 石筍形状の突起高さHの成長率は鈍化し, しかも突起の根本太さDfはさほど変動しない.転移突起を成長させる閉成時アークは, 閉成責務動作ごとのアーク継続時間が200〜500μsであっても, 数万回の閉成責務動作(積算アーク継続時間では8〜10s)で分離不良を起こすほどに転移突起を高くすることがこの実験で明白となった.分離不良を起こした試料から, 「電気接点が分離不良を起こす際の突起形状は, 曲がった石筍タイプであり, H/Df≧0.5でかつH/間隙≧0.5である」と判断できる結果が得られた.
著者
武藤 史弥 吉田 麻里 堀江 匠 早川 正士 PARROT Michel
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. A・P, アンテナ・伝播 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.210, pp.13-18, 2007-08-30

近年地震にともなって電離層が擾乱を受けることが明らかになってきている.本報告では仏国の地震電磁気専用衛星DEMETER上での送信局VLF/LF電波の強度測定に基づき,地震に伴う前兆的電離層擾乱の検出を目指す.2005年の日本国内での比較的大きな(マグニチュード5.5以上)地震(特に,8月16日の宮城県沖地震を中心に)に伴う前兆的電離層擾乱を日本の標準電波JJY局(40kHz)電波の受信により明らかにした.地震の一週間前後前より信号強度が顕著な減少を示している.これはLF電波のホイスラモードでの擾乱電離層(特にD層での異常)透過に伴う吸収増加として説明できる.
著者
浜 崇之 中里 秀則 淺谷 耕一 富永 英義
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.692, pp.377-380, 2004-02-27

今日,映像や音声をストリーミングする仕組みとして,P2Pストリーミングが注目されている.このP2Pストリーミングシステムによるライブ中継では,中継ピアの離脱により後続ピアのストリーム停止をもたらす.本稿において,ピアの離脱の影響を低減させたP2Pライブストリーミングシステムを提案する.本提案手法は,広くて浅いP2Pネットワークを構築して,離脱の可能性が低いピアを親とする手法である.文,送信元への複数経路化も検討する.シミュレーションにより,ビア離脱の影響を評価した
著者
石井 智之 井家 敦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.190, pp.59-64, 2010-08-26
被引用文献数
1

近年,P2P(peer-to-peer)技術を用いたストリーミングモデルが注目を集めている.P2Pストリーミングは配信サーバだけでなく参加したピア間での配信も可能とするため,クライアント・サーバ型のストリーミングモデルに比べて負荷分散やスケーラビリティに優れる.このようなシステムにおいて,供給力の高いピアをネットワークの上流に配置することでスケーラビリティをより向上させることが可能である.本研究では,トポロジ構築の際に動的にピアの入れ替えを行うことでスケーラビリティを向上させるアルゴリズムの提案を行う.また提案したアルゴリズムに対して,ピアの離脱が発生する場合と発生しない場合についてシミュレーションにより構築したトポロジの特性を観測する.
著者
加納 慎也 テンガラ ジェシカ 小松 尚久
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1996, no.1, 1996-03-11
被引用文献数
1

ビデオ・オン・デマンドをはじめ映像や音声を同時に扱えるマルチメディアアプリケーションに関する研究開発が活発に進められている。ネットワークを通じマルチメディアデータを扱う場合、ネットワークや送受信端末の負荷の存在、さらにはその変動により、データの再生において同期のずれが発生する。そのためクライアント側では単一メディア内での同期、メディア相互間の同期の双方に対する制御が必要になる。本稿では、メディア相互間の同期制御の一手法を提案する。
著者
亀井 輝彦 Li Yan Lee Seungpil 大和田 健 Nguyen Hao Nguyen Qui Mokhlesi Nima Hsu Cynthia Li Jason Ramachandra Venky 東谷 政昭 Pham Tuan 渡邉 光恭 本間 充祥 渡辺 慶久 井納 和美 Le Binh Woo Byungki Htoo Khin Tseng Tai-Yuan Pham Long Kim Kwang-ho Chen Yi-Chieh She Min Yuh Jong Chu Alex Chen Chen Puri Ruchi Lin Hung-Szu Chen Yi-Fang Mak William Huynh Jonathan Chan Jim Yang Daniel Shah Grishma Souriraj Pavithra Tadepalli Dinesh Tenugu Suman Gao Ray Popuri Viski Azarbayjani Behdad Madpur Ravindra Lan James Yero Emilio Pan Feng Hong Patrick Kang Jang Yong Moogat Farookh Fong Yupin Cernea Raul Huynh Sharon Trinh Cuong Mofidi Mehrdad Shrivastava Ritu Quader Khandker QUADER Khandker
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ICD, 集積回路 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.15, pp.7-12, 2012-04-16

19nm製造プロセスを用い、シングルチップとしては最大容量となる128Gb 3-bit/cell NAND型フラッシュメモリを開発した。NAND型フラッシュメモリとしては最大のGb/mm^2である、チップサイズ170mm^2を実現した。3-bit per cellでありながら、All Bit-Line(ABL)アーキテクチャ、Air Gap技術、400MbpsトグルモードI/Oインターフェースの採用により、標準BCH ECCにおいても18MB/sの書き込みスループットを実現した。
著者
西村 竜一 内田 賢志 李 晃伸 猿渡 洋 鹿野 清宏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.522, pp.93-98, 2001-12-13
被引用文献数
5

ASKA(アスカ)は, 大学の受付案内システムを目標として開発中の頭部や腕のジェスチャ機能を持つ人間型音声対話ロボットである.音声対話機能は, 大語彙連続音声認識エンジンJuliusと学内案内タスク向けN-gram言語モデルを基礎としたキーワード検索による音声認識理解部と音声合成部によって構成されており, 対人センサやジェスチャ生成などの他のモジュールと状態を通信しながら分散的な動作を行なう.本ロボットは, 奈良先端大における学内共同プロジェクトで開発されており, エージェントシステムにおける様々な要素技術の実環境での検証プラットフォームと位置付けられている.今後も新たな要素技術を採り入れながら開発を続ける予定である.本稿では, 音声対話機能の実装方法を中心に現在のASKAの概要および今後の予定について述べる.
著者
佐藤 雄隆 金子 俊一 五十嵐 悟
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.84, no.12, pp.2585-2594, 2001-12-01
被引用文献数
28

近傍明度の符合変化を評価するための周辺増分符合相関画像を新たに提案し, これに基づいて, (1)出現物体の明度分布によらず, (2)背景の明度変化の影響を受けない, 画像時系列からの出現物体のロバストな検出・分離抽出手法を提案する.周辺増分符合相関画像は, 着目画像の近傍明度の増減傾向のみに基づくために, 系列にわたる明度変動に対して強いロバスト性をもち, 明度変化を伴っても本来のテクスチャパターンのみの類似を検出するという特性を実現している.また, 複雑な前処理やパラメータ設定などを必要とせず, 直接的に高密度の差分画像を得ることができる.いくつかの条件を想定した実画像を用いた実験により, 実際に明度変化に対してロバストな差分抽出が行えることを確認し, 有効性を示した.また, 情景中の出現物体領域を抽出する処理への応用実験を行い, 比較的単純なフィルタ系列を後処理として加えることにより, 良好な輪郭及び連続性を保った領域分割が可能であること確認した.
著者
高橋 直也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-コンピュータ (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.76, no.7, pp.339-346, 1993-07-25

ジュークボックス型光ディスク装置を使用するクライアントサーバ型の光ディスクファイルシステムの性能向上策として,画像データ先読み方式を提案した.ジュークボックスでの光ディスクの入れ替えがシステム性能のあい路になっていることから,ワークステーションで表示,あるいは印刷する予定の画像データをファイルサーバからある程度まとめて先読みすることにより,システムの性能を向上するもので,実用規模のシステムに適用して,その効果を確認した.なお,一つのワークステーションに対応する光ディスク入替え待ち時間を,他のワークステーションに対するサービスに活用することにより,更に性能の向上が図れることも実測により確認した.
著者
金谷 健一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.391, pp.73-80, 2003-10-16

先端技術は世界に発信して初めて意味があるが,日本人の国際会議における英語による発表がまずいために国際的に評価されないことがしばしば起こる.研究発表だけでなく,機内,空港,ショッピング,および人との挨拶で日本人の言語挙動がおかしく,外国人から奇異に思われることが多いが,多くの日本人は気がついていない.これを指摘するとともに,日本人が間違えやすい発音やアクセントの要領を示す.
著者
三上 弾 紺谷 精一 森本 正志
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.90, no.2, pp.526-534, 2007-02-01
被引用文献数
5

本論文では,野球映像からピッチャーによる投球イベントを検出する方法を提案する.提案手法では,(1)映像撮影環境(撮影角度など)の影響を受けにくい音響解析によって,投球後に発生する打球音あるいは捕球音を取得し,投球イベントの候補とする.(2)音響解析により求めた投球イベント候補について,各候補の時刻における動き特徴によりクラスタリングを行うことで,投球イベント候補の中から投球イベントのみを選別する.(3)投球イベントから投球動作テンプレートを作成する.(4)投球動作テンプレートを処理対象映像から自動的に選び,映像全体を再検索する.以上の処理により,音響解析によって検出が不可能であった投球イベントについても検出することが可能となり,高精度な投球イベント検出が実現できる.野球の放送映像及び個人撮影の野球映像を用いて実験を行い,放送映像において,音響解析による投球イベント検出の適合率は約60%,再現率は約81%であったが,提案手法を用いることにより,適合率約90%,再現率約95%(検出漏れはテロップによる投手の遮へいなど)の精度で検出が可能となり,野球映像構造化の第1段階として十分な精度を得ることができた.
著者
鈴木 文菜 吉田 泰将 村山 光義 内山 孝憲
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.98, pp.11-16, 2008-06-13

本研究は,3軸加速度センサを剣道で使用する竹刀の先端部に取り付け,剣道の熟練者と初心者の素振りの違いを定量化し,初心者や技術の向上を目指す人のための練習支援システムを開発することを目的とする.現在,運動解析は主に,画像解析によって行われている.しかし,多数の高速度カメラを必要とし,専用の施設で計測する必要がある.また,データ処理に膨大な時間を必要とする.それに対して,本システムは,加速度センサを用いることにより,短時間で処理出来るため,実際の指導現場において有用な運動解析法であると考えられる.画像解析による結果を比較することにより,本研究は,振り降ろし方向の加速度が10%から90%に変化する時間(評価指標:T_2)と躍度(評価指標:Jerk)が,熟達度を評価出来る指標であることを示した.
著者
千葉 則茂 大川 俊一 村岡 一信 三浦 守
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.76, no.8, pp.1722-1734, 1993-08-25
被引用文献数
23

樹業のCGによる画像生成は,自然景観のシミュレーションにおいて重要な位置を占しめ.庭園や公園,街路樹の並木など種々の建設計画における景観評価や,ヘリコプターなどの低空速飛行機用フライトシミュレータやドライビングシミュレータのための景観シミュレーションにおいては,特にリアルな樹木の表現が必要となる.筆者らの一部はこれまでに,一様な枝の分布,広葉樹のような丸みのある樹冠の形成および自重によらない枝の枝垂れ形状を実現するためには,受光量不足による枝の枯死,枝先の向日性を考慮した生長モデルが有効であることを示している.本論文では,更に,樹木の性質である(a)頂芽優性,(b)休眠芽の休眠打破および(c)枝の幹化をも考慮した生長モデルによれば,これまでの生長モデルでは得られない複雑な形状の枝振りが実現できることを示す.この生長モデルでは,ある種の「植物ホルモン」の存在を仮定することにより,これらの性質を実現している.このことは,樹木全体の形状を監視し生長の仕方を制御する「中央制御装置」のようなものの存在を必要とせず,それぞれの芽が「ホルモン濃度」の絶対値や変化分に応じて発芽と生長を行うことにより,樹木全体としての形状が制御されるということを意味し,単純な生長モデルの開発という観点からも興味深いものとなっている.これまでにこのような生長モデルは提案されていない.
著者
中村 直毅
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IA, インターネットアーキテクチャ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.256, pp.29-32, 2013-10-15

東日本大震災により宮城県の沿岸地区では,医療機関の壊滅が著しく,早急な社会医療基盤の再建が急務となっている.宮城県では,単なる医療機関の復旧でなく,よりよい社会基盤の構築に結びつく復興を目指し,医療情報福祉分野の社会基盤として,みやぎ医療福祉情報ネットワークシステムを構築することになった.本システムでは,病院,診療所,薬局,介護施設等で保有する患者・住民の医療・健康情報を,安全かつ円滑に記録・蓄積・閲覧を可能とするとともに, 宮城県の医療機関の相互接続を可能とするネットワーク基盤を整備した.本稿では,本システムの中核をなすネットワーク基盤に焦点を当てて報告する.
著者
山田 寛章 石井 雄隆 原田 康也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. TL, 思考と言語 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.100, pp.55-60, 2014-06-14

大学1年生50〜90名が第三著者の担当する英語の授業で3人ずつのグループで「応答練習」を30分ほど行ったのちに、30分前後の時間で授業中に500語を目標に英語で作文をまとめて提出し、次の授業で宿題として完成させた作文を提出して6人のグループで相互チェックを行い、さらに次の週にコメントに基づいて修正した最終版を提出している。年間30回の授業で15の作文について授業中のドラフト・宿題として完成させたバージョン・相互チェックを反映した最終版の3つのバージョンを回収した電子ファイルが過去10年分ほど蓄積してあるが、単語数の自己報告を毎回の授業で提出したものを集めているほかは、各種統計情報の抽出等の分析を行っていなかった。構文解析器などを利用して作文の特徴量を抽出し、年間を通じての作文の長さと質の向上を検討する目安に利用したいが、学生が提出する電子ファイルに若干の事前処理を施す必要があり、どのような特徴量に着目すべきかも実データをもとに検討する必要がある。本発表では、事前処理と手作業の一致具合なども含め、予備的調査の結果と今後の課題について報告する。
著者
東 優 峯 恒憲 雨宮 真人
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLC, 言語理解とコミュニケーション
巻号頁・発行日
vol.96, no.294, pp.39-44, 1996-10-11
被引用文献数
6

動詞の多義性解消の手段の一つとして格フレームを利用する方法がある。しかし、実用規模の格フレームは現存しないため、その作成が望まれている。この格フレームの構造として、実際の文中に現れた共起関係を集め、その共起情報を統合したものがある。この共起情報を統合する際には、何らかの基準に従って、文を分類する過程が必要となる。我々は、その分類基準として、文間の類似度を計る方法を取り、その類似度を計算するための辞書として、EDR電子化辞書の概念体系辞書を利用することとした。しかし、EDR電子化辞書は人間の手で作成されたものであるため、分類基準に個々人の主観が影響しており、実際にどの程度利用可能なものか明らかになっていない。そこで本稿では、まず、我々の格フレーム獲得手法を提案し、その手法を使った文の分類結果をもとに、EDR電子化辞書の特徴ならびに本手法の有効性について議論する。
著者
寺野 香織 剣持 聡久 中村 暢達 根本 啓次
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1996, 1996-03-11

筆者らがこれまで開発したバーチャルスキーシステム(図1)は,スキーヤの生体情報を計測し,その動作に応じて映像や音響を呈示し,仮想的なスキー滑走を行うVRシステムである.[figure] このVRシステムの音響生成部では,現実を再現するスタート時のカウントダウン音や,ゴール時の観客の歓声,ゲーム性を高めるBGM,映像情報を補助するボール通過音等の効果音を呈示してきた。しかし,実際のスキー場では,他にも色々な音が生じている。本稿では,より臨場感ある音環境生成のための,滑走音の呈示について述べる。
著者
河野 純大 三好 茂樹 西岡 知之 加藤 伸子 村上 裕史 内藤 一郎 皆川 洋喜 白澤 麻弓 石原 保志 小林 正幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. WIT, 福祉情報工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.751, pp.57-60, 2005-03-18
被引用文献数
24

筑波技術短期大学(以下本学)が開発した遠隔地リアルタイム字幕提示システムは、テレビ放送の字幕や学会や式典、講義での情報保障などに数多く用いられている。聴覚障害学生が学ぶ本学聴覚部においても、これまでに非常勤講師が担当する一般教養科目の情報保障に用いられてきた。本研究では専門性の高い講義への同システムによる支援を目指して、非常勤講師が担当する情報工学の専門科目の講義に試験的に情報保障を行った結果について、話速や音声から文節への変換率、一般教養科目の場合との対比などを報告し、専門性の高い講義への同システムによる遠隔地情報支援を円滑に行うために必要な条件などについて考察する。
著者
梶原 志保子 徳永 隆治 松本 隆
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.77, no.3, pp.408-419, 1994-03-25
被引用文献数
4

本論文は,「いかにして時系列データのみから未知力学系の分岐係数を推定し,その分岐図を再構成するか」というカオス的力学系のための新しい逆問題を設定し,非線形短期予測手法およびKarhunen-Loeve変換に基づく一つの解法を提案する.本手法は,推定対象となる力学係の情報は系数を含めすべて未知と仮定する.また,その有効性および可能性は2係数エノン写像族および3係数ロジスティック・ディレイドロジスティック写像族への適用結果で示される.最後に,この逆問題を基礎にしたいくつかのカオス応用を議論する.