著者
松本 吏樹郎 河合 正人 冨永 修 市川 顕彦
出版者
大阪市立自然史博物館
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

移入種であるアカハネオンブバッタの分布が、阪神地域から周辺地域へ拡大する様子が市民調査(738件の分布情報)を通して詳細に記録された。本種の自然分布域である中国、台湾、南西諸島と、移入したことが知られているハワイ諸島のサンプルとの、ミトコンドリアおよび核遺伝子の部分配列の比較により、移入した個体群の一部は少なくとも中国からのものと推定された。オンブバッタとの交尾実験では交雑個体の発生は見られなかったが、それぞれのオスの異種メスへのマウント行動は普通に見られ、アカハネオンブバッタの存在はオンブバッタの繁殖干渉を通して、正常な交尾を妨げる負の影響を与えている可能性が推測された。
著者
岡本 洋子 田口 田鶴子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.48, no.7, pp.621-631, 1997-07-15 (Released:2010-03-09)
参考文献数
20
被引用文献数
2

A survey of the effect childhood diet on the taste sensitivity and personality in later life was conducted on college students from 18 to 20 years of age (93 females). The sensitivity toward sweet, sour, salty, bitter and umami tastes was measured by using aqueous solutions.The students recalled the tastes and nutritional balance from childhood when preparing daily meals. Dishes such as Hamburg steak, curry and rice, and nimono were eaten, together with snacks, cakes and sweet rolls by most of the 93 subjects during childhood.Most of the subjects recalled eating tasty and enjoyable meals around the family dinner table, and that their mothers prepared everything from scratch. A few of the students recalled eating meals alone and having a lot of fast food.Taste sensitivity tests with aqueous solutions showed that the subjects could perceive 0.1-0. 6% of sucrose, 0.01-0.05% of citric acid, 0.01-0.06% of sodium chloride, 1.0 × 10-9-1.0 × 10-4% of quinine, and 0.005-0.035% of MSG. Little difference was found between the diet in childhood and the subsequent taste sensitivity.There was, however, a significant correlation between the diet in childhood and 8 of the 12 personality traits. A balanced diet in childhood had a good effect on personality (i.e., absence of depression, an active demeanor and social extravesion).We conclude that a good diet during childhood had little influence on taste sensitivity in later life, while it had a positive influence on personality development.
著者
矢野 義治
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.51, no.11, pp.1019-1023,a1, 1983-11-01 (Released:2011-08-11)
参考文献数
13

北海道で発展した火山灰土の土層改良を歴史的に概観し, その工法が確立された背景が普通地と異なる火山灰特有の土層構成にあることから粗粒火山灰土の表層部の特徴を明らかにした。また, 粗粒火山灰土地域で施工された混層耕, 反転客土耕, 改良反転客土耕について試験施工の状態や施工効果などを明らかにした。粗粒火山灰土の改良反転客土耕は本試験が初めてのものであり, 新しい土層改良法である。
著者
落合 淳思
出版者
立命館大学人文学会
雑誌
立命館文學 (ISSN:02877015)
巻号頁・発行日
no.608, pp.87-97, 2008-12
著者
山本 澄子
出版者
日本義肢装具学会
雑誌
日本義肢装具学会誌 (ISSN:09104720)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.266-271, 2017-10-01 (Released:2018-10-15)
参考文献数
12

義肢装具に関する介入研究は,使用者に対して義肢装具を使用した何らかの介入を行ってその結果を示すものである.介入研究は対象者1名のシングルケーススタディ,複数名のクロスオーバー研究,多人数のランダム化比較試験があり,それぞれに利点欠点がある.いずれの場合もある介入の効果を他の条件と比較して結果を示すものであり,介入の持ち越し効果(キャリーオーバー)や対象者のばらつきの影響を少なくするための工夫が必要である.本稿ではこれらの手法について具体例と最近の研究の紹介を交えて解説する.
著者
江口 淳子 小原 謙一 渡邉 進 石田 弘
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.481-485, 2008 (Released:2008-10-09)
参考文献数
23
被引用文献数
1 1

[目的]運動時間の違いによるジムボールを用いた脊柱可動性運動の効果を検討することである。[対象と方法]健常男性48名を運動時間60秒群,30秒群,15秒群,コントロール群の4群に無作為に分けた。60,30,15秒群はボール上で腹這位をとらせる脊柱可動性運動を行い,コントロール群は静止立位を15秒間保持させた。介入前後に脊柱可動性を計測した。各群での介入前後の比較と変化率の群間比較を行った。[結果]60,30,15秒群では体幹傾斜角と仙骨傾斜角の脊柱可動性運動後の値が運動前と比較して有意に大きかった。変化率の群間比較では60秒群の体幹傾斜角がコントロール群に比べ有意に大きい値を示した。[結語]ボールを用いた脊柱可動性運動は60秒間行うことで脊柱可動性が有意に変化することが示唆された。
著者
國方 弘子 豊田 志保 矢嶋 裕樹 沼本 健二 中嶋 和夫
出版者
日本保健科学学会
雑誌
日本保健科学学会誌 (ISSN:18800211)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.30-37, 2006-06-25 (Released:2017-10-27)
参考文献数
17
被引用文献数
5

本研究は,地域で生活する統合失調症患者を対象とし,精神症状が自尊感情を規定するのか,それとも自尊感情が精神症状を規定するのか,それら因果関係モデルのデータへの適合性を明らかにすることを目的とした。分析対象は,横断的研究には109名,縦断的研究には61名のデータを用いた。精神症状の測定には,信頼性と妥当性が支持された9項目版BPRSを用いた。横断的研究の結果,反応が低下した症状である「鈍麻・減退因子」が,自尊感情と有意な負の関連があった。縦断的研究の結果,1年後の追跡調査時点において9項目版で測定した精神症状は自尊感情に有意な負の効果を示し,時間的先行性を検証できたことから,精神症状が自尊感情に影響を及ぼすといった因果関係が示された。以上より,統合失調症患者の鈍麻・減退に伴う感情をサポートすることは,彼らの自尊感情を回復させることに繋がると示唆された。
著者
中村 香子
出版者
日本アフリカ学会
雑誌
アフリカ研究 (ISSN:00654140)
巻号頁・発行日
vol.2017, no.92, pp.69-81, 2017-12-31 (Released:2018-12-31)
参考文献数
22

本稿は,アフリカにおける民族文化観光においてもっとも長期的に有力な「商品」でありつづけている「マサイ」をとりあげ,彼らが住民主体でおこなう観光業の実態を検証することを目的とする。前半部では,民族文化観光の現場で何がどのように観光資源化されており,それによってどの程度の収益がもたらされているのかを明らかにし,そのうえで,観光業の経済基盤としての脆弱性を指摘する。人びとが「最少努力・最少投資」の姿勢で観光業に対峙していることをふまえて,後半部では,人びとが新たに民族文化観光の資源として利用しようとしているものを分析する。そのひとつは女性の「苦境」であり,もうひとつは子供の「苦境」である。いずれも国際社会による開発支援の定番のイメージであり,観光客が無意識に求めているもうひとつのステレオタイプ─「かわいそうなアフリカ」に合致するものである。「伝統」と「未開」を「光」としてみせ,「苦境」を「影」として聞かせながら,人びとは,観光客から新たな支援を呼び込む場として民族文化観光村を活用しているのである。
著者
杉本 均 山本 陽葉
出版者
京都大学大学院教育学研究科
雑誌
京都大学大学院教育学研究科紀要 (ISSN:13452142)
巻号頁・発行日
no.65, pp.179-200, 2019

本論文は日本の学校で働くフィリピン人ALT教師の実態について調べることで、ESLであるフィリピン人をALTとして雇用することがJETほか日本の英語教育プログラムにおいてどのような意味を持つかについて考察することを目的としている。結論としては、日本側はより多くのALTを必要としており、それに伴って十分な英語能力を持つESLの英語話者を採用しつつあるが、実際の現場では未だネイティブスピーカーが好まれる傾向があり、職場における人種差別を感じている者も多かった。しかしながら帰国後ALTとしての職歴が有利に働くことや、他国出身者よりも勤務歴が長いことなどから、メリットのある取り組みであることが明らかになった。ESLの英語能力は英語教育の推進を図る日本の英語教育界においては十分通用するものであり、ESLであるALTは人員確保の面だけでなく、生徒に多様な文化に触れる機会を与えるという点においても、今後の日本にとって必要な存在であると言える。
巻号頁・発行日
vol.第286號 (昭和22年10月6日), 1947
著者
田野村 忠温
出版者
関西大学大学院東アジア文化研究科
雑誌
東アジア文化交渉研究 = Journal of East Asian cultural interaction studies (ISSN:18827748)
巻号頁・発行日
no.11, pp.3-26, 2018-03

文部科学省グローバルCOEプログラム 関西大学文化交渉学教育研究拠点[東アジアの言語と表象]