著者
野本 済央 小橋川 哲 田本 真詞 政瀧 浩和 吉岡 理 高橋 敏
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J96-D, no.1, pp.15-24, 2013-01-01

対話音声に対し怒りの感情を高精度に推定するための新しい特徴量について提案する.怒りの種類は,怒鳴った怒り(hot-anger)と静かな怒り(cold-anger)の二つに分類される.hot-angerの推定には従来研究により韻律的特徴の有効性が示されてきたが,cold-angerの推定はこれまで困難であった.本論文では,2話者による対話を前提とし,韻律的特徴以外に対話特有の特徴も捉えることでcold-angerの推定も可能とする.一方の話者が怒っており,もう一方の話者が怒られている対話状況に現れる顕現的な特徴を捉えるため,各話者の発話区間の時間的関係性から“対話的特徴”(発話時間,相づち回数,発話権交替時間,発話時間比)を提案する.コールセンタ対話音声に対し分析を行い,提案する対話的特徴がhot-anger,cold-angerによらず怒り対話音声の推定に有効であることを明らかにした.更にSVMを用いた実験により,韻律的特徴と併用することでcold-angerにおいてF値で24.4 pt,hot-angerにおいて8.8 ptの精度向上を確認し,提案する対話的特徴量の有効性を示した.
著者
中川 優里 泉井 透 伊勢川 暁 荒井 健太郎 其田 雅徳 成田 雅彦 小木 哲朗
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J95-D, no.4, pp.825-833, 2012-04-01

高度情報通信社会の進展に伴い,購買情報や行動履歴などの個人に関わる情報は,日々膨大に生み出され,社会の様々な場所に分散して記録されている.これらの情報は,マーケティング等に用いられるなど,企業にとって大きな興味の対象となる一方で,情報を生み出している個人がこれらの情報を把握し,一元的に管理することは困難であり,また,企業に対して自分の思いどおりに自分の情報を利用させて対価を得るといった運用手段もない.本論文では,これらの課題を解決するために,より重要性を増してきた個人に関わる情報を日々生成する個人が,自身の情報を自分自身で利用し,そして,その情報を利用したい第三者に適切な対価と引き換えに利用させることを実現するためのフレームワークを提案する.そして,個人に関わる情報の中でも,運用になじみやすい購買情報に着目し,これらの課題に対する解決案を提示し,その実現性を検証する.
著者
林 大貴 相河 聡
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J95-B, no.8, pp.980-984, 2012-08-01

近年,モバイル無線LANルータに代表される移動性のある無線LANネットワークが広まりつつある.無線LANのAPとなるルータ自体に移動性があるため,同じチャネルを選ぶ端末の接近が避けられず,スループット低下を引き起こす.本論文ではモバイル無線LANルータの動的なチャネル変更を提案し,シミュレーションにより手法の評価を行う.
著者
Ben HACHIMORI Tetsuo SHIBUYA
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
IEICE TRANSACTIONS on Fundamentals of Electronics, Communications and Computer Sciences (ISSN:09168508)
巻号頁・発行日
vol.E92-A, no.8, pp.1750-1756, 2009-08-01

In this paper, an idea for improvement of suffix array construction using lazy evaluation is presented. Evaluation of the suffix array is based on the searching queries; only the necessary part of the suffix array is built when unevaluated part of the suffix array is referred during the searching process. This is less time consuming than constructing complete suffix array. We propose lazy evaluation of Schürmann-Stoye algorithm. Experimental results show that lazy Schürmann-Stoye algorithm runs faster than Maniscalco, which is well-recognized as the fastest suffix sorting algorithm, under the constraint of small LCP (longest common prefix) and a limited number of searching queries.
著者
上野 貴弘 宮嶋 照行
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J95-B, no.7, pp.898-906, 2012-07-01

スパース通信路はそのインパルス応答が非常に少数の非ゼロタップをもつものであり,様々な通信環境において観測されている.本論文では,OFDMシステムにおけるスパース通信路のブラインド推定について検討している.通信路推定は,パイロット信号を用いない非ゼロタップ検出と,その検出結果を用いたタップ係数推定の二段階で行われる.提案するブラインド非ゼロタップ位置検出法はサイクリック・プリフィックスの性質を利用した統計的な手法によりタップ係数の大きさを求め,しきい値判定により非ゼロタップを検出する.この非ゼロタップ検出結果を従来のSIMOシステムにおけるブラインド通信路推定法に組み合わせる方法を検討している.推定すべきタップ数が減少するため,通信路推定性能が大幅に向上することが期待できる.計算機シミュレーションにより,提案法により通信路が既知の場合と同等のビット誤り率特性が得られることを示している.
著者
上 芳夫
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J90-B, no.11, pp.1070-1082, 2007-11-01

環境電磁工学(EMC)分野における伝送回路理論の基礎は,伝送線路と電磁波の結合を表す変形された電信方程式である.まず,二つの定式化モデルとその関係について概説している.次にこの解方程式を伝送線路からの放射問題に展開する考え方,非平行な伝送線路間の結合問題を回路網表現へ発展させる手法を提案している.更に,通常の電信方程式を拡張することによって表現される多線条線路の解析手法や高速電力線搬送通信(PLC)でのEMC問題に適用し,解析に有効なモード回路網を提案し,PLCモデムと電力線配線の取扱法を提示している.
著者
麻生 英樹 高崎 晴夫 小野 智弘 土生 由希子 竹中 毅 本村 陽一
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J95-D, no.4, pp.846-854, 2012-04-01

推薦などの個人化サービスでは,ユーザの購買履歴やWeb閲覧履歴等のライフログ情報を利用してユーザの嗜好等を推定し,個々のユーザに適応したサービスを実現している.システムが自分の購買履歴等の情報を収集・利用することについて,漠然とした懸念を感じているユーザも多く,米国を中心とした調査では,インターネット上のプライバシーに関する懸念がサービスの利用意向に負の影響を与えることが示されている.我々は,ライフログ等のパーソナルな情報を利用する個人化情報サービスの利用意向とパーソナル情報の二次利用の受容性に関する大規模なインターネット調査を実施した.調査においては,様々な属性をもつ模擬サービスを60種類構築し,4,000名を超える被験者に対してサービスを体験してもらった後にアンケートを行った.本論文では,そこで得られたデータに構造方程式モデリングを適用して,推薦サービスの利用意向に影響を与える因子の分析を行った結果について報告する.
著者
小林 哲郎 一藤 裕 曽根原 登
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J95-D, no.4, pp.834-845, 2012-04-01

提供されたライフログの管理や匿名化に関する情報セキュリティ的研究が進む一方,ライフログ提供者の心理的抵抗や提供を促進するインセンティブや制度に関する研究は不足している.そこで本研究は,ライフログ提供を促進する有効な制度設計のための基礎的な知見を提供することを目的に,ライフログ調査研究への参加依頼を実験刺激として,収集するライフログの種類,金銭的謝礼の金額,対価として提供されるライフログ活用サービスを要因操作した無作為配置被験者実験を行った.その結果,コミュニケーション履歴を提供することへの心理的抵抗が最も強く,GPS位置情報を提供することへの心理的抵抗は比較的弱いことが明らかになった.また,金銭的謝礼はライフログ提供を促進するがその効果は非線形であることが示唆された.一方で,レコメンデーションサービスやライフログ可視化サービスはライフログの提供を促進するインセンティブとしての効果が見られなかった.これらの知見を総合することで,できるだけ潜在的提供者の心理的抵抗を緩和しながらライフログの提供を促進する方法について考察を行った.
著者
Tomotaka WADA Hiroyuki TAKAHASHI Kouichi MUTSUURA Hiromi OKADA
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
IEICE TRANSACTIONS on Fundamentals of Electronics, Communications and Computer Sciences (ISSN:09168508)
巻号頁・発行日
vol.E95-A, no.1, pp.313-316, 2012-01-01

Many researchers have recently studied various applications such as Inter-Vehicle Communications (IVC) and Road-to-Vehicle Communications (RVC) for Intelligent Transport Systems (ITS). RVC is a key technology that can connect vehicles with the internet through Road Side Units (RSUs). Relative positions between vehicles vary within short periods of time. Neighboring vehicles and barriers cause shadowing that blocks communication for extended periods of time between RSUs and vehicles. We propose a fast scheme of Mobile IPv6 handover using dual-band communications in RVC. This scheme uses ISM and UHF dual bands. It switches to the UHF band during handover or in the shadowing period. We demonstrate that the proposed scheme can establish continuous communications through computer simulations.
著者
伊藤 則之 安永 守利
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J94-D, no.12, pp.2004-2030, 2011-12-01

プロセッサの設計では,高い動作周波数を実現するために様々な設計手法が研究され,そして適用されている.このような高性能実現のためには,アーキテクチャ設計や論理設計だけでなく,半導体上で実現する回路設計や物理設計も重要となる.プロセッサの回路設計や物理設計では,高い動作周波数をできるだけ短い期間で実現するために,マニュアル設計と自動設計が選択的に適用される.この両者を組み合わせて適用するために,すべてが自動設計であるASIC設計とは異なり,設計手法に多様性が生まれる.本論文では,実際のプロセッサ設計に適用された設計手法をサーベイし,高性能化を実現するための回路設計及び物理設計の設計フローとCADシステムをまとめる.また,最後に,今後のプロセッサ設計における設計手法の展望について述べる.
著者
河田 直樹 大久保 寛 田川 憲男 土屋 隆生 石塚 崇
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.J94-A, no.11, pp.854-861, 2011-11-01

本研究では,CUDAとOpenGLを用いてGPUアーキテクチャによる三次元音響数値解析のリアルタイムの可視化(計算と同時に可視化を行う音響シミュレーション)について検討を行った.三次元音場の可視化法として,PMCCを提案し,その評価を行った.PMCCは従来の三次元空間中の複数断面を表示する(Multi Cross-section Contours)方法に不透過度を組み合わせた非常にシンプルな可視化方法である.また,PMCCは波動現象特有の干渉や散乱の把握もボリュームレンダリングに比べて分かりやすく,また,描画のための計算負荷も非常に少ない.平行な複数断面表示を行う場合もオクルージョンがほとんど発生せず,断面表示でありながら,三次元空間を一目で把握できる.まさに,擬似的三次元表示といえる.描画速度の評価より,CPUを用いる場合に比べて,GPUによって33倍程度の加速化が可能であることが分かった.GPU計算とPMCC描画の組合せにより,三次元音響数値解析のリアルタイムの可視化の実現可能性を明らかにした.
著者
谷本 茂明 島岡 政基 片岡 俊幸 西村 健 山地 一禎 中村 素典 曽根原 登 岡部 寿男
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J94-B, no.10, pp.1383-1388, 2011-10-01

全国大学共同電子認証基盤(UPKI)プロジェクトでは,大学間PKI連携及び構築コスト削減等を実現するキャンパスPKI共通仕様を新たに開発した.本仕様が,PKI連携とコスト削減を同時に満足し,キャンパスPKI普及促進に寄与することを示す.
著者
島岡 政基 片岡 俊幸 谷本 茂明 西村 健 山地 一禎 中村 素典 曽根原 登 岡部 寿男
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J94-B, no.10, pp.1246-1260, 2011-10-01

国立情報学研究所(NII)では,平成17年度より大学間連携のための全国共同電子認証基盤(UPKI)の構築を行ってきた.UPKIは,コンピュータや学術コンテンツ等を大学間で安全・安心かつ効果的に共有し活用するための基盤として,PKI(公開鍵認証基盤)を中軸に利用者や利用機関の認証とサービスの認可の機能を提供する.本論文では,学術機関における認証の必要性と制約,対象とするサービスの多様性,既存の各種認証基盤との整合性などを考慮して設計した3層(オープンドメイン層,キャンパス層及びグリッド層)のPKIからなるUPKIの基本アーキテクチャについて解説するとともに,設計方針に基づく各層の実装及び連携方法などについて述べる.
著者
秋間 雄太 川久保 秀敏 柳井 啓司
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J94-D, no.8, pp.1248-1259, 2011-08-01

近年,Folksonomyの出現により,データベースにタグなどによって意味的な価値を付与することが進められてきたが,階層構造のような概念間の関係を組み込んでいるデータベースは少ない.そこで,本研究では,意味的な階層構造を考慮した画像データベースの作成方法を提案する.階層構造の構築方法は,大量の画像データの各概念のノイズを除去した後に,各概念を視覚特徴を用いたベクトル表現,タグを用いたベクトル表現,視覚特徴とタグを統合したベクトル表現の3種類のベクトル表現で,JSダイバージェンスによる距離尺度を用いて概念間の距離関係を推定し,更に概念エントロピーを作成することで,概念の広がりから上下関係を推測する.最終的には,作成した階層構造を,視覚的な特徴のみで作成した場合とタグ特徴のみで作成した場合,そしてタグと視覚特徴を結合した場合での表現結果を考察した.結果として,視覚特徴での階層構造,タグ情報による階層構造のそれぞれにおいて特有の階層構造を確認することができ,また,統合した階層構造は両方の階層構造を加味し,それぞれの特徴を内包した新しい階層構造を作り出すことに成功した.構築された階層構造には人手での発見が難しい概念間の関係が含まれ,画像検索へ役立つ可能性を示す.
著者
坂地 泰紀 増山 繁
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J94-D, no.8, pp.1496-1506, 2011-08-01

本論文では,新聞記事から因果関係を含む文を自動的に抽出する手法を提案する.現在,ウェブページや新聞記事を含む大規模な機械可読文書が入手可能であり,その中には実アプリケーションに役立つ様々な情報が存在し,テキストマイニング技術を用いることで獲得することが可能である.そのような情報の一つに因果関係があり,本研究では因果関係の存在を示す手掛りとなる表現に基づいた因果関係を含む文の抽出を行った.その結果,人手により作られた辞書やパターンを用いず,自動的に因果関係を含む文を抽出することができた.本手法は,素性として構文的な素性と,意味的な素性を用いた.また,追加学習データを自動的に獲得することができる.その結果,性能が向上し,F値0.797を達成した.
著者
川西 康友 満上 育久 美濃 導彦
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J94-D, no.8, pp.1359-1367, 2011-08-01

本論文では屋外に設置された固定カメラを対象とし,太陽の動きによる日照の変動と看板やベンチなどの置かれ方に起因する構造の変動を再現した背景画像生成手法を提案する.この手法では,長期間観測して得た大量の画像を観測日と観測時刻という二つの観点で整理し,複数日・同時刻の観測画像に注目することで画像の日照成分を推定し,同日・複数時刻の観測画像に注目することで画像の構造成分を推定する.これにより,従来うまく背景画像を生成することができなかった日照の変化と構造の変化の両方を含むシーンにおいて,この二つの変化を同時に再現した背景画像生成を実現する.実験では従来手法と提案手法によって,様々な定点カメラによって得た画像に対して生成した背景画像を比較することで,本手法による背景画像生成の有効性を示した.
著者
山添 大丈 内海 章 米澤 朋子 安部 伸治
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J94-D, no.6, pp.998-1006, 2011-06-01

従来の視線推定手法のもつ制約を緩和した単眼カメラによる視線推定手法を提案する.これまでに多くの視線推定手法が提案されているが,キャリブレーションが必要,計測範囲が狭いなどの問題があり,その応用範囲はHCIにおける視線計測や視線を用いたインタフェースなどに限られてきた.提案手法では,虹彩と白目のアピアランスをもった三次元眼球モデルを用い,バンドル調整法のように複数フレームにおける観測画像とモデル投影画像の間の投影誤差が最小とすることにより,眼球モデルパラメータを推定する.従来の視線推定手法とは異なり,ユーザが決まった参照点を注視するといった特殊なキャリブレーション動作が必要ない.そのためユーザに視線推定を意識させることなく,自動的にキャリブレーション処理が完了できる.視線推定においても同様に,投影誤差を最小化することにより,視線方向を推定する.実験により,解像度QVGA (320 × 240)の画像で,約6度の推定精度が得られることを確認した.
著者
松田 俊広 伊野 文彦 萩原 兼一
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J94-D, no.5, pp.852-861, 2011-05-01

本論文では,実時間の画像ノイズ除去を目的として,GPU(GraphicsProcessing Unit)に基づく高速な全変動最小化手法を提案する.既存手法と異なり,提案手法はカーネルを二つに分割する.この分割はGPU内の同期を増加させるが,メモリアクセスパターンを簡素化し,メモリアクセスに起因する分岐を削減できる.更に,オフチップメモリの実効バンド幅を最大化し,その読み書き量を最小化するために,スレッドブロックの大きさや形状を適切に定める.実験の結果,提案手法は単一カーネルに基づく既存手法よりも30%ほど高速であった.また,スレッドブロックの形状に応じて,性能が4%ほど向上した.1024 × 1024画素からなる時系列臨床画像に対し,秒間46フレームの実時間ノイズ除去及び可視化を実現できた.
著者
三木 光範 加來 史也 廣安 知之 吉見 真聡 田中 慎吾 谷澤 淳一 西本 龍生
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J94-D, no.4, pp.637-645, 2011-04-01

オフィスワーカが個人ごとに設定した照度をできるだけ少ない消費電力量で提供する知的照明システムを実際のオフィス環境において構築した.システムの構築場所は,東京都千代田区大手町にある大手町ビル内の三菱地所(株)都市計画事業室である.構築エリアの面積は約240平方メートルであり,26台の照明器具及び22台の照度センサを設置した.1台の照明器具は昼白色蛍光灯及び電球色蛍光灯からなり,器具ごとに色温度を変化させることが可能である.これらの機器は,制御用コンピュータと接続され,Simulated Annealingを応用した制御アルゴリズムにより動作する.システムの実働実験により,各オフィスワーカに個別の照度環境を提供できるとともに,従来の照明システムよりも消費電力量の削減効果があることを確認した.