著者
荒井 弘和 堤 俊彦
出版者
日本行動医学会
雑誌
行動医学研究 (ISSN:13416790)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.6-13, 2007 (Released:2014-07-03)
参考文献数
30
被引用文献数
1

本研究の目的は、一過性のウォーキング実施時間が感情の変化に与える影響、およびウォーキングに伴う感情を規定する認知的要因について検討することであった。本研究の対象者は、大学1年生82名であった。対象者は、15分間ウォーキング群または30分間ウォーキング群に割り付けられた。ウォーキング前後の感情の測定には、運動場面専用の感情尺度であるWaseda Affect Scale of Exercise and Durable Activity(WASEDA)およびFeeling Scale(FS)を用いた。さらに、ウォーキングに伴う感情を規定する「自分自身の身体に注目すること」および「汗」という2つの連合的要因と「いっしょに運動する人」および「まわりの景色」という2つの分離的要因からなる認知的要因が準備された。本研究は、2(群)×2(時間)の対象者間・内混合要因計画である。対象者はウォーキング前後にWASEDAとFSの評価を行った。対象者はさらに、ウォーキング後に、ウォーキング中の主観的運動強度(RPE)と、ウォーキングに伴う感情を規定する認知的要因の評価を行った。ウォーキングによる感情の変化とウォーキングに伴う感情を規定する認知的要因の評価は、ウォーキングの実施時間(15分間または30分間)によって異ならなかった。また、両方の群において、「いっしょに運動する人」および「まわりの景色」という分離的要因が、ウォーキング後の感情を説明していることが示された。そのため、ウォーキング時に、連合的要因に注意を向ける方略(連合的方略)よりも、分離的要因に注意を向ける方略(分離的方略)を用いることによって、ウォーキング後の感情が好ましくなる可能性がある。。
著者
趙 沼振
出版者
カルチュラル・スタディーズ学会
雑誌
年報カルチュラル・スタディーズ (ISSN:21879222)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.151-173, 2020

1968年、日本大学では右翼思想団体や体育会系サークルを利用して学生活動に暴力的な統制を加えるなどしていた大学理事会による約20億円の使途不明金が、東京国税局の告発によって発覚した。日大全共闘は、私立大学の教育をめぐるこのような問題点への一つの応答として学生による運動体として形成され、大衆団交を求めて日大闘争を進めた。<br> このように日大全共闘が結成されて50年目を迎えた2018 年、日大のアメリカンフットボール部をめぐる「悪質タックル問題」が社会的な論議を引き起こしていた。これと時期を同じくして、「日大930 の会」事務局が日大全共闘50 年の節目に「日大全共闘結成50周年の集い」を開催しており、かつて大学運営の民主化を要求して闘争に参加した元学生らの再結集を機に、日大当局に対する見解を明らかにした。<br> 本稿では、日大全共闘に結集した仲間たちで成り立った同窓会組織の「日大930の会」に着目し、彼らに行ったインタビュー調査の内容を通じて、日大闘争の経験を文章化する作業の一環となった記録活動の様相と意義について考察する。「日大930の会」は、日大闘争をめぐる膨大な量の記憶を檻から解放させるために、日大全共闘の当事者への呼びかけを続けながら、『日大闘争の記録――忘れざる日々』の記録本シリーズを発行した。彼らが「悪質タックル問題」に対してとった行動から、全共闘運動の記録活動が改めて意味づけられた。つまり、「日大930の会」は、あいかわらず日大全共闘として自分自身を歴史の対象として客観的に考察するための、記録作業に取り組み続けてきたことが、今日でも日大全共闘の持続性と現在性に対して自覚的に意識を向け、その系譜を提示したのである。

1 0 0 0 OA 運動年鑑

著者
朝日新聞社 編
出版者
朝日新聞社
巻号頁・発行日
vol.大正11年度, 1922
著者
飯尾 淳
出版者
特定非営利活動法人 人間中心設計推進機構
雑誌
人間中心設計 (ISSN:18829635)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.1-5, 2021-03-16 (Released:2021-03-31)
参考文献数
20

There has been widespread acknowledgement and acceptance of the user experience (UX) and the user experience design (UXD) in modern manufacturing and service industries. However, there seem to be several defects in utilizing UXD, due to the lack of appropriate knowledge on the UX and UXD. In this paper, several anti-patterns in UXD, such as the fraudulent UX, the excuse UX, and the self-serving UX are discussed. To avoid these unfortunate situations, some constructive discussions on these issues, considering them as the start point, will be highly expected.
著者
鈴木 通夫
出版者
一般社団法人 日本数学会
雑誌
数学 (ISSN:0039470X)
巻号頁・発行日
vol.2, no.3, pp.189-200, 1950-05-20 (Released:2008-12-25)
参考文献数
21

1 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1932年05月13日, 1932-05-13
著者
末廣 昭
出版者
福祉社会学会
雑誌
福祉社会学研究 (ISSN:13493337)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.11-28, 2014-05-31 (Released:2019-10-10)
参考文献数
25
被引用文献数
1

東アジア福祉システム論は,欧米型福祉システムとの大きな違いとして, 福祉国家の後進性を指摘し,逆に,家族と企業が福祉サービスの中で重要 かっ補完的な役割を果たしていると主張してきた.ただし,介護などに占 める家族の役割については,本格的な国際比較が開始されたものの,企業 福祉そのものについては,実証的な研究は皆無に近い.そこで,私たち共 同研究チームは,中国,韓国,台湾,タイ,シンガポール,インドネシア の6カ国・地域を取り上げ, 2006年に企業福祉に関する統一的な質問票 調査を実施し,計804社から回答を得た実施した調査項目は,経営側の 企業福祉観,企業内福利厚生の有無(社宅,食費補助,送迎バスなど24 項目),労働費の構成(法定福利費,法定外福利費,退職金の比率)など である. 企業調査の結果, 6カ国・地域の企業福祉に共通する特徴を見出すこと はできなかった「企業福祉を重視する」という見解は共通していたものの, 重視する理由や成果主義的な賃金とのトレードオフに関する意見は,国に よってばらつきが見られたからである.また,労働費の構成は,①日本・ 韓国・台湾,②シンガポール・マレーシア,③タイ・インドネシア,④中 国の4つのグループに分かれた.こうした労働費の構成の違いは,各国の 経路依存性, ILOなど国際機関の役割,企業の戦略の違いによるもので, 東アジア福祉システム論が主張する儒教主義や経営家族主義といった地域 固有の特徴は確認できないというのが,本稿の結論である.
著者
須貝 哲郎 村上 憲一郎 東 順子 長野 拓三 鈴木 伸典 前田 基彰 佐々木 幸恵 庄司 昭伸 橋本 陽子 麻生 五月 渡辺 加代子 濱田 稔夫 加藤 晴久 染田 幸子 安野 洋一 東 禹彦 長濱 萬藏
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.446-460, 1990

各10%にグリセリンおよびクロタミトンを含有する0/W型クリーム (AG-1クリーム) の乾燥性皮膚疾患に対する一般臨床試験を11施設からなる研究班を組織して, 1988年11月より1989年3月までの5カ月間にわたり実施した。外用4週後の最終全般的改善度は90.5%(124/137例), 副作用発現率は1.3%(2/154例), 有効性と安全性を考慮した有用以上の有用率は88.2%(134/152例) であった。以上の結果からAG-1クリームは乾燥性皮膚疾患に対し, 極めて有用な外用剤であることが確認された。