著者
横手 幸太郎 竹本 稔 藤本 昌紀
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究は、リンパ管の生活習慣病への関与を明らかにするため検討を行った。肥満2型糖尿病モデルマウスの膵臓ではリンパ管が増生しており、膵島においてVEGF-Cの発現が上昇していた。In vitroでの検討では、IL-1βやTNF-αにより膵α・β細胞でのVEGF-Cの発現が誘導された。以上より、糖尿病、肥満で発現が上昇する炎症性サイトカインが膵島でのVEGF-Cの発現を誘導し、膵リンパ管の増生をもたらすことが示唆された。
著者
渡辺 均
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

市販の屋上緑化薄層基盤土壌では,降雨や灌水によって施工初期から土中の栄養塩類の流出が確認された。土厚10cmの屋上緑化薄層基盤土壌1m2に換算すると438~688リットルの降雨もしくは灌水によって,土壌中のほとんどの栄養塩類が流出することが推計された。さらに,その土壌素材ごとに栄養塩類量を調査したところ,バーク堆肥に含まれる栄養塩類が最も流出していることが確認された。屋上緑化薄層基盤土壌はパーライト,ピートモス,ゼオライトを主体とした配合にすることで,シバの生育と品質を維持させながら,栄養塩類の流出量を低減できることが明らかとなった。
著者
水島 治郎 土倉 莞爾 野田 昌吾 中山 洋平 伊藤 武 津田 由美子 田口 晃
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

第二次世界大戦後、西欧諸国の多くで政権を掌握していたキリスト教民主主義政党は、1990年代に入ると各国で凋落し、政権を離れるに至ったが、国によってはその後、党改革を進め、一定の「革新」を可能とした例もある。本研究ではこのキリスト教民主主義政党の危機と革新という現代的展開の動態を明らかにすることで、西欧保守政治における構造的変容の実態の解明を試みた。成果は学会セッション企画、著書、論文などで幅広く公表された。
著者
山本 啓一 三村 徹郎 矢島 浩彦
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

車軸藻内では非常に早い原形質流動が起こっている。この流動は、きんにくと同じミオシン・アクチン系によることが示唆されてきたが、そのミオシンの形態や運動能力については良く判っていなかった。そこで、我々は、オオシャジクモChara corallinaのミオシン抗体を用いて車軸藻cDNAライブラリーをスクリーニングし、このミオシンをコードする遺伝子をクローニングした。読みとった塩基数は8384で、その中に翻訳領域6471塩基対(2157アミノ酸)が含まれていた。計算によって求められた分子量は245532で、生化学的に得られたシャジクモ・ミオシンをSDSポリアクリルアミドゲル電気泳道にかけることよって決められた値と良く一致していた。得られたアミノ酸配列から二次構造予測を行ったところ、N末端にATP加水分解部位やアクチン結合部位を含む球状構造、それに続いて軽鎖結合部位と考えられるIQモチーフ、コイルドコイルを作る領域、そして尾部末端の球状領域からなることが示唆された。この構造は、我々が以前に電子顕微鏡で観察したものと非常に良く一致していた。さらに、遺伝子の一部を大腸菌内で発現させ、それに対する抗体を作ったところ、この抗体は性化学的に得られたシャジクモミオシンと反応した。以上の結果から、我々がクローニングした遺伝子は、間違いなくシャジクモミオシンのものであると考えている。
著者
鳥山 祐介
出版者
千葉大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

18-19世紀初頭のロシア文学に現れた風景表象を、同時代の社会的文脈との関連の中で検討することで、風景表象とロシアのナショナル・アイデンティティとの関連など、新たな視点を近代ロシア文化研究に提供した。現時点で4本の論稿が発表された。学会、シンポジウム、研究会等における発表、海外の研究者や歴史学など他分野の研究者との交流などを通じて、狭い意味での専門分野にとらわれない研究の遂行と研究成果の積極的な公開に努めた。
著者
生坂 政臣 大平 善之 野田 和敬 鋪野 紀好 塚本 知子 鈴木 慎吾 上原 孝紀 池上 亜希子
出版者
千葉大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

医学生のProblem-based learning (以下PBL) テュートリアルにおいて、患者再現VTRを用いることにより、プライマリ・ケアの実臨床に即した幅広い領域での診断推論が行われるか否かを、従来の紙媒体を用いたPBLテュートリアルとの比較において検討した。その結果、患者再現VTRを利用しても鑑別疾患数は増加しなかったが、心理・社会面を含めた多方面からアプローチする診療が意識づけられ、さらにテューターへの負担も少ないなど、患者再現VTR利用のメリットを明らかにすることができた。作成コストは小さくないが、このような患者再現VTRは今後の卒前の医学教育に大きく資するものと期待される。
著者
小山 慎一 NORASAKKUNKIT Vinai CHEN Chun-hsien AHMAD Hafiz Aziz 由 振偉 張 暁帆 若松 くるみ 商 倩 成田 佳奈美 堀端 恵一 山田 桃子
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

研究課題の研究1~4の全てを実施し,その成果を学会および論文で報告した.研究 1では照明の第一印象に与える影響について検討し,研究2では選択肢の種類と数が消費者の選択時における満足度に与える影響について検討した.研究3・4では消費者がモノに対するこだわりと愛着を発達させるプロセスおよび飽きが生じるメカニズムについて検討した.以上の研究から,モノに対する長期的な愛着を発達させるためには「積極的に情報を収集し,複雑な評価を楽しむことによって対象物に対する愛着を発達させ,愛着が発達することによってさらに積極的に情報を収集するようになる循環的なプロセス」が重要な役割を演じていることが示唆された.
著者
巣山 貴仁
出版者
千葉大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

腎細胞癌における癌精巣抗原の一つであると考えられるCXCR3およびそのリガンドについて検討を行った。CXCR3およびそのリガンドが癌細胞で強く発現していることを示した。CXCR3/リガンドaxisが腎癌の転移に関し重要な役割の一つを果たしていることを、臨床検体を用いた検討、ならびに腎がん細胞株を用いた検討で示した。同時にCXCR3の発現が低酸素状態によって誘導されている可能性を示し、以上の内容を学術論文で発表した。さらには腎癌患者血清中でCXCR3のリガンドの測定が可能であり、現時点では有用な腫瘍マーカーがない腎癌において、腫瘍の状況や腫瘍の存在を示す有用なマーカーになる可能性も示された。
著者
臼井 則生
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学園芸学部学術報告 (ISSN:00693227)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.165-175, 1998-03-31

オランダ病(Dutch Disease)ならびに近年注目されているリソース・カース命題(Resource Curse Thesis)は,資源保有途上国の経済開発が当初期待されたほど容易なものではなく,むしろ豊かな天然資源の存在と,それに起因する輸出ブームが経済発展を阻害する効果を持ちうることを明らかにした.この問題に関する研究を通じて明らかになりつつあることは,資源保有途上国は天然資源を経済開発のための後ろ盾(backbone)としてではなく,あくまでボーナス(bonus)と見做し,特に輸出ブームの過程においては慎重なマクロ経済運営を行う必要があるという点である.本稿では,輸出ブームのなかでのマクロ経済政策のひとつの側面として対外借入を取り上げ,輸出ブームによる国際的信用の改善による対外資金の流入が持ちうる効果をオランダ病の理論的枠組みのなかで分析し,さらに1970年代末,ともに原油ブームを経験したインドネシアとメキシコについて,その対外借入政策の比較分析を行った.メキシコは原油ブームのなかで拡張的経済運営を行い,それに起因する対外不均衡を是正するため対外資金への依存度を急速に高めたのに対し,インドネシアの借入額は許容範囲内であった.さらに,対外債務の構成においても,インドネシアの債務は長期低利資金のシェアーが大きいという点で,変動金利の短期資金の取り込みを急増させたメキシコと大きな対照をなしている.インドネシアがオランダ病を回避し,輸出構造の多様化を通じて高成長を達成しえた要因のひとつは,こうした慎重な対外借入政策にあるものと考えられる.一方,メキシコの野心的な経済運営は,オランダ病による経済停滞のみならず1982年の債務危機につながっている.本稿の分析結果は,資源保有途上国の経済政策に関する上記のコンセンサスを支持するものである.インドネシアのこうした慎重な政策運営を支えた要因は,スカルノ体制末期の経済混乱からの回復過程で確立したテクノクラートによるマクロ経済運営と,原油ブームのなかでのプルタミナ危機(Pertamina Crisis)によるナショナリストへの打撃にある.また,メキシコの経済政策の背景には,人民主義(Populism)にもとづく政府主導の積極的開発政策を求める強力な政治的圧力がある.経済政策の方向性は,それぞれの国が置かれた政治経済的ならびに歴史的要因に規定される.しかし,各国固有のこうした要因を除いて考えてみても,オランダ病を回避し,長期的な経済発展を推し進めるためには,あくまで慎重なマクロ経済運営が求められること,この点は資源保有途上国の経済開発に対する両国の経験から導かれる知見として共有されてよいものと考えられる.
著者
七辺 一三
出版者
千葉大学
雑誌
千葉医学会雑誌 (ISSN:00093459)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.141-147, 1972

1. 正常人の四肢に振動刺激を加えて得られる緊張性振動反射(Tonic vibration reflex, TVR)は,上位運動ニューロン障害,パーキンソニズム,小脳疾患の患者からはほとんど得ることはできなかった。TVRは主として筋紡錘の興奮によって生ずる。筋伸展に敏感で,容易に導出可能と考えられる痙縮筋,固縮筋にTVRを実際には見出し得ないということは,この反射が小脳,大脳基底核など上位中枢を含む多シナプス回路の影響を受けるためと思われる。2. 振動刺激を痙縮筋に加えると,しばしば随意収縮力が増加する。片麻痺患者における運動障害は上位中枢の器質的変化だけでなく,機能的抑制に由来するものと考えられる。3. 前腕伸筋に振動刺激を加えながら書字試験を行なうと,診断上興味ある現象を呈する。パーキンソニズムと同じく,小脳疾患々者においても小字症が現われ,眼を閉じると小字症は一層著明になる。この現象はgamma系の興奮によるものであろう。
著者
中山 茂樹 積田 洋 鈴木 弘樹 鈴木 弘樹
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

隔離室の調査分析では、1、 変化の乏しい閉鎖された空間で、空間要素を改良することは、患者の空間に対する満足度をよくする。また、唯一外的情報としての窓からの風景は、患者にとって重要な空間要素である。2、 隔離室に長期入院するほど患者は、安全・安心感において良い評価となる。3、 入院回数が1回の患者の全員が、自宅が安全・安心・居心地がよいと回答し、複数回の入院患者は隔離室が安全・安心・居心地がよいと回答する割合が増えてくる。共用エリアの調査分析では、1.統合失調症患者および認知症患者において、1人あたりの空間量的増加や空間が新しくなるなどの環境の変化は、身体的症状、睡眠障害などを改善する。
著者
上村 清雄
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

1487年から1512年の死まで中部イタリアの都市シエナを実質的に支配したパンドルフォ・ペトルッチがとった芸術奨励政策を、シエナ出身の教皇ピウス二世(在位1458-1464)が主導した直前の時代と比較検討し、過去の芸術伝統と決別し、新旧世代の芸術家をたくみに使い分ける、いわゆる「ペトルッチ様式」によって、シエナに宮廷文化の確実な誕生を促した動向を、文献収集、実作品の調査、現地研究者との意見交換によって明確にした。
著者
年森 清隆 伊藤 千鶴 前川 眞見子 大和屋 健二 神村 今日子 武藤 透
出版者
千葉大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

Muse細胞調整後、精子幹細胞の無いW/Wvミュータント雄マウス精巣内に移植して定着性を検討し、次の点が明らかになった。長距離移動によるMuse細胞のダメージは無く生細胞数を確保できる。移植前培地中に長時間置くと凝集が起こり、移植効率が下がる。移植用培地からアルブミンを抜くと効率良く微小注入できる。移植後3ヶ月では、GFPのシグナルは認めらないことから、単純なMuse細胞移植では精子細胞分化への誘導はできないと思われた。
著者
久保田 ひろい
出版者
千葉大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2010

本研究では、英語発話に見られる"語尾上げ口調(High rising terminals:以下HRT)"の多用の拡大という言語現象を対象とし、その機能を解明することを目的とする。1.映像資料への非言語情報および韻律のラベリング作業統計的な分析に向けデータ量を増やすため、昨年度に引き続き、収集したチュートリアル形式の説明談話の映像資料に対し、動画編集ソフト上で、動作・視線・句末音調のラベリングを行った。2.節・発話・談話情報のラベリング作業1.で統語的・語用論的境界によって分割した「発話」をさらに、韻律的境界で「節」に分割し、発話と節の関係性を表現するために、それぞれにIDを付与した。さらに談話構造との関係性も変数として取り入れるために、談話境界の認定を行い、談話IDも追加した。これによりどの発話がいくつの節から構成され、どの談話のどの位置にあるのかというような情報を分析に取り入れられるようにした。3.データベースの分析1.2.により作成したデータベースを用い、昨年度の事例分析で示唆された「新しいトピックへの移行段階でのHRTの生起とそれに同期する指さし、視線の切り替え」という傾向を統計的に検討した。これにより、HRTの生起はそれぞれの工程の冒頭部に集中し、多くの場合、指さし、視線の切り替えという順番で生じていることが確認された。また、上記の結果について「視点の操作」という観点から考察を行った。新情報を導入する際に、視線と指さしによって聞き手との間に視覚の共有状態を作り出した上で、それを共有基盤に追加したという確認の合図としてHRTのような音調が使用されているだけでなく、非言語情報・発話・それに伴う韻律が協働して新たな工程へ移行する場面が定型化されることにより、結果として全体の談話の構造化が促されていると考えられる。
著者
小澤 弘明 栗田 禎子 粟屋 利江 鈴木 茂 橋川 健竜 秋葉 淳
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、歴史学の立場から新自由主義時代を把握し、新自由主義の同時代史的分析にとどまらず、古典的自由主義時代からの連続面と断絶面の双方を明らかにした。また、新自由主義の世界史を構想するさいの方法として、新帝国主義という視角を検証し、それが構造化の特徴を把握するさいに有効であることを確認した。また、社会史研究、ファシズム研究の方法を新自由主義の研究に応用する視点を確立した。
著者
眞城 知己 是永 かな子 石田 祥代
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

デンマークにおける自治体再編が特別ニーズ教育制度の展開にどのような影響を与えているのかその特徴を明らかにする目的で情報収集に取組んだ。海外学術調査種目の主旨である資料の収集をフィールド調査を通じて丹念に行うために教育省、各自治体の担当者、国策に携わる学識経験者への継続的な面接調査と資料収集を方法の柱に据えて研究を進めた。その結果、現地の研究協力者の支援と協議を重ねながら5つのレギオン及び半数を超える市の担当者及び学校における面接調査と資料収集を行うことができた。これらの資料の分析を進め、自治体間の差違の急速な拡大傾向と近隣市と共同で新制度を創出する自治体の存在などが明らかになった。
著者
羽石 秀昭
出版者
千葉大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2014-04-01

われわれはこれまでに交差プロファイル法と呼ぶ4D-MRIの再構成法を提案してきた.4D-MRIにより胸部の呼吸性移動を3次元空間と時間空間で可視化,定量化することができる.交差プロファイル法では,各データスライス(DS)あたり約20周期の呼吸の取得が必要となり,3次元情報を取得するのに20~30のDSの撮影を行う必要がある.結果として全データの収集に30分間程度要することになり,このことが実用化に向けて課題のひとつとなっていた.本研究では撮像時間の短縮とそれに伴う画質劣化への対策を研究目的とした.全体の収集時間を短くするために,1スライスあたりのエンコード数を減らし,複数スライスを高速に切り替えながらデータ収集を行うスライスインターリーブ撮像を導入することを前提とした.さらに,この際の画質劣化の問題に対して,スパースモデルを用いた高画質再構成を行う.エンコード数不足による劣化を抑制するため,L+S分解と呼ばれる,動画像を低ランク成分とスパース成分に分解するロバスト主成分分析の方法をMR再構成に適用して4次元再構成を行った.1/3の収集時間を想定したシミュレーション実験を実行した.得られた画像に対し,4次元画像でのRMSEや最大値投影法での視覚的評価など多面的な評価を行った.この結果,提案法によって,少ないデータ数からでも劣化の少ない再構成が行われることが確認された.