著者
吉村 博幸
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

近年,各人の生体情報を利用した個人認証システムは,パソコンやスマートフォン等,我々の身の回りの情報機器や携帯端末等で多く使用されている。しかし,各人の生体情報は一度外に情報が漏れてしまうと取り換えることができないため,暗号化や加工などの手法でテンプレートを作成して保存し認証処理を行うことが望ましい。本研究では,指紋情報の加工を安全に行うため,非整数次フーリエ変換を用いた指紋テンプレート作成方法を種々提案し,認証精度を最も高くするための変換次数などの条件を明らかにした。またこの処理を高速かつ高精度に行うため,レーザ光やレンズを用いた光情報処理による手法について提案した。
著者
新見 將泰 中島 祥夫 坂本 尚志 遊座 潤 伊藤 宏文 三浦 巧 鈴木 晴彦
出版者
千葉大学
雑誌
千葉医学雑誌 (ISSN:03035476)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.97-104, 1994

近年,運動関連脳電位については手指の単純な屈伸運動に関する詳細な研究はあるが,発声に関する報告は少ない。本研究では,ピッチ変化と母音の変化における発声関連脳電位の変化を等電位図法と双極子追跡法(頭部均一媒質による)を用いて解析することを目的とした。18-35歳の健康な男女10名(右利き)を対象とし,高低数種類のピッチで母音を自己のペースで発声させた。脳波は頭皮上においた21個の表面電極より導出した。喉頭前面皮膚上においた加速度計波形の立ち上がりをトリガーとして用い,発声前2.5s,発声開始後2.5sの脳波を加算平均し,等電位図の作成と双極子追跡法により電源位置の推定計算を行い,被験者のMRI画像を用いて電源位置を検討した。発声に約1200ms先行して両側の中側頭部に緩徐な陰性電位が認められた。これは正常のヒト発声時の大脳皮質の準備状態を反映する発声関連脳電位と考えられた。この陰性電位は,分布範囲,強度とも左半球優位の場合が多かった。また発声のピッチを高く変化した場合には,右側の振幅の変化が,より大きくなる傾向があった。一般にヒトの発声において言語中枢は(左)優位半球に広く存在すること,発声周波数(ピッチ)の変化は(右)劣位半球の関与が大きいことが知られている。上記の結果はこの説に一致すると考えられた。発声に先行する陰性電位の電源部位は双極子追跡法により両側の中心前回下部付近に限局して分布した。発声のピッチや母音を変えても電源位置に変化は認められなかった。
著者
沖津 進 高橋 啓二 池竹 則夫
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学園芸学部学術報告 (ISSN:00693227)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.149-155, 1985-12-25
被引用文献数
1

東京都西郊の多摩ニュータウン付近で,落葉広葉樹二次林中のコナラの種子生産を,16本を伐倒し,着果種子を直接数えることによって調査した.1.伐倒木のD. B. H.は8cmから37cmで調査地付近の林冠構成木のほぼ最小から最大までを含んでいた.これらの総健全果数はゼロから878個におよんだ.2.総健全果数は個体ごとに大きく異なり,また,D. B. H.,幹長,樹齢,樹冠投影面積とは明瞭な相関関係は認められなかった.樹冠投影面積1m^2当りの着果数はゼロから54.2個であったが,同じく個体間の差異は大きかった.3.個体ごとの総健全果数は年平均直径成長と大まかながら相関関係が認められ,直径成長の良い個体ほど着果数が多くなる傾向がある.4.枝ごとの着果も枝ごとに差異がみられたが,相対枝順位と枝直径との組み合わせである程度の傾向がみられた:同一順位の枝では太い枝のほうが着果が良かった;直径8cm以下の枝では同程度の直径の枝の場合上位の枝のほうが着果が良かった;直径8cm以上の大枝ではむしろ下位の枝のほうが着果が良くなる傾向にあった.5.枝方位別では南や西向きのものが,北や東向きのものに比べてやや着果が良かった.6.以上のようにコナラ種子生産は個体間や同一個体の枝間で大きく異なるため,小数の種子トラップからの種子生産量の推定は危険であると考えられる.
著者
浜田 伸子
出版者
千葉大学
雑誌
語文論叢 (ISSN:03857980)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.20-34, 1972-03-01
著者
長澤 成次 浅野 かおる
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究の目的は、再編がすすむ日本の公民館と韓国の住民自治センターの動向と学習を通しての住民の自治能力形成に向けた今日的課題を明らかにすることである。3年間の調査研究を通して明らかになったことは、(1)邑・面・洞という住民に身近な地域を対象にしている住民自治センターの各種事業における学習・教育機能が地域の住民自治を作り出していること、(2)韓国における地方行政体制改編を背景に、名称変更や洞の統廃合による住民自治センターの再編が進行しること、(3)事例研究を行った釜山市海雲台区では、パンソン2洞住民自治会と地域NGO組織・ヒマンセサンのパートナーシップと重層的な学習活動が住民自治によるまちづくりを生み出していること、である。
著者
中原 孫吉 野間 豊
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学園芸学部学術報告 (ISSN:00693227)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.93-98, 1972-12-25

わが国の果樹園は風衡地の傾斜地や砂丘地に植栽されている場合が少くないので,その防風施設の1資料として熱川暖地農場の風衡地の早生温州宮川系34年生の地上1m高の直径1.2cmの側枝に止め金を付けその水平面内の動揺を変位計で測り,昭和46年7月23日の記録をもとにして振動の幅やその周期を測定し第2表および第9,10図に示したが,強風時の動揺の振幅は弱風時のそれに対比すると劣ることは当然であり,地上1m高の側枝さえ約15cm位の幅でゆれるので上梢部ではさらに大きく振動するものと思われ,その結果着生した果実の動揺も大きく互いの衝撃によって損傷することは当然の結果と思われるが,その割合は風上側に多く,風下側に少いことが立証されたわけである.われわれは風衡地の果樹園で防風施設が当然必要なことはいうまでもないが,その一資料の立証ができるものと思われる.
著者
加茂 英臣
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

古代ギリシア哲学の中心概念のひとつ、行為を導く知〈フロネーシス:思慮・賢慮〉がどういうものであるかを、プラトンとアリストテレスとの対比を通じて浮き彫りにすることができた。その一番重要な局面を挙げれば、まずはそれが〈正義〉の実現を目指す知であるということにある。そしてその目指す〈正義〉とはそれ自体として意味のある価値であり、他のなにかほかのものに役立つから意味があるものなのではない。〈フロネーシス〉は自体的価値を目指し、功利主義的行動原理(プルーデンス)とは背反するものである
著者
島 正之
出版者
千葉大学
雑誌
千葉医学雑誌 (ISSN:03035476)
巻号頁・発行日
vol.81, no.1, pp.1-9, 2005-02-01
参考文献数
41

わが国では硫黄酸化物による大気汚染は改善されたが,自動車交通量の増加に伴い,二酸化窒素や浮遊粒子状物質による大気汚染が問題となっている。とりわけ交通量の多い大都市部の幹線道路沿道部における大気汚染物質の濃度は高く,住民の健康に及ぼす影響が憂慮されている。われわれが千葉県で行った疫学研究では,学童の気管支喘息症状の有症率及び発症率は幹線道路沿道部において高かった。アレルギー等の多くの関連要因の影響を調整しても沿道部における喘息の発症率は統計学的に有意に高く,大気汚染が学童の喘息症状の発症に関与することが示唆された。近年,欧米諸国においても道路に近いほど呼吸器疾患患者が多いこと,大気汚染物質が喘息や気管支炎症状を増悪させることが数多く報告されている。幹線道路の沿道部に多くの人々が居住しているわが国にとって,自動車排出ガスによる大気汚染への対策は早急に取り組むべき喫緊の課題であり,自動車排出ガスと健康影響との因果関係を解明するために大規模な疫学研究を実施することが必要である。
著者
井上 孝夫
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

日本の海岸は、だれもが利用可能な開かれた空間(コモンズ)である。そのような性格を持つ海岸について、利用しながら保全する方法を探究した。具体的なフィールドとして、千葉県内の主要な海水浴場を事例とした。調査の結果、営利に偏った利用の制限は定着したが、利用者の利便施設の設置については不十分であり、停滞していることがはっきりとした。公益性を備えた海の家の設置や、利用を第一に考えた防護施設の整備が強く求められている。
著者
丸山 敦史 浅野 志保 菊池 眞夫
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学園芸学部学術報告 (ISSN:00693227)
巻号頁・発行日
vol.58, pp.59-66, 2004-03-31
被引用文献数
4

文部科学省が総合学習を導入する以前から農業体験学習は練馬区の小学校のカリキュラムに広く取り入れられてきた.本研究で調査した総ての小学校で,農業体験学習担当の先生は,自然とのふれあい,農業や食料生産の大切さ,労働の大切さなどを知るというこの体験学習の諸目的は達成されていると評価している.しかし同時に,適切な知識の不足,十分な大きさの農場を確保することの難しさ,担当教員に過重な負担を与える等の問題点の存在も指摘された.小学校の児童から得られたデータを用いて行われたプロビット分析の結果も,自然や農業の大切さの自覚等の面で農業体験学習が児童に良い影響を与えていることを明らかにした.しかし,そのようなプラスの効果が男子児童をバイパスしている傾向も見出された.
著者
梅野 太輔
出版者
千葉大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では,ランダム変異によって多様化したテルペン酵素の変異体プールの中から,独自技術を用いたハイスループットスクリーニングによって活性を保持した変異体を濃縮・回収する実験を多世代にわたって実施することを目標としている。世代を経るにつれ,テルペン酵素の反応特異性が変化し,その変異体の機能・配列相関をみることによって,このクラスの酵素の進化能を試すとともに,その反応特異性にかかわる部位の網羅的な洗い出しを目指した。最初のアイデアは,カロテノイド合成経路との基質競合によってテルペン酵素の機能保持をコロニー色によって可視化するというシステムであった。これは手法として確立することができ,それをもとに複数の酵素の活性進化工学が可能となった。この手法をもって反応ポケットに集中的に変異を導入し,活性を保持しつつも配列の異なる種々のテルペン酵素変異体を得ることができた。一方,更なるスループットの向上を目指し,蛍光タンパク質と薬剤耐性遺伝子の癒合タンパク質を,更にテルペン酵素に融合する実験を行った。この手法を用いることで,基質消費ではなくフォールディング(タンパク質構造)の保持に対して超高速に淘汰を与えることができるようになった。この技術により,テルペン酵素の配列発散速度を飛躍的に高めることができると期待される。
著者
竹内 延夫
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

浮遊粒子状物質(SPM)は地球環境の熱収支、大気汚染に影響し、その組成はディーゼルエンジン等の元素状炭素(EC)の寄与の同定などに関連し、重要である。都市大気の例として千葉のエアロゾルを捕集分析し、ECの混入の割合が微小成分(2μm以下)で25%、粗大成分(2μm以上)で9%と、以上に大きいことを確かめた(特に冬季に多い)(Yabuki, et al., CLEO 2003)。ECが多いと吸収の割合が大きくなり,後方散乱対する消散係数(吸収+散乱)の割合S_1(ライダー比)が大きくなる。都市性のエアロゾルモデルを仮定し、2波長での同時観測ライダーデータから、解析により求めた消散係数/後方散乱係数比と消散係数の高度分布プロファイルを実測ライダーデータから,他の補助データ無しで求める手法を開発した。これは理論計算に基づいて求めたパラメータと実測データの隣接する高度間の関係がエアロゾルモデルによる波長間の関係を満たす条件から、各高度でのパラメータが求められる(Yabuki, et al, JJAP,2003)。エアロゾルのモデルを仮定し、消散係数を用いた光学的な濃度分布から重量濃度分布への変換係数が求められると、各高度におけるエアロゾル濃度分布の導出が可能となる。実大気中では湿度によりエアロゾルの状態が変化するので地上で測定した湿度を用いてエアロゾルの膨張・光学的性質の湿度による変化を考慮し、連続観測ライダーの値と地上における観測値の変化の相関関係を取ることによって大気の境界層の中ではエアロゾルの混合が短時間(1時間より遥かに短い時間)でおこり、532nmにおける変換係数が0.08〜0.1(g/m^3)/(m^<-1>)であることが求められた。これにより、湿度が分ると、都市域上空の境界層内のエアロゾル量の空間分布が求められることが可能となった(Nofel, et al, AE, 2004)。
著者
増田 絹子 岩崎 寛 藤井 英二郎
出版者
千葉大学
雑誌
食と緑の科学 : HortResearch (ISSN:18808824)
巻号頁・発行日
vol.61, pp.27-40, 2007-03-31

本研究では,日本でみられる多様な植物との関わりについて検討するために,植物由来の色名について,その意味や成立背景に基づいて把握し,そして戦前から近年におけるこれらの色名の推移を調査し,植物との関わりが色名の推移にどう反映されているのかを分析した.日本の植物由来色名は染料植物由来色名に始まり,植物様態由来色名,染法用語由来色名,欧米起源の植物由来色名で構成されることが確認された.染料植物由来色名については,アイ,クレナイ以外の植物に由来する染めの程度を示す色名や重ね染めを意味する色名,染料植物の婉曲表現の色名が衰退していたことから,植物を染料として利用する機会やこれらの染め色を目にする機会が減少していることが示唆された。植物様態由来色名については,微妙な色の差異を示し,より細かい季節を象徴する色名が衰退していたことや,植物の俗称や別名の色名が衰退していたことから,身近な植物への関心の低下や身近な植物の減少が示唆された.欧米起源の植物由来色名においては,盛んに交替する性質があり,植物名から色がイメージされるまで定着しているものが少なかったことから,色名の対象となった植物の存在が軽視されていることが示唆された.
著者
湯浅 美千代 野口 美和子 桑田 美代子 鈴木 智子
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学看護学部紀要 (ISSN:03877272)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.9-16, 2003-03
被引用文献数
2

本研究の目的は,痴呆症状を有する患者が本来持っている能力を見出す方法を,実践者の経験から明らかにすることである.研究方法は,ある老人病院において痴呆患者のケアを提供している実践者5名(看護師3名を含む)へのインタビューであり,その内容を質的に分析した.その結果,以下の知見が得られた.1.ケアによって,痴呆患者が本来持っている能力の発揮を妨げる場合がある.2.痴呆患者が本来持っている能力を見出す方法として,『見方を変えること』『患者が安心できること』『患者の内面を理解し,その気持ちや思いに気づくこと』『患者のもつ可能性を探ること』があげられ,またその具体的な方法が得られた.3.痴呆患者が本来持っている能力を見出すために基盤となるケア姿勢が必要である.
著者
上村 三郎 濱田 浩美
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 (ISSN:13482084)
巻号頁・発行日
vol.53, pp.389-403, 2005-02-28

カンボジアとベトナムは世界でも有数の地雷汚染国であり,地雷や不発弾の処理が国家の最重要課題となっている。また,両国政府は地雷除去専門機関を設置し,地雷や不発弾の分布に関する調査や,探知活動,除去および処理活動を実施しているが,地雷や不発弾の絶対的な数量が多いことから長期にわたる活動が必要となっている。本調査は,当初独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)がカンボジアとベトナムにおける地雷をはじめとする地中埋設物の探査と除去方法および除去手順等に関する現地調査を実施し,両国に適した地雷探知機と地雷除去機を開発するために必要な基礎的資料の提供を目的として実施されたものである。しかしながらその後,調査で収集してきた資料を再検討した結果,日本ではあまり知られる事の無い事実が判明した。本論文においては,各種資料を再検討した上で,カンボジアとベトナムの地雷除去に関する現状と課題の報告を目的としたものである。
著者
本條 毅
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

都市気候の形成による環境の悪化に対して、有効な対策は非常に少ない。特に日本の場合、夏期の冷房による電力消費の増大とそれによる気温の上昇は、深刻な都市問題の一つであり、地球温暖化の原因の一つでもある。都市内の緑地は、植物の蒸発散による潜熱放出が大きいため、高温乾燥化を緩和する機能を持つと考えられ、緑地の存在は、いわば、パッシブな冷房装置として、都市の高温化に対する数少ない対策の一つである。保水性のよい材質で、道路や壁面を覆うのも同等の効果が望まれる。都市緑地や保水性材料舗装面(以下まとめて緑地とよぶ)の微気象の測定は、気温、湿度分布の測定、熱収支の測定などが多く行われており、緑地などが低温であることや潜熱輸送量が大きいことが示されてきたが、緑地の影響がどの程度の範囲まで及ぶかや、緑地による冷却効果がどの程度などの、都市計画に必要な知識については、まだ不足している部分が多い。本研究では、従来の地上部を中心とした測定に加えて、従来測定例の少ない地下部の温度分布にも着目した。地温は深ければ深いほど、長期の地表面上温度を平均、平滑化した値となるため、長期の地上部での気温の影響を地温分布測定からある程度推定することが可能である。長期的な緑地による冷却効果も、緑地内外の地温分布から推定できる可能性がある。新宿御苑を対象として、緑地内外での気温、地温分布、風速、熱収支などの測定を行った。このような測定をもとに、都市緑地での地温分布の実態や、熱収支の推定を行った。
著者
横田 ちゑ 長田 謙一 三宅 晶子 忽那 敬三 田中 健夫 山内 正平 内村 博信
出版者
千葉大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1990

本研究においては特に次のテ-マが取り扱われたーー1.浦安における住宅の変化と近代化 2.ベルリンの斉藤佳三・1923 3.北海道と関西の和洋折衷建築 4.日本のダダイスト達 5.イデオロギ-としての技術 6.ベルリンの日本未来派 7.柳瀬正夢ーー未来派からプロレタリア美術へ 8.ブル-ノ・タウトにおけるユ-トピア幻想と革命 9.大船田園都市株式会社の新鎌倉住宅地 10.ト-マス・マンの政治論 1918ーー1923 11.映画『新しき士』におけるファシズム思想 12.1920年代日本におけるジャズ・イメ-ジ 13.近代社会における自己認識と映画ーージガ・ヴェルトフをめぐって 14.近代文化の問題としての二分化これら具体的テ-マの研究とともに、近代化の概念そのものについての議論がなされたーー日本においては、19世紀半ばの西欧受容以前に、既に様々な領域で独自の発展がなされていた(都市文化の成立・合理化・産業化)。これらの、そしてまたその後の状況を考えるなら、まさにそこで進行しつつあったプロセスが、極めて合目的的・功利的に西欧の技術とモノを受容したと言える。本来西欧における近代化は、歴史的にVerburgerlichungーーそれは市民・個人に基礎を置くーーの過程をも内包していた。しかし文化構造の転換とともに、近代化のプロセスはその重心を個人から大衆へと移してきた。ここにおいて、市民や個人の思想なしに都市化・合理化・産業化を加速度的に進展させていくプロセスを、より正確に規定する必要が出て来る。特に、このプロセスは日本においても西欧においても、あるいはむしろ日本においてよりドラスティックに進行しつつあるだけになおさらである。そしてこのプロセスを、モノから機能や情報が抽出されていく過程として促えるなら、それは、すべてが商品になっていき、情報と資本のネットワ-クに組み入れられていくポストモダンへと通じていると言えよう。
著者
柳井 重人
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究で,千葉市を対象に,(1)地区の環境特性に対応させた個別的なヒートアイランド対策のあり方,(2)ヒートアイランドが住民の屋外活動での快適感や健康に及ぼす影響,(3)ヒートアイランドが環境意識や生活行動に及ぼす影響を把握することを目的に実施した。第一に,土地利用や緑地分布等の環境特性と移動観測による気温分布に係わるデータをGIS上でデータベース化し,多変量解析の手法を用いて地区の類型化を行った。その結果,調査対象地域は7つに類型化され,それぞれの類型の地理的な分布はもとより,環境特性と気温分布との関連性に基づいた,地区スケールでのヒートアイランドの個別対策の方向性が示唆された。第二に,住宅地の街路や公園内の温熱環境を,不快指数(DI),SET*,WBGTの3種の指標に基づいて検討した。その結果,夏季日中の屋外空間は,総じて不快であり,熱中症予防の観点からは運動にも適していないこと,公園内の樹林地についてのみ夏服で胡座安静の状態であれば,不快のレベルには達しないという状況にあることなどが把握され,地域住民の野外活動において,蒸し暑さのような不快感や熱中症予防の面でのリスクが存在すること,緑陰の配置によりそれらが緩和される可能性があることが示唆された。第三に,臨海部よりの市街地中心部に位置し日中から夜間にかけてヒートアイランドが形成される地区と,郊外部に位置し夜間や早朝に低温域が形成される地区で住民意識調査を実施した。その結果,両地区間で,夏季の気象に係わる認識の程度,クーラーの使用時間,屋外行動の頻度などの差異が把握されたほか,ヒートアイランド対策に関しては,一般に,公園や街路樹の整備,木陰の創出,郊外部の樹林地の保全など,緑地の整備や保全を中心に認識が強いことが把握された。