著者
狩俣繁久編
出版者
琉球大学
巻号頁・発行日
2015
著者
宮城 智央
出版者
琉球大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

外科手術において、立体構造の正確な把握は合併症回避と手術完遂には必須である。通常の医療画像は2次元であり、3次元コンピュータ画像(3DCG)の表示には特別なデータ処理が必要となる。3DCG手術シミュレーションは手術向上に有益であるが、普及している多くのシステムは人体構造や病変部などの形状が変形しない剛性モデルであり、立体視ができず、高価である。本研究では、実際に手術予定の患者データを用いて、シミュレーションの操作者の手と頭部をバーチャルリアリティ(VR)空間へ即時に反映し、立体視可能な手術のためのリアルタイムVR変形性物理シミュレーション・システムを安価に開発し、手術への寄与を評価する。
著者
米盛 重友 田盛 正雄
出版者
琉球大学
雑誌
琉球大学農学部学術報告 (ISSN:03704246)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.439-447, 1976-12-01

近年, 日本において分布が急速にひろがりその撲滅対策が大きな社会問題となっているセイタカアワダチソウ(Solidago altissima L.)の沖縄における分布状況, 生態的特性および他の雑草との共存関係などについて調査研究を行なった。その結果を要約すると次のとおりである。1.分布状況 那覇市天久外人住宅地周辺 具志川市平良川県道10号線沿い2.生態 那覇市天久の群落を4つの母集団に分けて調査を行なった。本数は, Aプロットでは1550±295本, Bプロットは13000±980本, Cプロットは14600±1520本, Dプロットは1290±141本であった。草丈は, Aプロットでは平均173cm, Bプロットは29.8cm, Cプロットは152cm, Dプロットは148cmであった。種子数について, Aプロットの花枝数は9本, 総包数1951個, 総種子数29265個, Bプロットの花枝数は9本, 総包数72個, 総種子数1008個, Cプロットの花枝数は23本, 総包数1541個, 総種子数23115個, Dプロットの花枝数は21本, 総包数1365個, 総種子数19110個であった。花の期間は, A, CおよびDプロットでは9月中旬から11月上旬まで, Bプロットでは9月中旬から翌年1月上旬頃までであった。萠芽数は, 1株当り4.6本である。地下茎の芽数は, 1株当り4本である。地下茎から出芽した株数は, 前年度開花した株数33本から162本出芽し, 1株当り4.9本である。生活型は, Ch, D_1,R_3,Prである。
著者
城間 理夫
出版者
琉球大学
雑誌
琉球大学農学部学術報告 (ISSN:03704246)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.63-72, 1988-12-05

沖縄県宮古島では収穫時のサトウキビブリックスが, 1984/85と1985/86の両収穫年期に異常に低かった。この低ブリックスの一つの原因として気象現象の影響があったか否かをみるために, サトウキビのほ場ブリックスと第1汁ブリックス総刮値の資料および気象資料を使って単純相関解析, 相関図解析, および重回帰解析を行った。解析に使用できた資料は十分ではなかったが, 入手できた範囲の解析から次の傾向が見出された。1. 1985/86年期の10月上旬のほ場ブリックスが低かったのはその直前の7月-8月の多雨と風向変化の激しかった台風との二つの影響も大きかったためであると考えられる。しかし, この多雨と風向変化とのそれぞれの影響を別々に量的に推定することはできなかった。2. 1984/85年期の10月上旬のほ場ブリックスは低いほうであったが, その原因をその直前の9月以前の気象の推移(台風, 降雨量など)によって説明することはできなかった。3.上記二つの収穫年期連続の低ブリックスに関連して, 両年期とも収穫期直前の10月以後のブリックスがあまり上昇しなかったが, これはこの10月以後の気象の影響もかなりあったことがある程度説明できる。4.この解析は従来の栽培方法によって生育したサトウキビについて行ったものである。さらに良い栽培方法の下で生育したサトウキビは, ある程度の気象のマイナス面に対しても本報告におけるほどのブリックス低下に至らなくなる可能性がある。これについては今後資料の蓄積を待って調査したい。5.さらに精度の高い調査研究結果を得るためには, 降雨量, 台風, およびこれらと関連したサトウキビの生理生態のおのおのについて一層の研究と資料の蓄積が必要と思われる。
著者
木村 政昭 上田 誠也 山里 清 加藤 祐三 大森 保
出版者
琉球大学
雑誌
一般研究(A)
巻号頁・発行日
1988

1986年に世界の背弧海盆に先駆けて中央地溝の一つである伊平屋海凹内で研究者らにより、低温で非晶質の熱水性マウンドが発見された。そこで、本研究においては、大洋中央海嶺で発見されたような硫化鉱床や大型生物コロニ-が認められるような高温の熱水性ベント・システムが背弧海盆にも認められるのかということを世界に先駆けて検証することを目標の一つとした。そして、それによって背弧海盆が大洋中央海嶺と同じ様な拡大メカニズムにより形成されたのかどうかということを明らかにしようと努めた。その結果、研究者らが参加・協力した調査・研究において以下に述べるような成果があげられた。昭和63(1988)年度:4ー6月、伊平屋海凹と伊是名海穴で熱水性生ベント・システム発見。ドレッジにより大型生物や硫化鉱床採取(ゾンネ号:「かいよう」)。9月には、前記熱水域に潜航し、熱水性鉱床・生物コロニ-等のサンプル採取に成功(「しんかい2000」)。平成元(1989)年度:4ー5月、伊是名海穴で高温熱水を噴出するブラックスモ-カ-が発見され、さらに新熱水域を発見する(「しんかい2000」)、1990ー91年の調査により、さらに北方の奄西海丘でも熱水性鉱床が発見された。1991年6月、沖縄トラフ南部北縁の潜水調査。トラフ縁の沈水時期を明らかにする(「スコ-ピオン」)。平成4年1月、南西諸島南方海域の海底地形精密調査。海溝運動と島弧・背弧海盆形成メカニズムを探る(「よこすか」)。以上、本研究により、発見された鉱床は、わが国経済水域内にあり、いわゆる黒鉱型鉱床に酷似し、金・銀を多量に含む珍しいものである。そして、シロウリ貝やバクテリア等も発見採取され、生命の起源解明にも寄与した。更に今後熱水域が新たに発見される可能性も指摘することができた。一方、構造探査の方では、沖縄トラフは典型的な大陸性地殻構造を持っていることが明らかになったが、鉱床の性質はそれと予盾しない。
著者
三浦 さおり
出版者
琉球大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2006

これまでに我々は、雄性先熟魚クマノミにおいて、全ての個体で未分化生殖腺が卵巣へ分化すること、その後しばらくしてから卵巣内に精巣が分化することにより両性生殖腺を形成するという特異的な性分化を経ることを明らかにした。しかしながら、クマノミの性分化過程において、どのように性ホルモンが関与しているのか不明である。雌性ホルモンの精巣分化の役割を明らかにするために、外因性の雌性ホルモンの精巣分化前の生殖腺と両性生殖腺への影響を調べた。その結果、雌性ホルモンは、卵巣内への精巣組織の分化を抑制し、両性生殖腺形成を阻害した。さらに、両性生殖腺の精巣組織の消失を引き起こした。このことから、雌性ホルモンは、精巣分化および両性生殖腺の形成、発達を抑制する可能性が高いことが示された。雄性ホルモンの性分化における役割を明らかにするために、外因性の雄性ホルモンの性分化および両性生殖腺の発達に及ぼす影響を調べた。その結果、雄性ホルモンは、卵巣分化の前後の生殖腺に雄化を誘導しなかった。さらに、両性生殖腺の卵巣への精巣分化、発達においても影響を与えなかった。しかしながら、卵巣腔の形成の遅延や輸精管様構造の分化を引き起こした。このことから、雄性ホルモンは、生殖細胞の分化よりはむしろ体細胞の分化に関与している可能性が高いことが示された。従って、これらの結果から、雄性先熟魚クマノミの性分化過程の卵巣分化には、雌性ホルモンおよび雄性ホルモンのどちらも直接関与している可能性が低いことが明らかになった。一方、精巣分化に伴う両性生殖腺の形成には、雌性ホルモンが低下し、雄性ホルモンが上昇することが重要であるものと考えられる。
著者
張 琳 米盛 重保 上里 健次
出版者
琉球大学
雑誌
琉球大学農学部学術報告 (ISSN:03704246)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.41-48, 2005-12-01

本調査研究では、ヒカンザクラの開花性における同一地域内の個体間差、地域間差および花芽の発育と花部器官の個体間差について比較検討した。調査は奥国道沿い、八重岳の高位、中位、低位所、嘉数公園、琉球大学内、与儀公園、八重瀬公園で実施した。得られた結果の概要は次のとおりである。1.同一時点の各調査地域における個体間差は幅広く見られた。また各調査樹の開花開始、満開、開花終了日および開花期間の長さにおいてもかなりの個体間差が確認された。2.沖縄におけるヒカンザクラの開花は、地域間では北部から南部へ移行することが認められ、また山地においては標高の高い所で早く咲くことが明確であった。これらのことは、北部および高所では開花に重要な低温遭遇の条件をより早い時期に満たされることを意味し、亜熱帯性サクラ特有のやや高い温度に反応する習性が早期開花の主要因と考えられる。3.花部器官の形態的な特徴にも標準とは異なる6枚の花弁、2本の雌ずいなどの変異が見られ、ヒカンザクラの花部器官もより多様であることが確認された。4.花色濃度の判別に対して、Adobe PhotoShopのRGB三原色分析をもとに、花色濃度指数を規定して花色の濃度差を比較した。この花色濃度指数は実際の花色の濃淡に即しており、利便性が高いと判断された。5.ヒカンザクラは早期開花を示すにもかかわらず、花弁形成、雄ずい形成、雌ずい形成時期は遅く、これには花芽の後半の発育が短期間になされることが考えられる。6.調査対象としたものはすべて実生由来ものであり、遺伝的には雑種であることから、開花性、花部器官における個体間差が生ずるのは当然のことで、その発現に当たってはむしろ環境要因よりも植物側のもつ遺伝性がより重要であると考えられる。
著者
村上 呂里 那須 泉 西岡 尚也 善元 幸夫
出版者
琉球大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

ベトナムでは、教え込みから子ども中心主義への教育改革に取り組んでいる。本研究は、貧困問題や差別、学力問題や言語問題などの課題を抱える少数民族地域の小学校をフィールドとし、共通の問題を抱えた沖縄で培われた理論や実践に基づき、ベトナムの教育改革の質的向上に参加した。その成果については、日本語版『日本・ベトナム共同授業研究の歩み-教え込みから子ども中心主義へ』(明石書店、2015)とベトナム語版"Tu giao duc nhoi nhet sang giao duc tich cuc"(フォレスト社、2106)として刊行し、ベトナム側にも広く還元した。
著者
狩俣 繁久 田窪 行則 金田 章宏 木部 暢子 西岡 敏 下地賀代子 仲原 穣 又吉 里美 下地 理則 荻野 千砂子 元木 環
出版者
琉球大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-04-01

消滅の危機に瀕した琉球諸語の奄美語の七つの下位方言、沖縄語の十の下位方言、宮古語の四つの下位方言、八重山語の五つの下位方言、与那国語の計27の下位方言、および八丈語を加えた計28の方言についての文法記述を行った。記述に際しては、統一的な目次を作成して行った。琉球諸語についての知識のない研究者にも利用可能なものを目指して、グロスを付した記述を行った。最終年度までに研究成果として『琉球諸語 記述文法』Ⅰ、Ⅱ、Ⅲの3冊を刊行した。
著者
新城 俊也 宮城 調勝 小宮 康明 島袋 進
出版者
琉球大学
雑誌
琉球大学農学部学術報告 (ISSN:03704246)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.183-190, 1990-12-05

3種類のさんご砂について排水せん断試験を実施した。結果を要約すると次のようである。1) さんご砂はさんご,貝類,石灰藻,有孔虫,うになどのさんご礁に棲息する生物の石灰質遺骸であり,場所によって粒度,粒形などの粒子特性が異なるが,炭酸カルシウム含有量が95%以上の石灰質砂である。2) 同じ相対密度でも砂ごとに密度に差があり,大きな間隙を形成する砂は緩詰め砂に類似した挙動,また小さな間隙を形成する砂は密詰め砂に類似した挙動を示し,応力∿ひずみ挙動は粒子特性によって決まる間隙比の大きさに支配される。3) 同じ相対密度でも大きい間隙比を形成する砂はせん断過程での粒子破砕が顕著であり,粒子破砕はダイレイタンシーなどの変形挙動に影響を及ぼす。4) 粒子破砕は側圧による強度増加の割合を減少させ,強度特性にも影響を及ぼす。5) 排水ヤング率E'は拘束圧σ'_cの増加とともに増大し,これらは式(3)の関係で表せる。一方ポアソン比νは拘束圧の増加に伴って減少し,これらは式(4)の関係で近似できる。
著者
秋永 孝義
出版者
琉球大学
雑誌
琉球大学農学部学術報告 (ISSN:03704246)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.325-329, 1975-12-01
著者
石嶺 行男
出版者
琉球大学
雑誌
琉球大学農学部学術報告 (ISSN:03704246)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.95-185, 1987-12-05

沖縄県の基幹産業の首位は依然として糖業によって占められ, 糖業は県経済の安定維持を図る上で極めて重要な役割を果している。イネ科作物のサトウキビは糖業の唯一の原料として県内のほとんど全域にわたって栽培されており, 栽培面積は総耕地面積の70%を超える。サトウキビを栽培している農家世帯は総農家数の85%以上におよび, その生産は農業粗生産額の30%前後に相当する。他方, 沖縄県は高温多湿な亜熱帯に位置し気候が海洋性であるため雑草の生育に好適な環境が形成されており, 至る処に多種多様の雑草の発生・繁茂がみられ, 植生の様相は国内の他の地方とは著しく異なる。本研究で扱ったサトウキビ畑の雑草は一年生草と多年生草を合わせて233種を数えたが, このうち最も大型で, 繁殖・散布が極めて旺盛であることから雑草害の大きい草種として注目されるのはイネ科の多年生草タチスズメノヒエとキク科の多年生草タチアワユキセンダングサの2種である。タチスズメノヒエは1,2,3月を除き常時発生し, タチアワユキセンダングサは周年発生する。このため両草種の防除には多くの時間, 労力, 費用を必要とし, 蔓延が広範囲におよんだ場合は, サトウキビの栽培上由々しい問題となることが予想される。また, 両草種に関する限り従来の除草剤, 機械力または人力に依存する防除対策には自ら限界があり, これらの慣行的方法と併せて新たに有効適切な防除体系を組み立てることが強く望まれている。本研究は, まずサトウキビ畑に発生する雑草群落の実態を把握し, 次に代表的な強害雑草と判断されるイネ科のタチスズメノヒエとキク科のタチアワユキセンダングサの生育と環境要因との関係を追究し, 更に研究の最終段階でサトウキビと両草種の競合関係を検討し, 生理・生態学的観点から両草種の効果的な防除につながる基礎的知見を得ることを目的として1981年から1985年にかけて県内の主なサトウキビ栽培地域と琉球大学農学部附属農場において行われたものである。以下, その結果を総括し, 結論とする。1雑草群落と雑草相群落調査の結果, 調査地点のサトウキビ畑で確認された雑草は, 18亜種22変種を含む59科181属233種であった。これを科別にみると, イネ科とキク科が最も多く, 次いでカヤツリグサ科とタカトウダイグサ科が主なものであった。確認された雑草の生活形を休眠型でみると, 総じてTh(1∿2年生草本)とH(接地植物)の比率が高い。新植畑におけるThの比率は南大東島で最も高く67.9%, 久米島で最も低く49.6%, Hの比率は久米島で最も高く32.8%, 南大東島で最も低く19.8%であった。出現種数は沖縄本島北部で最も多く158種, 南大東島で最も少なく83種であったが, このような地域による差異は土壌の種類, 土壌水分などの環境条件と栽培方法などの人為的要因の違いに基づくものと推定される。全調査地域に共通する種類は39種で, 局地的に出現する草種は沖縄本島北部が34種で最も多く, 次いで石垣島23種, 南大東島15種, 久米島14種, 沖縄本島南部と宮古島それぞれ11種, 沖縄本島中部4種の順となっている。全調査地域に共通して出現回数の最も多い雑草はハルノノゲシ, ルリハコベ, ハマスゲ, ムラサキカタバミ, メヒシバ, イヌホウズキ, ハナイバナ, オニタビラコ, オオアレチノギク, ヤエムグラの10種で, ハマスゲ, オニタビラコ, ムラサキカタバミ以外は一年生雑草で占められている。なお, 主要強害雑草と判断されるタチスズメノヒエとタチアワユキセンダングサは今のところ出現は局地的であるが, これは両草種が沖縄県に帰化後日が浅いことによるもので, 両草種の極めて旺盛な繁殖力, 散布能力その他の特性から推すと, 将来全域で発生する可能性がある。調査地点のサトウキビ畑に生育する雑草群落を分類すると, ハマクワガタールリハコベ群集とその下位単位である18亜群集, 22変群集, 5ファシスにまとめることができる(第42表)。雑草群落を作型でみると, 新植・株出畑両方に共通して出現する群落はツボクサ亜群集, ヤブジラミ亜群集, ヒメビエ亜群集, 典型亜群集の4亜群集とタチスズメノヒエ変群集, チガヤ変群集, オガサワラスズメノヒエ変群集の3変群集であった。新植畑だけに出現する群落はタチアワユキセンダングサ亜群集, ヒエガエリ亜群集, ヤエヤマコウゾリナ亜群集, コメツブウマゴヤシ亜群集, コギシギシ亜群集, ハリビユ亜群集, 典型亜群集の7亜群集とヒエガエリ変群集, トウダイグサ変群集, ノミノツヅリ変群集, タガラシ変群集, 典型変群集の5変群集であった。一方, 株出畑だけに出現する群落はカラスビシャク亜群集, ホシダ亜群集, ハイキビ亜群集, ツルソバ亜群集の4亜群集とインドヨメナ変群集, タイワンコモチシダ変群集, ススキ変群集の3変群集であった。チガヤ変群集は新植畑, 株出畑のいずれにもみられた。なお, 新植畑だけに出現する群落のうち2地域にわたって分布しているのはタチアワユ
著者
石嶺 行男 仲田 栄二 仲間 操
出版者
琉球大学
雑誌
琉球大学農学部学術報告 (ISSN:03704246)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.621-631, 1983-11-19

1本研究は琉球列島におけるサトウキビ畑の雑草群落を植物社会学的方法によって分類することを目的とし, 本報はその一環として沖縄本島北部地区の調査結果をまとめたものである。2沖縄本島北部地区のサトウキビ畑から37個の植生調査資料が得られた。これらの資料をチューリッヒ・モンペリエー学派の方法で表操作した結果, 次の植生単位が明らかになった。ハマクワガタールリハコベ群集Aホシダ亜群集a.典型変群集b.タイワンコモチシダ変群集B典型亜群集Cヤブジラミ亜群集i.ヘビイチゴファシースDヒエガエリ亜群集c.典型変群集d.ヤナキタデ変群集e.ハマヒエガエリ変群集3ホシダ亜群集は株出畑に, ヒエガエリ亜群集は新植畑に生育する。また, ヤブジラミ亜群集と典型亜群集は両方の畑に生育している。
著者
梶田 忠 高山 浩司 綿野 泰行 綿野 泰行 朝川 毅守 小野 潤哉 富澤 祐紀 Wee Kim Shan Mori Gustavo Saleh Nazre Yllano Orlex Gutierrez Jose 山本 崇 Miryeganeh Matin
出版者
琉球大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

マングローブは熱帯・亜熱帯の海岸に広がるマングローブ林を中心に構成される生態系で、人類にとって重要な生態系サービスを提供している。しかし、人間活動の影響により、マングローブ林は近年急速に破壊されつつある。そこで我々は、世界のマングローブ林を構成する主要樹種5群に注目し、分布域をおおよそ網羅するようなサンプルを用いて、統一的な手法で遺伝的多様性を解析・評価することで、(1)マングローブ林の遺伝的多様性の全球的空間分布の把握、(2)遺伝構造の形成要因の解析、(3)遺伝的多様性を用いたマングローブ林保全の検討等について、研究を実施した。4年間で5群の遺伝構造をほぼ終了し、報告書に記載の成果をあげた。
著者
池田 譲
出版者
琉球大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

巨大脳をもち高次脳機能を示すイカ類について、同種集団の社会構造を複雑ネットワーク分析により読み解く試みを行った。その結果、アオリイカでは群れ内にネットワークが作られていること、その形成に関わる脳の発達には、同種個体との共存という社会環境が関係すること。トラフコウイカ集団でもネットワークが形成されるが、その構成はアオリイカと異なることから、社会構造に種間変異が認められることが明らかとなった。
著者
前濱 剛廣 曽根川 富博 比嘉 晃
出版者
琉球大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

シリコンをHF溶液中において臨界電流密度以下で陽極化成すると多孔質シリコン層が形成される.その多孔質層は,多孔度に対応して屈折率も変化し,多孔度は陽極化成電流密度で容易に制御できる.この性質を利用して,電流密度を低・高と周期的に変調し,第1層の多孔質シリコンの格子パターンを下層に自己クローニングして作製する,屈折率孔質シリコン3次元周期構造(PS3DPS)の作製手法を確立し,3次元フォトニック結晶作製に応用することがこの研究の狙いである.本枡究での具体的な目標は,赤外領域の光に反応する1辺が約1μmサイズのPS3DPSの作製である.1μmサイズのPS3DPSの作製の基礎データを得るため,1μm層厚の1次元周期構造の形成特性を,走査電子顕微鏡及びX線2結晶法で詳細に調べ,10mA/cm^2と50mA/cm^2を交互に流す周期的変調法でほぼ設計通りの1次元周期構造が形成できることを確認した.1μm〜20μmの正方格子ホトマスクを用いた選択陽極化成と,提案した自己クローニング法でPS3DPSの作製を行い,どこまでPS3DPSサイズの縮小化が実現できるか走査電子顕微鏡による断面観測で調べた.その結果,(1)選択陽極化成のレジストとしてポジ形フォトレジストは不適でネガ形フォトレジストが適していることがわかり,(2)PS3DPSのサイズは,5x5μm正方格子を1μmの層厚で7層目まで自己クローニングできることが確認できた.また、サイズの縮小化と自己クローニングの繰り返し数の増加の障害となっている主な原因は,多孔質シリコンが深さ方向だけでなく横方向へも成長するためであることがわかった.今後は,多孔質シリコンの成長メカニズムを解明して,深さ方向に対する横方向成長比が小さくなる陽極化成条件を探索して,1μmサイズのPS3DPSを実現する研究をさらに進める必要がある.