著者
松田 兼一
出版者
千葉大学
雑誌
千葉医学雑誌 (ISSN:03035476)
巻号頁・発行日
vol.75, no.3, 1999-06-01
著者
久保 桂子
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

共働き夫婦に関する質問紙調査を行い、以下のような結果が明らかになった。夫の長時間労働や職場の労働時間などの柔軟性の欠如は、夫の育児参加と強い関連が認められた。また、男性の家庭参加を肯定する意識が高い父親ほど、育児を分担しており、父親の性役割意識も関連がみられた。また育児に積極的な夫は、家庭参加のために職場に働きかけを行っているが、そうした夫の職場はすでに働きやすい職場であり、働きかけとの因果関係は明確に示されなかった。
著者
嶋津 格 藤井 俊夫 戸田 善治
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

千葉大学の付属中学校、同小学校、および千葉県立千葉南高等学校の協力を得て、法学の基礎的体験を初等・中等学校でさせることを目的として、実験的な研究を行った。それまで2年間行ってきた研究の継続の側面もある。題材として「カイワレ裁判」(大腸菌O-157によって堺市の多数の小学校で集団食中毒が発生し、原因としてカイワレ大根が疑われ、国によるその発表によって全国のカイワレ農家が風評被害を受けた、という国家賠償請求事件)を採用することにした。平成15年度は、主に教材の作成を行った。判決の収集と概要の作成、事件を担当した弁護士(録画)、国の代理人であった法務省の担当者(録音)へのインタヴューと、米国の陪審裁判の調査、などを行った。16年度は、実際の授業を行うことが中心であった。高等学校と中学校で各1回、小学校では、以前作成した別の題材を使って2回の授業を行った後、同じクラスでカイワレ裁判による授業を行った(子供たちの飲み込みの早さに驚かされた)。授業では、当初の予定を変更して、事前に作成した台本を二人の大学院生が原告と被告の主張を述べる方式を採用することとした(使用した台本は報告書に収めているので、他でも利用可能)。教育学で使われる方式に則って、「授業案」を作成して実行するとともに、授業全体を録画した。授業の方法は、2時間続きの授業のうち、前半を事件の概要の説明にあて、後半を6人一組にクラスを分けて、それぞれで判決に対応する判断を出させる、というものである。結果はかなり満足のゆくものであった。クラスでは、高校・中学校・小学校のどこでも、活発すぎるほどの討論があり、生徒たちはかなり充実した体験をしたと思う(ワークシートの結果や感想などを参照)。長期的には、法的思考と裁判制度が日本社会で占める位置の変化への対応などの大きな課題を視野におくが、法学授業の初中等教育への導入実験という当面の成果は得られたと思う。
著者
高橋 和久 大鳥 精司 高相 晶士
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

椎間板性腰痛の基礎研究は1970年に教室の篠原がヒト変性椎間板内へのdeep nerve ingrowth を報告して以来、椎間板内の炎症性サイトカインの上昇や、後根神経節(DRG)における炎症性疼痛ペプチドの増加が報告された。しかし、神経栄養因子であるbrain-derived neurotrophic factor (BDNF)と椎間板性腰痛に関連に関しての報告は無い.本研究の目的はラット腰椎椎間板傷害モデルにおける痛みに対し,抗BDNF抗体を投与することにより,その疼痛マーカーは抑制が可能であった.
著者
坂本 哲郎
出版者
千葉大学
雑誌
語文論叢 (ISSN:03857980)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.35-44, 1972-03-01
著者
竹蓋 幸生 水光 雅則 土肥 充 高橋 秀夫 竹蓋 順子 水町 伊佐男 田中 慎 西垣 知佳子 大木 充 大塚 達雄 村田 年
出版者
千葉大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2000

顕著な教育効果が期待できる教育方法の一つとして、CALLはすでに1960年代から外国語教師の間で知られていた。しかし、いわゆるLLと呼ばれる教育機器がそうであったように、CALLも長い間その期待に応えられる教育効果を示すことができなかった。それは、どちらも「教材の提示システム」としては素晴らしい可能性を持っていながら、妥当な「教材がない」からだと言われてきた。しかし教材不足の原因をさらに探っていくと、聴解力を中心とした基礎力及び総合力の教育法に関する「理論の不在」が原因であることが明らかとなった。我々はこの問題点を直視し、まずCALL教材の制作にも活用できる、「三ラウンド・システム」という緻密な指導理論を独自に開発した。特定領域研究の計画研究として行われた我々の研究はこの理論をベースにCALL教材を高度化し、外国語によるコミュニケーション能力の真に効果的な養成を可能にすることを目指したものである。本研究は、英語、独語、仏語、日本語の4言語グループでそれぞれのニーズに応じたCALL教材の高度化の研究を行ったが、開発された教材は、実験的試用の結果、どのグループのものも学習者、教師に好評であったと報告されている。英語グループは高度化された複数のCD-ROM教材を大学の通常の英語授業で約5ヶ月間試用し、学習効果を客観的な外部テストであるTOEICで測定した。その結果、上位群で大きなスコアの上昇が見られ、教材を試用しなかったクラスの成績との有意差も認められた。英語教材はすでに東京大学、京都大学をはじめ23大学での通常の授業への導入が予定されている。また日本語グループは国際学会での報告でも高く評価されたと聞いており、日本語教材は現在、米国、台湾を含め、5カ国で実験的試用が計画され、独語教材も北海道大学、都立大学、九州大学、立命館大学での導入が予定されている。
著者
中村 美保 兼松 百合子 小川 京子
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学看護学部紀要 (ISSN:03877272)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.45-52, 1993-03
被引用文献数
5 3

本研究は,外来受診時に採血をうける3歳から7歳の小児を対象に,採血によって小児が感じる痛みの程度と行動に表れる反応について,発達段階や気質などによる特徴を明らかにすることを目的とした。本研究で見出された結果を以下に示す。1.小児によるFace Pain Scaleの評価と観察された行動スケールの総点とは高い相関が認められた。2.処置中に泣いていた小児は泣かなかった小児より年齢が低く,Face Pain Scaleの評価が高かった。3.年齢が高いほど行動スケールの総点が低かったが,Face Pain Scaleの評価は必ずしも低くなかった。4.行動スケールの総点は気質のカテゴリーである機嫌の点数と関連性があった。
著者
槇野 陽介
出版者
千葉大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

画像診断による死因究明制度の構築には、死後CTのみでは限界がある。本研究では車載式死後核磁気共鳴画像(MRI; magnetic resonance imaging)を用いて、法医解剖前遺体を撮影し、死後CT所見や解剖所見と比較し、死因究明に利用可能かどうかを検討した。結果、今回検討した全事例において、評価に耐える撮像が可能であり、今回我々が確立した方法が、死因究明に応用できると言えた。また、脳内微小出血病変など、明らかにMRIがCTよりも有用である所見が認められ、死後MRIの有用性も明らかにできた。一方で問題として、偽陽性所見などが認められ、今後さらなる検討が必要であると考えられた。
著者
熊本 卓哉
出版者
千葉大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

昨年度に引き続き,各種グアニジン誘導体より,窒素上にアリル置換基を有するアジリジンを合成し,熱的,および光条件による環化付加反応を検討した.しかしながら,いずれの場合も目的の環化体を得ることができなかった.一方,四酸化オスミウムを用いるジヒドロキシル化については,アリル置換基上でのみ酸化が進行した所望のジヒドロキシル体を与えた.今後,ここで生じたジオール部位に対して更なる変換を行い,C3単位ををアジリジンに組み込んだヘテロ環合成へと変換する予定である.また,アジリジン環に対する反応性を調査する上で,有機銅試薬による開環反応,有機ホウ素試薬によるシグマトロピー型反応などの検討を行ったが,所望の環化付加体を得ることはできなかった.その検討の過程において,塩化インジウムを用いた場合にtransアジリジンからcisアジリジンへの異性化反応が効率よく進行することを見出した.この異性化はこれまでに例がなく,特にcisアジリジンを部分骨格に有するマイトマイシンCなどの天然物合成への展開が期待される有用な反応であり,これらの事項についてHeterocycles誌に投稿した.一方,アジリジンを一旦フェニルゼレン試薬で開環してβ-ゼレノアミンとした後,アリルスズ試薬を用いたラジカル型炭素-炭素結合反応によりアリル基の導入に成功した.今後このアリル基を足がかりとした環化反応に展開していく予定である.
著者
馬場 敦
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

高等生物は管腔様構造の臓器ネットワークを有しており、形成過程での破綻はヒトにおいてもよく見られるが、その原因は遺伝的要因と環境的要因とが交差しており不明な点が多い。申請者はCelsr1欠損マウスが生殖器系管腔様構造の形成不全を呈し、この表現型が糖転移酵素Fringeの欠損マウスの表現型と酷似することを発見した。Celsr1蛋白質は2箇所のEGF-like motifにおいてO-フコシル化かつFringe修飾され、細胞内分布が制御された。以上の結果から「翻訳後の糖鎖修飾がCelsr1蛋白質の局在を制御する」ことが明らかとなり、管腔様構造の形成に特異的な、糖鎖修飾による制御機構が明らかとなった。
著者
三宅 晶子 橋本 雄一
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

【烟台大学・魯東大学研究者受け入れと共同研究】(2017年1月~8月)李文哲准教授(烟台大学)・朴銀姫講師(魯東大学)を千葉大学大学院人文公共学府に「外国人研究者」として受け入れ、共同研究と打ち合わせを行った。【中国研究調査】(2017年9月3日―9月11日)青島:ドイツ統治期・日本統治期建築群調査(ドイツ水兵クラブ、徳華銀行旧址、山東鉄道公司旧址、旧モルトケ砲台、旧青山中学校、青島福音堂、天主教堂、聖保羅教堂、青島徳国総督楼旧跡博物館等)烟台:招遠芸術センターにおける抗日戦争期の資料展示、東砲台調査、魯東大学・烟台大学との打ち合わせ 大連:日本・ロシア統治期建築調査(ダーリニー市役所旧址、旧満鉄本社、大連賓館、大連図書館、旧西本願寺、旧東本願寺、旧日本人住宅街等)【徳島県調査】(2017年11月23日-26日)鳴門市:坂東俘虜収容所跡、ドイツ館、ドイツ村、香川豊彦記念館 徳島市:ドイツ兵慰霊碑、松江豊寿旧居調査、資料収集:『Die Baracke』CD-ROM,『青島戦ドイツ兵俘虜収容所研究』等。シンポジウムの準備、発表内容の打ち合わせを行った。ドイツが模範的植民都市として建設した青島を調査し、1914年第1次世界大戦での日独戦敗北後ドイツ兵が俘虜として収容された鳴門市坂東俘虜収容所跡を調査することによって、ドイツ兵俘虜たちが、狭い収容所敷地内において、かつての青島の地域の名を命名し、都市を模した活動を行うことによって、都市共同体を作り出そうとしていたことが分かった。また、ドイツ兵の慰霊という想起は、そのつどの日本のドイツとの政治的関係、敗戦体験が深く関わっていることが分かった。
著者
正木 治恵 長江 弘子 坂井 さゆり 手島 恵 河井 伸子 松本 啓子 遠藤 和子
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

国内外の文献レビューと専門家パネルならびにデルファイ調査により、高齢者の終生期ケア質指標(Quality Indicator)を開発した。前提と33項目からなる質指標は、意向の確認、看護倫理に基づく日常ケア、治療・ケア選択への関与、症状・苦痛緩和、臨死期の日常ケア、家族ケア、施設・組織の体制づくりの7つの大項目で構成された。開発した質指標はベストプラクティスを示すものと考えられ、高齢者ケアの質向上に役立つことが示唆された。
著者
豊田 二美枝 前川 眞見子
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

1. 精子細胞膜におけるZP3受容体の局在:マウス卵の透明帯構成糖蛋白質ZP3は同種精子の認識、付着、先体反応の誘発に重要である。ZP3受容体の精子細胞膜上の分布を調べるために、単離ZP3を金コロイド標識し、表面レプリカ法で観察した結果、ZP3受容体は精子先体部の辺縁を被う細胞膜表面に三日月状に分布することが明かになった。2. マウス精子の56kDa蛋白質sp56の局在、分子形態、精子形成中の動態。(1), sp56の精子表面における局在:sp56はZP3と特異的親和性をもち、1.のZP3受容体と同じ局在を示すことから、ZP3受容体としての条件を満たしている。(2), sp56の分子形態:sp56は8量体を形成するが、シャドウィング法により、四葉のクローバー状に観察され、2分子づつがより緊密な関係にあることが示された。(3), sp56の精子形成中の動態:免疫組織化学的にsp56はゴルジ期には点状、頭帽期にはベレー帽状、先体胞期には髷状、成熟期には三日月状に分布し、常に精子細胞に局在していた。これはsp56が精子自身の産物であることを示している。3. Aquaporin7(AQP7)の精子形成中の動態と精子の小形化への関与:精子が小形であることは受精時の透明帯通過に不可欠である。精子形成末期に起こる精子細胞の体積減少は、大部分が水の消失により説明される。これは精子細胞が高張な精細管内腔液に曝露される時期とも一致している。AQP7は26kDaの膜貫通性蛋白質で,水Channel分子とアミノ酸配列の相同性が高く、強制発現で浸透圧による水の透過性が上昇する。ラット精巣でAQP7を免疫組織化学的に調べたところ、AQP7は先体胞期に出現し、残余細胞質とそれを被う細胞膜に強く発現していた。この結果は、細胞内からの水の流出過程にAQP7が水Channelとして機能し、精子細胞の急激な体積減少に寄与することを示唆する。
著者
長田 謙一 木下 直之 水沢 勉 五十殿 利治 ジャクリーヌ ベルント 長谷川 祐子 長谷川 裕子
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

研究は,各研究分担者が,テーマの重要なアスペクトを分担して追及し,毎年四度ずつの研究例会を重ねて発表討議を重ね,報告論文集等に成果を発表するという仕方で進められた。その結果,ご開帳から東京国立近代美術館誕生にいたる日本における美術館成立過程をたどる形で,<美術>の確立とその展示空間の成立過程を,次の6つのアスペクトに則してあきらかにできた。(括弧内は,報告論集等におけるそのアスペクトに関する議論部分の執筆者の名である。)(1)展示空間の近代と前近代の関係から(木下直之) ; (2)博物館から近代美術館へ(横山勝彦) ; (3)「明治対象名作美術展覧会」と「日本近代美術」の成立の問題から(五十殿利治) ; (4)近代日本における抽象表現の萌芽との関係で(水沢勉) ; (5)国立近代美術館の誕生(蔵屋美香) ; (6)美術館理念および民芸運動との関係で(長田謙一)。さらに、日本を中心として,美術展時空間の現代的変容を次の6つのアスペクトから明らかにした。(1)共同体との関係で(神野真吾) ; (2)彫刻概念の拡張との関係で(小泉晋弥) ; (3)舞台との関係で(木村理恵子) ; (4)マンガを中心とするポップ・カルチャーとの関係で(ジャクリーヌ・ベルント) ; (5)21世紀の新しい美術館像との関係で(長谷川祐子) ; (6)万国博覧会との関係で(吉見俊也)。こうして所期の目的を達成した結果,特に,1930年代から50年代にかけての日本の近代美術館成立過程のさらに詳細な調査・研究および,1980年代の美術概念の大きな変貌とのかかわりにおける美術展時空間の変容に関する一層グローバルな視野にたった研究という、2方向で、多くの研究課題が浮上することとなった。
著者
鴻野 わか菜
出版者
千葉大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究では,20世紀ロシアにおける文学と文化(主に映画と美術)の相関性を例示し,分析することを目的として,ソ連地下芸術の一派であるモスクワ・コンセプチュアリズム美術(イリヤ・カバコフ),20世紀初頭のロシア象徴主義文学(アンドレイ・ベールイ),現代映画,現代詩について,文化史的な観点から分析を行った。研究成果の一部は,日本語とロシア語で,国内外の学術誌,書籍,研究会等で発表された。
著者
西尾 文彦 近藤 昭彦 中山 雅茂
出版者
千葉大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2004

寒冷な大気状態で降る雨や霧雨(着氷性降水)が付着凍結する雨氷現象は、森林被害や構造物・送電設備の倒壊被害を発生させる。本研究では、日本における着氷性降水の気象学的および気候学的な特徴の解明を目的として、(1)気候学的な特徴の把握(総観規模の特徴)、(2)発生条件の形成過程の解明(局地規模の特徴)、(3)大気の熱力学的構造の解析(雲物理規模の特徴)の観点から解析と研究を行った。そして、着氷性降水の発生予測手法を提案し、地上降水種(降雪・雨氷・凍雨・雨等)の地域分布の予測手法の可能性を示した。(1)では、中部地方以北の内陸山間部と関東地方以北の太平洋側平野部で着氷性降水の発生率が高く、着氷性降水の発生に関する季節変化と経年変化、地上気圧配置の特徴について示した。(2)では局地解析より、内陸山間部では盆地地形による寒気滞留が発生気象条件の形成に寄与し弱風下で発生し、太平洋側平野部では内陸からの局地的な寒気移流が関与して風を伴って発生するのが特徴である。この違いにより、太平洋側平野部では雨氷表面における負の熱フラックスが大きく、雨氷が発達しやすい大気状態にある。(3)では、熱力学的な理論計算により降雪粒子の融解条件と雨滴の凍結条件を求め、これと地上の露点温度の条件から着氷性降水の発生を予測する方法を提案した。推定された地上降水種の地域分布は、関東平野の事例における実際の降水種の地域分布に良く一致した。本研究では、着氷性降水の現象解明から発展して予測手法へ導く極めて独創性のある研究成果であると考えています。
著者
金子 克美 加納 博文 東郷 秀雄 小西 健久 大場 友則 田中 秀樹 石井 千明
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2003

単層カーボンナノチューブ(SWCNT)、単層カーボンナノホーン(SWCNH)、ナノ細孔性配位高分子(MOF)の壁の柔らかさの特徴とそれら物質のナノ構造へのクリーンエネルギー貯蔵について研究した。上記物質以外のナノ細孔性カーボンも含めて超臨界水素吸着性を総合すると、室温での吸着量は1wt.%以下であるが、77K程度になると10wt.%程度のナノ構造炭素があること、吸着水素の密度は20Kでの液体水素密度に近いものもあることを明らかにした。硝酸と硫酸の混酸処理によりSWCNTのバンドル構造を制御すると0.7nm以下のウルトラミクロ孔が増え、水素吸着量がほぼ2倍にまで増加することを見出した。SWCNTについてはアルコールを吸着すると、チューブの同心方向の振動(RBM)が大きな影響をうけラマンバンドが高波数側にずれること、分子吸着がその振動に与える圧力効果は約1万気圧相当であることを発見した。モデルケースとして窒素分子の場合にナノスケールの曲率の符号が単分子層吸着構造にどのような影響を与えるかを検討し、曲率が負である内側チューブ表面上の窒素単分子層は、曲率が正である外側チューブ上の単分子層よりも長距離秩序性が優れていることを明らかにした。SWCNHのナノ細孔が電荷貯蔵能力に優れており、構造制御の仕方によってはスパーキャパシターとして有望であることが分かった。また、水素と重水素は古典的には同じ大きさであるが、分子量が小さいために低温では量子的振る舞いにより、重い重水素のほうが小さくなる。このために、40K程度では重水素の吸着量が5倍程度大きくなるMOFを見出し、その理論的根拠も示した。MOFについて2段階ゲート吸着を示す化合物を発見した。
著者
山崎 文雄 丸山 喜久
出版者
千葉大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

本研究の目的は,反発度法(シュミットハンマー)によるコンクリート強度の非破壊計測,常時微動観測による地盤卓越周期の計測,および壁・柱の量による建物剛性の違いを常時微動観測による建物固有周期で推定し,安価で短時間に耐震性能を把握する方法を開発することである。これまでに,常時微動観測によって地盤の卓越周期を推定し,それらの観測結果と余震記録(強震と弱震)を用いて本震の応答スペクトル,計測震度を推定する方法を提案し,その推定精度を確認した。今年度は,広島県内の鉄筋コンクリート造学校校舎2棟を対象に,常時微動観測と数値モデルを用いた固有値解析によって,耐震補強前後での固有周期の変化を明らかにした。表層地盤と建物の振動特性を考慮して,耐震補強効果を確認するため,前後の固有周期の変化に着目して耐震補強前後で常時微動観測を実施した。その結果,耐震補強により固有周期の変化があり,常時微動と数値解析のいずれからも同様の値が示された。観測を行った2つの建物は,柱とそれにとりつく壁の間にスリットを入れ靭性の向上と,鉄骨ブレースやRCフレームを増設することにより建物の剛性の向上を目的としている。常時微動観測から靭性の向上について把握することは困難であるが,剛性の上昇の程度に関しては固有周期の変化から推測が可能である。従って常時微動観測をこれまでの耐震診断や数値解析と併用することで,耐震改修の効果を精度よく評価できるものと考える。
著者
岩崎 弥生 張 平平 浮ヶ谷 幸代
出版者
千葉大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

本研究は、精神保健医療福祉資源の乏しい地域におけるメンタルヘルスの関連要因を、個人的資源および社会文化的資源の視点から明らかにして、資源の乏しい地域におけるメンタルヘルス支援の開発を検討したものである。メンタルヘルスの関連要因として、身体的健康状態、対処スキル、農業生産性、地域の世代内・世代間交流、共同体の信頼・結束などが示され、メンタルヘルス支援の開発において、コーピングスキルや地域の世代内・世代間交流などを活用・強化する対象者との協働による対話型のアプローチの重要性が示唆された。