著者
Putranto Heri Dwi 楠田 哲士 稲垣 佳代 熊谷 岳 石井(田村) 理恵 氏家 陽子 土井 守
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, pp.569-571, 2007-05-25
参考文献数
9
被引用文献数
2

アムールトラ雌2頭と雄1頭から糞を採取し,凍結乾燥後にメタノールでステロイドホルモンを抽出し,ETA法により糞中含量を測定した.雌のエストラジオール-17βと雄のテストステロン値は,年間を通しで顕著に変動した.雌2個体のエストラジオール-17βはそれぞれ26.4±8.0と28.0±14.2日間隔で上昇した.しかし,プロジェステロンは単独飼育した雌では変動せず,雄と同居させた雌では交尾後増加し,妊娠した1例で最終交尾から106日後に出産するまで高い値が維持されていた.
著者
山田 英一 住吉 浩 山我 義則 岡本 芳晴
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.68, no.7, pp.669-674, 2006-07-25
参考文献数
16
被引用文献数
1 5

犬猫におけるレーザー腸管溶接法を開発した.腸管は本実験用に開発した有窓式鉗子(LW鉗子)ではさみ,2種類の接触型プローブ(先端鈍:レーザー・バイポーラ・デセクター(LBD),先端鋭:スーパー・スカルペル・デセクター(SSD))を用いてLW鉗子の有窓部よりレーザーを照射し,腸管を溶接・切離した.半導体レーザー出力と溶接力の結果より,LBDを用いた場合の至適条件は犬猫ともに回腸では6〜10W,結腸では8〜10Wであった.また,SSDにおいては大の回腸では6〜8W,結腸では8〜10Wであった.一方,猫の回腸では10W,結腸では6〜8Wであった.さらにLBD,SSDともに回腸と結腸の間に溶接力の大きな差は見られなかった.有意差は認められなかったが,同一出力ではLBDの方が溶接力が強い傾向にあった.組織学的に,溶接部は完全に接合されていることが確認された.以上のことより,犬および猫の回腸または結腸のレーザー溶接は,LW鉗子を用い,LBDまたはSSDプローブで半導体レーザーを約8W,50-80秒(400-640J/cm)の条件で行えることがあきらかとなり,生体にも十分臨床応用できるものと思われた.
著者
Won Dong-Sun Park Chul In Young-Joo PARK Hee-Myung
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.66, no.5, pp.551-553, 2004-05-25
参考文献数
9
被引用文献数
7

3ヵ月齢のメスのシベリアトラが,後肢運動失調を主訴として建国大学獣医学教育病院に来院した.患畜は離乳後牛肉のみを給餌されており,カルシウム剤やビタミン剤は与えられていなかった.その症状は運動失調と,触診による後躯の疼痛であった.さらに,歩行異常,体動嫌悪,また神経学的検査により反射運動低下がみられた.レントゲンのラテラル像およびV-D像で腰仙骨の骨軟化性変化が観察された.PTHレベルは,猫のそれと比較して,上昇が認められた.以上の所見から本症例は栄養性二次性上皮小体機能亢進症と診断された.患畜の症状はビタミンDおよびカルシウム投与後,改善された.すなわち本症例は,カルシウムとリンの音量が不均衡な肉食で飼育された野生動物に発生した栄養性上皮小体機能亢進症である.
著者
桑村 充 井手 美佳 山手 丈至 白石 佳子 小谷 猛夫
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.68, no.10, pp.1117-1119, 2006-10-25
被引用文献数
1 26

4歳齢の柴犬が,原因不明の疼痛があり触ると過敏に痛がるとの主訴にて来院した.7日後,運動失調,後肢の脚弱とナックリングが認められ,第20病日に死亡した.剖検では胸椎に腫瘤が認められ,全身のリンパ節,腎,膵,脾,前立腺,甲状腺,心に白色斑が見られた.組織学的に,腫瘤は肉芽腫性炎症からなっており,抗Candida albicans抗体陽性の真菌が認められた.
著者
松井 寛二 菅野 茂 天田 明男
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獣医学雑誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.305-312, 1986-04-15

サラブレッド仔馬ならびに母馬各5頭に安静時鼻捻子保定を行い, 心拍数ならびに心電図に現れる変化について比較検討した。仔馬ではいずれの月齢においても, 鼻捻子保定による心拍数の減少は母馬に比較して顕著であり, 仔馬における徐脈効果は鼻捻解除後も少なくとも3〜5分間は持続した。仔馬, 母馬ともに鼻捻子保定による心拍数の減少にともなってA-B誘導心電図のT波の陰性成分が増大した。5頭中2頭の仔馬では, 3.5および4力月齢時の鼻捻子保定により, 第2度房室ブロックが誘発され, この現象は再現可能であった。
著者
和田 成一 倉林 秀光 小林 泰彦 舟山 知夫 夏堀 雅宏 山本 和夫 伊藤 伸彦
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.471-477, 2003-04-25
被引用文献数
2 18

三種類の細胞, CHO-K1, HMV-IIおよびL5178Yを用いてγ線照射によるDNA損傷と細胞死との関係を調べた.細胞の生存率はクローン形成法によって求められた.放射線照射によるDNA鎖切断とその再結合はアルカリ及び中性コメット法で測定された.三種類の細胞の中ではL5178Yが最も放射線感受性で,CHO-K1とHMV-IIは放射線抵抗性であった.これらの細胞の放射線感受性(2Gy照射時の生存率)と,アルカリ条件下での単位線量あたりの初期DNA損傷生成率の間には負の関係が認められた.一般に細胞の放射線感受性に関連すると考えられているDNA二本鎖切断の単位線量あたりの残存量(照射4時間後)と放射線感受性との間にも負の関係が認められた.今回用いた分析条件では,DNA初期損傷の評価にはアルカリ条件が,残存損傷の評価には中性条件が適することが分かった.今回用いたコメット法は,放射線によるDNA損傷を検出する他の方法よりも簡便で迅速であるので,放射線感受性を予測する方法として有用であると思われる.
著者
秋葉 和温
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獸醫學雜誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.22, no.5, pp.309-PLATE I, 1960-10-30

鶏の Leucocytozoon 病(L. caulleryi)は北海道と東北の一部の県を除いた各県に分布すると共に, 台湾, 印度支那, 泰, エジプドにも存在している. またその種類も5種類記載されている. しかし, その中間宿主は何れの種類においても未だ明らかにされていない. 私は今回, ワクモ (Dermanyssus gallinae), アカイエカ (Cnlex pipiens pallens) とニワトリヌカカ (Culicoides arakawae) の3種の吸血ダニならびに昆虫について媒介試験を試みた結果, ニワトリヌカカ体内に Zygote, Oocyst, Sporozoite が多数例に認めることができると共に, Sporozoite のみられたニワトリヌカカ乳剤を雛の静脈内接種により13羽の人工感染雛を得ることができた. また gametogony の出現は14日前後で末梢血液塗抹標本で検出しえた. これらの成績からニワトリヌカカが L. caulleryi の中間宿主であることが明らかになった.
著者
三浦 克洋 藤崎 優次郎 中島 靖之 村上 洋介 柏崎 守 後藤 信男
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獸醫學雜誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.399-409, 1981-06-25

1977年3月から4月に, 系統を維持しているマウスコロニーに呼吸器病が流行し, その臨床観察, 分離ウイルスの性状, 肺の病理組織学的変化, 細菌学的および血清疫学的調査からHVJの単独感染によることが明らかになった. 流行時, 多数の成熟マウスが発病・死亡し, 系統間に死亡率の差異が認められた. 実験室保存血清の抗体調査結果から, 当コロニーでは少なくとも1973年までさかぼのぼる限りHVJの汚染は起きていなかった. いっぽう, 別棟の購入マウスおよび今回の流行が起きた同一棟内のラットコロニーにおいては, すでにHVJによる汚染が生じていた. 流行マウスコロニーでは, 感染と同時に抗体が出現し生残マウスのほとんどは高い抗体価を示した. 流行終息後の1代産仔においては若齢時には抗体が検出されたが成熟時には検出されなかった. 1代産仔およびその後約2年間に生産された6-8世代のマウスには発病も抗体出現も全く認められなかった. このことから, 当コロニーでは流行時の発病マウスの淘汰, 約2か月間の繁殖停止および流行後の生残マウスの免疫獲得により, ウイルスの存続を防止できたものと考えられる. 謝辞: 本研究の遂行にあたって, 家畜衛生試験場国安主税博士, 今村憲吉技官, 日本医科大学鈴木博博士ならびに国立予防衛生研究所中川雅郎, 鈴木映子両博士に御協力いただいたのでここに深謝いたします.
著者
松岡 理 榎本 好和 大久保 義夫
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獣医学雑誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, 1962-08

放射性降下物(Fallout)の牛乳への移行を研究する基礎の段階として, 家兎およびラットに Sr^<89> および Ca^<45> を投与して, Sr が乳に移行する状態を検討した. また投与された Sr および Ca の血中での消長と, 糞および尿への排泄の量的関係を追求した. その結果, 投与された Sr は血液から急速に消失すること, Sr は一般に尿より糞に多く排泄されること(家兎で投与後の24時間を除く), そして哺乳中のラットでは, その差が数倍から数十倍に及ぶことが明らかになった. そして Carrier-free の Sr では, 投与量の21%が10日間に排泄されるのに対し, Carrier を加えたものでは, これが53.1%であった. 乳中の Sr^<89> の濃度は, 血中濃度にくらべて非常に高い. これは血中の Ca 濃度と, 乳中の Ca 濃度との大差に由来するものと推定された. 一回注射によって投与されると, Sr の乳への移行は, 血中での消長と同様に, 急速に減少すること, また連続同量投与がくりかえされると, 乳への移行量は漸増することがわかった. さらに飲料水に Sr^<89> を混合して経口的に摂取させ, 乳への移行を経時的に追求した. その結果, 摂取量の約10%が吸収され, そのうち約20%が乳に移行するものと推定された. またこのとき, 飲料水に非放射性の Ca が大量に加えられると, 乳への移行が抑制される. しかし同様に非放射性の Sr が加えられても, 乳への移行は抑制されないことがわかった. 乳中の Sr が, 化学的にいかなる形で存在しているかを, 種々の方法で検討した. その結果, 大部分は乳中のカゼインと結合していることが明らかとなった. このことから, 乳製品への Sr の移行に一つの方向が考えられるので, in vitro で家兎乳および牛乳に Sr^<89>, Ca^<45> および Y^<90> を付加して実験した. またこれらを付加した牛乳を超遠心分離にかけ, レンネットで凝固させて実験した. これによって, 付加された Sr^<89> も Ca^<45> も, 生体を通過したものと同様に, カゼインと結合すること, およびレンネット凝固によって, カゼイン側, すなわちチーズ側に移行することが確かめられた. さらにこれらの場合に, 非放射性の Sr または Ca が, 同時に大量に加えられたとき, カゼインへの移行が, 量的にどのように変化するかを検討した. そしてこの現象が, 汚染牛乳の除毒に役立つ可能性について考察した.
著者
セリム ハテムモハメド 今井 壮一 大和 修 カバニ アーメ キロロス ファイツ 前出 吉光
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.58, no.8, pp.799-801, 1996-08-25
被引用文献数
2

エジプトで飼育されている水牛, 牛および緬羊について, それらの第一胃内繊毛虫構成を調査した. その結果, 水牛では12属29種7型, 牛では10属28種11型および緬羊では7属18種6型がそれぞれ同定された. 牛と水牛では22種が共通してみられたが, 緬羊では12種が牛および水牛との共通種であった. 各家畜ともエントジニウム属, 特にE.simplex, E.nanellumおよびE.exigumが最も多くみられた. 以上から, エジプトの家畜反芻動物の第一胃内繊毛虫構成は, 水牛が熱帯地域の繊毛虫の一部を保有しているものの, 全体として, 温帯地域の反芻獣のそれと類似していることが明らかとなった.
著者
セリム ハテム モハメド 大和 修 田島 誉士 前出 吉光
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.61, no.4, pp.369-374, 1999-04-25
参考文献数
24

反芻動物のタマネギ中毒発症機序を明らかにする目的で, ヒツジの第一胃の胃液とタマネギ汁を混和してインキュベーシヨン(38.5℃, 9時間)し, そのエーテル抽出物がヒツジ赤血球に及ぼす影響を調べた. その結果, 第一胃液とタマネギ汁をインキュベーシヨンすることによって, 赤血球酸化傷害性を有する物質が生成することが判明した. この酸化傷害性物質は, 減菌した第一胃液では生成されず, 抗性物質の添加と高酸素条件によって著しく生成が抑制された. またin vivoの実験で, ヒツジにタマネギを15日間投与(50g/kg/day)すると著しいハインツ小体性溶血性貧血が発現したが, 同量のタマネギと同時にアンピシリンナトリウム(g/kg/day)を投与したヒツジにおいては, 貧血の程度が軽度であった. 以上の成績から, ヒツジのタマネギ中毒においては, 第一胃内の嫌気性細菌がその発症に関与することが示唆された.
著者
才田 祐人 田中 綾 羽山 庸道 曽田 藍子 山根 義久
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.437-439, 2007-04-25
被引用文献数
2 2

2ヶ月齢,雄のロングコート・チワワが肺動脈弁狭窄症と診断された.超音波検査における圧較差は158mmHgであった.そこで,経心室的肺動脈弁拡大形成術(Brock法)を試みた.術後,顕著な胸水貯留が認められたが,集中治療により術後5日目にはほとんど認められなくなった.術後2ヶ月目に実施された心カテーテル検査では,施術前と比較して右室収縮期圧の減少が確認されるとともに患畜の一般状態は大幅に改善された.
著者
遠藤 秀紀 九郎丸 正道 林 良博 大迫 誠一郎 松元 光春 西中川 駿 山本 英康 黒澤 弥悦 田中 一栄
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.60, no.6, pp.731-733, 1998-06
参考文献数
11
被引用文献数
4 8

徳之島リュウキュウイノシシ(Sus scrofa riukiuanus)の下顎骨7例を計測し, 奄美大島, 加計呂麻島, 沖縄島, 石垣島, 西表島産102例の既存の計測値と比較検討した.島嶼間で下顎サイズの統計学的検定を行うとともに, 主成分分析により, 各集団間の骨計測学的特徴を把握した.徳之島産資料は, 長径および幅径において, 奄美大島産と沖縄島産より有意に大きく, リュウキュウイノシシにおいて従来から提唱されてきたサイズクラインは, 成立していないことが明らかになった.主成分分析の結果, 下顎の大きさと形は, 特に雌で島嶼集団毎に明確に分離された.形の要素として第2主成分得点を見ると, 徳之島集団は沖縄島集団と類似し, その他の集団と区別できることが明らかとなった.今後蓄積される形態学的データを基に, 各島嶼集団における形態変異の適応的意義が検討され, 各集団間の進化学的相互関係が明確になることが期待される.
著者
谷澤 浩二 水野 隆弘 上田 耕司 小山 生子
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science) (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.1041-1043, 1986
被引用文献数
2

5例の猫において, 癲癇発作に対して長期のタウリン経口投与が効果的であった。抗癲癇薬を使用することなく, 脳波上の棘波と臨床症候は消失又は著明に減少した。
著者
丸山 総一 平賀 慎也 横山 栄二 直井 昌之 鶴岡 祐二 小倉 吉洋 田村 勝利 灘波 信一 亀山 やすひこ 中村 悟 勝部 泰次
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.60, no.9, pp.997-1000, 1998-09
被引用文献数
11 35

1994年5月から1995年6月にかけて, 神奈川県および埼玉県の7ヵ所の動物病院より採取した総計471検体の飼育猫の血清について, B.henselaeとT.gondiiの感染状況を調査した.さらに, これらの中の無作為に抽出した67頭の猫について, 猫免疫不全ウイルス(FIV)抗体ならびに猫白血病ウイルス(FeLV)抗原の検索を行った.B.henselae抗体価は間接蛍光抗体法で, T.gondii, FIV抗体ならびにFeLV抗原は市販のキットを用いて測定した.調査した猫のうち, 43頭(9.1%)がB.henselaeに対し, 41頭(8.7%)がT.gondiiに対する抗体を保有していた.B.henselaeに対する雄猫の抗体陽性率は12.9%と雌猫の5.2%に比べ有意に高い値を示した(p<0.01).一方、T.gondii抗体陽性率は雄猫の9.1%, 雌猫の8.7%で有意な差は見られなかった.各病院ごとの猫のB.henselae抗体陽性率は0〜19.5%, T.gondii抗体陽性率は4.0〜18.8%であった.B.henselaeおよびT.gondii抗体陽性の猫は1歳以下〜14歳まで見られ, T.gondii抗体陽性率は年齢とともに上昇する傾向が見られた.無作為抽出した67頭の猫血清のうち, 16頭(23.8%)がFIV抗体を6頭(8.9%)がFeLV抗原をそれぞれ保有していたが, これらとB.henselaeの陽性率との間に関連性は認められなかった.
著者
猪熊 壽 大野 耕一 山本 静雄
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.61, no.10, pp.1153-1155, s・vi, 1999-10
被引用文献数
3 35

山口大学家畜病院に来院した犬430頭を対象にEhrlichia canisおよびHepatozoon canis抗体保有状況を調査するとともに,感染に関連する要因(年齢,性,品種,屋外室内飼育,住所)を解析した.E.canisおよびH.canis抗体陽性率はそれぞれ4.7と4.2%であった.両抗体とも性および年齢別の陽性率には差が認められなかったが,高い陽性率を示す市町が存在した.また屋外飼育の犬は室内飼育のものに比べて陽性率が高かった.さらにE.canisではビーグル,ゴールデン・レトリバー,ポインター,またH.canisについては秋田,柴,ビーグル,ポインター,雑種といった品種で陽性率が高い傾向がみられた.
著者
長谷川 晃久 佐藤 文夫 石田 信繁 福島 康敏 向山 明孝
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.62, no.10, pp.1109-1110, 2000-10-25
被引用文献数
1 51

馬の性判別を迅速に行なう方法としてY染色体性決定領域(SRY)およびアメロゲニン遺伝子(AMEL)を同時増幅する方法を開発した.これによりY染色体の有無とSRY遺伝子の有無を同時に判定することが可能となり, 本法はXY雌馬症例に対して時間と経験を要する細胞遺伝子学的な分析を行なう前の迅速診断法として有効と考えられた.
著者
白井 明志 有嶋 和義 政岡 俊夫 高木 博隆 山本 雅子 江口 保暢 赤堀 文昭
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.413-414, 1994-04-15
被引用文献数
1

ラット胎子動脈管に対するパラコート(PQ)の作用を検索した.PQを25mg/kgの用量で妊娠19〜21日のラットに剖検前3時間に投与した.胎齢19日の午後1時に剖検した胎子では,動脈管の収縮はみられなかったが,胎齢19日の午後4時以降に剖検した胎子では有意な動脈管の収縮がみられた.これらの結果は,PQは胎子動脈管に対して収縮作用をもち,その収縮の臨界期は胎齢19日の前半であることを示すものである.