著者
艾爾肯 牙生 加藤 鎌司 明石 由香利 Nhi Phan Thi Phuong Halidan Yikeremu 田中 克典 龍 波 西田 英隆 龍 春林 Wu Min Zhu
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:18823351)
巻号頁・発行日
vol.80, no.1, pp.52-65, 2011
被引用文献数
18

中国新疆ウィグル自治区のハミウリは <i>cassaba</i>, <i>chandalak</i>, <i>ameri</i> および <i>zard</i> の 4 変種に分類されているが,その遺伝的多様性についてはほとんど研究されていない.そこで,ハミウリおよび近隣地域の在来品種を含むメロン 120 系統を供試して,遺伝的多様性ならびに類縁関係を解析した.ハミウリ 24 品種の種子長はいずれも 9 mm 以上であり,欧米のフユメロン変種と同じく大粒系に分類され,中国東部のマクワ・シロウリ(小粒系)とは明瞭に異なった.一方,イラン,アフガニスタン,パキスタンおよび中央アジア諸国では,大粒系および小粒系の両者が混在していた.PS-ID 領域(<i>Rpl16-Rpl14</i>)の SNP(一塩基多型)および ccSSR7 マーカーにより葉緑体ゲノムの塩基配列多型を解析した結果,供試したメロン品種が 3 種類の細胞質型(母系)に分けられること,そしてハミウリの細胞質型(T/338bp 型)が欧米のフユメロン品種(T/333bp 型)と異なることが明らかになった.一方,RAPD および SSR マーカーを用いた核ゲノムの多様性解析では,ハミウリの多様性指数(D = 0.243)が他地域の在来メロンより低いことが判明した.系統間での遺伝的距離に基づくクラスター分析の結果,ハミウリのうち果実の貯蔵性に優れる <i>ameri</i> 変種および <i>zard</i> 変種のほとんどが第 2 クラスターに分類されたことから,両変種は遺伝的に分化していないと考えられた.一方,早熟で果実の貯蔵性が悪い <i>chandalak</i> 変種は第 4,第 6 クラスターに分類され,上記 2 変種とは遺伝的に分化していることが判明した.第 2 クラスターには他地域のメロン 12 系統も含まれたが,このうちトルクメニスタンおよびアフガニスタンのメロン 3 系統がハミウリと同じく大粒系(種子)で T/338bp 型(細胞質)であったことから,ハミウリが西方から導入されたと考えられた.これに対して,中国東部のマクワ・シロウリは小粒系,A/338bp 型であり,また核ゲノムの解析でも第 1~第 9 クラスターから遠く離れた第 10 クラスターに分類されたことから,ハミウリとは別起源であることが示された.<br>
著者
駒崎 雅信 出澤 正徳
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
福祉工学シンポジウム講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2003, pp.65-68, 2003
被引用文献数
2 1

キーボードやマウスといった従来の情報システムの入力あるいはインタフェース機器は, 高齢者および障害を持つ人々にとっては決して扱い易いものとは言えない。それらは逆に情報システムと彼等との間で心理的・物理的に高い障壁となってしまっていることが多い。本研究は, 高齢者や特定の障害を持つ人々にとって他の入力機器よりも遥かに使い易い, タッチモニタ用のソフトウェアキーボードを設計するためのガイドラインの確立を目指すものである。そこで最初に, ユーザ年齢と性別によるタッチモニタ上におけるポインティング動作の動的特性への影響を調べた。主な結果は次の通りである : 1.被験者がタッチモニタ上の比較的近距離による2つの目標の間をポイントする動作を繰り返した時, フィッツの法則(MT=αlog_2D/S+β)はあまり適合せず, むしろ移動時間(MT)は大きさ(S)に対する目標間距離(D)の比率にリニアに増加した(すなわち, MT=αD/S+β)。2.係数αは被験者のうちの高齢者グループと若年者グループでほとんど差が無かった。一方, 切片βはこの2つのグループ間で明らかに差が有った。3.係数α男性よりも女性の方が大きい値となった。さらに, 困難指数(D/S)が小さいとき, 移動時間(MT)はほぼ同じか女性の方が短く, 一方困難指数が大きくなると男性の方が短くなった。
著者
Yui Oka Katsuhito Sudoh Satoshi Nakamura
出版者
The Association for Natural Language Processing
雑誌
自然言語処理 (ISSN:13407619)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.778-801, 2021 (Released:2021-09-15)
参考文献数
25

Neural machine translation often suffers from an under-translation problem owing to its limited modeling of the output sequence lengths. In this study, we propose a novel approach to training a Transformer model using length constraints based on length-aware positional encoding (PE). Because length constraints with exact target sentence lengths degrade the translation performance, we add a random perturbation with a uniform distribution within a certain range to the length constraints in the PE during the training. In the inference step, we predicted the output lengths from the input sequences using a length prediction model based on a large-scale pre-trained language model. In Japanese-to-English and English-to-Japanese translation, experimental results show that the proposed perturbation injection improves the robustness of the length prediction errors, particularly within a certain range.
著者
温泉川 肇彦
出版者
日本空気清浄協会
雑誌
空気清浄 (ISSN:00235032)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.189-196, 2002-09-30
著者
柴田 晃宏 富沢 伸行 二瓶 克己 島津 秀雄
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.55, pp.414-415, 1997-09-24
被引用文献数
1

本稿では, ユーザサポート部門のための情報検索ツールであるWWW版Help Desk Builderの開発方針について示す。情報機器等のハイテク機器の社会への浸透に伴い, メーカではエンドユーザに対する技術サポートの問題が顕在化してきている。パソコンを例にあげると, コンピュータの専門知識のない一般ユーザにとっては製品の機能よりも利用段階での技術サポートの方が切実な問題であるため, 電話, FAX等によるヘルプデスクサービスが提供されている。とこるが最近の急激なパソコンの普及に伴ってヘルプデスク利用者が急増し, 即時の対応が困難になってきている。そこでヘルプデスク業務を効率化させる種々の機能を持った支援システムが構築されている。これに関しては, 問い合わせ処理の迅速化, 問題解決事例ベース検索等の機能を持つケライアントサーバ版Help Desk Builderを既に開発し, 製品化した。一方で, こういった一対一の対話による丁寧な支援が常に必要なのかどうか見直す必要も出てきている。例えば, 企業内の情報システム導入に伴う技術サポートにおいてシステムのユーザの問題解決をヘルプデスクだけで対処しようとすると, 当面の問題としてその立ち上げや運用のコストが容認し難い規模に膨らんでしまう。この場合, できるかぎりユーザ自身に問題を解決してもらうのが現実的な対処法となる。そこで, 過去の問題解決の事例や技術情報を利用者側に直接公開して問題解決を支援するなどの取り組みが行われ始めている。ヘルプデスクからユーザに対しての情報公開は, 上記の例の社内向けサポートに限らず, メーカの一般ユーザサポートの場合も同じく重要である。そこで我々は, 社内ネットワークやインターネットを経由してユーザサポート情報を幅広いユーザに対し公開するためのツールWWW版Help Desk Builderを開発した。
著者
井上 博紀 谷 万喜子 西村 栄津子 高田 あや 鈴木 俊明 吉田 宗平
出版者
関西理学療法学会
雑誌
関西理学療法 (ISSN:13469606)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.97-104, 2007 (Released:2008-01-18)
参考文献数
8

We report the effect of acupuncture based on the meridian concept by the writing evaluation test and writing pressure in a patient with writer's cramp. The case was a 32-year-old male, who was right-handed. The patient reported feeling a sense of incongruity while playing slot machine, and also in handwriting in X+6 years. When the department of nerve internal medicine at a local hospital was consulted, the problem was diagnosed as dystonic writer's cramp. We started acupuncture treatment in our clinic from X year. Acupuncture was performed once a week. Multiple epidermis penetrating needles were used to treat skin and muscle shortening on the palm and forearm. Retaining needles were used for scalp acupuncture in the upper limb zone, LI4 and ST11. Consequently, although some involuntary movement persisted 10 weeks after the start of treatment, control of handwriting became possible. Moreover, agitation during the application of writing pressure before acupuncture therapy was improved after acupuncture therapy. The results suggest that acupuncture therapy with the retaining needles and multiple epidermis penetrating needles is beneficial for dystonic writer's cramp.
著者
小川 弘美 黒川 千尋 星野 睦代 玉崗 慶鐘 東光 照夫 柴 肇一 真鍋 厚史
出版者
特定非営利活動法人 日本歯科保存学会
雑誌
日本歯科保存学雑誌 (ISSN:03872343)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.197-205, 2016 (Released:2016-05-06)
参考文献数
16
被引用文献数
1

目的 : 歯の漂白法は歯科臨床において不可欠な治療となりつつあるが, 処置後, 有色飲食物や酸性食品の摂取が制限される. 近年, 着色物や酸性物の影響を軽減できるとされるポリリン酸含有の漂白剤が臨床に紹介されている. 本研究は, ヒト抜去歯を用いポリリン酸含有の試作漂白剤の漂白・着色抑制・脱灰抑制効果を検討したものである. 材料と方法 : 35本のヒト抜去歯を漂白効果の検討に使用した. 処理は, 10%ポリリン酸と10%過酸化尿素の混合溶液 (PPa+CP), 10%ポリリン酸 (PPa), 10%過酸化尿素 (CP), Nite White Excel (NWE), 人工唾液サリベート (SA) の5群に分け各試片数は7とした. 各群は1回2時間, これを14回行い, 処理前後のL*a*b*値から色差ΔE*ab値を算出した. 別の35本のヒト抜去歯を着色抑制効果の検討に用いた. 漂白効果と同様の試片を用い, 各群で2時間処理後, ただちに着色液 (珈琲液) に15分間浸漬し着色液浸漬前後のL*a*b*値から色差ΔE*ab値を算出した. 脱灰抑制効果の検討は, 走査型電子顕微鏡 (SEM) 観察で2本, キャピラリー電気泳動試験で3本のヒト抜去上顎前歯を使用し, それぞれ, エナメル質表面をPPa, SAまたは蒸留水で2時間処理した後, 40%リン酸で30秒間処理し水洗したものを試料とした. 処理後のエナメル質表面をSEM観察 (n=2), 処理後の希釈液についてカオチン分析キットを用いキャピラリー電気泳動でCa溶出量を測定した (n=3). 結果 : 漂白後, NWE, PPa+CP, CPの色差ΔE*abは大きな値を示したが, PPa+CPとNWEの間に有意差は認められなかった. 色素沈着の検討では浸漬後, PPa+CP, PPaの色差ΔE*abはCPとSAと比較し有意に低い値を示した. SEM像は, 両群ともにエナメル小柱断面の構造が認められ, PPa群と比較してSA群がより深層まで脱灰されている像が観察された. Ca2+はSA群での溶出量を100%とすると, PPa群では66.3%となった. 結論 : 本研究では, ポリリン酸を含有した試作漂白剤は従来の漂白剤と同等の漂白効果があり, 着色抑制・脱灰抑制効果を有することが示唆された.
著者
岩間 雄亮 岡野 健太郎 徳山 英利
出版者
社団法人 有機合成化学協会
雑誌
有機合成化学協会誌 (ISSN:00379980)
巻号頁・発行日
vol.71, no.9, pp.926-934, 2013-09-01
参考文献数
35
被引用文献数
6

This review focuses on synthetic studies on mersicarpine that has a characteristic skeleton including seven-membered cyclic imine fused with indoline and &delta;-lactam. After a brief discussion of structural features and proposed biogenesis of this compound, several synthetic efforts toward construction of mersicarpine core are described. Total syntheses of mersicarpine are described including Kerr&rsquo;s racemic synthesis utilizing a formation of seven-membered cyclic imine from &alpha;-hydroxyketone prepared by oxidation of indole, racemic syntheses of the Kerr&rsquo;s synthetic intermediate by Zard and Han, the first enantiocontrolled total synthesis by Fukuyama based on the construction of seven-membered &alpha;-hydroxyimine by autoxidation of azepinoindole, and the second enantiocontrolled synthesis by Tokuyama employing a DIBALH-mediated ring-expansion reaction of cyclic ketoxime fused with indole.
著者
丸 匠 上田 エジウソン 寺内 文雄
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.62, 2015

本研究の目的は、材料に生じている変化について、より深い理解を促す資料の制作とした。変化を詳細に観察し視覚的に体験するため、マクロ撮影とハイスピード撮影を用いた。材料に生じる変化に関しては、工業製品における重要性を考慮し、熱的特性に焦点を当てた。既存の動画資料の改善点を明らかにするため、アンケート調査を行った。その結果、材料に生じる現象や変化を詳細に観察できること,画質や撮影方法を含む動画自体の質について改善の必要があることが明らかになった。以上をふまえ、工業材料18種類について加熱し、変化の様子をマクロ、ハイスピード撮影を用いて資料を制作した。発火部の変化の様子について詳しく観察するため、上記の撮影方法と露光補正を併用した。制作した資料はwebサイト上に公開した。これらの資料について閲覧してもらった結果、マクロ、ハイスピード撮影によって変化の様子がよりわかりやすくなったという意見が得られた。また動画自体に対する感性的な評価が資料としての価値の向上に繋がる可能性も明らかとなった。<br>
著者
袖 美樹子
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.62, no.10, pp.538-541, 2021-09-15