著者
西台 満 NISHIDAI Michiru
出版者
秋田大学教育文化学部
雑誌
秋田大学教育文化学部研究紀要 人文科学・社会科学 (ISSN:1348527X)
巻号頁・発行日
vol.67, pp.1-5, 2012-03-01

A person who gains a profit without a legal cause commits “the unjust enrichment” in Civil Law. He is required to recover the original condition by compensating the other party for his loss.The profit to be restored, however, is limited to “as much as existing” when he is asked for compensation, provided that he made the profit in good faith. Good faith means that he received the goods or money believing that he was entitled to do so.Money spent for amusements is commonly considered “not existing” so that he doesn't have to return it to the opponent. On the other hand, money spent for living expenses is counted “existing”, because it lets him escape paying the same sum of money from his savings.I take objection to such common view in this paper. Profiteer should pay the whole amount of ill-gotten gains including the amusement expense. But he doesn't have to return even the living expenses, when he has no means. I interpret that this is just the effect of good faith.
著者
蟻川 トモ子 大島 さゆり
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.46, no.7, pp.635-640, 1995-07-15 (Released:2010-03-12)
参考文献数
15

梅酒の熟成中における糖, 酸度, pH, 色調の変化について, 30℃および常温保存の試料を, 原料混合から1年にわたって追跡し, つぎの結果を得た.1) 漬け込み後4日目くらいまでは固体のショ糖の溶解のみが起こって全糖度が増加するが, ショ糖の転化は起こらない.2) ショ糖の転化は4日後ころから起こり, 10~90日くらいまでは急激に, 以後は徐々に進行してほぼ200日後に完了する.3) 全酸度は30℃および常温保存試料について, 漬け込み直後6.1および4.4であったものが30日後まで急増してそれぞれ20.0および19.6となり以後徐徐に増加して365日目にはそれぞれ25.4, 21.6となった.4) pHは最初3.2くらいで4日目には3.0に下がり, 以後熟成中あまり変化は認められなかった.5) 色調の変化は日数の経過とともにほぼ直線的に着色が進行した.これは糖の褐変が関与しているものと考えられる.以上の結果にもとついて梅酒熟成中の成分変化について考察した.
著者
緒方 由紀
出版者
佛教大学福祉教育開発センター
雑誌
福祉教育開発センター紀要 (ISSN:13496646)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.33-57, 2017-03-31

現代社会論を構成する包摂や共生社会といった概念は、多元的な政策への構築を基盤としながら、一方に市民社会の成立と構成員である自立的市民像としての新しい権利や義務の確立を求めるものになっている。そのことは精神保健医療福祉における新たな政策・実践面でも共通の課題であり、その一つが当事者の位置づけをめぐる議論である。つまり発病からさまざまな医療・福祉・生活等のサービスの利用、さらに市民生活の獲得にいたるまで、精神障害者の意思を精神保健医療福祉システムにどのように位置づけるかということに深く関わっている。そうした時代認識のもと本稿では、精神障害当事者の意思決定および意思の表明について、障害者権利条約や国のモデル事業として検討されてきたアドボケーター機能や意思決定支援ガイドライン構想等をとりあげ、現状の意思決定にかかる支援の方向性の整理を行った。精神障害者は法律上、医療的保護を必要とする存在としてとらえられてきたものの、一方で「社会復帰の促進及びその自立と社会経済活動への参加の促進」という理念も同時に掲げられていることからすると、広く障害者の権利と結びつく形で支援が示されなければならないことになる。精神障害者に対する非自発的入院・治療や行動制限等といった強制介入が、精神医療の手続き面での本人の不在を認めうるのは、本人の尊厳を尊重しつつも専門的介入の適正性の担保がとれているかという社会的了解事項の側面ももちあわせている。言い換えれば本人の意思表明や意思決定に関して、権利擁護の視点からだけではなく、社会的責務として危機管理や安全・安心を組織や地域の中では考えなければならないという現実の中で、時に意に反した介入の判断がなされることを再確認した。最後に、意思決定をめぐるさまざまな議論の行方が、支援者側のあるべき姿にとどまるのではなく、法的能力(legal capacity)とその行使のための意思表明のありかたの契機として進めていく必要性を論じた。意思表明意思決定支援精神障害者法的能力の享有専門的介入
著者
岩田 誠
出版者
公益財団法人 腸内細菌学会
雑誌
腸内細菌学雑誌 (ISSN:13430882)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.297-304, 2007 (Released:2007-11-27)
参考文献数
27

広い表面積で外界と接する腸管では,免疫細胞の配備が必須である.一般に,リンパ球の組織への配備は一定のルールに則って行われる.ナイーブT細胞は,リンパ節などの二次リンパ系器官には移入できるものの,非リンパ系組織には移入できない.二次リンパ系器官で抗原刺激を受けてエフェクター/メモリーT細胞となると,その二次リンパ系器官が所属する組織に選択的に移入(ホーミング)できるようになる.例えば,腸の二次リンパ系器官であるパイエル板や腸間膜リンパ節で抗原刺激を受けたT細胞は,小腸特異的ホーミング受容体(インテグリンα4β7とケモカイン受容体CCR9)を発現し,小腸に移入できるようになる.我々は,腸の二次リンパ系器官の樹状細胞がT細胞に抗原提示をすると同時にビタミンAからレチノイン酸を生成し与えることで,小腸特異的ホーミング受容体を発現させていることを見出した.同様に,ナイーブB細胞が抗原刺激を受け,小腸へのホーミング特異性を獲得するためにも,また,さらにIgA抗体産生細胞へと分化するためにもレチノイン酸が必須であることを明らかにした.
著者
佐々木 輝美 ササキ テルヨシ Teruyoshi Sasaki
雑誌
国際基督教大学学報. I-A, 教育研究 = Educational Studies
巻号頁・発行日
no.46, pp.143-152, 2004-03-31

The main purpose of this study was to examine how sexually explicit media would affect college students' attitudes towards sex. Previous study results based on Gerbner's theory of cultivation would suggest that students exposed to sexually explicit media would accept distorted sexual information or behavior depicted in the media. A survey was conducted to investigate this relationship among college students (N=350). The survey consisted of eight items probing sexual media exposure and their attitudes toward sex. x^2 analysis results indicated a positive correlation between the items of sexual media exposure and attitudes toward sex. The discussion further considers details surrounding the mechanism of accepting distorted sexual information, media exposure, the formation of attitudes and the roles of peers.
著者
笹島 秀晃
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.106-121, 2016 (Released:2017-06-30)
参考文献数
33
被引用文献数
2

都心衰退地区に形成される芸術家街は, ジェントリフィケーションの契機となることが知られてきた. 芸術家の存在は, 不動産開発や飲食業・文化産業の集積を促し, その過程において地価は高騰し居住者階層は移り変わる. 先行研究では, ジェントリフィケーションのメカニズムを分析するにあたって, おもに不動産業者や消費者としての中産階級に注目してきた. ところが, 重要なアクターであるはずの美術作品の展示・売買を行う画廊については十分な分析がなされてこなかった. 本稿の目的は, 芸術家街を契機とするジェントリフィケーションのメカニズムを, 画廊の集積過程に着目して分析することである. 具体的な検討事例は, 1965年から71年の間に芸術家街から画廊街へと転換した, アメリカ合衆国ニューヨーク市SoHo地区である. 芸術家街であるSoHo地区に画廊が集積した要因は, 安価な地価や広い室内空間を備えた未利用の工場建築物の存在だけではなかった. むしろ, ニューヨーク市における美術業界の構造変動の中で, 画廊経営者が自身の美術的立場を明確にする際に準拠した, 芸術家街の表象という文化的要因が重要であったことを明らかにする.
著者
小林 哲郎 稲増 一憲
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.85-100, 2011 (Released:2017-07-03)
参考文献数
108

社会心理学およびコミュニケーション研究の観点からメディア効果論の動向について論じる。前半は,マスメディアの変容とその効果について論じる。特に,娯楽的要素の強いソフトニュースの台頭とケーブルテレビの普及がもたらしたニュースの多様化・多チャンネル化について近年の研究を紹介する。また,メディア効果論において重要な論点となるニュース接触における認知過程について,フレーミングや議題設定効果,プライミングといった主要な概念に関する研究が統合されつつある動向について紹介する。後半では,ネットが変えつつあるメディア環境の特性に注目し,従来型のメディア効果論の理論やモデルが有効性を失いつつある可能性について指摘する。さらに,携帯電話やソーシャルメディアの普及に関する研究についても概観し,最後にメディア効果論の方法論的発展の可能性について簡単に述べる。
著者
倉恒 弘彦
出版者
日本生物学的精神医学会
雑誌
日本生物学的精神医学会誌 (ISSN:21866619)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.222-227, 2013 (Released:2017-02-16)
参考文献数
17

最近,慢性疲労症候群(CFS)と機能性身体症候群(FSS)との関連について取り上げられる機会が増えてきた。CFS は 1988年に米国疾病対策センター(CDC)が発表した病名であり,長期にわたって原因不明の激しい疲労とともに体中の痛みや思考力低下,抑うつ,睡眠障害などがみられるために日常生活や社会生活に支障をきたす病態の病因を明らかにするために作成された疾病概念である。一方,FSSは明らかな器質的原因によって説明できない身体的訴えがあり,それを苦痛として感じて日常生活に支障をきたす病態を1つの症候群としてとらえたものであり,CFSの概念が発表される以前より報告されてきた。1999 年,Wessely らは FSSに含まれるCFSや過敏性腸症候群などを調べてみると,これらには診断基準や症状,患者の特徴,治療に対する反応性などの点において共通性が多く,それぞれの病名にこだわるより,全体を1つの概念でとらえて分類するほうが建設的であると提唱している。そこで,本稿ではCFS と FSSとの関連を説明するとともに,最近明らかになってきた CFSの脳・神経系異常や病態生理について紹介する。
著者
岡本 一志 丸茂 里江 佐野 悠
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
pp.2017_010, (Released:2017-06-30)
参考文献数
13

RFID システムを用いた資料の図書館内利用調査を2 年間実施し,資料が書架から持ち出された回数およびその利用時間に関するデータ分析法を提案する.分析結果より,館外貸出に比べ3 倍程度の持ち出しが起きていること,利用時間のピークは2~4 分であり立ち読み的利用が中心であること,持ち出し回数と利用時間のピークは一致せず時期によって資料の利用形態が異なること,大半の資料が持ち出された回数はごく数回にとどまっていること,といった従来の貸出統計などには現れなかった利用傾向が確認された.得られたデータや分析結果を踏まえ,RFID システムを用いた資料利用調査の実施における検討事項についても議論する.
著者
伊藤 裕子
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.396-404, 1997-12-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
23
被引用文献数
4

This study investigated the formative factors of gender conception as a cognitive frame concerning gender and its influence on a selection of gender roles (career patterns) using a multiple regression analysis. High school students, composed of 747 females and 726 males, were asked their gender conception measured by how much they agreed to stereotypical behaviors and affairs according to gender. The factors contributing to reinforcement of the gender conception were as follows: (a) the contact with magazines proper to gender,(b) awareness of sex/gender differences in an early period of life,(c) encouragement of femininity (masculinity) by parents, and in addition,(d) a gender separated educational environment in males. Otherwise, from the pass analysis it was indicated that the attitudes of gender roles were made by the medium of the gender conception composed by those factors, and that the gender roles were selected on those attitudes. The Scale of Gender Conception was available as a measure for a gender schematic process except the self concepts.
著者
時実 象一
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.7, pp.383-388, 2017-07-01 (Released:2017-07-01)

欧米における民間の新聞デジタル・アーカイブについて調査・解説した。米国ではルーツ探しのため新聞アーカイブが商用として成り立っている。また大学向けにいくつかの新聞アーカイブが提供されている。Googleも一時挑戦したが途中で中止している。大英図書館は公的機関であるが,民間にデジタル化とサービスを委託している。これらの収録範囲,特徴などについて述べた
著者
家永 遵嗣
雑誌
近世の天皇・朝廷研究 (ISSN:18834302)
巻号頁・発行日
no.5, pp.43-96, 2013-03-01 (Released:2017-06-01)

研究期間:2011年4月28日-2015年3月31日(予定) 科学研究費補助金基盤研究(C)「近世天皇・朝廷研究の基盤形成」 課題番号:23520829 研究代表者:高埜利彦(学習院大学文学部)(近世の天皇・朝廷研究 第5回大会成果報告集)
出版者
国立国会図書館
巻号頁・発行日
vol.2017年, no.(675/676), 2017-07-01