著者
堤 怜介 加藤 正治 小坂 哲夫 好田 正紀
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.89, no.2, pp.305-313, 2006-02-01
被引用文献数
4

本研究では話し言葉の音声認識で問題となる各種変動要因のうち,不明りょうな発音などを中心とした発音変形の問題について検討する.一般に発音変形への村処として,一つの表記に対し想定される読みを複数登録する方法がとられる.しかし単純に読みを増加させるとマッチングの対象が増加し,逆に認識時に悪影響を及ぼす.そこで本研究では発音変形の言語的な偏りを利用するため,発音変形を考慮した形態素解析データに基づく言語モデルを提案する.以上を実現するため,「日本語話し言葉コーパス」(CSJ)の書き起こしテキストを利用して,約95万語からなる発音変形のエントリを含む学習テキストを作成,それに基づき言語モデルを学習する.CSJに含まれる講演音声の認識実験を行い,4講演の平均で単語誤り率(WER)の改善率は26.5%を達成し,話し言葉の認識においては,発音変形への対処が重要であることを示した.また言語モデルや音響モデルの教師なし適応法を導入することにより,更なる性能向上を目指した結果,WERが適応なしの場合の21.8%から,言語モデル及び音響モデルの教師なし適応を行った場合で17.6%に減少した.
著者
平藤 雅之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SIS, スマートインフォメディアシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.307, pp.59-64, 2004-09-09

フィールドサーバは,無線LANモジュール,Webサーバ,センサ,ネットワークカメラ,LED照明太陽電池等を耐候性筐体に格納したセンサネットワーク・ノートである。気温,湿度,光合成有効光量子束密度,土壌水分,葉の濡れ,C0_2濃度等のセンサ及びカメラにより,環境,動植物,昆虫,微生物等の動態を計測する。無線LANによる中継回線とホットスポット機能によってユビキタス・ネットワーク環境を構築し,インターネット経由でアクセスできる。これまで,米国,タイ等数10ヵ所のサイトで長期観測実験を行っている。データ収集はエージェントによって自動的に行われ,蓄積されたデータはMetBroker(GRIDツール)によってAMeDAS等既存の気象データベースと統合して病害予測システム等のアプリケーションで利用できる。
著者
佐野 公一 村田 浩一 尾辻 泰一 明吉 智幸 清水 直文 佐野 栄一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ICD, 集積回路 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.559, pp.35-40, 2000-01-19

共鳴トンネルダイオード(RTD)と単一走行キャリアフォトダイオード(UTC-PD)を用いた80Gbit/s Dフリップフロップ回路について報告する。RTDとUTC-PD中のAC電流を考慮した回路設計手法が回路高速化の鍵である。RTDとUTC-PDをモノリシック集積するプロセスによる試作回路は、7.68mWの低消費電力で80Gbit/s D-FF動作を達成した。80Gbit/sのフリップフロップ動作は最高速である。
著者
大野 華子 楠村 幸貴 土方 嘉徳 西田 正吾
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.88, no.3, pp.668-683, 2005-03-01
被引用文献数
3

ネットオークションには落札者が記述した出品者に対する評価コメントがあり, ユーザはこれを参考にしてどの出品者から商品を購入するかを選択する.しかし, これらの評価コメントは大量に存在する上に儀礼的な文を多く含むため, ユーザが複数の出品者を比較するのは大変な作業である.本研究ではこの問題に対し, ネットオークション上の社会的関係を用いて, 出品者評価コメントを要約する手法(Social Summarization法)を提案する.本手法では, 出品者の本質を表すのに適当ではない儀礼的な文を削除するために, 出品者に対して評価コメントを記述した落札者一人ずつに注目し, その落札者が他の出品者に対して記述した評価コメントと, 対象の出品者に対して記述した評価コメントを比較する.提案する手法と落札者に注目しないで要約する一般的な手法で, 要約した文にどれだけ違いがあるかを, 実際のネットオークションの評価コメントに適用することで検証する.
著者
森田 剛 神田 岳文 保井 秀彦 黒澤 実 樋口 俊郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. US, 超音波
巻号頁・発行日
vol.98, no.161, pp.31-36, 1998-07-03

水熱合成法は高温高圧のアルカリ条件下の水溶液中でPZT成膜を行うために立体形状基板への成膜が可能であるという利点を持つ。その応用デバイスとして、マイクロ超音波モータ、加振型接触センサ、補聴器用イヤホンの試作を行った。モータは直径1.4mmへの小型化に成功し、最高回転数600rpmであった。加振型接触センサは分解能66nmを実現し、水中での使用の可能性を示した。また、補聴器用イヤホンでは、駆動電圧1.3Vrmsで60dBの音圧発生を測定した。現在単一プロセス水熱合成法にかわる新たな合成プロセスを開発中である。
著者
福士 沙織 河野 隆二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CS, 通信方式 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.463, pp.1-5, 2008-01-21
被引用文献数
1

近年,高速なデータ伝送を実現する方法として,Multiple-Input Multiple-Output (MIMO)伝送が注目を集めている.しかしMIMO伝送では,受信側での回路規模が大幅に増大するため,移動体無線通信には好ましくない.受信側の回路規模を低減させるため,遅延検波とTHP(Tomlinson-Harashima Precoding)を併せて用いたMIMO伝送が提案されている.しかし,THPにおいてModulo演算により位相が回転するため,遅延検波を用いた場合,BER特性の劣化が著しい.そこで本稿では,遅延検波を用いたTHP-MIMOシステムに対し,THPによる位相回転の補正を組み合わせたプレコーディング方式を提案する.計算機シミュレーションを用いて,提案方式により,遅延検波を用いてもBER特性が劣化せず,通信路の時変動に対してロバストであることを示す.
著者
関口 俊一 栄藤 稔 江村 恒一 藤川 渡 益満 健 越後 富夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.302, pp.51-58, 2001-09-06
被引用文献数
1

XML-Schemaに基づくマルチメディア構造表現として2001年10月に標準化が予定されているMPEG-7の運用ポイントをダイジェスト視聴の視点で紹介する.ここでは, 膨大なMPEG-7の記述セットの中から, セグメント構造記述, 属性キーワード記述を選択した.実際の応用として, 映像の自動シーンカットを行い, それに属性キーワードを付随させるオーサリングシステムと, その結果得られるMPEG-7データとユーザ嗜好とのマッチングを端末側で行うことにより要約視聴を可能とするパケットストリーミングシステムを構築した.これにより, 長時間の映像コンテンツをユーザの視聴環境や嗜好に合わせてモバイル網で要約配信することが可能となる.
著者
金田 裕剛 峰松 美佳 斉藤 匡人 間 博人 徳田 英幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.692, pp.293-298, 2005-02-25

本研究では既存のネットワークゲームを改変することなく、ゲームサーバを介するクライアント・サーバ(C/S)型から特定のサーバに依存しないピア・ツー・ピア(P2P)型通信形態へ通信接続形態の切り替えを実現する機構を提案する。これにより本研究で提唱するネットワークゲームの再利用問題の解決を試みる。本論文ではプロトタイプを実装し、First Person Shootingの代表格であるQuake2のバイナリデータを使用しC/S型通信モードをP2P型通信へゲームプログラムを改変せず切り替えることを実現した。
著者
麻生 英樹 小野 智弘 本村 陽一 黒川 茂莉 櫻井 彰人
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.279, pp.55-59, 2006-10-04
被引用文献数
4

ネットワーク上に存在する、誰もが簡単にアクセス可能な電子化された情報の量が爆発的に増加するにつれ、それらの情報の中から、ユーザが必要とするものを必要なときに適切に提供するための技術である情報検索および推薦の必要性が非常に高まっている。適切な推薦を行うためには、システムがユーザの嗜好やニーズを適切にモデル化する必要がある。そのための技術として、多くのユーザの過去の履歴の関連性を利用する協調フィルタリングと、対象となるコンテンツの属性とユーザの評価の関連性を利用するコンテンツベースフィルタリング、ユーザの属性とユーザの評価の関連性を利用するデモグラフィックフィルタリング、などが提案されているが、いずれも、推薦に利用できる情報の一部しか用いていないという問題点がある。本報告では、この問題点について検討し、既存の研究を整理しながら紹介するとともに、推薦に利用できる各種の情報を統合的に用いる新たな推薦方式を提案する。
著者
武政 和浩 廣澤 春任 松坂 幸彦 木村 収一 菊池 逸人
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. A・P, アンテナ・伝播
巻号頁・発行日
vol.94, no.396, pp.35-40, 1994-12-15

いくつかの地表面の粗さにおいて、植生からのマイクロ波後方散乱が植生密度増加と共に、どのように変わるかを調べた。またその結果を用いて、偏波度が植生密度評価の指標の1つとして有効であることを示した。
著者
兼成 哲也 工藤 信樹 張 旭 高橋 誠 山本 克之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス
巻号頁・発行日
vol.97, no.124, pp.9-16, 1997-06-20
被引用文献数
2

近年, 血管内超音波エコー法(IVUS)は臨床において重要な検査法になりつつある. IVUSを用いて血管内腔を描出することは血管狭窄の定量的評価を行う上で重要ではあるが, 血液のと粥腫の音響インピーダンスの差が小さいことから, 両者を見分けることが困難なことも多い. そこで, 本研究では血流や粥腫の動きを検出することにより血管内腔を明瞭に描出する新しいIVUSを提案する. IVUSにでは超音波の伝搬方向と血流方向が直交するために, ドプラ法では血流を検出できない. それゆえ, 本研究では血流を検出する方法として相関法を用いた. 本手法を実現するシステムを試作し, 血管ファントムを用いて評価を行った. その結果, 本手法を用いることにより従来のMモード像やBモード像では見分けることが困難であった血流と粥腫を明瞭に分離することができた.
著者
望月 理香 中村 竜也 趙 晋輝
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.610, pp.1-6, 2007-03-16
被引用文献数
4

式弱者が知覚する色は推定できないため,今まで,色弱補正は客観的な基準が無く原理的に難しいものと考えられてきた.また,色弱の度合いは個人そして色刺激により変化するため,個人差や自然画像への対応が難しく,有効な補正法は見当たらない.本研究では,まず「式弱者の色弁別閾値が,すべての色について健常者と同様となること」という新しい補正基準を提案する.そして,「色弱度」というパラメータで式弱者の色覚域を表現し,それに基き工学的に実現しやすい補正法を示している.さらに,心理学実験による色弁別閾値と色弱度の測定を行い補正効果を確認している.
著者
山家 雄介 中村 聡史 ヤトフト アダム 田中 克己
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DE, データ工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.131, pp.259-264, 2007-06-25

ソーシャルブックマークは,Web利用者がブラウジング中に興味や関心を持ったページを記録,共有,分類そして発見することを支援するWebサービスである.本論文では,ソーシャルブックマークから各Webページのメタデータを抽出し,これを利用することによるWeb検索結果の対話的再ランキング法を提案する.我々はこの手法を実現するプロトタイプを実装し,そのインタフェースを中心に試験的な評価を行った.
著者
梶川 嘉延
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DSP, ディジタル信号処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.55, pp.39-44, 2003-05-09
被引用文献数
1

近年,非線形システムの同定,非線形ひずみの除去などにVolterra級数展開に基づいたディジタルフィルタ(Volterraフィルタ)を利用する方法が提案されている.Volterraフィルタは従来の線形ディジタルフィルタを非線形に拡張したものであり,その構造や性質は線形ディジタルフィルタを包含している.よって,線形ディジタルフィルタで培われてきた技術を容易に導入することが可能である.本稿ではVolterraフィルタのうち,特にそのフィルタ係数を自動修正する適応Volterraフィルタに焦点を当て,その更新アルゴリズムを紹介するとともに,その一応例として非線形音響エコーキャンセラについても論じる.
著者
隈崎 健二 曹 景文 伊藤 貴司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. US, 超音波 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.67, pp.59-63, 2002-05-13

2次高調波エコー信号から生体組織の減衰特性や散乱特性を排除し,2次高調波を引起こす生体組織の音響パラメータを示す非線形パラメータを検出し,画像化する非線形パラメータ・イメージングが秋山らによって提案されている.しかし,広帯域の送信において,エコー信号に含まれる基本波成分と2次高調波成分の周波数帯域が重なっている場合では,両帯域を完全に分離し,精度よく非線形パラメータを検出することは困難である。また散乱特性の排除により,特に強い反射エコーが高輝度で表れないため,組織の構造的表現が乏しい画像となるとの問題点がある.本報告では,鎌倉ら考案の技術を用いて基本波成分と2次高調波成分を個別に検出し,更に強い散乱体の散乱特性をある程度保持させることによって非線形パラメータ・イメージの画質を改善する。
著者
秋山 いわき 大矢 晃久
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響
巻号頁・発行日
vol.98, no.532, pp.17-21, 1999-01-22

最近、臨床診断の分野では、生体内部の非線形効果による第2高調波成を利用してより高解像度な断層画像を得ようとする映像系が着目されている。しかし、実際に生体内部での非線形性をいわゆるin vivoで計測したという報告は極めて少ない。In vivoでの計測を可能とするためには、エコー信号の利用が重要となる。筆者らはすでにエコー信号における第2高調波の発生率から非線形パラメータを測定する手法を提案した。ところが、本手法によって非線形パラメータを計測するためには、初期音圧や回折による影響を補正係数として予め計測しておく必要があった。そこで、本稿では、あらかじめ非線形パラメータをはじめとする各音響パラメータが既知のファントムを用いて、初期音圧や回折効果による補正係数などを測定系のシステムパラメータとして計測し、それを用いて、イソプロピルアルコール、ベンジンアルコール、エチレングリコール、牛肝について測定した。
著者
西出 亮 坪井 新治 奥 智照 近藤 弓子 大西 真晶 上島 紳一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DE, データ工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.131, pp.455-460, 2007-06-25

本稿では,空間型MMOGシステムを利用者から提供されるコンピュータノードを用いたP2Pドロネーネットワークにより構築する手法を提案する.本手法は,利用者の平面上のキャラクターの位置をノードの位置として,ドロネーネットワークを構成し,MMOGにおける処理を分散的に実行する.そこで,まずP2Pドロネーネットワークの構築手法を提案する.空間型MMOGにおいて,各プレイヤーのビュー生成に必要な情報は利用者のキャラクターの近傍のオブジェクト情報である.そこで,平面をボロノイ領域に分割し,各ノードに割り当て,そのボロノイ領域内に含まれるオブジェクト情報を各ノードが管理する手法についても提案する.更に,ノードの移動に備えてP2Pドロネーネットワークを保つ必要がある.そこで,ノードの位置情報の変化に基づきネットワークの組み替えを行い,P2Pドロネーネットワークを保ち続ける手法について提案し,検討を行う.
著者
有澤 博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SSS, 安全性 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.45, pp.21-24, 2007-05-11
被引用文献数
1

最近のがん診断は、CT,MR,PETなど、医療画像抜きでは語れない。中でもPET画像診断は、がん細胞に特異的に集積するFDGという薬品の濃度を人体の断面画像から読み取ることにより、初期がんから発見できる画期的な方法と言われている。ところが、これを読み解く熟練した読影医師はそれほど多くなく、また機械が吐く画像の分量や精度は増える一方なので、読影医師への肉体的負担増や「見落とし」の危険増が問題となってきている。われわれは放射線医学の専門医師とタックを組み、推論システムとデータベースシステムを用いて、コンピュータが医師と同じ手法で診断をくだすことができるエキスパートシステムを開発した。このシステムではPETやCTの検査結果画像から、体内の危険領域(異常集積部位)を医学知識に基づいて抽出したり、また過去の類似の症例をデータベースを用いて比較したりできる。このシステムは現在病院等で検定中であり、将来セカンドオピニオン提供、あるいは医師と共同で危険箇所をチェック・提示するセカンドドクターとして多くの期待が寄せられている。医学及び関連分野における画像診断や評価の安全性・信頼性の向上に寄与して行きたい。
著者
小沼 元輝 朱碧 蘭 山田 奨治 柴山 守 中川 正樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.606, pp.91-96, 2007-03-09
被引用文献数
2

本稿では,電子くずし字辞典に用いるロバストな文字認識の開発について述べる.古文書の翻刻作業を特定の専門家以外でも可能にし,その効率を高めるために,古文書で標準的に用いられるくずし字の辞典を電子化し,翻刻の利便性を向上させることが有効である.我々は,67,739種のくずし字に対する認識システムを開発した.くずし字までいかない通常の字体に対しても現有の認識システムを利用できるようにした.採用手法は,現在の文字パターンに対して一定の認識率を保証しているので,実用に耐えることを期待しているが,現実課題のサンプルパターンが少ないために,定量的な評価は今後の課題とする.