著者
宮本 悌次郎
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.159-166, 1992-05-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
37
被引用文献数
2

17 0 0 0 OA 4.細胞表面形質

著者
増田 亜希子
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.100, no.7, pp.1807-1816, 2011 (Released:2013-04-10)
参考文献数
12

フローサイトメトリー(FCM)を用いた細胞表面抗原検査は,白血病やリンパ腫の診断に欠かせない検査の一つである.急性白血病初発時の診断・病型分類に必須であるだけでなく,寛解導入療法後は微小残存病変(MRD)の評価にも有用である.悪性リンパ腫の場合,FCMと病理組織所見を併用することで,より正確な診断が可能となる.FCMは胸・腹水等の体腔液にも応用できる.FCMを活用するには,代表的な抗原の種類,結果解釈のポイントを理解する必要がある.
著者
三木 陽太
出版者
東京海洋大学
巻号頁・発行日
2012

東京海洋大学修士学位論文 平成24年度(2012) 食機能保全科学 第1612号
著者
立川 隆治 平田 したう 福島 典之 平川 勝洋 夜陣 紘治
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.396-408, 1999-08-15 (Released:2011-03-18)
参考文献数
16

広島大学耳鼻咽喉科および関連施設耳鼻咽喉科外来を受診した慢性副鼻腔炎患者106例を対象として, 無作為にE群 (エリスロマイシン単独群) とEC群 (エリスロマイシン, カルボシステイン併用群) の2群に分けて8週間治療を行い, 臨床効果を検討するとともに投与前と投与8週後に後鼻漏を採取し, その成分の変化を検討した。1) エリスロマイシン単独およびカルボシステインとの併用投与により, いずれにおいても自覚症状, 他覚所見およびX線所見の改善が認められた。全般改善度において中等度以上の改善を認めた症例はE群で48.1%, EC群では42.3%であった。軽度改善以上で比較すると, E群の77.8%に対しEC群では92.3%とやや高い改善率であった。2) 慢性副鼻腔炎治療前の後鼻漏成分では, 重症例ほどシアル酸 (S), フコース (F) の濃度は高く, 治療後の改善度の高かった症例では, S/F値の低下, フコースの上昇が認められた。3) エリスロマイシン単独およびカルボシステイン併用投与による慢性副鼻腔炎の治療効果にはS/F値の低下が密接に関与することが示され, 慢性副鼻腔炎の治癒過程においてS/F値がその指標となりうることが示唆された。
著者
中村 聡
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.103-107, 2006-06-16 (Released:2017-02-10)
参考文献数
5
被引用文献数
1

電子レンジの加執原理を説明する際に,振動する水の分子同士の摩擦熱を考える場合があるが,真実に反している上,熱の分子運動論や摩擦現象のミクロなイメージの涵養を妨げる。いくらかの調査の結果,摩擦熱の説明はかなり流布していて,生徒もテレビなどを通じて聞き,更に学校教育までも荷担していることが判明した。摩擦熱を考える代わりに,「分子が振動していれば,そのエネルギー自体が熱である」と述べた方か良い。もし分子運動論を避けるのであれば,逆に電子レンシの加熱原理についても触れない方が良いと思われる。
著者
石川 希典 佐藤 弘喜
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
pp.185, 2006 (Released:2006-08-10)

世代間における鉄道券売機のインターフェイスに対する、使いやすさのイメージの違いがあると思われる。それは高齢層の被験者、非高齢層の被験者では、それぞれ使いやすいと感じる傾向が違うと考えられるからである。この世代間における、使いやすさのイメージの違いについて研究を行った。 高齢層、非高齢層に分類した被験者に対して、インターフェイスの比較及び評価実験を行った。これによりどういった操作に対して、高齢層、非高齢層の被験者が使いやすいと感じ、使いにくいと感じるかを明らかにした。全ての評価実験、解析の結果から、高齢層、非高齢層における、使いやすいと感じるインターフェイスの傾向を明らかにし、デザインのポイントとする。そして関連研究と本研究の研究成果から、券売機のインターフェイスデザインを改善したデザイン提案及び、モデルの制作を行う。
著者
梶村 昇吾 野村 理朗
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.87, no.1, pp.79-88, 2016 (Released:2016-04-25)
参考文献数
29
被引用文献数
15 25

This study developed and examined the validity of Japanese versions of the Daydream Frequency Scale (DDFS) and the Mind Wandering Questionnaire (MWQ), which measures propensity for spontaneous thoughts and mind wandering, respectively. In Study 1, we translated the items of the DDFS and the MWQ into Japanese and verified their validity. In Study 2, we confirmed the correlation of both scales with mind wandering, as measured by thought sampling during an attention-demanding task. These two studies revealed a dissociation between the properties of the scales; while DDFS reflects propensity for spontaneous thoughts, MWQ specifically reflects propensity for mind wandering. We discuss the usefulness of the DDFS and the MWQ for studying the psychological functions of spontaneous thoughts and mind wandering.
著者
山田 章雄
出版者
獣医疫学会
雑誌
獣医疫学雑誌 (ISSN:13432583)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.1-3, 2014-07-20 (Released:2015-01-07)
参考文献数
9

Globally more than 50,000 people die of rabies every year. Most of victims are kids under 15 year of age and are reported from Asia and Africa. There are only limited areas where rabies has been eliminated or historically no incursion of rabies has ever been reported. As more than 99% of rabies death in humans occurs by dog bite, it is evident that the most important and effective preventive measures is canine rabies control. In rabies endemic countries, therefore, every effort to control rabies by vaccination of dogs along with dog population control should be implemented. It has been shown that elimination of canine rabies is feasible even in those countries where the burden of rabies is tremendously high. On the other hand one of the most effective measures taken by rabies-free countries to maintain their rabies-free status is strict import restriction of dogs. In this article the measures implemented in several rabies-free countries or areas to sustain their rabies-free status have been reviewed.
著者
樫村 愛子
出版者
The Japan Sociological Society
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.189-208, 2004-12-31 (Released:2009-10-19)
参考文献数
42

グローバル資本主義が社会を脱領土化していく中で, 構築主義理論は, 科学やテクノロジーと結合している資本主義を加速するイデオロギーとなっている.というのも科学は現在構築主義的・自己組織的になっており, これまでは手つかずであった人間の生殖や遺伝子, 環境などを操作し始め影響を与え, その影響の効果を考慮しえないまま人間の生きられる条件を破壊しつつあるからである.構築主義理論は, 人間や社会の構築性を記述したが, 他方でこれまで維持されてきた人間の生きられる条件や構造が実際何であるのかは論じられず, それゆえ現在起こっている人間と社会の解体に対し, 必要とされる社会の再構築を考察できない.構築主義のこの困難は言語至上主義にあり, すでにできあがった言語の共時体系から出発しているため, 再構築可能性と関わる, 言語構造の生成や言語と主体の結合の条件を論じられない.理論的に見れば, 言語の内部からのみ記述するため「自己言及のパラドクス」という難点を抱え, これを脱パラドクス化している身体や主体等を論じられず, 言語化できない身体や主体を唯物化・本質主義化することとなる.バトラーは「唯名論化した精神分析理論」を流用して身体や主体を脱構築し言語化作用を論じたが, そこでも構造の生成は結局のところ論じえない.唯名論的ではない臨床現場から立ち上がった精神分析理論によって, 身体と言語の接合関係を, 自閉症者を参照しながらみていくと, 主体が他者への同化と他者との相互行為から生まれ, それが世界と自己の同一性を生み出し, それによって自律した言語構造が可能となっていることが示され, ここに再構築の理論的可能性があることがわかる.
著者
房 瑞祥
雑誌
崇城大学芸術学部研究紀要
巻号頁・発行日
no.10, pp.131-132, 2017

本稿は、中国古典文学『西遊記』における孫悟空の例を通して、日中における孫悟空の映像表現の相違とその背景を示すことを試みるものである。制作された時代や国によって孫悟空の表現描写は異なっている。孫悟空のキャラクターは、骨格、顔の造り、衣服、道具、彩色などの外的要素と、性格やセリフなどの内的要素によって構築されているが、制作された時代を反映する文化的あるいは社会的な影響が、孫悟空という共通キャラクターにも少なからず寄与している。『西遊記』が多く映像化されてきたのは、常に大衆受けする題材であったことや、映像技術の進歩と共に原典の映像表現が変化することなどから、時代性と関連づけられた題材として適合していたことなどが考えられる。本研究では、中国アニメ『西遊記之大聖帰来』(2015年)と日本アニメ『ドラゴンボール』(1984年)を通して、日中における孫悟空のキャラクター設定を比較し、原典小説『西遊記』で表現されている孫悟空との相違点を考察することにより古典小説の映像化におけるキャラクターの時代性の影響を明らかにすることを目的とした。西遊記の原典『元本西遊記』(14世紀)における孫悟空は、本来の主人公である玄奘三蔵をしのぐ活躍を見せており、非常に人気の高いキャラクターとなっていた。『西遊記』における悟空像の変化は、取経の旅を通じて、いかに自己改善を成し遂げていったかを描いたものと理解できる。『西遊記之大聖帰来』の孫悟空では、馬面の猿の顔に、革製の鎧を身に着けた長身となる。徹底的に無表情で、挫折感と反発心のみを強く抱いた、現代的なニヒリストの風貌である。中年の悟空と7歳の江流児がペアになるという奇想天外な設定で、原典『西遊記』からは大幅に離脱している。法力を失った昔日の戦士であり、冷たく、気性が荒く、それでいて心の奥底に捨て難い義侠心を秘めている。危険に出会うと、善良と正義の心で仲間を救助し、仲間の守護者になっている。『ドラゴンボール』における孫悟空は、黒髪の特徴的な髪型をしており、元気で明るく、朗らかな性格であり、誰からも好かれている。理不尽な目にあっても、大抵の事を「ま、いいか」の一言で済ますなど、あまり物事を深くは考えない。心が清らかでないと乗れないという「筋斗雲」に乗ることが可能であるなど、非常に無邪気な性質を持つ。常に自然体で、戦闘や緊急時にはシビアな対応を取り、かつ分け隔てない面がある。圧倒的な戦闘力と清らかな心により、地球、ひいては全宇宙を救う。孫悟空といえば、筋斗雲で飛び回る自由な印象を受けるが、敵をなぎ倒す力強さによって人の心を掴んでいる。それに加えて更なる自由や力を求める精神、仲間思いの心、機転とユーモアなどは孫悟空を理想のヒーローにまで引き上げている。孫悟空が幅広い層に受け入れられた大きな要因は、不自由な社会環境の中で多くの人々がそれを打破するイメージを孫悟空に重ねたものだと考えられる。三作品とも、孫悟空は「守護者」の役割を持ち続けた。守護の対象は、原典『西遊記』では玄奘三蔵、『西遊記之大聖帰来』では仲間、『ドラゴンボール』では地球と異なるが、すべての孫悟空は責任感が強く、何も恐れていない。孫悟空の図像イメージは、原典小説を基礎としながら、時代と表現メディアの変化を受け入れていった。そして、メディアに適応する形で、現代の要素を取り入れながら新しいイメージが作られた。『西遊記』に関する映像表現の変遷は、文学と映像表現および映画文化の変遷史とも言える。文学作品を原典とするキャラクターは文字のみで表現されている。その特徴を図像化することによって漫画、アニメ、ドラマ、映画など他ジャンル作品に拡がりを見せ、多くの人のキャラクターイメージを定着させるきっかけを作ってきた。また、図像化したキャラクターは原典の理解を深めることにもつながっている。孫悟空のキャラクターは、長い歴史の中で変化してきたが、多くの新しいキャラクターが出現したことで、伝統的なキャラクターが見えなくなった点も否めない。再度、歴史的資料による伝統的なキャラクターを軸にした他の国や地域で受け入れるキャラクターを作り出すことができるのではないかと考える。
著者
植田 康孝
雑誌
江戸川大学紀要 = Bulletin of Edogawa University
巻号頁・発行日
vol.27, 2017-03-31

「シンギュラリティ(技術的特異点)」とは,人工知能が人間の能力を超える時点を言う。ヒトは自らの学名を傲慢にもホモ・サピエンス(賢明なヒト)と名付けたが,ホモ・スタルタス(愚かなヒト)になる瞬間である。近年の急激な技術進化により「シンギュラリティ」はもはや夢物語とは言えなくなっている。英オックスフォード大学のニック・ボイスロム教授の調査では,「シンギュラリティ」が到来しないと回答した人工知能分野の研究者は僅か10% に過ぎなかった。厚生労働省発表に拠れば,2016 年に生まれた子供の数(出生数)が98 万1,000 人となり,初めて100 万人を割り込んだ。出産に携わる20 ~ 39 歳の女性は2010 年(1,584 万人)から2014 年(1,423 万人)の4 年間で160万人以上減るなど構造的な問題であり,今後も進展する。団塊世代のピーク1949 年には269 万,第2 次ベビーブームのピーク1973 年には209 万人もいたから,半分以下の激減である。猛スピードで少子高齢化が進展する日本では,特定職種における労働力不足が深刻化している。人手不足を解消する,という社会的要請に応じる形で,人工知能の浸透が進む。人工知能に置き換えられる労働人口の割合はアメリカ(47%)やイギリス(35%)と比べて,日本(49%)が最も高い。これは,労働者が比較的守られて来た日本で,置き換えが遅れていたためである。人工知能の進化によって,産業構造や人の働き方が激変する。伴って,近い将来,私たち生活者の価値観や生き方が大きく変わるようになる。人工知能によって労働や生活における問題の大半が解決された場合,人間はどのような悩みを持つ存在になるのか。人工知能の進化は,人間の拠って立つ軸,例えば,信念や価値観,行動の判断基準を変えることを迫る。日本人は子供の頃から「働かざるもの食うべからず」と教えられ,「勤勉」を尊ぶ価値観が日本人の精神には深く根付いて来た。しかし,2016 年女性人気が爆発した深夜アニメ「おそ松さん」は,6 人の兄弟が揃って定職に就かず,遊んで暮らす「脱労働化生活」を送る。全員同じ顔と性格を持つ6 つ子が登場していた原作に対し,それぞれに細かくキャラクタを設定し声優の割り当てを別としたことにより,キャラクタごとに「推し松」と呼ばれる熱狂的な女性ファンが続出し,社会現象となった。人間は,2030 年に到来すると予想される「シンギュラリティ」以降には,仕事を減らすための人工知能が増え,「おそ松さん」的脱労働化生活を送るようになる。「おそ松さん」的ライフスタイルとは,ある程度,物質的な欲望を満たした場合,「モノ」の充足を超えて,文化や芸術,旅行,あるいは自分自身の想い出など,「コト」についての関心を増やすことである。政府がすべての国民に対して最低限の生活を送るために必要とされる現金を支給する「ベーシック・インカム」制度の導入により,お金のために労働する,お金を使って消費するという生活から少しでも自由になることを可能にする。社会のために必要な「仕事」を人工知能が肩代わりしてくれるのであれば,賃金が支払われるだけの「労働」を行うことを中心とした生き方よりも,個性を大切にする生き方の方が余程「人間らしい」と言える。過去の常識に振り回されることを防いで,創造的な行動を行うことが,「おそ松さん」的「脱労働化生活」を実現することである。歴史家ホイジンガが説いた「人間はホモ・ルーデンス(遊ぶ存在)」の体現である。