著者
佐藤 卓己 渡辺 靖 植村 和秀 柴内 康文 福間 良明 青木 貞茂 本田 毅彦 赤上 裕幸 長崎 励朗 白戸 健一郎 松永 智子
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

情報化の先進諸国におけるメディア文化政策の展開を地域別(時系列的)、メディア別(地域横断的)に比較検討し、国民統合的な「文化政策」と情報拡散的な「メディア政策」を明確に区分する必要性を明らかにした。その上で、ソフト・パワーとしては両者を組み合わせた「メディア文化政策」の重要性が明らかになった。佐藤卓己・柴内康文・渡辺靖編『ソフトパワーとしてのメディア文化政策』を新曜社より2012年度中に上梓する。
著者
巽 靖昭 東 晋司 児玉 俊介 佐藤 崇 澤口 隆
出版者
京都大学
雑誌
京都大学高等教育研究 (ISSN:13414836)
巻号頁・発行日
no.18, pp.11-23, 2012-12-01

The purpose of this paper is to measure the effect of second-year undergraduate microeconomics and macroeconomics exercise courses. Most economists agree that substantial mathematical ability is essential in studying economics. However, gaps among undergraduate students with various mathematical abilities have expanded as a result of increasing access to higher education and the diversity of university entrance exams in Japan. Consequently, most undergraduate students need higher levels of support and training. Through a combination of lectures and exercise courses, this article shows how we plan to increase the understanding of second-year undergraduate microeconomics and macroeconomics among students with various mathematical abilities. A multiple regression analysis for the students taking exercise courses indicates that past academic results of compulsory economics courses and attendance numbers and submission of assignments at exercise courses for microeconomics and macroeconomics are positively related to microeconomics and macroeconomics scores. The standardized regression coefficients of attendance numbers and submission of assignments at exercise courses for microeconomics are 0.340–0.363 and those of macroeconomics are 0.314–0.326. Thus, our exercise courses are evaluated as successful in increasing the understanding of microeconomics and macroeconomics.
著者
今中 哲二
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

研究代表者の今中は、平成12年度に3回、平成13年度に2回、平成14年度に2回海外調査を実施し、ベラルーシ、ウクライナ、ロシアにおいてチェルノブイリ原発事故の研究を行っている主要な研究所を訪問した。チェルノブイリ事故研究に従事している研究者との意見交換の結果、欧米や日本では紹介されていない興味深い研究が数多く行われていることが判明し、まとまった成果を出している研究者に対し、本調査研究のために特別論文の作成を依頼した。こうして作成された論文22編と今中の論文1編をまとめ、平成14年に京都大学原子炉実験所テクニカルレポートKURRI-KR-79として英文で出版した(306ページ、研究成果報告書にCDで添付)。このレポートはチェルノブイリ事故に関するユニークな論文集として評価されている。一方、各研究者との議論や最近の論文・資料を基に今中は、「運転員はなぜAZ5ボタンを押したか:チェルノブイリ原発事故の暴走プロセス」ならびに「水素爆発か核爆発か:チェルノブイリ原発4号炉爆発の正体」という論文を「技術と人間」誌に発表し、平成15年1月には、「ベラルーシ、ウクライナ、ロシアにおけるチェルノブイリ原発事故研究の現状調査報告」と題して、京都大学原子炉実験所学術講演会において本調査研究の概要を報告した。また、資料収集・整理作業としては、チェルノブイリ事故発生当事にソ連共産党中央委員会政治局に設置された「チェルノブイリ原発事故対策特別作業班会議」議事録の翻訳を行うとともに、チェルノブイリ事故が発生して以来の日本国内の新聞ニュースを整理した。なお、本調査研究にともなう成果は、逐次ホームページ(http://www-j.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/)に掲載した。
著者
中務 哲郎 高橋 宏幸
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

古代ギリシア・ローマ喜劇と狂言はまったく異なる文化伝統の中で生成発展したが、同時代に材をとり、滑稽な言葉・しぐさ・趣向を用いて笑いの劇を目指すという共通点をもつ。両ジャンルに共通して現れる仲裁人のモチーフ、仕方話の趣向等がいかなる社会制度から生まれたかを考察することにより、両ジャンルの特性を解明した。と同時に、芝居(企み、変装)の意義と効果、虚と実のすり替え、等を具体的な作品に即して分析することにより、喜劇的なるものの本質が両ジャンルに共通することも明らかにした。
著者
宮本 佳明
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

前年度に構築した大気・海洋結合モデルを実現象の再現実験に適用できるように改善を行った.ここで,当初構築する予定であった大気・波浪境界層(Wave Boundary Layer : WBL)・波浪・海洋の結合モデルは,前年度のロードアイランド大学滞在中に得た知見を基に,WBLモデルの構築,及び,波浪モデルの組み込みを取り止めた.その理由は,両モデルは計算負荷が大きい欠点を持ちながら,顕著な精度向上が見込まれないためである.つまり,現在までに得られている波浪・WBLの物理過程に関する理解では,長時間のコーディング作業をせずに,多少近似が強いながらも最新の観測結果を踏まえた手法を取った方が良いと判断した.そこで,大気-海洋間の結合が物理量のフラックスによって行われると考え,既存の大気モデルで良く用いられているバルク法を用いて以下のようにモデル化した.海面フラックス(モデル最下層における応力項に対する下端境界条件)は,WBL上端の風・海面上とその高度間の変数の勾配に比例するとして,2005年・2008年の観測・室内実験結果に関する先行研究(Donealn et al. 2004 ; Zhang et al. 2008)からその比例係数を決定した.ここで,WBL上端の高度はモデル変数から診断できないため,大気安定度に依存した対数分布を仮定して高度10mにおける風速を基に勾配を決定した.次に,海洋モデルに日本付近の海底地形データの導入し,過去に顕著な災害をもたらした台風の再現実験を行った.そして,海洋モデル及び最新の実測値を基にした海面フラックスの定式化を行うことによるインパクトを調べ,熱帯低気圧の数値モデル内での再現におけるそれらの重要性を示した.
著者
海老原 健 阿部 恵 日下部 徹 青谷 大介
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

脂肪萎縮症においてレプチン治療が糖尿病、高脂血症、脂肪肝などの代謝異常を改善することをヒトにおいて明らかにしてきた。そこで本研究では、脂肪萎縮症以外にもより一般的な1型および2型糖尿病、高脂血症、脂肪肝において、レプチンが治療薬として有用であることを明らかにした。また、アミリンおよびGLP-1製剤が糖脂質代謝改善作用におけるレプチン抵抗性改善作用を発揮することを明らかにし、レプチン抵抗性状態における併用療法の有用性を示した。
著者
中串 孝志
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2003

火星気象の変動のタイムスケールは様々である。そのため連続的観測が不可欠である。しかし探査機に頼り切った現状では時間的・空間的連続性を確保するのは難しい。地上観測によるモニタリングは依然としてニーズがある。我々は2003年観測期(2002年10月18日から2004年6月31日まで)に観測された諸現象について、西はりま天文台火星共同観測および月惑星研究会に大量に寄せられた優秀な画像アーカイブに基づいて、主として形態学的見地からの現象事例観測報告を行ってきた。本年度は後半期4145個のデータから得られた成果を論文としてまとめ、発表した(Publications of Astronomical Society of Japan誌第57巻3号497頁)。また火星気象はダストなどエアロゾルの物理に支配される気象でもある。これまで手薄だった偏光度による観測をスタートさせ、実用化段階に入っている。2003年のデータ解析の予備的成果は飛騨天文台主催のワークショップにて発表された。現在は2005年の観測データの解析中である。また特にエアロゾルと気象を結びつける実験的研究に関する現状は壊滅的と言ってよい。火星地表面上の地質学的研究が進んでいる現状を鑑みて、これは危機的状況と言える。そこで我々は近い将来我が国の着陸探査機が行う探査に備えた基礎的研究を想定し、エアロゾルの実験的研究に関する研究グループを立ち上げた。さらに惑星観測専用の宇宙望遠鏡プロジェクトも東北大他と立ち上げ、惑星エアロゾルの多角的研究を積極的に推進している。
著者
比嘉 夏子
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2005

19年度は、前年度までに実施したトンガ王国における長期フィールドワークで得られたデータを整理、分析し、それを国際的な場において発表することに重点を置いて研究を進めた。具体的な成果としては、ブタをはじめとする多くの伝統財が贈与交換された国王葬儀や宗教行事を比較研究し、2007年6月に開催された第21回太平洋学術会議においてContinuity and Change of Gift and Tribute:Spectacular Practice in the Modern Kingdon of Tongaのタイトルで、英語ポスター発表を行った。また、雑誌Research in Economic Anthropologyへ投稿した論文、Economics Emerging Between Religious Faith and Practice:A Microanalysis of a Donation Event in the Kingdon of Tonga(現在査読中)の執筆をおこない、現代のトンガ王国において、依然として顕著な現象として見られる宗教的贈与について、信仰と経済活動とがどのように人びとの日常生活を織りなしているのか、村落調査で得られた詳細なデータをもとに分析、検討した。年度末にはこれまでのトンガ王国での調査をさらに深めるべく、トンガとは地理的、文化的に隣接していながらも、現在はニュージーランドの自治領であることから島内の過疎化が進行しているニウエ島での短期調査を実施し、王制を維持しているトンガとニュージーランド本島の影響を強く受けているニウエ島の生活が、ブタ飼養や贈与交換のありかたなど、さまざまな点においてかなり異なったものであることが確認された。
著者
嶺重 慎
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

(1) ブラックホールのペア、バイナリーブラックホールへのガス降着流を、質量、連星系軌道の離心率、円盤面の傾き角を変えて計算し、放射特性を明らかにした。(2) バイナリーブラックホールモデルに基づきシミュレーションを実行して輝線プロファイルを計算し、観測の非対称なダブルピーク・プロファイルを再現した。(3) ブラックホール合体時に予想される超臨界降着流の大規模輻射磁気流体シミュレーションを実行し、クランピーアウトフローの証拠を見いだした。
著者
吉本 道雅
出版者
京都大学
雑誌
京都大學文學部研究紀要 (ISSN:04529774)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.27-68, 2007-03

この論文は国立情報学研究所の学術雑誌公開支援事業により電子化されました。
著者
伊藤 公雄 MIYAKE Toshio 三宅 俊夫
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

研究実施計画に基づき、まず、戦前から戦後にかけての日本社会におけるオクシデンタリズムについての文献収集と分析を、受け入れ教授の伊藤公雄のアドバイスを受けつつ進めました。前年度、特に消費文化とポピュラー文化のグローバル化について検討を加えることで、近年の日本におけるイタリアイメージの形成について、考察を進めました。その成果の一部は、5月にダートマス大学で開催された「イタリアン・カルチュラル・スタディーズ学会」で発表しました("ltaly Made in Japan : Occidentalism, Self-Orientalism and Italianism in Japan", Dartmouth College 2010. 05. 08)。また、日独伊3国同盟を擬人化した『ヘタリアAxis Powers』という人気マンガを分析し、その成果について、「カルチュラル・タイフーン2010学会」で報告を行いました("Revisiting Japanese Occidentalism via Hetalia Axis Powers : Nation Anthrapomorphism and Sexualized Parody in otaku/yaoi Subcultures,駒澤大学、2010.07.04~07)。さらに、日本において進めてきたオクシデンタリズムと自己オリエンタリズムの交錯について、収集した資料等を活用しつつ、これまでミヤケが発表してきた論文を対象に再検討を行い、論文の修正点や改正点を洗い出した上で、"L'Occidente e l'Italia in Giappone. Occidentalismo, italianismo e auto-orientalismo"(日本における「西洋」と「イタリア」:オクシデンタリズム、オリエンタリズム、自己オリエンタリズム)と題した著書の出版の準備を進め、ほぼ完成段階に至っています(2011年に刊行予定)。
著者
森田 次朗
出版者
京都大学
雑誌
京都社会学年報 : KJS
巻号頁・発行日
vol.13, pp.127-136, 2005-12-25
著者
下林 典正
出版者
京都大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

奈良県吉野郡天川村より採集された,イリデッセンスによって虹色に輝く"レインボーガーネット"を試料に用いて電子顕微鏡観察を行った結果,本産地のレインボーガーネットが通常のガーネットでは見られない波状のラメラ組織および数百nmオーダーの微細なラメラ組織をもつことを示し,後者の微細ラメラによる光の干渉がイリデッセンスを引き起こすことを明らかにした。しかし,電子顕微鏡による観察だけでは,作製試料に依存した局所的な情報のみに限られてしまい,例えば試料全体の歪みの分布などの情報を得ることは困難である。そこで,これまで電子顕微鏡を用いて観察してきたレインボーガーネット中のラメラ組織の形成に格子欠陥等の結晶不整が関連しているのかを検証するために,放射光を用いたX線トポグラフィーによる結晶評価を行なった。実験はSPring-8のBL28B2に設置された白色X線トポグラフカメラを用いて,室温で撮影を行なった。その結果,得られたトポグラフ像においては,ほとんどの回折斑点内に結晶外形に垂直方向に伸長した2または4本の筋が確認できた。これまでの電子顕微鏡による観察から確認されている累帯構造・波状ラメラ組織・微細ラメラ構造のうち,累帯構造および微細ラメラ構造は結晶外形に平行な構造を持っており,本実験で得られた結晶外形に垂直方向に伸びた筋の成因としては考えにくい。そのため,波状ラメラ組織がこの筋の成因だと考えられる。前年度の報告書に「レインボーガーネットの構造色の原因は,初生的には微細ラメらによる多層膜干渉による」が、「その副次的な効果を波状組織が担っている」と仮説した。今回観察された波状組織による僅かな方位のズレがその副次的な効果を与える要因である可能性が示唆された。
著者
福井 勝義 宮脇 幸生 松田 凡 佐藤 廉也 藤本 武 増田 研
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

本研究は、平成17年以来、北東アフリカのエチオピアを主要な対象とし、国民国家の形成過程で頻発してきた民族紛争について、その発生・拡大・和解のプロセスを歴史的に検証することを目的としている。昨年に引き続き本年度も、研究代表者をはじめ研究分担者および研究協力者がそれぞれエチオピア西南部の各民族集団において、民族紛争の発生・拡大・和解に関する聞き取り調査を実施する一方、各地方行政府に収められている行政文書のアーカイブ調査を試みることで、現地で得た情報との整合性を確認し、民族紛争と国家政策との関連性を示した。例えば、研究代表者である福井は、攻撃する側である農牧民メ・エンと攻撃される側である農耕民コンタ双方において戦いとその被害状況に関して情報収集を行った結果、エチオピア帝政期・デルグ社会主義政権期・EPRDF現政権期という20世紀のエチオピアにおける3つの政権の交代期に民族間の戦いが頻発していることが明らかにされた。こうして現地で収集、整理された情報は、国内で年3回開催された研究会合において統合的に分析が進められた。また、空中写真・衛星画像を用いて戦いや環境の変化に伴う各民族の居住領域の変化を時系列的に復元し、これを生態環境データと照らし合わせ比較検討した。これらの情報は今後、各民族における紛争に関する情報収集を継続的に行うことで、より広範な地域における民族間関係を歴史的に明らかにすることが可能になる。また、昨年度より着手したアーカイブ調査を実施していくことで、民族紛争と国民国家への統合のプロセスとの関連性を理解することができるようになる、と考える。
著者
間野 英二
出版者
京都大学
雑誌
京都大學文學部研究紀要 (ISSN:04529774)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.347_a-189_a, 1983-03-30

この論文は国立情報学研究所の学術雑誌公開支援事業により電子化されました。
著者
岸田 拓士
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

ウミヘビ類の持つ嗅覚受容体遺伝子のレパートリーを網羅的に解読した結果、海洋環境への適応度合が上がるにつれて嗅覚能力が衰退することが解明された。しかし、完全な海洋性のウミヘビでも副嗅覚系(鋤鼻嗅覚系)の機能は維持されていることが示唆された。さらには、同所的種分化の分子的基盤の解明のために、同所的に生息する2種の近縁なウミヘビであるバヌアツアオマダラウミヘビとアオマダラウミヘビの嗅覚受容体遺伝子の比較を行ったが、現時点で顕著な違いは発見できていない。
著者
岩倉 具忠
出版者
京都大学
雑誌
京都大學文學部研究紀要 (ISSN:04529774)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.139_a-61_a, 1987-03-31

この論文は国立情報学研究所の学術雑誌公開支援事業により電子化されました。
著者
三浦 励一
出版者
京都大学
巻号頁・発行日
2001-03-23

新制・論文博士
著者
景山 千愛
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2016-04-22

本年度は、化学物質過敏症の社会的な取り扱われ方に重点を置き、調査研究を行った。具体的には、(1)化学物質過敏症の因果性に関する法学と医学の齟齬、(2)化学物質過敏症の存在を支持し調査研究を行う医師・学者のグループである「臨床環境医」の主張、の分析を行った。(1)に関しては、特に、化学物質過敏症罹患を争点とする訴訟と、化学物質過敏症の医学的不明確性がどのように関連しあっているのかを時系列的に読み解くことを試みた。これにより、「疾患」として医学的な論争のただなかにある化学物質過敏症が、法学という異なる分野において、その不明確性ゆえに法的論理に取り込まれる余地があることを示した。(2)に関しては、化学物質過敏症に関する一般読者向けの書物を対象にして、医学的に確立されていない「病」をいかに正統なものとして示すのかを明らかにした。これら2点の共通性は、ある「病」の不明確性が、異なるアクターが折衝する場面において、どのようにある「病」の不明確性が説明されるのか明らかにする、ということである。医学と司法、化学物質過敏症の存在を支持し研究を行う「臨床環境医」と一般の医師、患者など、異なるアクターや業界の狭間で、ある「病」の不明確性が新しく解釈されなおされるという現象は、化学物質過敏症に限らず、今まさに論争中にあるさまざまな「病」に関しても同様である。また近年では、柔軟剤やアロマなどによる「香害」が社会問題となっており、この文脈で化学物質過敏症も再注目を浴びている。このような社会的状況からしても、本研究でさまざまな「医学的に説明されない症候群」、ひいては化学物質過敏症について扱う意義がある。