著者
原 幸男 小林 弘枝 大城 聡美 二村 圭介 西野 威 中郡 昭人 天間 恭介 近藤 洪志
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.135-143, 2001-02-25
参考文献数
33

ベンゾジアゼピン誘導体のひとつであるジアゼパムの心収縮力におよぼす影響とその機序を摘出モルモット心臓および単離心室筋細胞標本で検討した.ランゲンドルフ心および右心室自由壁標本で, ジアゼパム(100μMまで)は濃度依存的に一相性の陰性変力作用を示した.このジアゼパムによる一相性の陰性変力作用は中枢性ベンゾジアゼピン受容体拮抗薬(フルマゼニル1μM)および末梢性ベンゾジアゼピン受容体拮抗薬(PK11195 10μM)で影響されなかった.ジアゼパム(10から100μM)は乳頭筋の活動電位幅を濃度依存的に短縮した.単一心室筋細胞を用いたパッチクランプ法で, ジアゼパム(30および100μM)は濃度依存的にカルシウム電流を抑制した.ジアゼパムによるカルシウム電流の抑制は, カルシウム拮抗薬ベラパミルで見られる使用依存性抑制とは異なり, tonic block(使用非依存性抑制)の形であった.これらの結果から, ジアゼパムはモルモット心臓標本において, ベンゾジアゼピン受容体を介さずに一相性の陰性変力作用を示し, その機序はカルシウム電流の抑制にあると考えられる.
著者
望月 雅美 大澤 直子 石田 卓夫
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.61, no.9, pp.1071-1073, 1999-09-25
参考文献数
33
被引用文献数
10

猫の消化器疾患に関係するウイルスの検索のために猫糞便を調べた. 特に逆転写酵素遺伝子増幅法を用いて猫コロナウイルス(FCoV)に焦点を当て検索した. 最も高頻度に検出されたのは猫汎白血球減少症パルボウイルス(FPLV;陽性率28.5%)で,次がFCoVであった(10.7%).FCoV陽性の猫に共通した症状は嘔吐, 下痢および脱水で, 多くは間もなく回復した. しかし, FPLVが混合感染していた猫は重症であった.
著者
染谷 梓 大槻 公一 村瀬 敏之
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.69, no.10, pp.1009-1014, 2007-10-25
参考文献数
17
被引用文献数
6 13

西日本のある採卵農場において発生した大腸菌症について報告する.隣接する産卵鶏舎に2ヶ月間隔で導入された18〜21週齢の3鶏群(各27,000羽)において,導入の2〜4週後に1日あたり10数羽〜40羽の死亡が認められた.剖検の結果,気嚢及び心外膜における淡黄色の滲出物,肝包膜の線維素性滲出物による肥厚,股関節内側の暗赤色混濁,総排泄腔の損傷が認められた.病変部スワブより大腸菌が純培養状に分離されたため,大腸菌性敗血症であると考えられた.染色体DNAのXbaI切断後のパルスフィールドゲル電気泳動(PFGE)パターンにより遺伝的に近縁と考えられる株(パターンA)がすべての鶏群から分離され,84.6%(22株)を占めた.この株において,PCRにより,病原性に関与すると考えられているastA, iss, iucD, tshおよびcva/cvi遺伝子を検出した.本菌株とは近縁ではない,異なる2パターン(B及びC)を示す3株及び1株がそれぞれ異なる2鶏舎より分離された.これらの菌株が保有する病原性関連遺伝子の組み合わせはそれぞれパターンAの菌株とは異なっていた.以上の成績より,すべての鶏群より分離された遺伝的に近縁な株がおもに発症に関わったものと思われた.死亡数の増加がいずれの鶏群においても産卵開始期であったため,発症には産卵開始の関与が示唆された.
著者
酒井 洋樹 中野 裕子 山口 良二 米丸 加余子 柳井 徳磨 柵木 利昭
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.65, no.6, pp.731-735, 2003-06-25
被引用文献数
2 7

4歳雄ボルゾイの皮膚の悪性組織球症より新しい犬の細胞株CCTを樹立した. CCTは緩く接着しつつ増殖し,倍加時間は約30時間であった.ラテックスビーズと混合培養によりCCTはビーズを旺盛に貧食し,免疫染色でビメンチンおよびリゾチーム,細胞化学染色で非特異的エステラーゼおよび酸性ホスファターゼが陽性を呈し,組織球の性質を示した.さらに,ヌードマウス皮下接種により,原発腫瘍と同様の特徴を有する腫瘍を形成した.
著者
森 陵一 小高 鐵男 添田 聡 佐藤 淳 柿野 淳 浜戸 祥平 高木 久 内藤 善久
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.67, no.12, pp.1223-1229, 2005-12-25
被引用文献数
2 32

若い大型動物の中には, 葉状骨(laminar bone)で長骨を形成し, 成長に伴い, ハバース骨に置換されることが知られている.今回は, 若いウシ, ブタ, ヒツジの脛骨を, 走査電顕による反射電子像で観察した.ウシの新生子と1ヶ月齢は典型的な同心円状の葉状骨を示し, ブタの新生子と1ヶ月齢は葉状骨による網目状構造を示した.ヒツジの新生子はウシに類似し, それらの骨量の形成速度は, 6ヶ月齢までは同様で, ブタよりは高比率を示した.ウシの骨単位は6ヶ月齢で最内層に少数現れ, 1歳齢では外層に葉状骨が残存するものの骨全体に現れていた.ブタの6ヶ月齢は最外層を除き, 多量の骨単位が観察された.ヒツジの6ヶ月齢に骨単位は認められず, 1歳齢では中層に限り少量観察されたが, その量はウシよりも高比率を示した.ヒツジの1歳齢ではウシと比べ, 骨単位の広い骨吸収領域が観察され, ヒツジの骨量は6ヶ月齢から1歳齢にかけて減少した.その結果, 1歳齢のウシは, ヒツジよりも高い葉状骨の割合を保持し, ブタは, 最も速い骨単位による骨改造を示した.今回観察した3種の成長過程における長骨の組織像と骨量の相違は, 同一の科(ウシとヒツジ)では, 体重や体高の違いに起因し, 科が異なるブタは, 前者と比べ多産系で, 幼体期に母体への依存度が高いためかもしれない.言い換えると, ブタの骨量の低さは歩行の遅さを強く示唆する.また, それぞれの動物間で, 骨単位の初期形成の部位が異なることが推察されたが, この, 点と骨改造の正確な開始時期は, 今後, 連続的な経齢変化を追って検討する必要がある.
著者
金内 長司 光岡 知足 山本 脩太郎 瀬賀 利夫
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獸醫學雜誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.28, no.5, pp.229-236, 1966-10-25

The authors previously devised an inexpensive germ-free chicken cage that couldbe used for experimetnts of 3 or 4 weeks duratiotx. In this study, cage operations werecarried out from January tltrough December, 1965.The following results were obtained.1. Out of 9 experiments to rear germ-free chicks in 8 cages each, eight were suc..cessful from a bacteriological point of view. The other experiment could not be corn..pleted>bacause of an accident in electrical heating. In one experiment, contaminationwas noticed in all 8 cages within 2 days after hatching.2. For bacteriological exatnination>the specimens were collected from more thanfifty eggs with 18 or 20-day-old embryos at the following sites: inside the egg membrane,on the surface of the embrvo>e?u volk>antd intestinal contents. Bacteria were recoveredfrom only a few sites of these eggs Oll culture media with very sntaJ] colony counts.3. One hundred and fortv-four sterilized CggS with 20-dav-old embrvos introducedin the cages gave an average hatchabilitv of 75%. The uerrrt-free t"ate of chicks wasabout 90% at 2 davs after Itatchinw (Just before feeclin:) and about 7Ocs at 25 cta.s or a.e.4. Conventional chicks reared on a non-sterilized cJiet irt cages showed a highergrowth rate than the 8CFITl-fFCC ChlCkS. Ill .1VCt1&C bOd>z weiwht, the male and fernaleconventional chicks were 40 amxd 30 Q, restcectivelv>heavier than the cour-tterparts or thegerm-free chicks at 25 days of age.5. There was no noticeable difference in the growtln rate at 25 days of age betweengerm-free chicks reared on a commercial diet arnd those on diet L=I37 reportect byRE,YNIERS at al.
著者
中村 孝 中張 淳平 町田 登 桐生 啓治 町田 昌昭
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獸醫學雜誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.405-408, 1984-06-01

日本カモシカの剖検例5例の肝臓に槍形吸虫 (Dicrocoelium dendriticum) の寄生をみとめた。吸虫は胆管内に寄生し, 粘膜における上皮細胞の過形成および globule leucocyte の出現, 粘膜下織におけるリンパ球・好酸球の浸潤, 胆管壁における肉芽組織増殖および線維性肥厚がみられた。
著者
津曲 茂久 東野 利忠 高木 香 大場 茂夫 佐藤 昌介 武石 昌敬
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獣医学雑誌 (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.797-801, 1991-10-15
被引用文献数
1

妊娠馬10頭を用いて妊娠1から11ヶ月まで, 血漿中estrogen, gestagen, cortisol (F), 13, 14-dihydro, 15-keto-PGF_2α(PGFM)および妊馬血清性性腺刺激ホルモン(PMSG)を測定した. estron (E_1)とestradiol-17β(E_2)は妊娠8ヶ月前後にピークを示し, progesterone (P)は妊娠3と11ヶ月で増加し, 17α-OH-progesterone (17α-OHP)は妊娠3ヶ月に明瞭なピークを形成した. 20α-OH-progesterone (20α-OHP)は妊娠6ヶ月より急激に上昇した. PGFMは妊娠2と11ヶ月にピークを示し, FとPMSGは妊娠2と3ヶ月にそれぞれピークを示した. 因子分析において, 妊娠月齢, E_1, E_2, 20α-OHPは妊娠進行に伴い増加する変数として第一因子に含まれた. PMSG, 17α-OHP, Pは副黄体に関係する変数として第二因子に, PGFMとFは妊娠2ヶ月における変化により, 第三因子に区分された. Pは第二因子に含まれたが, 第一と第三因子にも影響を受け, PGFMとは対立的な関係性を示した. 結論的には, 第一因子に含まれたE_1, E_2および20α-OHPは妊娠6ヶ月以降の胎盤機能の指標として有用であることが示唆された.
著者
村田 浩一 柳井 徳麿 吾妻 健 宇仁 茂彦
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.65, no.8, pp.945-947, 2003-08-25
被引用文献数
1 20

膵内分泌腺癌が原因で死亡した飼育下の成雌ユキヒョウ(Uincia uncia)の右心室内および肺動脈内にフィラリア成虫3隻の寄生を認めた.虫体の計測値は犬糸状虫(Dirofilc immitis)のものとほとんど一致しており,形態およびミトコンドリアDNA COI領域の比較においてもD.immitisと遠いが認められなかった. D.immitisはこれまでネコ科動物2属3種に感染が報告されているが,新たな宿主としてユキヒョウが加えられた.
著者
加世田 雄時朗 野村 晋一
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獸醫學雜誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.335-342, 1973-08-25
被引用文献数
1 1

From a mec.hanical point of view, tlte swimming movement of fish was studied claieflyby electromyograph. Investigation was also carried out on the function of the segmentalarrangement of the body muscle which is found in fish and other lowest vertebrate.A carp was restrained to a fish holder in the water-tank. Then tactile stimulationwas given to the whole body of the fish, from head to tail. Reflex movements were evokedby stimulation.(l) The stimulation to a selected point on the operculurm produced a body bendingreflex toward the contralateral side of the stimulation.(2) Tl?e stimulation to the base of the dorsal fin evoked a body bending reflex to-ward the same side of the stimulation.These reflex movements were analyzed by cinematography and electromyography.The muscles observed by electromyography were M. carinatus dorsalis, M. latero-dorsalis,M. latero-ventralis, and M. carinatus ventralis. Results from the electromyographicalrecords are summarized as follows.(I) When the operculum was stimulated, the largest burst was observed at Id 6of M. Iatero-dorsalis and lv 6 of M. latero-ventralis.(2) When the base of the dorsal fin was stimulated, the largest burst was observedat ld 4 of M. latero-dorsalis.The results of analysis of those reflex movements by cinematograplay and electromyo-graphy are summarized as follows.(l) The reflex movement which was evoked by the stimulation to the operculumwas the initial motion of backward swimming nTovement.(2) The reflex movement evoked by the stimulation to the base of the dorsal finwas the initial motion of forward swimming movement.(3) The independence of the activities and function of each myomere of the bodymuscle was an essential factor of the swimming movement of fish.
著者
鈴木 孝司 大久保 真人
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獸醫學雜誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.59-67, 1977-02-25
被引用文献数
4

Each lung of the domestic animals, exclusive of the horse, is divided intothe cranial, middle and caudal lobes with an addition of the accessory Robe in the rightlung. This lobation is in agreement with that described by Ellenberger and Baum (1932),but not with that mentioned by Seiferle (1956).The horse has the uniform left and right lungs divided into two lobes, as mentionedby Sisson and Grossman (1954). Regardless of the external difference, the left and rightlungs of the horse have those structures which correspond to the lobar bronchi and lobarblood vessels present in the lungs of the other domestic animals. There are, however, thefollowing differences: (l) The cranial and middle lobar bronchi in both lungs of the horseconstitute a common trunk, as is formed in the left lung of the other domestic animals,and (2) the caudal pulmonary vein in the right lung which is an unbranched vein in theother domestic animals is composed of cranial and caudal branches that enter the leftatrium.From a comparative anatomical point of view there are no fundamental differences inlobar bronchi and blood vessels between the unlobated lung of the horse and the lobatedlung of the other domestic animals.
著者
鎌田 洋一 星 英之 長木 勇人 小崎 俊司
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.64, no.9, pp.767-771, s・iv, 2002-09-25
参考文献数
22
被引用文献数
1

ボツリヌス菌が産生するC3酵素と呼ばれるADP-リボース転移酵素は,GTP-結合タンパク質の1つであるRhoAタンパク質にADP-リボースを転移し失活させる.ヒト神経芽腫GOTO細胞をC3酵素処理するとRhoAタンパク質の修飾の後,神経突起が誘導される.私たちはC3酵素に対しモノクローナル抗体を作成し,C302と名づけ,その性状を検討した.C302はC3酵素のタンパク質分解酵素処理して生じた小さなフラグメントには反応せず,C302のエピトープは立体構造依存性であると考えられた.C302はC3酵素の生物学的活性およびADP-リボース転移酵素活性を効率良く中和した.C302のC3酵素活性抑制と生物学的活性抑制における用量依存曲線は良く類似していた.C3酵素処理によって神経突起が誘導されているGOTO細胞に対しC302を反応させたところ,GOTO細胞の形態がC3酵素処理以前に復帰した.C3酵素とC302モノクローナル抗体は,RhoAタンパク質を介する細胞現象の解析研究に役立つと考えられる.
著者
佐々木 栄英 北川 均 藤岡 透 鬼頭 克也 岩崎 利郎 坂口 雅弘 井上 栄
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.683-685, 1995-08-15
参考文献数
15
被引用文献数
8

慢性皮膚疾患に感染した51頭の犬に対して, 34種の抗原を用いて, 皮内反応テストを実施した結果, 4例がスギ花粉抗原に陽性反応を示した. この4例は, Prausnitz-Kustnerテストが陽性で, スギ花粉に対する特異IgE抗体を持っていることが示された. さらに, スギ花粉の素抗原を鼻腔内に滴下し, 臨床観察を行ったところ3例中2例で鼻汁の漏出を認めた. 以上の結果から, これらの大はスギ花粉に対する過敏性と診断され, スギ花粉は犬のアトピー性疾患の原因の一つであることが明らかにされた.
著者
増田 宏司 橋爪 千恵 菊水 健史 武内 ゆかり 森 裕司
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.183-187, 2004-02-25
参考文献数
19
被引用文献数
7

人においてカテコールO-メチル基転移酵素(COMT)遺伝子の第4エクソンに存在する一塩基多型(G322A)はバリンからメチオニンヘのアミノ酸置換を伴い,酵素の活性を変化させるとともに"固執"や"統合失調症"といった性格や精神疾患との関連が示唆されている.そこで,犬における同様な多型を検索する目的で,まず犬のCOMT遺伝子断片のPCR増幅を試みた.得られた663 bp の遺伝子は人やラット,マウスのCOMT遺伝子と82%以上の相同性を有しており,犬COMT遺伝子である可能性が示された.続いて10頭のビーグル犬より得られたcDNAをもとに同遺伝子の多型部位を検索したところ,翻訳領域39,216,482番目に一塩基多型(G39A, G216A, G482A)が認められ,そのうちG482Aはアルギニンからグルタミンヘのアミノ酸置換を伴うものであった.さらに5犬種(ゴールデンレトリバー,ラブラドールレトリバー,マルチーズ,ミニチュアシュナウザー,シバ)から成る計266頭の血液より得られたゲノムDNAを用いてこれらの一塩基多型の発現頻度を犬種別に比較したところ,遺伝子型およびアレル頻度ともにG216AおよびG482Aについて有意な犬種差が認められた.これらの結果より,得られた遺伝子多型が犬の性格特性の遺伝的背景を探る上で有用な手掛かりとなる可能性が示された.
著者
藤村 正人 大森 啓太郎 増田 健一 辻本 元 阪口 雅弘
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.64, no.11, pp.1069-1070, 2002-10
参考文献数
11
被引用文献数
1 21

スギ(Cryptomeria japonica)花粉症の犬が新鮮なトマトを摂取した後,口腔アレルギー症候群(OAS)を発症した.この犬は血清特異的IgE検査でスギ花粉とトマト抗原の両方に陽性を示した.また,スギ花粉とトマト抗原の間でIgE交差反応が認められた.本研究においてトマトのOASが犬に存在して,スギ花粉とトマト抗原との間に関係があることが分かった.
著者
中臺 文 黒木 俊郎 加藤 行男 鈴木 理恵子 山井 志朗 柳沼 千春 塩谷 亮 山内 昭 林谷 秀樹
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.97-101, 2005-01-25
参考文献数
21
被引用文献数
2 54

2000年11月から2002年7月の間に,ペットショップの爬虫類112頭におけるサルモネラの保有状況を調査したところ,74.1%(83/112)と高率に本菌が分離された.分離された112株は5生物群に型別され,I群の割合(62.5%)が最も高かった.また,112株中54株は28血清型に型別可能であった.これらの成績から,ペットの爬虫類は人のサルモネラ症の感染源となる可能性が示唆された.