10 10 10 10 Asa cantabile

出版者
GBL
巻号頁・発行日
2011
著者
大場 博幸
出版者
日本図書館情報学会
雑誌
日本図書館情報学会誌 (ISSN:13448668)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.65-81, 2015-06-30 (Released:2017-04-30)
被引用文献数
1

憲法上の表現の自由と図書館の役割を結び付ける議論を「表現の自由」目的説と定義し,その展開を検討した。CIPAをめぐる2003年のALA判決は内容に基づいた資料選択が避けられないことを理由に図書館を非パブリック・フォーラムとした。ALAは1990年代から図書館=限定的パブリック・フォーラム論を採用したが,表現の自由の保護の徹底は図書館員の裁量を限定しないものだという誤解があった。日本でも同様の誤解から資料請求権が提唱されたが,法律家はそれを否定している。2005年の船橋市西図書館蔵書廃棄事件判決における「公的な場」への言及は図書館への限定的パブリック・フォーラム論の適用であるという議論が現れたが,優勢とはなっていない。このように「表現の自由」目的説は成立しなかったが,それによって現実の図書館も,「図書館の自由」も特に影響を被ることはなかった。
著者
Takashi Ohrui
出版者
Tohoku University Medical Press
雑誌
The Tohoku Journal of Experimental Medicine (ISSN:00408727)
巻号頁・発行日
vol.207, no.1, pp.3-12, 2005 (Released:2005-08-04)
参考文献数
87
被引用文献数
36 34

Pneumonia is the fourth leading cause of death despite the availability of potent new antimicrobials in Japan. Aspiration of oropharyngeal bacterial pathogens to the lower respiratory tract is one of the most important risk factors for pneumonia. Impairments in swallowing and cough reflexes among disabled older persons, e.g., related to cerebrovascular disease, increase the risk of pneumonia. Thus, strategies to reduce the volumes and pathogenicity of aspirated material should be pursued. Since both swallowing and cough reflexes are mediated by endogenous substance P contained in the vagal and glossopharyngeal nerves, pharmacologic therapy using angiotensin-converting enzyme inhibitors, which decrease substance P catabolism, can improve both reflexes and result in the lowering of the risk of pneumonia. Similarly, since the production of substance P is regulated by dopaminergic neurons in the cerebral basal ganglia, treatment with dopamine analogs or potentiating drugs such as amantadine can reduce the incidence of pneumonia. Furthermore, since mortality from infections correlates with cutaneous anergy, interventions that reverse these age-associated changes in the immune system are also effective. The main theme of this review is to discuss how pneumonia develops in disabled older people and to suggest preventive strategies that may reduce the incidence of pneumonia among these subjects.
著者
川西 亮太 井上 幹生
出版者
公益社団法人 日本地下水学会
雑誌
地下水学会誌 (ISSN:09134182)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.157-167, 2018-05-31 (Released:2018-08-31)
参考文献数
58
被引用文献数
1

水域間のつながりを表す水文学的連結性は河川生態系を理解する上で重要な要素であり,魚類の生活史や生息環境にも密接に関連している。河川と海との縦断方向や河道と氾濫原や陸域とを結ぶ横断方向の連結性については魚類に対する意義が広く認識されている一方,河床の地下部(河床間隙水域)を介した河川表流水域と地下水域との鉛直的なつながりの重要性は理解が遅れている。そこで本稿では,魚類の生活史において,この鉛直的なつながりや河床間隙水域がどのような役割を果たしているのかを概説すると共に,著者らが対象としてきた底生魚ヒナイシドジョウでの事例を紹介する。また,今後の展望についても言及した。
著者
大類 孝
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

BCGワクチン療法による高齢者肺炎の予防法の確立私共が以前、高齢者介護施設に入所中の方々を対象に行った研究によれば、日常生活活動度(ADL)が低下しかつ肺炎を繰り返す寝たきり高齢者では、末梢血液中のヘルパーT(Th)リンパ球のうち細胞性免疫を担うTh1細胞の絶対数が減少しており、そのような方では細胞性免疫の指標の一つであるツベルクリン反応(ツ反)が陰性化していること、およびツ反陰性群では陽性群に比して肺炎発症率が有意に高い事実が明らかにされた(Thorax2000)。今回、私は本研究において、細胞性免疫賦活化作用を有するBCGワクチン接種が、寝たきり高齢者における肺炎の発症を予防し得るか否かについて検討を行った。方法は、高齢者介護施設に入所中のADLの低下した155名の高齢者を対象とし、ツ反を施行し陽性群及び陰性群に分け、さらに陰性群を無作為にBCG接種群及び非接種群に割り付けをした。そして、BCG接種4週間後に再びツベルクリン反応を施行し、陽性者を陽転群とし、その後2年間にわたり各群における肺炎の発症率を前向きに追跡調査した。その結果、ツ反陰性群では44名中19名(42%)に、陽転群では41名中6名(15%)に、ツ反陽性群では67名中9名(13%)に新たな肺炎の発症が確認され、ツ反陽転群では陰性群に比して肺炎の発症率が有意に抑制された(p=0.03)。以上の結果より、BCG接種は細胞性免疫の低下した寝たきり高齢者において、肺炎発症の予防効果を有する事が明らかにされた。BCGワクチン投与群では、免疫能の指標である末梢血のNK活性、CD4リンパ球数、CD8リンパ球数、CD4/CD8比、Th1リンパ球数は、それぞれワクチン投与前後で、平均60.0%(前)vs51.5%(後)、526vs604個/μ1、452vs374個/μ1、1.16vs1.71、144vs180個/μ1と変化し、ワクチン投与によりCD4リンパ球数の上昇、Th1リンパ球数の増加を認め、BCGワクチン投与が寝たきり高齢者における細胞性免疫能を高める事が確認された。
著者
山内 勇人 河野 恵 大西 誠
出版者
日本環境感染学会
雑誌
環境感染 (ISSN:09183337)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.81-86, 2006-06-20
参考文献数
7
被引用文献数
5

インフルエンザウィルス感染症は, 病床運営や患者生命にも関わる重篤な院内感染症の一つである. 当院は240床中80%がリウマチ性疾患, 中でも関節リウマチ (RA) が大多数を占めるRAの専門病院である. 2002年度の全国的なインフルエンザの大流行時に, 当院でもインフルエンザ患者が急増した. その主たる原因をエレベーター内での飛沫感染と考え, 入院患者, 職員, 外来患者や面会人を含む病院全体での厳格なサージカルマスク着用による飛沫予防策を緊急導入し, アウトブレークを途絶することに成功した. その経験から, 当院ではワクチン接種の推進に加え, 冬期のサージカルマスク対策を継続して行っている. 更には, 外来有熱患者の受付でのトリアージを2004年度より導入し, 飛沫予防策の強化を図っている. その結果, 入院患者でのインフルエンザ発生は, 2003年度0人, 2004年度は3人と良好な結果である.<BR>当院のようなハイリスク集団におけるインフルエンザの院内感染対策において, ワクチン接種の重要性は言うまでもないが, 病院全体での厳格な飛沫予防策の併用は極めて有用である可能性が示唆された.
著者
木場 貴俊
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究 = NIHON KENKYŪ (ISSN:24343110)
巻号頁・発行日
vol.60, pp.159-192, 2020-03-31

狩野派で主に描かれてきた、化物の名称と容姿を個別に並べた「化物尽くし絵巻」と総称される絵巻(狩野派系統本)は、江戸文化特有の作品である。その系譜上に位置付けられる、国際日本文化研究センター所蔵『諸国妖怪図巻』(長岡多門作、18 世紀以降 以下、日文研本)は、詞書(ことばがき)がある狩野派系統本として珍しい作品である。本論は、『諸国妖怪図巻』とそれと関係する詞書がある二巻の絵巻、作者不明『化物尽くし絵巻』(國松良康氏所蔵、18 世紀以降 以下、國松本)と作者不明『怪奇談絵詞』(福岡市博物館所蔵、江戸末期~明治時代)を比較することで、各絵巻の特徴や関連性を考察したものである。
著者
大類 孝 中山 勝敏 福島 健泰 千葉 大 佐々木 英忠
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.34-36, 2005-01-25 (Released:2011-03-02)
参考文献数
8
被引用文献数
1 1

呼吸器感染症の中で肺炎は, 抗菌剤の開発がめざましい今日においても, 日本での疾患別死亡率の第4位を占めている. また, 肺炎による死亡者を年齢別に見ると, 65歳以上の高齢者が全体に占める割合は約9割と極めて高い. 近年, 高齢者の肺炎は複雑化し難治例が増加しつつあるといわれる. その背景には高齢化社会を迎え, さまざまな基礎疾患を抱えた易感染状態の患者が増加している点や, 加齢に伴う免疫能の低下によって弱毒性の病原微生物によっても肺炎を発症しうる点などが挙げられる. よって, 高齢者特に寝たきり高齢者の免疫状態を把握し, ワクチン等を用いて免疫を賦活化させ感染防御能を高める方法は, 高齢者の感染症, 特に肺炎の予防に有効ではないかと考えられる. 本シンポジウムで, 私は, 初めに寝たきり高齢者の免疫能について言及し, さらにこれらの対象者におけるインフルエンザワクチン, 肺炎球菌ワクチンおよびBCGワクチンの効果について解説する.
著者
関谷 直也
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.62, no.9, pp.372-377, 2012-09-01 (Released:2017-04-18)
参考文献数
18
被引用文献数
2

東日本大震災において,人々は物理的な被害を受けていなくとも,直接的な地震・余震,津波の映像の視聴,放射性物質の飛散に関する情報などを原因として不安を強く感じた。また被災者への支援について不安を感じ,そのような状況にも関わらず情報が手に入らないことに不安を感じた。そしてそれらの不安を解消するために,情報を過剰に発信・受信しようとしたり,支援・団結を求めたり,他者への攻撃へと転嫁したりした。ある程度,時間が経過してからはさまざまな活動を自粛し,時間が経つにつれ,不安や震災について考えることなどは忘却され,平時の心理に戻っていった。
著者
北條 昌芳 阿部 俊明 鹿野 哲也 玉井 信
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1253-1255, 2003-07-15

要約 55歳女性が左眼の上下瞼結膜に黒い塊があるのに気づいて受診した。8年前にアレルギー性結膜炎と診断され,デキサメタゾンの点眼を続けていた。結膜結石があり,数回の結石除去術を受けていた。視力は良好で,眼底その他に異常はなかった。左眼の瞼結膜に偽膜形成があり,上の瞼結膜に1個,下の瞼結膜に9個の黒色塊があった。生検で黒色塊はクリプトコッカス症と診断した。残りの黒色塊を除去し,ステロイド薬点眼を中止させた。以後の再発はない。瞼結膜のクリプトコッカス症は稀であるが,長期の副腎皮質ステロイド薬の点眼による眼局所の免疫力低下が引き金になったと推定した。
著者
横尾 実
出版者
The Tohoku Geographical Association
雑誌
季刊地理学 (ISSN:09167889)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.17-34, 2000-03-01 (Released:2010-04-30)
参考文献数
45

ここで言う都市の地域構造の移行とは, 江戸時代の城下町構造を旧構造, 現代の都市構造を新構造と区別した時, 時間的経過とともに旧構造が崩壊し, 新構造が成立していく過程を指す。その移行形態を実証するため, 江戸時代から第2次世界大戦期における東北地方の城下町起源11都市を事例にあげた。都市地域の形成過程を個別に復原した著者による先行研究に基づき, 帰納的立場から, 江戸時代, 明治前期, および明治後半から戦前期までの3時期における都市構造をモデル化した。都市地域構造の移行形態は明治後半以降,都市間で異なっている。それを旧構造残存型, 旧構造修正型, 新旧構造競合型, 新旧構造併存型, そして新構造誘導型の5つに整理した。これら5つの型相互間の関係から比較的単純な構造移行の順序系列が得られ, それは近代産業発展による影響を強く受けなかった東北地方の都市の性格を反映する。
著者
奥島 雄一
出版者
一般社団法人 日本昆虫学会
雑誌
昆蟲.ニューシリーズ (ISSN:13438794)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.185-196, 2018-09-25 (Released:2019-10-10)
参考文献数
5

倉敷市立自然史博物館では,昆虫に強い興味を持つ小学5年生~高校生を対象とした教育普及プログラム「むしむし探検隊」を始めて17年になる.昆虫に対する興味を継続し,深めてもらい,将来,昆虫学を通じて社会に貢献できる人材の育成につなげることを目的としている.隊員は,1年間を通じて同じメンバーで活動し,野外探検(昆虫採集),飼育・観察や標本作製,雑誌への投稿,博物館での展示・普及行事への参加・発表会といった一連の体験を通して,同志たちと交流を深めつつ,昆虫に関する知識と技術を学ぶ.野外探検に保護者は同伴せず,隊長を務める昆虫担当学芸員とボランティアスタッフが同行する.これまでに総計83名が参加し,参加者の半数以上が2年以上隊員を継続している.高校生時に在籍した隊員は15名おり,その内の12名が生物系または環境系の大学へ進学している.さらに,内6名は社会人となった現在も仕事やアマチュア研究者として昆虫との関わりを継続している.