- 著者
-
横田 正恵
横田 康成
- 出版者
- 一般社団法人電子情報通信学会
- 雑誌
- 電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
- 巻号頁・発行日
- vol.106, no.501, pp.81-86, 2007-01-19
Filling-inが発生することにより,視覚系では効率的な情報獲得・処理が実現されていると考えられる.その発生機構を解明するために,これまでに視野周辺部で発生するfilling-inを対象に,呈示する動画像に対するfilling-inの発生特性が調べられている.こうした実験では,filling-inの起こりやすさの尺度として,filling-inが起こるまでの時間(filling-in時間)が採用されている.これまでの著者らの研究から,filling-in時間は被験者の固視の状態に影響を受けることが示唆されている.しかし,これまでに眼球運動をモニタリングしながらfilling-in時間を計測した例はなく,眼球運動とfilling-inの起こりやすさとの関連は,明らかになっていない.本研究では,被験者の固視を容易に保つ環状filling-in対象を用い,時空間周波数が異なる複数の動的テキスチャに対しfilling-in時間を記録した.このとき,EOG法により,同時に被験者の眼球運動を記録した,Filling-in時間と眼球運動の関係を解析したところ,視線変位とfilling-in時間との間に弱い相関が認められた.