著者
Agarie Sakae Hanaoka Naomi Ueno Osamu Miyazaki Akira Kubota Fumitake Agata Waichi Kaufman Peter B.
出版者
日本作物学会
雑誌
Plant production science (ISSN:1343943X)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.96-103, 1998-06
参考文献数
54
被引用文献数
9

To evaluate the positive effects of silicon on the stress tolerance of rice plants, we measured the electrolyte leakage (El) from leaf tissue caused by desiccation with polyethylene glycol (PEG) and by high temperature to estimate the integrity of cell membranes. The El caused by 30% and 40% solutions of PEG decreased with the increase in the level of Si in leaves. In leaves of plants grown with 100 ppm SiO_2, the level of polysaccharides in cell walls, which is one of the factors related to tolerance to desiccation, was 1.6-fold higher than that in leaves of plants grown without Si. Ultrastructural observations of leaves revealed that polymerized Si accumulated in the walls of epidermal cells but not in those of the mesophyll cells, which are probably the main sites of El. These findings suggested that silicon in rice leaves is involved in the water relations of cells, such as mechanical properties and water permeability and plays a role in preventing El through the synthesis and functions of cell walls. The El caused by high temperature (42.5℃) was also lower in the leaves grown with Si than in the leaves grown without Si, suggesting the involvement of silicon in the thermal stability of lipids in cell membranes. These results suggested that silicon prevents the structural and functional deterioration of cell membranes when rice plants are exposed to environmental stress.
著者
平山 正賢 根本 博 平澤 秀雄
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.76, no.2, pp.245-252, 2007-04-05
参考文献数
14
被引用文献数
2

畑圃場で栽培した中生及び晩生の日本陸稲8品種と水稲1品種を用いて,6年にわたり成熟期の根系の発達程度を調査し,深根性が耐干性に及ぼす影響を明らかにすると共に,中晩生品種群における深根性程度の基準品種を設定した.根系の発達程度の観察には発掘法,モノリス法,コアサンプリング法の3種類の方法を用いた.1994年〜1996年は発掘法により土壌層位毎に根数と根の太さを達観で観察し,根系の最深到達深度を計測した.1996年はモノリス法により根を採取し,層位毎に根長と根の乾物重を測定した.1998年,2001年,2002年はコアサンプリング法により根を採取し,層位毎に根の乾物重を測定した.調査期間を通して,耐干性程度の異なる中生・晩生熟期の日本陸稲品種では,根系の発達程度に品種間差が認められた.特に30cmより深い層の根量は大きな品種間差が認められた.ゆめのはたもちなど耐干性が強い品種は30cmより深い層の根量が安定して多いの対し,ミズハタモチなど耐干性が弱い品種は根量が少なかった,よって,耐干性の強弱と深根性との間には明らかな関連があることが圃場条件で実証された.今回の調査結果から,中生・晩生熟期の日本陸稲品種における深根性の基準品種として,深根性ゆめのはたもち,やや深根性陸稲農林編26号,やや浅根性ミズハタモチを設定した,また,根系の調査法として,コアサンプリング法による土壌深層の根量,モノリス法による土壌深層の根量及び発掘法により直接観察した根の深さとの間にはそれぞれ正の相関関係が認められ,コアサンプリング法が簡易かつ信頼性のある根系採取法として実用的であると考えられた.
著者
星川 清親 中村 聡 後藤 雄佐 田中 正夫 壁谷 雄一
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.610-615, 1994-12-05
被引用文献数
2

1991年にスイートソルガム14品種を用いて, 出穂期までの播種後日数(DAS-H)と収量及び収量に関与する諸形質との関係を調べた. さらにその中の8品種を1991年から3年間栽培し, 出穂期の年次変動, DAS-Hと収量との関係を解析した. 1991年の実験では, DAS-Hが多いほど, 茎乾物収量が多く, 品種間で直線的な関係が認められた. また, 収量に関与すると考えられる形質, つまり総葉数, 伸長節間数, 茎長, 茎直径についても同様な関係が認められた. 3年間の実験の結果, DAS-Hは, 品種によっては年ごとに大きく変動した. 例えばWrayの出穂期は, 1991年ではDAS-H88(8月31日, 1993年ではDAS-H125(10月5日)で, 播種後日数にして37日の差があった. これを出穂期までの積算温度(CAT-H)でみても同様で, 1991年と1993年とで585度日の差があった. また, 各品種をDAS-H順に並べると, その順位も年により変動し, 一部の品種では早生か晩生かを決定できないものもあった. すなわち, 1992年では中生品種と位置付けられるRio, Keller, Wrayは1991年では早生品種, 1993年では晩生品種に位置づけられる結果となった. 品種によって出穂期の年次変動が大きく, しかも収量及び収量関連形質の年次変動と異なるために, 3年間を通してみると, DAS-H (CAT-H)収量, または収量関連形質との相関は低かった. しかし, 年ごとのDAS-Hと収量または収量に関与する形質との間には, 高い正の相関が認められた.
著者
前田 英俊 田崎 信幸 竹内 公博 小川 義雄 松場 貢
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.59, pp.9-12, 1992-12-21
被引用文献数
5

1.平成3年9月14日に台風17号,次いで27目に19号が長崎県に襲来し,水稲に大被害を及ぼした。とくに諌早地域を中心とする県失地帯に大被害を及ぼしたので,31地点の坪刈調査により,被害要因の生態的解析を行った。2.品種による差異 早生の日本晴は被害が最も少なく,早生の晩のヒノヒカリから強く影響を受けており,出穂期の遅い品種ほど被害が大きかった。出穂期から登熟期のごく初期に台風にあったものがとくに登熟歩合への影響が強く,登熟が進んでいたものは影響が少なかった。また,出穂期の遅い品種ほど粒厚の薄い方に分布が多くなった。3地形による差異 海岸近接地および平坦地で直接海からの暴風にあった地点での被害は著しいが,回りを山に囲まれ風をあまり受けなかった地点は影響が少なかった。4.海岸からの距離による差異 海岸から離れるほど収量,品質ともに向上した。とくに海岸から2.5?以内に作付されたものは品質低下が著しく,塩分濃度の高い潮風がこの範囲までは強く吹いたことを示した。
著者
山本 晴彦 岩谷 潔
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.75, no.4, pp.535-541, 2006-10-05
参考文献数
29
被引用文献数
3 2

九州・山口地方へは水稲の穂ばらみ期から収穫期にかけて5個の台風(15・16・18・21・23号)が接近・上陸した.これらの台風に伴う強風により,葉ずれによる葉身光合成能力の低下,倒伏等による草姿悪化,籾ずれによる登熟不良,脱粒,倒伏による穂発芽の発生などの複合的な要因により,減収や品質劣化の被害が発生した.作況指数は,福岡県南筑後(70),熊本県県北(74),山口県西部・佐賀県佐賀(76)となり,山口県,福岡県,熊本県では水稲玄米の品質が低下して1等米がわずか13〜15%となった.とくに,山口県では台風18号の通過時に周防灘からの強風,通過直後からの少雨の継続により海岸地域を中心に潮風害が発生し,著しい減収・低品質となった.
著者
土居 健一 真鍋 尚義 菊地 一幸 松永 靖雄 竹藤 賢次郎
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.53, pp.13-16, 1986-12-25
被引用文献数
5

福岡県有明海沿岸地域において,1985年8月31日に来襲した台風13号により1,055haの水稲が潮風害を受けたので,その実態調査と対策試験を行った。また1976年9月13日に来襲した台風17号による潮風害についても比較検討した。1.穂孕期に潮風害を受け,その後12日目の上位3葉身の褐変化程度と精玄米重の間には負の相関が認められ,褐変化程度が大きいものほど精玄米重が低かった。
著者
山本 晴彦 本條 均 早川 誠而 鈴木 義則 河田 尚之
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.207-213, 1996-06-05
参考文献数
13
被引用文献数
1

暖地において水田裏作の基幹作物である二条オオムギ(品種: ニシノチカラ)を対象に, 個体群の太陽エネルギー利用効率(Eu, %), 太陽エネルギー転換効率(Ec, %)ならびに日射吸収量から乾物への変換効率(Cs, g MJ^<-1>)を算出し, 二条オオムギの乾物生産を太陽エネルギーの利用の面から評価した. 節間伸長期から出穂期までの個体群日射吸収量は全天日射量の約56%, 登熟期間中の個体群日射吸収量は約70%であった. 全生育期間の個体群日射吸収量は865.02 MJm^<-2>で, これは生育期間中の個体群に投下された日射量の積算値の約40%に相当した. 節間伸長期から出穂期までの生育中期のEcは3.94%で, 高い値を示した. また, 登熟期間中のEuは1.47%, Ecは2.13%で, 全生育期間におけるEuは1.09%, Ecは2.71%であった. これは, 表作における暖地水稲のEu, Ecに匹敵する値であり, 寒冷地のリクゼンムギに比べてかなり高率であることがわかった. 播種期直後から出穂期までの栄養生長期における乾物生産と積算日射吸収量の関係は直線関係が成り立ち, Csは2.32gMJ^<-1>であった. さらに, 登熟初期および中期は, 1.79gMJ^<-1>, 1.179MJ^<-1>になることが示された.
著者
鄭 紹輝 川越 洋二
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.473-477, 1998-12-05
参考文献数
12
被引用文献数
2

北部九州における夏アズキの春播き栽培では, 登熟は夏の高温・多湿条件下で進行するため, 子実は小粒で, 種皮が厚くて吸水性が悪いなど, 北海道産に比較して品質が劣ることが知られている.本研究は北部九州におけるアズキ子実の品質改善を目的に, 北海道で育成された夏アズキ8品種を用いて従来の春播きと夏に播種期を変えて2ヵ年栽培し, 子実の品質関連諸形質および生育諸特性について調査した.その結果, 1993年では春播きに比較して夏播きの場合に, 百粒重の増大, 種皮率および確実率の減少がみられ, その程度は8月播きで顕著であった.そこで, 1995年では7月13日から約10日おきに5回の播種を行った結果, 百粒重および種皮率は7月21日以降の播種, 種皮色は7月31日以降の播種で優れ, いずれの形質も北海道産とほぼ同程度であった.確実率は概して晩播ほど低くなったが, 品種間差異や年度間の変動が大きかった.なお, 7月31日以降の播種では莢が一斉に成熟し, 葉がほとんど黄化して落ちるため収穫作業が行いやすく, 収量は7月31日と8月12日播種で高かった.以上のことから, 北部九州においては, 夏アズキを7月下旬から8月中旬にかけて播種した方がよいと考えられた.
著者
山本 晴彦 早川 誠而 岩谷 潔
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.226-232, 1998-06-05
参考文献数
14
被引用文献数
8 1

1997年台風9号に伴い山口県北部および島根県西部では7月26日から28日にかけて豪雨に見舞われた.むつみ村では, 7月26日〜28日に582〜782mmの降水を記録し, 7月27日の日降水量は429〜547mmを観測した.本豪雨は, むつみ村の周辺に位置する気象庁の4カ所の観測地点を大きく上回る局地的豪雨であった.この影響により, むつみ村にある4カ所の農業用溜池が決壊して土砂災害が発生した.とくに, 麻生溜池では下流域に氾濫水や土砂が大量に流出して水田内に堆積したため, 水稲が埋没する被害が発生した.現地調査の結果, 土砂堆積深と地上部乾物重および玄米重との関係は2次曲線で近似でき, 地上部乾物重は土砂堆積深が50cm, 玄米重は35cmで重量がほぼ皆無になることが明らかになった.
著者
古城 斉一 原田 皓二
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.35, pp.20-21, 1971-06-30

(1)稚苗を用いて,熟期の異なる品種を晩期栽培に供した場合の出穂期の変化を明らかにするとともに,最も好適すると考えられる日本晴について,品質・収量を調査した。(2)筑後地域での冷害年における出穂限界は9月22〜23日頃と考えられるので,本年の気象を考慮すると9月13〜14日頃までに出穂した品種,移植期であれば,一応安全だと考えられる。(3)日本晴を7月25日に移植した場合,収量も比較的高く,品質も良好なので実用化の可能性がある。(4)育苗箱では苗の生長がおそいので,苗床日数30日以内では,極早生品種でも不時出穂は見られなかった。(5)今後は実際のイグサ収穫跡水田で検討する必要がある。
著者
宮里 溝松
出版者
日本作物学会
雑誌
九州作物談話會報
巻号頁・発行日
no.9, pp.32-35, 1955-09

戦前,沖縄県の耕地面積壮約6万町歩であったが,1953年の統計によると,その65%に相当する約39,000町歩に減少している。農業生産の基盤となる耕地の激減は軍用地として使用されていること,農業收入では生活の維持が出来ず離農者が増え・荒廃地が増加したことが主なる原因と思われる。斯様に農耕地は減少しているにもかかわらず墨家戸数は戦前と殆んど変らず約88,800戸(全戸数の56%)で,従って経営規模が小さくなり零細農家が増え全農家の80%が5反未満の経営農家である。
著者
丹野 久 木下 雅文 木内 均 平山 裕治 菊地 治己
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.493-499, 2000-12-05
参考文献数
13
被引用文献数
3

1998, 1999年の2ヵ年に北海道の水稲新旧52品種について開花期耐冷性の評価を行った.縦15×横5×高さ10cmの方形ポットに主稈8本栽培したものを材料に, 1品種3〜4ポットを50%遮光幕付人工気象室で出穂日より17.5℃で15日間処理を行い, 最少で10穂の稔実歩合により判定する簡易な方法で検定した.その結果, 「はやゆき」, 「はやこがね」が最も強く強〜極強, 「赤毛」, 「ふくゆき」, 「うりゅう」, 「ほしのゆめ」, 「初雫」の5品種が強, 「富国」, 「早生錦」, 「しまひかり」が最も弱く弱〜極弱であった.開花期耐冷性(冷温処理区の不稔歩合)と穂ばらみ期耐冷性(従来の評価.以下, 耐冷性評価には極強:2〜極弱:8を当てはめ相関係数を算出した)との間にはr=0.541(n=52, 以下同じ)の有意な正の相関関係が認められた.また, 育成年次が新しい品種ほど穂ばらみ期耐冷性が強い傾向が認められたが(育成年次と従来の穂ばらみ期耐冷性評価の間にr=-0.366), 開花期耐冷性とは一定の関係がみられず(育成年次と開花期耐冷性評価との間にr=-0.055^ns), 育成品種の開花期耐冷性を向上させるためには育種の場で直接選抜することが必要であると考えられた.さらに, 穂ばらみ期耐冷性が極強か極強に近いと評価されている北海道の耐冷中間母本7系統と耐冷育成系統の30系統, 計37系統の開花期耐冷性を検定したところ「永系88223」と「北育糯87号」の2系統が2ヵ年とも極強と判定された.これらの2系統は系譜の上から穂ばらみ期だけでなく開花期においても「はやゆき」に由来する耐冷性を持つことが推察された.
著者
松江 勇次 水田 一枝 古野 久美 吉田 智彦
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.490-496, 1991-12-05
被引用文献数
7

北部九州において栽培環境条件と米の食味と理化学的特性の関係を明らかにするために, 移植時期, 人為倒伏が食味と精米中のタンパク質含有率, アミロース含有率およびアミログラム特性に及ぼす影響について, 近年育成の良食味品種を供試して検討した. 移植時期の早晩の食味への影響が認められ, 移植時期が遅れるにしたがい食味は低下した. 特に晩植(7月5日植)では著しく食味が劣った. また, 品種別にみると, 移植時期の早晩による食味変動の大きい品種と小さい品種があった. 移植時期が遅れるにしたがってタンパク質含有率, アミロース含有率は増加し, 最高粘度, ブレークダウンは低下し, それらの増減程度は特に晩植で著しく大きかった. 移植時期が遅れることにより食味は低下したが, この場合タンパク質含有率, アミロース含有率の増加および最高粘度, ブレークダウンの低下がみられた. 倒伏による食味の低下程度は, 倒伏時期が早いほど大きかった. また, 倒伏によってタンパク質含有率およびアミロース含有率は増加するが, その増加程度は倒伏時期が早いほど大きく, 逆に最高粘度, ブレークダウンは倒伏によって低下し, 倒伏時期が早いほど低下程度は大きかった. 倒伏による食味低下の場合には, タンパク質含有率, アミロース含有率の増加および最高粘度, ブレークダウンの低下がみられた.
著者
中野 尚夫 河本 恭一 石田 喜久男
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.40-46, 2001-03-05
参考文献数
16
被引用文献数
3

1990年にタマホマレとトヨシロメ,1991年と1992年にこれらに銀大豆を加えた3品種を水田転換畑において,35cm×36cm(正方形播)と70cm×18cm(長方形播)の1株2個体(1990,1991,1992年)あるいは同1個体(1990年)で栽培し,栽植様式と収量および収量構成要素の関係を節位別の分校発生と分校の生育から検討した.播種日は1990年が6月20日,1991年と1992年が6月22日であった.いずれの品種,1株個体数においても正方形播は長方形播に比べ,分校数が多くて総節数,花数が多く,さらに結莢率が高く,莢数,収量が多い傾向であった.主茎節位別にみると,3品種とも正方形播では長方形播に比べ,第5,6節の分校発生個体数率が高く,さらにタマホマレの第3〜6節,トヨシロメの第4〜6節,銀大豆の第5,6節では分枝の節数も多かった.開花前の7月26日の地際相対照度についてみると,正方形播長方形播に比べ,条間では低かったが,株際ではかえって高かった.開花後の8月12日においても,正方形播と長方形播の差は小さかったが,同様の傾向がみられた.また,正方形播では長方形播に比べ,主茎長が短く,茎径が太く,比葉面積が小さかった.これらのことから,正方形播では長方形播より群落が早く密閉状態になるが,相互遮蔽は小さいと推察され,この相互遮蔽の小さいことによって下位の分枝数が多く,それら分技の節数が多くなったと考えられた.さらに正方形播では,この有利な光条件がその後も継続し,下位節の結莢率も高くなり,莢数,収量が多くなったと考えられた.
著者
坂田 雅正 亀島 雅史
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会四国支部会報 (ISSN:0915230X)
巻号頁・発行日
no.45, pp.54-55, 2008-12

2007年台風4号通過後,本県早期栽培の極早稲水稲に青枯れ症が確認された.青枯れ発生の第一義要因はフェーン風(乾燥した高温の強風)と考えられたが,現地調査から栽培法も被害拡大に関与している可能性が示唆された.しかしながら,地域間差,品種間差の要因や青枯れ発生と収量,玄米品質との関係については十分に解明できなかった.そこで,極早稲水稲を対象とし,人為的操作によって青枯れを発生させ,収量,玄米品質への影響と発生要因を乾物生産特性から検討した.
著者
仲條 眞介 吉田 宏 大清水 保見
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会東北支部会報 (ISSN:09117067)
巻号頁・発行日
no.51, pp.57-58, 2008-12-20

短稈アワ育成を目的としたγ線照射による突然変異育種の過程で、到穂日数が原品種の1/2程度しかない極早生変異系統が得られた。本系統を夏至の前後の2時期(5月25日、7月2日)に播種した場合の到穂日数は、それぞれ38日、35日と変化が少なかった。本研究では、この変異系統の極早生化の成立要因を明らかにするために、短日処理と長日処理を行い、その出穂反応を調査した。日長。条件。