著者
田崎 博之 大久保 徹也
出版者
愛媛大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2018-04-01

①資料の調査と分析土器生産技術の共有化と維持・伝達を考察するため、「限られた集団によって製作された」と考えられる土器群として、まず土器づくりの場に廃棄された焼成失敗品を取り上げた。具体的な資料は、愛媛県文京遺跡12次調査SK-21と23次調査SX-16(弥生中期後葉)、福岡県迫額遺跡土壙24(弥生後期初頭)出土の焼成失敗品を含む土器群であり、形状や調整痕跡、施文手法に着目して分析を行った。また、画一性の高さから特定の限られた遺跡もしくは遺跡群で生産されたと考えられる香東川下流域産土器群(弥生後期中葉~終末)について、製作技法・手順・胎土的特徴を観察し分析を進めた。分析に供した資料は、高松平野域の27遺跡約900点、徳島・岡山県域の41遺跡の約1500点である。一部については薄片プレパラートを作成し岩石学的観察を行った。加えて、土器焼成失敗品の出土を確認できた石川県八日市地方遺跡(弥生中期中葉と後葉)と、大阪府上の山遺跡(弥生中期前葉)の資料の予備的な調査を行い、次年度の本格的な資料調査と分析にそなえた。②研究集会での分析結果の検証と意見交換研究代表者・分担者・協力者が参画する研究集会を計3回開催した。岡山大学での第1回研究集会においては、研究目的・内容の共通認識を得るとともに、分析資料を絞り込むことができた。香川県埋蔵文化財調査センターで開催した第2回研究集会では、香東川下流域産土器群について、成形・整形・調整痕跡の観察、製作手順の復元、胎土類型について実物を観察しながら検討した。第3回研究集会は愛媛大学で開催し、文京遺跡出土の土器焼成失敗品を観察し、分析結果について論議した。加えて、筑前町文化財収蔵庫で実施した迫額遺跡出土土器群の資料調査では、分析成果の中間成果、分析方法についての意見交換を行い、問題点の整理、問題解決のための方策を検討することができた。
著者
天野 みゆき
出版者
広島女学院大学
雑誌
広島女学院大学論集 (ISSN:03748057)
巻号頁・発行日
no.43, pp.p13-25, 1993-12

This paper examines how Lucy Snowe, the now old first-person narrator of Villette, stillstruggles to accept the loss, in her youth, of her only love. The narrator Lucy is oftern regard-ed as "unreliable" because she withholds crucial information from the reader. However, anexamination of her narrative technique reveals how the narrator teaches the reader to interpret her story. Although this story is about the young Lucy, the narrative technique allows us to understand the emotions of the now old narrator.
著者
緑川 伝作
出版者
横浜国立大学
雑誌
横浜国立大学人文紀要. 第二類, 語学・文学 (ISSN:0513563X)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.15-32, 1962-03-30

The title may seem somewhat ambiguous, but it really means Coordinate Conjunction 'But' weak in its function of introducing 'a statement of the nature of an exception, objection, limitation, or contrast to what has gone before'. The 'But' treated in this thesis is that which, in its function, has virtually lost its proper sense. Upon [A] and [B], except Matzner and Poutsma, most grammarians seem not to have touched. Moreover middle-grade dictionaries such as C.O.D., U.E.D., etc. have no mention of them. For the completion of this thesis I am greatly indebted to O.E.D., W.N.I.D. and Matzner. The examples cited in this thesis, except those which have such indications as O.E.D., W.N.I.D., Matzner, or cf. N.B., are all collected by me. They are mostly rather long, because I should like to make clear the context in which the word in question is used. Most English-Japanese dictionaries have taken up [A], though their explanations are not satisfactory. But we could hardly find any English-Japanese dictionary which has touched upon [B]. In view of the fact, I have devoted much more space to [B] than to [A] and treated [B] elaborately, giving as many and various examples as I can. The following is the outline of the present thesis: [A] 'But' after an interjection or exclamation: (a) Expressing some degree of the feeling of opposition, objection, protest, etc., that is, some degree of adversative feeling. (b) Expressing mere surprise. (c) Expressing mere recognition of something unexpected. [B] 'But' merely expressing disconnexion, or emphasizing the introduction of a distinct or independent fact: (a) Merely expressing disconnexion. (b) Merely emphasizing the introduction of a distinct or independent fact, (as the minor premiss of a syllogism), in short, marking a transition of thought.
著者
廳 茂
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

「社会学」という学問の形成に歴史的にみて重大な意義を果たした19世紀後半から20世紀初頭の初期ドイツ社会学の包括的な思想的布置は、ウェーバー研究を除けば、今日に至るまで十分に解明されていないテーマである。本研究は、当時を代表するディルタイ、テンニース、ジンメルの3人の思想家の関係と相違に着目しつつ、そもそも社会学とはいかなる思想的課題を担ったものであったのかを明らかにしようとしたものである。とりわけ、ジンメルを中心におき、そこにディルタイとテンニースなどを絡ませる形で、研究を進めた。ドイツ社会学の思想的意味をめぐる研究の基礎を立ち上げるまでには、研究は確実に進捗したといえる。
著者
星埜 由尚
出版者
公益社団法人 東京地学協会
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.129, no.2, pp.155-160, 2020-04-25 (Released:2020-05-12)
参考文献数
22
被引用文献数
3
著者
浜 森太郎
出版者
広島大学国語国文学会
雑誌
国文学攷 (ISSN:02873362)
巻号頁・発行日
no.60, pp.31-40, 1972-12
著者
松下 繁
出版者
公益社団法人 計測自動制御学会
雑誌
計測と制御 (ISSN:04534662)
巻号頁・発行日
vol.7, no.12, pp.946-952, 1968-12-10 (Released:2009-11-26)
参考文献数
8
被引用文献数
6
著者
帖佐 梨菜 早崎 奈央 永田 直樹 吉留 直希 鮫島 啓太郎 高田 和真 田口 光 川元 大輔 横山 尚宏
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2014, 2015

【はじめに,目的】ヒトの運動機能を定量的に評価することは,臨床において効果判定やプログラム立案に極めて重要となる。多用途筋機能運動評価装置バイオデックスシステム3(以下:BIODEX)はヒトの筋力を正確に測定し,数値が可視化できるため数多くの研究機関で使用されている。ただし,場所が制限される事や高価であるため,使用する施設は限られている。一方,Hand Held Dynamometer(以下:HHD)は,測定方法が簡便であるため,理学療法領域において幅広く使用されている。一方,体重計はどの家庭にも存在する。体重計はBIODEXやHHDと比較し,鉛直方向にしか計測ができない。しかし,測定方法を工夫することで,等尺性収縮を定量的に評価することが可能ではないかと考える。本研究は,BIODEXで表された数値がHHDや体重計と相関関係があるかを三角筋とハムストリングスで実施し,自宅で簡便に筋力測定が可視化できるかを検討することを目的とした。【方法】対象者は本校に在籍する学生20名で,整形外科的,神経学的に既往のない学生を選出した。平均年齢は20±1.92歳,平均身長は166.5±8.7cm,平均体重は61.2±8.9kgであった。測定肢は三角筋,ハムストリングスともに右上下肢で統一した。三角筋・ハムストリングスの計測課題はBIODEX上で端座位とし,大腿部・骨盤部・体幹をベルトにて固定,両上肢は胸の前で交差して手掌面を胸郭上部で固定するように指示した。膝関節90°屈曲位でアーム回転軸と膝外側裂隙中心部が一致するようにシートの高さ・前後長を調整した。筋力はisometricで測定し,最大筋力を5秒間保持,3セット実施した。各セット間のインターバルは30秒とした。HDDと体重計による測定課題として,三角筋はベッド上端座位の肢位で肩関節屈曲90°,肘関節伸展位とした。前腕遠位部に抵抗を加え,5秒間保持するように指示した。被験者が代償動作を起こさないように最大限留意した。ハムストリングスの測定肢位はベッド上腹臥位とし,体重はベッドに預け,股関節45°屈曲位,両下肢は下垂させ,足底が接地しないように指示した。HDD,体重計の計測ともに,被験者は両下腿を地面と平行に保持し,検者は下腿遠位部に鉛直方向へ抵抗を加えた。HHDと体重計の筋力測定は検者が体重計に乗り,被験者に重力方向に抵抗を加えた時の体重と,抵抗を加える前の体重との差を重力(9.8N)で除して算出した。統計学的解析は相関係数を用いてBIODEX,HHD,体重計で測定した筋力の一致度を分析した。また,3者の関係については回帰分析を用い,回帰式を算出した。有意水準は5%未満とした。【結果】三角筋の最大収縮はBIODEXで31.9±14.9N,体重計は81.3N±30.9N,HHDは79.9±27.4Nであった。ハムストリングスの最大収縮はBIODEXで60.6±22.9N,HHDで221.5±80.3N,体重計は217.6±76.8Nであった。三角筋の相関係数はHHDと体重計(r=0.99;P<0.01),BIODEXとHHD(r=0.98;P<0.01),BIODEXと体重計(r=0.97;P<0.01)すべてに有意な相関関係が示唆された。ハムストリングスの相関係数はHHDと体重計(r=0.98;P<0.01),BIODEXとHHD(r=0.85;P<0.01),BIODEXと体重計(r=0.91;P<0.01)と,すべて有意な相関関係が示唆された。回帰式において,三角筋のBIODEXとHHDの関係はy=2.382x-9.752,BIODEXと体重計の関係はy=0.251x-5.956を示した。ハムストリングスのBIODEXとHHDの関係はy=3.572x+7.184,BIODEXと体重計の関係はy=3.526x+1.576となった。【考察】本研究の結果,全ての項目において有意な相関関係を示唆した。先行研究において,HHDと体重計は相関関係があるという報告がある。本研究は先行研究を支持する結果となり,HHDと体重計の相関関係があることを証明した。BIODEXは筋力測定において正確な数値を表す装置として認知されている。臨床で広く使われるHHDと一般家庭にも存在する体重計が,BIODEXと相関関係を示唆した。今後は症例の自宅においても,体重計を使用することによって,工夫次第で筋力を数値化し正確に測定できると考える。筋力の数値化はMMTのような主観的な筋力評価と違い,治療の効果判定や症例の目標設定など,臨床で有用な客観的評価となるのではないだろうか。【理学療法学研究としての意義】本研究の結果,BIODEXとHHD,BIODEXと体重計ともに高い相関関係がみられた。HHDは施設に,体重計は施設や自宅にほぼ存在する。筋力の可視化が可能となれば症例自身が筋力向上を確認でき,目標を持ちやすく,心理面にも好影響を与えるのではないかと考える。
著者
船曳 康子 北 徹 石井 賢二 日下 茂 袴田 康弘 若月 芳雄 村上 元庸 横出 正之 久米 典昭 堀内 久徳
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.274-278, 1999
被引用文献数
10

症例は83歳男性. 1996年12月末より徐々に喀痰, 咳嗽, 全身倦怠感, 食欲低下みられ当院受診. 肺炎と診断され1997年1月7日入院となった. 入院時血圧70/48mmHg, PaO2 55.5mmHg, CRP20mg/dl, ラ音聴取, 黄色膿性痰みられ, 抗生剤を開始した, 血清抗体価の上昇より (入院時4倍→2週後128倍), インフルエンザA感染症の合併と診断した. 発熱, 呼吸困難は抗生剤治療に抵抗性であった. 血中よりアスペルギルス抗原を検出し (2+), 抗真菌剤治療により抗原は (1+) と改善したが, 2月20日, 喀血をきたし永眠された, アスペルギルス症は免疫不全患者が罹るとされているが, 本例では入院後数日間白血球数が低下しており, インフルエンザによる一時的免疫力低下がアスペルギルス症の発症に関与したと考えられた. また高齢者のインフルエンザ感染症の合併症の重篤さが示唆された.
著者
井関 龍太 川崎 惠里子
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.105, 2009

過去の出来事を思い出すときには,自分自身がその場にいて実際に周囲の状況を見ているかのように思い出す場合と(一人称の視点),第三者の立場に立って外部から自分を見つめているかのように思い出す場合(三人称の視点)がある。このような想起の視点は,現在の自己との整合性が低い記憶を想起する場合には三人称になりやすいことが報告されている。このことから考えると,現在からより離れた時点の記憶を想起するときほど,三人称の視点で想起されやすいと思われる。そこで,本研究では,手がかり語のイメージ性を操作して自伝的記憶の想起を求めた。一般に,イメージ性の高い語は,より過去の出来事を想起させることが知られている。実験の結果,高イメージ語は,低イメージ語よりも,より過去の出来事を想起させた。しかし,想起の視点は,手がかり語の違いによって有意には異ならなかった。想起の鮮明性は,高イメージ語の場合に高い傾向が見られた。
著者
舘野 高
出版者
一般社団法人 日本生物物理学会
雑誌
生物物理 (ISSN:05824052)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.139-143, 2018 (Released:2018-05-31)
参考文献数
19

In this review, the recent advances in neural control engineering are described in terms of three hierarchical levels. In the lowest level, the microelectrode recording and electromagnetic stimulation technique are particularly addressed. In the middle level, two types of neural stimulation and their evoked responses in the rodent auditory cortex are explained on our experimental results using flavoprotein autofluorescence imaging. In the highest level, finally, one of our computational models for the auditory cortex is introduced to simulate auditory induction phenomenon and the associated sound-driven responses.
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1126, pp.52-54, 2002-01-28

昨年12月21日、日本国内で新しいギネスブック認定記録が生まれた。富士山の麓にある富士急ハイランド(山梨県富士吉田市)が30億円を投じて開発し、その日オープンした新ジェットコースター「ドドンパ」の最高速度、「時速172km」だ。 それまでの世界最高記録は、米カリフォルニア州にある遊園地のコースターの時速160km。