著者
浦野 幸子 増田 友美 小松原 衣代 今村 雄二 鹿内 晶子 北村 祥子
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2005, pp.G0952-G0952, 2006

【はじめに】近年介護保険導入以降、介護サービス事業所が増え続けている。当社は平成13年に訪問リハ、平成15年には通所サービスの提供を始めた。過去4年間に渡る経験の中で賠償責任保険の対象となった事例は3件である。その反省点等を踏まえ、在宅サービス提供現場における事故後対応マニュアルの第一報として述べる。<BR>【事例紹介】事例1:平成14年9月、訪問リハビリ中RAの女性、腹臥位にてリラクゼーション開始後肋骨に疼痛出現。翌日受診し肋骨骨折と診断される。示談まで1ヶ月。事例2:平成15年11月、訪問リハビリ中、脳梗塞左片麻痺の女性、SHB使用し独歩可能。裸足歩行を希望され、試行したところ内反出現し内外果骨折。翌日受診し安静加療で2~3週間の自宅療養となる。示談まで半年。事例3:平成17年5月、通所介護施設内、脳腫瘍摘出後両不全片麻痺の女性、右T字杖監視歩行レベル。監視下において起立し歩行開始直後、右側へバランスを崩し転倒。殿部・後頭部打撲。脳外科は異常なし。翌日、整形外科受診し坐骨骨折と診断。示談まで3ヶ月。<BR>【対応マニュアル】(1)事故の処置後、担当者は、家族・管理者へ連絡。事故状況の客観的な事実確認をし謝罪。(2)当日戻り次第、ケアマネジャー・主治医へ連絡。また本人へ身体状態の確認や謝罪の為、再度電話連絡。(3)翌日は管理者が訪問し、謝罪・事故状況の事実確認・受診結果と治療方針の確認・補償の説明など行う。担当者は身体の経過確認、見舞い目的で電話連絡。(4)1週間以内には、再度管理者が訪問し謝罪・治療経過・費用の確認・保険会社、所轄保健福祉事務所、事業所所在地の市町村福祉課、当事者在住の市町村福祉課へ事故報告書の提出をする。(5)月1回管理者は、訪問し身体の見舞いや費用の支払い等を行う。(6)それ以外は担当者と連携をとり7日以上期間を経過することなく電話や訪問にて接点を持つことが望ましい。(7)完治の状況確認をし、示談書を交わし終了。<BR>【考察】振り返ると日頃の利用者との信頼関係は大きな影響があると考えられる。事例2においては、示談までに6ヶ月の期間を要した。これは、担当者と管理者との連絡ミスによる利用者との関係が損なわれた結果である。事故防止に努めることはもちろんであるが、その後の対処によっては事業所への信頼に大きく影響する。これらの経験を通して事故状況はもちろん、訪問日時、電話日時、それらの内容、第3者の反応、訴えの変化等を記録に残しておくのは必須であると痛感した。<BR>【まとめ】通常表面上には出てこないが、非常に重要な課題である事故後の対処法によって報告した。訪問や通所では利用者と距離感が近いだけに、これまでのサービス姿勢を貫き、スムーズな誠意ある対応ができるよう一助になれば幸いである。
著者
出口 仁 松永 好孝 青井 健 中島 英彦 竹井 義隆
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.C3P1377-C3P1377, 2009

【目的】医療従事者には腰痛症の有病率が高く、業務遂行の補助的手段として軟性コルセットが使用されることが多い.今回我々は、腹部締め付け型コルセット(以下、腹部型)と二重構造による腹部・背部同時締め付け型コルセット(以下、腹・背部型)の2種類を比較し、腰部への締め付けが腰痛および動きやすさに及ぼす影響について検討したので報告する.<BR>【方法】平成20年9月~10月に腰痛により軟性コルセットを着用して業務を行ったことのある職員9名(男性3名、女性6名、平均年齢は44.0±15.4歳)を対象とした.対象者の任意の日に腰痛QOL尺度をRoland-Morris Disability Questionnaire(以下、RDQ)での自己評価後、業務時間内に、コルセットなし(条件A)、腹部型装着(条件B)、腹・背部型装着(条件C)の3条件下で偏りのない業務を実施してもらい、各条件下での腰痛の程度および動きやすさをVisual Analogue Scale(以下、VAS)において回答を得た.RDQの得点から対象者を無得点群と得点群に分けて比較検討した.<BR>尚、本研究はヘルシンキ宣言に沿い行われ、対象者全員に本研究の目的を説明し、同意を得た.<BR>【結果】RDQ0点の無得点群は4名、1点以上の得点群は5名であった.平均年齢は無得点群51.3±19.6歳、得点群38.2±9.4歳で有意差は見られなかった.無得点群では腰痛の程度は条件A:27.0±5.9、B:18.0±10.9、C:4.5±3.1で条件Aと条件Cとの間に有意差がみられた.動きやすさは条件A:12.5±8.6、B:6.3±2.5、C:6.0±3.6で有意差は見られなかった.得点群では腰痛の程度はA:63.0±19.6、B:49.2±23.6、C:38.0±12.2で条件Aと条件C、および条件Aと条件Bとの間に有意差が見られた.動きやすさは条件A:75.2±25.8、B:64.4±19.5、C:41.6±16.6で条件Bと条件Cとの間に有意差が見られた.<BR>【考察とまとめ】腰痛については両群とも条件Aと条件Cとの間に有意差が見られたことからコルセットによる腰部への締め付けが腰痛軽減に有効であったことが明らかになった.さらに得点群にのみ条件Aと条件Bとの間に有意差が見られたことから、業務以外の日常生活にも支障を及ぼすような腰痛については腹部型でも有効であることが示唆された.これは腹圧による腰椎安定機構に加え、腹横筋が付着するlateral rapheを介して胸腰筋膜機構が引っ張られ上下の腰椎を安定させる機構に起因すると考えられる.<BR>動きやすさについては無得点群では3条件下で有意差を認めなかったが、得点群では条件Bと条件Cとの間に有意差が見られた.腰椎の制動効果よりも腰痛の軽減により諸動作の改善に寄与したと考える.<BR>腰痛発生時の業務実施にコルセットを装着することは手っ取り早い手段ではあるが、どの腰椎安定性機構が欠如しているかが評価され、それに基づき適切なコルセットが選択される必要性を感じた.また、腰椎安定性機構を補うための運動療法や教育も含めた効果についても検討する必要があると考える.
著者
増田 基嘉 奥田 邦晴 林 義孝 西島 吉典 生田 泰志
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2005, pp.G0956-G0956, 2006

【目的】<BR>多くの種類の障害者が参加するスポーツの一つに水泳競技がある。それ故にその指導や競技力向上のためには、競技特性と選手の持つ障害特性を考慮して運動特性の共通性と独自性を明らかにする必要性がある。我々は第40回学術大会において、定常状態となったストローク動作中の下肢麻痺者の泳速度増加に伴う三角筋前部や大胸筋などの特徴的筋活動量の変化について報告した。今回、脊髄損傷などの下肢麻痺者がスタート時に飛び込みやプール壁を蹴り出すことができないことに注目し、下肢による推進力がなく上肢のみで加速しなければならない下肢麻痺者を想定して、スタート直後のストローク動作中の肩周囲筋活動の検討を行った。<BR>【対象と方法】<BR>大学体育会水泳部に所属する選手10名を対象とした。被験者には、口頭および文書にて実験の主旨を説明し、同意を得た。運動課題は自由形泳法にてATレベルと全力の運動強度にて泳ぎ、スタートから3ストローク間の三角筋前部、大胸筋、上腕二頭筋、三角筋後部、上腕三頭筋、広背筋、僧帽筋上部の筋活動を表面筋電図法にて測定した。さらに下肢麻痺者の想定として、壁蹴り動作を行わないことと下肢が屈曲位となる特徴的姿勢を再現するためにベルトを用いて下肢屈曲位に保持させた。スタートはいずれも水中スタートとし、通常の泳ぎではスタート時の壁蹴りとキックによる推進を行い、下肢麻痺者の想定においては、下肢による推進を行わないようにした。各条件において3回測定し、記録した筋電図よりストロークごとの各筋の平均RMS値を求め比較した。<BR>【結果】<BR>大胸筋において、泳速度に関係なく1ストローク目の筋活動量が、下肢による推進がある場合より下肢屈曲位保持で有意に大きかった。また上腕三頭筋のATレベルの1ストローク目において、下肢屈曲位保持が下肢による推進がある場合よりも筋活動量が有意に大きかった。<BR>【考察】<BR>今回、スタート直後の下肢による推進の有無が上肢の筋活動に与える影響を検討した。Pinkらは、プル動作中の肩伸展筋として大胸筋と広背筋があるとし、その前半に大胸筋、後半には広背筋が働くとしている。今回の測定結果から下肢による推進がない場合、スタート直後の推進には大胸筋の貢献度が高いことが明らかとなった。スタート直後においてプル動作の前半で主に機能する大胸筋の筋活動量が増大することから、実際の下肢麻痺者のスタートまたはターン動作は上肢への負荷が大きいことが考えられる。またそのため短水路での練習ではより肩関節への負担が増大することが予測される。このように理学療法士の立場から、健常者と共通性の多いスポーツ動作においても障害特性による運動の違いを評価することで、スポーツ指導における固有の指導理論の確立や競技能力の向上、さらにリスク管理につながる情報提供ができると考えた。<BR><BR>
著者
石井 博之 金子 純一朗
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2003, pp.C0172-C0172, 2004

【目的】<BR>青年海外協力隊隊員としてマレイシアで2年間、青年海外協力隊調整員としてアフリカのマラウイで2年間の活動の中から発展途上国で活動するためにはより現地に適応した技術(適正技術)をさらに見出していく必要がある。特に医療の行き届かない農村部において、ポリオ発症後の下垂足や脳卒中や脳性麻痺による軽度の尖足が日常生活の歩行を妨げている障害者を多く目にした。その為強い強制力は必要としない短下肢装具の必要性を感じた。また装具作製にあたっては加えて現地で容易かつ安価に素材が入手でき、また作られたものが現地の気候の中でも快適な素材で作られていること、更に作製に高度な技術を必要とせず、かつ現地に既にある技術を活用できる必要性を鑑み、途上国の多くで利用されている腰巻き(サロン)の素材である綿の布を使用し、また、途上国でよく見かける縫製職人の技術で作製可能かつ安価に作製可能な短下肢装具の開発をした。また、この装具の強制力を把握するため、他の装具及び裸足との矯正力の比較をおこなった。<BR>【方法】<BR>日本の足袋を参考に基本モデルを作製し、既存の軟性装具を参考に縦方向と8の字にストラップを取り付けた(自作装具)。装具の背屈方向への矯正力を天秤ばかりを応用して実験装置を作製し、計測した。被検者は健常成人12名(平均年齢25.3±2.1才・男性6名・女性6名)。足を実験装置に載せて後方の錘で釣り合いを取り、500gの錘を前方に載せて底屈角度を裸足、自作装具、プロフッター装着にて10回測定した。<BR>統計処理は、装具を要因とした一元配置分散分析および多重比較検討(Fisher's PLSD)にて検討した。なお、有意水準は1%未満とした。<BR>【結果】<BR>装具を要因とした一元配置分散分析及び多重比較検定により、「自作装具」と「裸足」、「プロフッター」と「裸足」間で有意な主効果が得られた。また「自作装具」と「プロフッター」間では有意差は認められなかった。<BR>【考察】<BR>今回作製した装具は一般の軟性装具とほぼ同程度の矯正力があることが示唆された。しかし今回は静的場面での矯正力の検討のみであり、今後は動的場面での矯正力の把握が必要不可欠である。また、ストラップの取り回しや素材の違いによって矯正力や矯正の方向が変わると思われ、今後の研究課題としたい。<BR>【まとめ】<BR>今回、途上国農村部においても作製可能な装具を開発し、その矯正力も確認することができた。今後はさらに耐久性に着眼し、改良を重ねていきたいと考えている。また、完成したものは足のサイズに合わせた型紙を作製し、現地の言葉で書かれた説明文を添えることによりどこでも現地の縫製職人などが作製可能にする予定である。<BR>また、私が国際協力に携わる中で必要と感じた理学療法分野の適正技術は装具だけではなく、今後は車椅子や義肢、座位保持装置などに加え、理学療法手技においても考えていきたい。
著者
坪田 朋子 黒木 薫 菊地 伸 渡邉 好孝
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.Eb0599-Eb0599, 2012

【はじめに、目的】 東日本大震災発生から約8ヶ月間,宮城県理学療法士会(以下,県士会)では災害対策本部を立ち上げ,被災住民および会員の支援活動を展開している.誰もが初めて経験する甚大な被害に対して,理学療法士として何を求められ何をすべきか,試行錯誤を繰り返している.行政機関や県士会会員の多くが被災し混乱する中で,全国からの理学療法士ボランティアを受け入れ,関係各団体と調整を行いつつ被災住民のニーズに合った活動をコーディネートすることは困難を極めた.また今回は日常的な医療・保健福祉の連携の充実度が災害時の支援体制構築に大きく影響した.そこで災害対策本部の活動を報告するとともに,今我々がすべきことについて考察する.【方法】 平成23年3月15日 災害対策本部設置.本部長・副本部長任命.会員の安否確認を開始.3月17日 県士会ホームページによる情報発信開始.3月20日 宮城県健康推進課からの支援要請受託.3月23日 県士会ボランティア募集開始.3月24日 理事会・災害対策委員会開催.災害対策本部内に事務局・住民支援班・会員支援班を設置.3月25日 県内各地の保健福祉事務所所属理学療法士からの情報収集開始.避難所巡回開始.4月1日 会員支援情報発信ツールとして「G!MPニュース」発行.4月4日 県士会ボランティア派遣開始(気仙沼市・南三陸町・石巻市・多賀城市).4月16日 県士会ボランティア研修会開催.4月27日 宮城県・日本理学療法士協会(以下,協会)・宮城県作業療法士会との支援検討会議開催.5月6日 協会ボランティア派遣開始.5月12日 災害対策本部内に活動支援班設置.5月26日 大崎市・栗原市への県士会ボランティア派遣開始.5月31日 多賀城市への県士会ボランティア派遣終了.7月1日 石巻市渡波地域包括支援センターからの支援要請受託.7月2日 大崎市・栗原市への県士会ボランティア派遣終了. 9月2日 気仙沼市・南三陸町への県士会ボランティア派遣終了.9月10日 協会ボランティア派遣終了. 10月1日 活動報告会開催. 11月1日現在石巻市において支援活動継続中.【倫理的配慮、説明と同意】 本報告はヘルシンキ宣言に基づいて作成し,支援活動状況の撮影および画像の使用,学会などでの発表については本人に十分な説明を行い,同意を得ている.【結果】 平成23年11月1日現在,県士会登録ボランティア154名.多賀城市のべ41人,石巻市のべ205人,気仙沼市・南三陸町のべ231人,大崎市・栗原市のべ18人を派遣.【考察】 今回,県士会災害対策本部として本部長・副本部長以下,事務局・住民支援班・会員支援班・活動支援班を設置したが,独立した渉外および広報の部門が必要であったと思われる.災害時には多くの支援団体が次々と現地入りされるため,渉外がそれらの連絡・調整と現地コーディネーターからの情報収集に専従することで,効率の良いボランティアの人員配置や各団体の専門性を活かした分業・協業の策定などを行うことができたと考えられる.広報については今回活動支援班が担当したが,独立して現地コーディネーターや災害対策本部各班からの情報を収集し,刻々と変化する被災地の状況とそれらに対して県士会がどう活動しどれだけのボランティアを必要としているのかを,インターネットを最大限に活用してリアルタイムに発信する必要があった.これらにより,各都道府県士会において有事の際の対策本部組織編成と業務分掌について明らかにしておく必要があると思われる.また,住民支援活動においては現地コーディネーターの存在が非常に重要であった.コーディネーターは日常的に中核病院・保健師・ケアマネージャー・介護保険サービス事業所などと協業し,地域特性を熟知していることが必要不可欠であるが,今回はコーディネーターを担える理学療法士は少なかった.平時の医療・保健福祉の連携の充実度が災害時の支援体制構築に大きく影響するため,それぞれの分野に関わることのできる我々がつなぎ役となり,日常的にリハビリテーションを通じて地域作りに貢献することが必要である.また,今回はコーディネーターが被災状況の把握・リハビリテーションニーズの調査・他職種との連携・派遣ボランティアの応接など多岐に渡る業務をほぼ1人で行わなければならなかった.今後は各地域に調整員の配置が望まれる.【理学療法学研究としての意義】 有事における対策本部組織編成を綿密に検討する必要性と地域において理学療法士が中心となってネットワークを構築することの重要性が示唆された.
著者
梅原 肖美 脇元 幸一 岡田 亨 斉藤 仁 佐々木 紗英
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2003, pp.H1046-H1046, 2004

【目的】<BR>我々は、2002年6月よりN高校アメリカンフットボール部に対して、医科学的サポートを実施している。今回、傷害調査とフィジカルチェックを通して、オフェンス(以下OF)・ディフェンス(以下DF)別の受傷機転と身体能力の関連性について以下に報告する。<BR>【対象】<BR>2002年6月~2003年11月にN高校アメリカンフットボール部に在籍し、ライン以外のポジションの選手、延べ29名、平均年齢16.4歳を対象とした。<BR>【方法】<BR>傷害調査は、2003年1月から10月の期間、聞き取り調査を実施した。調査結果より、傷害で1日以上練習を制限、または試合を欠場した選手の受傷機転を調べた。受傷機転は1対1のコンタクト時を単数群、密集や、1対複数の受傷を密集群とし発生傾向を調査した。<BR>フィジカルチェックは、年に2回6、10月に実施した。項目は、以下のとおりとした。身体計測「体重・体脂肪・筋力量」、柔軟性測定「指床間距離;Finger-Floor-Distance以下FFD、下肢伸展挙上;Straight-Leg-Raising以下SLR、踵殿間距離;Heel-Buttock-Distance以下HBD」、筋力テスト「等尺性膝伸展筋力、等速性膝伸展筋力;以下60deg/sec(peak-Torque/Body-Weight)」。結果は,Wilkcoxonの符号順位和検定を用いた。<BR>【結果】<BR>傷害調査結果、対象は31件だった。その中でポジション別、受傷機転別での傷害発生は、OFは単数群7件、密集群5件、DFは単数群12件、密集群5件であった。フィジカルチェックの結果によるOFとDF間の違いは、体重OF:62kg、DF:61kg、体脂肪率はOF:13.7%、DF:13.9%、SLR:はOF:84°、DF:86°、HBDはOF:8.6cm、DF:8.9cm、等尺性膝伸展筋はOF:111.0kg/kg、DF:102.9kg/kg、60deg/secは、OF:99%、DF:101%、と有意差は認められなかった。<BR>【考察】<BR>傷害調査より、OFはDFより1対複数のコンタクトによる受傷が多い傾向にあった。これは、OF選手がタックルの対象になるため、多数の選手より大きな外力を受ける結果と考えられる。また、フィジカルチェックでは、OF・DF間に有意差はなく、身体特性と受傷機転には関連性が認められなかった。これには、競技年数が浅く初心者が多いことから各ポジションにおける身体能力の確立が十分でないことが原因として考えられる。このため、選手の身体能力の状況とポジション別の障害発生の傾向を十分理解し、現場のリスクマネージメントと競技力向上に協力していくことが重要と考える。
著者
時本 清己 北村 俊英 有吉 智一 高野 絵美 赤江 由之 竹下 美紀 山地 悦子
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.G3P1570-G3P1570, 2009

【はじめに】当院の臨床実習においてこれまで系統立てたリスク管理教育を行ってきたとは言い難い経過があった.実習生は経験が乏しい故に、患者が有しているさまざまな問題点から起こりえるリスクを自ら予測した行動をとれないことが多い.臨床実習の現場において、患者と実習生の双方のためにも事故はあってはならないことである.しかし、すべてにおいて未熟な学生にさまざまな経験を積ませていかなければならない現状がある.臨床実習指導者(以下、指導者)として事故が起こらないよう患者と実習生双方の能力を的確に把握し、指導者としてもリスク管理を行わなければならない.<BR>実習生に経験を積ませる過程で指導者の関わり方は、ひとつひとつのリスクを解説して理解の程度を確認しながら進めていくという作業であった.<BR>今回、実習生が現場に潜んでいるリスクを察知して、未然に事故防止のための行動が自らとれるように準備するためのトレーニング方法として危険予知トレーニング(以下、KYT)を実践したので報告する.<BR>【KYTとは】KYTは、労働災害防止対策として高度成長期の建設業界で開発された短時間危険予知訓練である.職場内の小グループで短時間での問題解決能力もしくは危険予想能力の向上を目的に実施されてきたものである.基本的には、「自分を守ること」を想定している.近年、このKYTが「医療従事者である自分を守るため」と「対象者である患者を守るため」にリスクマネジメント教育として医療用に応用され、徐々に導入されつつある.<BR>【目的】リスクに対する感受性を高め、さらに集中力や問題解決能力を高めつつ実践への意欲をも高めるKYTという手法を用いて、実習生自身が事故の可能性を察知し事前に防止するための手だてを講じる能力を身につけさせることを目指す.<BR>【方法】医療現場のさまざまなイラスト等を使い、実習生がその場面に相対する当事者となって、その状況の中に潜んでいるリスク要因とそれが引き起こす事態を想起する.実習生が取り上げたリスク要因を指導者は決して否定することなく、そのリスク要因を取り上げた根拠をともに確認しあう.そして、そこに起こりえる事態に対してどのような対策をとるのかを話し合い、理解を深めるという作業を行う.<BR>【考察】実際に用いたイラスト等から経験の乏しい実習生でも予見し、リスク要因を挙げることができた.目の前で見えているレベルのリスク要因から陰に潜んでいるレベルのリスク要因までさまざまなことに気付き、回数を重ねることで取り上げることのできるリスク要因は増した.ただ、このKYTの効果を判定するツールが不充分なため、この整備が今後の課題になると考えている.しかしながら、実習生が患者という対象者の行動を予測し、自らリスク要因を排除する行動がとれるようにするトレーニング方法として今後も工夫を重ねていきたい.
著者
藤川 純朗 横井 輝夫 米中 幸代 高田 聖歩
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.B0720-B0720, 2008

【目的】脳血管障害後遺症者や認知症高齢者などでは,体幹や頚部が側屈した状態で食事をしている場面をみることがある。なかでも脳血管障害後遺症者では,体幹の側屈時に頚部の立ち直りがみられる場合とみられない場合がある。臨床経験として頚部の立ち直りがみられる場合には,誤嚥を疑う重要な症状であるむせや咳き込みが少ないと感じていた。そこで本研究では,誤嚥に深く関与する嚥下に要する時間に,体幹と頚部の側屈が与える影響について表面筋電図を用いて検討した。<BR>【方法】被験者は研究の目的と方法を説明し,同意が得られた学生12名(男性5名,女性7名,平均年齢21歳)である。測定の対象筋は,嚥下に伴う随意運動の開始の指標として口輪筋,嚥下反射の開始の指標として舌骨上筋群である。測定したパラメータは嚥下時の口輪筋と舌骨上筋群の活動持続時間,及び口輪筋活動開始から舌骨上筋群活動開始までの間隔である。測定条件は,安楽な椅子座位と体幹30度側屈で頚部の立ち直り有りと無しの3通りである。全ての姿勢で頚部は軽度屈曲位である。体幹側屈・頚部の立ち直り無し条件では,頭部を側屈した体幹の延長線上に保持した。体幹側屈・頚部の立ち直り有り条件では,被験者は前方に置かれた鏡をみて頭部を垂直に戻した。体幹の側屈角度である30度の設定は,ある介護老人保健施設での昼食時,最も側屈が著明であった者の角度である。実際の食事中の体幹の側屈には骨盤傾斜を伴うため,側屈角度の測定は,日本整形外科学会の基準を参考にして,軸心は第5腰椎棘突起,基本軸は第5腰椎棘突起を通る垂線,移動軸は第5腰椎棘突起と第1胸椎棘突起とを結ぶ線とした。被験食品は,中スプーン1杯量である計量された10gの市販のおかゆとした。測定手順は,測定者がディスプレイ上の筋電図の軌跡が安定することを確認した後,静かな声で"はい"の合図を出し,喉頭の挙上で嚥下を確認してディスプレイ上の軌跡が再び安定するまで記録した。測定は5回行い,その平均値を被験者の代表値とした。統計処理は,反復測定による1元配置の分散分析を行い,有意差が認められた場合は,下位検定としてDunnett法を用いた。<BR>【結果】椅子座位条件と体幹側屈・頚部の立ち直り有り条件の間では,3パラメータにおいて有意差は認められなかった。また体幹側屈・頚部の立ち直り無し条件は,椅子座位条件に比べ,口輪筋と舌骨上筋群の活動持続時間に有意な延長が認められ,2筋の活動開始間隔には有意な差は認められなかった。<BR>【考察】嚥下に要する時間は体幹の側屈のみでは延長せず,頚部の立ち直りの有無が深く関連していた。その機序は十分な検討が必要だが,体幹や頚部の側屈がみられる脳血管障害後遺症者などでは,摂食姿勢を整える際,特に頭部の正中位保持に留意する必要がある。
著者
山田 洋一 堀本 ゆかり
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.GbPI1476-GbPI1476, 2011

【目的】理学療法士(以下PT)養成校での教育目標は、「ある程度の助言の下で基本的理学療法が行えるレベル」とされ、卒業後、所謂「一人前」と言われるレベルまでの教育は、所属施設を中心に行われている。しかし、臨床現場における教育方法に、決められた手法はない。養成校教育での教育目標はブルームによる「認知領域」、「精神・運動領域」、「情意領域」の3つの領域「Taxonomy」に分けられているが、卒後教育ではあまり使用されることはない。特に、「情意領域」は、臨床実習で重要視されている反面、卒後教育では個性として解釈されるように思われる。今回の調査では、多項選択肢、自由記載等による無記名「自己認識アンケート」と「PRESIDENT版ゴールドバーグ性格検査」を医療施設に勤務するPTに行い、臨床現場で働くPTの意識調査を行い、「性格特性」との関連に知見を得たので報告する。<BR>【方法】静岡県内の医療施設を無作為に抽出し、そこに勤務するPTに郵送で調査を行った。調査期間は平成22年10月18日から10月22日までとし、5施設67名から回答を得た(回収率:100%)。対象者の内訳は、平均年齢29.5±6.5歳、平均経験年数6.4±5.7歳(男性42名、女性25名)最終学歴は、大学院1名、大学6名、短大1名、4年生専門学校23名、3年生専門学校36名である。統計解析は(株)日本科学技術研修所 JUSE StatWorks Ver.4.0を使用し、数量化1類で解析した。<BR>【説明と同意】ヘルシンキ宣言に準拠し、対象者には本研究の意義を説明し、同意を得たうえで実施した。<BR>【結果】まず、「免許取得後、一人前と判断する経験年数」は、経験年数に関係なく、概ね10年前後と回答しているものが多かった。「自己意識で治療技術と学術面のいずれの重要度が高いか」の質問では、経験年数が低いほど「治療技術向上」の重要度が高いと回答した。さらに「論文等への興味の有無」で層別化したところ経験年数が上がるにしたがい、「興味がない」と回答した者は「治療技術向上」の重要度が増加し、「興味がある」と回答した者は「学術的向上」が増すという傾向を示していた。<BR>「PRESIDENT版ゴールドバーグ性格検査」の結果では、「神経症傾向」が高い者のほうが「治療技術」の重要度が高い傾向がみられた。また、今後の自己課題の内容を問う設問では、臨床能力・問題解決能力・教育力・折衝力・リーダーシップ力・マネジメント力のうち「外向性」が低い者ほど「問題解決能力」が課題であると回答していた。さらに、目的変数を「一人前と判断する経験年数」とし、相関係数行列で関係性の強い変数を選択し数量化1類で解析したところ、今後必要とされる要因では「教育力」、「治療技術」、「マネジメント力」、性格特性では「外向性」が選ばれた(重相関係数 0.752)。選ばれた変数の中でも特に「教育力」の分散比が大きい傾向であった。<BR>【考察】ノーマンは人間の性格特性を「神経症傾向」、「外向性」、「開放性」、「調和性」、「誠実性」の因子に収斂されるとした。この性格特性と職業適性の間には高い相関性があるとしている。我々の業務の中心は患者と向き合い、理学療法を通して医学的側面から患者の社会適応性を高めることである。しかし、それ以外に日常的にそれぞれのポジションによる管理業務や調整、採算の効率化、教育なども行っていかなければならない。今回の回答で、解析上、PTが「一人前」になるための条件として「教育力」が選択されたことは、治療技術向上だけではPTとしての完成形ではないという意識の現れであると思われる。卒後教育に多くを依存する治療技術の習熟にはある程度のトレーニング期間が必要である。日常業務の中で上質な治療技術を提供し、患者貢献に役立てたいと思う若手の焦りは当然であろう。しかしながら、専門理学療法士制度にも垣間見るように理学療法は科学的根拠に基づく治療技術のスタンダード化を求められている。根拠のある治療技術の習得の基盤は学術的実績の積み重ねであることを認識することが重要と思われる。<BR>また、若手の教育では性格特性を踏まえて、教育法を選択しキャリア構築することが重要と思われる。中堅職員の育成に向け、早期に臨床的技術・学術・性格という3要素を考慮し、職場内教育を展開することは、組織の戦略上重要な課題であると考える。<BR>【理学療法学研究としての意義】専門理学療法士制度では、臨床技術・学術の双方の能力が求められている。この数年急増している若手職員の教育の如何では、PTの質の低下は加速する事が懸念される。さらにそれは彼らが教育する臨床実習生にも波及していく。若手のリテラシーの低下が懸念されるなか、より効率的な若手教育に向け意識や要因を分析し、教授方法を検討することは急務であると考える。
著者
片岡 正教 安田 孝志 藤本 愛美 川崎 純 木村 大輔 島 雅人 赤井 友美 上田 絵美 山本 真士 日下 由紀夫 石原 みさ子 奥田 邦晴
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.E4P3215-E4P3215, 2010

【目的】<BR> 2009年9月8日~15日、東京にてアジアユースパラゲームズが開催され、14歳~19歳の身体障害者、知的障害者のユース選手を対象に陸上競技、ボッチャ、ゴールボール、水泳、卓球、車いすテニスの6競技が行われた。その中で、日本障害者スポーツ協会の次世代育成強化事業として、理学療法士10名が科学委員として関わり、大会参加選手の競技動作のデータ収集を行った。本研究の目的は、次世代を担うユース選手に対しての競技力向上における理学療法士の関わりについて、実際の競技場面での動作解析の有用性を通して、今大会で行ったデータ収集と共に報告することである。<BR>【方法】<BR> 対象は、2009アジアユースパラゲームズ陸上競技に参加した27ヶ国229名の選手であり、日本代表選手約65名を中心としたアジア各国代表選手であった。そして、対象種目は短距離走、長距離走、リレー競技、砲丸投げ、円盤投げ、走り高跳び、走り幅跳びであり、9月11日~13日に行われた実際の競技場面における動作をハイスピードカメラ(CASIO EXILIM EXF-1)及びデジタルビデオカメラを用いて撮影した。ハイスピードカメラの取り込み周波数は300Hzとした。また、デジタルビデオカメラで撮影した動画は二次元動作解析ソフトDARTFISH(DARTFISH社)で解析・処理を行った。そしてそれらの動画をDVDデータとして各国のパラリンピック委員会、撮影対象選手ならびに主催者であるアジアパラリンピック委員会に配布した。<BR>【説明と同意】<BR> 本研究は日本障害者スポーツ協会の科学支援事業として行い、大会主催者であるアジアパラリンピック委員会からも承認を得た上で行った。<BR>【結果】<BR> トラック競技においては、スタートダッシュや走動作、長距離走における周回ごとのフォームの違い、リレーのバトンパス等、フィールド競技では投てき種目でのスローイングフォーム、跳躍種目での踏み切りや跳躍動作等、実際の競技場面における選手の素早い動作を、ハイスピードカメラで撮影した動画によりスローモーションでより詳細に確認することができた。二次元動作解析では、実際の競技場での撮影であり、キャリブレーションを行うことができなかったため、各関節の角変位や角速度などの動作解析指標は算出することができなかった。しかし、ストロモーションという処理で、走動作や跳躍動作の連続的な動作を確認したい相に分けて観察することができた。その後、これらのデータは各国選手団の代表者が集う会議で公表され、各国から大きな賞賛を得ることができた。<BR>【考察】<BR> 我々は過去にも、日本障害者スポーツ協会の科学支援事業として、いくつかの競技団体に対して、競技力向上のために動作解析を行い、その中で、選手に対して解析したデータを用いたフィードバックを行ってきた。障がい者のスポーツは決して特殊なスポーツではなく、身体に何らかの障害があるためにできないことをルールや道具を適応させて行うものである。障がい者の障害特性や個人の身体機能を理解した理学療法士が、専門的な知識をもって行う「動作解析」を通して選手に関わり、フィードバックや動作の指導を行うことは、障がい者のスポーツ選手における競技力向上、選手育成に対して、非常に有用であると言える。また今回は、ハイスピードカメラで撮影した動画による動作解析という、より身近で安価な機器を用いることによってもデータ収集を行うことができた。今までも競技場面に近い状況下でのデータ収集を行ってきたが、今回はハイスピードカメラ及びデジタルビデオカメラで撮影した動画からの二次元動作解析によって、実際の競技場面でリアルタイムにデータ収集、動作解析を行うことができた。そしてこれらのデータは各選手、各国にDVDデータとして配布され、特別なソフトなどを使用することなく視聴することができ、自分自身の動作をより詳細に、客観的にチェックできるものであった。今回の動作解析手法を用いたデータ解析は簡便で一般的に行いやすいものであり、臨床場面において、障がい者と関わる理学療法士がこのような事業に関わっていくことが、障がい者の競技スポーツへの参加を促すきっかけにもなることが示唆された。<BR>【理学療法学研究としての意義】<BR> 本研究のように、障がい者のスポーツにおける理学療法士の関わりや動作解析の有用性を報告することで、障がい者の障害特性や身体機能を理解した理学療法士の知識や技術が選手の競技力向上のためには欠かせないものであり、理学療法士が臨床場面だけにとどまらず、幅広い分野で活躍が再確認された。また、これらの情報を当事者に提供していくことで、障がい者の社会参加を支援する一手段となりうることが考えられた。
著者
坂本 義峰 児玉 雄二 青木 啓成 村上 成道
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.CbPI2255-CbPI2255, 2011

【目的】投球動作を全身の運動として捉えることは重要とされている。われわれは投球動作について運動軸を中心として考え、体幹機能の評価を主としたパフォーマンステスト(PF)を行っている。PFを用いたメディカルチェック(MC)を某長野県立高校野球部(高校野球部)に対して行ない、結果を第44回、45回日本理学療法学術大会、第7回肩の運動機能研究会において報告した。今回の目的は3年間に得られたデータよりMC毎のPF、関節可動域(ROM)と肘関節痛(肘痛)を有する選手の人数の推移から肘痛の予防と改善について考察することである。<BR>【方法】対象は平成20年に入部した高校野球部員25名のうち、外傷により長期離脱した2名を除いた23名とした。MCは 20年4月、8月、12月、21年4月、8月、12月、22年4月の計7回行ない、PFとROMを計測した。運動軸の評価のうち8種目をPFとして実施し合計12点を満点とした。ROMは肘関節屈曲、伸展、肩関節屈曲、外転90°での内外旋、屈曲90°での内旋、水平内転、股関節屈曲、伸展、内旋、外旋の11項目であり、肘関節、股関節は左右差なしを1点、肩関節は左右差10度以内を1点とし合計11点を満点とした。ここでの肘痛とは内側型、外側型等の分類はせず、投球動作において疼痛を有するものとした。MC毎のPF、ROM、肘痛を有する選手の人数の推移をそれぞれ比較検討した。検定にはWilcoxonの符号付き順位検定を用いた。有意確率は5%未満とした。<BR>【説明と同意】MCは同校の依頼で実施し、事前に指導者と選手にはMCについての説明を行ない、同意を得た。<BR>【結果】MC毎の肘痛を有する選手数はのべ20名で20年の8月から20年12月にかけて増加し、さらに21年の4月に最も多く認め、その後減少した。肘痛により長期離脱した選手は20年12月に約2週間十分に投球できなかった選手1名のみであった。<BR>PFの平均点は、20年6.5±2.7点、21年8.8±2.5点、22年10.7±1.8点と徐々に増加する傾向にあり、20年4月と20年8月、21年4月と21年8月の間に有意な増加を認めた(P<0.05)。<BR>ROMの平均点は、20年6.4±1.4点、21年6.1±2.3点、22年4.2±2.8点と緩やかに減少する傾向にあり、20年12月と21年4月では優位な増加を、21年4月と21年8月では優位な減少を認めた(P<0.05)。<BR>【考察】20年12月から21年4月にかけてROMの点数は有意に増加し、ROMの改善を示しているにも関わらず、肘痛の選手数が増加したことは、ROMの改善のみでは肘痛を予防し得ないことが推察された。また、21年4月から21年8月にかけてROMの点数は有意に低下したにも関わらず、肘痛の選手数が減少していたことは、PFの点数が有意な増加を示したことが要因ではないかと推察された。PFが高い値を維持している21年8月以降も同様に肘痛の選手数は少ない値を推移している。これらのことより、肘痛の予防においては、ROMの改善のみでは不十分であり、PFで高い点数を得られる身体機能にしていくことが重要であると推察された。同校にはMC以外にも、運動軸の改善を目的としたセルフケアやトレーニング方法をチーム全体や個別に指導しており、その結果肘痛の改善と予防に効果があったのではないかと考えている。<BR>【理学療法学研究としての意義】障害予防に対する意識が広がり専門的な知識を必要とする監督や選手が増えている中、野球の現場へストレッチや筋力強化などの知識を持った理学療法士が介入することは有用と考えられる。野球の現場に臨む際は、選手に対し短時間で良い反応を引き出すことが求められ、そのためには全身を簡便に評価する必要がある。MCに用いた評価方法は野球現場での障害の改善と予防に対して効率的な評価が行なえるとともに、点数化したことにより選手自身にも指標となりやすい基準であったのではないかと考える。現場に赴いて成長期の経時的な変化を追い、時期に応じたケアやトレーニングを調整することにより障害がなく練習を継続できる身体機能にすることは意義があると考える。<BR>
著者
山本 圭彦 坂光 徹彦 堀内 賢 中川 朋美 林下 知惠 福原 千史 浦辺 幸夫
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2005, pp.A0796-A0796, 2006

【目的】 骨粗鬆症などによる高齢者の円背姿勢に対し、運動療法の効果を確かめることは重要である。本研究の目的は運動療法介入により円背姿勢が変化するかを明らかにすることである。<BR>【方法】 対象は、65歳以上の高齢者20名とした。安静立位にて明らかに円背姿勢を呈しているものをエクササイズ群(Ex群)、円背姿勢を呈していない高齢者をコントロール群(C群)として10名ずつ2群に分けた。年齢はEx群(男性2名、女性8名)で80.9±5.2歳、C群(男性4名、女性6名)で79.4±5.5歳であった。Ex群は20分の運動療法を週に2回の頻度で6ヶ月間、筋力増強エクササイズと脊椎の可動性を向上するエクササイズを行った。筋力増強エクササイズは腹臥位での上体反らし運動、脊椎の可動性を向上するエクササイズは腹臥位でのOn hands push upによる上体反らし運動を実施した。胸椎と腰椎の彎曲角度の測定にはSpinal Mouse(Idiag AG,Switzerland)を用いた。測定肢位は立位と腹臥位での安静位および最大体幹伸展位の3肢位とした。胸椎と腰椎の彎曲角度はそれぞれの各椎体間がなす角度の和を胸椎角と腰椎角として求めた。さらに前傾姿勢の指標としてTh1とS1を結ぶ線と床からの垂線がなす角度(全体傾斜角)を求めた。脊椎の可動性は腹臥位での安静位からのOn hands push upによる最大体幹伸展位で求めた。体幹伸展筋力の測定はGT-350(OG技研)を用いて体重比で求めた。統計学的分析にはEx群とC群の比較とエクササイズ前後の比較にはwilcoxon順位符号検定を用いた。エクササイズによる立位姿勢の角度変化と脊椎の可動性および体幹伸展筋力の変化量をそれぞれPearsonの相関係数を用いた。<BR>【結果】 6ヵ月後C群では胸椎角で1.5°、腰椎角で1.7°、全体傾斜角で0.5°屈曲方向へ変化した。Ex群は胸椎角で11.4°腰椎角で10.4°、全体傾斜角で1.6°伸展方向へ変化した(p<0.05)。Ex群はすべての角度でC群と比べ有意に角度変化を認めた(p<0.05)。エクササイズ前の脊椎の可動性が大きい対象ほどエクササイズにより立位姿勢は大きく変化した(r=0.55、p<0.05)。体幹伸展筋力はC群で0.32N/kg減少し、Ex群で0.84N/kg増加した(p<0.05)。エクササイズによる体幹伸展筋力が増加するほど立位姿勢は大きく変化した。(r=0.61、p<0.05)。<BR>【考察】 6ヶ月間の運動療法において脊椎の伸展は促され、前傾姿勢も改善された。視診および本人の自覚から十分に円背姿勢の改善を認め運動療法の効果を確かめることができた。安静立位の脊椎を伸展させるには脊椎の可動性を向上させ、体幹伸展筋力を増加させることが重要であると考えられた。<BR>【まとめ】 今回、運動療法介入により円背姿勢が改善するかを検討した。6ヶ月間のエクササイズにより脊椎は伸展し、円背姿勢が改善された。<BR>
著者
宮崎 庄治 伊勢 眞樹
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2002, pp.729-729, 2003

【はじめに】診療報酬本体が史上初めて引き下げられた2002年4月の診療報酬改定の中で、リハビリテーション(以下リハ)料も大きく体系が見直された。リハ部門は減収した施設が多い状況で、厚生労働省は「リハ全体では据え置きの改定」と説明してきた。その意味は二木によれば、_丸1_理学・作業療法の点数減を原資に言語聴覚療法の点数増と、_丸2_慢性期リハの点数・回数引き下げを原資に急性期リハの点数を引き上げたということになる。発症後早期からの急性期リハは手厚く評価されているといわれる中で、実情はどうなのかを当院の半年間のデータを提示して報告する。【現状】改定後の2002年4月から9月までの理学作業・言語聴覚療法のうち1単位を4月以前の簡単、2単位を複雑に換算し、各療法の件数を昨年同月と比較した。理学療法では、複雑と簡単の合計件数は9月を除いて昨年並みから昨年比最高20%増しと順調であったが、点数では逆に昨年を下回り昨年に比べ10%以上の低い値を示した。作業療法では、件数は昨年を上下しているが、点数は件数で昨年比17%増しの7月に昨年比1%アップした他は10%以上ダウンしている。言語聴覚療法は、件数では6月以外は昨年を1%から22%の範囲で上回った。点数では大きく昨年を上回り最高119%増しの値を示した。全体では、件数で昨年比17%増の7月に点数でも昨年を4%上回った以外は点数で昨年より4%から11%減となった。【考察】石川によれば、今回の改定では発症後90日までは厚生労働大臣の定める患者では早期加算料の上乗せと、70%の減額算定なしの制度により患者1人当りの診療稼動額の上限は7.0%から21.0%増加している。したがって計算上は発症後90日までの早期加算算定可能な患者に対し1日に個別6単位を実施すると、増収が図れる筈である。平均在院日数16.5日(02年9月度)の急性期病院である当院で、昨年に比し減収となっている原因は実はここにある。発症・手術直後の病状の不安定な時期に、ICUやCCUを中心にベッドサイドで行なう早期リハの対象者に、1日6単位の適応患者はほとんどいない。各療法における複雑(2単位)の割合は2002年9月では理学・作業・言語聴覚の順に18%、30%、36%である。 また、請求単位数に占める早期加算の割合は4月以降8月までの間で40%台を推移し、半分を超えない。開腹・開胸術後や骨折後など早期加算の対象疾患が拡大したとはいえ、神経難病や内科疾患は加算対象外である。【まとめ】4月の診療報酬改定後の、急性期病院におけるリハ部門の収益の動向を報告した。手厚く評価されていても昨年同月に比べ、実施件数は増加しているにもかかわらず収益では減収となった。全身状態の不安定な急性期の患者の特徴が影響している。また、容易に寝たきりになる恐れのある高齢者では、加算対象の疾患を見直す必要があると考える。
著者
厚川 和哉 尾脇 重信 児玉 尚子 矢野 幸彦
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.A1099-A1099, 2008

【目的】ブリッジ動作は大殿筋やハムストリングスの筋力強化を目的として幅広く用いられている。しかし、我々は大殿筋の筋特性として、1.殿筋筋膜等を介して様々な筋と筋連結している、2.遅筋線維が多く関節を動かす推進力としての働きが少ない、3.神経支配比が大きく筋紡錘密度が低い等の知見を得、ブリッジ動作を用いての大殿筋の筋力強化訓練としての有効性に疑問を抱いた。さらに先行研究において、表面筋電図を用いてブリッジ動作における大殿筋の筋活動量を測定したが、被験者間に著しい差を認め、ブリッジ動作においては大殿筋以外にも他の筋群が作用している可能性が示唆された。以上をふまえ、本研究ではすでに測定したブリッジ動作に加え、同筋の活動が強く影響されるADL動作として立ち上がり動作を用い、筋活動量を測定し、大殿筋に対する筋力強化訓練としてのブリッジ動作の有効性をさらに研究していくことを目的とした。<BR>【方法】被験者は19名(平均年齢28.1±4.3)の健常成人とし、右大殿筋に表面筋電図を貼付。測定肢位はA.左側臥位で右下肢をスリングで吊り上げ、背側から徒手的に骨盤を固定し、股関節の関節運動が生じないように被験者に指示し、等尺性収縮を5秒間保持させる。B.座位で股関節90°膝関節100°の状態から動作速度5秒間で立ち上がりを行うこととした。以上2条件を設定し、BIMUTUS VIDEO(キッセイコムテック)を用いてA.は筋電図波形から中央の3秒間、B.は離殿時からの中央3秒間の積分値を算出し、肢位の違いによる筋活動の差の比較、個人の筋活動の比率を比較し検討を行った。<BR>【結果及び考察】先行研究においては、側臥位とブリッジ動作の比率には0.5~6.6倍の幅を認め、χ2値より有意な差が認められた。側臥位と立ち上がり動作の比率は0.9~1.7倍で、有意な差が認められなかった。以上の結果から立ち上がり動作時における大殿筋の作用向上の目的で筋力強化を行う場合にはブリッジ動作よりも側臥位での選択的収縮を行うほうがより効果的であることが示唆された。さらに、ブリッジ動作では過剰な筋活動が行われている事が示され、動作獲得を目的とする訓練では、大殿筋の筋特性を踏まえ、感覚入力を与えながら訓練を行っていく必要があると考えられる。<BR>
著者
松永 秀俊 上田 周平 藤縄 理 安田 大典 武田 功
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.48101290-48101290, 2013

【はじめに、目的】多くの養成校においてアドミッションズ・オフィス(以下AO)入試が採用されている。AO入試は学生の個性や学ぶ意欲をアピール出来る反面、成績の低下が心配されている。また、進級が出来ない学生の中にAO入試での入学者の割合が多く占める様になり懸念されるところであるが、AO入学に関する論文は散見する程度であり、今後、入試形態を考慮する材料になることを期待し、今回、調査を行った。【方法】対象は平成21年4月に理学療法学科に入学した学生51名(男性31名,女性20名)(平均年齢18.1±0.4歳)とした。ただし、不安検査のみは正確性を高める目的で信頼性に問題のある無応答が10個以上ある者と妥当性に疑いのある嘘構点が11点以上の者の計2名は除外した。その結果、不安検査は対象者49名(男性30名,女性19名)(平均年齢18.1±0.4歳)を対象とした。 方法は対象者全員に対し、入学式後、前期講義開始前に行われたオリエンテーション終了後にManifest Anxiety Scale(以下MAS)を用いた不安検査とアンケートを行った。アンケートの内容は大学入学試験での初回受験日、年齢、性別、実家またはアパート・下宿等・その他からの通学かを尋ね、さらに実家と大学間の距離を確認するために実家に最も近い駅名(JR,私鉄,地下鉄)を所在県名とともに記載させた。さらに、入学後4年目に最終学年への進級が出来たか、または、進路変更・休学・留年等で出来なかったかを調査した。これらを基にAO入試での入学学生(以下、AO群)とそれ以外での入学学生(以下、一般群)間での比較・検討を行った。 統計処理は性別・通学方法・進級の可否の比較にはカイ二乗検定、年齢・実家からの距離にはマンホイットニーの検定、MASの比較には対応のないT検定を用い、危険率5%未満を有意確立とした。【倫理的配慮、説明と同意】調査に当たっては対象者全員に口頭でその主旨を伝え,協力の意志の有無を確認した。【結果】AO群は男性7名、女性3名、実家から通学している者6名、アパート・下宿等から通学している者4名、実家からの距離57.6±64.0km、年齢18.0±0.0歳、進路変更等なし4名、進路変更等あり6名、MASの点数18.6±5.3であった。AO群にはMASの不適格者がいなかったため、MAS対象者も全て同数であった。一般群は男性24名(MASの対象者は23名)、女性17名(MASの対象者は16名)、実家から通学している者22名(MASの対象者は20名)、アパート・下宿等から通学している者19名(MASの対象者は19名)、実家からの距離121.8±145.2km(MASの対象者は125.8±147.8km)、年齢18.1±0.4歳(MASの対象者は18.2±0.4歳)、進路変更等なし30名(MASの対象者は28名)、進路変更等あり11名(MASの対象者は11名)、MASの点数20.8±7.8であった。一般群にはMASの不適格者2名がいたため、MAS対象者の数値を別に記載した。これらの数値をAO群と一般群間で統計処理した結果、全てに有意差は無かった。【考察】岡本らはAO入学学生のメンタルヘルス問題の実態を把握し、支援の方法を検討した結果、AO入学学生のメンタルヘルス問題に関して、学生担当教員等の助言などのプライマリケアが必要であると同時に、早期からのサポート体制を検討していくことが重要であると述べている。また、八木らは入学者選抜におけるAO方式の有用性を検討した結果、AO方式による選抜が良好な結果をもたらしていることが検証されたと述べている。この様にAO入試による入学者に対する報告には様々な意見があり、その特徴について統一見解を得るための調査・検討は重要であると思われる。ただ、今回の結果から有意差が認められなかったことからAO群の特徴は見出せず、AO群と一般群には差はないと言う結果であった。しかし、対象者数を増やすことで有意差が得られる可能性があるものが認められたため、今後、さらに研究を続ける必要性を感じている。【理学療法学研究としての意義】AO入試を採用している理学療法の養成校は多い。しかし、AO入試は近年導入されたもので、その影響について論じられたものはほとんど無い。今後、入試形態の違いによる学生の特徴を把握し、それを理解した上での学生への対応が必要と考え、研究の継続の必要性を感じている。
著者
河野 一郎 禰占 哲郎 上島 隆秀 高杉 紳一郎 岩本 幸英 岡田 修司 根岸 玲子 鈴木 理司 河村 吉章 石井 櫻子
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2003, pp.E0271-E0271, 2004

【目的】老人福祉施設では、利用者の増加に伴いそのニーズも多様化しており、独自のサービスを工夫し提供している。その一環としてゲームセンター用の業務用ゲーム機を導入している施設もある。ゲーム機には、楽しく夢中になることで自発的に身体を動かす効果が期待されているが、その身体機能改善効果の科学的検証はほとんどなされていない。今回、デイサービス利用者に対するゲーム機導入の有用性について検討した。<BR>【方法】対象は青森県八戸市のCデイサービス利用者のうち、痴呆を有する者を除き、ゲーム機導入時から1年間継続してデイサービスを利用した者27名であり、ゲーム機を継続的に使用した群(ゲーム機群)8名(男2名、女6名、年齢79.1±5.5歳)およびゲーム機を使用しなかった群(未使用群)19名(男1名、女18名、年齢79.4±6.6歳)に分類した。<BR> 両群とも各種体操や集団レクレーション等、一般的なデイサービスのプログラムを受けており、ゲーム機群ではこれに加え各人が自由選択したゲームを週1から3回行った。なおゲーム機群のすべての対象者は右手でゲームを操作していた。<BR> 使用したゲーム機は、namco社製 "ワニワニパニック"(ワニ叩き)、"ドドンガドン"(ボーリング)、"プロップサイクル"(自転車)、"ジャンケン倶楽部"(階段昇降)であった。<BR> 導入前および導入後2ヶ月毎に体力測定を行い、2群を比較検討した。体力測定の項目は、光刺激に対する反応時間(反応時間)、長座体前屈、Functional Reach(FR)、膝伸展筋力(両側)、握力(両側)、10m最大努力歩行(歩行速度)であった。<BR> 統計学的検討は、まずTwo-way ANOVAを行い、次に各群で、導入前と導入後の各月をそれぞれ対応のあるt検定にて比較検討した。<BR>【結果】ANOVAでは、すべての項目において両群間に有意差は認められなかった。しかし、t検定では、導入前に比べて複数の測定月で有意差を認めた。その項目は、ゲーム機群でFR、長座体前屈、左手握力、未使用群で反応時間、両手の握力であった。このうち両群とも握力は低下傾向で、他の項目は改善傾向であった。<BR>【考察】"ワニワニパニック"では出現するワニに対して前下方にハンマーを振り下ろす動作が、"ドドンガドン"では前方の目標物に対してボールを押し出す動作が要求されるため、前方への重心移動を反映するFRと前方への柔軟性を含む長座体前屈で改善傾向があったものと考えられる。また、握力についてゲーム機群の右手のみが有意な低下を示さなかったことは、ハンマーやボールを握ることで握力が維持されたものと考えられる。<BR> 楽しみながら行うアクティビティは内発的動機付けを促し、長期継続の効果が期待できる。今後は症例数を増やしゲーム機使用の効果をさらに明確にすると共に、心理面の評価も加味した研究を実施していく予定である。
著者
橋本 朋宏 横井 輝夫 原口 枝里子
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.H4P2369-H4P2369, 2010

【目的】わが国には約200万人の認知症者が暮らし、家庭内で虐待を受けている高齢者の内、認知症者が8割近くを占めている。虐待を防止し、QOLを高めるためには、不可解と思われる認知症者の言動の意味を理解し、共感することが不可欠である。認知症とは、一度獲得された記憶や判断などの認知機能が減退し、そのことによって生活が営めなくなった状態と定義される。しかし、認知症は、単に記憶障害や見当識障害といった知的道具障害の寄せ集めではなく、これらの知的道具を統括する知的主体が侵されている状態である(小澤 勲)。そこで認知症者の言動を理解するために筆者らは、知的道具を統括する自己認識能に着目し、認知と情動の相互発達モデルとして信頼性が高いルイスのモデルと発達心理学の重要な知見である「心の理論」を評価するパーナーらの「誤った信念」課題を用いて、「心の理論」「自己評価」「自己意識」から構成された"自己認識能からみた認知症者の不可解な言動を解釈するモデル"を作成した。「心の理論」とは、自己や他者の行動の背景にある直接観察できない心の状態(意図・思考・欲求・情動など)を推定する能力のことであり、パーナーらの「誤った信念」課題をわかりやすくした4枚の絵カードを用いて評価する。「自己評価」とは、自己が生きる社会のルールや基準に照らし自己の言動が良いのか悪いのかを評価する能力であり、それらの能力を確認できる4組の絵カードを用いて評価する。「自己意識」とは、自己に対し注視し、他者と自己を区別する能力であり、各人の実態を指し示すシンボルである本人の名前(梶田叡一)、他者の名前、および「あー」という無意味な音を対象者の後方から発し、返事または振り向きの有無で評価する。本研究では、このモデルを用いて、生命やQOLの基盤であり、ADLの内、最後に残る食事機能について分析した。【方法】対象は某特別養護老人ホームに入所している認知症者で、Clinical Dementia Rating(CDR)で軽度・中等度・重度であった28名(平均年齢86.4歳、男性2名、女性26名)。自己認識能の評価は、筆者2名で対象者の注意力の持続や難聴の程度を考慮して静かな場所で行い、対象者を「心の理論」「自己評価」「自己意識」の有無で区分された4段階に分類した。食事評価は、同じ筆者2名が五日間にわたり昼食と夕食での食事場面を観察し、一回の食事に1名ないし同じテーブルの2名の対象者の言動を書き留めた。CDRの評価は、ケアワーカーの責任者が行った。分析は、「心の理論」「自己評価」「自己意識」の有無で区分された4段階それぞれの食事場面の特徴を整理し、筆者らのモデルに基づいて解釈した。尚、拒絶した1名は対象から除き、1名のみの「心の理論」課題通過者は、分析対象から除いた。 【説明と同意】施設長に研究プロトコルを提出し、書面にて同意を得た。対象者には口頭で説明し、拒絶反応がみられた場合は中止した。【結果】それぞれの段階の特徴を示した。1.「心の理論」課題は未通過で「自己評価」課題を通過した対象者9名 CDR:中等度~重度 「もうあんぽんたんやから」など自己を卑下する言葉がよく聞かれた。こぼれたものは箸やスプーンで拾い、食べようとはしなかった。また、こぼれているものを手に持った皿で受け止めようとする者もいた。食欲がない者では、食事に手をつけようとしなかった。2.「自己評価」課題は未通過で「自己意識」課題を通過した対象者6名 CDR:重度 こぼしていることにあまり注意をむけなかった。こぼれたものを手づかみで食べ、皿をなめる者もいた。また、顎などについたご飯粒をとろうとはしなった。3.「自己意識」課題未通過の対象者12名 CDR:重度 こぼしていることに全く注意をむけなかった。三分の一から半数の者が、スプーンが口元に運ばれるが口を開けず、口の中のものを飲み込まずに溜め、おしぼりやエプロンを口に入れてもぐもぐしていた。【考察】「自己評価」課題通過者では、自己の知の低下を認識しているように、食事場面においても自己の状況である自己が食べている場面や自己の食欲を認識していた。「自己評価課題」未通過者では、自己の状況への認識が薄れ、食べ物をこぼしていることにも注意をむけなかった。そして、自己の行動を社会のルールに照らし評価できなくなり、他者の目を気にせず、こぼれたものを手づかみで食べ、皿をなめる行動がみられた。「自己意識」課題未通過者では、食べ物が口の中にある自己の状況を認識できず、長時間口の中に溜め、おしぼりを口に入れるなど行動に目的性が失われていった。【理学療法学研究としての意義】不可解だと思っていた認知症者の食事場面での言動を解釈できることで、彼らに共感できるようになる。そして食事場面での共感を通して、生活全般への共感に発展し、その結果として、認知症者のQOLが高くなることが期待できる。
著者
伊藤 祥江 髙木 聖 小川 優喜 瀧野 皓哉 早藤 亮兵 川出 佳代子 今村 隼 稲垣 潤一 林 由布子 中村 優希 加藤 陽子 森 紀康 鈴木 重行 今村 康宏
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.BbPI1176-BbPI1176, 2011

【目的】2000年に回復期リハビリテーション病棟(以下、リハ病棟)制度が創設され、医療施設の機能分化が進められた。急性期病院における在院日数は短縮され、長期の入院を必要とする脳卒中片麻痺患者はリハ病棟を有する病院への転院を余儀なくされる。脳卒中ガイドラインにおいては早期リハを積極的に行うことが強く勧められており、その内容には下肢装具を用いての早期歩行訓練も含まれている。しかし、装具処方から完成までには通常1~2週間を要することなどから、急性期病院における片麻痺患者に対する積極的な早期装具処方は容易ではなく、装具適応患者に対する装具処方のほとんどが、リハ病棟転院後に行われているのが実情であろう。その結果、歩行能力の改善が遅れ、入院期間が長くなっていることが推測される。当院は人口約14万7千人の医療圏における中核病院で、平成18年にリハ病棟を開設した。現在は当院一般病棟からの転棟患者ならびに近隣の救急病院からの転院患者も広く受け入れている。今回われわれは、当院リハ病棟に入院した脳卒中片麻痺患者において、下肢装具作製時期が発症から退院までの日数におよぼす影響について検討したので若干の考察とともに報告する。<BR>【方法】平成18年12月から平成22年7月までの間に当院リハ病棟に入院し、理学療法を施行した初回発症の脳卒中片麻痺患者のうち、下肢装具を作製した32例を対象とした。内訳は脳梗塞25例、脳出血7例、男性15例、女性17例、右麻痺13例、左麻痺19例、平均年齢69.5±13.3歳であった。当院の一般病棟からリハ病棟に転棟した群(以下、A群)と他院での急性期治療後に当院リハ病棟に入院した群(以下、B群)の2群に分けた。これら2群について(1)作製した装具の内訳ならびに(2)発症から当院リハ病棟退院までの日数について調査した。また、(2)に含まれる1)発症から装具採型までの日数、2)発症からリハ病棟入院までの日数、3)リハ病棟入院から装具採型までの日数、4)リハ病棟入院から退院までの日数の各項目についても合わせて調査した。2群間の比較は対応のないt検定を用いて行い、5%未満を有意な差と判断した。<BR>【説明と同意】本研究はヘルシンキ宣言をもとに実施し、収集した個人情報は当院の個人情報保護方針をもとに取り扱っている。<BR>【結果】(1)A群は長下肢装具(以下、KAFO)3例、金属支柱付短下肢装具(以下、支柱AFO)13例、プラスチック製短下肢装具(以下、P-AFO)1例であった。B群はKAFO2例、支柱AFO6例、P-AFO7例であった。(2)A群で137.2±32.5日、B群では166.8±30.2日でA群の方が有意に短かった。(2)-1)A群で22.5±9.8日、B群では48.2±12.4日でA群の方が有意に短かった。(2)-2)A群で21.9±7.3日、B群では33.8±11.3日でA群の方が有意に短かった。(2)-3)A群で0.65±9.8日、B群では14.5±7.1日でA群の方が有意に短かった。(2)-4)A群で115.2±31.5日、B群では131.5±32.3日でA群の方が短かったが、有意差はみられなかった。<BR>【考察】本研究では、装具作製時期ならびにリハ病棟入院時期に着目し、発症からリハ病棟退院までを4つの期間に分けて入院日数との関連について検討した。その結果、リハ病棟入院日数においては両群間に差はなかったが、A群においてはリハ病棟転棟とほぼ同時期に装具の採型がされており、発症からの日数も有意に短かった。このことから、早期の装具処方によりリハ病棟転棟後もリハが途絶えることなく継続することが可能で、早期に歩行が獲得できたものと思われる。その結果、発症から退院までの期間を短縮したと考えられる。一方、B群においてはリハ病棟入院時期のみならず装具作製時期も有意に遅かった。リハ病棟入院日数にはA群と差がなかったことから、作製時期が発症から退院までの日数に影響をおよぼしたものと考えられる。急性期病院においては在院日数の短縮、作製途中での転院の可能性、また義肢装具士の来院頻度など積極的な装具作製を妨げる多くの要因があることが推測される。近年、急性期病院において装具が作製されることは少なく、リハ病院での作製件数が増加傾向にあること、また、リハ病棟が急性期にシフトしてきていることが報告されている。B群では当院リハ病棟転院から装具採型まで約2週間要していたことから、今後は転院後早期から装具処方について検討する必要があろう。2007年から連携パスが運用され始めている。それが単なる情報提供に留まらず、片麻痺患者に対する早期の装具処方、スムーズなリハの継続、そして早期の在宅復帰につながるよう連携することが必要であろう。<BR>【理学療法学研究としての意義】脳卒中発症後の早期装具作製は早期歩行獲得、在院日数の短縮に結びつく。それを推進するための地域連携について考えるものである。
著者
葛山 元基 小山 泰宏 岡﨑 久美 高村 隆 岡田 亨
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.C3O1105-C3O1105, 2010

【目的】<BR>臨床において,上腕三頭筋のMMTでの筋力は問題ないにもかかわらず,投球障害肘や離断性骨軟骨炎を有する野球選手において肘関節の伸展が困難な例を少なからず経験する.我々は,上腕三頭筋内側頭,上腕三頭筋外側頭は伸展・内転方向に従って筋出力が高くなること,また,肩関節挙上角度が増すに従い筋出力が小さくなることを示した.そこで,本研究では,野球経験(中学・高校の部活動レベル以上)の有無により,肩関節肢位の違いにおける上腕三頭筋内側頭,外側頭の筋活動に変化があるかを検討し,また競技に伴う特徴的な筋活動があるかを筋電図学的に検討することである.<BR>【方法】<BR>対象は肩・肘関節に手術歴・可動域制限がなく,日常生活において疼痛のない健常人男性21名(平均年齢26.3±3.1歳,身長171.6±4.9cm,体重66.3±8.0kg)であり,内訳は野球経験のある9名の投球側,非投球側,野球経験のない12名の利き手(コントロール側)の3群とした.<BR>肩関節の挙上角度が異なる肢位において,1kgの重錘を負荷とし,前腕が常に抗重力位になる肢位を基本肢位とした.基本肢位から肘伸展運動を行い,肘関節伸展-20度での等尺性収縮を表面筋電図にて測定した.測定筋は上腕三頭筋内側頭,上腕三頭筋外側頭,棘下筋,三角筋後部線維の4筋である.測定機器は,Noraxon社製表面筋電図myosystem1400を使用し,十分な皮膚処理後に電極を貼付した.測定肢位は,解剖学的肢位を基準として,前額面上4肢位(肩関節最大屈曲位,屈曲90度位,屈曲0度位,伸展-20度位)と,矢状面上2肢位(最大外転位,外転90度位)の計6肢位で行った.解析区間は,等尺性収縮5秒間の内,2~4秒の3秒間とした.また,各筋の平均を算出し,3回測定の平均値を求め,DanielsらのMMT3遂行時の平均筋活動にて除して標準化(%RVC)を行った.統計学的処理は,SPSSver12.0を使用し,2元配置分散分析(多重比較法:Tukey法)を用いて投球側,非投球側,コントロール側の3群と肢位別での比較を行い,有意水準は5%とした.<BR>【説明と同意】<BR>本研究は,船橋整形外科病院倫理委員会の承諾を得た後に行われた.被験者に対しては,本研究における評価内容,皮膚処理時のリスクについて十分な説明を行い,同意を得た対象のみ測定を施行した.<BR>【結果】<BR>肩関節挙上角度と角筋%RVC<BR>a上腕三頭筋内側頭について<BR>投球側,非投球側,コントロール側の3群による筋活動は共に投球側が有意に高い結果となり(P<0.01),平均値は,最大屈曲位において投球側94.5±40.5,非投球側66.5±28.3,コントロール側67.5±36.8,最大外転位では投球側101.5±55.8,非投球側83.5±45.6,コントロール側84.8±43.1であった.肢位においては,伸展20度位242.9±152.1,0度屈曲位218.9±150.1,90度外転位138.4±42.5,90度屈曲位105.1±56.6,最大外転位82.6±49.2,最大屈曲位80.5±38.2の順で高値を示した(P<0.01).<BR>b.棘下筋について<BR>投球側,非投球側,コントロール側の3群による筋活動に有意な差は見られなかった(P=0.94).肢位による違いでは,最大屈曲位74.1±35.4,最大外転位46.8±15.3,伸展20度位38.1±18.7,屈曲0度位28.4±15.6,90度屈曲位24.2±14.1,90度外転位24.1±18.7の順で高値を示した(P<0.01)<BR>【考察】<BR>棘下筋の筋活動は挙上角度が増すにつれて優位に高くなっていたが,投球側,非投球側,コントロール側の3群においての有意な差は見られなかった.我々は,上腕三頭筋の筋活動は内転方向かつ伸展方向で高値を示すこと,挙上角度や外転角度が増すにつれて低値となることを示したが,野球経験者においては投球側の筋活動が非投球側,野球未経験者であるコントロール側より大きく,挙上位での上腕三頭筋筋活動は繰り返しの投球により運動学習されたものであることが示唆された.<BR>【理学療法学研究としての意義】<BR>野球経験者の上腕三頭筋内側頭の筋活動は反復された運動学習によって獲得されたものであると考えられた.そのため,投球障害肘や離断性骨軟骨炎を有する野球選手の治療の一手段として腱板機能改善と共に挙上・外転位での上腕三頭筋の筋収縮を促し,運動学習をさせることは競技復帰への重要な要素であると考える.
著者
朝倉 弘美 吉元 洋一 後東 尚樹 北村 敏乃
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.48100048-48100048, 2013

【はじめに、目的】 介護予防とは「要介護状態の発生をできる限り防ぐ(遅らせる)こと,そして要介護状態にあってもその悪化をできる限り防ぐこと,さらには軽減を目指すこと」と定義されている.また,平成18年度の介護保険法改正により,介護予防は,要介護状態の軽減や悪化の防止だけでなく,高齢者が地域で再び自立して生活することができるようにすることを目的に,要支援者に対し介護予防サービスを効果的に提供する予防給付と併せて,要支援・要介護状態等となる恐れのある高齢者を早期に把握し,水際で食い止める介護予防事業が重視されることとなった.一方,フラダンス(以下,フラ)は,ハワイアン音楽に合わせたゆったりした動きであるが,常に股関節・膝関節屈曲位での動きであり,体幹は正中位に保持したままで骨盤の回旋・傾斜運動が反復的に行われる.また,エアロビクスや太極拳と同様に有酸素運動であり,1曲(3~4分程度)の運動量は4~6METsであると報告されている.しかし,介護予防にフラを使った報告は少なく,今回,フラによる運動効果について検証したので報告する.【方法】 研究目的に賛同を得られた,60歳代・70歳代のフラ未経験女性8名(平均年齢66.1歳)を対象に,3か月間(週1回,計12回)のフラレッスンを実施し,実施前後の運動機能・動作能力等をE-SAS,開眼片足立ち時間,Functional Reach Test(以下,FR),握力,筋力等で比較した.なお,E-SASは質問紙であるため,回答の信頼性を確認するために改訂長谷川式簡易知能評価スケール(以下,HDS-R)を実施した.フラレッスンは1時間とし,ストレッチ・リズム体操・フラの基本の動きを使った筋力トレーニング・ダンスレッスンを実施した.なお,毎回,実施前に血圧を測定した.【倫理的配慮、説明と同意】 対象者には書面及び口頭にて,研究目的,研究方法,研究期間,途中でのクレーム等の権利の確保,プライバシーの保護等について説明した後,書面による参加の同意を得た.なお,本研究は,専門学校星城大学リハビリテーション学院研究倫理委員会の承認を受けて実施した(承認番号120001).【結果】 1名が高血圧症で通院及び内服中であり,実施前の血圧測定で高血圧の症状が見られたため,その1名は除外し,対象は7名とした.E-SASでは,生活のひろがり,歩くチカラ,人とのつながりで5名の改善が認められた.HDS-Rでは全て25点以上であり,E-SASの結果の信頼性に問題はないと判断した.また,BMIは4名に減少が認められた.開眼片足立ち時間,FR,握力,Timed Up & Go Test(以下,TUG)では,6名の改善が認められた.下肢筋力では4~5名の改善が認められた.最終評価時の自由記載欄では,5名が楽しかったと回答しており,また,自分が想像していた以上に動けなかったと2名が回答した.【考察】 12回のフラレッスンにより,半数以上に筋力,バランス能力,柔軟性,歩行能力の改善が認められたことは特筆すべきことである.またE-SASにおいても5項目中3項目に改善が認められたことにより,フラは介護予防に有用な手段となり得ると考える.フラはパウスカートやフラワーレイなどのコスチュームでハワイアン音楽に合わせてゆったりと踊るため楽しく実施でき,その「楽しさ」が「運動の継続」に繋がると考える.さらに,発表会などに参加するなどの目標を持つことや,人前でダンスを披露することの「満足感・達成感」が,さらなる「運動の継続」に繋がると考える.介護予防には,定期的な,そして継続的な運動が重要であり,フラはその有効な手段であると考える.しかし,本研究では対象者数が少ないため,さらに対象者数を増やして検証する必要がある.【理学療法学研究としての意義】 フラの運動効果を明らかにすることで,「フラによる介護予防プログラム」作成の一助となると考える.