著者
直田 健 今田 泰嗣 小宮 成義
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

クリーンで遠隔操作可能な有機流体の流動性制御や物質配列による機能発現を目的として、メカノストレスを外部刺激として用いる洗濯ばさみ型パラジウムおよび白金錯体の分子集合の精密制御法の開拓を行った。環状二核パラジウム錯体を用いる分子集合において、超音波感受性のコントロール方法を検討し、溶媒、超音波照射時間及び構造異性体の添加等の因子により、ゲル化速度や構造のモルフォロジーを制御できることを明らかにした。さらに、対応する白金錯体の超音波応答性分子集合による発光増大現象において、超音波照射時間に依存する発光強度制御に成功した。
著者
森川 良忠 白井 光雲 濱田 幾太郎 柳澤 将
出版者
大阪大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2005

第一原理分子動力学法プログラムSTATE (Simulation Tool for Atom TEchnology)およびOsaka-2K を開発・拡張し、それらを用いて、半導体テクノロジーやエネルギー、環境問題等で重要となる表面・界面や触媒、半導体不純物、ナノクラスター等の構造や物性を調べ、その物理的背景を明らかにするとともに、新たな物質を設計する指針を与えるための研究を行った。
著者
花村 周寛
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究で実施した海外調査事例を整理し、そこから都市の形成と個人の嗜好性についての関連を整理するとともに、大阪大学コミュニケーションデザイン・センターが、大阪の中心地中之島で実施した中之島コミュニケーションカフェについて、参与観察を行った。同時に調査で訪れた都市を比較考察している。ラスベガスのように、資本主義経済が発展していく段階で形成された都市が未だに都市景観の骨格がマクロな構造に支配されているのに比べて、サンタクルーズなどで見られるように物語復興として個人同士の対話をベースに町づくりが進められた事例や、ミュンスター、カッセル、ヴェネチアなどでもアートを媒介にした町づくりが見られるが、個人的な表現や個人同士の対話が都市を形成している事例が今後大阪で展開される事は追って調査する必要があることが明らかになった。アメリカや日本、欧州で多く見られるように既に都市の成熟期に入っている地域ではそうした個人の表現行為や対話が有効化し得るかもしれないことが明らかになってきたが、一方でアジアを中心にしたまだ開発途上の都市では国家レベルで行われる都市開発が多く見られ、その結果が都市景観の形成についてどのような影響を及ぼすのかということは、グローバルとローカルのスタンダードを探る本研究においては重要な視点であり、アジアの都市開発事例を現地調査し、その結果を研究成果に反映させるべく整理中である。
著者
北岡 良雄 三宅 和正 木村 剛 木須 孝幸 伊豫 彰 秋光 純 大隅 寛幸 常盤 和靖 大貫 惇睦 八島 光晴 椋田 秀和
出版者
大阪大学
雑誌
特別推進研究
巻号頁・発行日
2008

(1)多層型銅酸化物高温超伝導物質の系統的な研究から,高温超伝導現象の起源は反強磁性磁気秩序を生み出す超交換相互作用に起因することを明らかにし,発見以来25年経過してもなお混沌としていた銅酸化物高温超伝導現象を解明(2)Feニクタイド系新高温超伝導体が超伝導状態は等方的なギャップを有するマルチギャップ符号反転S±波モデルによって説明できることを示した(3)六方晶フェライトSr_3Co_2Fe_24O_41において電気磁気効果の室温弱磁場動作を世界で初めて実現(4)価数転移の量子臨界点が磁場により誘起されることを理論的に示した.以上の多彩な系において「新しい量子物質相の発見や現象を解明.
著者
澤田 健二郎
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2007

卵巣癌腹膜播種には、上皮細胞間の接着因子であるE-cadherinの発現抑制によって誘導されるIntegrin α5が重要な役割を果たしており、Integrin α5の分子標的治療は卵巣癌腹膜播種の抑制に有用である可能性を証明した。また、妊娠初期において絨毛細胞が母体子宮筋層内に浸潤する際に、低酸素刺激によるE-Cadherinの発現消失から誘導されるIntegrin α5の発現が重要な役割を果たしていることを臨床胎盤検体のデータを併せて証明した。
著者
村上 秀明
出版者
大阪大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1998

能の機能局在論による脳機能マッピングが、各分野で盛んに行われている。MRスキャナを用いて脳機能を画像化する方法が近年普及し、fMRIとして広く能科学の分野で利用されている。これらを用いて特殊感覚についての脳機能マッピングが行われており、1991年に初めて視覚野での機能画像を取得することに成功したが、ヒトにおける味覚刺激によるfMRIでの大脳皮質野の賦活領域に関する研究はこれまでほとんどなされておらず、味覚野の機能に関しては知られていない。そこで今回我々はfMRIを用いて、大脳皮質における味覚野を同定する可能性について検討することを目的とした。対象は、神経学的に異常の認められない右利きボランティア5名とした。撮像シーケンスは、2次元のシングルショットのEPI法を使用した。撮像範囲は、側脳室を中心に前頭洞を避けるように6スライス設定し、賦活時と安静時をそれぞれ20回ずつ撮像した。賦活領域を解剖学的位置と比較するため、スピンエコー法を用いたT1強調画像で、本法と同部位の撮像を行った。それぞれのデータをMVOXへ転送し、三次元化し重ね合わせた。味覚刺激は、4%塩酸キニーネを使用した。被験者の全員において、左右いずれかの島及び弁蓋部付近に賦活領域が認められた。また、同部位では、安静時より賦活時は信号強度が平均15.5%上昇していた。賦活領域は5人全てで有意差が認められ、5人の信号強度の変化率の平均6%であった。今回の研究により臨床機を用いたfMRIによる味覚野の同定の可能性が示唆された。また、賦活部位を三次元化することで、より明瞭に把握することが可能であった。
著者
北岡 良雄 石田 憲二
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1997

2本鎖梯子型量子スピン系のSrCu_2O_3について非磁性不純物(La-4%,5%,Zn-1%,3%)、磁性不純物(Ni,l%,2%,3%)を添加した系、ホールがドープされたSr_<14-x>Ca_xCu_<24>O_<41-y>系についてのCu-NQR、NMR測定を行い、梯子格子系の量子コヒーレンスの効果によって特異な磁気秩序が発現することを明らかにした。平成9年度の成果1. SrCu_2O_3にZnおよびNiを添加した系では、共通に反強磁性磁気秩序が起こることを示し、磁気モーメントの大きさは不純物近傍で空間的な分布をもつが、丁度不純物間の中間領域では0.041μB程度の比較的に均一な反強磁性自発分極をもつことを明らかにした。2. Zn添加系で反強磁性磁気秩序が起こる臨界濃度は0.5%付近であることを緩和時間の測定から明らかにした。3. L.aを添加した系(電子ドープ系)では、磁場による反強磁性分極が誘起されるが最大5%まで磁気秩序は起こらないことが明らにした。これはLaがSr位直に置換され、ラダー面のCu位置に均一に電子がドープされることに起因していることを示唆した。4. ホールがドープされたSr_<14-x>Ca_xCu_<24>O_<41>系では、すでに存在するホール濃度が少ない試料では空間的に均一な反強磁性分極が磁場によって誘起されることを見出した。平成10年度の成果1. 不純物(Zn,Ni,La,)によって誘起された異常磁性不純物によって誘起される交番磁化分極の相関長ξ_Sが不純物の種類に依らず、不純間距離とともに増大することを示した。また不純物を添加しない系のスピン一重項液体状態の相関長より極めて長いことが明かとなった。2. ホールドープ系スピンラダーの常圧での磁気秩序の同定加圧によって超伝導が発現するSr_<2.5>Ca_<11.5>Cu^<24>O_<41>は常圧下でT_N=2.2Kで磁気秩序を示すが、NMR/NQRの研究からラダー面上で0.02μ_Bの比較的に一様な大きさの自発磁気モーメントを持ち、鎖面上で最大0.5μ_Bの分布した磁気モーメントをもつ磁気秩序状態にあることを示した。梯子スピン系に不純物が添加されると低エネルギー励起(スピノン)が誘起され、その励起を媒介にして磁気秩序が発生する。一方、ホールをドープした系では多様な電子相が現れる。遍歴する場合は、超伝導が出現し、局在する場合は電荷密度状態と磁気秩序が共存する。電荷およびスピン自由度の局在と遍歴に起因して多彩な電子相があらわれることが本研究によってか明らかとなり、低次元量子スピン系の新しい研究分野の方向を切り開くことができた。
著者
田沼 幸子
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究調査は、キューバ国内外の主に30代のキューバ人男女のインタビュー映像を通じて、グローバルな世界システムと革命、労働と生きることの意義とがどのように絡み合っているのかを普遍的な問題として提示することを目的とする。個人的なインタビュー調査を通じて、世界システムが各人の生を強く規程していると同時に、その制約を越えようとした各人の決断が大きく異なる現在をもたらしたことも示された。本研究を通じて、現実を見据えたうえで可能な理想を実現するために行動することの意義をより多くのオーディエンスに示すことができるようになった。
著者
山下 光雄 室岡 義勝 小野 比佐好 林 誠 山下 光雄
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2003

マメ科植物と根粒菌との共生系を利用して、生物的窒素固定能に加えて重金属集積などの有用機能を付与し発現する共生工学基盤技術を構築し、環境浄化に応用する目的で下記の研究を行った1.共生工学基盤技術の開発:共生分子遺伝機構を解明するため、マメ科モデル植物のミヤコグサを用いて共生状態と非共生状態における遺伝子発現の違いをマクロアレー技術を用いて測定した。2.メタロチオネイン4量体遺伝子およびファイトケラチン合成酵素遺伝子の根粒バクテロイド内での発現:メタロチオネイン4量体遺伝子とアラビドプシスより分離したファイトケラチン合成遺伝子をベクターにつないでレンゲソウ根粒菌Mesorhizobium fuakuii subsp. rengeiに導入し、この組換え根粒菌をレンゲソウ種子に感染させ根粒を形成させた。インサイチュハイブリダイゼーションにより根粒バクテロイド内で両遺伝子が発現していることが観察された。3.根粒バクテロイドの輸送系の改変による植物組織への物質移動の試み:上記遺伝子を導入した組換え根粒菌は、野性株に比べて20倍のカドミウムの取り込みを示したが、この組換え菌をレンゲソウに接種して、根粒を形成させたところ、組換え根粒では野生型根粒の1.5-1.8倍のカドミウム蓄積にとどまった。これは根粒内への重金属取り込み能の不足と考えられた。そこで、金属イオンの膜透過に関与するシロイヌナズナのIRT1(iron-regulated transporter)遺伝子を取得し、上記組換え根粒菌株に組み込んだ。IRT1遺伝子を組み込んだ根粒菌はカドミウムを1.5倍近く取りこんだ。そこで、この組換え根粒菌をレンゲソウに感染させ、根粒を形成させた。4.創生レンゲソウの重金属集積能試験:B3:PCS(IRT1)を感染して根粒形成させたレンゲソウを、カドミウムを含む人工土壌で生育させ、植物組織各部位のカドミウム濃度を測定した。その結果、IRT1遺伝子発現によるカドミウム集積能には差が見られなかった。したがって、根粒内における根粒菌によるカドミウム集積の限定要因は、植物細胞によるものだと考えられた。5.土壌のファイトレメディエーション:稲田の土壌を用いて組換えレンゲソウを栽培して、カドミュウム浄化能を試験した。非組換え根粒菌を感染させたレンゲソウでは、汚染人工土壌中のカドミウム取り込み効率が約0.4%であったのに対して、MTL4およびAtPCSの2つの重金属結合遺伝子を組み込んだ根粒菌を感染させたレンゲソウは、同程度のカドミウムに汚染されたフィールド土壌中のカドミウムを約9%も吸収していた。
著者
小川 知之 亀高 惟倫 永井 敦 小川 知之
出版者
大阪大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2002

本研究では工学に登場する非整数階微分方程式の解析およびその差分化を行った。また高階微分方程式の境界値問題のグリーン関数についてソボレフ不等式の最良定数計算への応用を中心に調べ、さらにパターン形成の問題と関連して分岐解析法を整備した。得られた結果は以下の通りである。1.流体力学に登場する非整数階微分方程式であるチェン方程式において、ピューズー展開法を用いてミッタークレフラー関数解を求めた。またこれらの初期値問題は、ミッタークレフラー関数の漸近挙動を用いることにより、(非整数階微分を含まない)2階および4階常微分方程式の境界値問題で近似されることを証明した。2.地球内部のマントルの運動に関連して,球面上でのラプラス作用素の有限要素法による差分化を行い、反応拡散系でのパターン形成の数値シュミレーションを行った.この問題はレーリー・ベナール対流のパターン形成などとも関連し,分岐理論による解析法を整備した.球面上に現れたパターンの球面調和関数による分岐解析などは今後の課題である.2.弾性理論に登場する4階常微分方程式の境界値問題のグリーン関数の区間長依存性を調べた。その結果、4階特有の興味深い現象が現れることを発見、解析的に証明した。同時に2M階常微分方程式のグリーン関数があるヒルベルト空間の再生核であることを証明し、この結果をソボレフ不等式の最良定数計算に応用した。
著者
荒瀬 尚
出版者
大阪大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

マラリアの制御には宿主免疫応答が非常に重要な役割を担っている一方、マラリア原虫には様々な免疫制御機構が存在すると考えられている。一方、我々は、持続感染するヘルペスウイルス等のウイルスには抑制化レセプターを介した免疫逃避機構が存在することを明らかにしてきた。しかし、ウイルスと同様に宿主免疫機構と密接な相互作用をするマラリア原虫に同様な分子機構が存在するかどうかは明らかになっていない。そこで、本研究では、マラリア原虫による抑制化レセプターを介した新たな免疫逃避機構を追求した。その結果、マラリア原虫感染赤血球に抑制化レセプターのリガンドが発現していることが明らかになった。さらに、リガンド分子の同定を試みたところ、マラリア原虫由来の分子がリガンドであることが判明し、マラリア原虫の新たな免疫逃避機構であると考えられた。
著者
小濱 靖弘 三村 務
出版者
大阪大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1992

魚類由来ACE阻害ペプチドtuna AIの血管内皮細胞機能への作用を牛大動脈内皮細胞(BAEC)培養系を用いて解析した。アンジオテンシン11産生-BAEC培養系におけるアンジオテンシンIからIIの産生を多形核白血球(PMN)の遊走法(Boyden法)で測定したところ、tuna AIはこの系におけるアンジオテンシンII産生を抑制した。遊走、増殖-血管損傷や血管新生時に最初に起こる現象の遊走、増殖について、テフロンフェンスで接触阻害したBAEC培養系を用いて調ベた。Tuna AIは内皮細胞の遊走、増殖を増強した。また、tuna AIはBAECにおけるインターロイキンI産生およびマイトーゲン(PDGF,c-myc)のmRNAの発現量を増加し、これらの作用は遊走、増殖の増強につながる変化と考えられた。しかし、tunaAI自身は増殖因子活性及びプロテアーゼ阻害活性を示さなかった。抗血栓性- ^3H-アラキドン酸を取り込ませたBAECからのアラキドン酸及び抗血栓性PGI_2の遊離に対して作用を示さなかった。血管トーヌス-内皮細胞が産生する最も強力な血管収縮物質エンドセリンの産生を有意に抑制した。一方、弛緩物質のNOの産生に対して作用を示さなかった。血管内皮細胞に備わっている様々な生理機能の傷害ならびにそれにともなってもたらされる細胞膜等の構造破壊は動脈硬化や心筋硬塞の初期病変として注目されている。また血管平滑筋やコラーゲン繊維等の基底膜を含めた血管壁における様々な液性因子による機能調節機構が次第に明らかとなってきている。今夜、食品ペプチドの血管内皮細胞に対する作用のメカニズムの解析とともに食品の第三次機能因子としての有用性についてさらに研究を進めて行きたいと考えている。
著者
真嶋 哲朗 藤塚 守 川井 清彦 遠藤 政幸
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2005

様々な光機能性クロモフォアを修飾したDNAを用いて、DNA内の光電荷分離、電荷移動機構を明らかにし、高効率・長寿命電荷分離を実現した。さらに、光機能性DNA分子ワイヤー、光エネルギー変換などの光電変換デバイスや、高効率DNA損傷法への展開を行い、DNA光ナノサイエンスの創製を試みた。
著者
奥田 眞夫 桑原 俊也 丸山 剛郎
出版者
大阪大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1991

平成3年度、4年度に正常者と顎口腔機能異常者を対象として収集した咬合、咀嚼筋活動および咀嚼時下顎運動のそれぞれのデータを分析し、咬合異常による異常な歯牙接触と咀嚼運動の関連性を検討することにより、顎口腔機能異常の発症のメカニズムを考察した。咬合については、臼歯部におけるクロスバイトおよび平衡側干渉、前歯部のクロスバイトあるいあインターロッキングにより下顎が偏位し、顎関節内部障害や咀嚼筋における筋膜疼痛機能障害症侯群に至ったものと考えられる結果が明らかとなった。すなわち、ナソマット咬合器におけるファンクショングラフの分析結果に基づき、歯列模型で下顎運動をシュミレートすることにより、各種咬合異常に起因する機能時の歯牙接触の異常が、顎関節や咀嚼筋に与える影響が3次元的に考察できた。咀嚼筋活動については、顎口腔機能異常者では、正常者にみられるような左右側のバランスあるいは各咀嚼筋における協調性が認められず、異常な歯牙接触による下顎の偏位をコントロールしようとする補正がなされており、これは咀嚼時下顎運動経路上に筋活動量を色表示として同時描記する方法で診断可能であることを、平成5年度日本補綴歯科学会関西支部学術大会で発表した。下顎運動については、約10年間に大阪大学歯学部附属病院第一補綴科に来院した顎口腔機能異常者の咀嚼時下顎、運動の分析により、発症原因となる咬合異常の診断が可能となっているが、3次元的な下顎のトランスレーションのみならず、軸回りのロ-テーションも考慮に入れる必要性があることを、第89回および第90回日本補綴歯科学会学術大会において発表した。今後さらにこれらを統合し、より詳細な顎口腔機能異常診断システムの開発を目指すものである。
著者
小川 泉 岸本 忠史
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

二重ベータ崩壊・暗黒物質などの超稀現象探索実験を行うために必要な高感度放射線検出用シンチレータ(主としてフッ化カルシウム結晶)の開発研究を行った。結晶中に含まれる放射性不純物の低減を図るとともに、結晶の組成や物理パラメータを操作することによる高感度化(バックグラウンド低減)の可能性を探った。これらの研究の結果、不純物濃度の低減と、冷却による粒子弁別の効率化を確認し、高感度化が可能であることを示した。
著者
中村 春木 SAVINI Gianluca
出版者
大阪大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

アルツハイマー病やパーキンソン病などの神経疾患は、アミロイド繊維形成をもたらす蛋白質のミスフォールディングによって引き起こされている。アミロイド繊維は、その繊維構造の多様性を示すが分子レベルでの特徴的な構造をもち、その顕著な安定性と分解されにくい強い抵抗性を持つ。実際、アミロイド繊維は、鉄に類似した強度をもち、また構造上の類似物である絹と同様の物性を示す。この研究の目的は、この並はずれたアミロイド繊維の力学的性質について、分子レベルでの理解と整理とを行うことである。具体的には、1)GROMACSプログラムを用いて分子動力学のシミュレーション計算を実施し、そのペプチド分子の長さ、側鎖、配向等に依存したアミロイド繊維を形成するペプチドの構造形成と、ヘリックスの相対的なねじれ角について調べた。2)上記の構造モデルを用いて、異なる変形に対するアミロイド繊維の力学的特性を研究した。アミロイドを形成する短いペプチドとしてX線回折構造が既知のNNQQおよびGNNQQYの2つに対して研究を行った。これらのモデルは、5本のβ構造を持つペプチドからなる2枚のシートからなっている。構造変形をモニターした結果、アミロイド繊維は徐々にねじれがほぐれていき、最終的にβシートが完全に並置されて破壊されており、ヘリックスのねじれがアミロイド繊維の安定性と力学的な強度に寄与していることを示唆している。自由エネルギー計算からは、単一のペプチドは繊維に比べて不安定であり、アミロイド繊維がすぐに伸長することを示している。アミロイド繊維が破壊される値として極限応力0.23-0.25GPaが得られ、圧力-歪曲線の傾きからヤング率9.18GPaが得られた。これらの値は、実験誤差内の値となっている。さらに、平均して1-10分以内に10マイクロメータの長さの繊維は自発的に破壊されることが我々の計算から示唆された。
著者
高橋 京子 川瀬 雅也 東 由子 廣川 和花 宮久保 圭祐 江口 太郎 原田 和生 村田 路人
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

博物学的生薬資料並びに医療文化財に基づくプロファイル情報は、実地臨床使用の根拠を有し、伝統医療の国際化に伴う材料天然物の有効性・安全性・均一性を担保できる標準化インデックスであることを示唆した。江戸・享保期の薬種国産化政策の実践例として育種・栽培されてきた大和芍薬を対象に、網羅的元素分析(メタロミクス解析)とγ線を利用したメスバウワー効果測定法を構築し、原料生薬の品質が漢方薬(当帰芍薬散)の臨床効果に反映することを明らかにした。
著者
児玉 年央
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

腸管出血性大腸菌感染症の臨床症状では、炎症反応が低いという特徴を有する。しかしながら、その機構は全く明らかにされいない。これまでの解析結果により、この炎症抑制作用は3 型分泌装置(Type III secretion system; TTSS)依存的であり、さらに未知のエフェクターが寄与している可能性が示唆されている。本研究では、3型分泌装置依存的サイトカイン産生抑制機構に寄与するエフェクターの同定を試みた。
著者
乾 賢
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

飲食物の摂取後に下痢や嘔吐を経験すると、その飲食物の味を嫌うようになる。これを味覚嫌悪学習(conditioned taste aversion, CTA)という。この学習は味刺激を条件刺激(conditioned stimulus, CS)、内臓不快感を無条件刺激(unconditioned stimulus,US)とする連合学習である。CTAの脳内メカニズムは十分に解明されていない。近年、脳内報酬系といわれる神経系が味覚嗜好性(味のおいしさ・まずさ)に関与することが明らかになりつつある。そこで本研究では脳内報酬系の一部位である腹側淡蒼球のCTAにおける役割について検討した。平成18年度までに、サッカリン溶液(甘味)に対するCTAを獲得させたラットの腹側淡蒼球にGABAA受容体阻害薬であるbicucullineを局所注入すると、CSに対する嗜好性が嫌悪性から嗜好性へと変化し(味覚反応性テスト)、CSの摂取量が増加する(一ビン法)ことを明らかにした。そこで今年度は、動物が生得的に嫌う苦味(キニーネ溶液)をCSとして同様の手続きで実験を行った。その結果、腹側淡蒼球へのbicucullineの局所注入は苦味CSに対する嫌悪に影響を及ぼさなかった。したがって、腹側淡蒼球のGABA系はCTAの獲得による「好き」から「嫌い」への嗜好性の変化に関与するが、「嫌い」から「非常に嫌い」という変化には関与しないことが明らかとなった。
著者
萩行 正憲
出版者
大阪大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2008

テラヘルツ帯においても、可視域同様表面プラズモンポラリトンやそれに伴う電場の局在は様々な現象を引き起こす。本研究では、2次元の金属カットワイヤー配列に着目し、精度の高い試料を作製し、テラヘルツ時間領域分光測定による評価を行い、透過スペクトルと電場集中の詳細を明らかにするとともに、電場増強に伴う2次高調波の発生実験を行うことが研究内容である。まず、2次元のワイヤー配列、並びに、ワイヤーに切れ目を導入した試料(カットワイヤー配列)を市販のプリンタとメタルカラーインクを用いて作製し、テラヘルツ透過特性を測定した。得られた振幅透過率と位相スペクトルから有効複素誘電率と有効複素電気伝導度を導出した結果、ワイヤー配列はドルーデモデルに従う金属的な振る舞いを示すのに対し、カットワイヤー配列は低周波数で絶縁体的な振る舞いを示すことがわかった。FDTD法を用いて電場強度のシミュレーションを行った結果、低周波数ではテラヘルツ波は切れ目の部分を主として透過し、その結果として局所的な電場増強が起こっていることが判明した。次に、より高精度の試料を作製するためスーパーインクジェットプリンタを用いて、半導体(Si、GaAs)基板上にシングルミクロンオーダーの金属ワイヤー配列の作製を試みた。その結果、印加電圧、描画速度、ベーキング温度を最適化することにより、数ミクロンの精度で試料が作製可能であることがわかり、この手法で2次高調波発生実験用の試料作製を得ることができた。