著者
後藤 洋三 鈴木 光 村瀬 一郎
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
地震工学論文集 (ISSN:1884846X)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.1362-1380, 2007 (Released:2010-07-30)

2006年8月14日に発生した首都圏広域停電が様々な事業体や防災機関の情報システムに与えた影響を調査し, 地震時の突発的な停電に対する現存の情報システムの脆弱性と事業体の減災力への影響を分析した. 幸い停電はお盆休み期間中の早朝に発生し, ほぼ1時間以内に回復したため, 人的物的な被害は小さく, 情報システムについても調査できた被害事例は少なかった. しかし, 周辺機器への非常用電源の接続の不備でシステムが機能しなかった事例や, 一度ダウンしたシステムを再起動し点検するのに長時間を要した事例, 非常用電源が普及してきた反面停電が長期化した場合の対応, 情報システムが不測のダウンをした場合代換え機能不備など, 今後参考にすべき調査結果が得られた.
著者
小野田 滋
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.17-24, 2001-09-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
49

本論文は、わが国最初の高架鉄道として1904 (明治37) 年に開業した総武鉄道 (現・JR総武線) 両国-錦糸町間を対象とし、その計画から実現に至る経緯を鉄道会議議事録や市区改正委員会議事録、許認可関係文書など、主として当時の公文書に基づいて明らかにした。その結果、総武鉄道には資金難のために地平線へ変更する代替案があり、地域住民は交通渋滞の原因になるとしてこれに反対していたことなどが明らかになった。また、この事業に対して鉄道会議や東京市区改正委員会がどのように関与していたかが把握され、高架鉄道の実現が一鉄道企業の論理ではなく、地方行政や地域住民の合意を経ながら計画的に実施されていた経緯を示すことができた。
著者
河田 恵昭 奥村 与志弘 越村 俊一 藤間 功司 永井 紀彦
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
海岸工学論文集 (ISSN:09167897)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.261-265, 2004

2003年十勝沖地震津波は我が国の津波予警報システムの盲点を突いた. 気象庁は地震発生4時間後に警報を解除し, それに同調して沿岸部自治体は避難勧告を解除した. しかし, その後になってエッジ波が最大波に匹敵する波高を伴って来襲した. 本研究では, エッジ波の防災上の問題点に着目し, エッジ波の予測に必要な条件を求めた. また, 北海道太平洋岸で発生し得る巨大地震を想定し, 大陸棚上にエッジ波が発生する場合の津波予警報解除の基準を求めるための基礎資料を得た. 特に, 室蘭-浦河間と浦幌-花咲間の予報区では発震後6時間は津波警報・避難勧告の維持が必要であることが分かった.
著者
畑岡 寛 田中 邦博 市川 紀一 亀田 伸裕
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木史研究 (ISSN:09167293)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.207-212, 2001-05-01 (Released:2010-06-15)
参考文献数
11

九州の石炭産業は大正・昭和期に発展している。その炭田炭鉱地域において特に土木産業遺産に着目した場合、志免の竪坑は全国で唯一残存しているワインディング・タワー形式で建設されている事からその保存についての議論はさまざまである。本研究では、この竪坑に着目した志免炭鉱の出炭から閉業までの課程を史的に報告する
著者
及川 栄作 キン チダリン 遠藤 剛 及川 胤昭 石橋 良信
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
環境工学研究論文集 (ISSN:13415115)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.373-379, 2003-11-14 (Released:2011-06-27)
参考文献数
12

Isolation of bacteria which could decompose styrene and polystyrene as carbon source was achieved to actualize the biological zero emission treatment of expanded polystyrene. Isolated microorganisms by 16S ribosomal DNA analysis were Pseudomonas sp. and Bacillus sp. for styrene decomposition, and Xanthomonas sp. and Sphingobacterium sp. for polystyrene decomposition. Especially, Bacillus sp. STR-Y-O strain decomposed both styrene and polystyren. Styrene and polystyrene were reduced 40%(9g) and 56%(34g) of initial concentrations (quantity), respectively, in 8 days by strain STR-Y-O. The result is the first report for polystyrene biodegradation. It became possible that limonene melted expanded polystyrene, and styrene and polystyrene as melting matter were decomposed by the isolated microorganisms. In a series of experiments, the possibility that the zero emission process of expanded polystyrene was shown by those microorganisms.
著者
五島 寧
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木史研究 (ISSN:09167293)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.103-116, 1998
被引用文献数
4

This study clarified about the block formation inside Thi-pak-sia<SUP>n</SUP> (Taipei Castle) under Japanese rule.The frame of Tai-pak-sia<SUP>n</SUP>had been constituted by walls and streets. The Government-General tried to improve the urbansanitation with utilizing the frame. As a result Three-Tracks-Street was built at the place that castle wall had been built, and the major streets continued to exist. However, the direction effected by Peng Shui also continued to exist; these instances do not mean accession of traditional space order. The plan was merely the utilization of existing geographical features; because traditional planning philosophy had not been considered.
著者
清水 英範 布施 孝志
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.1-18, 2010 (Released:2017-11-29)
参考文献数
20

広重や北斎などの江戸の風景画には、富士山や江戸湾などの地形や江戸城の眺望を巧みに取り入れた素晴らしい都市景観が数多く描かれている。しかし、これらの風景画の多くは名所絵であり、江戸の都市景観の実態は明らかにされていない。本研究では、江戸絵図を基礎資料とし、その幾何学的な歪みを補正し、明治時代の東京の地形データと現代の広域地形データを統合し、江戸市中や江戸城の建造物について高さを中心としたモデリングを行い、江戸の都市景観を再現した。主に、富士山や筑波山、江戸湾、江戸城などの眺望景観の再現結果に対して、風景画などとの比較を通し、その解釈を与えることにより、江戸の都市景観の実態を紐解くことを試みた。
著者
丹保 憲仁
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1996, no.552, pp.1-10, 1996-11-22 (Released:2010-08-24)
参考文献数
16
被引用文献数
2
著者
川崎 智也 轟 朝幸 小林 聡一
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.71, no.5, pp.I_523-I_532, 2015
被引用文献数
1

首都圏の都市鉄道では,朝ラッシュ時に定常的な混雑が発生している.混雑緩和に対する一つの解決策として,時差通勤をした者に対して,抽選で賞金が当たる抽選型報奨金制度がある.本研究では,東京メトロ東西線利用者を対象として,オーダードロジットモデルを用いて抽選型報奨金制度を導入した場合の鉄道利用者行動モデルを構築し,当選金額および当選金額に対する感度分析を実施した.その結果,当選の期待値が100円の下で当選金額を28.9千円(当選確率0.33%)とした場合,定額型施策よりも時差通勤施策の参加者が増加する可能性が示され,混雑率は197.5%となり,現状の混雑率である199%から1.5%減少することが示された.当選金額を20万円(当選確率0.05%)と高額に設定すると,混雑率は196.9%まで減少し,定額型施策よりも0.6%低下した.
著者
桑原 弥寿雄
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:00471798)
巻号頁・発行日
vol.1962, no.78, pp.16-41, 1962 (Released:2009-12-18)

著者は多年路線選定の業務および研究に従事し, 国鉄在職中, 選定を研究しまたは担当した路線の延長は, わが国の内外を通じて, 20000 km に近く, その後, 多少高速自動車道の路線選定にも関係した。本論文はこの経験にもとづき, 路線選定の主体をなす勾配の選定について, 基礎的理論の抽出ならびに選定技術の体系化を試みたものである。基礎理論として, まず最初に路線の価値を構成する要素と条件をあげ, ついで路線の価値比較に関する在来の諸方法について論じ, その批判にたって新たに線路運転抵抗図なるものを提案し, 選定技術に対する応用を論じた。勾配選定に関する基礎的な考察は路線の勾配を形成する要素の中から, 始終点間の高低差, 勾配の長さ, 強度および配列, 最高点, 最低点の高さなどに着目し, 経過地の地形に対する適合方法を述べたものである。また幹線経路の比較, 全国主要幹線の勾配改良について研究し, 勾配選定の具体的研究例を示した。なお, 以上の路線勾配選定に関する研究は, 理論的には, 道路, 特に高速自動車道の路線選定に応用し得るものである。
著者
菅原 操
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1985, no.353, pp.1-10, 1985-01-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
28
被引用文献数
2
著者
盛岡 通
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
日本土木史研究発表会論文集 (ISSN:09134107)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.111-118, 1983

ブラジルにおける (日系入の最初) の計画開拓地であるジストロのまちづくりには、通史的に見てエポックがある。蜜ず、開発会社海興による植民管理的、状況対応主義的なまちづくりがなされた。つぎに、1930年頃には植民自治団鉢郷を主体としてむら社会の秩序をともなったまちづくりがなされた。むらびとのほかにも、街の商人、海興の勤め入や青年達のつきあいが広がり、市街地解放とともにさらに商店も増加し, 社会施設も整備された。<BR>このブラジル社会のまちびとは戦後のまちづくりにも活躍した。それはRBBCというソシエダーデを核として、まち隨一の会路やスポーツ・センターをつくり、農村電化事業などをも推進したことである。現在は行政によるまちづくりが主であるが、それも日系人のまちづくりの履歴に影響されているところが少なくない。<BR>伊系、独系移民都市と比較すると、日系移民都市では学校、自治組織の寄合所、産業組合などが街の中核施設となり、つきあいも多重的階層型であったのが特徴である。また、つきあいの社会化とそれにともなう都市施設の建設はどの都市でも共通するが、日系移民者肺においてはむら組織とその影響がまだ残るソシエダーデを通じて関与してきたことが見落せない。
著者
河野 哲也 永田 茂 小島 清嗣 北野 哲司 河合 亜紀
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
地震工学研究発表会講演論文集 (ISSN:18848435)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.129-132, 1999

名古屋周辺では, 都市ガスの供給における地震時緊急対応を目的として約100台の地震計 (SIセンサー) が高密度に設置され, 地震動分布や被害評価に活用されている.本報告では, <I>Kriging</I> 法を用いた地震動分布推定への適用を前提として, 高密度地震観測網で観測された愛知県東部地震, 岐阜県美濃中西部地震の最大加速度とSI値の観測記録を基に, これらの距離相関特性について検討を行った.さらに, 評価された距離相関モデルをもとに<I>Kriging</I>法により地震動分布予測を行い, 他の機関によって観測された最大加速度やSI値との比較から推定精度に関する検討を行った.
著者
柴 有香 桜井 慎一
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.297-303, 2005-10-31 (Released:2010-06-04)
参考文献数
5

全国各地の河川において親水テラス整備が進められる中で、橋梁の真下にあたる橋梁下空間は大部分が手付かずの状態で取り残されている。しかしながら、全国の行政機関のうち約8割もがゴミの不法投棄といった問題を橋梁下空間に認識していること、さらにはそれら問題が河川空間全体の質を左右することが本研究から明らかとなり、整備の必要性がないとは言い難いであろう。そこで本研究では橋梁下空間の整備を阻む事情やその要因を把握し、整備を進める上で取り組むべきと考えられる課題を示すことを目的とした。その結果、橋梁下空間と親水テラスとして整備される橋梁間とを一体的に捉えるといった認識改善が行政機関に求められることなどが明らかとなった。
著者
星上 幸良 小林 昭男 宇多 高明 三浦 正寛 熊田 貴之 三波 俊郎
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
海洋開発論文集 (ISSN:09127348)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.481-486, 2003 (Released:2011-06-27)
参考文献数
9
被引用文献数
1

Preventive method of beach erosion and accretion triggered by the formation of wave shadow zone associated with extension of port breakwater is investigated through the field observation, taking the Shimohara fishing port in Tateyama City in Chiba Prefecture as the example. This phenomenon is well-known in coastal engineering, but in Japan this kind of beach erosion and accretion have been repeatedly reported. In order to solve this problem, not only the research in engineering method, but also improvement of the environmental assessment system are required so as to include the prediction of topographic changes in the items of environment assessment.
著者
山本 徹 関 文夫 吉田 篤史
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
建設マネジメント研究論文集 (ISSN:18848311)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.361-368, 2003

国民の社会資本へのニーズは、社会資本整備の進捗に伴って国民が求める「豊かさ」に質的な変化がみられ、公共投資に関する国民の意識は変化している。国民のニーズは経済効率重視のハード主体の公共投資から、環境や福祉などを重視したソフトを含めた「ゆとりや豊かさ」の実現と変化している。<BR>高度経済成長を支えてきた社会資本整備の施工者である日本の総合建設会社は間接部門を持たない外国のゼネラルコントラクターと違い、技術研究所などの技術開発部門を有しそれを活用するエンジニアリング能力も備えている。現場施工管理においては、組織としての技術支援を得ることにより確かな技術的判断をもって問題解決にあたっている。さらに技術部門は机上の研究活動からだけでなく、豊富な現場経験からのノウハウを集積しその技術力を蓄積している。<BR>本書では、従来の総合建設会社の施工管理部門 (Constructor) と工学的技術部門 (Engineer) の融合に加えて「ゆとりや豊かさ」を提供するために意匠設計能力を有するランドスケープ技術部門 (Designer) を設けて三位一体として活用する「総合技術監理システム」によるランドスケープデザインで、地域との合意形成に貢献した施工実施例を紹介する。
著者
松浦 茂樹 藤井 三樹夫
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木史研究 (ISSN:09167293)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.61-76, 1994

1875 (明治8) 年、第1回地方官会議が開催され、ここで「堤防法案」が審議された。治水は河身改築・砂防工事等を主とした「預防ノエ」と、築堤を主とした「防禦ノエ」とからなり、地域で工事を行なうことが難しいときは、前者は内務省、後者は地方庁で行なうと政府から提案された。工事費については、地租の改正に従って新たな制度の整備を図るが、治水は一地域に限られたものであって、その地域で負担するのを原則とし、それが困難なとき国から補助すると規定された。しかし「堤防法案」は、政府原案を修正した上で成案をみたが、制定には至らなかった。ただし淀川では、太政官の指令によって土木寮分局が設置され、その事務規程中、成案をみた「堤防法案」の工事執行、費用分担と類似した規定が設けられた。<BR>1878 (明治11) 年、地方財政制度が確立され、治水事業は地方庁で行なうのが原則とされた。当初は下渡金という名の補助金があったが、1881年に打ち切られた。これ以降、大河川での「預防ノエ」以外は地方庁で行なわれることとなったが、地方庁の財政が逼迫し、容易に進まなかった。このため内務省は、補助制度の確立を目指し、1887 (明治20) 年頃には、一定の成果を得た。また、木曾川等では、国直轄の河身改修、県負担の築堤が合わさって大規模な事業が着手された。<BR>1896 (明治29) 年、「河川法」が制定されたが、それは「防禦ノエ」を国直轄で行なうものであった。それまで「預防ノエ」のみ直轄で行なっていたが、淀川流域を中心とし、地域からの「防禦ノエ」に対する国直轄施行の要望が強まり、いよいよ国として「防禦ノエ」に乗り出さざるを得なくなり、新しい制度が必要となったのである。
著者
岡本 直久 川田 真理絵 石田 東生 堤 盛人 谷口 綾子 諸田 恵士
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.801-806, 2008-09-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
5

本論文では、つくばエクスプレスの周辺地域における住民の交通行動の変化と、交通手段に対する意識の変化を把握し、つくばエクスプレス開業が住民に与えた影響を把握することを目的としている。2005年8月24日、つくば市と秋葉原を結ぶつくばエクスプレスが開業し、つくば市とその周辺地域では、路線バスの再編や駅の新設・道路整備などが行われ、地域内の交通体系が大きく変化したことが期待される。結果として、駅などの幹線公共交通へのアクセス手段について、つくばエクスプレス開業前に比べて住民がより合理的に交通手段を選択する傾向が示唆され、アクセス手段の交通サービスレベルが変化していることが伺えた。
著者
横平 弘
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木史研究 (ISSN:09167293)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.339-346, 1994-06-09 (Released:2010-06-15)
参考文献数
24

JR釧網本線は当初の路線計画策定後の路線変更に伴って、施工された現有路線は全体的に迂回路線となった。迂回の著しい2区間について、施工の難易姓や路盤建設費から直結線と比較した結果、いずれも施工難工区を有し、迂回に伴って必要となった費用は全竣工額の18.7%にも達したことから、路線建設の妥当性は不十分とみられ、迂回のより著しい1区間については当初計画 (直結近似) 路線の方が有利である。
著者
中野 晋 小野 悟 冨永 数男 村上 仁士
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
海岸工学論文集 (ISSN:09167897)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.1331-1335, 2005

2004年9月5日に発生した紀伊半島沖地震, 東海道沖地震の2回の地震の際の自治体の対応状況をまとめた. 徳島県では概ね震度3, 高知県東部では震度2程度, 来襲した津波高も室戸港で最大0.5m程度であり, 被害は発生していない. しかし, 職員の非常参集体制, 情報収集と伝達方法, 海面監視の方法などの点で検討すべき事項が見出された. これを契機に複数の自治体で津波注意報発令時の配備動員体制を再検討するなど津波防災体制の見直しが行われつつある.