著者
鈴木 学 大和 康博 渡辺 忠雄
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.160-167, 1973-04-05 (Released:2010-03-01)
参考文献数
27
被引用文献数
1 1

土壌に残留する農薬の野菜への移行を検討しつぎのような結果を得た.1) 土壌中に残留する各BHC異性体は, ニンジン, カブ葉, ダイコン葉, ホウレンソウなどに多く移行し, トマト, キャベツなどへの移行は少なかった. 現在の土壌残留量から考えるとニンジン, カブ葉などで残留許容基準をこえる可能性がある.2) アルドリンとディルドリンのキュウリ, ニンジン, ホウレンソウへの移行率は, それぞれ16.6%, 9.6%, 4.4%であった. アルドリンは野菜中でディルドリンの型で検出された. 移行率はキュウリについて文献値にほぼ一致したが, ダイコン, ニンジンについてはかなり低い値を示した.3) エンドリンのキュウリ, キャベツ, ダイコンへの移行率は, それぞれ21.8%, 14.5%, 9.1%であった. エンドリン, アルドリン, ディルドリンの野菜への移行率と土壌残留量から考えると, 日本の残留許容基準をこえる可能性が多い.4) DDTは土壌中にかなりの濃度で残留していたが, 野菜への移行は極めて少量であった.

1 0 0 0 OA 朝鮮史料集真

著者
朝鮮史編修会 編
出版者
朝鮮総督府
巻号頁・発行日
vol.下, 1936
著者
森 正人
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2016, 2016

<br><br>1. 人間あらざるもののカリスマnonhuman charisma<br><br>生産、消費される「自然」は自明ではない。その自然を地理学として問うこととは一体どのように可能であり、意味があるのか。本発表は自然、種、セキュリティをめぐって考えることでこの問いに取り組む。<br><br> 西欧近代において自然は人間主体により手を加えられる受動的な客体と前提されてきた。この人間-自然の形而上学的に文法はポスト人間中心主義の身振りにより掘り崩される。人間あらざるものnonhumanの行為能力は人間の統べ治める近代世界、人新世anthropoceneにおいて「人間なるもの」を鋳直す。生物多様性の危機において象徴性を帯びる人間あらざるカリスマは、この世界の危機を告げ知らせる。<br><br> 日本におけるカリスマの中でも旗艦種flagship species (Lourimer 2007)としての佐渡島のトキを見てみよう。日本を象徴するとも言われるトキは1981年に野生絶滅したものの、1967年に開設されたトキ保護センターで現在も人工孵化、人工繁殖が続けられている。トキの野生絶滅は人間による乱獲に起因するものであり、その意味では人新世的なものである。しかし同時にトキの絶滅は日本的なるものの消滅を訴えかけもする。2011年、世界農業遺産への「トキと共生する佐渡の里山」の登録という出来事は、トキの国民主義化を引き立たせる一例である。空一面を覆う飛翔するトキの風景、佐渡のエコロジーにおいて人間と共生するトキは「日本的なるもの」を象徴するために、里山や棚田とアッセンブリッジされ、審美性を構成する。<br><br> トキに限らず、日本「固有」の種の絶滅に対する危機感は、生政治学と地政学を発動させる。「種」を同定し、その種の数滴把握とそれを生かすことの調整権力は、この調整される種を審美化する(フーコー2007)。したがって、審美的なもの、感性的なるものの分配をつまびらかにすることは、美しきものと生政治的なるものの関わりを暴き出すために重要となる。同時に種の場所と時間を同定し、そこからの移動も管理する力は地政学的である。この移動管理の地理は「生物多様性」という概念とそれに基づく制度によって推進されてきた。興味深いことは、専門家レベルの生物多様性の危機は人間の乱獲や開発によって引き起こされたものと認識されているのに対して、一般レベル(政治的領野)においては侵入外来種によって引き起こされていると想像されがちであることである。したがって、移動管理のセキュリティ強化が政治的アジェンダとして言説化されることになる。<br><br> この移動管理される種(固有種/外来種)は普遍的な区分でも与件でもない。外来種とは、境界づけられた空間と、それをまたぐ移動を前提する。しかし、種が移動する境界とは「自然」ではない。そもそも生物多様性が生物の多様性維持を目的とするのであれば、世界全体で種の個体数管理をする生政治学であるべきであり、国家レベルでの境界管理とは矛盾する。これらは生物多様性の維持、調整が国家によってなされるときの「翻訳」的矛盾である。<br><br> また種の固有/外来性は時間化の問題である。一体どれほど留まれば、どの世代まで遡れば種は固有になるのか。このことは種の問題ではない。振り返れば、保護されるトキは「中国産」である。しかしこの中国産トキの時間性と空間性は審美性によって覆い隠される。なぜなら、中国産のトキは遺伝的に同一であると同定されたからである。<br><br> こうした一連の問いかけは、人間も自然もともに「生き物」であることを確認させる。固有種も外来種もともに人間社会を構成する行為者であり、人間の伴侶種(ハラウェイ2013)であるはずだ。
著者
中村 久美 今井 範子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.55, no.7, pp.561-572, 2004

屋外物置購入世帯を対象に調査を行い, その購入経緯や収納状況を明らかにするとともに, 居住者の収納に関わる生活スタイルとの関連から, 屋外物置の位置付けやあり方を考察した.結果を以下に要約する.<BR>1) 屋外物置の収納内容を詳細に見ると, 屋外使用品のみ収納している世帯が45%をしめる.中高年層を中心に, 屋内使用の日常品や, 季節用品などの非日常品を収納している世帯も少なくない.さらにびん・缶などの資源ゴミの保管場所として活用されることも多い.<BR>2) ほとんどの世帯が, 収納スペースの不足する部屋を指摘している.屋外物置の収納物は, 収納スペース不足の指摘のある居室に対応するモノであり, 住宅諸室からあふれ出たモノを, 屋外物置に収容していることが確認できる.<BR>3) モノの持ち方や片付けに対する生活態度, 意識より, 収納に関わる生活スタイルをみると, 物持ちがよくそれらをきちっと管理する「こだわりタイプ」 の世帯が半数をしめる.とにかくモノを持つことに価値をおく「とりそろえタイプ」も3割存在する.一方限られたモノをきっちり管理する「すっきりタイプ」やモノを持つことも整理することにも消極的な「あっさりタイプ」は少数派である.<BR>4) 屋外物置の位置付けとして, 1つは, 屋外使用の生活用品, 用具の収納庫としての使い方がある. 実際に収納される屋外使用品は, 積雪地域特有の生活用品や, 温暖地域のガーデニング用具, あるいはスポーツ, レジャー用品など, 地域性を反映する.「すっきりタイプ」の居住者はこの種の使い方が多い.このタイプは若年層が多いことから今後このような使い方は増えると考えられる.<BR>5) 「こだわりタイプ」を中心に, 住宅内にあふれるモノを受け入れることで, 居住スペースの確保と住宅内収納スペースの有効利用を図る使われ方がされており, 住宅内収納空間の不適応を補う, 消極的な意味ながら, 屋外物置を設置する意義は見出しうる. 一方, 屋外物置は一時収納, 処分保留のスペースと位置付けて使われる場合もあり, 住み手がモノの保有や管理のあり方を考えるうえで, 以前の蔵や納戸に替わる有効なスペースとして積極的に評価できる.また, 資源ゴミの分別保管場所としての用途は, そのスペースがまだ一般には住宅内に確保されていない現状では貴重である.<BR>6) 屋外生活品の専用庫として使われる物置は, 収納物とそれに対応する設置場所ごとに, ふさわしいデザインが求められる.一方, 住宅内の収納スペースの延長として使われる場合, 屋内生活品を含めた多様な収納物に配慮して, 耐久性, 棚数, 換気などへの配慮を要する.
著者
柏木 恵子
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.48-59, 1972-03-31 (Released:2013-02-19)
参考文献数
8
被引用文献数
8 6

青年期における性役割の認知構造とその発達過程を明らかにすることを目的として, 質問紙法によって得られた資料について因子分析的手法による処理, 分析を行なった。その結果, 次の諸点が明らかにされた。1. 性役割識別の次元として男性役割に関する次元の第I因子 (知性), 第III因子 (行動力), 女性役割に関する次元の第II因子 (美・従順) が抽出された。2. 次元ごとの因子得点につきグループ間の差の検討を行なった結果, 行動力の次元がもっとも高く, 逆に美・従順の次元はもっとも低いことが見出された。3. 因子得点の平均および分布型から, 各次元の性役割識別性についての発達的変化が検討された。その結果, 行動力, 美・従順の2次元については有意な発達的変動はみられないが, 知的次元は, とくに男子において年齢段階による有意な変化が認められた。4. 性役割の認知パターンとその発達の仕方には, 男女により異なる特徴が見出された。すなわち, 男子は中学生では女性にも美・従順とともに知性も期待する複合的なものが, 高校以上になると, 男性には行動力と知性, 女性には美・従順という風に男女に対して分化した認知パターンが成立する。他方, 女子は, 男性に対しては行動力, 知性を期待するが, 女性に対する役割特性の認知は消極的で, 美・従順次元の性役割識別性は男子に比べて有意に低い。
著者
日下 隆一
出版者
佛教大学保健医療技術学部
雑誌
保健医療技術学部論集 (ISSN:18813259)
巻号頁・発行日
no.7, pp.51-59, 2013-03-01

日本における給与・賃金体系は,能力給ではなく年齢給が一般的であり,学歴と職業が重要な要因となっている.しがたって,給与総額(年収)は専門職の社会的レベルの指標でもあり,専門職育成機関にとって関心の深いものとなっている.そこで,理学療法士・作業療法士の年収を賃金構造基本統計調査に基づいて精査した結果,コメディカル間における年収の比較では,やや低位にあることが明らかになった.それを規定する要因は,相互に関連する教育システムと診療・介護報酬体系が主であり,今後の理学療法士・作業療法士の教育システムと医療・介護報酬体系のあり方が重要になると考えられた.年収賃金構造基本統計調査コメテ゛ィカル
著者
高橋 明彦
出版者
上智大学大学院STUFE刊行委員会
雑誌
Stufe (ISSN:02852551)
巻号頁・発行日
no.4, pp.33-48, 1984-10-01
著者
Shea David P.
出版者
慶應義塾大学日吉紀要刊行委員会
雑誌
慶應義塾大学日吉紀要. 英語英米文学 (ISSN:09117180)
巻号頁・発行日
no.70, pp.17-38, 2017-12

Recently, the noted American film director, Regge Life, came to Keio University as a guest speaker to talk about his films, particularly his newest feature, Cocktail Party, an adaptation of the award-winning Japanese novel by Tatsuhiro Oshiro. The film suggests that harm is an inevitable part of the U.S. military presence in Japan, in spite of stated policy intentions. Further, by making the protagonist from Tokyo, the suggestion is made that all of Japan is implicated in the relationship with America – and, by extension, the larger world and its languages, cultures, and ethnicities. In his talk, Mr. Life also spoke about one of his first documentary films, Doubles, which introduces multiracial children who have rights and allegiances to two languages and two cultures. In this essay, I discuss issues raised by Mr. Life, with particular reference to student response to Cocktail Party, as well as my personal experience raising bilingual, bicultural children on the one hand, and dealing with being defined in racial terms as a outsider in Japan, on the other. I argue that while race is fundamental to understanding American society, it was not until I came to Japan that I understood what being white (or colored) really means. The issue is relevant for Japanese who, like the young protagonist in Cocktail Party, are caught up in global events and struggle to assert agency and responsibility in an increasingly multiracial, multilingual world.
著者
吉見 宏
出版者
北海道大学大学院経済学研究科
雑誌
經濟學研究 (ISSN:04516265)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.509-513, 2008-12

本論文は、2005年10月に企業会計審議会から公表された、「監査に関する品質管理基準」は、その設定にあたって、監査法人の審査体制や内部管理体制等の監査の品質管理に関連する非違事例が発生したことに対応したものであることが示されている。すなわち、ここでいう非違事例、すなわち企業等の不正事例がその設定の契機となったとされるのである。 本論文では、その事例として、足利銀行と東北文化学園大学を取り上げ、これら2事例についてどのような点で品質管理上問題点が見いだされるのかを検討し、「監査に関する品質管理基準」設定との関連をみたものである。
著者
朴 大栄 宮本 京子
出版者
桃山学院大学
雑誌
桃山学院大学総合研究所紀要 = ST.ANDREW,S UNIVERSITY BULLETIN OF THE RESEARCH INSTITUTE (ISSN:1346048X)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.1-25, 2012-08-31

Audit failures are often caused by the inability of auditors to maintain independence. The lack of independence is an enemy of systematic and efficient audit operations. How can auditors secure independence? To answer this question, we need to discuss a wide variety of issues, including not only an appropriate organization of auditors, quality control and governance but also the necessity of auditors' rotation and the whereabouts of an authority to select auditor members or determine remuneration for auditors. This paper focuses on audit quality control, which is an essential task in ensuring reliable audit results, and discusses present situations and problems regarding audit quality control systems from the viewpoint of audit firms, JICPA ( Japanese Institute of Certified Public Accountants) and CPAAOB (Certified Public Accountants and Auditing Oversight Board). We also discuss whether or not the size of an audit firms is relevant to its ability to conduct appropriate quality control of audit operations, since we consider it important to clarify such relevance or irrelevance for identifying desirable quality control systems for respective audit firms. We conducted a questionnaire survey on both large audit firms and small and medium-size counterparts to find and analyze the status of their respective quality control systems, and this paper explains the survey results.
著者
吉見 宏
出版者
北海道大学大学院経済学研究科
雑誌
經濟學研究 (ISSN:04516265)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.199-203, 2008-12-11

本論文は、2005年10月に企業会計審議会から公表された、「監査に関する品質管理基準」は、その設定にあたって、監査法人の審査体制や内部管理体制等の監査の品質管理に関連する非違事例が発生したことに対応したものであることが示されている。すなわち、ここでいう非違事例、すなわち企業等の不正事例がその設定の契機となったとされるのである。 本論文では、その事例として、足利銀行と東北文化学園大学を取り上げ、これら2事例についてどのような点で品質管理上問題点が見いだされるのかを検討し、「監査に関する品質管理基準」設定との関連をみたものである。

1 0 0 0 OA 女諸礼集

著者
稀書複製会 編
出版者
米山堂
巻号頁・発行日
vol.4之巻, 1938