著者
田中 浩也 小檜山 賢二 井尻 敬
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究は、微小オブジェクト(5ミリ~数センチ)を対象に、その計測からテクスチャ付き3Dモデル生成までの工程を自動化することを目的とする。特に、微小オブジェクトの表面の模様(テクスチャ)の計測は,通常の写真撮影ではピンボケが発生してしまうため,深度合成技術を採用する。また,複雑な構造を持つ微小オブジェクトの精密な形状取得のため,本研究では形状モデリングにX線CT計測を応用する。初年度では、CT画像によるモデル(モデルA)とSfM法によるモデル(モデルB)の組み合わせによる高解像度のカラーテクスチャ付き高精度モデルの生成自動化に目途をつけた。具体的には以下のサブ課題を実施した。●A1)研究環境の整備 :大型CT装置の整備、および、自動写真撮影装置の設計と構築を行った。●A2)CT画像分割ソフトウエアの実装 :CT画像から昆虫領域を分割する機能を,分担研究者が開発中の画像処理ソフトウエアRoiPainter3D上へ追加した。また,このソフトウエアを拡張することで4DCT画像の解析も試み,研究成果を発表した。●A3)深度合成映像の取得: オブジェクトを中心にカメラを平行移動・回転させながら自動撮影(XY平面:10度間隔、Z軸:3方向、各角度において合焦点位置を変化させた50カットの合計5400カットを撮影)した後、この写真群から108の深度合成映像を自動生成する環境を構築した。●A4)CTモデル/SfM法モデルの自動位置合わせ: CTから生成したモデルAと写真から生成したモデルBを位置あわせ(コンピュータによる自動位置合わせソフトを開発)し,モデルBにモデルAのテクスチャを転写する手法を実現した。●A5)モデルの構築:上記技術を利用し,実際に昆虫サンプルの計測を行うことで40例程度の三次元モデルの構築を行った。
著者
寺澤 悠理
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

感情は身体内部と外部の環境情報の統合的な理解によって生じると考えられる。しかし、脳と心におけるその過程は十分に解明されたとは言い難い。この問題を解くために、本研究では、女性の性周期に伴う自律神経活動の変動に着目した。この変動が、感情の認識と制御に及ぼす影響とその機序を、脳における反応の変化を指標として理解する。具体的には、①1ヵ月間の実生活における自律神経活動の変動と感情認識・制御の関係の実態収集と、②自律神経機能計測と同時計測による機能的MRI研究を実施する。
著者
近山 金次
出版者
慶應義塾大学
巻号頁・発行日
1950

博士論文
著者
末吉 雄二
出版者
慶應義塾大学
雑誌
哲學 (ISSN:05632099)
巻号頁・発行日
vol.83, pp.111-135, 1986-11

This paper reinvestigates the old but yet controversial problem : what is the most decisive factor for the formation of Giotto's art? The role of Byzantine "volume style" in the development of italian painting during the 13th century-a role which the famous byzantinist Kitzinger defined as that of midwife-must not be overestimated. Because the 14th century italian painters, patrons and literary men had the awareness that their contemporal painting was "moderna" and that there was a gap between the painting before Giotto and after. The reception of a style does not always occur wherever the channels of transmission exist. It needs aspiration or sympathy for the art and the society which creates the art. Nicola Pisano and his "bottega" is known as the channel through which the Gothic art spread into Italy. Giotto was sure to have a contact with this "bottega", so the Gothic sculpture at least was available to him. In the Scrovegni Chapel, Giotto represented Gothic architectures with the pointed arch, a characteristic formal element of Gothic architecture, as the symbol of the ideal and spiritual world. Here we can see Giotto had the aspiration for the Gothic art. And the church of San Francesco in Assisi where Giotto's new art was formed was rebuilt and decorated under the edict by Innocent III, which expressed clearly the aspiration for the Gothic art and culture. The importance of the role of Gothic sculpture for the creation of the new painting by Giotto deserves special emphasis.
著者
李 建雨
出版者
慶應義塾大学
雑誌
三田商学研究 (ISSN:0544571X)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.p45-53, 1994-08

1970年代初めから本格化した韓国の重化学工業化政策は,様々な副作用にも拘らず,韓国産業の構造高度化と輸出基盤の確立に大きく寄与した。しかし,一方ではこうした重化学工業化政策が,その推進に必要な資本設備と中間財の輸入を通じて韓国経済の対外依存的,特に対日依存的体質をさらに悪化させたという批判も出てきている。小論では,こうした疑問を背景に,韓国の重化学工業化政策が韓国産業の対日輸入連関構造にどのような影響を与えてきたのかを日韓国際産業連関表を利用して究明しようとする。
著者
友田 正司/加藤 祥子
出版者
慶應義塾大学
雑誌
共立薬科大学研究年報 (ISSN:04529731)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.6-9, 1966-05-20

The water-soluble substances of the tuberous roots of Ophiopogon japonicus Ker-Gawler var. genuinus Maximowicz were obtained in 92% yield of the dry crude drug. The water-extract was fractionated by the chromatography on a column of charcoal-Celite, and D-glucose, D-fructose, sucrose and the other five oligosaccharide fractions were obtained. The carbohydrates have been examined by the use of paper partition chromatography and gas-liquid chromatography. D-Glucose, D-fructose and sucrose were identified respectively as D-glucose benzylphenylhydrazone, D-fructose methylphenylosazone, and sucrose octaacetate. The obtained all oligosaccharides were non-reducing glucofructan. The results of quantitative determinations of the monosaccharides and oligosaccharides showed that the water-extract contains 9.1% of D-glucose, 6.7% of D-fructose, 4.8% of sucrose and 56.7% of the other oligosaccharides.
著者
友田 正司/加藤 祥子
出版者
慶應義塾大学
雑誌
共立薬科大学研究年報 (ISSN:04529731)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.35-39, 1968-10-20

The main oligosaccharide fraction obtained from the water extract of the tuberous roots of Ophiopogon japonicus K_<ER>-G_<AWLER> var. genuinus M_<AXIMOWICZ> was purified by the gel filtration on Sephadex G-25,and separated into three oligosaccharides. They were a heptasaccharide composed of one glucose unit and six fructose units, a hexasaccharide composed of one glucose unit and five fructose units, and a pentasaccharide composed of one glucose unit and four fructose units. Methylation and periodate oxidation studies showed that the each oilgosaccharide possesses the structure consisted of a chain of 2→1 linked D-fructofuranose units having a D-glucopyranose residue, joined by a type of sucrose bond, on the end.
著者
伊藤 友一
出版者
慶應義塾大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2017-04-26

将来経験するであろう事象について想像する能力は,エピソード的未来思考(以下,未来思考)と呼ばれている。うつ病臨床群では,未来思考において構築されるイメージの具体性が低下するという特徴が確認されている。うつ病の治療においては,場面想定法など未来思考を含んだ治療が存在するが,そもそもイメージする能力の低下が治療効果に影響していることが考えられるだろう。したがって,うつ病における未来思考の特徴について,より正確な理解が求められている。抑うつ感は過去の事象に対して,不安感は未来の事象について抱くものとされる。また,うつ病臨床群や不安症臨床群においては,ネガティブな事象に自動的に思考が向かってしまうという症状が知られている。このことから,過去・未来といった時間的概念とネガティブ・ポジティブといった感情価が結びついてしまっているために,ネガティブな自動思考が生じやすくなっている可能性が考えられる。例えば,未来とネガティブという概念が結びついていたならば,未来思考の際に自ずとネガティブな思考になってしまうことが考えられる。そこで,まずは健常者を対象に,潜在連合テスト(implicit association test)と呼ばれる課題を用いて,時間概念と感情価の連合について検討した。結果として,健常者においては,抑うつ傾向や不安傾向の高低に関わらず,未来に対してポジティブ,過去に対してネガティブな概念が相対的に形成されていることが示された。また,不安の種類(全般性不安と社交不安)による概念的連合の違い(具体的には,「社交不安傾向が低い場合には,全般性不安傾向が高いほど未来をポジティブに捉えられなくなる」というパターン)は見られたものの,抑うつ傾向高群と不安傾向高群の間に有意な概念的連合の違いは確認されなかった。 今後は,臨床群で実際にどのような連合が形成されているかを検討する必要がある。
著者
田谷 修一郎
出版者
慶應義塾大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

我々の身体が視覚の情報処理過程においてどのように用いられているか,一連の心理物理実験によって検討した。この結果,網膜像差に基づいて外界の奥行きを復元する際には両眼(瞳孔)間距離の情報が利用されていること,身体の可動範囲が身体の見えかたに影響することなどが明らかとなった。これらの結果は,本質的に曖昧である網膜像を解釈する際の枠組みとして観察者自身の身体が用いられていることを示し,視知覚の研究においても身体の影響を考慮に入れることが重要であることを示唆する。
著者
シュールハンマー ゲオルグ
出版者
慶應義塾大学
雑誌
史学 (ISSN:03869334)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.491-519, 1940-12

緒言一 生涯二 「日本教會史」のプラン三 「日本教會史」のプランの實現四 ロドリゲス神父の「日本教會史」の價値
著者
高橋 美樹
出版者
慶應義塾大学
雑誌
三田商学研究 (ISSN:0544571X)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.46-59, 1992-10-25

本稿は,「異業種交流」,「戦略的提携」など新しい形態の企業間関係の進展を念頭におきながら,これまでの中小企業研究を整理・検討し,現段階で中小企業の企業間関係を分析する上で必要とされる視点・課題を示すものである。なお,本稿では,中小企業研究のうちでも特に「中小工業研究」を取り上げる。結局,現段階で中小企業の企業間関係を分析する上で必要とされる視点は3つに要約できる。第1に,われわれは中小企業成長の事実・可能性を正当に認めなければならないと考える。この場合,中小企業を一義的に「独占資本による収奪の対象」として把握するのは適当でない。第2に必要とされる視点は,中小企業とほかの企業が結ぶ企業間関係に,「支配・従属」関係をア・プリオリに仮定しないという視点である。第3に,以上のような2つの視点に立つならば,中小企業の企業間関係,あるいはそこでの「問題」を分析する上で,「中小」という「企業規模」がどの程度まで意味をもつかを検討する必要がある。現段階の企業間関係を特徴づけるのは,(1)専門技術をもった企業が,環境への適応を目的に,(2)自発的に参加して,自立的・継続的な企業間関係を構築し,(3)その関係が,環境適応の成功を通して,効率性・経済性を発揮するという点にある。われわれは,このような企業間関係を「ネットワーク型産業組織・企業間関係」とよびたい。そして,このような前向きの中小企業観を前提としながら,「問題」を発見し,解明することが重要だと考える。
著者
小平 麻衣子 島村 輝
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

雑誌初期の人脈や文学傾向、戦中の国策への雑誌の対応、現代作家の参加様態などについて、分析した。具体的には、年間5回の研究会開催の中で明らかにした。研究会における発表等の内容は、下記の通りである(会場は、特記してある会を除き、いずれも慶應義塾大学三田キャンパス南館5階会議室)。【第1回】2017年7月23日(日)15:00~18:00。小川貴也氏「初期『文藝首都』と「新人」の範疇― 無名作家をめぐる「文壇」のオルタナティブ―」、 第2部では今後の研究分担と計画について議論した。【第2回】2017年10月1日(日)14:00~18:00。小川貴也氏「初期『文藝首都』のコノテーション―「公器」からの出発―」、松本海氏(早稲田大学大学院)「新人・中上健次の出発―『文藝首都』の終焉にかけて―」、コメンテーター:浅野麗氏(亜細亜大学)。【第3回】2017年11月25日(土)14:00~15:30。佐江衆一氏講演「私の『文芸首都』『犀』の頃」。【第4回】2017年12月17日(日)14:00~18:00(日本大学スポーツ科学部キャンパス本館2階会議室1)。清松大氏(慶應義塾大学大学院)「上田広「黄塵」と『文芸首都』―『大陸』への転載と本文異同から―」、高橋梓氏(東京外国語大学大学院)「植民地出身作家の交流の場としての『文芸首都』―読者会の記録と書簡を中心に―」。【第5回】2018年3月24日(土)13:00~17:00。椋棒哲也氏(立教大学兼任講師)「『文芸首都』における和田伝/和田伝における『文芸首都』―同誌掲載の創作を読み解く―」、作家・勝目梓氏公開インタビュー「勝目梓先生に『文芸首都』時代を伺う」。司会:井原あや氏(大妻女子大学非常勤講師)。
著者
宮川 隆泰
出版者
慶應義塾大学
雑誌
福澤諭吉年鑑
巻号頁・発行日
vol.28, pp.21-56, 2001-12-20
著者
清水 龍瑩
出版者
慶應義塾大学
雑誌
三田商学研究 (ISSN:0544571X)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.55-81, 1994-08-25

今回のサーベイでは,戦後はじめての長期不況に対して各企業が,それぞれどのような固有な問題を持ち,その対処策として,それぞれどのような強み,特に主力製品の強みに集中して,問題を解決しようとしているかを調査するものである。この不況への対処策として各社の社長が共通に考えていることは,人事評価の革新による,組織の活性化であることがわかった。過去の経験から一番手の商品以外は生き残れないことを知り,今は一番手になる新製品の開発にだけ力を入れる。企画マンと営業マンとが議論して目標数値をきめ,営業マンはもちろん,企画マンもその達成値によって人事考課される(メルシャン)。今まで自動車メーカーの特注測定器だけをつくってきた。これからは標準品をつくっていく。リサーチ用機器には技術優位性があるから,円高でも輸出市場で,まだ値上げの余地がある(小野測器)。オリジナリティ,クリエイティヴィティを重視する企画提案型製造小売業になる。企画担当マネジャー,デザイナーの育成を重視する。人事評価では,価値ある失敗を価値なき成功より高く評価する(キャビン)。製品ドメインを国際化にさらされる部分と,さらされない部分にわける。前者では今までの仕組みを保護規制から自由化への関連で深く考える。後者では収益強化の新しい仕組みを考える。人事評価は上に行くに従って能力主義から実績主義に変える。ネアカの人間を高く評価する(明治乳業)。問題点を内と外の2つにわける。前者は大企業病であり,後者は報復関税など国際的政治経済問題である。前者には長期的な組織制度の開発が必要であり,後者には短期的な対症療法しかない。人事評価の中心は能力開発であり,具体的には,前後工程を学ぶ交叉訓練と,上司をとりかえることによる教育とがある(セイコーエプソン)。時計,メガネはその心臓部は大企業にしかできないが,付加価値を高めるフレームなどの部分は零細企業がつくるという,非常に特殊な製品である。この心臓部とフレームをコントロールするのは卸売業である,と自社の強みを浮きぼりにする。バブル崩壊は3年で安定すると予測する。海外派遣人間はネアカを第1条件にする(服部セイコー)。問題点はいくつかあるが,増収増益をつづけているため,長期的な中間管理者の人事評価が問題の中心になる。製品ごとのブランドマネジャー制をひいているため,その人事評価基準は「経営者としての資質」の改善である。社長が全中間管理者170人1人ひとりに面接し,減俸までも相手に納得させる(日清食品)。問題点は,値頃感と品質のよい商品を調達・開発することと,時間欠乏症の顧客に対して,対面販売ではない,セルフサービス方式の導入など,従来の百貨店構造を変えることである。人事評価は,上司,部下,同僚の3者が行う。またプロジェクトに対しては,企画と執行とを同一者に担当させて実績評価する。企画者と執行者を別々に評価しない(三越)。
著者
辺見 葉子
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は、従来のトールキン研究から抜け落ちていた「『ケルティシスト』としてのトールキン」という視座から、『指輪物語』をその未刊の草稿原稿を含めて考察することを目的とし、テキスト変遷を詳細に検討すべく、米国マーケット大学と英国オックスフォード大学における調査を行った。マーケット大学図書館のトールキン・アーカイブでは『指輪物語』の追補篇Fの言語に関する草稿の、オックスフォードのボードリアン図書館ではトールキンのブリテン観の根幹を成すケルト語(British-Welsh)観についてのエッセイ"English and Welsh"の草稿のトランスクリプトを、それぞれ作成することが出来た。
著者
油田 信一
出版者
慶應義塾大学
巻号頁・発行日
1975

博士論文
著者
倉田 敬子 松林 麻実子 上田 修一 山地 一禎 三根 慎二 宮田 洋輔
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2019-04-01

研究プロセスがデジタル化し,研究成果とデータの共有を目指すオープンサイエンスの時代に,学術コミュニケーションの将来を考えることは重要な課題である。本研究は,①オープンサイエンスで提案されてきた政策等の分析,②学術雑誌論文と研究データのオープン化のマクロな動向の把握,③個別の研究プロセスと研究データのミクロな調査の3つのアプローチから,学術コミュニケーション全体の生態系を具体的な根拠に基づき明らかにする。