著者
白幡 聡
出版者
特定非営利活動法人 日本小児血液・がん学会
雑誌
日本小児血液学会雑誌 (ISSN:09138706)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.95-103, 2008-04-30 (Released:2011-03-09)
参考文献数
22

かつて, 新生児期のビタミンK欠乏性出血症は, 新生児出血性疾患の花形的存在であった.一方, 1970年代後半に入ってその存在が広く知られるようになった幼若乳児のビタミンK欠乏性出血症は, 母乳栄養児に好発し, しかも大多数の患児が頭蓋内出血を起こして, 過半数が死亡するか後遺症を残すため, 母乳哺育のアキレス腱として社会的にも大きな関心を集めた.これらの疾患は, 出生時, 産科退院時, 1カ月健診時のビタミンK製剤予防投与によって激減したものの, 少なからぬ幼若乳児が現在でもなおビタミンK欠乏による出血に見舞われている.フランスや英国などEU諸国では, 週1回あるいは連日ビタミンK製剤を経口投与する方式が導入され, これらの方法でビタミンK製剤を投与された乳児の中から本症は起こっていない.そこでわが国でも新しいガイドライン (案) が提唱されている.
著者
川合 全弘
出版者
京都産業大学法学会
雑誌
産大法学 (ISSN:02863782)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.221-239, 2017-01

1.はじめに2.荒木俊馬と岩畔豪雄3.東京事務所長としての岩畔豪雄(以上本号)4.世界問題研究所長としての岩畔豪雄5.おわりに

11 0 0 0 OA 菓子登録年鑑

出版者
帝国菓子飴新聞社
巻号頁・発行日
vol.昭和2年度, 1930
著者
山田 修
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.110, no.2, pp.64-67, 2015 (Released:2018-04-12)
参考文献数
11

泡盛麹菌がAspergillus luchuensisとして初めて記載されて以来,100年以上の年月が過ぎたが,この間,焼酎・泡盛麹菌を含む黒色Aspergillusの分類は長きに渡り混乱状態が続いてきた。著者は数年来,分子系統解析やトキシン生産性試験の結果に基づき,黒麹菌の再分類を提唱してきたが,最近その取り組みが実を結び,海外の分類の専門家を交えた検討の結果,黒麹菌はA. luchuensisとして,A. nigerなどのクロカビと別種として分類されることが改めて確認された。本稿では,分類が混乱した原因も含めて黒麹菌の再分類に至る経緯を概説し,これまで記載された主な黒麹菌の素性を振り返っていただいた。
著者
松岡 弥玲
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.45-54, 2006-03-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
36
被引用文献数
5 3

本研究の目的は,(1) 理想-現実自己のズレが年齢と共に減少していく変化と, 自尊感情が生涯にわたって維持される傾向とが関係しているかどうかを検証すること,(2) 理想自己の実現可能性の生涯発達変化を捉えること,(3) ズレを減少させる方略 (肯定的解釈粘り強さ諦めの早さ) の生涯発達変化をズレとの関わりから探索的に検討することである。調査参加者は15歳から86歳までの男女 (865名)。主な結果は以下の通りである。(1) 自尊感情は生涯維持され, ズレは年齢と共に減少していた。そして青年期から老年期までの全ての群でズレと自尊感情との間に有意な負の相関関係がみられ, ズレが減少していく変化と自尊感情の維持とが関連していることが示唆された。(2) 実現可能性は, 45-54歳に減少する傾向がみられた。(3) ズレを減少させる方略は, 高校生から55-64歳までの間, 対照的な方略が交互に用いられ, 男女差が顕著であった。しかし, 65-86歳群になると男女共にズレと方略との関わりが無くなった。これらの結果について, 性差に焦点をあて, ライフイベントや職業生活との関わりから考察がなされた。
著者
里宇 明元
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.53, no.6, pp.465-470, 2016-06-18 (Released:2016-07-21)
参考文献数
29

革新的ニューロリハビリテーション技術を開発・実用化するには,神経科学研究の積み重ね,臨床的エビデンスの蓄積,知財マネジメント,医療機器としての製品化・薬機法承認・事業化が不可欠である.慶應義塾大学医工連携チームは,従来治療困難であった脳卒中後重度手指麻痺に対し,手指伸展企図時の運動野近傍の事象関連脱同期を頭皮電極で記録し,運動企図したと判断された際には,麻痺側手指を電動装具で伸展して体性感覚フィードバックを脳に返し,可塑性を誘導する治療システムを開発した.Proof of concept,first in man,症例シリーズ研究,効果機序解明を経て,企業と共同で製品化を進め,薬機法承認に向けた医師主導治験を計画中である.
著者
東 昭
出版者
公益社団法人 計測自動制御学会
雑誌
計測と制御 (ISSN:04534662)
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.372-381, 1980-04-10 (Released:2009-11-26)
参考文献数
4
著者
加藤 隆弘
出版者
日本生物学的精神医学会
雑誌
日本生物学的精神医学会誌 (ISSN:21866619)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.229-236, 2011 (Released:2017-02-16)
参考文献数
59

ミクログリアは,中胚葉由来のグリア細胞で,静止状態では樹状に突起を伸展して脳内の監視役としてシナプス間を含む微細な環境変化をモニターしている。環境変化に敏速に反応し活性化するとアメーバ状に変化し,脳内力動の主役として,脳内を移動し,サイトカインやフリーラジカルとい った神経障害因子および神経栄養因子を産生する。こうして,神経免疫応答・神経障害・神経保護に重要な役割を担い,神経変性疾患や神経因性疼痛の病態に深く関与している。我々は,抗精神病薬や抗うつ薬にミクログリア活性化抑制作用があることを in vitro 研究で見出し,ミクログリア活性化とその制御を介した精神疾患の病態治療仮説を提唱している。さらに,筆者は,無意識を扱う力動精神医学の立場から,日常の精神活動や無意識に果たすミクログリアの役割にも関心を寄せている。本稿では,我々の仮説を国内外の知見とともに紹介し,これからの本研究領域の方向性・可能性を検討する。

10 0 0 0 OA 大日本仏教全書

著者
仏書刊行会 編
出版者
仏書刊行会
巻号頁・発行日
vol.117, 1922

10 0 0 0 OA 鐵道停車場一覽

出版者
鐵道院
巻号頁・発行日
vol.大正6年3月31日現在, 1917
著者
椎橋 章夫 大橋 克弘 山名 基晴 森 欣司
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.791-801, 2007-02-15

鉄道の自動出改札システム(AFC: Automatic Fare Collection system)は,高密度輸送におけるピーク時の乗降客に対応するための高速性と金券である乗車券を処理するため高信頼性が不可欠である.しかし,無線通信方式のIC カード乗車券は旅客の使用方法に依存するため,データの読み取りの不確実,不完全が発生する(これを「データ抜け」と呼ぶ).東日本旅客鉄道株式会社のSuicaシステムでは「データ抜け」が発生してもシステムを止めることなく,データの信頼性を確保できるように「自律分散整合化技術」を導入していたが,その有効性を評価する手法を持たなかった.そこで,東京工業大学森研究室との連携のもと,自律分散整合化技術の有効性を評価する手法として,機能信頼性評価法を研究し,その評価技術を確立した.この結果,得られた最適パラメータをSuica システムに導入し,その有効性を実証した.
著者
大野 はな恵
出版者
日本音楽教育学会
雑誌
音楽教育学 (ISSN:02896907)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.1-12, 2017 (Released:2018-08-31)
参考文献数
26

古楽復興運動の影響を受け, バロック声楽作品の歌唱やそれを専門とする歌手は「バロック歌唱」, 「バロック歌手」と呼ばれるようになった。その人気を受けて, 昨今では, 「メインストリームの歌手」にもバロック声楽作品を歌う機会が増えている。しかし, メインストリームの歌手が書物から実践上での指針を得ることは難しい。本研究では, メインストリームの歌手がバロック声楽作品を歌う上で留意すべき諸点を, メインストリームの歌手とバロック歌手を対象とした質問紙調査と, 著名なバロック歌手へのインタビューによって浮かび上がらせた。すなわち, ヴィブラートや音色, 音量といった具体的項目において両者の認識は大きく異なっていた。また, バロック歌手は, 音色, 音量, ヴィブラートを自在かつ器用にコントロールする能力を「バロック歌唱」に求めており, これらの要素は現在の「バロック歌唱」を特徴づけるものである。