著者
孕石 泰孝
出版者
関西大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2019

本研究では, 「科学とは何か」「科学を学ぶ意味は何か」という科学との関わり, 科学との向き合い方を科学哲学を通して児童に注目させようとした。成果物として, 科学哲学の内容を扱う小学生向けのテキストの具体的な教材, 電子ブック『科学哲学入門』を作成した。本教材は, 抽象的な内容を扱ってはいるが, 小学生でも読みやすいよう, 対話形式で話を進めるように工夫されている。本ブックは, ブラッシュアップをかけ, 「Apple Books」より無償配信されている。
著者
川上 紳一 大野 照文 高野 雅夫 酒井 英男 石渡 良志
出版者
岐阜大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

本研究は、ナミビアで採集した縞状炭酸塩岩の解析に基づいて、スノーボール・アース仮説を検証することである。現生代後期の氷河堆積物を覆う縞状炭酸塩岩は温暖な気候で堆積したものと考えられており、地質学における大きな謎であるとされた。氷河堆積物と縞状炭酸塩岩の組み合わせは、地球表面が前面的に凍結したとすると合理的に説明ができる。しかし、そのようなことは気候学的にありえないとされてきた。申請者らは、ナミビアで採集したラストフ縞状炭酸塩岩の化学的分析を行い、縞の解析から堆積速度の見積もりを試みてきた。層厚14mの縞状炭酸塩岩は、酸素、炭素同位体比からみて、3つの区間に区分されることが明らかになった。酸素同位体、炭素同位体比の変動は、スノーボール・アース仮説から導かれる論理的帰結と合致しているものと解釈された。現生代後期の炭酸塩岩の堆積環境の解析に、酸素同位体比が利用できることを世界に先駆けて示すことができた。一方、縞の解析では、区間2にメートルオーダーの明瞭な堆積サイクルが認められていた。このサイクルは、カルサイトに富んだ部分とドロマイトに富んだ部分の繰り返しで特徴づけられる。それぞれのサイクルには、ミリメートルスケールのラミナがあり、メートルスケールの堆積サイクルには、約1500枚のラミナが含まれていることが明らかになった。ラストフ縞状炭酸塩岩のラミナが1年ごとの環境の繰り返しを反映していることを論じた。一方、ナミビアのマイエバーグ縞状炭酸塩岩にはミリメートルスケールの縞とセンチメートルスケールの縞が形成されている。このような縞が潮汐リズムを反映したものである可能性を指摘した。この解釈によるとマイエバーグ縞状炭酸塩岩の堆積速度は、約25cm/年となる。これらの縞の解析から縞状炭酸塩岩に記録された炭素同位体比の変動の時間スケールは、数1000年であると見積もられた。これは新生代古第三紀の突発的温暖化事件(LPTM)における炭素同位体比の変動の時間スケールに比べ、一桁近く小さいことになる。以上の結果を総合すると、われわれが採集した氷河堆積物を直接覆う縞状炭酸塩岩の地球化学的特徴は、スノーボール・アース仮説と符合していることが明らかになった。
著者
平田 富士男
出版者
一般社団法人 環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集
巻号頁・発行日
vol.16, pp.35, 2002

ガーデニングの普及とともに淡路島のように自然に恵まれた地域でも、外国から輸入された園芸種が多用されるようになってきた。真に自然と共生する社会を実現していくためには、何でもいいから花や緑を植栽すればいいのではなく、その地域に自生する植物の有効利用を考える視点が重要である。そこで島民へのアンケートを通じて、自生植物等の利用に関する意識を調査したところ、園芸種の多用は、その植物の好き嫌いやコストの問題ではなく、むしろ増殖しやすいかどうか、が大きな理由であることがわかった。また、自生植物に関する認識も高く、特に、ユリ、スイセンの利用に対する意識が高いことがわかった。これらの自生種は今後園芸利用の対象として有望だが、住民が容易に育成、増殖できるような技術開発が重要であることも把握された。
著者
佐々木 卓士 鳥谷部 一成 渡辺 紀之 中野 克重 笹原 二郎
出版者
日本獸医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.39, no.6, pp.378-382, 1986
被引用文献数
1

北里大学獣医畜産学部附属八雲牧場において維持している, Specific Pathogen-Free (以下SPFと略) 鶏の血清学的ならびに微生物学的検査を行った.<BR>SPF鶏群は1979年に作出し, 6月に最初の血清学的検査を実施した. 1985年4月までに28回, 検査延べ羽数30, 445羽の検査結果は, 鶏伝染性気管支炎, 鶏脳脊髄炎, 鶏伝染性喉頭気管炎 (以下ILTと略), 鶏細網内皮症, マレック病, 伝染性ファブリキウス嚢病, 鶏ウイルス性腱鞘炎, 鶏アデノウイルス感染症 (以下AAVと略), 鶏白血病・肉腫 (A亜群, B亜群), ニューカッスル病, トリイソフルエソザ, トリパライソフルエソザ, 産卵低下症候群-1976, 伝染性コリーザ, ひな白痢 (以下SPと略) ならびにマイコプラズマ症 (<I>M.gallisepticum</I>; MG<I>M.synoviae</I>; MS) の病原体に対する抗体がいずれも検出されなかった. しかし, 20例でILT, AAV, SPあるいはMGの検査において非特異反応が認められた.<BR>微生物学的検査ではマイコプラズマおよびウイルスの分離成績はすべて陰性であった. 細菌検査では<I>Escherichia coli</I>, Proteus spp., Staphylococcus spp. 等が常在菌として主に腸管より分離された.<BR>以上のことから, これらのSPF鶏群は特定の病原体に汚染されていないことが確認された.
著者
長峯 聖人 外山 美樹
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.175-186, 2021-06-30 (Released:2021-07-21)
参考文献数
45
被引用文献数
3

近年では,制御焦点と具体的な他者との関連についての研究が増加している。その中で長峯他(2019)は,競争場面における他者に着目し,特性として促進焦点的な個人にとってはライバル関係が適応的な結果につながることを示した。本研究は長峯他(2019)の知見を踏まえ,競争場面において,特性として防止焦点的な個人にとってはチームメイトとの関係が適応的な結果につながるかどうかを検討した。加えて長峯他(2019)に倣い,制御焦点の差異がチームメイトとの関係による影響を介し,チームへのコミットメントおよび集団的な動機づけに影響するかどうかを併せて検討した。大学生アスリートを対象とした調査研究の結果,まず特性として防止焦点的な個人はチームメイトとの関係によって義務自己の顕在化が生じやすいことが示された。さらに防止焦点的な個人は促進焦点的な個人よりもチームへの規範的コミットメントおよび集団的な動機づけの程度が高いことが明らかになった。加えて,それらの関連は,義務自己の顕在化によって媒介されることが併せて示された。最後に,本研究で制御焦点との関連がみられなかった変数に関する考察が行われた後,課題と今後の展望について議論された。
著者
三和 秀平 外山 美樹
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.26-36, 2021-03-30 (Released:2021-05-01)
参考文献数
45
被引用文献数
7

本研究の目的は,小学校教師の動機づけと子どもの動機づけの関連を検討することおよび自律性支援の媒介の効果を検討することであった。そのために,2つの研究を行った。研究1では,90名の小学校教師を対象に質問紙調査を実施し,教師の動機づけと教師の認知する自律性支援との関連を検討した。その結果,内発的動機づけ,子ども志向,義務感と自律性支援との間に正の関連が,承認・比較志向と自律性支援との間に負の関連がみられた。研究2では,教師35名とそのクラスに在籍する子ども1,097名を対象に質問紙調査を実施し,教師の動機づけと子どもの動機づけの関連および自律性支援の媒介の効果を検討した。その結果,教師の子ども志向が子どもの認知する自律性支援を介して子どもの内的調整と正の関連を示すことが示唆された。また,熟達志向は直接的に子どもの取り入れ的調整と負の関連を示していた。研究1,研究2ともに子ども志向が自律性支援や子どもの動機づけと関連しており,“子どものため”といった教師の他者志向的な動機づけのポジティブな側面が明らかとなった。

1 0 0 0 OA 修養と通力

著者
高橋宮二 著
出版者
東京宝文館
巻号頁・発行日
1913

1 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1910年05月23日, 1910-05-23