著者
サカマキ Q
出版者
金曜日
雑誌
金曜日
巻号頁・発行日
vol.6, no.22, pp.35-37, 1998-06-05
著者
安平 公夫
出版者
京都大学
雑誌
京都大学結核胸部疾患研究所紀要 (ISSN:00093378)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.33-37, 1968-03-30

先の報告(1964)で明らかにされたように, 生後早期に3-Methylcholanthrene (MC)の大量を投与されたマウスでは, そのリンパ組織に著しい障害が現れ, 脾, リンパ腺の芽中心の発育障害, 胸腺皮質の所謂胸腺細胞の消失等が結果される。Mac Lean et al. (1957)によって指摘されたように, 臨床的にも胸腺腫がagammag-lobulinemiaを伴って現れることが屡々みられるが, これは腫瘍発生に当って何等かの免疫障害がみられるかもしれぬとゆう予想を与える材料である。生下時MCを投与された動物にリンパ組織障害があり, またこれらの動物に, 後になって胸腺腫が現れるとゆう著者の実験成績は, 最近リンパ球或はリンパ組織が, 免疫産生を演ずる主役の一つとして注目されてきた点を考慮して, MC投与動物で抗体産生能を明らかにしようとする本実験の企てを招来した。実験にはCF1 Swissマウスを使用。MCはheavy mineral oilに溶解。生後1∿8日の動物に, 体重当り0.2mgを腹腔内に注入。其後4∿5週目において動物の感作処置を行った。抗原としては結晶卵白アルブミン(EA)を用い, これをcomplete Freund's adjuvantに0.4%の割に溶解。その0.1mlを週1回, 2-3週に亘って腹腔注射し, 対照として同年令の無処置マウスにも同様の感作処置を施した。最後感作処置後15日で動物を屠殺, 採血すると共に臓器を保存し, 後に組織学的検査を行った。血清中の抗体の測定にはOuchterlonyの法を使用し, 抗原としてはEAの5万倍溶液及びtuberculoprotein (TP)の200倍液を使用した。結果は表に示した通りで, MC投与動物では, EAに対する抗体の出現が明らかに抑制されるとゆう成績を得た。しかしその抑制効果は主としてEA 2回感作群にみられたもので, EA感作が3回に及ぶと, かえってその抗体価が高く現れる傾向が伺えた。この矛盾は, EA感作に使用したadjuvautの, 抗体産生臓器剌戟効果によるもののようである。即ち前回の実験で示されたMCのリンパ組織障害効果は本実験では出現せず, かえって脾, リンパ腺の肥大を示す動物が, 抗原剌戟の後に現れた。組織学的にこれを検すると, これらの肥大臓器には幼若骨髄球が多数に出現し, その一部では恰も類白血病的増殖が示された。これらの変化は, adjuvantに含有されている結核死菌の剌戟によって齎されたものと推察されるのであって, これがMC処置動物の低免疫能状態を明らかにしようとした本実験の主要な障害となって現れた。しかしcomplete adjuvantの幼若動物注射によって齎されるこの類白血病性の変化自体は, 新しく提起された別の問題である。発癌剤の注射で惹起される低免疫状態と発癌との関連を明らかにしようとする本実験の手技の改善と共に, この類白血病性変化のその後の進展が, 残された問題として今後研究対象となるであろう。
著者
唐木 圀和
出版者
慶應義塾大学
雑誌
三田商学研究 (ISSN:0544571X)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.83-99, 2000-11-25

〓小平亡き後も中国は,1978年12月以来の路線を継続して,「中国の特色を持つ社会主義建設」を目指している。〓路線においては,1987年11月,中国は社会主義の初級段階にあり,中国が直面している最大の矛盾は,「増大する物質的・文化的需要と立ち遅れた社会的生産とのあいだの矛盾」であって,階級矛盾は副次的なものであるとの論断がなされた。これによって,私営企業を含む多様な所有制の存在が可能となった。社会主義市場経済を確立するにあたって,その基盤となるものが,公有制を主体とする現代企業制度の確立である。改革の当面の中心課題は,国有企業の改革にある。国が国有企業の株式を100%所有していなくても,持ち株会社を通じて実効支配が出来れば,公有制の原則が維持されていると中国はみなすに至っている。さらに,所有と経営の分離を謳っているにもかかわらず,企業管理組織において,董事会,監事会ともに党委員会の影響力が強く及ぶ仕組みになっている。持株会社の党の指導には,制度上の歯止めが無い。指導が適切かどうかを判定するものは,企業業績を競争的株式市場が,株価においてどのように判定するかにかかってくるであろう。国家株の放出,企業情報の公開を通じて競争的株式市場を育成し,「市場志向的ガバナンス・システム」を確立することが,中国現代企業制度の整備にあたって強く望まれる。
著者
山田 稔
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学園芸学部学術報告 (ISSN:00693227)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.85-128, 1987-11-30
被引用文献数
1

複式簿記には,純利益の算定と,また,経済財の現在価値量の把握という2側面がある.勘定組織によって,期末貸借対照表の資産-負債=資本と期首の資産-負債=資本となり,期末資本-期首資本=純財産となる.これが損益計算書の総収益-総費用=純利益と一致することによって,簿記の自己監査機能が保持されるとみるのが,勘定組織の静的考察である.一方動的考察では,組織と体系は社会経済の発展段階に対応する利潤追求のための資本循環として認識する.農業複式簿記も簿記である以上,動的考察の対象として位置づけられる.農業複式簿記の対象は家族経営であり,これは経営発展段階では第1期に位置づけられる.家族経営は第1に生活をするための生業であること.第2に生活に必要を所得獲得に狙いがある.第3は生産財か消費財かの区分が明確でない.第4は計算思考も資産-負債=資本という資本等式である.家族農業経営は,最大利潤の獲得でなく,生活に必要を所得獲得が目的であることから企業発展過程では第1期に位置づけた.この第1期に位置づけられるとしたら,複式簿記で何が解明されをければならないか,小家氏の論文を素材として,家族経営に複式簿記を適用することの是非について検討し,そこでは,結論的には可能であることを指摘した.経営と家計の未分離を前提とするのでなく,未分離に求めるとすれば,経営実体を認識し,複式簿記家計簿を考えた.財産という現物形態があって経営が存在するため,資産-負債=資本という資本等式で計算することによって自己資本が確定される.年度内にあげた利益は,自己資本額の増加として把えるのが計算理念である.家族経営に複式簿記を適用する理論体系としていずれに準拠すべきであるかを検討した結果,第1期の理論体系でなければならない.その理由の第1として,自己資本の増加は,経営と家計の未分離の状態においては,家計を含めなければ計算できない.したがって,経営損益や家計取引も財産の変動として扱い,積極財産・消極財産とし,財産変動の勘定記入は,物的一勘定学説により行う.次に企業発展史からみた,第2期を検討し,そこでの経営形態は,企業と家計の分離した共同出資による合名無限責任会社となり,企業が記録の対象となり,この段階になると,取引の種類,回数,金額も多くなり,勘定組織も複雑となる.資本成熟としては,産業資本段階となり,資本循環もG-W…P…W'-G'にみられるように,生産過程Pを含むことになり,企業目的は財産構成内容よりも,製品を販売することによって得られる利益剰余金の確認が目的となる.この時期は,貸借対照表項目の中に,建設仮勘定が認められ資産の拡大が行われたり,償却引当金が負債勘定として認められることによって,企業利益が過小に計算される.第2期の理論を農業に適用すれば,経営と家計の分離を前提とした生産組織が考えられ,共同利用組織,集団栽培組織,受託組織,畜産組織,協業経営組織などはいずれも貸借対照表と損益計算書が作成されている.このように,複式簿記が使用されている要因は,個別経営とは切り離し,経営を対象とすること,会計主体である構成員に公平を所得分配,会計の客観性を保持,租税対策などの必要性によるものである.さらに,企業発展過程からみた株式会社の位置づけとして第3期を設定した.この期の勘定体系は,拡大再生産を基本とする剰余金算定で,余裕資金で利潤の増大を図るようになるA-P-K=Sのように,企業がいつでも活用できる剰余金の確保がその目的となる.この段階になると貸借対照表,損益計算書の外に利益処分案書が追加され,利益金の分配方法が提示される.これは出資と経営が分離された段階で,管理責任は株主総会がもつ.この時期に相当する農業は,専門的大規模経営が出現し経営と出資の分離した,株式会社形態の企業が,畜産部門とくに,ブロエラーや養豚の一貫生産にみられるように財務諸表の特定引当金のなかに,価格変動準備金を,法定準備金のなかに利益準備金,剰余金のなかに別途積立金を組入れるなどして,利益金の過小評価が行われている.この段階は,全体としてみれば,積立,引当金の整備体系であるといえる.このように,農業とくに畜産部門に企業経営が成立する条件は,生産にあたって,季節的影響を受けない,投下資本の回収が短期であり,生産に際し購入部分が大半であることなどの点について検討した.III章の農業複式簿記の展開では,論者によれば明治11年に駒場農学校において使用講義されたもので,英国より導入されたものであった.その内容は,人名勘定の設定が多いとしている.明治初期における外国からの複式簿記の導入は,当時の農政面と関わりをもっていたものと考えられる.すなわち,養蚕をはじめ,輸出できる作物の国際市場へ日本の農業生産を参画させようとした時期で,商品作物の生産にあたり,生産費の合理化や経営改善に関心が払われた時期であった.このように,わが国の農業複式簿記は,その初期においては,外国の簿記書を土台とした,模放的時代であった.しかし,明治17年に前田貫一氏によって,農業簿記教授書が出版され,わが国独自の専門書であり,その後明治33・37・44年の3著書が出版された背景として,機械制大工業による産業革命によって,潜在的失業人口は年雇という形で大規模経営に吸収され,商品生産農業を仕向するため,経営の採算に関心がもたれるようになった.明治33年の農業簿記教科書は,全体的に部門損益に重点がおかれていて,次の2点に問題が残る.第1は勘定の分類が体系的なものでない.田・畑勘定は作物の損益計算のための棚卸しを考えたものとみられるが,経営技術的分類からすれば生産対象であり,生産手段でもある.畜産及び養蚕勘定は,生産対象である.したがって,勘定科目の体系は,生産対象を中心に編成すべきものと考える.第2は,分配勘定のなかに営業費勘定を設けて生計費費用を算入している点で,これはむしろ,営業収入と営業外費用の計算を行った後に,営業外費用として生計費を計上すべきものである.その後,明治37年に農業簿記学,44年に最新農業簿記教科書が出版され,それぞれ検討した結果は,明治期の農業複式簿記は,簿記理論,勘定科目の体系,計算理念ともに未確立の時期であったということができる.大正期の農業複式簿記は,一部大規模経営を指向している地主層に適用しても,ほとんど普及しなかったとみられ,簿記は大正4年の「農家の簿記」によって代表されるように,自作・小作の小規模層を対象に単式簿記がその中心をなしていったものとみられる.昭和期の農業複式簿記は,昭和10年までは農業簿記に関心がむけられた時期で,それは高い現物小作料をとられては再生産不可能であるという損益計算書を地主に要求したり,農民自身が計算することによって,商品生産の意識が高揚されたときであった.第2の時期は昭和11年以降現在までで,その特徴は昭和30年代の農業複式簿記のブームである.経済の高度成長によって,農産物に対する消費需要の増加により,市場価格も上昇し企業的農業も発生した.一方では,農業労働力の減少と婦女子化,老齢化が進行するなかで,その対応策として施設の共同利用,栽培協定,作業の受委託,協業経営などが増加し,出資と労働の分離によって複式簿記の適用範囲が広がり,その著書はIII-1表のようである.昭和13年の近藤庫男氏の農業簿記学は農業複式簿記の記述として,体系的に記述された画期的なもので,この時期は商品生産農業が本格的に展開されようとした時であったこと,農業に対する経営改善要求が高まっていたおと,外国の会計学者による簿記会計理論に関する,優れた翻訳が著わされた時期でもあった.IV章の農業複式簿記理論の検討では,複式簿記の目標は利潤の発見にあるが,利潤の計算過程は収益マイナス費用によって決まるので,収益とは何か,費用とは何かについて,農業経営の実体から検討した.給付に対する収益であるという規定に従えば,固定資産増殖額や流動資産増減額の矛盾は本来の損益に影響させないとすれば経営外収益として処理する.農業収益計算のための収益評価基準としては,販売基準を採用する.生産現物家計仕向は仕向時における販売基準とし,繰越および貯蔵農産物については生産基準にする.経営費についても,給付に対する費用ということで流動供用財減少評価額は,費用であっても経営外費用とすることによって,農業粗収益と農業経営費は対応するものと考えられる.簿記の出発点としての貸借対照表は,開業貸借対照表で[numerical formula]という形で表現される.この式は投下資本Gが具体的生産手段として,経済財に変態した状態を前提として,出発する要因を5つあげ,計算理念としてはA-P=Kという資本等式が基本となる.それは自己資本Kが企業において中心的重要さをもっている.計算過程で財産・資本の2つの系統を区別し計算することが適当であること.農業簿記における資本循環の特異性では,農業生産と工業生産の資本循環の相違と経営計算上の問題点を5つあげ検討した.農業簿記と計算期間では,農業生産自体季節の影響をうける有機的生産であるから,一律の計算期間はとり得ないとして,経営組織別計算期間を提案した.投下資本Gが生産手段Wへの形態変化の処理では,農業経営におけるGという最初の資本は,複雑を経済財としての形態をとる.[numerical formula]に価値移転の過程が問題となり,立毛評価をとり上げ検討した結果,動的貸借対照表論による評価原則に則して行うべきことが判明した.農業複式簿記における内部取引の検討では,費用の中で大きなウェートをもつ家族労働費の扱い方について,倉田,加用簿記理論を検討し,簿記論の経済的認識からみれば加用理論による家族労働費を費用化できない帰結として,農家所得が計算されるとする経営実態の認識を優先する立場をとる.V章の農業簿記と会計公準の検討では,企業と家計の未分離に対する複式簿記上の論述を2つに整理した,第1は企業会計原則を基準尺度として,これに順応させて処理しようとするもの,第2は経営実体に則して処理しようとするものに分かれるが,検討の結果筆者は第2の立場をとるものである.会計期間の公準では,定期的会計報告の基礎となるもので年度始と年度末における資産・負債・資本と期間利益=期間収益-期間費用という形で報告されるが,収益および費用把握については,すでに指摘したとおりである.貨幣評価の公準では,検討した結果貨幣価値水準一定を前提とした,実体資本維持説による評価が経営実体からみて妥当であると判断した.VI章の植物資産と農業複式簿記の関係について考察し,まず植物資本財としての性格,複式簿記と育成価,複式簿記と果樹の更新とくに耐用年数以後の品種更新を合理的に行う方法を検討した結果,経済的老木期間中に更新することが,経営の経済的負担を小さくすることができる.また耐用年数以前の機能的減価としての品種更新については,偶発的原価の特別償却として経営外損失として処理する.VII章の農業複式簿記の勘定科目の性格と体系では,農業簿記でどのような勘定科目を採用するかは,農業経営組織と規模に関係するが,勘定科目の組織と体系がどのように構成されているかをみることは,経営の資産構成と損益の内容規定にかかわってくる.第1は勘定科目の構成,形式,内容によって,どのような経営の損益が把握されるか,第2は経営の資産的,資本的実体の把握,第3は経営と家計の分離と勘定科目,第4は部門損益の把握と勘定科目などについて,貸借対照表項目である資産,負債,資本および損益計算書項目の費用,収益の内容把握が各著書によって異なることを考察し,結論としてVIIの4)に示したような農業における損益計算書区分(試案)を提示した.この場合従来の農業複式簿記では,当期業績主義会計が70%,包括主義会計が30%という実状である.ところが,最近における経営の変化は,専業,兼業,生産の組織化などいろいろの形態をとっている.都市近郊で農業を営んでいる経営では,経営主体が農業以外の事業として,貸間業,駐車場,ガソリンスタンドなどを兼業している場合があるので,当期業績主義会計よりも,分配可能利益をも包括的に表示する包括主義会計によるべきことを提案している.
著者
藤澤 秀樹 千見寺 徹 水谷 正彦 土屋 信 橘川 征夫
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.23, no.7, pp.1928-1931, 1990-07-01
被引用文献数
6

症例は44歳.主訴は右下腹部の腫瘤と疼痛.来院時体温38.0℃,白血球15,300,CRP6(+).腫瘤は7×7cm,平滑,弾性軟で可動性はなかった.同部に圧痛とブルンベルグ徴候を認めた.虫垂炎による腫瘤形成と診断し,抗生剤の使用により症状は改善した.画像診断,内視鏡検査でも虫垂炎による腫瘤形成との考えと矛盾はなかった.虫垂切除をおこなった.虫垂は5.5cm,根部を除きほぼ全体に硬く腫大し,割面では壁の著明な肥厚を認めた.組織学的には固有筋層より漿膜下層にかけて子宮内膜腺および間質の増生と漿膜下脂肪織内に巣状の出血と強い炎症性細胞浸潤を認めた.一方粘膜面は比較的正常であった.手術後の病歴再聴取により,右下腹部痛にて発症したこと,嘔気,嘔吐がなかったこと,発症が生理時にほぼ一致していたことなど,虫垂子宮内膜症を示唆する症状を得た.子宮内膜症は増加しているといわれ,虫垂炎の診断にあたっても,常に本症も念頭におく必要があると考えられた.
著者
石原 美里
出版者
日本印度学仏教学会
雑誌
印度學佛教學研究 (ISSN:00194344)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.1160-1164, 2009-03-25

本研究では,Mbh 1.1.50に見られる「ウパリチャラから始まるバーラタ」という語が,Mbhのテキスト形成における重要な手掛かりになるとみなし,この語がヴァイシャンパーヤナの語りが開始されるMbh 1.54を冒頭とするMbhテキストを指したものであると推測する.一方,ヴァス・ウパリチャラ物語はMbh 1.57に語られ,そこでヴァス・ウパリチャラ王はヴィヤーサ仙の母であるサティヤヴァティーの実父,さらにクル王家の直接的な祖先として位置付けられる.しかし,Mbhの他の箇所,および他の諸資料において,ヴァス・ウパリチャラ王とクル王家はほぼ関連を持たない.この矛盾は,ヴァス・ウパリチャラ物語は元来Mbhの外の文脈に存在していたが,サティヤヴァティーの身分を王家に相応しいものとする為,さらにはマツヤ王家の正統性をも保証する為,あるMbh編者が幾分の改訂を加えた後,それをMbhの冒頭部(Mbh 1.54の直後)に挿入したと仮定することにより解決が可能である.その際,ヴァス・ウパリチャラ王の5人の息子に対する国土分割のエピソードは要約され,ヴァス・ウパリチャラ王によるサティヤヴァティーとマツヤ王の誕生のエピソードが新たに創作されたと考えられる.
著者
三宅 進
出版者
日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.35-42, 1967-03-31

1.精薄児への単純条件反射実験を行ない、興奮性と制止性の両極性の存在を考究することを目的とする。2.実験群17名、対照群13名からなり、実験群の平均IQは51である。3.手続としては、GSRによる単純陽性条件反射でCSは25psの光刺激、UCSは、500psの強音により、15回の強化試行が行なわれ、その間3回のテスト試行が挿入される。そして実験手順として、順応期、無条件刺激強度判定期、再順応期、強化期、消去期の5期を踏む。4.結果は反応波型、順応過程の定位反射、条件反射形成の成績、消去回数からみられた。5.反応波型の特性は何もうかがえない。6.順応過程の定位反射は傾向としては普通児の方が消失しにくかったが、統計的に有意差はない。7.条件反射形成の成績は先ずテスト試行における反応生起者率でみると精薄児より、普通児の方がより成績が良く、条件反射が形成せられ易いと思える。また、消去期の5回以上消去生起者率も普通児に高い成績がみられた。一方、反応量(テスト試行での)は、精薄児に高く、条件反射形成様相としては、かなりよい過程をたどっているといえる。8.論議は(1)精薄児の条件反射特性と(2)知能と極性についてなされた。(1)反応生起者率、消去生起者率が普通児に高く、テスト期の反応量様相が精薄児にすぐれているという矛盾は興奮一制止の両極性にかたよる三つの分布を想定させる。すなわち、条件反射を形成しえない興奮一制止の両極性により接近した二つの分布と条件反射を形成しうる興奮の極性に近い分布とがある。また、反応量の点から、両群の条件反射様相が論及された。(2)両極性にまたがる三つの分布の要因として、IQからの検討がなされたが、皮質病態が非常に深い場合は別として、とくに関係がないといえる。9.将来の問題としては、"神経の型"への探求がのぞまれるところである。
著者
吉村 慶丸
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
東京大學航空研究所報告 (ISSN:03761061)
巻号頁・発行日
vol.25, no.8, pp.161-219, 1959-09

この研究の目的は, 従来塑性力学において慣用されている, 歪増分の概念に本質的な修正を行なうことによって, 塑性力学の理論に内在する矛盾を除去し, 該理論を微小, 有限変形の全領域にわたって完全に矛盾のない論理的体系に拡張かつ改良することである。まず, 一般に弾性論において用いられている, 物体要素の幾何学的形状の変化によって規定される, 歪およびその増分は塑性変形を記述する目的のためには不合理であることが例証される。現在の塑性力学, 更に正確にいえば歪増分理論, は特殊の変形を除いて, このような歪および歪増分を用いている点で本質的な誤りを侵しており, そのための矛盾は変形の増大と共に顕著になる。塑性変形の記述のために合法的な歪および歪増分の概念を導入するために, 著者は塑性変形の本質的性格についての明確な検討を行ない, その結果, 応力と共に, 歪, 歪増分の補足すべき基本条件を誘導した。かかる必然的推理に基づいて, ある変形状態における歪増分はその変形状態が同時に無変形の状態であるように定義される。歪はこのような歪増分を与えられた変形経路に沿って積分することによって得られ, それはその経路に依存し, 変形後の幾何学的形状には直接には依らないことが示される。この歪は対象とする物質の微視的構造変化に対応するものと考えられ, 塑性変形を記述するための歪テンソルとしてのみならず, たとえば異方性のような変形履歴に依存する状態を規定するところの歪履歴テンソルとしても役立つ。更にこの歪は, 単純伸張に対していわゆる対数歪を与えることが示される。したがってそれは履歴依存性一般自然歪と名付けることのできるものである。かくして塑性変形は二重の意味において, すなわち第1に歪それ自身において, 第2に応力・歪関係において, 履歴現象であることが明らかとなる。応力は物質中の単位面積に対して, それに作用する現実の力を与えるようなテンソルとし定義される。この応力は, 特に単純引張りに対しては, いわゆる真応力を与える。歪, 歪増分および応力をこのように定義することによって初めて, 仮想仕事の原理が, 微小, 有限変影の全領域にわたって, 微小変形の場合と全く同じ形式で表現されることが示される。この結果, このような一般の変形に対する平衡方程式, 状態方程式等のすべての関係がまた, 微小変形の場合と同様の形で成立する。このようにして塑性力学, すなわち歪増分理論, はその根本から組換えられ, 極めて自然に微小および有限の一般の変形の場合に拡張される。
著者
新見 道治 峯脇 さやか 野田 秀樹 河口 英二
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.44, no.8, pp.1894-1903, 2003-08-15
被引用文献数
3

自然言語文の意味情報を利用したステガノグラフィを提案する.本手法では,著者らが提案しているSD式意味モデルを利用して自然言語文を意味記述し,その記述されたデータに対して埋込み抽出処理を行う.SD式意味モデルでは,文の意味情報をSD式と呼ばれる記号列で記述し,それらに意味量と呼ばれる情報量が数値として対応する.本手法での埋込み処理とは,意味量と秘密情報の値を一致させることである.すなわち,与えられた自然言語文に対応するSD式の構造を変化させることによってそのSD式の意味量を埋め込もうとする秘密情報の二進数値に一致させるものである.意味量を増加させる場合は,SD式内の抽象的な概念を具体的な概念で置き換え,逆に意味量を減少させる場合は,具体的な概念を抽象的な概念で置き換える.これにより,秘密情報が埋め込まれた文にも意味的な矛盾は生じない.秘密情報を抽出する場合,SD式の意味量を計算することにより,秘密情報を取り出すことができる.実験では,新聞記事と招待状の2つのテキストデータに対してデータ埋込み実験を行い,提案法の妥当性を検討した.This paper proposes a method for linguistic steganography in consideration of the meaning of natural language sentences. To describe the meaning of the sentences, this method uses SD-Forms, which is a meaning description form consisting of symbols, developed by the authors. An SD-Form is assigned an amount of semantic information of a sentence. The amount of the meaning of sentences is used to carry secret information on text data. In embedding secret information, firstly the sentences are transformed to SD-Forms and then the amount of semantic information of SD-Forms is decreased or increased to coincide with the value of the secret information. In decreasing the amount of semantic information, concepts are substituted with its upper concepts, on the other hand, concepts are substituted with its lower concepts in increasing the amount.We can expect the sentence with secret information embedded is consistent in the meaning. We report the feasibility of the proposed method by experiments in which texts data in newspaper and invitation are used.
著者
沼田 明樹
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会論文報告集 (ISSN:03871185)
巻号頁・発行日
no.341, pp.37-45, 1984-07-30
被引用文献数
2

本実験で明らかになった点を要約する。1)摩擦面処理RおよびSRの摩擦面に繰り返しすべりが生じると, 初すべり時の摩擦係数が広い範囲の値をとる場合でも, 2〜10回の繰り返しすべりにおける摩擦係数は, 狭い範囲の値に集中する傾向がある。2)摩擦面処理Sの摩擦面に繰り返しすべりが生じると, 数回の繰り返しすべりによって摩擦係数が急上昇し, 0.75程度の高い値となる。3)摩擦面処理Rの場合, 荷重周波数が大きい程, 繰り返しすべり後の摩擦係数は小さい値をとる傾向がある。従って, 準静的載荷実験の結果が, 実際の動的な現象に対して危険側の評価を与える場合がある。4)摩擦面処理Rの場合, ボルト軸力低下量が導入ボルト軸力の20%程度までであれば, 摩擦係数変動特性はボルト軸力低下の影響をほとんど受けず, また, ボルト軸力を一定に保持した条件の場合, 本実験の範囲では, ボルト軸力の大きさは摩擦係数変動特性に影響を及ぼさない。5)摩擦面処理SRの場合, 摩擦係数変動特性に及ぼす荷重周波数およびボルト軸力の影響には, 本実験の範囲では, 摩擦面処理Rの場合との著しい矛盾は認められない。6)繰り返しすべりを生じる高力ボルト摩擦接合部の復元力特性を, 実用上ほぼ妥当な精度で定量的に把握することを目的とした場合の, 摩擦係数の評価方法を提案し, その妥当性を示した。
著者
奥田 克己 村崎 正道 宇野 九十九
出版者
公益社団法人日本船舶海洋工学会
雑誌
造船協会雑纂 (ISSN:03861597)
巻号頁・発行日
no.270, pp.28-42, 1948-05-25

前囘迄の三囘に及ぶ論文に於て, 動荷重を考慮せる齒車の強度計算法に就て詳述したが, 今囘は設計者の便に資するため, 以上の記述を總括して計算の公式を設計の順序に従て排列した, 最後に本計算方法の数値計算例を示し, 三菱重工各場所に於て製作せる各種齒車に對して實施せる強度計算結果を表示し, 安全率を圖示して本論文の結びとした, この結果に依れば大體に於て本法に依て得られた強度の安全率に對し著しき矛盾は認められなかつた。
著者
藤本 桂一 石川 智治 篠田 亮 宮原 誠
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.598, pp.59-62, 2002-01-18

CD盤の構造・材質による音質の違いはCDの始まりの頃, ホットに議論された事はあるが明確な答えが出ないままに立ち消えになった.我々は, 高度感性情報を忠実に伝送し, 深々さ, 凄み, 等の"深い音楽"を伝達する目的の研究の中から, 信号の時間方向の伸び縮み歪み(jitter)が音質劣化の元凶であると推測するに至った.jitterに注目し, 注意深い観察から, 最終的には信号に何らかの問題が生じるとしても, 光学的な平均的とらえ方では, ピット毎の光反射の瞬時的あばれを測定できていない.一方, 機械的振動としてとらえると, 材質, 構造に起因するCD盤の光反射の瞬時的あばれを, 間接的ではあるが, モニターできると見通し, 実験, 考察をしてきた.その仮説は, 過去の種々の問題を説明しており, 矛盾は一つも起きていない.例えば, 音質上大きく違うのに, 反射率は, ほとんど変わらないが, 振動に関係する(アルミ箔の厚み)を計測すると二桁も違う, と言う結果が出ている.CD盤の材質, 構造, プロセスと, 高度感性情報の忠実な再現に関して報告する.CDの音質を向上させる大きなかぎと考えている.
著者
Reddy A. S. Pranesh M. R.
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, 1977-09-15

舗装設計は従来Winklerモデル(弾性支承板)によることが多かったが, これでは板の端で沈下に不連続性が起こる。この矛盾は連続弾性体支持, あるいは弾性スプリング相互の作用を考慮し, スプリング群上に仮想膜を考え, 一つが下がれば引張りのため隣接スプリングも下がるとするFilononko-Borodishモデル(FBモデル)を用い回避できる。また弾性体の代りに厚さHの弾性体層において水平面内のxy軸に関し, σ_x=σ_y=τ<xy>=0,かつ層の上下面で水平変位がないとするReissnerモデル(Rモデル)が簡便である。FBモデルでは膜の特性を知るため平板載荷試験における地表面変位を測って推定し, Rモデルでは土のセン断剛性値が関与する。FBモデルもRモデルもWinklerモデルと弾性体支承の中間のモデルと考えられるが, 両者に関し基礎微分方程式を導き, 解き与え, かつPickett, Rayの方法にならってモーメントと沈下の影響内図表を与えている。
著者
黒瀬 晋 松本 正雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SWIM, ソフトウェアインタプライズモデリング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.255, pp.33-38, 2005-08-19

生協型ビジネスモデルは、顧客と出資者が同じで、常に顧客の利用動向・購買動向や事業運営に対する要望・期待などを把握できる環境にある。これはインターネットを活用したe-ビジネス型ビジネスモデルやポイントカードで顧客囲い込みを行う店舗販売型ビジネスモデルなどと比較しても、顧客の要望・期待に応えて価値を提供するという点で優れた可能性を持っている。これら他のOne-for-One型ビジネスモデルとの対比の上で、生協型ビジネスモデルの利点・欠点を明らかにし、その欠点を補い利点を強化することを支援する情報システムに必要な要件を提案する。
著者
福岡 誠行
出版者
日本植物分類学会
雑誌
植物分類・地理 (ISSN:00016799)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.114-120, 1981-06-15

HOOKER (Genera Plantarum, 1873)は花序が頭状で,花冠は筒状漏斗形,子房は2室,花柱は長くつき出て分裂しなく,集合果になるなどの特徴をもったものをまとめてカギカズラ連とした。その後この連はよくまとまった自然群とみなされ,AIRY SHAW (A dictionary of flowering plants and ferns 8版,1973)は植物体の形状や栄養器官の形質がシクンシ科Combretaceae(特に Combretum)に似ているとして独立した科Naucleaceaeとした。アカネ科とシクンシ科との類縁はすでに指摘されていることであるが,生殖器官からカギカズラ連がアカネ科に属すことに疑問はないし,形状や栄養器官からも何んら矛盾はない。RIDSDALは各子房室に頂生する1個の胚珠をつけ種子に種衣が発達するCephalanthusを独立した連とした。また胎座型,胚珠の形態,果実の裂開のし方,花冠裂片の閉じ方などからカギカズラ属とMitragynaをキナノキ連へ移した。Anthocephalusは偽隔壁があり,子房室の上部1/3は4室,それ以下は2室で,各4室は厚膜組織で囲まれていることなどから亜連として分けた。またタニワタリノキ属などは胎座が小型化し,子房室上部で隔壁につくことなどからタニワタリノキ亜連とされた。胎座型からはここで観察した3属は連として分類しても良いほどの違いがある。しかし扱った属がきわめて限られているためRIDSDALの分類系について充分の評価をすることはできないが,この観察の結果からは妥当な見解といえる。最後にRIDSDALの新しい分類系を紹介しておく。この中でタニワタリノキとヘツカニガキは別属とされている。Cephalantheae Cephalanthus Cinchoneae キナノキ連 Mitragyninae カギカズラ亜連 Mitragyna, Uncaria カギカズラ属. Naucleeae タニワタリノキ連 Adininae タニワタリノキ亜連 Adina タニワタリノキ属,Sinoadina ヘツカニガキ属,他14属. Naucleinae Nauclea, Sarcocephalus,他2属. Anthocephalinae Anthocephalus.
著者
向後 英二 亀田 弘之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. TL, 思考と言語 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.691, pp.17-24, 2000-03-16

矛盾は知識の不備を発見するための有用な手掛かりの一つであるという考えに基づき矛盾の処理に関する基礎的考察, すなわち, 矛盾の分類と, 分類した中の論理的矛盾の分析, 論理的矛盾の解消方法について考察し, その結果について報告する.具体的には, まず矛盾を論理的矛盾, 感情的矛盾, その他の矛盾の3つに分類した.つぎに論理的矛盾について, まず論理的矛盾の発生原因について分析し, つぎに論理的矛盾の対処方法を考案・検討した.この際, 知識の根拠, 根拠の頑強度, 根拠空間という新たな概念を設定した.論理的矛盾解消の際に生じる知識体系の変化を考察し, その結果と新たに設定した上述の諸概念とを用いて論理的矛盾を解消する方法を提案した.