著者
田畑 暁生
出版者
神戸大学
雑誌
神戸大学発達科学部研究紀要 (ISSN:09197419)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.247-260, 2002-09
著者
月村 太郎
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

本研究の目的は21世紀初頭の国際政治において喫緊の課題となっている民族紛争について、政治学、比較政治学、国際政治学の分析ツールを利用して、特に発生、激化・拡大、予防、解決について論じることであった。得られた知見を纏めると以下のようになる。1.民族紛争の特徴について-民族紛争は一般的に泥沼化する傾向が強い。その第一の原因はリーダーシップの弱さであり、逆説的だがそれ故に立場の急進化が見られる。そこには代行者の存在、中央と出先の温度差が存在する。第二の原因は民族紛争ではゲリラ戦術が採用され、小火器が主に利用されることである。第三には争点がアイデンティティであることが指摘できる。2.民族紛争の発生について-民族紛争発生の原因には基底的原因と直接的原因がある。そして基底的原因の問題性が悪化して直接的原因となるパターンと、基底的原因に何らかの変化が生じてそれが直接的原因となるパターンがある。また民族紛争の発生と貧困化と民主化は密接な関係にある。3.民族紛争の激化と拡大-まず紛争の垂直的次元の成長である激化と水平的次元の成長であると拡大は区別しなくてはならない。激化過程では当事者間のコミュニケーションの減少、欠如が見られ、それが激化に大きく作用し、また激化によって争点が変化することもある。そこでは安全保障ジレンマが影響することもある。民族紛争の拡大には伝播と介入がある。4.民族紛争の予防-予防策のうち、現在の国際社会において許されるのは多民族性を維持しながら国境の変化させない方策である。代表的なものは、連邦制、多極共存、文化的自治があるが、いずれも統治の効率性が低下する。5.民族紛争の解決-解決の主体は外部者である。平和維持は現在盛んに利用されているが、平和維持は紛争を「瞬間冷凍」したに過ぎない。紛争を根本的に:解決するのは平和構築が必要である。軍事介入の場合には、介入者の有権者(=納税者)への説明責任が前提である。研究成果報告書では、以上の特に1.〜3.の観点から、旧ユーゴ内戦を事例研究として取り上げた。
著者
白鳥 義彦 岡山 茂 大前 敦巳 中村 征樹 藤本 一勇 隠岐 さや香 上垣 豊
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

研究課題として設定した、①「大衆化」と「卓越化」との二律背反の相克、②高等教育の「自由化」政策の影響、③リベラル・アーツと教養教育、という3つのテーマを軸に日仏両国の比較研究を進めた。日本およびフランスのいずれの国においても、さまざまな「改革」の動きの一方で、ともすれば見過ごされているようにも見受けられるのは、「改革」を通じてどのような高等教育を目指すのか、あるいはまた、その新たな高等教育を通じてどのような社会を目指すのか、といった本質的、理念的な問いである。研究代表者および研究分担者は、こうした根本的な問いを共有しながら、それぞれの具体的な研究テーマに取り組んで研究を進めた。
著者
綿貫 友子
出版者
神戸大学
雑誌
海事博物館研究年報 (ISSN:1880005X)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.8-12, 2010-03
著者
三浦 伸夫
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

1.17末から19世紀前半までの英国の数学愛好者は総称してphilomathとよばれるが、その総数は2-3万人であり、イングランドはもちろん、スコットランドやアイルランドにまで及ぶ。これは同時期のフランス、ドイツ、イタリアには見られない現象である。2.普及した原因はいくつかあげられる。英国では18世紀になると印刷公刊が制度的に容易になり多くの数学書が公刊され、また行商人が各地でそれを販売し、巡回講義が頻繁に行われそこで販売されたこと。海外進出に伴い航海術が盛んになり、そのための実用数学が広く要請されたこと。北部への開墾が進み、軍事的にも正確な測量術が要求されたこと。産業、商業が展開し、さまざまな計測法の実用書の需要が増大したこと。それらの実用数学を教える学校が設立され、そのための教科書が数多く印刷され、それが相乗効果になって数学愛好者が増えたこと。女性に娯楽としての数学という発想が普及し、女性にも数学が普及したこと、など。3.彼らは独自の社会的ネットワークを構成し、ハバーマスのいう公共圏が数学界にも適用できる。その中心はThe Ladies Diaryという雑誌であった。The Ladies Diaryに関しては、その価格、普及の度合いなど詳細な研究成果を研究成果報告書に記載。そのほかの雑誌には、The Palladium, The Stockton Beeなどがある。4.数学愛好者の数学は、ニュートン流の数学ではなく、もっぱら実用数学であった。5.実用数学のための数学器具がさまざま考案された。このことはフランスでも同じであるが、フランスの器具が豪華、大型、真鍮製で銘が彫られているのに対して、英国のものは小型、木製や象牙製で無名のものが多い。英国では実用器具として大衆に普及したことがわかる。
著者
大西 裕 品田 裕 曽我 謙悟 浅羽 祐樹 磯崎 典世 川中 豪
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、日本における選挙管理に関する政治学的・行政学的研究の嚆矢である。選挙管理は途上国に限らず政治的に中立性を保ちにくく、それだけ政治権力からの独立性が必要とされている。しかし、韓国のように独立性が強い国ではそれゆえに選挙管理機関自体が政治化しやすい。制度と選挙管理のパフォーマンスの間にも先行研究が指摘するような対応関係は確認できず、全国一律で実施されている日本でもバリエーションが発生する。
著者
藤村 聡
出版者
神戸大学
雑誌
國民經濟雜誌 (ISSN:03873129)
巻号頁・発行日
vol.206, no.6, pp.1-27, 2012-12
著者
萩原 泰治 足立英之
出版者
神戸大学
雑誌
國民經濟雜誌 (ISSN:03873129)
巻号頁・発行日
vol.185, no.4, pp.83-96, 2002-04
著者
岩壷 健太郎
出版者
神戸大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

為替介入のメカニズムとして通貨当局のシグナル効果が指摘されてきたが、必ずしも実証的に支持されるものではなかった。本研究では、投資家間の期待の散らばり度合いによって、シグナル効果が影響を受けることを理論的に示し、データを用いて実証的に検証した。
著者
青山 薫 鈴木 賢 日下 渉 北村 由美 伊賀 司 石田 仁 小田 なら 林 貞和
出版者
神戸大学
雑誌
挑戦的研究(開拓)
巻号頁・発行日
2023-06-30

性的マイノリティの存在を認め、すべての人の人権を擁護するために定着した「性の多様性」。だが、この概念は英語由来のジェンダー二元論を超えてはいない。二元論ではその存在が十分に説明できない人たちがアジアを始めさまざまな文化で確認されてきており、現在の概念系は、この人たちを承認し、人権としての「性の多様性」とその侵害を正確に把握することができないでいる。そこで本研究は、アジア9ケ国でいわゆる「非典型的な性」の歴史を調べ、現在生きている当事者に聞き取りをして、《性の多様性》とは何かを改めて明らかにする。そして、こちらの《多様性》に基づいて、現行のジェンダー概念を超える性の概念を構想する端緒をつける。